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法科大学院等特別委員会(第81回) 議事録

1.日時

平成29年7月20日(木曜日)17時00分~19時00分

2.場所

全日通労働組合大会議室(全日通霞ヶ関ビルディング8階)

3.議題

  1. 法科大学院等の教育の改善・充実について
  2. その他

4.議事録

【井上座長】
  ただいまから,第81回中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会を開催させていただきます。
 本日はこれまでの議論に引き続きまして,法科大学院教育の改善・充実方策について御審議いただきたいと考えております。本日も活発な御議論をお願いしたいと思います。
 議事に入る前に,事務局の方で異動がありましたので,事務局の方より紹介をお願いします。

【大月専門職大学院室長】
 はい。7月11日付けで高等教育局長の常盤豊が生涯学習政策局長に異動になり,後任に義本博司が着任しております。所用のため遅れてまいります。また,高等教育局担当大臣官房審議官,浅田和伸が,独立行政法人大学入試センターに異動となり,後任に瀧本寛が着任しております。
【瀧本大臣官房審議官】
 瀧本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

【大月専門職大学院室長】
 また,専門教育課長の浅野敦行が大臣官房文教施設企画部施設助成課長に異動となり,後任に松永賢誕が着任しております。

【松永専門教育課長】
 松永でございます。よろしくお願いいたします。

【井上座長】
 続きまして,事務局の方から本日の配付資料について確認をしていただきます。

【大月専門職大学院室長】
 議事次第を御覧ください。本日の配付資料は資料1から資料3,参考資料1から参考資料6となっております。不足等がございましたら,お気付きの際に事務局までお知らせ願います。
 以上でございます。

【井上座長】
 それでは,議事に入りたいと思います。
 これまで法科大学院教育の改善・充実については,様々な角度から様々な論点について議論をしていただきましたが,本日はその中でも,特に法学部と法科大学院の接続あるいは連携の在り方について御議論いただければと考えております。
 事務局の方で,これまで皆様から頂いた御意見を整理したまとめと,学部と法科大学院の接続の在り方に関する資料を用意してくださっていますので,まず,それについての説明をお伺いした上で,議論を始めたいと思います。
 では,説明をよろしくお願いします。

【大月専門職大学院室長】
 まず,お手元に資料1を御用意願います。
 本特別委員会の前回の開催は約2か月前になっておりまして,これまでの御議論をまた改めて思い出していただきますように,資料1に沿いまして,丁寧に御説明させていただきたいと思います。
 まず,1の法科大学院の目指すべき方向性ということで,グローバル化のさらなる進展やビジネスモデルの転換等を踏まえた我が国の成長を担う法曹・法律系人材を育成すべきということ,二つ目の丸として,プロセスとしての法曹養成制度により,質の高い法曹が多数養成,輩出されるよう,法科大学院について学生の資質・能力に応じた期間で法曹になることができる道を確保するなど,その制度改革を進めるべきと。また,その下でございますが,法科大学院教育のさらなる改善・充実に併せ,法曹志望者に対する学部段階における法学教育の在り方も含め,大学における法学教育全体の在り方を総合的に検討すべきということ,また,四つ目の丸でございますが,法学教育や司法試験合格率の状況を踏まえて,法科大学院教育と司法試験・司法修習との有機的な連携の在り方について,関係者における十分な議論を経た上で改革に着手すべきとあります。
 続きまして,個別の論点でございます。
 個別の論点としては大きく三つがございますけれども,まず,本日特に御議論いただきたい部分,法科大学院と法学部等との連携強化についてでございます。
 組織の在り方について,「現状」にありますとおり,法科大学院の制度の創設に当たっては,プロフェッションとしての法曹を養成するという役割に特化するため,独立性の確保が求められたことから,多くの法科大学院が独立研究科として設置され,現在に至っております。このことは,組織としての決定がスムーズになるなどのメリットがあった一方で,次のページでございますが,法学部等との連携がしにくいといった課題も生じているということであります。改善の方向性でございますが,法学部や法学研究科等との組織の一体化など,独立研究科以外の柔軟な組織形態の採用が可能であることを明確化してはどうかということとしております。
 また,(2)の時間的負担の軽減でございます。現状でございますけれども,早期卒業・飛び入学を利用して既修者コースへ入学する者は,平成29年度で47名となり,近年ずっと増加しておるところでございますが,入学者に対する割合は3%にとどまるという状況でございます。幾つかの大学では,法学部において法科大学院進学を念頭に置いたコース,法曹コースという形で以下説明させていただきますが,を設置しておりますけれども,その学修内容は大学によって様々であるという状況でございます。また,法科大学院の入学者選抜については,公平性,開放性,多様性が制度創設当初に強く求められたことから,自大学の学生を対象とした推薦入試等の導入については,各法科大学院において謙抑的な運用が行われている状況にございます。
 続きまして3ページ目でございます。これに対する改善の方向性といたしまして,法曹への志望が明確である学生に対しては,飛び入学・早期卒業の利用を前提に,法学部から法科大学院までの教育課程を一貫的に実施するなど,教育課程面での連携を強化すべきではないかということ。具体的には,法学部に法曹コースを設置することを奨励し,法学部教育と法科大学院の1年目の教育との関係を整理した上で,例えば一部を先行して法学部において履修することや,学部教育を改善して,全体として教育の充実を図るということも考えられるのではないかとしております。また,法学部に法曹コースを設置することとした場合,その制度的位置付けをどのように考えるべきかということでございます。その際には比較的小規模な大学や,法科大学院を設置しない大学に作られることができるように留意しつつ,検討が必要ではないかということ。また,その際には幅広い教養を身に付ける機会の確保や,学生の選択肢が固定化しないよう,例えばコースが2年次から開始されるのであれば,入ってから3年次,4年次で変更することが認められるよう,また逆に,3年次から法曹になろうという方が入ってこられるように留意するようなことが必要ではないかということでございます。また,学部に法曹コースが設置されたとしても,それが法科大学院の進学に結び付かなければ,この新たな改革の方向性について機能しないと考えられるために,一定程度推薦枠を設けるなどの対応が必要ではないかということであります。その際には,公平性・開放性・多様性といった理念を尊重しつつ,一貫的な教育の実施を可能とするために留意すべき事項はどのようなものがあるかということとしております。
 続きまして,4ページ目でございますが,地方における法曹養成の在り方というところでございます。現状でございますが,地方に立地する法科大学院の募集停止が相次ぎ,地方における法曹養成機能の再構築が必要な状況にあるということで,改善の方向性として,法科大学院が立地していない地域等の法学部においては,他大学の法科大学院と連携して法曹コースを設置することが考えられるのではないか。また,ICTを活用した教育の実施も考えられるけれども,その際の課題はどのようなものかとしております。
 続きまして,三つの大きな論点のうちの二つ目,未修者コース入学者に対する教育の在り方ということで,論点といたしましては,未修者コース入学者の約7割が法学部出身者となっているということを踏まえて,法学未修者の定義をどのように考えるか,また,法学未修者,純粋未修者の入学を前提とした現在の教育システムについてどのように考えるかとしております。現状でございますけれども,入学者に占める法学系課程以外の出身者,又は実務経験者の割合は約25%となっております。
 続きまして,5ページ目でございますけれども,そのうち法学未修者コース入学者567名の内訳でございますが,その中では法学系課程以外の出身者又は実務経験者は252人,約44%となっております。また,一つ飛ばしまして,平成28年3月末の修了者のうち,未修者コースの標準修業年限修了率は52.4%,未修者コース修了者の1年目の司法試験合格率は17.1%と,それに対して既修コースの修了者は45.3%ということから,未修者教育の難しさが数字上も浮き彫りになっているということであります。これに対して改善の方向性ということで,多様なバックグラウンドを有する多くの者が法科大学院への入学を志望し,未修者コースの入学者の多数を占めるようにするための方策はどのようなものがあるのか,それを検討する必要があるのではないかということとしております。
 2番目の教育方法の論点でございます。法学未修者(純粋未修者)については,法学部への学士編入学を促進することや,受入れ校を拠点化することなど,その在り方を検討することが必要ではないか。また,その下の丸でございますが,法学未修者コースの初年次教育において,法学部の授業を活用することも考えられるのではないかとしております。ただ,この点については簡単ではないという御指摘を頂いているところでございます。改善の方向性でございますが,法学部の法曹コースに純粋未修者の教育機能を持たせることで,法律基本科目に係る学修期間を実質的に長期化させることも考えられるのではないか。法学部に法曹コースを設置して,法律基本科目等の充実した教育を行ったならば,未修者について法科大学院の未修者コースに入っていただくのではなくて,法学部の法曹コース3年次に学士編入学をして,2年しっかり勉強していただいて,法科大学院の2年の既修者コースに入っていただくと。そうすると,標準修業年限3年の未修者コースよりは1年長くなるけれども,いい教育ができれば意味があるのではないかということでございます。
 その次,6ページ目の法学部教育の在り方についてでございます。論点といたしまして,法曹養成教育を充実させていく観点からは,法学部の役割について改めて検討を行う必要があるのではないか。その際,法科大学院の役割に変更はあるかということ,また,法曹志望の学生と法曹志望でない学生,それぞれに対してどのような教育を行うことが適当なのかということ,また,法学部生の一定数が法曹志望であること。昨年9月に法務省,文科省が行ったアンケート調査によれば,主要20大学の法学部の1年生から4年生のうち,約3割が法曹を志望している,したことがあるというような回答でありますので,その方々のモチベーションを維持する方策を検討する必要があるのではないかとしております。
 続きまして,資料2を御用意願います。先ほど法科大学院と法学部との連携強化について説明する中で,法曹コースの制度的位置付けをどのように考えるかということ,また,学部に法曹コースを設置したとしても,法科大学院への進学に結び付かなければ有効に機能しないと考えられるために,一定程度円滑に連携するために推薦枠を設けるなどの対応が必要ではないかということを触れさせていただきましたけれども,この点などについて補足するために用意させていただいたものでございます。背景の部分でございますが,こちら参考資料,先ほどの資料1で説明したことをまとめております。さらに三つ目の丸でございますが,現状においては,法学部において,法科大学院進学を念頭に置いた法曹コースの開始年次や学修内容が大学によって様々であり,当該コースを卒業しても,法科大学院進学後は他の学生と同様の教育を履修するような状況にあるということ,また,その上にありますけれども,このような形で接続を図ることができたら,法科大学院の入学者の質を確保する意味においても,意味のあるものであろうということであります。
 論点でございますけれども,一つ目でございますが,法学部の法曹コースの設置を奨励して法学部と法科大学院を通じた教育課程を編成する場合に,その教育課程の中で法学部における教育と法科大学院における教育の差異は何なのか,法学部でやる部分,法科大学院でやる部分を体系的に整理することができるのか。また,法学部において法曹志望者向けだけの授業を提供することは必要なのか,また,それは可能なのか。可能で必要とするならば,現在の教育資源の中でどこまでできるだろうかということをもう少し凝縮した形で,論点の1としてまとめているところでございます。
 続きまして,二つ目の論点でございますけれども,法学部は法曹養成以外にも,法律学や政治学を学修して民間企業や公務員,国際機関など,多様な分野で活躍できる人材の輩出機能も担っており,法曹コースの設置を奨励する際には,これらの機能も維持向上できるよう,対応を留意することが必要であるということを論点として記載しております。
 三つ目の論点として,法曹コースについて一定の質の確保が必要であり,どのような制度設計が考えられるかという旨を記載しております。この点については,その下の参考の部分で,職業実践力育成プログラムを紹介しております。これは職業に必要な実践的かつ専門的な能力を育成することを目的として,体系的に教育を行うものを文部科学大臣が認定するというスキームでありまして,訓練後の就職等の状況が相当以上のものであるならば,厚生労働省の教育訓練給付制度の対象となるというものでございます。ここで法曹コースを職業実践力育成プログラムとして位置付けるという意味ではなくて,法学部に法曹コースを設置する,設置を促進する場合に,職業実践力育成プログラムのように文部科学大臣の認定制度を新たに設けることが一案として考えられるという意味で,参考として載せているところでございます。
 また,その次のページの一つ目の丸にありますように,法曹コースの設置が法科大学院への進学に結び付くためには,一定程度の推薦枠を設けるなど,法科大学院における入学者選抜の在り方についても対応が必要ではないかとありますけれども,仮に推薦枠を設けるということであるならば,公平性・開放性・多様性といった理念がなし崩し的にならないためにも,大臣認定制度ということを設けることが一つの案として考えられるのではないかということでございます。
 また一方で,資料3,これまでの主な御意見をまとめたものを御覧ください。
 法学部と法科大学院との連携方策というところで,一つ目の丸は繰り返し話をしているように,法科大学院の推薦枠を一定程度設定可能とするべきだというようなことを書いている一方で,三つ目の丸でございますが,余り厳格な形での法曹コースの設置を求めるリジッドな形をするならば,小規模な大学では設置できないような可能性もあるので,履修モデルを示す等の対応にならざるを得ないのではないかという御意見も頂いているところでございます。
 長くなりましたが,事務局からの説明は以上でございます。

