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中央教育審議会大学分科会将来構想部会

2002/05/31
中央教育審議会大学分科会将来構想部会(第11回)議事要旨

中央教育審議会大学分科会
将来構想部会(第11回)議事要旨


1   日時 平成14年5月31日(金)10時30分〜13時

場所 三田共用会議所第3特別会議室

議題
  (1) 大学等の設置認可の望ましい在り方等について
  (2) その他

配付資料
  資料  1   将来構想部会(第10回)議事要旨(案)
  資料  2 中間報告において積み残された事項への対応の方向性について
  資料  3 ヒアリング等で示された新たな論点への対応の方向性について
  資料  4 現在、大学・学部等の新増設を認めていない分野について
  資料  5 大学分科会の今後の日程について

(机上資料)
「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」(中間報告)に対する団体等の意見等
「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」「大学院における高度専門職業人養成について」「法科大学院の設置基準等について」(中間報告)
大学設置審査要覧
将来構想部会関係基礎資料
文部統計要覧
教育指標の国際比較
高等教育関係基礎資料集
大学審議会答申・報告集
中央教育審議会答申「大学等における社会人受入れの推進方策について」

出席者   (委      員) 鳥居泰彦(会長),木村  孟(副会長),吉川弘之(分科会長),中嶋嶺雄の各委員
(臨時委員) 天野郁夫,荻上紘一,黒田壽二,島田Y子,関根秀和,山崎正和の各臨時委員
(専門委員) 青山善充,大南正瑛,越原一郎,鈴木  忠,中津井泉の各専門委員
(文部科学省) 御手洗文部科学審議官,石川私学部長,板東高等教育企画課長 他

議事
(1) 事務局から資料について説明があり、その後「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について(答申)案」について審議を行った。

(○:委員,●:事務局)

  中間報告を最終答申にするまでに、どれだけ審議の期間があるのか。

  6月中にこの部会としての議論を詰め、7月に分科会・総会共に2回位開き、7月中に答申の形でまとめていただきたい。総合規制改革会議や経済財政諮問会議等から早期の規制改革を求められており、早期に法律改正や関係省令の整備をし、来年度の申請から反映させたい。秋に国会が開かれた場合には、法科大学院の問題に連動した司法試験法等の法案の提出や、設置認可や学位、大学の評価等に関連した学校教育法等の改正をまとめる必要がある。

  検討する必要のあることが多いが、「検討する」と最終答申に書き込むこともあり得るのか。

  具体的な数量基準の設定や学位の分野等の整理については、答申での方向を受けて詰めていきたい。大きな制度の枠組みについては、答申までにご議論いただきたい。

  資料2の1「新たな分野の学位」の対応部分に、学位の分野を大くくりでとらえるという記述があるが、これは何を意味するのか。

  学問分野の範囲のとらえ方は難しいが、例えば法学なら法学として幅広くとらえるイメージを持っている。

  学位名称は、設置基準の例示をやめた時に「学士(○○)」にしたのだが、再度それ以前のように工学や理学、文学等の範囲内に入るもの(工学博士等)にしようということか。

  個々の大学が出す学位は自由だが、認可の有無の振り分けの整理としては、例えば工学分野であれば工学を細分化して機械工学や情報工学等の形で学位を出す場合にも同じ学位として扱おうということだ。認可と届出の振り分け時に、その整理を明確化する必要があると思う。

  その整理は、どこにどういう形で書くのか。

  具体的な法形式については今後整理するが、できる限り法令レベルで必要なものを精選し規定する必要があると思う。法形式や法令形式についても、できる限り裁量の働かないように明確に整理させていただきたい。具体的な振り分けで微妙な場合には、大学設置・学校法人審議会等に事前に専門的意見を伺うこともあり得るだろう。

  大学側が届出だと判断しても、認可側では認可が必要だと考えることもあるのではないか。

  その場合も、大学設置・学校法人審議会等の専門的判断をいただくことが考えられる。

  個別具体的な学位名称が設置認可の対象になるかどうかの事前判断ができないと、当該大学等は困るだろう。学位の分野をもう少し概括的に定める必要があるのではないか。

  認可か届出かの判断は、大学にとって重要な問題なので、その判断基準は明確にするべきだ。

  新しい創造的な分野や学際的な領域等に関しては、既存の大学の学部・学科をはみ出すような分野が多く出てくると思われるので、その辺りをご配慮いただきたい。

  大学設置基準については、準則主義の観点から大幅な改善を前提にしているのだろう。大学設置基準の下にも様々な規則があるので、それらをこの機会に整理・明確化する趣旨だと思う。今後の大学設置・学校法人審議会では、大学設置基準自体も審議の対象にするのか。

