法科大学院等特別委員会(第88回) 議事録

1.日時

平成30年10月5日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室(中央合同庁舎第7号館東館3階)

3.議題

  1. 平成30年司法試験の結果等について
  2. 法科大学院等の教育の改善・充実について
  3. その他

4.議事録

※本議事録は未定稿です。

【井上座長】  
 あとお二人ほど見える予定ですけれども,所定の時刻ですので始めさせていただきたいと思います。
 第88回中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会を開催いたします。
 本日は,まず,平成30年の司法試験の結果について御報告いただいた上で,これまでの議論に引き続き,法科大学院教育等の改善・充実について,御審議いただきたいと考えております。本日も活発な御議論をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 まず,事務局の方から配付資料の確認をしてください。

【大月専門職大学院室長】  
 お手元に議事次第を御用意願います。議事次第のとおりに,本日の配付資料は,資料1-1から1-12と資料2と資料3,参考資料となります。あと,机上参考資料等を配付させていただいているところでございます。また,本日もタブレットにデータ集等を保存しており,その中には関係法令等も入っております。資料について,落丁,不足等ございましたら,お気付きの際に事務局までお知らせ願います。
 以上でございます。

【井上座長】  
 ありがとうございました。それでは,資料,不足がありましたら,適宜お申し出ください。
 早速ですが,議事に入りたいと思います。
 最初に,9月11日に平成30年司法試験の結果が法務省より公表されました。これにつきまして,福原委員及び事務局から説明をお願いしたいと思います。福原さん,よろしく。

【福原委員】  
 はい。それでは,私の方から,先月11日に発表されました平成30年司法試験について御説明を申し上げます。資料は1-1から11までございます。順次御説明いたします。
 まず,資料1-1を御覧ください。これは法務省のホームページにも掲載されました今年の司法試験の採点結果です。1-(1)に記載されていますとおり,合格者数は1,525人であり,昨年の合格者数から18人減少しております。合格点につきましては,短答式試験の得点と論文式試験の得点による総合評価の総合点1,575点満点中805点以上であり,昨年の合格点,これは800点でありましたが,から5点上がっております。合格率,これはいわゆる受験者数に対する合格者数の割合でありますけれども,この合格率につきましては,ここには記載されていませんが,今年は29.11%であり,昨年の25.86%から3.25ポイント上がっております。また,1-(2)-エに記載されていますとおり,司法試験受験回数につきましては,1回目の受験で合格した者が862人と最も多く,合格者全体の半数を超えております。
 次に,同じ資料の2ページ目を御覧ください。得点の状況は,2-(1)のとおりであり,平均点は790.17点と昨年より9.43点上がっております。3ページから14ページまでは総合点の得点分布,論文式試験の合計点及び科目別の得点分布を示した表を参考資料として添付しております。また,15ページから18ページまでは,法科大学院別の受験結果を示した表を参考資料として添付しております。これらにつきましては,適宜御参照いただきたく存じます。
 そして,この資料1-1の最後の19ページには,平成30年司法試験受験状況(予備試験合格者)と題する資料があります。これは予備試験合格資格に基づく受験状況についてまとめたものであります。予備試験合格資格に基づく受験者数は433人で,うち336人が合格しており,合格率は77.60%であります。なお,資料への記載はございませんが,昨年との比較でありますけれども,受験者数は33人増,これは昨年の受験者数は400人でございました。受験者数は33人増,合格者数は46人増,これは昨年の合格者が290人でありましたので,それから46人増えていると。合格率は5.1%増,これは昨年の合格率が72.50%でありましたので,約5.1%増えているというふうになっております。
 次に,資料1-2を御覧ください。この資料1-2ですが,これは今年の司法試験受験者数や合格者数などにつき,性別や受験資格などの属性別にまとめた表であります。後ほど御参照いただきたく存じます。
 続いて,資料1-3を御覧ください。これは今年の司法試験における法科大学院別の結果を合格者数順に並べたものであります。一番下に予備試験合格者の枠も設けております。オレンジ色は合格者数が50人以上の法科大学院であり,これは合計8校となっております。
 続いて,資料1-4を御覧ください。これは法科大学院別の結果を合格者順に並べたものです。同じく一番下に予備試験合格者の枠も設けてあります。オレンジ色は合格率が全体の平均合格率であり,29.11%以上の法科大学院であり,これは合計10校というふうになっております。
 続いて,資料1-5を御覧ください。これは法科大学院ごとに各年の受験者数,合格者数,合格率を全体と既修・未修別に記載したものであります。今年のデータについては,この資料の最後のページにございますが,資料の最後のページを御覧いただけるでしょうか。この平成30年という欄の一番下の合計欄を見ていただきたいと思います。既修者の合格者数が833人,合格率が約33.19%,未修者の合格者は356人,合格率は約15.51%となっております。
 続きまして,資料1-6を御覧ください。これは法科大学院ごとの合格者数や合格率を修了年度別にまとめたものであります。修了者に占める合格者の割合の上位10校にグレーで色を付けてあります。この3ページ目,この3ページ目が,直近の平成29年度修了者の合格状況であります。ピンク色を付けた合格率50%以上の法科大学院は合計4校,緑色を付けた合格率10%以下の法科大学院は合計20校であります。そして,合格率10%以下の法科大学院のうち,合格者ゼロ人という法科大学院は合計18校となっております。
 続きまして,資料1-7を御覧ください。これは平成17年度から平成29年度までの各法科大学院の全修了者のうち,現行の司法試験を1回以上受験した受験者実数に対する司法試験の合格者数の割合を計算し,累計合格率順にまとめたものであります。全体の累計合格率は約52.72%となっております。
 続いて,資料1-8を御覧ください。これは予備試験合格資格に基づく司法試験受験者と合格者について,予備試験に合格した年ごとにまとめたものであります。
 続いて,資料1-9を御覧ください。これは予備試験合格資格に基づく司法試験合格者について,最終学歴別にまとめたものであります。
 続きまして,資料1-10を御覧ください。こちらの資料の1ページ目には,資料1-9の法科大学院別の最終合格者数の内訳を横に開いた形で,既修・未修別の人数とその中で更に法学部出身者と非法学部出身者の人数を記載しております。2ページ目,御覧いただきたいのですが,2ページ目は,資料1-9の下の方にありました法科大学院以外在学,法科大学院以外修了,大学(2年),大学(3年),大学(4年),大学卒業,大学中退の者につき,具体的な大学院名,大学名別の人数を追加した表であります。この表を見ていただければ,予備試験合格資格に基づく司法試験合格者のうち,例えば在学中であった者の大学別の人数が分かることと思います。
 資料1-11を御覧ください。これは予備試験合格資格に基づく平成30年司法試験合格者の平均年齢は28.72歳でありました。そして,その下の表は予備試験合格資格に基づく平成30年司法試験合格者の司法試験受験回数別の人数と予備試験合格年別の内訳をまとめたものであります。
 私からの説明は以上となります。

【井上座長】  
 はい,どうもありがとうございました。
 それでは,ただいま福原さんの御説明について,事務当局からも説明があるということです。

【大月専門職大学院室長】  
 資料1-12を御用意願います。法科大学院修了生の全体の司法試験受験率は約25%でございますけれども,先ほどの福原委員からの御説明にありましたように,修了直後に合格する方が一番多いということにはなっておりまして,そういうことを表した資料ではございます。資料のとおりに修了者(1年目)に限りますと,既修者・未修者コースを合わせまして,合格率は39.8%,既修コースに限れば48.7%,未修コースに限れば20%となっております。また,既修コースに限れば,平成27年度の推進会議決定で求められている累積合格率7割を修了3年目でほぼ達成していることが分かります。一方で,未修者コースは,修了5年目での累積合格率が46.9%にとどまり,既修者コース・未修者コース合わせた合格率は66%にとどまっているという状況でございます。
 2ページ目を御覧ください。1ページ目のデータを未修者コース,既修者コースについてそれぞれ法学部出身者,非法学部出身者で分けて比較したものでございます。赤色の点線となっているものについては,法学部出身者に限定した既修者コースの司法試験の受験率でございます。この層が,合格率が一番高いわけでございますが,修了(4年目),(5年目)での累積合格率は赤色で表している非法学部出身者の既修者コースの学生と合格率は同じでございます。一方で,未修者コースの方については,修了(1年目)は,法学部出身者の方が合格率は高くなっておりますけれども,2年目以降は非法学部出身者の方が,合格率が高くなっており,法学部出身者で未修者コースに入学されて修了される方が法科大学院修了者全体の司法試験受験率を下げていることが分かります。
 3ページ目の資料も,今申し上げたように,法学部出身者で既修者コースの者の司法試験受験率が最も高い。これはある意味非常に分かりやすい話でございますが,一方で,未修者コースについては,非法学部出身者でなくて,法学部出身者の合格率が低くなっているというものでございます。
 以上でございます。