【井上座長】
 ありがとうございました。意見交換に入る前に,ただいまの説明について,何か不明な点,疑問に思われる点がありましたら,質問していただけますか。
 よろしいですか。全て御理解いただいたと理解して,意見交換に入ってよろしいですか。
 では,長谷部委員。

【長谷部委員】
 十分分かりましたかと念押しされますとちょっと分からないものですから,個別の論点の話ではなくて,全体の総論的部分なんですけれども,法科大学院の目指すべき方向性という,最初に出てくるところのグローバル化のさらなる進展や第4次産業革命によるビジネスモデルの転換等を踏まえたということなんですが,これは具体的には何を意味しているのかがちょっとよく分からなくて,あとの個別の論点でも,それに関連するところはちょっと見当たらないものですから,少し具体的に御説明いただければと思います。

【井上座長】
 大月室長,いかがですか。

【大月専門職大学院室長】
 これは前回もそのような御質問,御意見を頂いたところでございます。今後事務局において,これに対応するようなものについても,個別の論点としてお示しさせていただこうと思っておりますけれども,今書いているのは一般的な第4次産業革命とか,Society5.0とか,IoT,人工知能とか,そういうことを踏まえた上で今後我が国の成長を担う,成長を支える法曹,法律系人材を育成すべきという形での記述としているところでございます。司法制度改革審議会意見書では,グローバル化とか,国際化とか,そういう段階でありましたけれども,今の段階では更にこういうような視点も大事ではないかということで,書かせていただいております。

【井上座長】
 それを具体化して個々の論点にどう反映させるかというところは,まだ十分詰められていないというか,お示しする程度にまで至っていないし,ここでもまだそこの点について深く議論したわけではなく,一般的にはこういう視点を取り入れて,より積極的に向上を目指すべきではないかという御意見は,何人かの方からこれまで出たところです。それが総論的なところに,最初に出てくるので,ちょっと驚かれるかもしれませんが,そこに置かせていただいたということで,今後これから先のこの委員会で,個別の論点にどういう形で具現化するのかというような議論もさせていただければと考えております。
 そういうことでよろしいでしょうか。
 清原委員,どうぞ。

【清原委員】
 ありがとうございます。清原です。資料2で御説明いただきました,「法学部と法科大学院の教育課程の接続」についての論点の三つ目の丸についてでございます。
 法曹コースについては一定の教育の質を確保する必要があると同時に,推薦枠も,法科大学院であることによってより一貫性が保てるけれども,今まで求められてきた公平性・開放性・多様性との観点から,一定程度の推薦枠を設けるといってもなかなか難しい点もあるということです。そこで,この大学等における「職業実践力育成プログラム」,文部科学大臣が認定するものが有効性を持つのではないかといった御説明がございましたけれども,このあたりの考え方について,もう少し詳しく説明していただけると有り難いと思います。よろしくお願いします。

【大月専門職大学院室長】
 今,法曹コースというのは既に幾つかの大学でも設置されているということで,推奨していたらかなり様々な工夫でできていくということは期待されるわけでございますけれども,この資料にも書いておりますが,大学において様々設置をしているといっても,現状においては何の縛りもありませんし,様々な状況でございますので,質の確保を一定程度求めるということの観点からは,認定制度というふうなものを設けるのは一つあるかなということです。この大学等における職業実践力育成プログラムについて,参考資料で概要というものは書いているんですけれども,先ほど申し上げたように,この認定制度に位置付けようというものではなくて,このような認定制度みたいなものを設けることが考えられるということ。これは認定要件を御覧になっていただくと分かるんですが,何か科目をこれだけとりなさいというようなものではなくて,かなり大学の裁量に応じてプログラムを組むことができる。そういうものでも大臣認定制度ができているので,このような形であれば一つできるのかなということであります。ただ,もちろん大臣認定といっても,ある科目を設置することを法曹コースの認定要件とするようなことももちろん考えられるかと思います。ただ,なかなかそこまでするのは,前回の御意見などを伺うと難しいかなと思ったので,この認定制度であればかなり緩やかなものでも可能かなということと,あと更に補足させていただきますと,法学部と法科大学院,一体的に実質的に5年一貫とか,6年一貫のようになった場合に,本当に法学部で法曹コースを見据えた上でカリキュラムが組まれているのであれば,法学部での教育内容をチェックするような入試,一つは推薦入試などが考えられるわけでございます。やはりその場合に,ただ法曹コースを設置したらいいとなると,法科大学院創設のときの大きな理念,公平性・開放性・多様性というものが損なわれてしまう可能性があるので,そういう意味でも認定制度というのは,質の確保のみならず,入学者選抜などの在り方を少し変えるようなきっかけになり得るかなと思います。
 ただ一方で,先ほど最後,資料3で言及させていただきました,前回資料にもありましたけれども,様々な状況の大学があって,特に地方で小規模で,あと法科大学院が閉鎖されたようなところで,地方の法学部の法曹コースで学修していただいて,都市部の法科大学院で学修していただく道を残すのも大事ですので,そういうところが作れるようなことというのは,考慮する必要があるかなということでございます。
 長くなりましたが,以上でございます。

【清原委員】
 どうもありがとうございました。

【井上座長】
 今清原委員から御指摘のあった点は,大きな課題であることは確かで,法曹コースの質の維持と優秀な学生に法科大学院に進学してもらう仕組みにすることと,法科大学院入学者選抜の公平性・開放性・多様性の確保ということ,この一見対立するように見える要請をすり合わせて,合理的な制度を整備していかなければならないわけで,その点は今後,さらに詰めて議論していくことになろうかと思います。今,大月室長が触れられました大学における職業実践力育成プログラムの認定制度というのは,一つの参考として示していただいたもので,文科省がそのようにしたいとか,そちらの方向を採ることについて皆さんの意見が既に一致しているというものではないことは,もちろんです。
 また,公平性・開放性・多様性ということについても,いろいろなレベルで考える必要があり,こういうコースが作られるとしても,例えばそのコースの設置を仮に認定するとした場合の公平性というものと,そこに入る学生についての公平性というもの,さらにそれを受けて,法科大学院の方の入学者選抜の問題としての公平性・開放性の確保というものといったふうに,幾つかのレベルでそれを考えなければならないと思われます。その意味で,中身についてもまた,是非お知恵を出していただければと思います。

【清原委員】
 ありがとうございました。

【井上座長】
 どうぞ。片山委員。

【片山委員】
 2点ほど質問させていただきます。第1点は法曹養成について法科大学院と学部との連携を図っていくということが,一つはプロセスとしての法曹養成ということでは,連携法がございまして,法科大学院と司法試験と修習というプロセスについて,連携法がカバーしています。今回学部との連携ということをここで本格的に議論をするというときに,連携法の趣旨といいますか,連携法を場合によっては見直して,学部の法曹コースまで網をかぶせるという議論をしなければいけないのかどうかという点が気になりますので,まずその点を確認させていただければと思います。
 第2点は,全く別の点ですが,学士編入学を活用して純粋未修者の教育を学部で行うという提案がありましたが,学士入学という場合は,やはり2年間という期間を前提とするということになるのでしょうか。それとも,1年で学士入学で学士をとるということが,法令上可能なのかということを確認できればと思います。よろしくお願い申し上げます。

【大月専門職大学院室長】
 前者の,連携法の範囲に入ってくるのかということでありますが,これはそもそも法学部と法科大学院の連携について議論を開始したときから,事務局内でも議論はしましたが,深く議論ができておらずに,ただ本格的にやる,すごくリジッドな制度にするということになるのであれば検討する。本格的に対象となるのか,対象としない場合にはどういう整理をするのか。ただ対象にするのであれば,もともと法科大学院,司法試験,司法修習でプロセスとなっていますので,何か大きなことがないならば難しいのかなというのは今の状況でございます。また議論の進展も踏まえて,しっかり勉強していきたいと思っていますし,また連携法は文部科学省と法務省の共管でありますので,もちろん法務省さんと事前に十分すり合わせをさせていただかないといけないというのが前提でございます。

