専門職大学院ワーキンググループ(平成29年1月20日~)(第2回) 議事録

1.日時

平成29年6月5日(月曜日)10時~12時

2.場所

霞が関ビルディング35階東海大学校友会館朝日・東海の間

3.議題

  1. 専門職大学院ワーキンググループの運営について
  2. 専門職大学院ワーキンググループの公開に関する事項について
  3. 報告書を踏まえた対応状況・方針について
  4. その他

4.出席者

委員

(正委員)有信睦弘(主査),(臨時委員)川嶋太津夫(主査代理)
(専門委員)淺羽茂,大竹由希子,片山直也,上西研,杉本徳栄,添田久美子,中山健夫,松﨑佳子の各専門委員

文部科学省

(事務局)浅田大臣官房審議官(高大接続・高等教育局担当),大月専門職大学院室長,川﨑専門職大学院室室長補佐

5.議事録

(1)専門職大学院ワーキンググループの運営について
 主査代理について、有信主査から川嶋委員が指名された。

(2)専門職大学院ワーキンググループの公開に関する事項について
 事務局から、専門職大学院ワーキンググループの公開について資料3の説明があり、原案のとおり決定した。
 また、公開に関する規定に基づき、この時点から会議が公開された。

(3)報告書を踏まえた対応状況・方針について              
【有信主査】  それでは,本題に入りたいと思います。議題の3番目ですけれども,報告書を踏まえた対応状況・方針について,まず事務局から説明をお願いします。
【大月専門教育課専門職大学院室長】  事務局でございます。資料4から資料7を使いまして御説明申し上げます。大体20分から25分程度でなるべく簡潔に御説明したいと思いますので,よろしくお願い申し上げます。
 まず,資料4をお手元に御用意願います。報告書を踏まえた対応状況について(対応状況・方針)というものでございます。この報告書というのは,委員御案内のとおり,昨年8月に取りまとめていただきました参考資料1-2で配付している資料でございます。正にこの報告書の概要を,まず概要について1ページで取りまとめているところでございます。改めて簡単に御説明させていただきます。
 この報告書におきまして,現状・課題ということで,専門職大学院は平成15年度に高度専門職業人養成に目的を特化した課程として創設以来,大学院教育の実質化や社会人教育をけん引する役割を担うとともに,一定程度の普及定着が図られてきたと。
 二つ目の丸でございますが,高度専門職業人養成の必要性が増大している一方で,全体としては制度導入時に期待されたほどには広がりを見せていない。これには以下の理由が考えられるとありまして,社会(「出口」)との連携が必ずしも十分ではなく,多様化するニーズを的確に踏まえたプログラムが提供されていない。専門職学位の付加価値が社会(「出口」)に理解されておらず,専門職学位を取得してもキャリアアップにつながる社会的仕組みをできていない。欧米先進国と異なり,専門職学位等と職業資格との関係が十分に確立されていない。社会(「出口」)に対する情報提供が不足。社会人が仕事を続けながら通学可能な,より一層柔軟な履修形態が必要。その下にありますように,高度専門職業人養成という観点から既存の修士課程と専門職学位課程の役割分担が明確でないという現状・課題分析がなされ,今後の方向性として丸にありますように,今後専門職業人養成機能の充実強化ということで,少子高齢化が進む中,持続的な経済成長を図る観点から,自らの強みや特長を伸ばすための取組を促進するとともに,専門職大学院を高度専門職業人養成のための中核的教育機関と位置付け,高等教育全体としての機能強化を図っていくことが必要ということ。また,社会(「出口」)との連携強化が必要であると。社会と共通理解を得ることが必要であり,社会の受入れ体制を作っていくことが必要ではないかと。また,多様なニーズへ対応するための学士課程,修士課程との連携が必要であると。それによって特色ある教育プログラムの提供が必要であると。また,分野ごとのきめ細かい対応が必要であるということでまとめていただいております。
 続きまして,2ページ目をおめくりください。具体的改善方策として実線で囲まれているところが報告書の内容を抜粋したものでございまして,その下に対応状況という形で現在の対応状況を示している資料でございます。
 まずアドバイザリーボードの設置ということで,各専門職大学院が掲げる養成人材等と関連が深いものや学外の有識者等からなるアドバイザリーボードを設置し,各専門職大学院の教育課程の編成・実施,教員の資質向上,情報公開の在り方等に関する事項について指導・助言を受けることを義務付けるべきであるということで,具体的な対応状況といたしまして,先般,成立しました学校教育法の一部を改正する法律案におきまして専門職大学院の制度を創設することを主な目的とした法律でございますが,その中に専門職大学院についても文部科学大臣の定めるところにより,その高度の専門性が求められる職業についている者,当該職業に関連する事業を行う者,その他の関係者の協力を得て教育課程を編成し,及び実施し,並びに教員の資質向上を図るものと追加されております。これについてまた改めて資料5で追加で御説明申し上げます。
 続きまして,教育課程等ということで,(1)のコアカリキュラムの作成。資料にありますように,教育の質保証と教育内容を可視化する観点からコアカリキュラムを各分野においてステークホルダーや認証評価機関,学会の参画を得た上で策定し,必要に応じて更新する。また,その際,各専門職大学院が独自性を発揮できるよう配慮することが必要であると報告書がまとめられておりまして,対応状況といたしましては,ビジネス分野に関しまして初めてコアカリキュラムが文部科学省委託事業において策定され,また,MOT分野のコアカリキュラムが改定されたところでございます。
 また,3ページ目にありますように,本年度委託事業においてそれらのコアカリキュラムの実証・改善等を行うこととされております。
 続きまして,(2)の社会人に対する柔軟で多様な教育機会の提供というところで,報告書においては各専門職大学院に対して柔軟な履修形態等により社会(「出口」)のニーズに対応した多様なプログラムを提供することや,ICTの活用を促すことが必要であると。
 また,下線を引いているところでございますが,地方公共団体・企業等に対し,社会人が仕事を続けながら通学することについての理解を促すための方策を国として検討すべきと。
 また,資料にありますように,高度専門職業人養成を主目的とした博士レベルの専門職学位の検討を行うことが必要であると報告書に記載されておりまして,対応状況といたしましては,29年度委託事業におきまして経営系分野ということでございますが,多様なプログラムの開発を促進することとしております。
 また,法科大学院においては,ICTを活用した教育の促進のため,検討会を立ち上げまして,新たなものを何かするというのではなくて,既存の設置基準,メディア告示の中で何ができるか,何ができないかということを明確化して取組を促進していただこうということをいたしました。
 また,更なる議論が必要と考えられる事項といたしまして,社会人に配慮したより柔軟な履修形態の在り方,地方公共団体,企業等に対し,社会人が仕事を続けながら通学することについて理解を促すための方策の在り方,これらについて本ワーキンググループというか,非常に大きな課題で,これまでも様々な国の審議会等で議論されておりまして,それらとも連携とか,それらの流れも踏まえまして,本ワーキンググループでも御意見を頂戴できればと考えているところでございます。
 また,その下に高度専門職業人養成を主目的とした博士レベルの専門職学位の検討につきましてはまず実態調査やニーズ調査を行うことが一つではないかと考えております。なお,配付資料で参考資料5として配られておりますけれども,去る5月9日に日本学術会議の経営学委員会,経営学大学院教育の在り方検討分科会で取りまとめられたものがございます。この報告書につきましては,日頃から文部科学省が御指導いただいている先生が中心となってまとめていることもあって,文部科学省も御意見申し上げたこともありまして,昨年8月に本ワーキンググループでまとめられた報告書と極めて近い提言内容となっております。ただし,本ワーキンググループでも博士レベルの専門職学位の検討を行うことが必要と一言書かせていただきましたが,日本学術会議の報告書においてはその点については是非創設するべきだと非常に強く書かれておりまして,またこの提言なんかも踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 続きまして(3)の成長が見込まれる分野に特化した経営人材養成というところでございます。この点につきましては,委託事業で今年度やる予定であるということと,また,文部科学省に限らずに他省庁でもやろうとしておりまして,特に観光庁事業により京都大学及び一橋大学が観光に関するMBAプログラムの創設を検討中ということを特記しているところでございます。
 続きまして,資料4ページ目でございますが,世界基準の教育課程の開発ということでございます。これについて,繰り返しになりますが,委託事業において実証改善を行うというところと,また後ほども出てきますけれども,別途の委託事業で海外の評価機関との連携方策の在り方などについて調査研究を実施できないか検討しているところでございます。この点について後ほどもう少し詳細に御説明申し上げます。
 教員組織というところでございます。バランスのとれた教員組織ということで,高度な実務上の知識や能力を有する実務家教員と高度な研究能力を有する研究者教員のバランスのとれた教員組織であることが必要であり,そのことを認証評価で確認することを検討すべきであるということ。対応状況として,国としてもう少しいろいろなやり方があるかと思いますが,現時点では一部の認証評価機関において関連する認証評価基準が設定されているということを記載しているところでございます。