  設置基準や審査に関する要綱、細則等の改善や整理については、大学分科会に設置基準の改正を具体的な形で諮問し、ご議論いただいた上で答申することになるだろう。今後設置基準等を改正していく上での大きな方向を出していただき、具体的な設置基準の改正内容については、改めて大学分科会でご議論いただくことになると思う。

  分野を大くくりにとらえるということについては、誰がどのように決めるのかという問題があり、それはここで決めるべきだろう。学問分野を決めることと、認可することは別だが、それらは大学、あるいは日本全体の教育コミュニティーのようなものが合意して決めるのか。

  それは例えば、文部科学省告示や文部科学省令のようなものはどこが決めるのかということだろう。

  この部会や分科会に報告させていただきつつ、まとめていくことになるだろう。大学設置・学校法人審議会では改組の振り分け方法等、個々の申請に対処した経験があるので、原案を作る段階でその意見を聞く必要があると思う。

  大学設置・学校法人審議会は判断する場で、判断基準を作るところではないのだろう。

  その通りで、設置基準等についてご議論いただくのは大学分科会である。答申までに詳細を詰めるのは難しいが、大きな方向については明確化した案を出させていただきたい。

  この場で決めなかったことは大学設置・学校法人審議会に引き渡すことになるのか。少なくとも学問領域は、中央教育審議会の合意で作るものではないか。答申後の検討は、この部会で行うことになるのだろう。

  専門職大学院について今秋までに答申するとなると、例えば社会経験を積んだ人を教官としてかなり置くことにしているが、その判定をする場が問題だろう。その基準がないと現場で迷うことが出てくると思う。法科大学院を立ち上げるというタイムミリットはあるが、現場が混乱を避けると同時に、国際競争力を視野に入れた検討をする必要がある。

  ここで全ての判断基準等を作るのは無理だろう。学位分野を整理・明確化することにより、これまでの大学設置・学校法人審議会の判断では対応できなくなると思う。その辺りを明確にしないと、混乱を増すだけではないか。

  法令として位置付ける告示や、審議会等で決めた内規類を全体的に大幅に見直し、必要なものについては告示までのレベルに整理することが、総合規制改革会議の中で指摘されている方向だろう。審査内規の精選吟味も含めて今後作業を進め、最終的には設置基準の改正の諮問・答申という過程でご審議いただく形になると思う。

  日本私立大学団体連合会から、設置審査の取扱い方針は原則主義でするべきだという意見が出ている。中間報告にはそれに関する明確な記述がないが、設置基準を中心に設置認可関係の法規類を全て整理すると書くべきではないか。

  この中間報告案は、大学設置・学校法人審議会の権限を緩め、その分厳重に監視しようということだろう。その精神に基づくと、学問分野の決め方について予め決定するのは難しいのではないか。新しい学問ができると、学会からの反対等の問題が起こると思われるので、何らかの機関を作って、そこに学問分野に名前を与える権限を与えることは不可能だろう。新しい学問分野が学校教育の枠組みの中で成立するかを見定めるだけでも時間がかかると思うので、今の段階での答申が若干曖昧でも致し方ないのではないか。

  学位分野の判断を大学に任せるのか、教育コミュニティーの合意で決めるのかという問題があり、それを制度の中にどう活かすかを明確にするべきだ。学問分野の分け方も教育の質やクオリティーに影響があるので、ダイナミックで動的な判断基準を作り、その適用過程で改善されるような基本方針がよいのではないか。

  これまでは学部や学科という外形基準で設置認可をしてきたが、今後はそれを組織変更する場合の判断が問題になるということだ。文部科学省は自由化路線を歩んできたが、それを再度厳しくしようとしている矛盾が問題になっているのだと思う。

  規制を強化する方向ではなく、学部の設置でも同じ分野の範囲内であれば届出とし、認可の対象外にしようということである。大きな意味での認可と届出の振り分けができるのではないか。

  学位の分野について、答申以降に検討を詰める場は大学分科会でよいか。

  そうである。方向性を逐次報告しつつ、最終的なものに持っていくということだ。

  今回の議論を整理して、問題点を次回提示するべきだと思う。設置時に認可事項か、届出事項かを明確にする必要があるが、学位の取扱いの問題もあり錯綜している。今の学位の在り方を前提にした上で、設置時に何が届出事項で何が審査事項になるのかを予めクリアにすべきだ。

  新たな分野の学位の対応の「大学設置・学校法人審議会等の意見を聴きながら」という部分については、様々な所から意見を聴くのが当然なので、意見聴取の対象を特定しないために削除するべきではないか。

  短期大学等の取扱いについては、十分議論されていないので、この対応方針でよいのではないか。設置審査の抑制方針と校地面積基準については、かなり議論をしたこともあり、その方向性を出した最終答申にするべきだと思う。従って、それらについての答申の文章には「一定の試行期間を置きつつ撤廃する」等のような記述をするとよいのではないか。