【井上座長】
 2番目の御質問は,学士入学した場合に1年修了は可能かということだったと思いますが。

【真保専門教育課専門官】
 学士入学の際の年数という部分については,特段法令等に定めはございません。そういった観点では,各大学の考え方の中で体系的な教育課程をしっかりと修めたというふうに言えるかどうかということがポイントになってくるものと思います。

【井上座長】
 恐らく,一旦入学してしまえば,他の学生と同じ立場になるので,早期修了とか飛び級といった制度の適用対象ともなるという捉え方も可能は可能ですよね。今真保専門官が言われたのは,そういった形式的なことではなく,実質的に見て十分な履修をしているかどうか,そこを果たして確保できるのかということに関わっている。そのような御趣旨ですよね。

【真保専門教育課専門官】
 おっしゃるとおりです。

【井上座長】
 恐らく,連携法によって何が担保され,何が義務付けられているかに,そこはかかってくるのだろうと思います。その一つの要は司法試験との結び付きで,司法試験と法科大学院教育とは連携が取れていることを必要とされているわけですが,法科大学院教育の前段階,あるいは一部の前倒しという意味で学部教育と連携するというものならば,矛盾を来さないように思われます。もう一つの要点は,連携法により,法科大学院の教育に実務家の方々も参画され,その協力のもとに教育が行われるということですが,この点では,そのスキームを学部まで伸ばしていくべき必然性はないとすれば,直接的に影響はないでしょうが,連携の在り方をどう考えるかによっては,その点でも影響が出るかもしれません。そういったところも含めて,詰まってきた段階で,関係する法務省も交え検討していただくことになるのだろうと思います。もう少し先の話でしょう。

【片山委員】
 先の話ですか。はい。

【井上座長】
 磯村委員,どうぞ。

【磯村委員】
 前回までの議論を活字でしか追っていませんので,ちょっと流れを読めていないところがあるかもしれませんが,今の片山委員からの御指摘に関係する問題で,法学部への学士編入学という点について,現在多くの大学は学士編入学ではなくて,他大学在学中の,例えば2年生が受験して3年生として編入するというような制度を設けていると思います。まず,そういうものが同時に考えられているのかどうかというのが一つ。それからもう一つ,ここで言われているイメージがちょっとよく分からないんですけれども,法学部への学士編入学を促進した結果として,そのあと,この編入学者は既修者として受験して法科大学院に入学するということになるのか,あるいは一定の属性を備えた未修者として,法科大学院に進学するときに何らかの特別の資格を与えられるのかというのがちょっと見えていなくて,もし既修者として入学するということであれば,制度としては別段特別のものではないという気がします。
 それからもう一つ,これに関係することで,これまで議論があったかどうか分からないんですけれども,従来法科大学院における授業科目,とりわけ法律基本科目については,少人数教育というのが重要なポイントとして言われてきました。法学部に学士入学して,例えば法律基本科目について,学部で行われている大講義授業を受講するということであるとすると,理念として本当にそれでいいのかという問題が残っているように思うんですけれども,その点について,もし今までに御議論があったのであれば,その御議論についても触れていただきたいと思います。また,そうでなければ,事務局として,何かお考えがあれば聞かせていただければと思います。

【井上座長】
 2点目につきましては,中身の議論に入ってから,御意見を含めて御発言いただいた方が良いように思います。
 1点目はいかがですか。

【大月専門職大学院室長】
 恐らく余りこれに対する反対の意見は出ておりませんけれども,これ以上どう進めるかという御意見も出ていない状況であると認識しております。ただ,一般的には私が申し上げたような,ほかの学部を卒業されて学士編入学するようなことをイメージして書かせていただいておりますけれども,委員がおっしゃるような,一般的に法学部で2年修了した方が3年入ることを否定しているものではないというふうに理解しております。

【井上座長】

 磯村委員,いかがですか。

【磯村委員】
 従来の法学未修者が,法科大学院における未修者コースではなくて,学部に入るというときの後の扱い方がどうなるかというのが,ちょっと分からないのですが。

【井上座長】
 それはいろいろな可能性があるでしょうが,今までの議論では,私の理解するところ,通常の法学部卒と同じになり,法科大学院には既修者として進学してくる。未修者コースに入るのではなく,法学部の課程を1年なり2年で修了して,法学士として法科大学院に進学してくるというイメージで,皆さんお話になってきたのではないかと思います。もちろん,この際,制度を大きく組み替えて異なった扱いにするという可能性もあるだろうとは思いますけれども。
 そういうことでよろしいですね。

【大月専門職大学院室長】
 はい。

【井上座長】
 御質問はこれぐらいでよろしいですか。
  それでは,これから意見交換に入り,さらに御質問があれば,その中で,適宜また御発言いただければと思います。最初に申し上げたとおり,今回は,特に資料2に示されている法学部と法科大学院の接続・連携について御意見を頂ければと思います。これまでこの点に関しては,主に法科大学院側に立った立場での御発言,御議論が多かったように思いますが,両者の間の効果的な接続ないし連携を図っていくためには,当然,法学部側の視点から考えてみることも重要です。委員の皆さんの多くは,法科大学院のみならず法学部での教育にも現に携わっておられ,あるいはこれまでに携わったことがおありだと思いますので,法学部側の観点に立った問題点の指摘や御提言などを含めて,積極的に御意見を頂ければと思います。
 それでは,どの点からでも結構ですので,どなたからか口火を切っていただければと思います。

【磯村委員】
 ちょっと違うところを申し上げてよろしいでしょうか。法学部の教育と,法科大学院の教育の連携・一貫性を図るという点に関するものなんですけれども,A大学の法学部を卒業してB大学の法科大学院に入学するという学生のパターンを,排除することはできないと思いますので,その場合に,B大学の法学部とB大学の法科大学院がカリキュラムを連携することによって,そのB大学の法学部生にとっては非常に効率的なカリキュラムになるけれども,A大学法学部のカリキュラムからすると,それはかなり先取りしたカリキュラムになってしまって,そこに途中から入っていくことが難しいことになるような事態を避ける必要があるのではないかという問題意識を持っています。実際にも,教える側の教員からすると,自己の大学の法学部生を見て,そのレベルを前提に法科大学院でも授業をするのは非常に効率的だと思うんですけれども,それをすると,そこまでのレベルに達していない他大学学部からの入学者がいる場合に,そのレベルについていけないというパターンも出てくると思います。学部と法科大学院の教育の一貫性を図るというときに考慮すべき論点として,そこをちょっと注意していただくといいのではないかと思います。

【井上座長】
 樫見委員。

【樫見委員】
 磯村委員のお話とちょっと重なるんですが,非常に素朴な質問で,今まで法科大学院の1年の未修者教育というふうに抽象的な文言で言っているんですけれども,各法科大学院1年の履修科目の内容ですね。つまり六法でも,例えば私どもの大学では,1年の段階では六法のうち民事訴訟法と,それから刑事訴訟法はやっていないんですね。これは2年に入れておりますし,それから1年の段階では,キャップ制の上限の枠内で,例えば六法以外に隣接,あるいは基礎法学群の科目でありますとか,そういうものを履修することもできるわけです。当然学部の方の法学部の履修科目と,それから法科大学院のところを連携するというときに,法科大学院の1年で学ぶ未修者の教育内容というのが,実はそんなにここではきちんと決まっていなくて,中身は大学によってかなりばらばらなのではないかと。そこら辺を少し,一応未修者の教育として,到達目標の問題もありますけれども,まず少なくとも実務的な科目は絶対入りません。恐らくどこもそうだと思うんですが,1年のときに,例えば六法は全部基礎が行われているのか,それとも場合によっては実体法のところだけなのか,そこら辺の共通項がある程度法科大学院によってばらつきがあるのであれば,その基準的なところを設けておかないと,じゃあそれを法学部でどれを代替するというか,学んでくればいいのかというところの共通的なところが出てこないのではないか。これ議論が進んでからの話かとは思うのですが,ごく素朴に未修者教育,未修者教育と言っているんですけれども,法科大学院でやっている未修者教育の基準といいますか,共通項的な内容というのは,余りここで議論されたことがないような気がするので,そこをやはり定めるというか,こういう科目でこの程度のものを未修者教育で今行っているというような共通のものを立てる必要はないのかという点でございます。

【潮見委員】
 樫見委員のおっしゃるのは,私はごもっともだと思いますが,ここで議論するときに未修者の教育を今後どういうふうに組み立てていくのかという話と,既修者について,法学部と法科大学院の教育をどう連携させるのかというのは,切り分けて考えておいた方が,話が混乱しないんじゃないかという感じがいたしました。特に先ほどの磯村委員の御質問ではありませんが,未修者で,学部で勉強した者が法科大学院に上がったときに,これを既修者として扱うということであれば余計に,まずは未修者をどうするかは,当然これは非常に重要な問題だと私は思っていますが,後回しなり,ちょっと切り分けた方が良いと思います。

【井上座長】
 そうですね。

【潮見委員】
 今日はどちらかというと法学部と法科大学院の連携で,まず法曹コースみたいなものをどういうふうに仕組んでいくのか,あるいはロースクールの教育の一部前倒しという,そういうたて付けというもので果たしてよいのかという形に集中した方がよろしいように思いまして,少し発言させていただきました。
 以上です。

【井上座長】
 今の点,性質の異なる論点であるということは確かで,そこは整理しないといけないですね。未修者についてはいろいろな組み方があり得て,磯村委員が発言された,まず法学部に入ってその課程を終えた上で,既修者としてロースクールに入ってきてもらう方が良いというアイデアもある一方,法科大学院の未修者コースの授業をより効果的・効率的にするために,法学部の授業と合同で実施するとか有機的な連携をとって行うというアイデアもあったところですけれども,その問題と,法学部に法曹養成コースのようなものを設けて,それとロースクールの教育とを接続ないし連携して行うというのは違う論点であることは,御指摘のとおりだと思います。
 それと,先ほどの磯村委員が示された疑問点については,むしろオープンな形で議論していただいた方が良い。学部の授業形態とロースクールの授業形態の理念形との整合性の問題なのですが,学部におろした場合に,現実問題として少人数教育が本当にできるのかというと,かなり難しい面がある。それと同時に,これはちょっと未修者の問題に戻ってしまうのですが,未修者教育については,最初から少人数でやっていくというよりは,ベーシックな授業はある程度の人数をまとめて,講義形式でやった方が効率的だという意見がずっと以前から,特に現場の教員の間に根強くあるのです。そういう意味で,未修者に絞ると,最初の教育方法としてどういう授業形式がいいのか,ということは検討の余地が大きく,オープンな形で議論してみた上で,それを前提に考えて,法学部と法科大学院との間でどういう連携の在り方がふさわしいのかを考えていく。そういう議論の仕方の方が生産的かなという感じがします。そういうことで,未修者の方は少し別にして,法学部の法曹コースのようなものとロースクールの接合の在り方にまず焦点を当てて議論をしていただければと思います。
 どうぞ。大沢委員。


