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中央教育審議会大学分科会将来構想部会

2002/03/19
中央教育審議会大学分科会将来構想部会(第8回)議事要旨


中央教育審議会大学分科会将来構想部会(第8回)議事要旨


1    日時 平成14年3月19日(火)10時〜12時30分
     
2    場所 文部科学省別館大会議室
     
3    議題  
  (1)大学等の設置認可の望ましい在り方等について
(2)その他

4    配布資料  
  資料   1 将来構想部会(第7回)議事要旨(案)  (略)
  資料   2 大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について(骨子案)
  資料   3 大学分科会に係る諸課題の検討スケジュール(案)
  資料   4 大学分科会の今後の日程について
     
  参考資料 大学院における高度専門職業人養成について(骨子案)

5   出席者 (委        員) 鳥居泰彦(会長),吉川弘之,高倉  翔(副部会長),石倉洋子, 中嶋嶺雄の各委員
    (臨時委員) 天野郁夫,荻上紘一,黒田壽二,島田Y子,関根秀和,山崎正和の各臨時委員
    (専門委員) 青山善充,越原一郎,鈴木  忠,中津井泉の各専門委員
    (文部科学省) 御手洗文部科学審議官,石川私学部長,清水高等教育審議官,板東高等教育企画課長 他

6  議  事
   
(1)事務局から資料について説明があり、その後大学等の設置認可の望ましい在り方等について自由討議を行った。
   
(○:委員,●:事務局)
   