 続きまして,適切な実務家教員の確保。これについては後ほど資料6で御説明申し上げます。
 続きまして,(3)他の課程との連携の促進につきましても同様に後ほど資料6で御説明申し上げます。
 続きまして,6ページ目でございますが,(4)のファカルティ・ディベロップメントの充実ということでございます。これについて,昨年度の委託事業において経営系大学院の教員ということに限りますが,FDの在り方についての調査研究を実施しているところでございます。
 続きまして,7ページ目でございます。4の認証評価のところでございます。社会(「出口」)との連携による認証評価ということで,認証評価機関は修了生の就職先,学生その他の関係者から意見を聞き,認証評価に反映させることが必要であるというようなことにつきまして,これについてももう少し国として統一的な対応ができることは検討する必要があるかもしれませんが,現時点の対応状況としては一部の認証評価機関において関連する認証評価基準が設定されているという状況にあるということでございます。
 続きまして,(2)とその下の(4)の国際的な同等性・通用性の確保,また国際的な評価機関の評価の在り方というところでございます。委員,御承知のとおりに専門職大学院については分野別の認証評価を受けないといけないことになっておりまして,それに関して国際的な認証評価を受けるに当たっては,国内も受けて,国際も受けなければならないというふうになっているところでございます。また,特に経営系の専門職,経営系の大学院に関しましては国際的な認証評価を受けないと世界的なランキングに位置付けられる権利も与えられないというような状況でございます。世界的なランキングに乗ることが必ずしもよいのか,また世界的なランキングについてどう評価するか,いろいろな御意見があるわけでありますけれども,国際的なランキングに乗るに当たって,専門職大学院が国内の認証評価機関を受けることが妨げになっているならよくないであろうということで,国内的な認証評価機関を受けながら負担を掛けずに国際的な認証評価を受けることが可能かどうか,特に日本の認証評価機関と海外の評価機関との連携方策というのはどうやればできるのか。まだ調査研究の段階でございますが,今年度できないかということを具体的に検討している状況でございます。
 戻りまして,3のところの,資料の7ページの真ん中にある部分でございますが,機関別評価と分野別評価の効率化ということで,機関別評価も受けた上で,専門職大学院については分野別評価も受けないといけないということで,効率化が必要ではないかということを提言いただいたところでございます。ただ,この部分についてはワーキングを超える部分が非常にあって,大きな問題でありますので,大学分科会とか,将来構想分科会等で検討いただきたいと考えておりますが,また必要に応じて本ワーキンググループでも御議論いただければと考えております。
 続きまして,8ページ目でございます。情報公開の促進というところで,社会(「出口」)との連携方策の策定というところで,これは専門職大学院に関して,各専門職大学院の多大なる御協力を得て,いろいろ状況調査を行っているところでありますけれども,本年度の状況調査においては,この関係についても状況の調査を行っているというところでございます。
 また,続きまして,修了生の活躍状況等についての情報公開の促進という部分でございます。これについて就職状況のほか,活躍状況についても情報公開するよう関係規定若しくは通知等で対応できないか,検討しているところでございます。
 また,積極的な広報に努めることが必要であるという部分については,経営系専門職大学院については昨年度の委託事業で得た成果をパンフレット等にまとめるとともにシンポジウムを大阪と東京で開催したところで,両方とも,大阪で70名から80名,東京だと120名ぐらいの参加者がいて,非常に好評でございました。また,法科大学院につきまして,本日お配りしておりませんけれども,教育内容や修了生の活躍状況をまとめたパンフレットを作成したところでございます。法科大学院についていろいろな厳しい御指摘を受けておりますが,なかなか正確に伝わっていないところもありまして,パンフレットを作成して配付したところで,こちらも好評でありますので,委員の皆様方にも配付できるようにしたいと思っております。
 6の職業資格試験等との関係のところでございます。こちら専門職大学院でありますので,職業試験との関係というのは避けて通ることができないというところでございますが,今回新たに公認心理師という国家資格が議員立法によって生み出されることになりまして,具体的なカリキュラム等については厚労省,文科省が事務局を務める委員会において検討されておりました。そのことについて対応状況で記載しているところでございます。
 続きまして,9ページ目でございますが,専門職大学院の教員養成というところで,研究能力に加え,実務上の知識・能力を有する教員の養成が必要であることから,専門職大学院修了生が円滑に博士課程(後期)へ進学できるよう何らかの形で研究指導を受けることができるよう取組を促すことが必要であるということで,こちらについても実態調査を行っているところでございます。
 分野ごとの固有の問題への対応ということで,多くの専門職大学院においては,分野間で協議するような場が設けられているところでございますが,経営系については設けられていないということで,何らかの形で有識者会議が設置できないか,事務局において検討しているところでございます。
 また,新たな認定制度というところで,世界的に活躍するグローバル人材の養成,地域の課題解決に貢献する地域人材の養成,社会的ニーズの高い特定の分野に強みを有する専門人材の養成といった各専門職大学院の強みや特色を前面に打ち出すための組織的な取組を促すため,専門職大学院を新たに認定し,メリットを付与する制度を検討することが必要であると。制度の導入に当たっては多くの分野と関連が深い経営系分野から開始することも一案であるということを提言していただきましたけれども,これについては本ワーキンググループでの御議論も踏まえて,経営系分野の有識者会議を先ほど設置できないか,検討しているということを申し上げましたけれども,その会議において詳細な制度設計を検討できないかと考えているところでございます。
 最後になりましたけど,9ページ目の一番下の部分,修士課程との在り方の整理を含めた大学院制度の見直しについてというところでございます。それについてはまた後ほどの資料7にありますので,7で御説明申し上げます。
 続きまして,資料5を御用意願います。先ほどのアドバイザリーボードの設置の部分でございます。先ほど申し上げましたように,資料5の一番下にあるように,学校教育法が改正されまして,99条の3項が新設されまして,「専門職大学院は,文部科学大臣の定めるところにより,その高度の専門性が求められる職業に就いている者,当該職業に関連する事業を行う者その他の関係者の協力を得て,教育課程を編成し,及び実施し,並びに教員の資質の向上を図るものとする」と規定されました。
 続きまして,ページをおめくりいただきまして,これを踏まえまして,マル1にありますように,学校教育法第99条3項を実施するための協議体及びその役割について,本ワーキンググループで御検討いただければと思っております。ただ,99条第3項の規定,またこれまでのワーキンググループのアドバイザリーボードを設置すべきだということを考えましたら,当該協議体につきましては資料にありますように,教育課程を編成し,それを実施するための協議会を立ち上げ,教育課程の編成・実施に関する基本的な事項を審議し,学長に意見を述べる役割を担うものとしてはどうかと。また,当該協議体は教職員のほか,各専門職大学院の分野に関係する職業についているものや,職業団体の関係者,地方公共団体の関係者などに参画していただくことはどうかというような形の方向で御議論いただくのかと考えているところでございます。
 また,この協議体に関しましては社会(「出口」)に対して理解を促す観点から,活動状況を積極的に公表すべきではないかと。また,本協議体の活動状況に関して認証評価で確認すべきではないかということとしております。
 続きまして,資料6をお手元に御用意願います。教員組織の在り方(ダブルカウント・みなし専任教員等)についてということで,論点と改善の方向性というものでございます。本資料の1ページ目,2ページ目のものは昨年8月に取りまとめられたワーキンググループの報告書を抜粋したものでございます。1の真ん中にある現行制度のイメージ図をごらんいただければと思いますが,既存の修士課程の部分については実践が修士課程(後期課程)と学士課程のところ,両方引かれているように,両方と兼務することが可能であるということでございます。一方で,専門職学位課程についてはしっかりとした教員組織を学部から独立して設置するということで設立されましたことから,10年間の経過措置を経て,研究者養成との関係もあり,博士課程(後期課程)との兼務は認めるにしても,学士課程との兼務については認めなかったというところでございます。ただ,これに関して,後ほどの資料にあるような弊害もあるということから,見直す必要があるのではないかと,昨年8月で取りまとめていたところでございます。
 なお,専門職学位課程,修士課程,同じレベルの課程においては兼務は認められておりません。この点についてはワーキンググループの所掌を超えている部分もございますので,全体として議論していただきたいと思っております。ただ,このワーキンググループで必要な御意見等出していただければとはもちろん考えております。
