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中央教育審議会大学分科会将来構想部会

2002/12/10 議事録
中央教育審議会大学分科会将来構想部会(第15回)次第

中央教育審議会大学分科会
将来構想部会(第15回)次第

1  日時   平成14年12月10日(火)10:30〜13:00
 
2  場所 経済産業省別館944号会議室(9階)

  議題
(1) 8月5日の答申を受けた大学設置基準の改正等について
(2) その他
 
  配付資料
資料  1   将来構想部会(第14回)議事要旨(案)
資料  2 大学設置基準等の改正等の論点について
資料  3 学位の分野の分類について(案)
資料  4 校地に係る基準の見直しについて(案)
資料  5 認証基準について
資料  6 大学分科会の今後の日程について

(机上資料)
「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」「大学院における高度専門職業人養成について」「法科大学院の設置基準等について」(答申)
大学設置審査要覧
将来構想部会関係基礎資料
文部統計要覧
教育指標の国際比較
高等教育関係基礎資料集
大学審議会答申・報告集
中央教育審議会答申「大学等における社会人受入れの推進方策について」

  出席者
(委      員)鳥居泰彦(会長),倉  翔(副部会長),中嶋嶺雄の各委員
(臨時委員)天野郁夫,石  弘光,荻上紘一,黒田壽二,島田Y子,関根秀和,山崎正和の各臨時委員
(専門委員)大南正瑛,越原一郎,中津井泉,松本浩之の各専門委員
(文部科学省) 御手洗文部科学審議官,工藤高等教育局長,板東高等教育企画課長  他

  議  事
(1)事務局からの資料説明後、「8月5日の答申を受けた大学設置基準の改正等について」審議を行った。

(○:委員,●:事務局)

  法科大学院も含め、今後都心に増えるであろるサテライトキャンパスが、ビルを借りる等する場合、校地・校舎等の基準は本校の大学院で課される基準と同じでよいのか。学生受入れの収容定員について適正な管理を求めるというが、適正という曖昧な言葉では無意味なので、入学定員超過率を1.5倍以上を1.3倍以上にする案のように数値目標を明確に記述するべきだ。資料2「その他の検討課題」「3専任教員の年令制限の撤廃」は、定年制の延長という意味か。それとも、年令に関わらず、何年いてもよいとするのか。

  現在でも大学全体として設置基準に合致していれば、サテライトキャンパスについては審査をしていない。専門職大学の場合にもそのような考え方でよいのかどうかは、議論の余地があるだろう。現在は大学院のサテライトキャンパスのみ認めているが、学部や短期大学のサテライトキャンパスを認めることが適切かどうかも問題だと思う。入学定員超過率1.5倍以上とは設置認可の申請時に適用される判断基準で、常時守られるべきものだ。従って、収容定員の管理については、それと別に数値的な基準を設ける必要はないのではないか。専任教員の年齢制限については、分野毎に定められている「開学時において70歳まで」というような設置審査基準を撤廃してはどうかという趣旨である。

  専任教員の年齢制限の撤廃は定年制とは無関係で、各大学は自由に定年を定められる。設置基準で定める年齢を超える専任教員がいてもよいが、設置基準に合致する必要専任教員数を、それとは別に満たさなくてはならない。現制度での弊害は、大学院設置時に70歳という年齢制限がある場合に、60歳台後半の教員を必要数揃えると、開学数年で全教員が制限年齢を超えてしまうことだ。全体的な年齢構成や大学院の数年後の状況を考えると、問題が生じる場合も多いが、一定年齢を設定することにより、大学として運用が容易になっている側面もある。年齢に重きを置く教員組織の見方でよいか。現在、これは内規で定められているが、設置基準や法令等に入れるべきか。

  教員を国際的に公募する場合、日本では年齢制限を置くことが多いが、海外では置かないことが多い。具体的にはテニュア制や任期制の導入等、様々な工夫があり得るが、教員募集時の基準として年齢や性別、国籍等の条件がない方がよい。そうでなければ、将来ILO等に提訴されかねないのではないか。日本には国際関係学部や国際社会学部等様々あるので、分野を領域分けする場合には柔軟にする方がよいと思う。入試については、今後、国際的基準を持つTOEFLやTOEICを活用し、その後に面接のみ行うような形にしてもよいのではないか。

  入学者選抜は、各大学の見識において特色を出しつつ行っている。従って、このような問題は第三者評価できちんとチェックし、それを評価することが大事なので、規定を設けない方がよいのではないか。学生の収容定員の適正な管理についても、現在行っているのであれば改めて法制化する必要はないと思う。資料2「その他の検討課題」の36は、第三者評価で評価されるべき内容だろう。また、12は、大学の責任において決めることなので、このような法令の議論に持ち出すべきではないと思う。