  資料2、「2設置認可の在り方の見直し」に設置認可の方法の例がある。これは学部に関するものだが、大学院についても同様だと考えてよいのか。   
  そのとおりである。   
  今回の骨子案は、第三者評価機関の継続的評価により大学の質の向上を図ること、設置認可の単位を学部や学科から学位重視への変更、閉鎖命令前の中間的措置の策定が問題になっているのだと思う。資料2「1総論」の後半の二つの項目は同様の内容なので一方を削除するか、または表現を変更するべきではないか。「4法令違反状態の大学に対する是正措置」で閉鎖命令は大学全体を対象としているようだが、その解釈でよいのか。学部単位でも、閉鎖命令を考え得るのではないか。   
  ご指摘部分については表現等を工夫させていただく。閉鎖命令の対象については、学校教育法第13条に「当該学校の閉鎖を命ずることができる」とある。   
  学校教育法第13条第3号に「六箇月以上授業を行わなかつたとき」とあるが、一つの大学内でもその要件に当てはまらない学部もあるだろう。その場合にも閉鎖命令は、大学全体にかかるのか。学部単位が対象になるのではないのか。   
  そのような事態は学長のリーダーシップが問われる問題なので、大学全体として考えるべきではないか。   
  「2設置認可の在り方の見直し」の「新たな分野の学位」とは何か。全く新しいか、改組転換したものも含むのか。設置認可の届出内容が法令に適合しない場合のチェックとは具体的にどのようなものになるのか。   
  現在は学位の種類は各大学の判断で自由である。学位が変わることの整理は、学位内容が同じである範囲内で事務的に整理する必要がある。   
  届出とそれ以外の区別はどうするのか。   
  学位が同じでないものについて、新たな学位として考えることになる。   
  学位の名称は、カリキュラムや教員組織、学科等に深く関わっている。大学設置基準第2章に教育研究上の基本組織が規定されているが、それを変更する必要があるのではないか。   
  必要な設置基準の改正はするつもりである。   
  経済学部から新たに経済学部と経営学部を分けて作る時には届出でよいという考えのようだが、現在の設置基準ではそれは届出では済まないのではないか。   
  設置基準で示される規定を満たした上で、大学は届出をすることになる。   
  設置認可の規制緩和は、大学が提出する書類を事務方が目を通すことにより簡素化してきた。そのイメージを明確化することにより、今の問題が解決できるのではないか。   
  届出時に提出された関連書類の外形的部分を事務的にチェックする。認可と届出の最大の違いは、教員組織やカリキュラム等の審査を行うかどうかだ。届出以降に法令違反があった場合、変更をお願いすることはあり得る。   
  今後、医療とマネージメント等のような2学部にまたがる専攻が社会的に必要になるのではないか。その場合、新しい学位を作る必要性があるが、それは認可になるのか、届出になるのか。   
  例えば、医療も経営もある大学で新しい学位を統合して作る場合に、その学位は全く新しいものなのか、既存の概念の延長なのか。学位の種類の問題として、どこで認可と届出の区切りをつけるのか。その辺りの整理の仕方についてご議論いただきたい。   
  独立した学部ではなく、2学部にまたがっているものの扱いはどうなるのか。   
  その場合も含めて様々な場合を想定して、事前に設置基準等に整理しておく必要がある。   
  設置認可の在り方はこれまで学部や学科という組織を重点にしてきたが、今後は学位に着目しようとしている。大幅な変更なので、充分な議論が必要だと思う。   
  届出制の導入により、外形的基準をどうするかの問題が出てくるだろう。設置基準の将来像についてのイメージがはっきりしないので、そこを明らかにする必要があるのではないか。   
  学位プログラム等の大幅な変更については、設置認可の対象として考える必要があるが、細かい変更点についてその都度チェックするかどうかは議論の余地があるのではないか。学位内容の同一性がある場合には、届出としてよいのではないか。   
  例示により大学を縛るおそれがあるので、解説文を付ける方がよいのではないか。これまでのがんじがらめの設置認可とは異なるものにしなくてはならない。   
  更に詳しく例示や解説を載せる必要があるかと思う。抽象的な文章なので、イメージとしての例示を挙げている。   