 3ページ目をごらんください。アの現状・課題の部分でございます。ダブルカウントに関する議論は慎重に行うべきであるとの指摘もある一方で,本ワーキンググループにおける議論の内容や各専門職大学院へヒアリングを行ったところ,他の課程との連携を強化する観点からダブルカウントが必要であるということ。また,後ほどの資料に出てきますが,文部科学省が行った地方の国立大学の経営系大学院,既存の修士課程へのヒアリングを行ったところ,専門職大学院への移行も考えているんだけれども,学部との連携が専門職大学院は認められていない。また,横のレベルでの兼務が認められていないので,移行するに当たっては教員組織が分断されるというような懸念が表明されたところでございます。
 地方においては,我が国のGDPにおいて地方の製造業の割合が約4割を占めるものの,労働生産性が低いということから,地方の経営人材を養成することが必要だとかなり政府の大きな会議体等でも指摘されているところであります。そのため,学部等と他の課程との有機的な連携を図ることにより複数の学問領域を横断する学際的な教育研究の取組を推進する実施体制を整備することが可能となることや,限られた人的リソースを有効活用し,他の課程で得られた教育研究の知見を新たな取組や自大学の強みや特色を伸ばすための取組に対して有効に活用するようにできるためにダブルカウントが必要ではないかという御議論があるということでございます。
 以下論点を示させていただいております。1は兼務を可能とする課程の範囲でございます。4ページ目の一番上にありますとおり,過去の特例制度,専門職大学院制度が創設されて10年間は,学士課程,修士課程,博士課程は必置教員の3分の1まで,博士課程(後期)は全てダブルカウントを認めたところでございますが,そのときの状況について記載しているところでございます。ちょっと分かりにくいところがございますが,例えば平成22年度で申し上げれば,4課程全て兼務したところが人数で言うならば5.0%,専攻数で言うならば184分の45,約4分の1であったということでございます。また,7にありますように,現在既存の修士は認めておりますが,専門職大学院は認められていない,専門職大学院の学部との兼務,この二つだけの兼務については人数的には3分の2,専攻数については42専攻あったということで,それぞれ大学,大学院が実情に応じて兼務を行ったということが分かると思います。また,3分の1までと書いておりますけれども,特例措置は3分の1までというところでございましたが,それぞれの実情に応じてダブルカウントされたことが分かるということでございます。
 続きまして,論点として2の兼務できる教員の割合と。特例措置においては学士課程,修士課程,博士課程前期において,必置教員数の3分の1まで認めたところでございますが,兼務できる教員の割合をどのように考えるかということ。また,特例時限で認める場合,過去は10年間認めたわけでございますが,どのように考えるかと。また,恒常的な措置を認める場合,それぞれどのように考えるかということが論点として示されております。
 ただ,5ページ目にありますように,教育の質を保証する観点は重要で,それが失われるようになってはならないということは明記しているところでございます。昨年にまとめられた報告書ではエフォート管理の手法を導入することも一案とされたところでございますが,その場合には具体的にどのような基準を設け,運用する必要があると考えられるか。また,エフォート管理といっても非常に手間が掛かるというのは本来の兼務を認めても余り意味がないわけで,エフォート管理するに当たってはどうするのか。また,エフォート管理以外でも質を保証する仕組みとしてはどのようなものが考えられるかということを論点として示させていただいております。
 また,その他留意事項といたしまして,これは重ねて質の保証と同じようなものでございますが,教育研究上有益な場合であり,かつ,教育上支障がない場合に限定して認めるべきではないかということを記載しております。
 また,その下には法科大学院,教職大学院においても,今兼務の必要性があるということがそれぞれの特別に設けられた会議体で指摘されているということを記載しております。
 続きまして,資料の7ページ目,ダブルカウントについて(法学分野における専門職学位課程間)というものでございます。ちょっと今の話とは別になりますけれども,法学分野においては,法科大学院だけではなくて,国際専門人材を養成するために別途専門職大学院が開設されるような状況になってきております。
 二つ目の丸にありますように,既存の修士課程においては法学分野における修士課程の教員基準は研究指導教員数を5以上置くものとされておりますけれども,参考にありますように公法,私法等に分割したときは専攻ごとに教員数を3以上とするということ。そのため,専門職学位課程においても,1研究科に法科大学院と法学分野の専門職大学院を設置する場合には修士課程と同様に緩和措置を設けてはどうかということを記されております。論点としては緩和することに関してどのように考えるか,また,何名が適当であると考えるかということとしております。
 また,留意事項といたしましては,本件については法学分野のみの適用する改正内容でありますから,本ワーキンググループでの御協議の後,適宜法科大学院等特別委員会においても検討していただく必要があると考えております。
 次,資料の8ページ目でございます。みなし専任教員についてというところでございます。現状・課題。丸にありますように,専門職大学院においては必置教員数のうち3割以上は実務家教員の配置が必要とされております。ただ,実務の最新の動向を熟知している実務家の参画を促す観点から,必置実務家教員数の3分の2までは年6単位以上の授業科目を担当し,教育課程の編成等に責任を有する者であれば,専任教員に算入できる措置,いわゆるみなし専任教員というものが制度上設けられております。
 なお,下のイメージ図にありますように,法科大学院については実務家教員は2割以上,教職大学院においては4割以上の実務家教員を配置する必要があるとなされているところでございます。
 その下の丸にあります,一番下の丸にありますように,各分野においてみなし専任教員の制度を導入しているものの,企業等で働きながら年間6単位を受け持つのはハードルが高いと指摘されていると。例えば,6単位の場合,前期2単位,後期2単位のほかに夏季集中講義や前後期のどちらか,更に2単位を担当する必要があり,最新の実務の知識を有する実務家教員が参画するにはハードルが高いとの指摘がございます。
 論点といたしまして,専門職大学院教育により参画しやすくするため,みなし専任教員の要件の担当単位数の下限を現行の6単位から4単位に緩和することについてどう考えるかということ。ただ,その際には組織の運営に責任を有する者であることを引き続き要件として教育の質が低下しないよう留意する必要があって,引き続き認証評価において確認することが必要ではないかというところでございます。
 9ページの一番上にありますように,専門職大学院制度というのは,最近,内閣府等のところでもいろいろ御議論されておりますが,実務家が教える非常にいい制度,実務家が参画されている非常にいい制度なんだけれども,この6単位という要件が厳しいから,最新の実務家ではなくて,やや最新の実務に精通していないと思われるような実務家が参画しているのではないか。そうではなくて,6単位というのではなくて,4単位でも最新の実務を教えられる人を導入することが,専任教員になってもらうことが本制度の趣旨に添うのではないかというようなことも言われているところでございます。
 長くなっておりますが,資料7をごらんください。国立大学経営系修士課程については,1のヒアリングの実施の背景というところでありますけれども,本ワーキンググループの昨年8月の報告書においても高度専門職業人養成を強化する観点から高度専門職業人養成を主たる目的とする修士課程等が専門職学位課程へ移行することを積極的に促す方策について検討する必要性が示されたことから,資料をめくっていただいて,ヒアリング対象校とあるところのように,国立大学の経営系修士課程19校のうち後期博士課程を設置しない,高度専門職業人養成のみに目的を特化等していない等の15校に対してヒアリングを行ったところでございます。
 4のヒアリング結果のところでございます。マル1にありますように,既存の修士課程においても,主に社会人を受け入れ,夜間土日開校や実務家教員の参画による地域経営人材の養成に取り組んでいるところも見受けられたと。ただ一方で,マル2のところにありますように,実務家教員を雇っているところは約38%にとどまり,多くが研究者教員が大層を占める教員組織となっていると。学生に占める社会人比率も47%と経営系専門職大学院の約90%に比べて低いということ。また,高度専門職業人養成と研究者養成の両方を目的として掲げている修士課程の中には博士の後期課程の進学者が極めて少ないところなど,研究者養成の機能を十分果たせていないのではないかというようなところも見受けられたというところでございます。また,研究者養成を目的として掲げる修士課程も含めて第3期中期目標,中期計画等で地域経営人材の養成等を掲げつつも,入学者の多くを外国人留学生や学部学生等が占めているところも見受けられたということでございます。
 事務局といたしまして,全て専門職大学院に移行すれば解決するということは考えておりません。既存修士課程でもよくやっているところはあるということは分かったところでございますが,一つの手段として本ワーキンググループで提案されたように,専門職大学院に移行することが一つではないかと考えている次第でございます。
 説明が長くなりましたが,以上でございます。
【有信主査】  前回の報告書の提言内容とそれに対する対応状況,それから具体的な問題点について全般的に説明していただきました。これは個別個別に取り上げて議論すると,これはこれでなかなか難しいんですけど,これが実は全体の話に関わるということと,それからもう一つ難しいのは,専門職大学院の専門分野別でもいろいろ違う事情があるということもあり,個別議論をやるときに全体との絡みを常に考えながらやっていかなければいけないということになってくるので,その都度いろいろ整理したいと思います。よろしくお願いします。
