資料1-2第3回:平成29年8月29日の制度・教育改革WGの意見【学位プログラム】

前回(第3回:平成29年8月29日)の制度・教育改革WGの意見【学位プログラム】

○欧米圏の大学では,大学として設置が認められると,学位授与権が丸々与えられて,自立的に,運営できるが,日本の場合は,学位プログラムごとに設置認可しているので,大学の地位を与えられても,自らの責任で新しい教育プログラムを開設するということはできない。
○学位プログラムという点から,全く新しい大学を作るときに,どういうアプローチをするのか。
○一度できた大学が,学位授与権をもう完全に授与されていると考えれば,その後はそれぞれ大学の質保証に対する責任で,例えばST比できちんと質の保証を考えていくことも考えられる。
○専任教員の定義について,余り十分議論されてないということで,複数の教育プログラム,学位プログラムを担当してもよいとなると,教員の教育負担が増えると懸念。
○博士課程リーディング大学院プログラム事業では,教員も学生も各複数の研究科から出てきて横断的な教育プログラムを提供しているが,そこの教育プログラムは学位を出せるかというと,それは不可能であって,結局,学生の所属する研究科,専攻でしか学位は出せない。教育プログラムとしてはすぐれていて,社会からも高く評価されていても,今の仕組みだと,その新しい教育プログラムの中では学位を出すことができないといったような課題もある。
○設置基準の規定自体,学生数,教員数等々についての外形的な基準を一定の枠組みと併せて明確化するという書き方自体が,いろんな点で合わなくなっているのではないか。
○教員の勤務形態,エフォートの管理といった点について,学位プログラム制だけではなくて,例えば専門職大学とか専門職大学院,大学院との兼任,非常勤教員の増加といった点についても,雇用形態にさかのぼって規定を考え直さなければいけない点もある。
○ガバナンスについて,例えば,現在の教授会は必ず設置されなければいけないという規定が,組織が二重化したときにどこに適用されるべきなのか。
○認証評価について,どこの単位を認証評価の単位とするか。
○学位プログラムを考えるときに,体系的に現代の高等教育制度の根幹に関わる問題が全て出てくる。
○一部の学部や一部の分野では学部を残すことが当然あり得るが,もう一つ,大学の選択によって,一定の領域に,学部に相当するような組織を作って,その中にプログラムを幾つか設定していくというやり方もあるだろうと思う。そういったやり方を両方とも許容するのをどうやって作っていくのかというのが重要だと思う。
○日本の大学教育というのは,学部・学科という教員の組織の論理で,それを入試のときに学生が選ぶだけで,偏差値で大体決まっていた。大学に入ってから,学生が選ぶ権利が非常に制限されている。学生が選ぶ権利を作っていくというのはプログラム制の非常に大きな意味がある。
○大学のニーズが多様化,流動化しているので,それに応じた教育内容を考える。それが変化した場合には,やはりそれに応じて一定の改廃ができるような柔軟性を備えさせていくことが重要。
○学位プログラム制の場合,例えば認証評価で必要な教員をどう考えるかと。大学全体として,教員対学生を見るということは重要だが,学位プログラムに十分な教員がいるのかという考え方と,それを個々の学位プログラムで見ていくと,本当に十分に教員がいるのかどうかというところが今度は見えにくくなるのではないか。
○プログラムを中心とした大学制度とは,学部・学科をなくすということなのか。もしなくすということであれば,それが学部・学科とどう違うのか。
○プログラムのこの議論というのは何年先を見据えた議論なのか。
○情報インフラとかデジタル環境とかはどんどんすごい勢いで変わっているので,大学そのものがどうなっていくのかとか,設置認可の制度自体も変わるはずだと思う。
○日本の教員も学生も,所属意識が非常に強い。プログラムを超えて学生を育てているところがある。学生の所属意識も組み込まれた施策を考えるべき。
○今の法令では,学部・学科単位で教員の管理をするというか仕組みになっているが,基礎が学位プログラムに移るということになると,学位プログラムの責任者が教学のPDCAを管理していくということになってくる。
○学位プログラム単位の管理体制と学部長あるいは学長の全体の整合性のあるような管理の仕組みを,ある程度,法令で示していく必要があるのではないか。
○大学の仲間の一つに専門職大学,専門職短期大学というのが入ってくると,学位プログラム,専攻分野別の質保証というのが非常に重視されるということになる。
○弾力性を付加したときの大学制度の質保証というのをどのように考えていくかというのはとても大事なこと。
○既存の学部や学科を残した上で,学位プログラムというものを認めていくようなものを作っていくのか,それとも,既存の学部・学科というものを全部,学位プログラムに移行して,学位プログラム中心の大学にするのか。いきなり後者を目指すのはかなり難しい。学位プログラムに近いものを幾つかの大学がもう作られているので,そういったものを参考にして,なぜそういうものを作ってきたのか,そのプログラムとして何ができないのか,設置基準上の問題がどういうことがあるからできないのかとか,そういう議論をまずもう少しする必要がある。
○プログラムはプログラムだが,一方で,学生がいて教員がいて,あるいは,学費を出している保護者がいて,ステークホルダー的な人がいるので,そういった組織の要求を全て満たすようなものが学位プログラムにまだあるかどうか分からない。
○学生の立場から考えると,自分はどこに所属していて,かつ,自分のやりたいことは何であるかという二つの面がある。
○立命館大学では,インスティテュートという仕組みで,学部・学科の枠を超えたプログラムを提供して,それも,非常に多様にやっていたが,属意識の問題とか,どこが責任を持って質保証するかとか,次第に問題点が出てきて,現時点ではもうインスティテュートは全部なくなってしまった。
○ICUでは,六つの学科があったのを廃止して,32のメジャーシステムに置き換えた。そこでは,学生は,どのメジャーに行ってもいいということで,教員も,そのメジャーごとに区分け,配属されるようになっている。そのメジャーも,何年間か学生が集まらない場合には,ほかのメジャーと協力して新しいメジャーを作るとか,そういうことも話し合っている。

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