  学部や学科ではなく学位課程というカリキュラムで設置認可を考え、カリキュラム編成を更に自由にしようとしているのだと思う。届出制への移行には賛成だが、設置認可に対する非常に大きな改革なので、外的基準に関して明確化しなければならないのではないか。学位課程の同一性とは何を指すのかについても、はっきりさせておく必要がある。   
  この場で厳密にルールを決めると、大学の運営に影響を与えるおそれがあるので、それは好ましくない。大学が弾力的な運営をできるようにする必要がある。   
  従来の学部・学科に代えて学位を重要視しようという方向性だと思う。ここに例示がなければ、分からないのではないか。   
  例示があるのは自然だろう。例示はあくまで例示で、そのような扱いでよいのではないか。   
  学部学科制から学位課程制に変更したという考え方のようだが、本当にそうなのか。学位課程制に向かうのであれば、学位の定義をはっきりさせ、各々の学位に必要な課程を決めなくてはならないのではないか。   
  学位の問題は社会的に定着・認識されていないので、今の考え方では混乱が起こるのではないか。   
  学位を重点的に考える場合には、大学の学位授与権の基準を考えなくてはならない。学部学科から学位重視への切替えについては、以前から例を挙げて議論されてきている。教員組織等の外形基準については、今後議論する必要がある。   
  学位課程重視への移行は決まっている。その上で、その意味や背後にある問題を考えていく必要があるのではないか。   
  基本的な方向の変更については、この案を読む全ての人に分かるように書く必要がある。方向性の変更には基本的に賛成だ。全て例示するのは無理なので、方向転換の中身を明確化し、それ以外は自由にすればよいのではないか。   
  例示については、あくまでも例示としつつ、残して議論する方が理解しやすいと思う。設置審査の取扱方針の例外抑制の但書きに関して、設置認可は抑制しているが、課程認定の面からは問題があるのではないか。誤解を招かないように説明等を加えていただきたい。   
  設置基準についてチャータリングという言葉がある。国家が学位授与の権限を大学に付与することだが、日本ではその考え方が曖昧なままだ。大学側はそれは自らの独自の権限だと考えている。その辺りを整理しなくてはならないのではないか。   
  日本の学位の定義を、社会的意味を含めて議論する必要があると思う。   
  学位課程が重視されるようになると、高等学校の対応も学位を中心に進路指導することになるだろう。   
  短期大学の基本組織は学科だが、手続き規制に係る部分を届出のように簡素化している現状がある。その現状も踏まえて、どのように整理するのかを考えなくてはならない。   
  現在の日本では、認可された大学だけが学位授与権を持つ。一度認可された大学の学位授与権を自由化する方向になってきているが、資格試験と結びつく学位は例外だろう。例えば、医学と看護学は厚生労働省の基準で決まっている。学位授与権を持つのが大学だけであるならば、大学としての基本的要件を明確にすべきではないか。   
  現在、外国の大学が日本で認可された大学を作ることはできない。国際的通用性を持つ大学改革を目指している状況で、そのように保守的でよいのか。国際的通用性に関しては、大学の根本的な設置の在り方を含めてご議論いただきたい。個人的には、外国の大学の日本校がすばらしい教育を行っていることもあり、外国の大学の認可を可能にすべきだと思う。   
  大学は自らの財務状況をホームページ等で公開するべきだと思う。財務状況が悪ければ教育環境も悪化するが、それは入学志願者等に知らせるべき情報だろう。設置基準等で公開を義務付けるべきではないか。   
  財務状況の公開については、文部科学省としても推進を図るべきだと考えている。現在、8割位の大学が何らかの形で公開しているが、私立大学の自主性に鑑みても義務づけではなく、私立大学自身で自発的に公開していただきたい。   
  海外のアクレディテーション機関に評価してほしいという大学はあると思うが、海外のアクレディテーション機関が第三者評価機関として認証されることはあり得るのか。   
  技術的な問題は様々あるだろうが、制度設計上、排除する理由はないのではないか。   
  排除はできないと思うが、アクレディテーションは相互認証により質を保証するものなので、その精神からは外れるのではないか。   