 今の本当にこれだけ様々な問題がありますけれども,最初にアドバイザリーボードの設置という点と教育課程,アドバイザリーボードに関しては,外部の専門家を入れて教育課程等も具体的に検討すべしと,こういうことで学校教育法が改正されたということにも関わるので,この点について少し御意見,あるいは質問等ありましたら,よろしくお願いします。
 これは最初に質問なんだけど,学教法の改正はこれでいいんだけど,もともと教育課程等については理念的に言うと大学全体でどういうふうにしていくかというのは本来教育研究評議会とか,そういう上部の組織があって,原則的には教授会で,教育課程編成のことについては議論する。実際には教授会といっても,多分それぞれの学科,専攻科というレベルのところまで落ちて検討しているんだと思いますけど。そういうこととは矛盾しないんですね,この法改正は。ダブルスタンダードになるんじゃないかという気もするんだけど。
【大月専門教育課専門職大学院室長】  御質問,御指摘ありがとうございます。本規定につきましては,資料の……。
【有信主査】  資料5かな。
【大月専門教育課専門職大学院室長】  資料5をごらんいただくと1ページ目にありますように,先ほども申し上げましたように,具体的な条文は専門職大学院は文部科学大臣の定めるところにより,高度の専門性が求められる職業に就いている者,当該職業に関連する事業を行う者その他の協力を得て教育課程を編成し,及び実施し,並びに教員の資質向上を図るものとするとなっておりまして,この法律を踏まえまして,次,文部科学大臣の定めるところによりと。具体的には省令になると思っておりますけれども,飽くまでも先ほど申し上げたような,資料5のページをおめくりいただいたようなところでございますけれども,マル1の学校教育法第99条第3項を実施するための協議体及びその役割等というところで,それを審議する協議体を立ち上げ,教育課程の編成,実施に関する基本的な事項を審議し,学長に意見を述べる役割を担うものとするということで,飽くまでも役割は学長に意見を述べるというところであって,意見に拘束されるものではないという……。
【有信主査】  それを言うと,またわけが分からなくなるんだけど。そこまで後退するとなかなか難しくなるんだけど,もともとアドバイザリーボードというのは,形式的な有識者の助言をもらうような役割だと,これは以前からもそういうものは設置されている。もう少しきちんと意見を聞くということをしようというときに,こういう形である程度強制力を持たせて,学長としても意見を聞かなければいけない。こういう話に一応なっているんですね。
 さっきの質問の意味は,こういう法改正でがんじがらめにすると,逆に言うと,また,それぞれの大学の現場から反発が出ないか。つまり,誤解したような形で反発が出ないかということが気になったので,その辺の説明をきちんとしていかないといけないと思うんですね。
 何か御意見はありますか。どうぞ。
【中山委員】  京都大学の中山です。私たちの公衆衛生専門職大学院ですがアドバイザリーボードについては前向きにお話を伺っていました。公衆衛生大学院は個人から集団レベルの人間の健康増進や医療の質の向上を目指しています。アドバイザリーボードになっていただくとしたら,一つは医療機関,もう一つは企業です。企業としては,まず製薬企業,製薬以外の医療系の企業,そして全く医療系ではない一般企業の三つがイメージできます。3点目が国,自治体などの行政で,4点目が保険者です。保険者は,限られた医療資源をどこにどういうふうに配分していくかという,非常に効く薬をみんなで使い続けられるのかというような支払側の立場の視点も非常に重要になってきます。アドバイザリーボードは大ざっぱにその四つが想定されます。
 私たちはこういったところからのニーズを聞くだけではなくて,相手側のところに私たちが見いだしている問題をきちんと明確化していただくことも大切と思います。現場ではうっすらとしか分かってないけれども,私たちが研究を通して分かってきていることをきちんと伝えると。そういった問題抽出や分析,提案を行える人材の出口としてアピールするような場にもなり得ると思いながら聞いていました。
【有信主査】  今それで具体的にはスタートしていると理解していいんですか。
【中山委員】  今議論が専攻内の教授の間で始まっているところです。
【有信主査】  ということで,かなり実質的に議論が進んでいるところもあるということで,アドバイザリーボードという言葉で何となく肩書だけある人を寄せ集めて議論しても余り意味がないなということは前の方では議論されたと思うんですね。今のような形で実質的な議論が一方で進んでいる。
 ほかに。どうぞ,片山委員。
【片山委員】  今,主査の御意見にもありましたとおり,アドバイザリーボードについて,どこまでの関与,拘束力を持った位置付けにするのかということが不明確であるような印象を受けました。一つには既に私立大学においては,法人自体の意思決定機関の中に評議委員会のような形で実務家の方々や,業界を代表する方々に入っていただいておりますし,それから,法科大学院という意味では,慶應義塾の場合には運営委員会という,最終的な意思決定機関の中に弁護士の方とか,公認会計士の方,企業の方にも入っていただいておりまして,そこで人事や予算に関する最終的な意思決定が行われております。既にステークホルダーの方々に入っていただいて,意思決定機関を構成しているということですが,このたび,それと別に法科大学院にアドバイザリーボードを設けました。そのアドバイザリーボードというのは,やはり法科大学院ですので,弁護士事務所や企業,それから海外の提携校のディーンの方々に入っていただいております。それの機能としては,例えばインターン先をあっせんしていただいたりとか,いろいろな助言を頂いたりとかという形で,意思決定には一切関与するものではなく,文字通り単なる助言にとどまっていて,その意味では法科大学院としては参考にはさせていただくけれども,拘束されるものではありません。慶應のロースクールの場合,二つのステイクホルダーの関与する組織ができたということですが,今回のアドバイザリーボードというのがどのような組織を想定しているかという点です。前者の意思決定機関への関与という趣旨ではなさそうですし,後者ということに限定してしまうということになると,場合によっては,著名人の名前を連ねるだけでアドバイザリーボードを作ったということになってしまうことも懸念されます。実質的にどう機能させて,それを担保していくのかというところをある程度想定,詰めておく必要があるのではないかと思っております。
【有信主査】  若干それぞれ受け止め方も違う。法科大学院は,既にアドバイザリーボードのようなものが機能して動いているので,その中でどういう位置付けにするかという話ですが,具体的な法律でこういう形で決められている限りは強制力が出てくるわけですよね。省令で具体的にどうこうという細目は決められるにせよ。だから,それをどういう形で織り込んでいくかという話だと思いますけど。
 ほかの分野では何か特に問題になりそうなところ……。どうぞ,淺羽さん。
【淺羽委員】  早稲田大学でも,例えば法科大学院ではアドバイザリーボードがあるというのは聞いていますけれども,ビジネススクールでも今度インターナショナルアドバイザリーボードを作ることにいたしまして,今,メンバーは大体固まっています。それは海外のディーン若しくはディーン経験者,それからあとは日本から国内の産業界のトップの人を集めて,まだ極めて小規模でございます。全部で10人弱ぐらいだろうと思っています。それは飽くまで我々の方が,つまり,ビジネススクールがこういうことをやっているんだということを伝え,聞いていただくということ。それからあとは,我々,こういう問題を認識しているんだけれども,こういうふうに対応しようと思っているんだけれども,どのように考えるかという知恵を拝借する。まさしくアドバイザーなんですね。だけど,なかなかうまくいってないところもいっぱいあるというふうに聞いています。それゆえ,比較的少人数で始めて,特に海外のディーンが来て,ビジネススクールの場合であると,向こうの方がいろいろな課題を先に考えているということがありますから,それを教えていただくということがございます。我々の方が議題を整理して,アドバイスしてもらいたいことを,困っていることを聞くということになっているので,ある意味で言うと,集まっていることに意味があるということよりは,もう少し実質的なことができるのではないかなというふうに期待はしております。
 私がよく分からないのは,具体的な改善法ではなくて,ワーキンググループでのこういう提案が出たというのは存じ上げていたので,これまでもいろいろなメンバーの方に呼び掛けるときに,これは文科省の方でも進められているんだということでお話をしてなっていただいたりとかしているわけですけれども,これを作らないと駄目になるわけですか。縛られるというのは。省令になったときには。そして,それからさっきの細かな文言のところにいろいろ御意見がありましたけど,我々が考えているのは,つまり,先ほど言ったように,アドバイスを求めるもの,あるいは議論していただくことはビジネススクールが決める。これについてアドバイスしてもらいたいんだと。あるいはこれを伝えて,産業界なり何なりに広めていただきたいんだということを我々が決めるわけですか。
【有信主査】  それは基本的には文科省なり国が具体的にアドバイザリーボードに基づいてどういうことをやりなさいというような指示はしない。
【片山委員】  しない。
【有信主査】  つまり,この法律に書いてあるように,専門家の意見を聞いて,それを具体的に反映させなさいとなっていますが,具体的にアドバイザリーボードがどう機能しているかというのは,最初の説明にもありましたように,認証評価機関によってアドバイザリーボードが機能しているかどうかをきちんと確認する。これはまだ確定しているわけではありませんが,要するに,自主的,自立的に教育課程を作っていくという観点は外せないので,それは飽くまで認証評価の役割の中できちんとやっていきましょうということだというふうに理解していますけれども,いいんですか,それで。文科省としては。どうですか。