【大沢委員】
 学部側のそういった視点では私は全然言えないんですけれども,どちらかというと法曹のユーザーの立場というんですか,そういう立場からちょっと,一言二言発言させていただきたいと思ったんですが,やはり法科大学院の受験者数の減少というのが,メディアで報じている立場からしても非常に深刻だなというのが物すごくあるものですから,今回法曹養成コースというのを作って,一つの案として法学部から法科大学院への流れを作っていくという,それは一つの考え方で,非常に検討に値するなというふうには感じています。ただ,その場合,じゃあ特に優秀な学生にとっては,なるべく早い法学部の段階から法科大学院への,そういった進んだ授業というか,そういったものに触れられるということもいいと思いますし,ただ,逆に何というんですか,前倒しをするとしても,例えば実務的なそういういろいろなテクニックとか,そういったものではなくて,できれば法学部でもし法科大学院のような教育を学ぶとしたら,将来法律家としてどういうことが要求されるのかとか,倫理面でどういったものが必要なのかと,そういう基本的な法曹倫理のような,そういったものを是非学んでいただいて,それで志を持ってさらに進んでいただく。そういった方向にしていただけたらいいんじゃないかなと思いました。
 それから一貫コースで推薦枠でというのもいいと思うんですけれども,やはりここでも御議論が出ていると思うんですが,同じ大学から同じ法科大学院という流れだけにしない方がいいのではないか。要するに法科大学院関係者に聞くと,優秀な学生というのは自分の大学よりも,こう言っては失礼ですけれども,ワンランク上の法科大学院の方を目指して,そっちへ入学しようという傾向が非常にある,目指すということはよく聞くものですから,ですからそういったいろいろな可能性,学生から見て可能性を摘まないようにしてほしい。裏を返すと,同じ大学と大学院による学生の囲い込みになるような方向にはしない形での議論をお願いしたいなと思いました。
 それから最後に,これは切り分けて議論をするべき未修者の問題に関連するんですけれども,法曹コースの議論が,やっぱりこれからの法律家養成のメーンの道は法学部から法科大学院ということなんだというようなメッセージにならないように是非お願いしたい。だから学士編入学というのは確かに未修者の方からすれば,実質はいいのかもしれないんですけれども,まがりなりにも社会人をやって,いろいろな仕事をやってから法曹を目指そうとしたときに,また法学部の3年生から入れと,そういうメッセージが出されると,そんなことまでするんだったらやめようというふうに思われちゃうんじゃないかなというのをちょっと危惧するものですから,その辺のメッセージの出し方というのを是非気を付けてお願いしたいなと感じました。

【井上座長】
 では,大貫委員。

【大貫委員】
 なかなか難しい問題で,いろいろと考えているところですが,先ほど清原委員が冒頭でおっしゃったこと,あと磯村委員がおっしゃったことと関係しますが,法曹養成コースを設けて,学部段階から法曹への志望が明確である学生にきちっと教育をする。それで,法科大学院にたくさん来てもらうということだろうと思います。その際,開放性・公平性等とどう折り合いをつけるかということで,2点申し上げたいと思います。
 これからの議論ですので,一つのあり得べき考えとして申し上げますと,一つは法曹養成コースの中身です。この点についてはこの委員会でも議論が出ましたが,各法学部でいろいろそれぞれの教育理念があって,教育リソースの問題もありますから,それほどリジッドなもの,厳格なものはできないのではないかという議論もありました。私もそういう立場ですけれども,そういう中で法曹養成コースを作って,そこでちゃんと教育して,その方に推薦枠なり何なりというふうにつなげるとなると,やはり一定のクオリティーが必要だということで,折り合いをつけるのは大変難しいと思います。
 実は既に法曹養成コースのようなものを設けている大学の実例を少し調べてみました。その大学は法科大学院を撤退したところですが,,残念ながらその大学でも,教育リソースの面では限界があって,それほどがっちりとしたものというと語弊はありますけれども,作れないんですね。大体20単位が特別な枠で,例として参考になるんですけれども,少人数のゼミを設けています。中身はちょっとまだ十分確認しておりませんが,それと憲・民・刑に関して特別の講義を設けるという形です。この講義が少人数かどうかは確認しておりません。磯村委員がおっしゃったように,少人数であることが望ましいんですけれども,現在のこの大学の教育リソースから考えると,法科大学院のように,法曹養成コースでも,少人数を中心にした授業運営はなかなか難しいのではないかという気がしております。ですから,大月室長がおっしゃったような認定制度を設けるときには,どういう科目をどんな形で設けているかとか,そういうことが要件として入ってこざるを得ないと思うんですが,そこは少し緩やかに決めていただかないと,ワークしないのではないかという気がしております。
 それから出口の方の推薦ということ,法科大学院の推薦入試という枠をおっしゃったので,これは一つのアイデアでとてもいいと思います。例えばほかにはこんなのも考えられるかと思っています。法曹養成コースを卒業した方には,入試科目を多少免除するというようなことも考えられないか。例えば憲・民・刑についてはきちっとやっている。ただ,行政法とか,民訴とか刑訴,一例ですので特に他意はありませんけれども,そういう科目だけで既修コースに入れるようにすることなども考えられます。さらに,法曹養成コース卒業者には奨学金を付けるということも考えられます。既にこれは幾つかの法科大学院でやっていますので,推薦枠,例えば地方法曹という枠を設けて,その枠で入学すると奨学金が原則付いてくるとか,そういうようなことも考えられるかなと思っております。
 ともあれ,私が調べたのは1校だけなんですけれども,事務局にお願いしたいといいますか,この会議体にお願いしたいんですが,既に法曹コースのようなものを設けている大学はありますので,そこの経験なりをちょっと調べていただいて,どういうふうに制度設計すればワークできるのかというのをちょっと見据えた上で議論をした方がいいのではないかと思っています。
 以上です。

【中島委員】
 頭の中がまだ整理できていないので,少し混ぜっ返すようなことを申し上げるかもしれません。配られた資料を拝見しまして,その法曹コースをどういうふうに位置付けるか,私の理解が間違っているのかもしれませんけれども,時間的な負担を軽減するという課題解決策として法曹コースというものが,少なくともこの資料の中には出てきておりますが,果たしてそういうフレームの中でこの法曹コースを位置付けていいのだろうかという疑問が,まずございます。ロースクールの側からの視点で,受験者数が減少しているから,それを何とか回復したい,その解決策としての法曹コースという,そういった位置付けもなされているのかなとも思います。
 先ほど大貫委員の方から,法曹コースを設置している大学ということで,3月にも少しお話をさせていただきましたけれども,私の所属をしております法学部では,法曹コースを設けました。ただ,説明をさせていただいたときにも少し言及をいたしましたけれども,実はその法曹コースを設けた目的,動機の一つは,法曹養成に力を入れるということにはなかったんですね。むしろ法学部における学びの多様性,あるいは出口の多様性ということを可視化するために,コース制を選択しようと。つまり,法学部イコール法曹養成学部ではないんだというところを出したかった。ですから,もうここで既に話題になっていますけれども,公共法務と,それから企業コースという学びの多様性を可視化することで,そのことがめぐりめぐって,法曹志望者の裾野拡大にも結び付くのではないかということで,私の所属している大学では2014年にスタートをしまして,今4年生がそのコース制で学んで,卒業を間近に控えているというところでございます。
 果たして本当に時間的な短縮というのが,法曹志望者を増やし,かつ志望者にとって魅力を高めることになるのかということを考えるのがいいのではないか。つまり,やっぱりロースクールであれ,予備試験経由であれ,どちらでもいいんですけれども,その先に待っているキャリアの魅力というものがうまく伝わっていない,潜在的な法曹志望者に伝わっていない。かつ,ロースクールできちんと学修を修了し,法曹になることの付加価値の高さといったようなものを,むしろきちんと時間をかけて伝え,かつ感じてもらうというんですか,経験してもらうということの方がむしろ重要であって,冒頭長谷部委員の方から御質問があった,今後ロースクールが目指すべき方向性,つまり社会,世界経済の大きな変革に対応できるような,そういった法曹になるための機能というのが,時間節約的なところから出てくるんだろうかということを考えてみた方がいいのではないか。もちろん学生さんの時間的・経済的な負担はなるべく軽い方がいいですから,そういった軽減策を講じるということは他方で重要だと思うんですけれども,余り負担の軽減とか,数を増やそうとかといったようなことではなくて,少し腰を据えて考えてみてはどうかなと。少し口幅ったいのですけれども,そんなことを感じております。

【井上座長】
 杉山委員,どうぞ。

【杉山委員】
 この法曹コースのカリキュラムによる学生の忙しさ度合い,現状のロースクール生と同じぐらいかどうなのか興味があります。というのは,最終的に社会に出ていただいて,社会の隅々のいろいろなところで社会に役立つ法曹として期待しているのですが,通算6年間が法学勉強ばかりになっている。自分の40年前の法学部学生時代を思い出すと,ゼミ,サークルに入り,高校では先生の管理監督の下に勉強してきたけれども,ようやっと一歩大人に近付き,いろいろなことができるこの世代で,サークルやって,資金集めやって,広告とりに行って失敗したりして育ってきました。そうした体験が社会順応性には有用。それと勉強がミックスして将来に有効だと思います。これが勉強,勉強という感じになってしまうと,本当に社会に役立つ多様性を持った法曹ができるのかなと懸念します。正直言って学部の頃は,勉強よりもそういうアルバイトでも,サークルでも精出してもらって,いろいろな社会の順応性とか知ってもらわないといけないところ,そうした経験を積む機会を奪ってしまうと,我々企業に就職面談に来た学生も,物すごく成績優秀な子はいるが,頭でっかちで,実際に会社に入って順応できるかなという学生もいるし,もっといろいろな経験積んできた方がという人もいます。その辺を今回のカリキュラムでは懸念します。法曹コースがどれぐらい学生を忙しくさせ,遊べなくなっちゃうのかなというのが非常に気になっております。

【井上座長】
 先ほど大月室長でしたでしょうか,言われたように,どこまでカチッと固めたコースにするのか,それとも,学生に一つの選択肢を示すという程度のものにし,しかもそこへの出入りは比較的柔軟にするのか,その辺りは,今後議論していくことだと思います。