  文部科学省が外国のアクレディテーション団体を認証するという考えなのか。それは各大学の自由でもよいのではないか。第三者評価機関の評価の対象は大学全体なのか。専門職大学院の評価を義務付けるという考えのようだが、法科大学院以外の大学院に関しては結論を急がない方がよいのではないか。   
  専門職大学院に第三者評価を義務付けるかは、未だ議論中の問題である。評価を義務付けたとしても、法制度として直接的に効果が及ぶものではない。高度専門職業人養成の大学院については、法科大学院以外にどういう範囲で考えるのか議論しているところである。   
  第三者評価を義務付けるのは望ましくない。   
  国としての高等教育の地域的バランスについて考えるべきだ。その辺りに関して文部科学省の考え方はどうなっているのか。   
  工業(場)等制限法が廃止された後に、抑制方針だけで制御するのかどうかが問題だ。抑制方針を撤廃する場合には、設置基準を緩めるかが議論になるだろう。現在、大都市では社会人が学びやすいような形のものが検討されている。大都市に相応しいものを政策的に考える必要があるのではないか。今後抑制的対応を続けるのは難しいのではないか。   
  高等教育の地域配分に関して、工業(場)等制限法を利用してきたのは間違いだ。今後、抑制方針が撤廃されれば、地方大学が衰退するおそれがある。均等ある地域配分をするべきだと思う。   
  法科大学院は平成16年に立ち上がる予定である。入学後2〜3年で司法試験の受験資格が与えられるが、それには第三者評価機関からの評価が必要だと思う。そこを早く明確にしないと、各大学が法科大学院の制度設計をすることは不可能だろう。   
  法科大学院の設置認可は文部科学省が行うので、その認可により司法試験受験資格ができるのではないか。第三者評価は事後チェックなので、設置認可とは分けて考えるべきだ。大都市における大学間の過当競争等についてはここでの議論とは別に検討する必要がある。   
  法科大学院に関する議論により、専門職大学院全体を縛るべきではない。今後思わぬ分野が出てきた場合には、別途何らかの第三者評価が必要になるのではないか。   
  短期大学の学科の設置認可についてだが、将来的に届出制にする方向で検討していただきたい。地方大学は、18歳人口の減少や工業(場)等制限法の廃止により潰れるところも多いだろう。地方大学の存在価値をどう考えるのか。高等教育の将来についての議論をしているわけだが、この議論は平成何年度から実施されるのか。平成16年度までの定員問題に関わらないようにするべきではないか。   
  最速の場合、法改正案を今秋の臨時国会に提出し、平成15年度申請受付開始、平成16年度解説ということになるが、今後の情勢次第である。第三者評価については、立上げを検討している評価機関の検討状況も見つつ、導入時期を見極めたい。今後の高等教育の規模に関しては、地域配置や国公私立大学の在り方も含めたグランドデザインの議論をしていただきたい。   
  例えば大学が解散状態に至った場合の文部科学省の役割をどうするのか。それに関する文部科学省の考えはどうなっているのか。また、その辺りの学校法人に関する法令を準備するべきではないか。   
  第三者評価は本来ボランタリーなものだが、日本ではそのような意識が発達していないので難しい部分がある。   
  前回のご議論では、自己点検評価のような第三者評価に関して賛成意見が多かった。評価については設置認可の弾力化とセットにして考えるべきだと思う。   
  法科大学院では、司法試験を維持するために第三者評価を義務付ける方向である。他の専門職大学院では、第三者評価は設置認可を緩める代替措置になると思う。   
  評価の問題は更に検討が必要だと思う。評価に関して実態がほとんどない現況で、その義務付けを決定するのはよくない。設置認可から第三者評価に移行しても、直接規制から間接規制になるだけでは意味がない。規制の実態がどう変わるのかを明確にする必要がある。   
  大学院部会の専門職大学院に関する議論は、まだ固まっていない。また、国際化が非常な勢いで進んでいる。それらを念頭においていただきたい。   
  WTOの会合等でも、国境を越えた教育について議論されている。日本の高等教育のグランドデザインに関して、この場でもご議論願いたい。設置認可の問題として、海外の大学で海外と日本で2年ずつ履修して日本の学位を授与するという形を考えている大学もあるようだ。今後も様々なケースが出てくる可能性があるので、検討していきたい。   
  すぐに対応すべき法科大学院の問題と他の専門職大学院の問題が錯綜して議論されているので、注意していただきたい。
   