【大月専門教育課専門職大学院室長】  済みません。まず,主査からの御質問に対して的確にお答え申し上げずに大変失礼しました。
 最終的には大学が判断するものでございますが,ただ,そう言ってしまっては何のために設置するんだということになるわけなので,その辺りはどうすべきなのか考える必要がこれからあるというところでございます。
【有信主査】  設置はしなさいと言っているんだよね。
【大月専門教育課専門職大学院室長】  そうです。設置については全ての専門職大学院で設置いただくことになると思います。ただ,既存で既に設置されているところがあるわけなので,それについてそれがそのまま移行するようなところもあるでしょうし,ただ,重要なところについて,設置しましたということではなくて,実質的に機能するような形が大事なわけでございます。まだまだ今後検討する必要があるわけでございますが,大体省令等で定めるようなイメージといたしましては,教育課程の編成及び実施に関する方針等について御審議いただいて,学長に意見を述べるというようなことで,恐らく省令レベルだとそういうようなことになるのかなと。それに関して学長が御判断をされるわけでございますが,通知レベルになるのかなと思いますが,それに向けて学長がどういう形で,大学,大学院としてどう判断いただくかということは別途御判断があるというふうに理解しております。
【淺羽委員】  済みません。私がさっき何でビジネススクールが議題を選んでというふうに申し上げたかというと,専門職大学院が作るわけですね。専門職大学院のアドバイザリーボードであって,そのアドバイザリーボードは僕に答申するわけですね。
【有信主査】  ですよね。
【淺羽委員】  ええ。僕が学長に言うかどうかは後の判断ですけれども,これだと,何で学長に直接意見を述べるのか,よく分からないんですけどね。2.のマル1のところですね。
【川嶋主査代理】  済みません。それに関連して。
【有信主査】  じゃ,関連して。
【川嶋主査代理】  今の学教法自体の99条第3項は,こういうのを作りなさいということでいいと思うんですが,2ページ目の省令で定めるというところで,今の御意見がありましたけれども,学教法の今、正に誰に意見を述べるかというところで,学教法の第93条に教授会の定めがあるわけですね。ここの第93条第3項が,教授会は,前項に規定するもののほか──前項って要するに入学,卒業とか,課程に関することです。教務事項ですね。がつかさどる教育研究に関する事項について審議し,及び学長等の求めに応じて意見を述べることができると。ですから,教授会は学長に対して意見を述べることができるということになっていて,そうしますと,この2ページ目の省令で定めるというところで審議し,学長に意見を述べる役割を担うものとすると,教授会とアドバイザリーボードがほぼ並列というか,同列の扱いになるという解釈も可能なので,先ほど淺羽委員の方から誰に対して意見を述べるのかというところが非常にポイントになるんだろうというふうに思います。
【有信主査】  そういうところで教授会の役割とバッティングしないのかというのも,最初の質問にも関わるんだけど,これもこの中で議論して整理しておけばいいと思うんですけどね。基本的には専門職大学院と言っても一つの大学の中に専門職課程があるケースと,専門職大学院単独であるケースとあって,だから,学長という言葉を安易に使うと今のような問題になる。それから,そもそもこれは教育課程の議論にも絡みますけれども,教育課程そのものの設置権限がどこにあるのか。設置というか,内容の決定権限ですね。これがどこにあるのかということで,これも基本的にはそれぞれさっき言ったように,学科なり,研究科の教授会,その場合,教授会というかどうか分かりませんけれども,教員組織の中にそういう権限が恐らく行くような構図になっているはずなんですね。だから,今のようなアドバイザリーボードの意見を聞くというときに,多分専門職大学院の専門職課程の長がそれを聞く。つまり,そこの教育,ここでは主に教育内容,教育課程について意見を聞くというような格好になっていますね。それについて言えば専門職課程の長というんですかね。大学院の長に意見を述べるというふうに理解すれば,特に今言ったような問題は起きないような気がするんですけど。はい,どうぞ。
【川﨑専門教育課専門職大学院室室長補佐】  補足させていただきます。現行の学校教育法93条の教授会の規定でございますけれども,教授会は学長が次に掲げる事項について決定を行うに当たり意見を述べるという規定の第2項第3号で教育研究に関する重要な事項で教授会の意見を聞くことが必要として学長が定めるものというふうになっております。現行,最終的に決定する権限は学長に定めているわけでございますけれども,その並びで今回アドバイザリーボードを設置して,教育課程の編成方針などについて意見を述べて,それを学長が確認するというような役割を今回のアドバイザリーボードの設置で求めてはどうかということでございます。今後細かい規定を定めるに当たって,研究科長などにその意見を聞くというようなことを定めることは考えられますけれども,現行としては学長が最終的に決定するということが今の教授会の規定ではありますので,その並びで言いますと,学長が決定するに当たり,アドバイザリーボードから意見を聞くというような運営上の取扱いが考えられるのかなと思っております。
【有信主査】  形式的にはそうせざるを得ないですね。学長のところに最終的な決定権を持っていかざるを得ないので,実質的に決定権がどこにあるかということとは別に,法律上はそういう形に整備されたと思いますので。どうぞ。
【片山委員】  今の点ですが,学校教育法第93条第3項が,括弧書きで「学長等」という形で教授会の組織の長である学部長,研究科長も含めた表現になっておりますので,学長等という理解で問題ないのかと思いました。
 それと別個の話で,ちょっと戻りますが,先ほど慶應の例で申し上げたのは,実質的なステークホルダーが,社外取締役のような形で意思決定機関に既に入っているというような場合はそれで足りるということなのか。意思決定機関とは別にアドバイザリーボードという機関を設けなければいけないのかというところですが,その点はいかがでしょうか。
【有信主査】  もちろん具体的にはいろいろあると思いますが,意思決定機関というのは。
【片山委員】  ロースクールの場合,運営委員会という意思決定機関の中にステークホルダーである企業の方とか,あるいは弁護士事務所の方,会計事務所の方,そういった人たちが入って,教員人事等決定しているわけですね。それで十分だということなのか,そことは別にアドバイザリーボードを設けなければいけないのかという点ですが。
【有信主査】  それについての何か意見はありますか。
【大月専門教育課専門職大学院室長】  先ほど申し上げたように,既存に設けられているようなところがあって,それについてまた新たにということでは必ずしもないと。ただ,既存に設けられているものの趣旨とかを確認して,そもそも今回アドバイザリーボードを設ける趣旨と合うのかどうかというようなことを確認する必要がありますので,きょう頂いている御意見を踏まえて,ちゃんと説明できるように,実質的にこのアドバイザリーボードを設けるという趣旨がなされているのであれば,ほとんど変えずにいいような形でできないのか,検討していきたいと思っております。
【有信主査】  それは多分そのとおりだと思うんですね。屋上屋を架する必要はないので,現行の実行体制がそれに合っているのであれば,それをそういう形で運用すればいいと。あるいはそれを補強するなり,補足するなり,やり方はあるような気がしますけど,それは是非よろしくお願いします。
【川嶋主査代理】  済みません。
【有信主査】  はい,どうぞ。
【川嶋主査代理】  
【川嶋主査代理】  協議体──これまでアドバイザリーボードと呼んでいます。アドバイザリーボードというと,外部の人だけが主に構成員になるというイメージが強いんですけど,協議体と言った場合は大学側と外部の関係者の方が同等の立場で参画するような組織のイメージを,私はそういうふうに理解しているんですけれども,その辺はどうなんでしょうか。多分運営委員会は両方ですよね。
【片山委員】  そうですね。
【川嶋主査代理】  ですよね。そのあたりはどういうふうに事務局は考えているのでしょうか。もしそうであれば,先ほど懸念が述べられましたが,学長に意見を述べるといったときは,教授会側と外部の人のコンセンサスの上で学長に意見を述べるということになるので,それほど問題はないかと思うんですけれども,外部の方の御意見を聞く,そういう組織体であるとなると,先ほどから少し議論になっているように,誰に対してというところが課題になってくるというふうに思います。
 それから,今の片山委員のお話で,今あるものでは駄目なのかというお話。結局,省令で定めたときに,その省令にかなっているかどうかの確認は,このマル3にあるように認証評価で行うという理解でよいのか,それとも文部科学省が直接省令に合っているかどうかの確認をするのかということについて,この2点についてお伺いします。
【大月専門教育課専門職大学院室長】  済みません。御質問,御指摘,2点ありますけれども,前者については,この資料5にありますように,教職員には入っていただくこととするということで考えております。
 後者については認証評価の確認だけでよいのか,検討いたしたいと思います。