【井上座長】  
 はい。ありがとうございました。
 それでは,お二人の御説明について,何か御質問等がございましたら。よろしいですか。それでは,御質問は特にないということのようですので,次に進ませていただきます。
 次に,法科大学院教育等の改善・充実について,前回に引き続いて御審議いただきたいと思います。前回までの意見交換等を踏まえて,事務局においてお手元の資料に法曹コースの制度設計等についてという文章がありますが,このとおり整理を行っていただいております。まずは,これについて事務当局の方から説明をお伺いしたいと思います。

【大月専門職大学院室長】  
 お手元に資料2と,また,資料2で大きく追加したような部分について,赤色にしている机上参考資料,また,法科大学院における新しい受験者選抜に関するイメージ図の机上配付資料を御参考いただきながら,聞いていただければと思います。
 資料2を御覧ください。法曹コースの制度設計等について(案)というものでございます。法曹コースの制度設計等について御審議いただいておりまして,事務局において,前回のものから,それをどう具体的に制度設計にするかということを加えたもの,若干御意見等を踏まえて修正したもの,また,従前,法曹コースの制度設計等についてということで限っておりました,5ページ以降でございますけれども,与党等の御意見,御議論も踏まえまして,法科大学院の定員規模等々について加えているものでございます。1ページ目から説明をさせていただきたいと思います。
 2ぽつの法曹コースの制度的位置付けというものが今回新たに加えさせていただいたものでございます。法曹コースは,法科大学院が,当該法科大学院において必要とされる法学の基礎的な学識を修得させることを目的とし,当該法科大学院における教育との円滑な接続に配慮した教育を行う課程として,法科大学院が認定するものとする。この手続を法令において規定することで検討しているところでございます。
 少し補足させていただきますと,これまで事務局から文部科学省が認定するようなスキームということを考えている旨御説明させていただいていたところでございますが,あり,法科大学院が認定をするというスキームをとるということで,最終調整を図っているところでございます。
 3の法曹コースに求められる事項,教育課程の,2つ目の丸でございますが,連携の前提として,法科大学院において,教育課程や当該教育課程を履修する上で求められる能力・資質を公表するとともに,法曹コースを置き,又は置こうとする法学部に対して必要な協力を行うことが必要であるということ。自大学で法学部,法科大学院を持っているのであれば,法科大学院と連携をして,法学部に法曹コースを置くことはさほど,非常に困難ということではないのかなという一方で,法科大学院を持っていない大学等においては,なかなか難しいような面もあるというような御意見も多数頂いていて,そのように認識しているところもございますので,法科大学院において,このようなことを公表することを求め,また,法曹コースを置こうとするところに必要な協力を求めると,必要な協力を行うように法令で規定する方向で検討しているところでございます。
 2ページ目でございますけれども,一番上の法科大学院の法律基本科目に相当する科目等について,法科大学院の既修者コースへの進学に必要な学識を培うことができる充実した教育を行うことということで,少しだけ補足させていただきますと,法科大学院の法律基本科目に相当する科目である7項目については,開設することを必須として,連携先の法科大学院既修者コースでの学修に円滑に接続するため十分な範囲(当該法科大学院と協議して定める)の履修を求めることとするとしております。
 その下の厳格な成績評価の部分でございますが,本特別委員会でも多数の御意見を頂戴しているところでございます。丸2の部分でございますが,前回と大きく変えたわけではございませんけれども,当省内部でも調整をして,法曹コースだけ特段に成績評価基準が厳しいというのは,法曹コースに在籍していることをもって成績評価を厳しくするというのは相当ではなくて,法曹コースの学生がとるような科目について丁寧にその能力,資質等を判定するようなことは期待されるというような意味で記載しているところでございます。
 その下でございますけれども,1つ飛ばしまして,希望する学生が3年次終了までに必要な単位を修得し,早期卒業・飛び入学をすることが促進されるよう,教育課程編成上の配慮や適切な学習指導の実施等の教育上の配慮を行うことでございますが,早期卒業・飛び入学の可否については,早期卒業であれば法学部,飛び入学であれば受け入れる法学部が定める基準に基づき判断すべき事項であるが,それらが適切に促進されるために適切な配慮が求められるということを記載しているところでございます。
 続きまして,3ページ目の(2)の質保証の2つ目の丸部分でございますが,法曹コース出身者の司法試験受験率を厳正に評価するというところでございますが,「3+2」の対象者以外も含めるべきではないかという御意見を踏まえて,このような形で修正しているところでございます。
 続きまして,その下の4の法曹コースの設置の効果ということで,1つ,「3+2」の促進ということで,法曹コースの学生について「3+2」が促進されるよう,制度的な手当てを含めて必要な措置を講じるということでございます。この「3+2」の考え方については,これまでもかなりいろんな御意見等頂いておりまして,それらを踏まえて文部科学省で法令等も含めて整理を行ったものでございます。その考え方が丸でございますが,法曹コースについては,3年次終了までに必要な単位を修得できる教育課程を編成するよう配慮が求められ,学生はその課程を厳格な成績評価を経て終えることになるため,当該学生は,連携先の法科大学院の既修者コースへの進学に必要な学識を培うことができた者として,学部に4年間在籍することを要せずに既修者コースへの進学が可能となると。早期卒業の要件を満たせば,3年間で学士の学位を取得することができるということでございます。要するに,法曹コースに在籍していることをもって早期卒業というのが自動的に容易(たやす)くなるというのではなくて,しっかりとした教育課程が編成される法曹コースにおいては,しっかりと学修ができるということで,「3+2」が促進されるということを説明しているものでございます。
 4ページ目で,そのために制度的な手当てとして,以下の措置を講ずるということでございます。法曹コースからの特別選抜において,法令上しっかり規定をしていくということ,法曹コースでしっかり学修をしたことをもって,それをしっかり評価をしていただいて,学部3年終了して法科大学院の既修者コースに入学できるようになるということでございます。飛び入学の可否を法曹コースの学生が連携先の法科大学院で科目等を履修した単位の成績や,いわゆる既修者認定試験の成績等も含めて判断できるよう,学校教育法など関連規定を改正するということとしています。これも,要すれば,これまでの飛び入学というのは学部の成績のみを判断材料とするということで法令上規制しておりましたけれども,法科大学院に関しましては,御案内のとおりに,3年の未修者コースがあって,既修者については1年修了年限を減らして2年となるというような制度的な措置がなされており,既修者認定試験を活用して飛び入学の判断材料として活用できると。そのような形での関連規定を改正するということとしているところでございます。
 続きまして,(2)の法科大学院との接続でございます。一番下のその他の部分で繰り返しになりますが,特別選抜は法令上明確に位置付け,連携関係にある法曹コースの学生に対して特別選抜を行うことを必須とするということ。ただ,法曹コースと法科大学院に関する机上配付資料の緑色部分を御覧いただければと思いますけれども,必ずしも連携先でない法科大学院,連携をしていない法曹コースからの学生も特別選抜の対象となり得ることから,法曹コースとして指定されているような課程が一覧できるような方策について,事務局において検討するとしているところでございます。
 続きまして,(3)の教育課程の部分でございます。入学前に法科大学院で修得した単位を入学後の修得単位とみなすことができる上限,法学既修者について,法科大学院の単位を修得したものとみなすことができる上限,これがそれぞれ30単位で,合わせても30単位で,一定程度緩和するということでございますが,この下の説明部分について,少し表現等の適正化を図っているところでございます。
 続きまして,その他の部分でございます。法科大学院の定員規模ということでございます。(1)の現状でございますが,平成27年6月の政府の推進会議決定において,法曹人口について1,500人程度は輩出されるよう,必要な取組をするとされて,各法科大学院において修了者のうち相当程度,おおむね7割が司法試験に合格できるよう充実した教育が行われることを目指すとされました。
 この決定を踏まえ,本委員会の前身である法科大学院特別委員会において,累積合格率7割の達成を前提に1,500人の合格者輩出のために必要な定員の試算として,当面2,500人程度が法科大学院の定員規模として適正であると。そのために自主的な組織の見直しが求められるとされたところでございます。30年4月においての入学というのは2,330人になっているという現状でございます。
 6ページ目が今後の方針でございます。法科大学院が法曹養成の中核機関として今後も存続していくためには,やはり一定程度の規模,この2,300人程度の規模は必要であるにもかかわらず,現状は入学定員が,入学充足率が7割程度となっているところでございまして,制度を安定化させるために一定の期間において,入学定員,平成30年度2,300,大まかに書いていますが,2,330人を総定員の上限として定めて,文部科学大臣と法務大臣が法科大学院の定員について協議する仕組みを創設するようなこと,また,法科大学院の収容定員の増については認可事項とする,このような法令改正等を行うことを検討しているところでございます。
 続きまして,法科大学院カリキュラムの更なる体系化というところでございます。現状,法科大学院のカリキュラムについては,文部科学省の告示において開設すべき科目群が規定されて,各科目群の単位数の目安については認証評価基準で規定されており,法律基本科目等については,各コア・カリキュラムというものが定められているところでございます。
 一方で,各科目・各科目群の間の関係について,明文上の規定はないというような状況で,今回法曹コースというものを法科大学院が認定できるようにしていくと。法学部法曹コースと法科大学院が連携を図っていくということで,法曹コースにおいての教育の充実等が期待されているところでございますが,法科大学院についても,先ほどの司法試験の結果等から見て,やはりまだまだ改善を要するところがかなりあるということで,カリキュラムの更なる体系化を図っていきたいということでございます。
 続きまして,法学未修者・社会人,地方への配慮等でございますが,これはこれまで議論していただいたことを記載させていただいているところでございます。法曹コース等を法科大学院が認定するスキームを設けるに当たって,関係する法令を改正する方向であると説明をさせていただいているところでございますが,それに合わせて,法科大学院への入学者選抜については,多様性確保のため,未修者・社会人への適切な配慮を求めるというようなことを規定することを考えているところでございます。本年の3月には告示で3割以上このような未修者・社会人をとるという告示については,廃止をしたところでございますが,やはりそういう方をしっかり適切に評価をしてしかるべき方を入学させていくということは当然求められるということは,何度も説明していたとおりでございまして,法曹コース等についての規定を設ける際に,これらについても規定を設けたいということでございます。
 また,こちらは,法令の規定では関係ございませんが,前回御説明して御了解いただいたとおりに,来年度から共通到達度確認試験を法科大学院協会等が実施主体となって行っていくと,それに向けて文部科学省も協力をしていくということをしているところでございます。この関係では,この共通到達度確認試験を活用して未修者教育の改善・充実を行う大学についてはしっかり支援していきたいと考えているところでございます。また,本年3月の特別委員会の基本的な方向性を踏まえて,優れた未修者教育の実例等を体系化するための調査研究を今,日弁連法務研究財団に実施を始めていただいているところでございます。
 地方における法曹の確保に関しまして,地方大学を始め,法科大学院を設置していない大学が他大学の法科大学院と連携して法曹コースを行うことを促進するということ。また,法科大学院の特別選抜というのを法令上規定でしっかり設けるということから,地方大学枠を設けることを認めるとあえて特記しておりますが,これまでも一般の選抜において,地方大学枠を設けているようなところはあって,それも含めて認めるということでございます。また,加算プログラムにおいて,引き続き,法科大学院の地域ごとの適正配置に配慮できるようにしていきたいと。で,法科大学院間の連携・連合の取組の支援をしていくということを,しっかりそのあたりを評価していくということを考えているということでございます。
 最後でございますが,制度の開始時期については,これまで前回からの説明と変わっておりませんけれども,平成32年度からの適用を念頭に調整をしていきたいというものでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。