【酒井委員】
 先ほどの大沢委員の御発言とも関連をしてくると思うんですけれども,やはり法学部と法科大学院の連携の程度をどの程度にするべきかということですとか,法曹養成コースの内容を実際どのようなものにするべきかということを考えるときに,決して学生の希望どおりに作る必要はもちろんないわけなんですが,その学生のニーズを無視するような,学生不在の改革にするということは,絶対に避けなければいけないというふうに強く感じております。
 先ほど磯村委員からも御発言があったかと思うんですけれども,まず連携の程度については,もちろん自大学の法科大学院に進学をしたいということを強く希望していて,推薦制度があることに大きな魅力を感じるという学生ももちろんいると思います。一方で,大沢委員からも御指摘があったように,是非他大学のロースクールに進学をして,この科目についてこの先生の指導を是非受けたいという希望を持つ学生もおりますし,例えばその自大学との連携を強くし過ぎて,そちらの推薦枠が多くなって,その他大学からの進学者の受入れが厳しくなるというようなことが発生したときに,であればもうロースクールを諦めて,予備試験一本でいこうとか,いっそきちんとした会社に就職できるのであれば,ほかのルートを目指そうとか,そういった進学行動についてのマイナスが生じる可能性もあると思いますので,そこについては非常に慎重に検討がされた方がよいと考えています。
 それから,法曹コースの内容そのものについても,実際進学といいますか,選択をする学生がどのようなコースに魅力を感じるのかというところは,是非取り込める限り取り込んで,制度設計をするべきだというふうに考えておりまして,本日の配付資料でもあったかと思うんですけれども,法務省と文科省の方で連携をしていただいた参考資料の3になっていますアンケート調査がありますが,非常に学生の,法学部在学生の率直な現在の志望状況ですとか,細かいところがよく分かるアンケートだなというふうに拝見をしているんです。この制度の改革もどこかで非常に具体的な,大枠を決めた上で具体的なところを決めていくという段階に入ってくるかと思いますけれども,このような規模のアンケートをもう一度この期間で行うというのはなかなか難しいのかなと思うのですが,ピンポイントのヒアリングですとか,何かしらの形で現場の学生の意見をできるだけダイレクトに取り入れるというようなプロセスは,可能な限り設けていただければなと思うところです。
 また,先ほどの,せっかくなので杉山委員の御発言について,私の感覚を述べさせていただきたいと思いますけれども,やはり私は他学部出身でロースクールに進学をして勉強したんですが,司法試験に向けて非常に密度の高い集中をした勉強を求められてきた立場として,そういう勉強はそう長く続けられるものではないということはあると思います。私は未修コースで3年間本当に,私の人生で一番勉強したなと思う時間を過ごしてきたわけですが,ではこれを学部の2年生ないし3年生から,同じテンションの勉強が求められるということになったときに,それは全く現実的ではないと思いますし,それはやはり段階がある話だと思いますので,それは学部ではしかるべき,勉強だけではない経験をする時間も必要だと思いますし,それこそ語学の学習に振り向ける時間も必要だと思いますし,そういった積み上げていくプロセスの一つとして,法曹コースがあるということになると思いますので,私のイメージでも,ロースクールの2年ないし3年間と同じ密度,勉強時間の学修が求められるコースというのは,余り現実的ではないのかなというイメージを持っております。
 以上です。

【清原委員】
 私は杉山委員の発言に触発されて発言させていただきます。
 やはり学部から法曹をイメージして,そして積極的に法科大学院へ進学するという法曹コースは有益だと思うのですが,その内容については,やはり知識先行型ではなくて,幅広い視野を持ちつつ,法曹に向けての思いが醸成されるようなものであってほしいなと願っております。
 そこで先ほど質問させていただいた資料2の,参考になるかもしれないという「職業実践力育成プログラム認定制度」について,資料2の3ページを見てみますと,とりわけ認定要件の中に,「実務家教員や実務家による授業」ですとか,「双方向若しくは多方向に行われる討論」ですとか,「実地での体験活動」,あるいは「企業等と連携した授業」というのが例示され,含まれています。実は三鷹市役所でも,毎年の夏期に,標準的には2週間ですが,大学生のインターンシップを受け入れております。幅広い大学から受け入れているわけですが,そのほぼ全員と市長は直接会いまして,モチベーションを高めてもらっており,市長になり代わって,インターンシップといえども公務の仕事をすることになるので,思いを語ってもらい,激励をしているところなんです。やはりインターンシップも含めて,あるいは仮にロースクールだったけれども,残念ながらその継続ができなくて,法学部は残っているような大学の場合は,地元の弁護士会との密接な連携をした経験があると思うんですね。したがいまして,学部のこうした法曹構想を考えていただくときにも,この認定制度に例示されているような,できる限り社会と結び付いた内容でカリキュラム等を考えていただくということが,望まれている「幅広い視野と経験を持った法曹養成」ということに結び付いていくのではないかなと期待しています。
 なお,このプログラム最後には,「社会人が受講しやすい工夫の整備」,「週末とか,夜間開講」とか,「集中講義」とか,「IT活用」まで書かれておりまして,盛りだくさんな例示がされているんですが,私としては,やはり大学の学部の中で,ほかの学部にいたけれども触発されて法曹コースがある法学部に転部するとか,そういう緩やかな面も含めて,できる限り,「楽しくなければ法曹コースでない」というような,そんな内容にしていただければなと,今の皆様方のお話を聞いていて感じました。
 以上です。

【井上座長】
 どうぞ,木村委員。

【木村委員】
 また私ついていけていないのかもしれないんですけれども,今のお話とちょっと逆になっちゃうのかもしれないんですが,恐らく未修コースではなくて,学部で勉強しなさいということであれば,それこそ1年間なり,物すごく詰めた勉強をせざるを得ないということになるのかなと思います。
 それで,さっき大貫委員のお話にもありましたけれども,例えば憲・民・刑の入試を免除するみたいな話になれば,憲・民・刑をがつがつやるというようなコースになるのかなとも思っていて,なので,さっき大貫委員のお話にもありましたけれども,どんなことが実際に行われているのかというのをちょっと見てみないと分からないなとは思います。かなりがっつり法律をやるということにならないと,いわば意味がない。法曹コースの意味がないということになると思いますし,余りのんびりしたコースには,恐らくならないんだろうなというふうにはイメージしましたけれども,間違っていたら済みません。

【井上座長】
 そこもいろいろな可能性があり,未修者の教育をどこでどのような比重でやるのが良いかというふうに考えるのと,これまでの既修者を念頭に,それらの学生に対する教育につき,法学部とロースクールとの連携ないし接続を強化するというのとでは,事柄が違ってくるわけですね。木村委員が言われるがっつりして,前倒しで詰め込む教育を法学部でやってもらうことにより,法科大学院での負担を軽くし,その履修期間を短縮するというのも一つのアイデアであることは確かですが,必ずしもその方向で議論しているわけではない。中島委員がおっしゃったこととも連動するのですけれども,二つ,三つの目標に向かって同時並行に議論を進めているように見えるところがあるのですが,そうではなく,むしろ法学教育ないし法曹教育の中身を充実させるという方向で,学部との連動,連携を強化するということも以前から重要な論点だったわけです。そういう組み方だと,必ずしも短縮にはならないのですけれども,今の法科大学院で非常に限られた時間と限られたカリキュラムの下でやっていて,外部ではもっと短縮しろという声がある反面,こんな時間数で大丈夫なのか,学力不足になるのではないかと,現場の教員などは思っているところもあるわけで,後者の見方を基に組み直すと,木村委員が心配されたようには必ずしもならない。したがって,この段階では,まだオープンな形で議論した方が良いと思います。
 では,土井委員。

【土井委員】
 ありがとうございます。3点ほど申し上げたいと思います。
 1点目は,全体として今回の教育改善は,何のために取り組むかということで,第一に法曹志望者の増大です。法科大学院が抱えている問題の一つは,法曹志望の学生の能力の幅が大きいことにあると思うのです。能力といっても,深く考える力とか,多様な観点から考える力とかというのではなく,詰まるところのみ込みの速さというか,要領のよさというか,そのあたりの能力にかなり幅があることから生じる問題を抱えていると思うのです。基本的に既修者については,現在学部4年プラス法科大学院の2年という学修期間になっていて,大多数の法学部生にとっては,一番落ち着きがいいんじゃないかと思うのですけれども,しかし非常にのみ込みの早い学生からすると,これでは時間がかかり過ぎるということになっている。この部分が,まさに予備試験との競合問題になっているわけです。法科大学院の理念からすれば,先ほど来出ているように,そういう子たちにも人生余り早く進むことだけがいいことではなくて,いろいろなことを学ぶべきだというのが我々の主張ですけれども,しかし,一方で現実として予備試験という枠組みがある以上,そういうニーズを持つ学生に対してどう対応するかということも考えざるを得ないと思うのです。ただ,それがどこまで多くの学生が進むべき道なのかと言われると,そこははっきりしない部分があるかもしれません。
 他方で,4年で法学部を出てから,さらに未修者コースに入って勉強して花開く子もいます。こうした幅をどのように受け止めていくかということだろうと思います。その際には,やはり個々の学生の能力をしっかり判定して振り分けませんと,最終的には司法試験に受かってもらわないとなりませんから,とりあえず早くすればいいというものでもありません。早くして,結局いつまでも合格できないことになれば問題ですし,基本的に既修者は修了後1年目に相当数合格することを目指すべきで,そのために教育課程の年限をどうするかは,個々に判断していく必要があると思います。余り各コースにリジッドな定員枠をはめることになると問題で,そこのところは十分実証的に見ないと分からない部分があるので,当初は柔軟に各大学が判断できる,もちろん上限なんかを設けていく必要はあると思うんですけれども,現実に合わせて運用できるようにしていただければと思います。
 2点目は,学生のキャリアプラン,キャリアの設計の仕方で,結構最近の学生安定志向といいますか,見通しがはっきりしないとその道を選ばない傾向も持っています。これも問題だと言えば問題ですし,本来はそこを改めるべきだと思うのですけれども,現実としてそういう子が多いものですから,それがまた法曹志願者を減らしていると思うのです。先ほど来出ている推薦枠の問題は,恐らくある程度法科大学院まで行けるという見通しを持たせて,かつ法科大学院の統廃合を図れば司法試験の合格率が上がっていく,そうすれば法曹になる見通しがつくことになり,志願者が増えるんじゃないかと予想されるわけです。それはそれで一つ,試してみる必要があると思います。ただ,その際に,推薦枠については私も今後検討していただきたいと思うんですけれども,先ほど来申しましたように,結局司法試験に受からなければなりませんので,筆記試験を省略することが結局学生のためになるかどうかは,ちょっと分からないところがあります。やはりある段階でそれなりに能力をしっかり見た上で選別することは有効な面があります。したがって,入試で筆記試験を完全に免除してしまうのか,あるいは筆記試験のウエートと書類選考のウエートを調整するのかといったような問題は,これも実証的にどこかの段階で詰めていく必要があると思います。
 最後申し上げたい3点目は,この,先ほどの資料2のところで,職業実践力育成プログラムの例を挙げていただいているんですけれども,それを私も今拝読して気付いたのですが,プログラムにどれぐらい在籍すればそれを修了したことにするかという問題が出てくると思うんです。この点も,やはり今後詰める必要があります。各大学,どの段階から専門科目を配当しているのかという点について違いがあって,例えば2年生の段階から本格的に配当している場合を考えますと,このコースに入れるのに法律の試験や法律の成績を見て選考するかどうかが大きな問題になります。大学入試の段階で,その成績で選考したり,希望すれば所属を認めたりすることになると,本当にその子が法律に向いているかどうかは分からない段階で選別することになります。そこで,一定程度法律科目の成績を見ることになると,実は2年の終わりぐらいでないとよく分からないことになります。しかし,それで3年飛び級や3年卒業を認めると,法科大学院入試は3年の秋に来ますので,実際にコースに在籍するのは半年か1年という話になります。ですから,このコースにどれぐらい在籍すればこのコース修了者だと見るのかというあたりは,少し考えていただいて,今後詰めていく必要があるんじゃないかと思いました。
 以上です。