7  次回の日程
  次回は、日程調整の上決定することとなった。



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参考資料
中央教育審議会大学分科会
将来構想部会(第8回)H14.3.19

大学院における高度専門職業人養成について(骨子案)

1.総論
   大学院の目的及びその果たすべき役割は以下の12に大別される。
  1基礎研究を中心とした学術研究の推進及びそれを通じた研究者の養成
  2高度で専門的な職業能力を有する人材の養成
   特に、近年の学術研究の進展や急速な技術革新、社会経済の高度化、複雑化、グローバル化等を受け、大学院における社会的・国際的に通用する高度専門職業人養成に対する期待が一層高まっている。
   しかしながら、従来、大学院制度は上記1の学術研究の進展・研究者養成という役割に重点を置いた仕組みとなっており、上記2の役割に対する期待に応える上で必ずしも十分でない面も見られる。
   また、高度で専門的な職業能力を有する人材の養成を充実させていくためには、実務家の参画による実践的な教育の実施や第三者による評価の導入等によって、変化に応じた柔軟で質の高い教育を行うことが求められる。
   このため、平成11年に、高度専門職業人養成に特化した教育を行う大学院修士課程として専門大学院制度が創設されたが、修了要件として特定の課題についての研究の成果を課し、これについて研究指導を行うこととしていること、さらに、この研究指導のために必要な教員組織を求めていること等、従来の修士課程の在り方との違いが制度上必ずしも明確になっていない。
   さらに、現在検討が進められている法科大学院については、上記2の目的に即して「法曹養成に特化した実践的な教育を行う学校教育法上の大学院」として位置付けることとされており、実践的な教育をより一層充実させる観点から、修了要件や教員組織等について現行大学院制度とは一部異なる仕組みを導入することが求められている。
   従って、大学院において「高度で専門的な職業能力を有する人材の養成」という役割をより一層果たしていくため、現行大学院制度を見直し、職業分野において国際的・社会的にも通用する高度で専門的な職業能力を養成するための新たな仕組みを整備することが必要である。
2.専門職大学院(仮称)の創設
   (目的・役割)
   大学院の目的・役割の一つとして、「高度で専門的な職業能力を有する人材の養成」を法令上明確に位置付けるとともに、従来の修士課程・博士課程に加え、当該目的を担う専門職学位課程(仮称)を創設する。
   専門職学位課程(仮称)を置く大学院は、当該課程に関し、専門職大学院(仮称)と称することができる。
   専門職大学院(仮称)は、「高度で専門的な職業能力を有する人材の養成」に特化した実践的な教育を行うものとして位置付ける。
 