【井上座長】  
 ありがとうございました。
 意見交換に入った頂く前に,ただいまの事務局からの説明につきまして,事実関係等で不明な点があれば御質問をお願いしたいと思います。

【杉山委員】  
 よろしいですか。

【井上座長】  
 はい,どうぞ。

【杉山委員】  
 4ページ末尾の開放性の理念のところで,自大学コースと他大学の出身者について異なる取扱いをしないことを「原則」とありますが,例外的に認められるのは,どのようなケースを想定されて,この文言になっているのでしょうか。

【井上座長】  
 どうぞ。

【大月専門職大学院室長】  
 この点につきまして,基本的にはこの取扱いをしないというのがもう大原則であるというふうには考えているところでございますが,こういう今回この大きな方針を打ち出すに当たって,今後具体的に各大学が検討を行っていくという中において,ちょっと具体的な例として,いい例がなかなか思い浮かばないですけれども,そういうようなことも考えられ得ることから,そういう認められ得る余地を少し残しているというようなものでございます。

【井上座長】  
 それでよろしいですか。

【杉山委員】 
 でき得れば,今回の方策の中に例外例示を入れていただきたいですが,仕方がないですね。

【井上座長】 
 恐らくこの狙っている趣旨に反しないで合理的な根拠があるような例外が仮に出てきたらという,恐らくそういうことですよね。合理的な説明がつかなければ例外は認められないということに,恐らくこの文章でなるのだと思います。まあ,まだ今の段階ではちょっとですね。

【杉山委員】 
 はい。

【大月専門職大学院室長】 
 御質問に正面に答えるものではございませんが,やはり自大学においては,法学部と法科大学院を持っているところにおいては,法学部法曹コースを作りやすいというようなところはあるという中で,一方で,法科大学院を持っていないようなところが法曹コースを作るに当たっては,他大学の法科大学院と連携を図ることが必要であるという中で,全くこの例外を認めないとなかなか協議というのが進まないということもあるということから,このような形にしているところでございます。自大学においては,法学部,法科大学院,一体となって運営しているところもありますし,全く別々で運営されているところもある,ただ,別々で運営されているところにおいても,やはり自大学と他大学では大きく異なるというところがあるという実情の中で,やはりしっかり他大学との連携という形での法曹コースというものが作られるように,このような形で例外的な余地を少し残しているというものでございます。
 以上でございます。

【井上座長】 
 ほかに御質問はございませんか。どうぞ,片山さん。

【片山委員】 
 2ページの一番上,法律基本科目の7科目の開設を必須とするという点の理解ですけれども,7科目について,とりあえず科目を置けばよいということなのか,それとも,法曹養成コースとしての別の科目を設置しなければならないのかという点と,それから,現時点でも未修コースでは,例えば行政法を教えていないというロースクールがあるかと思いますが,その点からしますと,7科目を必ずしも必須としなくてもいいのではないかと思われますが,とりあえず科目は置いて,柔軟な履修を認めるという趣旨であるのか,そのあたりを再度確認させていただければと思います。

【井上座長】 
 ちょっと御質問がよく分からなかったのですが,前半部はこのコースに特別に7科目を置かないといけないのか,それとも,既設のものでもいいのかということですかね。後半は,7つとにかく置かないといけないとして,今度は法科大学院との接続のところで何か考慮する余地があるのか,こういうことですよね。

【片山委員】 
 はい。

【井上座長】 
 どうぞ。

【大月専門職大学院室長】 
 憲法,行政法,民法等々についても,法曹コースにおいて,全く他の学部生とは異なる授業を特別に設けるようなところもあるというふうに認識しておりますが,一方で,分けずにやるようなところについても認めるというふうに考えているところで,この7科目については,法曹コース用に特別に置かなければいけないというものではないけれども,開設は必須とするということでございます。法科大学院の一部において,7科目の学修を必須としていないと,既修者コースへの入学に当たって7科目の学修を必須としていないところがあるというのは承知しておりますので,例えばでございますが,今,お話しあった行政法ということであるんであれば,そういうような場合には法科大学院に接続するに当たっては,法曹コースの学生について行政法を必修としなくてもよいということでございます。

【井上座長】 
 どうぞ,瀬領さん。

【瀬領委員】 
 3ページ目の「3+2」の促進のところで,1つ目の白丸と次のアスタリスクの早期卒業の要件との関係について確認させてください。ここで言う早期卒業の要件というのは,現時点で,何か特定のものが想定されているのかどうかということです。今のこの文章を読むと,上の白丸で一応能力基準として,知識的には既修者コースへの進学に必要な学識は培っていることがあると読めます。それに加えて,プラスアルファの要件として,早期卒業の要件があって,プラスアルファを満たさないと,学位が取得できないというように読めます。そうすると,この要件が何なのかということが少し疑問になるので,そういう理解でいいのかどうなのかということと,この要件に関して,今,一定のものがあるのであればお教えいただきたいということです。

【井上座長】 
 どうぞ。

【大月専門職大学院室長】 
 先ほどの片山委員からこの御質問の関係でございますけれども,先ほど申し上げたような法曹コースの認定をするスキームを法令上に位置付けることを検討する中で,やはり法曹コース独自の法学部の科目を必ずしも設ける必要はないというお話はそのとおりでございますが,ただ,これまでどおりでよいということではないだろうと。やはりしっかりその法曹コースの目的を果たしてもらう必要があるだろうということは,事務局内部等ではそういうような議論になっているところでございます。最終的にはそういうことがしっかりなされるように国としてガイドラインの整備等も含めてやらないといけないわけでございますが,法科大学院が認定をするスキームをとるということでございます。
 今の瀬領委員の御質問に関しまして,ちょっと正確に理解できなかったところはございますけれども,早期卒業の場合は,法学部,学部においてしっかり基準を定めていただくということでございます。法科大学院が認定した法曹コースを作れば,法曹コースの学生については,それだけで「3+2」が早期卒業を認めると,早期卒業がやりやすくなるということではなくて,しっかりとした学修が3年間で組めるようなカリキュラムになっているということから,意欲ある学生は3年間で早期卒業がなされることが増えていくという論理構成であるということを説明したものでございます。

【井上座長】 
 よろしいですか。

【瀬領委員】 
 あとは意見になりますので,また。

【井上座長】 
 はい。意見はこの後。御質問はほかに。はい,どうぞ,日吉さん。

【日吉委員】 
 6ページの未修者コースについて,ちょっと1つ質問があります。このペーパーは,今年,平成30年度の集中改革期間のある種集大成と位置付けられるドキュメントだというふうに理解しております。で,「3+2」を可能にする仕組みの設置については,相当具体的なところまで段取りもできて,そして,平成32年からの適用を念頭に調整するとなっているわけですが,未修者コースに関しては,ここを読めば分かるように,共通到達度確認試験をスタートするということ以外は,これからと言っていいか,未修者教育の実例等をまず調査研究することから始めて,ある種少し時期的には遅れる形で教育の改善というのを今後図っていくという書きぶりになっていると思うのですが,いわゆるタイムライン的な要素としては,この未修者コースの改善に関しては,文科省ではどういう考え方で現時点,いらっしゃるのかというのをちょっと聞いておきたいと思います。