  その意見にほぼ賛成である。ただ、医師等の5職種に関しては議論の余地があるので、そこは「更に検討する」の方がよいのではないか。

  医師等を含む我が国の学校教育の分野は一種の将来構想だと思うが、今回の議論とは話が異なるのではないか。これについては、その意味で判断しないことにするべきではないか。

  ここ以外に、その議論をする場はないのではないか。

  この将来構想部会で様々な認可の形式を議論してきたが、学問分野に関することは別の話だという議論がされていたのではないか。

  大学設置審査に抑制的な機能を持たせていることに問題があった。今後は規制緩和の流れの中で、それが無理になるだろう。しかし、ある領域や地域を抑制する方針は別に出さなくてはならないと思う。医師や歯科医師等を抑制しているのは、文部科学省ではなく外部からのプレッシャーなので、外部に基準があることをはっきりさせるべきではないか。

  医師等の抑制方針については一切削除したらどうか。それは大学分科会の問題ではなく、教育と資格認定により職業資格を与える機関の問題だと思う。

  需給関係を考える必要はあると思うが、今後のグローバル化を考えると全く異なる概念が出てくるだろう。規制緩和にこのような抑制の問題を入れることは、日本しか念頭に置いていないということではないか。

  その通りなのだが、このような申請が出てきた場合に大学設置・学校法人審議会としてどうすべきかの基準をここで作るべきだと思う。

  高等教育計画を作る段階において、各分野での人材の計画的養成について行われた様々な検討を受け、このような分野規制がなされてきた。これは政府全体としての政策の反映であるので、ここで議論するべきかどうかという問題はあると思う。これらの分野について抑制を継続するのであれば、法令レベルでの対応を考えるべきではないか。

  設置基準で医学部や歯学部には附属病院を必ず附けなくてはならない。従って、文部科学省は厚生労働省の意見を聞く必要があるが、その辺りから抜本的に考え直すべきだろう。

  教育と資格認定はリンクするが異なる。ある教育を受けることにより、資格試験受験資格が得られることはグローバルスタンダードだが、日本の現状はそうなっていない。

  政府内には様々な審議会があり、各々見識を述べている。行政は相互に関係し合っているので、我々としても見識は述べてよいのではないか。ある職業分野だけ競争条件を緩和し、総数を養成段階で絞って競争条件を緩やかにするのは不可能だろう。現に認可されているいかがわしい医科大学を保護し、新設大学を作らないことが果たしてよいことなのか。実際の政策の実現は別としても、大学分科会においてそのような現状を望ましくないと考えていることを述べてはどうか。また、現に薬剤師の抑制要求があるようだが、それを認めると別の業界が抑制を要求してくるだろう。それに関しては、既得権益を認めているわけではないと述べる必要があると思う。

  それは外からの問題で、ここの問題ではないと分けて考えればよいのではないか。まず、高等教育総合計画のようなものが練られなければいけないと思う。

  我が国では第三者評価機関が必ずしも十分整備されていないが、その育成に向けて何らかの手助けをすること等について記述するべきではないか。外国の評価機関を活用する方向で検討することには賛成だが、その場合の認証の問題をどうするのか。

  外国の評価機関が日本で活動する場合には認証の申請をしてくる可能性があり、それは排除されないと思う。これは特に専門職大学院で問題になると思うが、例えばアメリカ政府に認証を受けた国際的通用性のあるビジネスのアクレディテーション機関で、専門職大学院が評価を受けたいという場合にどうするか。この問題については、大学院部会で具体的にご議論いただき、こちらに相談させていただきたい。

  現在、ヨーロッパを中心に、ユネスコ、世界学長会議、IAUP(世界大学総長協会)という組織がある。それらと国際ネットワークが一緒に、国際的に認証機関を相互認証し合うシステムを作ろうとしている。そのような国際的な動きが急速に進んでいるので、日本としてもできることについては早急に対応する必要があると思う。

  国が評価機関を認証するとしても、そこでは私立大学の評価を強制するべきではないという意見が日本私立大学連合会から出ている。私立大学としては義務付けることに反対だということだが、それについては議論しなくてよいのか。私立大学協会として会員校の相互評価をする場合には、不合格は出せず、全て合格にするか、取り下げてもらうしかない。そのようなものが義務付けられることは、本来の趣旨から外れるのではないか。文部科学省側は、私立大学の場合にも資金配分に結びつけることが考えられると言っているが、これは資金を受けるために評価が義務付けられるということだ。この中間答申がアクレディテーションという言葉を強調していないのは、義務付けることと矛盾するからだという指摘を大学基準協会がしている。これがアクレディテーションであるならば、義務付ける方向で答申することには、私立大学連合会は反対なのではないか。