   (専門大学院との関係)
   専門大学院の目的・役割は、「高度で専門的な職業能力を有する人材の養成」という専門職大学院(仮称)の目的・役割に含まれることから、専門大学院については専門職大学院(仮称)に移行することとする。
   ただし、既に設置されている専門大学院が専門職大学院(仮称)に円滑に移行できるような措置を講じることが必要である。
 
   (既存の大学院との関係)
   工学系の修士課程のように、既存の大学院の課程において技術者等の高度専門職業人の養成を行っている専攻分野もある。しかしながら、これらの分野においては、同時に研究者養成や研究活動も重要な役割として位置付けられており、高度専門職業人養成のみを目的としていないことから、専門職大学院(仮称)として位置付けることは必要でないと考えられる。ただし、当該専攻分野において、高度専門職業人養成と研究機能を分化させたものとして位置付けるのであれば、高度専門職業人養成に特化した課程については専門職大学院(仮称)の設置も考えられる。
   専門職大学院(仮称)の修了者が従来の大学院に進学し、研究者を目指すことも想定されることから、専門職大学院(仮称)の修了者には、従来の大学院への受入れを認める。
   (分野)
   専門職大学院(仮称)は、国際的にも社会の各分野においても通用する高度で専門的な職業能力を有する人材の養成が求められる専攻分野で設置が期待される。具体的には、1国家資格等の職業資格と関連した専攻分野、2特定の専門的な職業に求められる高度な職業能力を有する人材の養成が社会的に必要とされている専攻分野などが考えられ、将来的には多様な専攻分野における高度専門職業人養成が想定されることから、特定分野のみに限定しないこととする。
   (修業年限)
   各専攻分野における「高度で専門的な職業能力を有する人材の養成」という目的・役割に適切に対応するため、一律の修業年限を定めないこととする。
(教育方法及び修了要件)
   研究者養成を行わないことから、教育方法は授業のみを必須とし、事例研究、討論、現地調査、実習その他の適切な方法による実践的な教育を行うこととする。
   修了要件についても、各専攻分野ごとに必要となる授業科目の履修単位の修得のみを必須とする(研究指導及び論文・研究成果の審査は、必須の修了要件とはしない。)。
   (教員組織)
   研究指導を必須としないことから、高度の教育上の指導能力があると認められる者を専任教員として必要数置くこととし、研究指導教員も必置とはしないこととする。
   一方、実践的な教育を行うため、実務家教員については専任教員中に相当数置くことを義務付ける。
   教員数については、通常の博士・修士課程との教育方法の相違を踏まえた上で、最低基準を定めることとする。
   (設置基準)
   専門職大学院(仮称)は、修業年限、教育方法、修了要件、教員組織等が通常の大学院の課程とは大きく異なっており、また、専攻分野によって必要とされる基準が異なることが想定されることから、大学院設置基準とは別の専門職大学院(仮称)設置基準を新設する。
   (学位)
   専門職大学院(仮称)は従来の大学院とは異なる目的・要件の下で設置されるものとして位置付けることから、その修了者には、社会的・国際的通用性も勘案し、適切な名称の学位を付与する。
●学位の取り扱い
【案の1】
   原則として「○○修士」とするが、国際的通用性や修業年限等を考慮して、適切と認められる場合には「○○博士」といったように、新たな専門職学位を授与する。この場合、各専攻分野ごとに専門職学位として使用できる名称を法令等に限定列挙するものとする。
   【案の2】
   既存の学位名称に専門職学位であることを示す表現を付記する。例えば、原則として「実務修士(○○)」又は「専門職修士(○○)」とするが、国際的通用性や修業年限等を考慮して、適切と認められる場合には「実務博士(○○)」又は「専門職博士(○○)」を授与することとする。
   【案の3】
   原則として修士の学位とするが、国際的通用性や修業年限等を考慮して、適切と認められる場合には博士の学位を授与することとする。この場合、
   専攻分野については「修士(○○)」、「博士(○○)」の形で、養成される高度な専門職業能力にふさわしい分野名称を学位に付記するものとする。
【案の4】
   専門職学位として新たな名称の学位(例えば碩士等)を創設する。
   (設置認可)
   専門職大学院(仮称)の新設については認可対象とする。
   既設専門職大学院(仮称)の組織改編については、主体的・機動的・弾力的な取り扱いができるよう、同じ専攻分野の学位を授与する課程である限り、認可対象とはせず届出制とする。
   (第三者評価)
   現在、将来構想部会において、国による設置認可の緩和と併せて事後チェック体制を整備するとの観点から、大学の教育研究活動等の状況について、国の認証を受けた第三者(認証評価機関)が定期的に評価し、一定の基準に達しているかどうかをチェックする第三者評価(適格認定)制度の導入に関する検討が進められている。
   専門大学院には高度専門職業人養成という目的に応じた教育水準の維持・向上を積極的に図るため学外者による評価が義務付けられており、専門職大学院(仮称)についてもその目的に鑑み、各専攻分野ごとに認証評価機関による継続的な第三者評価(適格認定)を受けることを義務付けることとする。
   適格認定されなかった大学、特にその修了が国家資格の受験資格等とつながる専門職大学院(仮称)に対する対応の在り方について検討する。