【井上座長】 
 どうぞ。

【大月専門職大学院室長】 
 未修者コースに関しましては,今,お話ありましたように,共通到達度確認試験を行うと。また,調査研究を現在やっているということが大きな柱となるということでございます。ただ,各法科大学院の未修者教育の取組を促すような加算プログラムの仕組みもございますので,それに応じて幾つかの大学からはそのような提案も頂いているところでございます。また,法曹コース等に関しまして,法令上の規定を整備するに当たりまして,この法科大学院の入学者選抜において,未修者・社会人というのが適正に評価されて,しかるべき方はしっかり入学できるようにしていただくということを考えているところでございます。
 なかなか今後の具体的なタイムスケジュールということを何か想定している何か具体的なものがあるわけではございませんが,正に非常に大事な話でありますので,やれることについてやっていきたいと考えているところでございます。

【井上座長】 
 御質問,このぐらいで。

【木村委員】 
 すいません。

【井上座長】 
 じゃあ,御質問は木村さんまでということで,あとは,質問は適宜意見交換の中でまたやっていただければと。どうぞ。

【木村委員】 
 ありがとうございます。6ページの2の(1),(2)の関係ですけれども,更なる体系化ということがあって,かなり体系化,現在されているように思うのですが,各科目群の間の関係等というと,例えば民事系科目と公法系科目の関係みたいなことを指しているのか,あるいは更なる体系化というのはどんなことを意味しているのかって,ちょっとよく分からなかったので,教えていただければと思います。

【井上座長】 
 どうぞ。

【大月専門職大学院室長】 
 法科大学院に関しては,制度創設当初はかなりいろんな形のものが始まって,それに関して問題点もあったということで,コア・カリキュラム等が整備されたというふうに認識して,それを踏まえて,かなりもう体系化されていると認識しているところでございます。ただ,大学院制度であるので,そうあるべきではありますけれども,かなり法科大学院によって科目間の配列等々について,また,2年,法科大学院の3年次の前半までに法律基本科目を終えているようなところとか,3年次最後までで基本科目についてもやっていくというようなところも含めて,様々あるというふうに認識しておりまして,各大学の多様性というのは損ねてはいけないとは思いますけれども,また必ずしも法科大学院というのは司法試験合格率だけを求めるものではないといいながらも,やはり合格率というのが非常に大きな問題となっている中で,そういうようなことも含めて,法曹コースということで,しっかり法学部においてしっかりと教育を行うような体制を整えるに当たって,法科大学院においても改めてしっかりとしたカリキュラムの在り方について検討する必要があるのではないかということでこのような記載はさせていただいているところでございます。

【井上座長】 
 よろしいですか。

【木村委員】 
 ありがとうございます。

【井上座長】 
 それでは,意見交換に入りたいと思います。意見交換は,このペーパーを大きくローマ数字の1,2,3になっていて,3は実施時期で実質では必ずしもないと思いますので,1と2及び1,2を踏まえた全体についてと,この2段階で御意見を承るのがいいかなと思っていますので,まず,大きな1,法曹コースの制度設計,これについて御議論いただければと思います。どなたか,どうぞ。

【松下委員】 
 マイクが入ってない。

【井上座長】 
 すいません。もう一回言いますか。
 意見交換をしていただくわけですけれども,このペーパーでローマ数字1,2,3になっておりまして,3は実施時期,開始時期ということですので,中身があるものとしては,1と2ですが,この2つを分けて,1についてまず御議論いただき,2とともにもう一度全体について御議論いただくと,こういう2段階で意見交換を行っていただきたいと思います。それで,1について御意見のある方は御発言を願います。今度は聞こえましたよね。どうぞ,どなたからでも。

【瀬領委員】 
 じゃ,先ほどのつながりで。

【井上座長】 
 どうぞ,瀬領さん。

【瀬領委員】 
 先ほどの御説明だと,早期卒業自体の要件に関しては,各法学部の方で法曹コース修了に適した基準を設置するということで承りました。これについては,GPAとか,いろいろな基準があると思いますが,現在同志社大学で運用している制度では,法科大学院入試の受験と合格を早期卒業の運用上の要件としております。法曹コースの早期卒業の要件については,各校が設定するということが認められていることは望ましいと理解するのですが,本学の現在のようなものも含めて,そういうような理解でいいのかどうなのかということを確認したいと思います。
 もし法科大学院受験や合格を要件とすることを早期卒業の要件とすることが認められないとすると,法曹コースを修了,法科大学院への進学の手順を全く踏まずに企業に就職することもあり得ます。その場合,そもそも法科大学院に進学する意思はなく,法曹になる意思もない学生でも,学部の早期修了のみを目的として企業への就職や公務員になることを目的として法曹コースを履修することも出てくる。そうなると法曹コースの種子とは異なる履修学生が出てくるのではないかと思います。このようなことを考えると,今提示されている案では,法曹志望者を対象とし法曹コースを設置することに鑑み,法科大学院を受験し合格するというような,法科大学院の受験プロセスを一定の要件にするのかどうなのかということが明確になっていないと感じております。
 現時点では,早期卒業制度の制度設計自身がまだ明示されていませんので,できれば,先に申し上げたようなことも含めて,法曹コース向けの早期卒業制度の制度設計ものを明示する必要があるのではないかと思います。
 また,今申し上げた法科大学院の受験や合格を要件化するとした場合には,考えねばならない運用上の問題点もあると思われます。自校の法科大学院の受験や合格についての情報は簡単に得ることができます。しかし,法曹コースの早期卒業は,全国すべての法科大学院の受験もできますので,自校ではない連携先でもないロースクールの受験関係の情報を,どの時点でどういうふうに取得するのかというのは問題になると思います。
 学部にとっては,早期卒業を認めてよいかという卒業判定が極めて重要であり,早期卒業の要件の中に,例えばロースクールの受験とか,合格というのが組み込まれるとすると,そこも含めて情報収集をするということも考えないといけなくなります。そういう制度を作らないといけないことになるので,この早期卒業の要件というものを制度設計としてどういうふうに考えるのかということを早期に明示する必要があるのではないかと思います。
 時間的には2019年度の段階で2019年度の入学生に法曹コースの要件を明示するとすれば,制度設計を各学部でする場合のデッドラインがきておりまして,早期卒業の制度がどうなのかということも,制度概要に含まれますので,その点も含めて早い段階でそれを示す必要があるのではないかと思います。

【井上座長】 
 ちょっと伺っていてよく分からなかったのですけど,その法科大学院を受験させて合格すれば,早期卒業を認めるということですけど,その受験する法科大学院の入試というのは一般の……。

【瀬領委員】 
 現在,同志社では一般ですけれども,この制度ができて……。

【井上座長】 
 いや,外,早期卒業対象者だけじゃなくって,法科大学院にそもそも入ってこようとする人,対象の入学試験と同じ試験を受けるわけ?

【瀬領委員】 
 そうですね。

【井上座長】 
 ですよね。それはすぐ合格発表するのではないですか。

【瀬領委員】 
 しますね。はい。

【井上座長】 
 そうすると,情報というのはそこで合格したかどうかは分かるように,伺っていたのですけど。

【瀬領委員】 
 内部であれば,それはできますけれども。

【井上座長】 
 内部じゃなくて,外へ発表するでしょう,入学試験は。

【瀬領委員】 
 はい。そうすると,それを各学部でそれぞれ情報収集するということになるのか,あるいは受験……。

【井上座長】 
 発表しないのですか,社会に向かって。

【瀬領委員】 
 いや,それは発表すると思いますけれども……。

【井上座長】 
 いや,やっているわけですよね。

【瀬領委員】 
 はい。

【井上座長】 
 それは開示された,合格したかどうかは開示された情報なので,それは,とれるように思うのですけど,成績の中身までということなんですか。

【瀬領委員】 
 もちろん。ということじゃなくて,合格が条件とすれば,合格したかどうかという。

【井上座長】 
 合格したかどうかは,いや,ちょっとこだわるようですけど,社会に向かって発表しちゃっているじゃないですか。入学試験の合格発表ってあるわけですよね。

【瀬領委員】 
 もちろん,そうですね。

【井上座長】 
 例えば9月にやれば,ずっと発表しないわけじゃないでしょう。そこがよく分からなかったですけど。

【岩村委員】  
 すいません,横から口挟んで。普通合格した人には各大学がそれぞれ合格通知を出すのではないかと思いますので,それは別に御本人に合格したかどうか,通知を出せと言えば,それだけのことなんじゃないかという気がしてね。