【磯村委員】
 法曹人口との関係で法科大学院への志願者をどうするかということが,やはり一番重要な課題で,確かに司法試験合格後の法曹としてのキャリアが必ずしもバラ色でないということも関与していると思いますが,他方で予備試験の受験者は増えているという状況にあるので,法科大学院への進学を希望してくれるための方策が何かということが,一番重要なポイントの一つではないかと思います。そうであるとすると,やはり期間の短縮という問題を避けて通れないのではないかと思います。その場合に,法学部4年プラス法科大学院1年というのは,プロセスとしての教育という観点からするとあり得ない選択肢であり,学部3年プラス法科大学院2年という制度設計をどこまで広げるか,先ほど大月室長から現在は3%ぐらいというように御紹介があったと思いますが,その割合どこまで上げていけるかについて工夫する必要があると思います。
 従来未修者教育の問題点が指摘されていましたけれども,同時に,従前に比べると,既修者の入学レベルが十分ではないのではないかという議論もありました。それを克服するために,学部教育をさらに充実させるというのは,やはり非常に重要な観点ではないかと思います。ただ,私は法科大学院の学生諸君にやや同情するところがあるんですが,私どもの学生時代は授業への出席義務というのが事実上なかったということがありまして,自分にとって余り効果的ではないと思われる授業には出席しないという自由がありました。しかし,今の法科大学院生は,毎回の授業に出席する義務があると同時に,かなり多くの予習課題を与えられていて,1週間の中で,自分が自由に使える時間というのが比較的限られているという,そういう大変さがあるように思います。
 学部で,例えば法曹コースを作るというときに,そこまでリジッドにするということでなければ,ある程度の負担を課してもそれなりの勉強の仕方というのはあり得るのかなというようにも思いますし,学部段階で法律の勉強ばかりするということがむしろ弊害を伴うということは,御指摘のとおりなんですけれども,例えば3年次終了時点で法科大学院に進学できるための要件として,法律基本科目以外の科目をどれだけとったかということを見るとか,何か一定の工夫があり得るのではないかなと思います。
 もう1点,今度は未修者の問題に戻りますけれども,未修者が学部で講義を受講するというときに,例えば民法の科目でいうと,法科大学院の1年生で配当される科目数,単位数というのは,恐らくせいぜい12単位ぐらいだと思います。学部では,大学によっても異なりますが,例えば16から20単位の民法科目の授業をしているとすると,1年間で法律基本科目の非常に重要な科目をカバーできるような勉強ができる純粋未修者というのは,ほとんどいないのではないかと思います。そうすると1年たってある程度力がつけば法科大学院に進めるというのは,極めて難しい条件を課すということになりますし,今土井委員がおっしゃったように,入試時期が早い時期に実施されると,技術的にもそうした条件をクリアーすることが難しいのではないかと思います。未修者の教育の在り方はさらに,余り学部との連携にこだわらず,もう少し幅広に考えていく必要があるかなと思います。
 以上です。

【有信委員】
 いいですか。

【井上座長】
 どうぞ。

【有信委員】
 この問題に関して,私は門外漢なので多少見当外れになるかもしれませんが,専門職大学院の議論のところで,学部や,あるいはほかの一般的な大学院との連携を強化するという議論が一方で行われています。これはそういう意味では,専門職大学側の教育の効果を上げるという意味で効果があるんだろうと,こういう観点なんですね。そういう意味で今の議論を伺っていても,本来法曹コースということに議論を集中しているんですが,その法曹コースそのものの具体的な方法論,あるいは手段のところにむしろ皆さん,御専門の方々なので注意が行っていて,これはこれで極めて重要なことだと思いますけれども,そもそも法曹コースをどういう目的で設置するかということ。一つはアンケートの中で大体法学部の学生の3分の1,30%ぐらいは法曹志望だというので,この人たちができるだけ効果的・効率的に法曹への道がたどれるようにということで,法曹コースを作るというのが多分効果的・効率的だろうということで,今度はその効果的・効率的なところに議論がいくんですが,もう一方で重要なことは,優秀な学生をできるだけ法曹に進ませたいという部分があるわけですよね。だから,この人たちにとって法曹コースがどれだけ魅力的になり得るかという議論をもう少ししないと,恐らく今までの状況を根本,根源的に変えるようにはならないんではないかということです。
 それから前から申し上げていて,どうしてもこれがなかなか議論につながっていかないんですけれども,問題意識である産業構造が変わり,グローバル化が進む中で,例えばもう日本の7割のGDPはサービス業が稼ぎ出しているわけです。したがって,従来の産業構造とは大きく変わってきていて,例えば経済産業省ではJISを変えよう,新たにJISの枠組みを変えるということになってきていますし,サービス業が7割になってきたということは,グローバル化の観点では,今までのような日本の産業の海外進出あるいは海外から日本に来て様々な事業をする人たちとの関係が,もう根本的に変わってきていて,日本が今までやってきたようなことが成り立たない。社会の仕組み,あるいは法律そのものが具体的に事業展開に大きく影響を及ぼすようになるという状況が,ますます深刻になっている。こういう問題に対して対応できるような法曹を養成していかないといけないというのは,多分喫緊の課題になってきていると思うんですけれども,ここの部分がどう実際の今の法学部の教育だとか,法曹コースの設置だとか,法科大学院へのつながり方と結び付いてくるのかというふうな議論が,既にやられてはいるんだけれども,もう少し深刻な意味できちんと考えられないといけないような気がします。ちょっとここは一般的な話で申し訳ありませんが,そこは相当深刻な問題だと思いますので,どこかできちんと議論をする必要があると思っています。

【潮見委員】
 有信委員がおっしゃったところは,法学部の教育,あるいは学部教育をどのように今後設計していくのか,さらには大学全体での共通教育をどうするのかというところで,既にもう議論は始まっておりますし,我が大学もそうかと思いますけれども,まさにそれはおっしゃるとおりだと思います。それがここの場でどこまでそれを踏み込んで議論するのかというのは,ちょっと別かなという感じもしないわけではありませんが,非常に重要な問題だと私は受け取っております。
 その上でですけれども,いろいろ御意見も拝聴しながら思ったのですが,ここでの問題の核心というのは,法曹コースを作るかどうか,あるいはどういう内容にするのかというより,むしろ法学部と,それから法科大学院の教育をどういうふうに連携していったらいいのかというところでして,これがまず出発点に置かれるべきではないかという感じがいたします。言ってみれば,法曹に向けた学修といいますか,学びの場というか,そういうものは既に学部レベルで始まっている。そういう法学部での教育を経て,それから法科大学院に行って,そして法曹になっていくという目で捉えたときに,先ほどの土井委員のお話じゃありませんけれども,ある一定数の学生等においては,既にもう3年次ぐらいのところで,法科大学院できちんと学んでいくことができる,そういう基礎体力といいましょうか,法的な思考能力,判断能力,あるいはそれ以外の基本的な素養といったらそうかもしれませんが,そういうものは既に備わっていると思われます。実はこれは今の3年次飛び入学だとか,3年卒業でも前提にしていることだと思いますが,そうした法的な思考能力,基本的な考え方というものは既に身に付けていて,幾つかの法律的な,基本的な科目についての理解もある。そういう者たちを3年で,例えば法科大学院の方に持っていって,それで2年教育する。結果的にそれが1年の短縮になる。そういうビジョンを示していけば,予備試験に流れているような学生も,法科大学院に目を向けてくれる可能性が出てくるのではないでしょうか。もちろん,プロセスとしての法曹養成教育というものにその学生たちが目を向けてくれるか次第だと思いますけれども,少なくともその6年間というよりは少し短い期間で,優秀な学生には法曹として育っていってもらえるという仕組みを作るのが好ましいという感じがいたします。そういう意味では,これも結果的にはロースクール教育の一部前倒しというたて付けにはなるのですが,先ほど述べた基本的な能力を持って優秀な学生を育てていくという方向に持っていけば,それはそれで好ましいのではないかと思いますし,決してそれは,学部で頭でっかちな者を作るという教育を目指したものにもならないとは思いますので,この方向というものは是非進めていっていただきたいと思います。
 もう一つちょっと余計なことを言わせていただきますと,仮にこういういろいろな仕組みを考えた場合に,先ほどの大貫委員のお話じゃないかと思いますけれども,教員の資源というものは限られています。いろいろなことを試みるのはいいのですが,それによって教員の仕事が増えていってしまうと,教員のもう一つの使命である研究のための時間が,今でもかなり削減されているというふうに言われているところが,ますますこれが削減されることになっていきますと,今いる教員自身の研究もそうですし,これから将来を担う若い人たちに対する研究指導に対して支障が生じるおそれがありますので,そうならないような工夫というものも,どこか頭の片隅に入れていただいて検討を進めていただければと思います。