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資料2
中央教育審議会大学分科会
将来構想部会(第8回)H14.3.19

大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について(骨子案)

1   総論
   大学の教育研究の質の確保については、現在、国による厳格な設置認可と各大学における自己努力に負っている。
   総合規制改革会議等においても提言されているように、国による事前規制は一層緩和し、大学が自らの判断で社会の変化に対応して多様で特色のある教育研究活動を展開できるようにすることが肝要である。
   大学設置に係る事前規制を緩和することに伴い、設置後の教育研究活動等の状況に対する国の関与は引き続き謙抑的としつつ、今後は当該大学以外の第三者が継続的に事後チェックを行うことによって、国際的通用性等の観点からも大学としてふさわしい質の維持向上が図られていくシステムを構築する必要がある。
   このため、大学設置後のチェック体制を整備するとともに設置認可の弾力化を図ることにより、大学の自主性・自律性を踏まえつつ全体として大学の教育研究の質が確保され、その一層の活性化が可能となるような新たな方策を講じる。
 
2   設置認可の在り方の見直し
(設置認可の対象)
   大学の設置に関しては、現在、学部の学科レベルまで国の認可の対象としているが、国による事前規制を一層緩和するという考え方を踏まえ、大学が主体的・機動的・弾力的に組織改編できるよう、設置認可の対象は大学の教育研究の質を保証する上で必要不可欠なものに限定する。
   設置認可の対象を限定する方法として、大学の基本組織である学部のみを認可対象とし、その下部組織である学科は届出事項とすることが考えられるが、この場合、同一の学位を授与する課程でも学科にするか学部にするかという組織の違いだけで取扱いが異なるという問題が生ずる。したがって、もともと学位授与権の付与が国際的にも歴史的にも大学の設置認可の際の重要な要素になっていることも踏まえ、今後は新設する学部等が授与する学位の課程と従来から授与している学位の課程の異同という観点を加味して認可の必要な場合を整理することが必要と考えられる。
   したがって、国の設置認可の対象は、大学、大学院の基本組織である学部、研究科等の新設・改廃について行うことを原則とするが、学部の設置は認可、学部の学科の設置は届出といった一律な対応とするのではなく、改編前後で授与する学位課程に変更があるか否かを勘案して次のような弾力的な取扱いとする。
  (1)    現在授与している学位の水準・分野を変更しない範囲内で組織改編する場合は、学部等大学の基本組織の設置であっても国の認可は不要とし、届出で足りることとする。
<例>    同一の学位を授与する昼間・夜間それぞれの学部を昼夜開講制の1つの学部に改組する場合は届出とする。
     経済学部の中に経済学科と経営学科があり、経営学科を改組して経営学部を新設する場合は届出とする。
     工学部の中に情報関連の学科があり、これらを独立させて情報工学部を新設する場合は届出とする。
     理工学部を理学部と工学部に分離する場合は届出とする。
   (2)    新たな水準・分野の学位を授与するための組織改編の場合は、学部の学科の新設であっても新たな学位課程の新設として認可の対象とする。
<例>    医学部の中に既設の医学科とは別に看護学科を新設する場合は、看護学部の設置の場合と同様、認可の対象とする。
     既設大学に新たに「法科大学院」の課程を設置する場合は、研究科として設置するか専攻として設置するかを問わず、認可の対象とする。
  (3)    短期大学の学科については、審査の手続や内容の簡素化を図りつつ大学の学部に相当する短大の基本組織として認可の対象とするか、あるいは、原則として届出とするかについて、引き続き検討する。
   学位の分野に関しては、現在、各大学がそれぞれの判断で適切な名称を付記しているが、どのような場合が「新たな分野の学位」に該当するかについて更に整理し、明確化する必要がある。
   私立大学の収容定員は、学科又は課程を単位とし、学部ごとに学則で定めており、その増減に係る学則変更には国の認可が必要であるが、今後引き続き認可対象とするのは大学全体で収容定員が純増する場合のみに限定し、大学全体の定員内における学部(特定分野の学部を除く)間の定員の増減等は当該大学の裁量に委ねることによって、大学による自律的な組織編成を容易にする(学則変更の届出は必要)。
   以上の基本的な考え方を踏まえ、大学、大学院、短期大学に係る国の設置認可の主な対象は以下の事項とし、これら以外の事項については原則として届出とする。
     大学、大学院、短期大学の設置・廃止
     新たな水準・分野の学位を授与する課程に係る学部等の設置
     設置者の変更
     大学全体の収容定員増に係る学則変更(私立大学等の場合)
   届出事項となったものについて、届出内容が法令に適合しない場合は、変更その他国による必要な措置が講じられるようにする。
 
(設置審査の取扱い方針)
   大学、学部等の設置に関する審査に当たっては、現在、特定の分野を除いて抑制的に対応する方針がとられているが、大学が社会のニーズや学問の発展に柔軟に対応でき、また、大学間の自由な競争を促進するため、今後は抑制方針を撤廃する方向で検討する。
     ただし、医師、歯科医師、獣医師、教員及び船舶職員の養成については、人材養成の需要に対応できているため現在は全く拡充を認めていないところであるが、これらの分野について、例外として今後もその取扱いを継続する必要があるかどうかについて更に検討する。
   首都圏、近畿圏、中部圏における工業(場)等制限区域・準制限区域内の大学の設置等については、大都市部における過当競争の抑制、地方における大学教育の機会の提供、地域格差の是正等の観点から抑制的に取り扱っているが、大都市部における大学の自由な発展を阻害している等の批判があることを踏まえ、抑制方針を撤廃する方向で検討する。
 
(校地に係る基準の見直し)
   大学設置基準等で定められている校地面積基準(校地が校舎の3倍以上)及び校地の自己所有比率規制(原則として基準面積の2分の1以上が自己所有)については、学生等の多様な活動を可能にするとともに学校法人の資産確保の面で一定の役割を果たしていることから、数量基準は設定することとしつつ、その在り方(例えば校地面積基準を校舎面積と連動しない形で定める、合理的な理由があれば基準の緩和を認める等)については検討を行うこととする。