【井上座長】 
 そうですよね。そこがちょっとよく分からなかったのと,もう一つ,入学を条件にするということはできないと思うのですよね。

【瀬領委員】 
 私もそれはそう思います。

【井上座長】 
 だって,卒業しないと。

【瀬領委員】 
 と思います。はい。

【井上座長】 
 卒業したことを一つの基礎要件として入学を認めるわけなので,そこが論理矛盾になると思うのです

【瀬領委員】 
 ええ。入学を要件とすることは,私もできないと思います。そのような点について,どういうふうに考えるのかということを明示した方がよいのではないかということですね。
 今おっしゃっていただいたように,合格通知を持参するという形で処理するということであれば,それはそれでよいと思います。そういう取扱いを明確にすることによって,各法科大学院がどのタイミングでどういうふうに合格通知を出せるのかということg,早期卒業候補者については決まってくると思うのですよね。

【井上座長】 
 ちょっと分かんないですけど,私の印象ではそういう制度をとっているのは同志社だけじゃないですか。

【瀬領委員】 
 他校のことは存じ上げないところなので,その点は,そうなのかもしれません。

【井上座長】 
 まあ,そういうことを現在やっておられるところもあるので,そういうことが可能かどうかも含めて,要件を早期に明確にした方がいいと,こういう御意見ということですね。

【瀬領委員】 
 はい,そうです。

【井上座長】 
 すいません。はい。

【大月専門職大学院室長】 
 1点よろしいでしょうか。

【井上座長】 
 どうぞ。

【大月専門職大学院室長】 
 今,座長がお話しされたように,また,瀬領委員もそうだと,そのように思うとおっしゃったように,このお話はいろんなところでお話合いを伺っておりまして,その都度答えはしておるんですが,早期卒業というのは,あくまでも学部の成績を優秀な成績で単位を修得した者であるということなので,それで企業に行かれる方というものを排除するものではないですし,法曹コースができたとしても,排除はできないだろうなと思っております。
 今,多くの大学院なのか,一部なのか,自大学の大学院に合格することを早期卒業の条件とされているところがかなりあります。それについてやはり今後は早期卒業等をしっかり進めていこうという中で,自大学の大学院に合格したというのはやはり適当ではないだろうなと思っております。ただ,大学の御判断でどこかの大学院に合格したということを条件とするのは,早期卒業の趣旨からしてはどうかなという部分はあるものの,その点について絶対駄目だとするのかどうかは,ちょっと事務局において検討させていただきたいなと思っております。

【井上座長】 
 ほかに。どうぞ,中島さん。

【中島委員】 
 関連してなんですけれども,中央大学も自大学だけではなくて,やはり内外,日本国外も含めてなんですけれども,大学院の進学を条件にしているのですね。やはりあくまでも学部学士課程は原則4年であるというところで制度設計をしていまして,今回この法曹コースの「3+2」をより制度化する中で,では,例えば研究者志望であるとか,ほかのトラックと同じ扱いにするのかどうするのかというのが実は論点になってきております。そういったところで,この「3+2」の制度のために,今,瀬領委員がおっしゃったような形である種要件化をされますと,より根本的な議論を巻き起こすことにもなりかねないので,そこはむしろ各大学の判断に委ねていただいた方が本質論としても,それから,今,やや時間的に切迫している中で実施に向けて動き出すという実態面からしても,そこはちょっと大学の裁量に任せていただいた方がよいのではないかなというふうに私は考えます。

【井上座長】 
 大月さんの趣旨は多分これ,制度の根本に関わるので,それがそういうことが可能かどうかということを議論して詰めてみたいと,こういうことですよね。進学したということを早期卒業の要件にされているという趣旨になるわけですよね。進学前に卒業したということじゃないですか。

【中島委員】 
 すいません。ちょっと今,手元に手続の詳細がないので,若干曖昧な記憶で申し上げておりますけれども,中央大学はかなり厳格にしています。つまり,基本的には学部を早期卒業して大学院に進学し,ある種学業を継続するっていうことで極めて例外的に運用してきたものですから,今回これに合わせて,ロースクール進学についてはよいにしても,じゃあ,他大学進学者と区別,差別的な扱いをするのが適切なのかどうかというような議論に波及,当然するわけです。そういう事情からすると,ここまで立ち入ったところで縛りをかけられると,率直に言って困る,非常に困るなというところです。

【井上座長】 
 お困りになるという事情はよく分かりますが,多分基本的な法令解釈,基準の解釈,そういうことにも関わってくるので,多分詰めてみたいというのが事務当局の多分お答えだと思うんですね。はい,どうぞ。

【瀬領委員】 
 もし,そういうふうな形で新しい,現行の早期卒業と全く外れちゃう,特殊な制度を作って,かつ法令解釈が必要になると,やっぱり法令ができないとなかなかその制度設計が難しいというところがあると思います。それがない状態で内外にそういう制度を作るといったときに,説明が極めて難しいので,もしそういう制度が考えられるのであれば,早く法令の概要,あるいはスケジュールなどを示していただかないと,なかなか内部的に言うと,大学本部等の関係で説明するというようなことについても,極めて難しいことになると思いますので,もし今,中島さんがおっしゃったものとは違う,あるいは今,我々が運営しているのと違う特殊な,特別な制度を作るのであれば,早期の情報開示をお願いします。

【井上座長】 
 その御事情はよく分かるのですけども,ここでの議論というのは,一歩一歩積み重ねていかないといけないので,そこに先走ることはできないんですよね。ですから,大本としてこういう方針を認めるということにした場合に,できるだけ早期にそこのところを詰めて,それで明確な形で示していただくと,そういう順序に恐らくなるのかと思います,議論としてはですね。
 ほかに,どうぞ。

【大貫委員】 
 今の瀬領委員の発言を聞いて簡単に申し上げると,早期卒業・飛び入学の可否については,2ページに書いてあるように各大学が定める基準に基づき早期卒業を認めるかどうかを適切に判断すべきで,これは法令改正で対応するとか,そういう話じゃ全くありません瀬領委員のが指摘されている問題は,早期卒業を認めるかどうかを判定するときに,大学院に進学することを要件とすることが法令にそもそも違反しないかという話だと思います。そこは大月さんが検討するということになるのだと思います。そこはちょっと区別された方がいいのではないかというふうに感想を持ちました。

【井上座長】 
 ほかに御意見,ございますか。

【杉山委員】 
 よろしいですか。

【井上座長】 
 どうぞ。

【杉山委員】 
 企業側の立場からすると,正直なところ,卒業に値するだけの優秀な成績を残したということであれば,それを上の学校へ行かないから早期卒業から排除するというのはないだろうなということで,御検討のときの参考までに意見として申し上げます。

【井上座長】 
 はい。ほかにいかがですか。1について,更に御発言はございませんでしょうか。どうぞ,髙橋さん。

【髙橋委員】 
 すいません。ちょっと教えていただきたいことになってしまうのですけれども,資料中の「飛び入学」というのは,いわゆる「3+2」で法曹コースを得た者についても飛び入学を想定しているのでしょうか。通常,飛び入学というのは,学部の方では卒業は認めないけれども,法科大学院の方で入学を認めるというパターンになると思いますので,そうすると,法曹コースの修了は認めるけれども,学部の卒業は認めないという類型の学生を想定して,そういった学生についても推薦入試の対象にすると,そういうお話なのかどうなのかということを伺いたいのですが。

【井上座長】 
 どうぞ,大月さん。

【大月専門職大学院室長】 
 これまで御議論いただいていたとおりに,法学部の法曹コースと法科大学院が連携を図って,法曹コースでしっかり学修をしたならば,その成績を評価して法科大学院でのこれまでどおりの論文式試験を必ずしも受けることなく,既修者コースに進学できるようにするというのが一つの基本系かと考えておりますけれども,例えばある法学部に学生が入学したけれども,結果的にある法科大学院に進学したいのだと。ただ,その法曹コースと法科大学院に関しては,連携がなされていないというような場合に,飛び入学という形で現在も行われておりますけれども,飛び入学という形で進学される方も,希望される方もいらっしゃるでしょうから,そういう道というのはしっかり確保されるのも一つではないかなということで,飛び入学に関しまして,必ずしも大学関係者の方々の理解も正確ではないですけども,飛び入学に関しても,これまでは早期卒業と同様に学部の成績が優秀か否か,で,早期卒業の場合は,4年間の単位を早期優秀で取っている場合は早期卒業に3年間でもなり得ると。で,飛び入学の場合は3年間の時点で3年分の単位を優秀な成績で取っていれば,飛び入学の対象となり得ると。ただ,飛び入学に関しては学位が与えられないわけでありますので,結果的に法科大学院が認める要素として,学部の成績以外も認めてよいのではないかなということで,例で挙がっているのが既修者認定試験でしっかり成績をとれれば,それも考慮して,飛び入学で学生を受け入れるということを認める方向を考えているということでございます。

【井上座長】 
 よろしいですか。

【髙橋委員】 
 はい。

【杉山委員】 
 もう1点だけいいですか。

【井上座長】 
 どうぞ。

【杉山委員】 
 ごめんなさい。先ほどの4ページの開放性のところで,これは選抜の評価において差を付けてはいけないということで,例えば自大学の法学部から自大学のロースクールに行く者についての学費の援助とか,そういうことで差を付けるのはオーケーと考えていいですか。