  設置基準の緩和は、法令違反状態の問題にもつながる。法令化される予定の設置基準は、設置時以後も各大学が法令違反状態かどうかを確認する基準になるだろう。入学者選抜については、具体的に不適正な場合に法令違反としての対応を可能にしようとしているのか。

  大学の必要最低限の要件として、設置基準に定性的な規定を盛り込む必要性はあるのではないか。収容定員や入学者選抜については、適正に行うべきことを法令で規定してはいないが、それは当然の前提だろう。現在は、法令の規定としての明確な根拠がないまま様々な指導が行われているので、その指導の位置付けが問題だと思う。様々な意味で縛りをかけるのではなく、これまで当然の前提であった部分を明確化する必要があるかどうかという問題だ。

  学部や短期大学のサテライトについては、社会人よりも学生を対象にしたいという意見が多いのではないか。多くの大学は郊外に移転しているので、都市の活性化のためにも都市の中心に幾つかの大学の共同のサテライトを作り、各大学がそこでサテライト教室を開くという話もあるようだ。そのように有効に制度を利用できるシステム作りが必要だと思う。私立大学の場合、収容定員以上の学生を入れると補助金がもらえないが、それを承知で入学させている大学もある。そのような大学では教育条件が整っていないだろう。このような現状を鑑みると「適正な管理」という曖昧な規定ではなく、明確に数量制限を規定し、法令違反状態として扱えるようにするべきではないか。学生数が減っているので定員以上入学させる大学があると、地方大学に学生が集まりにくくなるので、入学定員超過率は守らせるべきだ。

  設置基準を最低基準とした場合に、記載されていない事については届出でよいのかどうかの協議になると思うが、それらの扱いについて具体的なケースを想定しておかないと混乱を生じるのではないか。

  設置審査の各規定の必要性や将来性について吟味する必要があると思う。設置基準に記載のない部分については、個々のケースにより対応が異なることになるだろう。

  サテライトについては、一般の学生にまで広げると悪用される恐れがある。現に、本校で十分条件を満たしておいて、実際にはサテライトの方で専ら授業を行っていた例があるので、そのようなことをチェックし、歯止めをかける必要があるのではないか。

  入学定員超過率の一定値を定める必要性は分かるが、地方の私立大学では定員が埋まらない現状である。定員の上限については私学助成をなくす措置があるが、下限については今後の少子化も念頭に置いた規制を考える必要があるのではないか。

  学校教育法施行規則第67条で、学生の入学等は教授会の議を経て学長が定めるとなっているが、実際にそのようになっていないことも問題だと思う。適切な大学管理のために、理事会の下に執行役員たる学長や学部長がいるような形をきちんと整理する必要があるのではないか。私立学校法第37条は理事長や理事の仕事についての規定だが、監事についてのみ詳しく規定されているので、それについても再考の必要がある。定員超過については、大学設置審査基準要項第10項に「長期的に安定した学生の確保について、十分な見通しが示されていること。」とあり、設置審査段階で学生が確保できる証拠を提示することになっているが、これは今でも有効なのか。専任教員の年齢構成及び年齢制限の扱いについては、分野毎に様々な違いがあるために混乱が起こっているので、整理するべきだ。

  資料3「1.分野の大括りの分類」について、117の大括りの各々について精査するのか。または、論点部分の例示にある看護学や栄養学等についてのみ細分化を考えているのか。その場合、細分化した分野については、それに伴って学位も細分化することになるのか。

  現案では、看護等については10の保健衛生学として見ることになる。しかし、専門職業と関連して資格が付与されるような看護や栄養等の分野については、大括りの分類の中で独立させる必要があるという意見もある。

  学位の分類と設置基準における学部の種類との関係は対応するのか。

  資料3の分野の大括りの説明文の「既設の学部等の組織と同一分野の中で」とは、何を意味するのか。既設学部の既存教員で研究及び教育ができる範囲内で、という意味か。

  認可はあくまで組織に着目して行うものと考えている。例えば、心理学科や哲学科等のある文学部を既に持っている場合に、哲学部を作る場合は文学という同一分野内にあるものなので、その場合には届出とするということである。