3   第三者評価(適格認定)制度の導入
(新たな第三者評価制度の導入)
   国による事前規制を最小限のものとし、事後チェック体制を整備するとの観点から、大学の教育研究活動等の状況について、国の認証を受けた第三者(認証評価機関)が定期的に評価し、一定の基準に達しているかどうかをチェック(適格認定)するとともに、大学が自ら改善を図ることを促す制度を導入する。
   大学全体を組織体として評価する、いわゆる機関別第三者評価について、各大学は認証評価機関による評価を受けることとする方向で検討する。
     ただし、我が国では機関別第三者評価を実施する機関が必ずしも十分育成されておらず、現在、その整備充実に向けた努力が関係方面で進められているという状況にかんがみ、評価の実施スケジュールについては第三者評価機関の整備充実の状況を考慮して定めることが必要である。
   大学の専門性を様々な分野ごとに評価する、いわゆる専門分野別第三者評価について、特に高度専門職業人養成に特化した大学院)に関しては認証評価機関による評価を受けることとする。
 
(機関認証基準)
   国は、適格認定のための第三者評価を実施する機関に係る一定の基準(機関認証基準)を示し、認証申請のあった機関のうちこの基準を満たすものを認証評価機関として認証する。
   機関認証基準としては、例えば以下の事項を定めることが考えられる。
     大学評価のための適切な基準を定めていること
     適切な評価が実施できる体制が整備されていること
     定期的に評価を実施すること
     評価結果について一般に公表すること
     評価結果に係る不服申立て制度を整備していること
 
(第三者評価の結果を踏まえた措置)
   適格認定されなかった大学、特にその修了が国家資格の受験資格等とつながる大学院に対する対応の在り方について検討する。
 
4   法令違反状態の大学に対する是正措置
   今後の大学の教育研究における質の維持向上は、新たに導入する第三者評価制度及びその評価結果を踏まえた各大学における取組が基本となるが、このような大学の自主性・自律性を踏まえた事後チェックシステムに移行する以上、法令違反の状態に陥った大学に対しては、国として厳正に対処していく必要がある。
   しかしながら、違法状態の大学に対する国の措置としては、行政指導以外には、現行法令上、大学の閉鎖命令及び私立大学以外の大学に対する変更命令しか付与されておらず、国の是正権能は限定されている。
   このため、違法状態にある大学に対する改善勧告など、閉鎖命令に至る事前の措置を導入する方向で検討する。
   なお、閉鎖命令は大学の全体を対象とする措置であるが、学部等大学の中の特定組織を対象とする措置については現行法令上規定されていないため、諸規定を整備する。
 
5   留意点
   第三者評価機関の果たす役割の重要性にかんがみ、第三者評価機関に対する国の支援方策について検討する。
   教育研究活動や財務関係の状況など大学の情報提供を一層促進する。
   大学の存続や学生に対する教育機会の提供が困難になった場合、学生が学習を継続して行うことができるよう、適切なセーフティネットの整備について検討する。
   高等専門学校に係る新たなシステムの適用については、原則として短期大学に準じた取扱いを行う方向で今後検討する。

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資料3
中央教育審議会大学分科会
将来構想部会(第8回)H14.3.19

大学分科会に係る諸課題の検討スケジュール(案)

大学分科会に係る諸課題の検討スケジュール(案)

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資料4
中央教育審議会大学分科会
将来構想部会(第8回)H14.3.19

大学分科会の今後の日程について

大学分科会

将来構想部会

制度部会

大学院部会

法科大学院部会

   法科大学院部会(第13回)
  日  時
平成14年4月   2日(火)16:00〜18:00
  場  所
(未定)

   法科大学院部会(第14回)
  日  時
平成14年4月12日(金)16:00〜18:00
  場  所
(未定)

大学改革連絡会

   大学改革連絡会(第6回)
  日  時
平成14年4月   3日(水)10:30〜13:00
  場  所
文部科学省別館第5,6会議室(郵政事業庁庁舎10階)


(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)

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