【井上座長】 
 どうぞ。

【大月専門職大学院室長】 
 学費の関係で申し上げれば,かなり今,法科大学院側はいろいろなことをやられてはおりますけれども,法科大学院側が自大学にある大学だから,ある意味,自大学だから奨学金を認めるというのはやはり適当ではないのかなと。ただ,逆に学部側が自大学の法科大学院に行くのであれば,学部側として出すということであれば,それは認められ得るものなのかなというふうには考えております。

【杉山委員】 
 選抜においてに限るとすると,学費は選抜における話ではないと思うので,縛るのなら,何かもう少し分かりやすくしていただけないか,今の書きぶりだと,学費は対象に入らないように読めます。

【大月専門職大学院室長】 
 基本的に,表現をもっと詰めなきゃいけないところはあるかなと思うのですが,学費のことを考えて書いているわけでは全くありません。
 今の法科大学院入学者選抜において,A大学の法学部の成績とB大学の法学部の成績,見かけ上は全く同じでも,過去の経験から見て,それはA大学の方はGPAが3.0でも非常に優秀だと。B大学は3.0でもというのはあると,それはそれで認められ得るというふうに当然考えておりますけれども,ここで書いている部分について,やはり自大学だから信用できるから何か特別なことというのは,認めないわけでございますけれども,他大学と連携はしたいけども,他大学については逆にちょっと何かを課すとか,そういうことを認められ得る余地があるのかどうかというような趣旨で書いているところではございます。

【井上座長】 
 さっきの杉山さんの御発言は,多分入学者選抜の問題じゃなくて,奨学金とか,学費の扱いの公平性の確保ということだと思うのですね。

【杉山委員】 
 はい。

【井上座長】 
 ですから,ここの,この文章の範囲は出るのですけど,学費とか,奨学金の出し方それ自体について不適切になるのではないかという,そういう趣旨だと思うのですね。

【杉山委員】 
 ありがとうございます。

【井上座長】 
 1について,更に御発言がなければ,2の方に移りたいと思いますが,また戻ってくるつもりなのですけど,じゃあ,1について,樫見さん,これ,1については,とりあえず最後にしていただきたいと思います。

【樫見委員】 
 4ページのところで,これは確認なのですが,特別選抜の規模感というところの,各法科大学院の定員の5割,これは全体定員ということでよろしいわけですね。特別選抜枠については,図で見ますと,法科大学院の既修者コースにのみ行く図になっているのですけれども,これは全体定員ということで理解してよろしいわけですね。
 それともう1点は,枠は定員の5割ですけれども,実入学者の2分の1を超えないこととする。超えた場合に超えた学生の処理は後,どうなるのでしょうか。資格といいますか。もちろんとんでもないことは考えていらっしゃらないとは思うのですが。

【井上座長】 
 それはちょっと答えてもらいましょう。はい,どうぞ。

【大月専門職大学院室長】 
 2点御質問,御指摘があったかと思いますが,前者については,定員というのは,既修者コースではなくて,全体という意味でございます。
 もう一つ,2分の1を超えた場合,どうしても入学者選抜でございますので,予想以上に優秀な学生が来た,またその歩留りもなかなか読めないというようなところで,このあたりどこまでどういう形で求めるかというのは,更に詰めないといけないというふうに認識しているところでございます。

【井上座長】 
 それでは,次に移ってよろしいですか。また,次の2のところでこの1も含めて御意見を伺いたいと思っていますので,2の方にちょっと重点を移していきたいと思います。2,その他のところについて御意見を,そっちに重点を置いて,1にまたがっても結構ですので,御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

【木村委員】 
 よろしいでしょうか。

【井上座長】 
 どうぞ。

【木村委員】 
 6ページ目の一番上の今後の方針と書かれているところですけれども,入学定員,現在が2,330人で,それを2,300人にするということのようですけれども,このことの意味ですね。今,現状がこうなのにわざわざこういうふうに打ち出すことにどういう意味があるのかというのがよく分からないということと,あとは,法務大臣と文科大臣の協議する仕組みということで,法務省の方々の御意見も聞かないと決められないということに今後なるのかと。そうすると,ロースクールの方の定員については,こうやって法務省も含めて議論して決めるということですけど,そうすると,例えば,じゃあ,予備の人数も文科省と法務省で協議して決めるというような枠組みがあり得るのかと。なので,何のためにこれが定められていて,しかも,法務省が関与するということの意味についてちょっと教えていただきたいと思います。

【井上座長】 
 どうぞ。

【大月専門職大学院室長】 
 この入学定員の関係につきましては,その前の5ページの下に書いているところで,もともとの法科大学院の制度設計として,基準を満たす者には広く参入を認めて,法科大学院同士が質の向上の競争を図っていくのだという形でありましたけれども,非常に短期間の間に多くの法科大学院ができて,中にはやはり求められているようなものができなかったところもあり,また,急に司法試験の合格率が想定よりも低いということで,志願者が急激に減っていって,その関係で募集停止ということをせざるを得なかったような法科大学院があったというふうな中で,平成27年11月に本特別委員会の前身の特別委員会において,一つの目安として2,500人というものを定めたんだけれども,それ以上に結果的に志願者の減というのが止まらなくて,入学定員が2,330人になって,来年度について今,調査中でございますが,若干募集停止をしたようなところもございますので,減る見込みであるという中で,やはり文部科学省として,政府として,法科大学院を中核とする法曹養成制度というのが今後とも維持されるためには,一定程度の入学定員は必要であろうということで,この平成30年度という一つの基準を上限として定めて,これを一つの目標として,この中で優秀な方が法科大学院に進学をして法曹を目指そうというふうに思っていただこうと,制度の安定化を目指してやっていくということでございます。
 法務大臣の関与については,法曹養成制度全体を所管するのは法務大臣でありますので,法務大臣,文部科学大臣,また,法科大学院の入学定員については,司法試験の合格者数というのはやはり一定程度考慮すべき要素でございますので,両大臣が協議するような仕組みを創設したいというふうに考えているところでございます。
 また,恐らく木村委員がおっしゃっているのは,今,入学定員が,充足率が7割程度であるのに,なぜあえて設ける必要があるんだということであるとは思いますけれども,やはりこういうような法曹コースというものを設置して,もともと法曹を目指そうとする人,必ずしも法曹を目指さないけども,しっかりと法律基本科目等に相当する科目を勉強したい人を引き付けて,法科大学院進学者を増やそうとする中で一つの基準を設けるのが適当ではないかということで,こういうことを考えているということでございます。

【片山委員】 
 すいません。関連してよろしいですか。

【井上座長】 
 どうぞ。片山さん。

【片山委員】 
 今の点に関連してということですが,(2)で丸1,丸2,丸3については,丸1のみが一定の期間においてということになっておりますが,これは丸2も丸3にもそれが係ると理解をしてよろしいのでしょうか。それと,ロースクールの開設以来,約15年が経過しておりますが,その一定期間というのがどのぐらいを想定されているのか,10年ぐらいをお考えでしょうか。そのあたりも御意見をお伺いできればと存じます。

【井上座長】 
 どうぞ。

【大月専門職大学院室長】 
 この一定期間というのは,丸1だけを指していて,丸2,丸3というのは一定期間ではなくて,丸2,丸3というのは,基本的に恒久的な形を考えているということでございます。一定の期間,こういうような形,法令上定める場合には5年とか,10年というのが一つの目安だろうなと思っているところでございます。司法試験の合格者数について,今後,どのような,あくまでもその受験者数,受験者の学力等を見て御判断されるというふうに聞いているところでございますが,司法試験の合格者が,法科大学院等の志願者が回復されて,しっかり勉強して増えていくような状況となってくるのであれば,この入学定員については増やすという形で,文科大臣,法務大臣が協議をすることを考えているところでございます。この一定の期間というのは,5年とか,10年であろうかなと思っていますが,なかなか5年間でそれぐらい司法試験の合格者が1,800人にしてもいいなというような形になるのは難しいのかなと思っておるので,5年というよりは10年という形になっていくのかな。
 こちら,最後のところは,文部科学省の事務方としての希望ではございますが,10年後には司法試験の合格者数がもっと輩出しようということになって,定員についてはもっと増やしていこうということになるのが望ましいのではないかなと考えておるところでございます。