  ある学部があり、そこに何人かの教員がいて、新たに教員を加えることなく、教育研究ができる範囲内であれば、別の学部を作ってもよいということか。

  学位の分野の分類については、学部が授与する学位の変化の有無で、認可か届出かの整理をし、それに従ってガイドライン的なものを作ろうとしている。

  今回の議論の基本は、簡素化や自由化、自己責任化だと思う。ある学部の教員能力の範囲内で新しい学部が作れるかどうかの判断は、誰が行うのか。

  分野の大括りの分類の範囲内に収まるような学部を既に持っている大学であれば、教員を集めて企画・実現する能力があるとして、教員を完全に揃えていなくても、新たな学部や学科を作ることは十分に可能だと考え得る。また、既に教員やカリキュラム等が揃っている組織から必要なものを取り出して新しいものを作ろうとするのが、複合的な分野の場合である。

  例えば、文学部の中に社会学科がある場合、大括りの分類で文学と社会が分かれたとしても、もともと文学部の中に社会学科があって、その教員の多くを使って新しいものを作る場合であれば、当然既存のものを使っての新しい学部である。そのようなものは複合的な分野として認めていこうということだ。建築学科を持たなくても、適切に建築学の教員を新たに揃えて建築学科を作る能力が工学部にはあると考えるのが大括りの考え方である。そのようなことが可能な範囲かどうかを画する分野構成として、大括りの分類が適切かどうかを見ていただきたい。複合的な分野として整理したいのは、既存のものとの関係である。

  認可と届出の違いが分かりにくい。

  届出には審査や認可の行為がないので、書類上単に届出をするということである。ただ、届出であるからといって設置基準を下回るような教員数ではいけないのは当然で、そのような場合には是正命令が可能とされる。届出は基準を機械的に判断するというだけである。

  工学部の中に建築学科を作る場合、従来は設置審査の対象になり、教員の数だけではなく、その質が適切かどうかも見てきた。しかし、今後は建築学科関係の教員が全くいなくても、工学部であるから届出さえすれば、教員の数が揃っていれば質を問わずに認めることになるのか。それとも、その部分には行政は全く関与しないのか。

  届出であれば、教員一人一人を審査することはない。大学として当然その質の担保が出来るだろうという場合を届出にしようということである。

  学位分野の分類と大学の設置基準の15種類の学部の分類は、必ずしも一致させなければならないとは考えていない。

  学位分野の分類に商学はないが設置基準にはある。本当に両者は対応しなくてもよいのか。

  平成3年の博士と修士の学位の改正で、例えば学術という博士が出来たことにより、複合領域や新しい発展領域が包摂されることになった。平成3年の改正と今回の大括りは無関係だと考えてよいのか。

  法令違反は当然行政が取り締まるべきだが、大学評価については新たに作られた外部評価機関が評価を行う。そうすると、評価の対象か、法令審査の対象かの区別は誰が行うのか。実際は認可が必要なのに、届出制の範囲内だと判断して届出を行った大学が勝手に運営を始めた場合は、明らかに法令違反だろう。外観は法令に適うように見えるが中身がいい加減なものを作った場合には、どうなるのか。

  その場合、基本的には評価の問題として、質を考えることになるのではないか。例えば、設置基準を下回る数の教員しかいない、あるいは施設設備が設置基準を満たしていない場合については、法令違反として行政が是正措置を行うことになるかと思うが、教員や教育内容等の質については評価の問題として捉えられることになると思う。

  大括りの分類は学部の設置基準の分類と似ているが、両者は必ずしも一致する必要はないだろう。学部の設置基準の分類は、各々独立して基準を設定すべきものの整理であるが、経済や商学等は結果的に同じ基準になっているので一纏めにすることも可能かもしれない。設置基準は設置に必要な必要最低条件、特に教員組織や校舎等について見るためのものだ。学位の大括りの分類は、新しいものを構想・組織する能力があると思われる範囲内であるかどうかが問題となる。平成3年に学位の弾力化をし、「博士(○○)」という記述にした。(○○)の部分については各大学の判断で適切なものをつけていただく。その枠組みには変更はない。

  大括りの分類を作る時に現存する大学の学部と学位の関係について一覧表等を作ったのか。

  分類整理は行った。次回にでもその資料を配布させていただく。

  分野の大括りの分類は学位の分類ではなく、学部や大学院、研究科等を設置する時の学問分野の分類を学位で行おうという表である。例えば、医学部を持つ大学内に看護学部を作る大学や、保健衛生学部はあるが医学部はない大学で看護学部を新設する大学があり得るが、その双方を認めないといけないわけだ。その場合、大括りの分類の医学部分に「医学・看護学」、保健衛生学部分に「保健衛生学・看護学」と書くような工夫は出来ないか。医学と看護学では国家試験も国家免許も異なるので、看護学部を医学部から独立させる必要があると思う。それと同様のことは今後国家試験に関する様々な分野で起こり得るだろう。法科大学院で出される学位は、大括りの分類では法学の一部と見なされるが、法学部を持たない学部が法科大学院を作る場合はどうするのか。