【大貫委員】
 今潮見委員がおっしゃったことなんですが,あと土井委員がおっしゃったことにも関係するんですけれども,我々がこの問題を議論するときに3プラス2を前提に議論するのか,そうじゃない,4プラス2というので議論するのか,これは大変大事だと思うんですね。潮見委員がおっしゃるように,大変予備試験との関係で3,2というのは非常に重要なんですけれども,これが人数的に果たしてどれぐらいまでなるのかというのは少し心配しています。現在現実には47人ですか。目標は今100人ぐらいですか。どこまで伸びるのかというのは,ちょっとこれは見えないところがあって,私自身はやはりここで制度論を論じるときには,むしろそうではない,4,2の方を中心に議論をして,3,2というのはその中の例外的な問題だとしないと,法曹養成コースを適切には組めないのではないかと考えています。
 それと木村委員の方から大貫のように考えると学生が法律漬けになるんじゃないかという御指摘があったように思います。私が調べた地方の大学,もちろん中央大学の法曹コースほどには組織立ってはいないところなんですが,そのコースの単位を見ますと,全体で卒業単位が百二十数単位で,その中で法曹コースに割り振っているのは,さっき申した20単位です。そもそも法学部に入っているわけですから,法律中心に勉強するのは当然で,酒井委員がおっしゃったように,法律を死ぬほど勉強するということには多分ならないんじゃないかなという気がしています。
 それから法曹養成コースのコンセプトとして,土井委員がおっしゃったんですか,法科大学院の既修コースに入る人の力をきちっとつけてやるということもあると思っているんです。法科大学院の授業を前倒しするということでは,必ずしもないんじゃないかなと私は思っていますので,そういう意味でも法律漬けになってばかになるような教育をするわけでは必ずしもないと思っております。
 以上です。

【井上座長】
 これで議論を打ち切るというわけではないのですが,本日はかなりいろいろな角度から御意見を頂きましたので,これを整理させていただき,その整理した論点ごとにさらに議論を深めていくという形で,今後の進行を図りたいと思います。
 ほかに。どうぞ,日吉委員。

【日吉委員】
 2点申し上げます。
 一つは中身には関係ない,ちょっと別の観点です。それはこの法曹養成制度ができた当初の設定の仕方,それからその後も,実にいろいろな改革案というものがここで提案され,実行され,皆非常に苦しんで闘ってまいりましたけれども,全体的にほぼ対マスコミ的には,うまくメッセージ効果としては伝わってこなかったというような反省というのは,やはりどこかで持っていなければいけないのかなと思います。
 このたび,今度こそ失敗はできないということで,抜本的にというか,全体をもう一度再構築しよう,一から考えてみようというふうに,今大きなアジェンダが設定されて,これから議論が進んで,どこかの段階でかちっとした形か,緩やかな形か分かりませんが,一応全体的なパッケージとしての,こういう改革をしますというものが出る時点が来ると思います。そのときには,やはりこれについて,この話を受け取る法曹を希望する潜在的な学生さんたちがそれをどういうふうに受け取ってくれるのか,選んでくれるのか,我々が一生懸命考えた制度は選ばれるのかというような観点というのは,決して忘れてはいけないのではないかと反省を含めて思っております。
 それから2点目,これはちょっと内容に関することですが,先ほど法学部と法科大学院の連携については,未修者のコースをどういうふうに設計するかとは切り分けて考えなければいけないという声があって,それはそのとおりなんですけれども,潮見委員もおっしゃったとおり,リソースというのは法学部と,それから法科大学院関係者,全国見渡しても,もうリソースは限られていると。この中でどういうふうに連携し,どういうふうに優れたシステムを作っていくかと。じゃあ何を考えなければいけないかというと,今言われている括弧付きの法曹養成コースというものがどこを向くべきかということの問題なんですけれども,何回か文科省の説明では,未修者も学士入学をして,それでそこで勉強をして,そして法科大学院に既修者として上がるというのが典型的に考えられる一つの案ではないかというような説明もあったと思うんですが,現実的に考えたときに,今度社会人で働いていて,学び直そうかという意欲も湧いてきたときに,例えば企業ですと,大学院ですと一定の要件があれば,例えば休職をさせるところもありますし,お金まで出してくれて勉強させてくれるところもありますが,現時点では,例えば学士入学ではそれは認められないというケースも結構ございます。そういうこともありますし,推薦枠をどういうふうに,例えば先ほど出ていた御意見もありましたが,推薦枠をどのように設定するかにもちょっと関係はしてくるかもしれませんけれども,一応学士入学の試験を受けて入って,そしてまた法科大学院に既修としてもう1回試験をとり直してという形での2段階で,果たしてそうなると思っている,そういう制度設計だと分かっているときに,そもそも社会人がそれにチャレンジするかというと,かなり難しいのではないかと。
 そうすると,今言われている法曹養成コースというのは,やっぱり今も法曹養成の中核を担っている,いわゆる法学部の既修者で,予備試験にチャレンジはしたけれども受からないというようなマジョリティーの法学部学生というんですか,その中には相当優秀な人もいるんでしょうけれども,そうでもない人も入っていて,そういう人たちをどのようにモチベーションを保ちつつ,できるだけうまく教えて学力もつけてもらって,その既修者コースに誘導するかと。そういうふうなシステムで考えざるを得なくて,しかも先ほど申し上げたように,それは限られたリソースで設定し,なおかつ未修者はそこには余り入ってこないとすると,今度また議論になると思いますけれども,未修者コースというものの3年コースというものも,当然走らせなければならなくなる。それも実現可能なワークするリソースを考えた上での,法科大学院,法学部関係者全部数え上げて作らなければならないということになると思います。そうすると,ここはいろいろな制度設計が考えられるとは思いますけれども,かなりフレキシブルで,いろいろな大学,あるいは法科大学院の事情というものに沿いつつ,柔軟に対応するような制度設計にせざるを得ないのかなというのが,ちょっと今の時点の私の考えです。法学部には全く関与したことございませんし,むしろ教えていただきたいと思っていますので,その実現可能なリソースの限界を考えたときに何ができるのかというのは,これから考えていかなければいけないと思います。

【井上座長】
 ありがとうございます。
 高等局長がおいでになったので,一言御挨拶いただけますか。

【義本高等教育局長】
 この会議に遅参いたしまして,大変失礼いたしました。7月11日付けで高等教育局長を拝命いたしました。思い起こせば,1年前は瀧本審議官のポストにおりまして,この会議に参加させていただいているところでございます。今,日吉委員からお話がございましたように,これまでのシステムを抜本的にさらからやっぱり検討しなくちゃいけない大改革を今議論いただいていると思います。いろいろな,そういう面においては多様な御意見が頂けますので,それを踏まえながら私どもとしてはしっかり取り組んでいかないといけないと思っております。
 平成30年度が法曹養成改革の一応の集中改革期間の最終年度を迎えるわけでございまして,非常に今,大事な時期を迎えていると思っております。しっかりした議論をしていただいた上で,私どもとしてはそれを形にすべく努力してまいりますので,引き続き御指導を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。

【井上座長】
 よろしくお願いします。
 それでは,岩村委員。

【岩村委員】
 ちょっと2,3点申し上げたいと思います。
 まず,先ほどの有信委員の御発言については,潮見委員の方からもコメントありましたけれども,その点は非常に重要な問題だと私たちも思っています。ただ,それを学部段階でやるのか,それともロースクールでやるのか,それともさらにその上の段階でやるのかというのは,またもう少し考えなければいけないことかなと思います。新しい問題を学部の段階で取り扱っていくというのは,現実問題としてなかなか難しいのかなと思います。
 実はロースクールでやるのが本当はいいのでしょうけれども,そして当初の理想では多分そうだったと思うんですが,なかなかそれも今難しくなってきているというのが現状です。そちらの問題は多分ロースクールとその後の博士課程とかとの連携というのをどう考えていくかというような,そういう方向性で考えていくしかないかなというような気がしています。
 それから,私どもも,これからの長いキャリアを考えたときという,そういう長い視点で,今どういう勉強をするべきかということを考えなさいということを学生には言うんですが,学生は先生の言うことを全然信用してくれないので,そういうことを私どもが一生懸命言っても,あまり学生の方は考えてくれない。それよりやっぱり彼らにとっては目先の問題である時間コストの方がどうしても優先してしまうというのがあります。したがって,今日議題になっているような,法科大学院と法学部等の連携強化ということを考えたときには,やはり時間コストが彼らにとってよりかからない方向であるということをどう見せるかというのは,どうしても避けて通れないように思います。そこをうまくやらないと,結局予備試験に流れる学生を減らすということにはつながっていかないかなと思います。
 それから,法科大学院と法学部との連携ということは,私もこれは強化していくという方向で考えるのがいいだろうと思っていて,その具体的イメージというのはこれからもっと詰めていく必要があると思います。ただ,現実の問題として考えたときには,例えば私どもも,一応法律プロフェッションコースというものを作ってはおりますが,そこで民法の授業を,じゃあそのコースだけのためにやっているかというと,実はそうではないんですね。結局のところ,法学総合コースなども含めた,要するに全体向けの講義をやっていて,学生が法学総合コースにいたり,法律プロフェッションコースにいたりという,そういう構造になっていますので,なかなか法律プロフェッションコース,これが法曹コースに仮に相当するとして,それに限定した講義を別途独立に民法でやるというのは,これは先ほど潮見委員がおっしゃったリソースの問題からいって,多分できないということになろうと思います。ですから,そういった現実の制約の中で連携というのをどういうふうにこれから考えていくかというのが,今後議論していかなければいけないことかなと思っております。
 なかなか一筋縄ではいかない問題だろうとは思いますが,他方で私自身は個人的には当初から推薦入学というのはあっていいんじゃないかと思っていたので,法曹養成コースというのとロースクールとの間での推薦という枠でつなげていくというのは,今後真剣に考えた方がいいだろうとは思っています。ただ,他方でそれが囲い込みになってはいけないという御指摘もありましたが,それも私はそのとおりだと思いますので,その点についてもどういうバランスのとり方ができるかというのを,今後議論していっていただければなと思っています。
 簡単ですけれども,以上でございます。