【片山委員】 
 ありがとうございました。

【井上座長】 
 ほかに御意見ございますでしょうか。どうぞ,長谷部さん。

【長谷部委員】 
 今の関連で5ページ目のところからですけれど,黒いダイヤマークの中の2つ目なのですが,平成27年11月開催の本委員会の前身の委員会での議論ということで,本日頂きましたこの参考資料の法科大学院改革の取組状況等についてのところの3ページ目のところにちょうど入学定員の推移というのが書いてあるのですけれども,平成19年のピーク時の5,825人に比べると激減してきているという,そういう状況で,もちろん問題がある法科大学院が閉校していったというような事情もありますけれども,それにしても,この定員がこれまでと同じペースでどんどん減っていってしまうと,1,500人の合格者を確保することさえ難しくなるのではないかという,そういう認識のもとに2,500人程度はなければという,そういう基準だったように私は理解しているのですけれども。
 それから,この議論の中で,司法試験合格者をある程度確保できるためという,そういう議論があったわけですけれど,昨今の法科大学院の状況を見ますと,例えば企業などでも法科大学院の修了者に是非来てもらいたいというような需要もあるようでありますし,それから,地方自治体の職員である地方公務員などでも,法科大学院修了者を採用してくれると,そういうところも出てきておりまして,また,裁判所事務官なども在学中に受かっているような人もおりますので,司法試験に合格するために法科大学院に来るという人ばかりではないという,それ以外のキャリアを目指している人もおられるわけなので,合格率,合格者数ということを確保するための2,500というのとはまた前提が違ってきているのかなと思うのですけど,そこを考慮しないで,2,300程度で上限というのはいかがなのかなというように思いました。
 以上です。

【井上座長】 
 まあ,事務方は答えにくいと思うのですけど,2,500のときも実員とはかなり差があって,それ自体について批判がなかったわけじゃないんですよね。もとはもっと大きくて,実員はこうなっているじゃないかと,この差が大き過ぎて,定員設定は適正なのかという,そういう御批判もかなり強かったので,それを見ながら2,500ぐらいに下げようと。下げて,それを確保できるように努力しましょうと,こういうことだったのですが,その差というのが埋まってないわけですよね。
 今の長谷部さんのお言葉ですけれども,社会にいろいろ,狭い意味の法曹だけじゃなくて,いろんなところで採用していただいて活躍している人が増えてきているのですが,それを含めてもやっぱり入学者が1,700なんですよね。これを恐らく対社会的にはこのままでいいのかということは一応検討しないといけないので,そうすると,定員どのぐらいの規模感でいいのかと。極端に言うと,1,500に限りなく近づけようと,こういう声もあるのだろうと思うのですけど,それは今,長谷部さんがおっしゃってくださったように,我々の認識としては,それを下げるとまたどんどんきりもみ状態で落ちていくと。だから,あるところで支えないといけないと。その支える数がどのくらいでいいのかと。そういう問題だと思うのですよね。
 で,この辺は事務方及び法務省とも協議されたのかもしれませんが,現時点での規模感とし2,300ぐらいを上限と,とりあえずすると。事務方の希望としては,増えてきてほしいなと。法務省は増えてほしいと思っているかどうかは分かりませんけど,増えてきてほしいなと,優秀な人がね。そういうぐらいの数字だという,そういうことなんでしょう。私なりにちょっと,大月さんちょっと,大貫さんじゃなくて,大月さんはちょっと答えにくいと思うので,私の理解を申しました。
 以上です。どうぞ。

【土井委員】 
 私からは,2点で,1点目は今の点ですけれど,基本的に法科大学院の統廃合を強力に推し進めてきた面がございます。それはやはり幾ら社会の各方面に人材を出すとしても,当初の定員と司法試験の合格者数との格差が余りに多く,その結果として,法科大学院に対する社会の信頼を損なってきた面があるので,統廃合を進めてきたというのは,それはそのとおりだと思うのですね。
 その際に,競争倍率の基準とか,いろんなものを使いながらここまでやってきたわけです。しかし,今回この法曹コースを作くろうとしているのは,そういう基準で対応するのではなくて,法学部の協力を得ながら優秀な人材をしっかりコースの中で確保していこうという方向にかじを切るという形になったと思うのですね。そうすると,逆に,例えば法曹コースをこういう形で整備していったときに,今まで使ってきた競争倍率基準をそのまま使うのが適当か,という話が出てくる。そうすると,いつまでも2倍だとか,3倍だとか,そんなことを言っているよりは,しっかり学部で既修者については教育をしていこう,必ずしも競争倍率が高くなくてもそういう人材をとっていくのだという方向に動いてきているのだと思います。ただそういう基準が外れていくことになると,やはり大枠としてどれぐらいが適正規模なのかということを確定しながら,このコースを設置するのにふさわしい選抜基準を作っていく必要があるということだと思いますので,これはこういう方向がこのシステムには適合的なんじゃないかなと思います。
 それから,もう1点は,今まで御意見の中にあった,瀬領委員や,中島委員からも出てきた点ですけれども,時間の問題があって,この法曹コースを円滑に実施していこう,実現していこうということになると,当然時間的にどういう進め方をしないといけないかという話になってきていると思うのですね。私自身は,今回この(案)のペーパーを見せていただいて,今まで我々が議論してきたことをかなり反映して,書いていただいていると思うんです。その意味では,この委員会で全て詳細を詰めるわけにはいかないわけですので,大筋こういう方向でいいのではないかということになれば,そろそろ次のステップといいますか,認証評価基準とか,いろいろな次の検討が待っているわけですので,そちらの方に委ねていかないと,大学現場でこれを担当する人は本当に大変なことになってくるんじゃないかなと思います。私自身は,今日の御議論とか,この(案)とかを拝見させていただいた限りでは,そろそろそういう時期なんじゃないのかなと。私としては,もうそろそろこの方向でまとめていっていただければなと,そういう感想を持ちます。
 以上です。

【井上座長】 
 今の締めくくりのような御発言を頂いて,座長としては非常に有り難いですけども,御不満も残るかもしれませんので,御発言があれば,今のうちに御発言を。はい,どうぞ,日吉さん。

【日吉委員】 
 先ほど質問した点はちょっとリンクするのですけれども,いつも私の発言は,未修者コースの話になってしまうので,恐縮なのですが,6ページのこの3の(1)未修者コースについてです。先ほどもちらっと申し上げましたとおり,集中改革期間の様々な改革のプランというのは,このペーパーにありますとおり,主に既修者の教育の改善と。その結論としては,法曹コースの設置と法曹コースに設置によって「3+2」を可能にする,言ってみれば,誤解を恐れずに言えば,ファーストトラックを入れることによって一つの目玉を作るということをやったと。もうこれは今,土井委員がおっしゃったように,もうあとは実現をしていくしかないというぐらいにある種議論が成熟していると思います。
 他方,先ほどから申し上げているとおり,未修者コースについてはなかなか取り組む問題が非常に難しいということも当然あるのでしょうけれども,共通到達度確認試験を本格的にやりましょうという具体的なプランがあるほかは,とりあえずうまくいっているところの調査研究をしましょうというところで,端緒についたばかりという感じがいたします。
 そこで,先ほども文科省の大月室長の方からも,この点については非常に重要な点なのでというふうに言っていただいて,非常にうれしかったですけれども,今後,既修者コースはもうあと実現,今,決めたことを実現していく。でも,未修者コースはこれからだ。今後どういうふうにやっていくのかいうことを,このその他のところで1,2と見ていきますと,一応今後の方針みたいなことで,今後のある種ワークスケジュールというか,目指すところみたいなものがきちんと記載されているわけですけれども,未修者コースの教育の充実に関しては,最後のところにちょこちょこっと追加されているという程度でとどまっているというところがちょっとやや寂しい。できれば,もう少しこれからは未修者コースの教育の充実だと。じゃあ,どうやっていくのか,何をやっていくのかというようなところについて,もう少しフィーチャーしていただくというか,書き込んでいただいて,当然この中教審もやがて次期にバトンタッチしていかなければいけないわけですけども,この次期の委員の方々にもメッセージとして残していっていただきたい。これは私の願いであり,コメントです。

【井上座長】 
 おっしゃることはそのとおりで,私などももうずっと未修者教育についてはどうすればいいのかというふうに,もう何期にもわたって考えてきたわけですけれども,なかなか具体的な案が出ないというので,今回は従来のように,そういうふうにまた同じことを続けていただくというよりは,もっと突っ込んで具体的な提案ができるような形の調査研究を,スピード感をもってやっていただくということで,決して文科省も先送りしただけではないと思います。
 で,その趣旨をこの文章に反映させるかどうかは分かりませんけれども,3の3番目の(1)の黒いひし形の3番目のところで調査研究と。法科大学院のもっと上のカリキュラムの更なる体系化のところにも当然つながってくると思うのですよね,ここで一定の成果が出ればこれをできるだけ早急に生産的な議論をして,具体的な改善に結び付けていくということは,我々が全て押しなべて望んでいるところだと思いますので,今の御意見を踏まえて,ちょっとこれ自体をどういじるのか分からないですけれども,次期には必ず,日吉さんはまたやるかもしれませんので,自分の首を絞めるかもしれませんが,分かりません。次期のことまでは私,知りませんので,ちょっと強いメッセージをこの文章自体に盛り込むかどうかは別として,当然最優先事項としてやっていただくということになろうかと思うのですよね。それは座長としての感想ですけど。
 更に付け加えて御意見がなければ……。もちろん今,じゃあ,大沢さんと,もし御意見あれば,あともうお1人,2人にしたいと思います。樫見さんですね。じゃあ,大沢さん。