  専門職学位は、法務博士や経営管理修士等の形で名称を設定することになると思うので、専門職以外の学位とは各々違うものとして捉えられるのではないか。また、看護の場合は医学とは異なるジャンルのものと捉えるというのがこの考え方である。ただ、保健の分類の1つとして作るならば、リハビリテーション学科のある保健学部の中に看護学科の増設として作ることもあり得ると思う。保健学部の中に新たに看護学部を作る場合には別途認可が必要になるだろう。看護は保健としては一纏めにし、医学とは別の仕切りにするという案である。

  資料4に校地面積基準の案の1と案の2があるが、案の1を最低基準としていただきたい。案の2では、学生数が増えるに従って校地面積が小さくなるのでよくないと思う。案の1の最大の問題は税金面である。基準面積だけでよいとされると、例えば東京都では6倍基準または3倍基準で校地を整えている既存の大学には、基準面積以上の土地に対して教育の直接の用に供していないという理由で固定資産税をかける話が出てくる。その関係もあるので、案の1は最低基準であって、教育に必要な面積は各大学で必要に応じて確保するというような規定にしていただきたい。

  校地面積基準の緩和を要求した背景とその動機は何か。

  校地の基準を見直して一定の緩和を図るべきだというような、総合規制改革会議の昨年の答申も踏まえ、この将来構想部会で議論していただいた。校地は学生の様々な活動を支えている面もあるので一定の数量的な基準を定めることにより、全体の緩和を図るという結論となり、その具体化としての案を出させていただいている。

  総合規制改革会議でそのような話や、経済特区として株式会社参入の話が出ている。全体として、教育分野への民間参入のルールを改め、学校法人ではない株式会社でも一定のルールに従えば参入させてもよいという考え方である。その際に今の全体の基準は、株式会社が参入するには負担が重過ぎるので、競争条件を緩和して様々な民間の参入ルールを新しく作るべきだというような流れがある。

  教育上、校地とはどのような性格を持つべきなのか。まず、その概念を明確にするべきだ。学部であっても短期大学であっても案の2を採るべきではないと思う。資料4の「現行設置基準及び見直し案における試算例」を見ると、見直し校地として「10m2」と「基礎面積+6m2」という2種類がある。これは、案の1の場合には最も緩やかな基準として「基礎面積+6m2」を考えればよいということか。

  基礎面積を何m2か置いて、そこからの傾きをとり「基礎面積+6m2」という計算を出している。即ち、200人と400人、400人と800人という場合の面積の傾きをとって、その傾きの中で一番緩やかな部分が6m2だったので、「基礎面積+6m2」として算定をしている。10m2の場合は、傾きというよりも、最も基準の緩やかな所の基準自体である。案の1の場合は、10m2を目安にするという考え方だ。

  基礎的な計算の基準は、学部と短期大学とでは違う基準を用いることになるのか。

  学部において、10m2は文科系で非常に規模の大きい、即ち1人当たりの面積の少ない所をとっているので、非常に緩やかな基準になっている。短期大学について計算すると、大体10m2と同じ位の計算になる。

  大学院大学が大学に準ずることになった時には、どのような議論があったのか。その頃はあまり専門職大学院的が出来ていないので、特別な考え方があったのではないか。

  最初は、奈良先端科学技術大学院大学のような所を想定しての議論であったと思う。その後様々なものが出来ているので、改めて大学院大学の校地・校舎の在り方を検討していただきたい。特に専門職大学院としてビジネススクール等を作る場合に、校地等の数量基準が必要なのかどうかが問題だと思う。

  国が認証を行う場合、具体的にどのような手続で行うのか。既に評価機関として存在する大学基準協会や大学評価・学位授与機構等が認証評価機関になるためには、どこを改めればよいのか。

  認証については、認証評価機関から文部科学省に申請をいただくことになるが、その内容が基準に合致しているかどうかはこの場で検討していただき、その結果がよければ形式上文部科学大臣が認証することになる。既存の評価機関については、今後、認証基準をこの場で詰めていただいた上で決定することになるだろう。

7  次回の日程
    次回は、12月24日(火)に開催することとなった。


(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)

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