【有信主査】  多分アドバイザリーボードという言葉を使っているので,多少混乱しているんだと思うんですよね。そこの勢いで,結局,外部意見のような形で学長に意見を述べるみたいな,つい勢いでそういう格好になっているんだと思うんだけど,そこは最終的に教育課程等々含めたものの最終決定権限は学長にあるので,そういうことに対する意見だから形式的に学長とそれに対する権限を持っている人に意見を述べるという形になるというふうに理解するしかないですね,ここの。法律でこういうふうになっている限りはね。はい,どうぞ。
【淺羽委員】  済みません,一つだけ。一つだけというか。これはそもそも何でやっているかというと,大学の外部の人に情報を発信し,外部の人から情報の提供を受ける,アドバイスを受けるということが目的なわけですね。それはどういうことかというと,教育課程を変更したりとか,改良したりとかするときに必要であって,今内部だけで議論しているとなかなかうまくいかないから,高度専門職大学院であれば学外にいる専門職の人から情報を得ましょう,アドバイスを得ましょうということですから,基本的にはアドバイザリーボードはまさしくアドバイザリーボードという名称が示しているとおり,中の人が入ってもいいけど,外の人で十分なんじゃないかと思いますけどね。そして,それを専門職大学院が置くわけですから,専門職大学院の長に報告し,その中の教授会,運営員会なりで議論して,こういうふうに改革すべきだということであれば,意見を付けて学長に申し上げればいいんじゃないかなと思います。
【有信主査】  その理解でいいと思いますけれども,ただ,単純に外部の意見を聞くということではなくて,運営に関してほかの部分でも意見がいろいろ出ています。例えば国際的な通用性の問題とか,そういう話もあるので,例えば法科大学院に国際的通用性うんぬんというのはまた当てはまらないかもしれませんが,例えば経営大学院だったらMBAという観点で見たときにどうかとかというような話もあるので,そういうことも踏まえてやる。一方で,経営大学院に関してコアカリキュラムを作るとか,それからMOTについてもコアカリキュラムを作るとかいうことで,試みに一度回したりしていますね。こういうものとの関係等も含めて多分今のアドバイザリーボードの中では議論するようなことになるんだと思うんですね。ですから,もちろん外部の本当の意味のその分野に詳しい方々で,様々な経験がある人の意見を踏まえて,議論できるようにするということだと思いますけど。教育課程で,コアカリキュラムのようなものを作る,取りあえず今作って,それの検証というか,それも今計画に入っているという説明だったわけですけれども,御意見等あれば今出しておいてもらった方がいいと思うんですけど。当面経営系とMOTについてコアカリキュラムを作ったということですけど。作った側から何か意見はありますか。
【上西委員】  MOTの場合は平成22年度に第1回を作って,その改訂版ということで28年度のコアカリをまとめさせていただいています。28年度に改訂し,産業界も含めて広報しているので,更に29年度版を作るというのは混乱を招くので,本年度は十分に28年度版に盛り込めなかった部分も含めて,教育ガイドライン,すなわちコアカリをどういうふうに活用したらいいかというのを詳しくまとめたようなものを,産業界などのステークホルダーの皆さんの意見を頂いて,作成する予定です。どちらかというとコアカリ活用の手引みたいなものを作って普及啓発活動をしていくつもりです。
 それから,専門職大学院の中でもコアカリをどういうふうに自分のところのカリキュラムに入れていっていいか分からないというような大学院さんもありますので,希望される大学院には個別に訪問して,FD研修会みたいなことを行うつもりです。具体的にコアカリ導入を個別の大学さんと議論しながら一校一校普及させていくというようなことを今考えています。
 以上です。
【有信主査】  コアカリキュラムというのは,分野によってそれぞれ考え方が違うと思うんですね。例えば教員養成系のようなところではコアカリキュラムのようなものを作る意味があるかとかということもありますし,会計大学院だと,どういう条件でコアカリキュラムを作るかという議論は少しやらなきゃいけないと思いますし,臨床心理のような場合は国家試験との絡みがありますので,それと併せて要求条件をどうするかという話がある。法科大学院のようなところは司法試験という枠があって,司法試験だけを目的としているわけではないとは言いつつも,その中でやるという話になっているの。経営系について言うと,どこまでやればいいのかというのと,今日本の中の経営系の大学院というか,ビジネススクールは,それぞれ目的が違ってやっていって,全てがここで議論されているような,国際標準にのっとったアクレディテーションを受けて,ランキングの中に名前が出るようなことを目指しているところばかりではないというところもあって,その中でコアカリをどう考えるかという議論もやらなきゃいけない。これはちょっと簡単ではないので,教育課程の議論はまたどこかで改めてやらないとまずいと思うんですね。
【川﨑専門教育課専門職大学院室室長補佐】  補足させていただきます。去年からビジネススクールのコアカリキュラムの策定に初めて取り組んだわけでございますけれども,併せてMOTも見直しを行ったということでございます。平成20年頃でございますけれども,法科大学院のコアカリキュラム,それから,会計大学院のコアカリキュラムが策定されております。その頃から見直しが進んでいないというのが一つの課題でございます。それから,公認心理師の関係でございますけれども,昨年から厚労省との間でカリキュラムに関する検討会が立ち上げられまして,その中で到達目標が策定され,先般取りまとまりましたので,それを踏まえてそれぞれの大学院のカリキュラムの見直しを行っていくこととなります。それぞれの分野で,幾つかコアカリキュラムが策定されている状況です。
【有信主査】  いや,つまり,ここの委員会として,それに対して何を言うかということですね。それぞれ進んでいるなら勝手にやってくださいと,こういう話になるわけだけど。もともと標準的なコアカリキュラムのような尺度を持つべきであるという議論があって,その上で教育課程についてこういう言い方をして,現実にコアカリのトライアルも始めているわけなので,それに対してどういう形で共通的にものを言うかということを少し整理した方がいいと思うんですね。今みたいに全体が分かるような形でやっていただけると,この委員会としてそれに対してどういう方向でやるべきだという話がまとめられると思いますので,よろしくお願いします。どうぞ。
【杉本委員】  会計専門職大学院のコアカリキュラムに関して実態と,更に併せてこの場をおかりしてお願いを申し上げたいんですけれども,今御紹介がありましたように,平成20年,会計専門職大学院に関してはコアカリキュラムの検討を行って,策定されています。ただ,そのベースになっているのは国際教育基準というものがあるわけですけれども,コアカリキュラムを策定した後,実は国際教育基準が全面改正されています。ということで,実は,会計専門職大学院の大きな役割の一つである公認会計士試験合格者を輩出するという,その立場からしますと,とりわけ日本公認会計士協会による実務補習,さらには専門的継続研修(CPE)ですね。このCPEでも国際教育基準を非常に重視しております。その立場ででも会計専門職大学院の教育の在り方に注目していただいているわけですけれども,国際教育基準に関しては全面改正されて,それ以降,コアカリキュラムの見直しは行っておりません。ということで,会計専門職大学院の集まり,協議体である会計大学院協会において今年度予算措置をしております。といっても,大きな組織ではありませんので,まずは国際教育基準の全面見直しがどうなっているのか,そこから始めて,併せてこのワーキンググループの前回の会合ででもお願いしたことなんですけれども,是非ともコアカリキュラムの見直しに関しましては,MOT,ビジネススクールの問題だけではなくて,既に策定している専門職大学院についても全面的に御協力いただければと思っております。
【有信主査】  だから,経営MOTだけではなくて,会計もコアカリのスコープには入っていますよね。国際会計基準がどんどん変わってきていて,日本の中も国際会計基準に合わせるという形で進んでいるはずですね。だから,それに合わせてコアカリキュラムをどういう形で見直していくか。これはさっきの話に合わせて,少し整理していきましょう。
 時間が最初のところで相当過ぎてしまいましたので,残り教員組織と認証評価を含めて,それぞれ御意見を伺えればというふうに思います。教員組織についてはさっきみなし教員という,また非常に理解しにくい話が出ていて,あの絵が分かりやすいかな。特にみなし教員の義務。みなし専任教員では問題が二つあって,一つはみなし専任教員と言っていいかどうか分かりませんが,兼任でしたっけ,をどこまで認めるかという話と,それから,外部の専門的な人にお願いしたときに,その人の専念義務を,今6単位となっているのを4単位まで減ずるかという問題と二つあったと思いますけど,この辺についてそれぞれのところから御意見を伺えればというふうに思います。実務家教員という話と他の課程との連携をどうするかという話で,もともとほかの課程との兼任は原則的に認めていないものについて,ある程度学部等との兼任を認める必要があるのではないか,こういう御意見があって,この辺に対して引き続き議論を進めていくということだと思いますけど。
 それから,認証評価に関しては先ほどからもいろいろ絡んで話題にはなっていますけれども,認証評価そのものをどうしていくかということ,一つは国際的に同等な基準として認証評価を進めていくという点と,専門職大学院はそれぞれ分野別評価になっているわけで,一つの大学の中に専門職課程と一般の大学の課程がある場合は,機関評価としての認証評価と専門職大学院が独自に受けなければいけない専門別評価とが二重になるわけですね。この二重になる部分について,ここだけの議論で決められる話ではありませんけれども,どういう観点があるかという話とか。どうぞ。