  私立大学連合会の意見は、国が評価機関を設置するとしても、そこでの私立大学の評価を強制しないということである。つまり、評価機構等に私立大学の評価を義務付けないでほしいという意味である。

  私学団体としては、第三者評価を受けることは当然である。その前提として入り口が緩和され、自らが質の保証をするということだ。第三者評価により、国が質の保証をすることは間違いで、自らが評価を受け自らの姿勢として質を保証していくということなので、国が設置する評価機関に私立大学が強制的に評価を強いられることはやめていただく。決して評価機関の評価を受けることに反対であるということではない。

  民間の評価機関や、自ら設置した大学連盟のようなものの評価を受けることは義務付けるということか。

  そうである。

  高度専門職業人養成に特化した大学院に関しては、認証評価機関による評価を受けることとする方向で検討するということだが、国際的、あるいは国内的に確立した評価機関がある場合とない場合がある。今後専門職大学院で様々なジャンルのものが想定されるとすると、その場合に評価を行う機関を評価機関と限定してよいのか。この部分は認証評価機関等のように少しキャパシティを持たせないと、不明確だと思われる。

  私立大学が評価を受ける場合は各大学が自主的に参画するわけなので、ほとんどの大学が参画するだろうと考えている。これは義務化ではないので、評価を受けない大学がある場合でも行政指導が行われるという性格のものではない。専門分野の第三者評価も、基本は各大学が自主的に参画することなので、評価を受けることができないところを行政処分の対象にするということではないと理解しているが、それでよろしいか。

  第三者評価に関して、評価を受けなくてもペナルティーを課されることはないが、評価を受けることは大学として当然の責務だと考えていただきたい。

  大学設置・学校法人審議会の議論では、自己点検評価の有無について必ずチェックしている。今後の設置認可の過程の中では、認証評価機関による評価を受けるかどうかがチェックの対象になるのか。

  評価を義務化しないほうが大学は主体的に取り組むと思う。義務化すれば、評価を受けたくない大学は必ずごまかしてくるだろう。義務化しないことに積極的な意味を持たせてもよいのではないか。

  第三者評価を努力義務として、各大学に努力してもらえばよいのではないか。設置認可の際の評価のチェックに関しては、設置認可段階ではまだ評価できる状態ではないと思うので、各大学が自主的に努力するということが分かるような記述にすれば、それで十分ではないか。

  自己点検評価は義務付けられていると我々は認識し説明している。自己点検評価をしなかった大学について何らかの強制を行うわけではないが、大学の責務として当然だということである。

  全国のいわゆる教員コミュニティーはそう考えているのだろうか。評価を受ける場合について、自主的にする場合には一生懸命する大学もあると思うが、義務化したら単に一様にするのではないか。その差は非常に大きいと思う。義務化してしまっては、本来の精神と異なるのではないか。

  新たなシステムとして考えられているのは、事前規制部分を必要最小限にしようということだ。ただ、ご指摘のように、大学コミュニティーが質の保証を図っていくというシステムは一般的なシステムとして入れていくべきだと考えている。

  総合規制改革会議で示されている方向性は、事前の規制から事後チェックへというものである。そういった中で総合規制改革会議からは、評価について厳しいチェック機能を持たせるという案を出されていた。その点についてはこの審議会で、コミュニティーの中での質の保証のシステムとしてご議論いただいている。

  事前事後という形で判定の仕組みを変えていくことと、その中で大学コミュニティーの合意により各大学が各々の責任で決める部分を増やしていくことの二つの問題があると思う。事後チェックを主体的なものに移すための努力が前提として当然あるだろう。

  新たな第三者評価の導入においては、大学の自主性・自律性に配慮するのではなく、むしろ尊重すべきだという提案があるが、その趣旨を何らかの形で答申の中で明確にすることが大切ではないか。

  第三者評価の導入について、「各大学は自発的に認証評価機関により評価を受けることとする」としてはどうか。

  「するものとする」という文言が義務条項であることは、法解釈の暗黙の了解になっていて、これは義務条項の表現方法である。将来、多少の改正ができるような形で結論を出しておけばいいと思う。第三者評価については、義務条項の表現になっていることが問題なのではないか。その折り合いに関して検討していただきたい。

  そこについては、表現の厳密な理解というよりは、一般の人がどのように考えるかということが大事だと思うので、慎重な表現を考えていただきたい。

  資料2の短期大学部分の対応については、それを認めるということが共通見解となったと理解してよいのか。

  その部分について、次回改めて意見を出していただいても結構である。

次回の日程
  次回は、6月7日(金)に開催の予定である。



(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)

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