【井上座長】
 片山委員,どうぞ。

【片山委員】
 今の岩村委員の御発言とも若干関連しますけれども,本日は井上座長から最初御発言ありましたとおり,ロースクール目線ではなく学部の方からということでありましたので,そういう点からしますと,今回学部の方で法曹養成コースを作るべきだという議論だけをするというのは,若干無責任なところがあるのではないかと思っております。学部の方で法曹養成コースだけを作るということになると,これは学部の本来の教育の在り方を逸脱しているところがあるかなと思います。出口を見据えるといことであれば,他のコースも作らなきゃいけないということになるように思います。例えばパブリックセクター・コースであるとか,あるいはグローバル・コースのような,そういった他のコースも一緒に作った上で法曹養成コースを作ることを前提として,他のコースの在り方も議論する中で法曹コースの在り方をきちんと議論していく必要があるように思います。そういう意味では,先ほどの岩村委員の御発言,全くそのとおりだと思いますが,実際には科目の組替えだけになっていて,一つ一つの科目に関しては,例えば同じ民法,私専攻は民法ですが,民法はどのコースでも同じ授業をとりますということになりますと,果たしてそれでコース設定として十分なのか,心配な面もございます。例えばグローバル・コースではシビル・ローだけではなくてコモン・ローの基本的な考え方を教えた方が,むしろ実務に出て役に立つというようなことがありますので,そのような出口を見据えた対応を各コースでどこまで検討するかという点を考えていきますと,逆に,法曹コースの民法,刑法等の科目に関しては,法科大学院での教育メソッドを学部の法曹コースにどこまで導入するかという視点が必要になると思います。そうしますと,議論は逆転するかもしれませんが,一種の先取り履修といいますか,未修コースのロースクールで展開している授業を学部学生にもとらせるという方向の議論も,検討していただければいいのではないかなと思っております。
 私自身は,ロースクールの3年間の全てがマスターレベルなのかというと,やはり未修の1年目はアンダーグラデュエイトに近い側面があり,これは必ずしも先取り履修ということにはならないのではないかと考えています。人材も限られているという意味では,ロースクールの未修コースの授業を学部生にも積極的に開放していくという方向性,本日は全く議論ございませんでしたので,検討の余地はあるかなと思い,発言させていただきました。

【井上座長】
 予定した終了時刻が迫っておりますので,あと2~3人ぐらいに限らせていただきたいと思います。御協力をよろしくお願いします。
 丸島委員,どうぞ。

【丸島委員】
 大学の先生方の現場でのお話を十分に伺うことができ,大変勉強になりました。議論をお伺いしていて,改革のメッセージを出すように迫られている状況にあるという現状認識からすると,3プラス2の構想が現時点での一つの改革案として出てくるということは,私もよく理解できます。他方で,改革案の目的や,またそれがどのような効果があるのかということを考えたときに,今弁護士会でも,各大学で法曹を目指して勉強している学生のヒアリングなどもしておりますが,予備試験との関係では,例えば予備試験ルートで資格を得ることが就職にとってプラスであるとか,あるいは法科大学院で非常に優れた授業がされていても,その授業を受けるのではなくて,受験科目のため,試験のため予備校に行き予備試験ルートに行くということとかの発言も結構聞かれるわけです。現在,3プラス2の議論や法曹コースを設置しての教育の充実などが検討されているのですが,それが例えば予備試験との対抗関係という脈絡でどのような効果が出てくるのかということは,まだ率直に言って分からないところもあるのかなとも感じます。特に,予備試験や司法試験の在り方の見直しがされないという前提であるならば,そのように感じられるのです。法曹になるまでの時間的負担の軽減という点からは,法曹コースの設置に伴い,3プラス2のコースを一定程度拡大させるとともに,多くの学生の通常ルートとなる4プラス2のコースを充実させ,4プラス2を終了した直後に多くの学生が今以上に司法試験に合格し,少なくとも次の年にかなりの学生が合格するのが普通であるという仕組みをどう作るかということが大切であると思います。そしてもう一つは,先ほど来議論されておりますように,法律家の活動する世界が大きく広がる,また広がっていかなければならない,そのためにも法学系以外の幅広い学問的基盤を持った方や社会人などの参入を促す方策の具体化が従来に増して重要になってくるだろうと思います。本日の資料にも,グローバル化,あるいはビジネスモデルの転換などということが出ていますけれども,そのような国際分野,経済活動分野だけでなく,従来の枠を超えて科学技術分野を初め国民生活全般にわたり様々な分野で法律家がその役割を果たさなければいけない,またそうあるべきだということにもなってきます。そうすると,これからの社会の中で,法が,また法律家が果たす役割はどのようなものかとかいうことについて,未修者教育の充実とともに,実務法曹が学部にも出ていき,若い学生が法曹を目指すための働きかけをしていくことも大切であろうと思います。法曹の活動の魅力を語り,法曹を目指すという動機付けの面で,実務法曹が参画してやらなければならないことはあるのではないかと思います。
 司法試験の合格率の向上や,単に法科大学院の学修の期間というよりも法曹となるまでの期間の短縮ということについては,やはり司法試験の在り方の問題とも関わってきますので,改革の姿を示す意味で,3プラス2の打ち出しはよいとして,メーンである4プラス2の既修者コース,あるいは純粋未修者も3年の学修期間を経て法曹となっていくためにはどういう点を見直していくのかというあたりのことについても,中心的に議論していただく必要があると感じています。今後それぞれについて具体的な議論になると思いますので,その中でよろしくお願いしたいと思います。

【井上座長】
 樫見委員,どうぞ。

【樫見委員】
 じゃあ,手短に。まず,今回の法学部との接続については,ここが今回の改革のメーンで,要するに今まで法学部と直接接続を否定してきたというところを認めたというのが,今回の改革のメッセージとして出してほしいという点が一つと,それからこれ,法学部からの立場というので意見を言ってほしいというお話がありましたので,そこからちょっと言いますと,例えば法学部の方でこれから法曹養成コースなり,法曹コースを作るとした場合に,学部であれば当然そのコースにおいてどういう人材を作るのか,で,どういう教育目的を達成するような学生を育てるのかということを,やはりこちらの方からメッセージとして発しなければ,作る側の学部の方からすると困るわけですよね。今はAP(アドミッション・ポリシー),CP(カリキュラム・ポリシー),DP(ディプロマ・ポリシー),全部きちんとはっきり外へ出しなさい,公示をしなさいと言っているわけですから,例えばいろいろ御意見出た中で,法科大学院における1年の科目をきちんと履修したような,そういう資質を持ったすぐれた人材を出してくれというのが法曹養成コースとして必要,あるいは法曹へ進むことを前提としたその教育,あるいは法科大学院では,ひょっとしたら自分でできないような多様なグローバル科目であるとか,あるいは先ほどちょっと言いましたけれども,いわゆる法理学であるとか,哲学関係であるとか,外国法の問題だとか,そういうことを多様に学べる,非常に広い視野を持ったものを法学部でも作ってくださいとか,やはりそういうメッセージ性をきちんと出していかないと,作る側の法学部の方としては困るのではないかなと。
 以上です。

【井上座長】
 鎌田委員。

【鎌田委員】
 できるだけ短くします。今,法科大学院にとって大きな課題は,一つはやはり法科大学院にもっと優れた学生に来てもらいたいということ。と同時に,未修はもちろんですけれども,既修についてももっと学生の質を向上させなきゃいけないこと。この二つの課題に応えるために,一つは,なかなか法科大学院へ学生が来ないのは,片一方に予備試験がある中で,法科大学院には時間とお金がかかるから,これを多少でも短縮しながら,同時に学部と連携することで教育の質の向上をするという,こういう方向があってもいいんだろうとは思います。ただ,それで3年制,3プラス2が標準になるというと,法学部のある部分だけは大学3年卒業が標準になるなんていうことを,早期卒業,飛び級の制度で認めるわけにいかないので,そこでコース設置プラス認可という仕組みが考えられたんだろうと推測するんですけれども,ここを余りピッチリ,授業科目はこうでなきゃいけない,そしてここの卒業認定を受けて既修に行く人はこれだけのレベルでなきゃいけないみたいなことを厳格にやっていくと,大学にとっても法学教育の在り方が全部これで決められるということになる。それから同時に学生にとっても,学部に入ってからもコースを指定され,毎年の単位が決められ,ロースクールに行ってからも毎年共通到達試験を受けさせられる。これに対して,予備試験はフリーパスじゃないか。こういう状況にしていったら何の意味もないと思いますので,やるとしたら,法科大学院側でこういう制度を作ったんだから予備試験の方はギュッと締めてくれるということをやらないと,単に法学部教育全体をゆがめただけに終わるんじゃないかという懸念もないわけじゃないので,そこを頑張ってほしいということが一つ。
 それと,うんとつまらないことを言って申し訳ないんですけれども,未修1年の授業は学部で1年ないし1年半でできますというふうに言われると,大学経営者としては,法科大学院で学部の授業料の1.5倍とか2倍の授業料を取ることがこれからはできないというふうなことになりかねないので,今でも法科大学院は大赤字で,もう来年度にでも募集停止にしようかと思っているぐらいのところは,この改革でもっとひどいことになりはしないかという心配もあるので,その辺も是非御配慮をお願いしたいと思います。

【井上座長】
  笠井委員,発言されますか。

【笠井委員】
 もしよければちょっと。

【井上座長】
 それでは,笠井委員で最後にさせていただきたいと思います。

【笠井委員】
 前回,私は,今は議論のときではないと申し上げましたが,今日,お話,意見を伺って,大変参考になりました。中でも中島委員の御発言について,ある意味で感動したというところもあります。それは,法曹養成制度の改革課題として,時間短縮ということが極めて重要であることは間違いないのですが,中島委員の大学学部の法曹コースは,法学だけを短期間に詰め込む法曹養成とはかなり違う中身だということだからです。キャリアの魅力を伝えることの重要性についてもお話しでした。それには御異論もあるとは思いますが,法律のみの短期詰め込み教育ではない緩い形での法曹コースをイメージすべきではないかと思います。他方,時間短縮の重要性を指摘される御意見もありました。その点については予備試験制度の問題もありますので,予備試験制度に関わる問題をも視野にいれて,我々の課題,中教審特別委員会の課題としていくべきだと考えております。
 以上です。

【井上座長】
 ありがとうございました。最後,急がせまして申し訳ありません。本日は,非常に多様な観点から多数の御意見を頂きましたので,これを整理して,今後順を追って議論を進めさせていただきたいと思います。ただ,先ほど局長が言われましたように,平成30年度内というのが現実に一つの区切りとされていますので,余り悠長に議論を続けるわけにもいかないと思います。これから,順序を追って,なるべくインテンシブに議論をし,できるだけ明確な結論に結び付けるような方向に進められればと思っていますので,是非御協力いただきたいと思います。
 本日はこれで終了とさせていただきます。次回の日程につきましては,改めて事務局の方から御連絡を差し上げますので,よろしくお願いします。
 以上です。

お問合せ先

高等教育局専門教育課専門職大学院室法科大学院係

(高等教育局専門教育課専門職大学院室)

-- 登録:平成30年08月 --