【川嶋主査代理】  事務局にお伺いするのですが,先日の大学院部会である委員の方が,実務家教員と言っても,4年,5年もたってしまっては,本当に実務のことが分かって教育しているのかという御意見も出ましたけれども,それを補うというふうに言っていいのかどうか分かりませんけど,みなし教員の考え方というのはある意味,教育負担を本来の専任教員よりは少なくして,できるだけ実務の最前線の教育を行ってもらおうというのが導入の趣旨だと思うんですけれども,実際みなし教員の方の流動性というのは何か調査等で把握されているんですか。どれくらい入れ代わりがあるのかという。いかがでしょう。なければ調べていただきたいと思うんです。
【大月専門教育課専門職大学院室長】  実数はアンケート調査しているんですけれども,出入り,流動性についてまでは調査したことはございません。少し検討したいと思います。
【有信主査】  今の話は実務家教員が必要なのは確かなんだけど,本当に教育をしてほしいような実務家教員というのは非常に忙しくて,なかなか来てもらえない。したがって,義務を少なくすることによって来てもらえるのではないか。こういう考え方が一つですね。
 それからもう一つは,専任の実務家教員と言っても,現場を離れてしまったのでは,5年もたつと現場の知識そのものがかなり古くなっていて,実務家教員としては役に立たないのではないかというような意見もある。もちろん全てがそういうわけではないと思うんですけど。そういう意味で実務家教員の流動性を確保する必要があるのではないかという意見が出たわけですね。
 それと本当に忙しい人にある意味で来てもらうためには,少なくとも今のオブリゲーションは少し軽くすべきではないか。この二つの意見だと思います。どうぞ。
【中山委員】  私たちの領域で,みなし教員ということを今まで考慮したことがないので,質問させてください。いろいろな公衆衛生,医療の最前線の方に非常勤講師として単発で来ていただくことはよくあります。それで対応できないのかということが1点目の質問です。
 2点目は,みなし教員の方は雇用することになるわけでしょうか。その方は二つの職を持たれるわけでしょうか。
【有信主査】  専任教員,そこは難しいですね。兼任とは違うんですね。
【中山委員】  兼任ではなくて,全く外の会社の方が来られるということですから,会社からの給与と雇用した大学からの給与でという形が一般的なわけですね。
【有信主査】  そこはどうなっているんだっけ。
【中山委員】  それはまた組織によって違うのですね。
【川﨑専門教育課専門職大学院室室長補佐】  1点目のいわゆる非常勤講師と何が違うのか。単位数という意味で4単位とか,6単位ぐらい担当して,非常勤講師として大学で教べんをとられている方もいられると思うんですが,現行のみなし専任教員の規定は大学の管理運営に参画するということが要件となっておりまして,具体的には,一般的に教授会メンバーとして専門職大学院の運営に参画いただくという取扱いが多いかと思います。単なる授業を受け持つという以外にいろいろな助言をいただけるという役割があるかと思います。
 あと,雇用の関係でございますけれども,法令上,雇用の取扱いまで書いておりませんので,雇用される方との契約で形式は様々かと思います。
 以上でございます。
【中山委員】  ありがとうございます。
【有信主査】  専任教員の数の規定があって,何人以上の専任教員をそろえなければいけないということで,更にそこに加えて実務家教員の比率を何割にしなければいけない,こういう規定もあるものですから,今のような形にならざるを得ないということです。
【中山委員】  はい,ありがとうございました。
【川嶋主査代理】  よろしいですか,今の点ですが,専任教員とは何ぞやということが,ずっと前々から大学分科会などで論点として出ていまして,結局,専門職大学院の場合は実務家教員という方はその大学院以外にほかの大学では専任扱いになっていないというだけで,本来は本職をお持ちなんですね。その辺に歯止めを掛けるために外形的な設置の際の参考基準として月給20万円とか,週何日以上大学に勤務とかとあるんですけれども,我々100%大学を専任にしている者から見ると,このように,大学は一つの大学で専任であっても,大学外で他のお仕事をお持ちのような勤務形態になりますと,教授会のメンバーで大学の管理運営に参画しているにしても,本当に大丈夫かなというふうに懸念するケースがままあります。特に設置審査の経験からすると,危惧する場合もあります。ですから,本当に専任教員というのはどういう人をもって専任と考えるかというのは,ここだけでは決められない話かもしれませんけれども,少し今後制度も検討されるようですので,そういうところで改めて検討していただければというふうに思います。
【有信主査】  淺羽委員。
【淺羽委員】  みなし教員の単位数というんですか,それを下げるのはよろしいと思います。どちらでもいいかというか,特に意見はないんですけど。実務家教員を入れているときに,最先端の知識が四,五年でなくなっちゃうから,だから何とかしなきゃいけないというのだと,もし実務家教員を入れなきゃいけないということがあって,その狙いが最先端の情報を大学で教えるということであれば,さっき中村先生がおっしゃったように,まさしく非常勤とかでやらざるを得ないので,専任教員として採用したらば,それは6年だろうが,7年だろうが,8年だろうが,ずっとやることになるわけですから。だから,そこでまず矛盾があるわけですよ。実務家教員を何で入れるのかというときに,最先端の情報だけを期待しているんだったらば,それは無理ですと。実務家教員何人やらなきゃいけないという,入れること自体が。それは非常勤でやってくださいというしかないだろうと僕は思いますね。
【有信主査】  ということで,少し実務家教員とは何ぞやという話と専任教員とは何ぞやという話を,ちょっと議論しないといけないかもしれないですね。専任教員に関しては実は文科省の中も明確な定義を持っていなくて,これが専任か,専任でないかという判断が極めて難しくなっているんですね。だから,これをきちんと定義ができるかというのが現状に照らし合わせるとなかなか問題もあるんだけど,川嶋主査代理の言われたように,どこかできちんと議論せざるを得ないかもしれないですね。
 ほかに御意見ありますでしょうか。
【上西委員】  教員組織のところです。もう一つ,ダブルカウントの問題があるかと思います。我々の大学でも修士課程を専門職大学院に移行することをいろいろ検討していますが,その際,一番大きなネックになるところが専門職学位課程と学士課程との間の兼務のところです。そこが今禁止されているので,そのことがかなり厳しい条件になります。ほかにも修士課程と専門職学位課程の兼務の話ももちろん大きいですけれども,学士課程との間の兼務ができないとなっているところが,いろいろな改革や地域のニーズに合わせたような教育プログラムを作ろうと思ったときに大きな障害になっています。是非そこのところは,この委員会で議論を進めていただければと思っています。よろしくお願いいたします。
【有信主査】  そこについて法科大学院の方もそこを緩めるべきだという御意見だったんですよね。
【片山委員】  法科大学院の方は別に特別委員会が立ち上がっていますので,恐らくそちらで議論を進めるということになるのかと思いますが,本ワーキンググループにも関連するということでお話しさせていただきますと,ロースクールの場合は学部との連携ということが一つの大きな課題であろうということで,今期の特別委員会でその点を中心に議論しております。そこでは,専門職大学院であるロースクールと学士課程との連携というのは不可欠だという認識ですので,人事であるとか,カリキュラム等に関して,専門職大学院の教員が関与できる枠組みがどうしても必要ではないかということになりますので,専門職学位課程と学士課程との間の赤い点線の部分をなるべく実線に移行できるような議論をやっていただければというのが一つございます。
 それから,ロースクールの問題としましては,そもそも教員資源に限りがあるところを,既存のグラデュエート・スクールの修士課程と,専門職課程であるロースクールとが二分され,その際に有力な教員,力のある教員がロースクールの方に流れてしまって,修士課程の方で教員や研究者の養成を基本的にはやっているにもかかわらず,その部分がかなり手薄になってきているという点もあります。
 研究者養成としては,ロースクール経由でドクターに行くという選択肢もありますが,既存の修士課程経由で後期博士課程に進んでいるという現状に鑑みますと,やはり,既存のグラデュエートとプロフェッショナルとの間でも,ある程度恒常的な意味でのダブルカウントを検討していただければ有り難いと強く思うところではあります。
 理論と実務という意味で,特に法学のような実学の分野では,必ずしもせつ然と両方が分けられるわけではないですし,それから,専門職の養成ということは重要でありますけれども,専門職養成では研究は必要ないのかといえば,それは必要で,そういう意味では本来,分離できないものを無理やり分離しているのではないかとも思われます。アメリカですと,当然プロフェッショナルスクール一本化で,その中で研究者養成も行っている,研究も行っているということですので,その辺りを完全に分離した形の教育システムがコストの面でも,効率性の面でも,果たして妥当なのかという点は法学者としては心配な部分がありまして,そういう意味で二つの学位課程の間の横のダブルカウントということも検討していただければと思っている次第でございます。
【有信主査】  もともとダブルカウントを禁止しているのは法科大学院の教育の質を確保するためにダブルカウントのような形で教育の質が落ちるということを避けたいという意図で今のような規定になっているというふうに聞いていますけれども,この点に関してどうですかね。どうぞ。