【大沢委員】 
 私も,今の日吉委員のおっしゃったことは非常に大事なんじゃないかなと思っております。私の感覚だと,今回の改革は,法曹コースを作って,それで既修者の方で優秀な人を予備試験に流れることなく,法科大学院でしっかり学んでいただくためにやっていくということとしてやっているのと同時に,やはり未修者の方でいろいろな経験を持った他学部,あるいは社会人として様々な経験を持った方が法曹に来るという道をやっぱりしっかり太くしていくということは,ここは両輪なのだろうなと思ってやってきました。
 ただ,やはり議論のウエートというか,時間的な配分というのはね,やはり法曹コースの方が大きかったのかなと思いまして,そういったことがこういった結果,まとめ方になっていると思うのですけれども,やはりこれを一般の人が見たときに,じゃあ,未修者コースの対策って何なのかなと思うと,おっしゃったように,共通到達度確認試験をしっかりしますよというところが具体的なのですけれども,この意味というのは,結局,未修1年目から2年目に上がるときに,やっぱりこの人はその後進めていって法曹になるだけの資質があるかどうかというのをそこで見極めて,逆に言えば,ここでちょっと無理だったなという人にとっては早めに別の道に行ってもらいましょうという,そういうことが一番この共通到達度確認試験を使うということの意味なんじゃないかと,そういう意味合いが大きいのだと思うのですね。
 そうすると,じゃあ,未修者の人たちがこれからチャレンジしようと思ったときに,どういう体制があるのかなって見たときに,あれ,何もないなというふうに見られかねないということはあると思うのですね。ですから,こういった専門家の方々はこれまでずっと継続して御意見もあって,また,次期の委員会に引き継がれるということは分かるかもしれませんけれども,一般の人とか,これから法曹を目指そうという人にこれがどう映るかという,そういうことはやっぱり私たちは考えていかなきゃいけないと思うので,そこら辺は丁寧に,特に今,正に調査研究をやっているので,その調査研究をこういうふうに生かしていくと。そういったことを少し具体的に示していくということが必要なのではないかなというふうに感じました。
 以上です。

【井上座長】 
 思い付きですが,さっきのあのひし形のところの文言にそういう趣旨を盛り込めるかどうかはちょっと検討させていただきたいと思うのですけれども,具体的にこうということまではまだ言えないのだろうと思います。ただ,それを積極的にスピード感をもってやって,積極的に生かしていくというようなことは,趣旨は盛り込めるかもしれません。その辺,どういうことができるかっていうのを,ちょっと事務局と私の方にお預けいただければと思います。
 樫見さん。

【樫見委員】 
 土井委員のおっしゃったこと,非常に賛成で,今,学部の方でこの法曹コースの制度設計をやっておりますので,そうしますと,もう次年度の入学者に対して学内の規定を整備しなければいけないと。学部,もうほとんど時間切れの状況になっておりますので,やはり速やかに,恐らくこの方向が後退することはないと思いますので,ここでほぼこの方針でいきますという形で確定していただければ,安心して学部の方にも方針案を示すことができるというのが1点です。
 それから,もう1点は,未修者コースのこともありますけれども,先ほど長谷部委員がおっしゃったことなのですが,法科大学院の入学者,例えば他学部であるとか,社会人が入ってきたときに,現在,法曹の道だけではなくて,法律を学ぶことによって別の職域を目指すということもあろうかと思いますので,そういった志望者も視野に入れた方向性を示していただけると有り難いかなと思います。
 以上です。

【井上座長】 
 はい。大変お2人から有り難いお言葉を頂きましたので,ちょっとこの辺で私の方から提案させていただきますかね。
 この法曹コースの制度設計等については,これまでの議論を踏まえて,大筋はこの文章,大枠としてですね。皆さんの合意が,あるいは了承が得られたのではないかというふうに私としては理解させていただきたいと思います。
 その上で,今,樫見さんも言ってくださったように,あるいは皆様から御要望があったように,できるだけ早く,もうちょっと具体的な姿が見えるような形の検討を早急に進めていきたいと思っております。そういうことで,御了承が得られたということでよろしいでしょうか。
 それでは,今後は,この法曹コース制度の詳細や法科大学院カリキュラムの更なる体系化の具体的な検討点について,引き続き議論を続けていきたいと思います。
 この件についてはこのぐらいにさせていただきたいと思いますが,関連して何か御発言があれば,どうぞ,丸島委員。

【丸島委員】 
 本日の直接の議題ではありませんが,関連する事項ということで,少し意見を申し上げたいと思います。
 現在,法科大学院の修了から司法試験を経て司法修習の開始までの間,約8か月の期間があります。いわゆるギャップタームの問題といわれていますが,このギャップタームの解消を巡って,近時各所で議論がされているということを伺っております。この問題は,法曹養成課程全体の時間的,経済的負担を軽減して,法曹志願者を回復するための環境整備を図る上での課題の一つであるということで,これまでも議論されたことではあり,改めて現在,集中改革期間において検討がされるということについては,理解できるところではあります。しかし,他方で,この問題は同時に,法科大学院教育の在り方に深く関わる事項でありまして,法科大学院教育の充実に大きな支障を及ぼさないよう,現場の実情を踏まえて広く知恵を出し合い,あるいは工夫をするなど,様々な検討が重要であろうと思います。
 法科大学院教育の観点から見ますと,法科大学院在学中の早い時期から受験競争を更に過熱させて,実務教育に好ましくない影響を与えることがないようにしなければならないということがまず1つの点。2つ目には,今,論じられました未修者教育の充実を進めていこうというときに,その妨げとならないような配慮が必要であるということであります。3つ目には,また,既修者についても,それぞれの資質や能力,あるいは地域的なことを含めてその置かれた環境などは多様なものがありますので,そのことへの配慮が必要であるだろうと思います。そして,4つ目に,法科大学院在学中の司法試験受験ということになりますと,司法試験の在り方自体についても考える必要があるということだろうと思います。
 いずれにしましても,法曹養成教育の在り方に深く関わるこのような論点について,中教審のこの委員会を始め,関係者の皆様の意見を十分に聞き,それらを踏まえて検討されますように強く希望しておきたいと思います。
 また,最後に,関係者においては新しい法曹養成制度の理念と現実のギャップに大変苦労しながら,ここまで様々な取組をしてきたわけでありますが,今この時期にその思いを一つに集めてそれぞれの知恵や力を出し合って協力していかなければならない,そのことが大切であるということを申し上げて,関係各省にはよろしくお願いしたいと思います。

【井上座長】 
 じゃ,大貫さん。

【大貫委員】 
 大変重要な問題提起を賜りました。丸島委員がおっしゃるように,司法試験の在学中受験を認める制度変更というのは,法科大学院教育に甚大な影響を与えます。教育現場に,ここには法科大学院で教えていらっしゃる先生も数多くいらっしゃいますけど,教育現場に携わる者から申し上げますと,法科大学院は現在いろいろな問題を抱えています。その問題にうまく対処し,さらに,法科大学院教育の良さを伸ばしていくためには,関係者がそれぞれ十分に知恵を絞らなければいけないと思っております。
 今後,在学中受験の制度設計がなされるということであれば,法務省及び関係機関におかれては,教育現場への影響に十分配慮していただいて,適切な制度設計をしていただきたいというふうに,法科大学院教育の現場に携わっている者としては考えている次第です。

【井上座長】 
 福原さん,何か発言されますか。

【福原委員】 
 はい。法務省ですけれども,今朝方,某新聞に「法科大学院在学中に受験」という見出しが,記事が載っておりました。某紙と言ったのは,特定の新聞名を明らかにしますと,利することにも,ディスることにもなりかねないので,持って回った言い方ですが,某新聞という言い方をさせていただきます。
 この点につきまして,当省の考え方といいますか,現時点の状況をお話しできる範囲でお話をしておきたいと思います。
 まず,法務省は,平成27年の6月30日の法曹養成制度改革推進会議決定を踏まえて,これまで文部科学省と連携しまして,他の関係機関の協力も得ながら,多数の有為な人材が法曹を志望することに向けた様々な取組を進めてきたところであります。この正に某新聞に載りました在学中受験,いわゆるギャップタームの解消という点につきましては,そのような様々な取組に関連しまして,今年の7月の与党文科・法務合同部会で法曹志望者の経済的,時間的負担の更なる軽減を図るための方策として,法科大学院改革を前提として,法科大学院在学中受験の実現を含む司法試験制度の見直しを早期に行うべきとの指摘がなされているところでございます。
 その一方で,この点につきましては,今,丸島委員,あるいは大貫委員の方から出たように,様々な検討が必要であるということは法務省の方も十分認識をしております。また,現時点でこの法科大学院在学中受験の実現や,それに伴う制度的な措置等に関して具体的な方針を定めたということはございません。今後とも必要な検討を続けてまいりたいというふうに考えておりますし,その中ではもちろんこのギャップタームの解消がロースクール,法科大学院の教育やカリキュラムに大きな影響を与えるということは理解しておりますので,意見を聞きながら検討を進めてまいりたいと思っております。
 以上です。

【井上座長】 
 ありがとうございました。この件はこれでよろしいですか。
 それでは,本日予定した事項はこれで終了でございます。本日の会議はこれまでとします。
 次回の日程については,改めて事務局の方から皆様に御連絡を頂くということにしたいと思います。
 どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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