【添田委員】  失礼いたします。教職大学院の方は,教員養成系の大学院はほとんど一本化ということで,既設の大学院から全て教職大学院の方に移行するということがございます。そうなりますと,やはり学部を持たせていただかないと,なかなかやっていけないということになってまいります。特に教職大学院の方は,今学部の方では実践的指導力ということを非常に求められているんですが,そういったことを養成できる教員が教職大学院の方にたくさんいらっしゃるということですので,学部の質の改善のためには教職大学院の先生方の力がどうしても必要だということは事実で,ダブルカウント等緩和していただくということは非常に望ましいことなんですが,その一方,先ほどから主査が御懸念されていますように,そうなりましたときに,教職大学院の先生方の負担が非常に大きくなるのではないかという懸念も教職大学院を担当している者としましてはするところですので,エフォートとか,そういうものが難しいとしても何らかの配慮等々ということも必要なのではないのかなと。大変矛盾したお願いかと思うんですが,その辺りいろいろと御示唆いただければと思っております。
【有信主査】  内容的には必要だけど,数の観点というか,そういう点から考えるといろいろ心配があると。そっちはどうですか。
【松﨑委員】  臨床心理分野は今公認心理師のカリキュラムの検討会がちょうど終わったところでございますけれども,公認心理師の資格の仕組み自体が学部と大学院という形の,実質的には6年制に近い形の資格になっております。そうしますと,専門職と学部が分離されているというのは教育カリキュラム上でこれからかなり難しくなるのではないかと思っております。ただ,専門職大学院は,教職のところと同じですが,結構ハードなカリキュラムを組んでおりますので,教員の負担がどのくらいになってくるだろうかという危惧もございます。ただ,学部の先生方の御協力を得られると,もっと幅の広いといいますか,いろいろな形のカリキュラムになっていけるかなというところもございまして,今ちょうどそこの検討をしなければならないところでもございます。そういう意味ではダブルカウントがどういう形になるかというのは非常に大きい問題ではないかと思っているところです。
【有信主査】  この整理された図の最初のところの図で言うと,学士課程,修士課程,博士課程というふうに書いてあるところは,全てみんな兼任が認められる,兼任というか,ダブルカウントというか,同じ人がみんな教えられる。専門職に関して言うと,学部との間に切れ目を入れて,同じ人がダブって教えるようにすると,やっぱり手を割かれるので,質が落ちるという懸念があるので,こうしています。こういう話なんだけど,例えば今の教職大学院とか,公認心理師のようなケースだと,どちらかというと専門職課程の方がメーンになってくるわけですね。最終的にどう整理されるか分かりませんけど。そういう形になってきたときに,例えば教職大学院のようなところは明確に今の教員養成系の大学院は教職大学院に移行するという方向で動いているわけで,そうなったときに,例えば修士課程がなくなったら少なくともダブルカウントも何もなくなるんですか。
【川﨑専門教育課専門職大学院室室長補佐】  新しく教職大学院が設置されたあとに既存の修士課程に学生さんが残られる間は専攻としては設置されていますので,そういう意味では過去に,専門職大学院においては,平成25年度までに認められた時限付きとして,修士課程等とのダブルカウントを認めていた時期もございました。修士課程から専門職学位課程に移行するときには,特に横の同レベルの修士課程との兼務の必要性が認められるという印象がございます。
【有信主査】  ダブルカウントが認められている間に全部移行してしまえば,それはそれで何の問題もないわけですよね。
【川嶋主査代理】  よろしいですか。
【有信主査】  はい,どうぞ。
【川嶋主査代理】  ですから,分野によってかなり事情が違っているように思います。例えば,教職大学院のお話がありましたように,教員養成系大学では,何年かたつと一般の大学院の修士課程がなくなって,結局ダブルカウントは専門職大学院と学士課程の必置教員についてどう考えるかという話になるのですが,先ほどの片山委員のお話は,ロースクールですと,学士課程もあり,一般修士もあり,専門職大学院もあるという三つの課程で,更に今でもドクター,後期は持てるということになると,非常にたくさんのティーチングロードといいますか,負担が増えてきて,これを全部必置教員数の一部としてダブルあるいはトリプルカウントとするかと考えても,かなり複雑な問題が起きてくると予想されます。ロースクールの場合,学士と専門職の関係も重要だけれども,修士と専門職の関係も重要だということになると,教員のエフォート管理といいますか,負担がかなり過重になるおそれがあるので,この辺りは分野ごとにどういう課程間の関係があるかというのをきちんと整理した上で,ケース・バイ・ケースで議論していかないと,一律には難しいような印象を今の時点では持っております。
【片山委員】  よろしいですか。
【有信主査】  どうぞ。
【片山委員】  今御指摘のとおりだと思うんですけれども,教員のエフォートというときに,実際に授業を何コマ持つかという意味のエフォートという意味では,既に今組織は違っても,授業は我々学部でもやっていますし,学部の先生方も法科大学院で授業を担当されています。それを考えますと,そういう授業負担のエフォートというよりも,むしろカリキュラムとか,人事に関する決定に加わるかどうかというところのエフォートで,確かに教授会に複数入らなきゃいけないということになると,それも大変なことと言えば大変なことなんですが,例えば学部のカリキュラム等にロースクールの教員が今全く関与できないという中で一体的な連携はとても図れないという状況ですので,エフォートというときに何のエフォートなのかという話をもう少し慎重に御議論していただければと思っています。
【有信主査】  だから,単純に兼任を認めないというのは,その分,両方に手が掛かって質が保てないということだったので,そうだとすれば,例えば数の上で少し制限を設けてというか,数の条件をより高い位置に決めて,ダブルカウントを認めるというようなやり方が多分あるかもしれない。もしそういうことを共通的にきちんと整理しようとするのであれば,エフォート管理のような形で,どれぐらいのエフォートの足し合わせがどれだけの条件であれば,双方のダブルカウントが認められるというような基準を作るか。
【川嶋主査代理】  済みません。
【有信主査】  はい,どうぞ。
【川嶋主査代理】  ちょっと事務局に確認したいんですけど,資料6の今主査から紹介があった図の方なんですけれども,図の右側の方で,専門職学位課程,一番右に必置外専任教員というのがあって,その左側に赤字で必置内専任教員というのがあって,青印で教授メンバーというのがあって,必置外の専任教員でも専任教員であれば教授会メンバーになるんじゃないですか。何で青印のところだけが教授会メンバーになっているんですか。
【川﨑専門教育課専門職大学院室室長補佐】  飽くまでも青い方がいわゆる教授ということを指していまして,白い方は,例えば准教授とか,助教といったような教授以外の職位をイメージして矢印を引っ張っておりまして,大学によっては教授の方以外も教授会のメンバーに入れることは制度的にも認められておりますので,教授の職位以外の方を教授会メンバーに入れるということはあり得ることだと思うんですけれども,表上は職位が教授の方を教授会メンバーとして整理した表として提示させていただいたものでございます。
【川嶋主査代理】  必置外専任教員が教授の場合は教授会メンバーですよね,今の御説明に従えば。ということは,先ほど片山委員のお話があったように,別の課程の教育課程に対しても責任を持つということになります。教授会メンバーであれば。必置外教員でも,教授会メンバーであれば,その課程の教育に責任を持てることになります。
【川﨑専門教育課専門職大学院室室長補佐】  必置外教員で教授であれば教授会メンバーになることが可能だと思いますので,先生おっしゃるとおりだと思います。
【有信主査】  これ,どういう形でまとめますかね。実際に例えば兼務できる範囲というところで,それぞれの希望があって,その希望の範囲で,ダブルカウントを認めるとしたときに,今度はダブルカウントを認める範囲をどこまでの人数にするか。つまり,専門職課程の中で全員に認めるのか。あるいは一定割合の範囲だけ認めるのか。一定割合の範囲で認めるとすると,そのときの認め方の基準をどうするのかということで,全体のエフォート管理の中で矛盾がないような形を決めれば,これは共通にどの分野でもこの範囲ということで決められるということになると思う。したがって,例えば学部教育の教員と専門職課程の教員とという選択肢が一つ。それからもう一つは,専門職課程と修士課程との兼任を認めるかどうかという話がもう一つありますけど,この範囲でどうするかということですね。博士課程との間の兼任は現状では認められているわけで,兼任というか,ダブルカウントは認められるという状況になっている。少なくとも範囲だけの議論からすると,こういうことで,今出ている議論はとにかく学部とのダブルカウントは教育効果的にも非常に意味があるので認めるべきである,こういう意見なんですね。簡単に集約してしまうと。
【川嶋主査代理】  済みません,今のことで確認。
【有信主査】  はい,どうぞ。
【川嶋主査代理】  同じ段階の課程での専任教員をダブルカウントすることは現行ではいずれにしても駄目なんですね。例えば,ある研究科の修士課程と別の研究科の修士課程は……。
【有信主査】  それは駄目だね。
【川嶋主査代理】  同一の課程なので,ダブルカウントは認められない。今回,専門職大学院と一般の修士課程とのダブルカウントを認めてしまうと,その原則は崩れてしまうわけですけれども,これについては何かお考えはあるんでしょうか。それも今後ここで議論すればいいということ。
【川﨑専門教育課専門職大学院室室長補佐】  昨年8月にまとめられた報告書におきましても,同一課程の兼務については現行制度上認められていないので,このワーキングでの御意見としては,制度全体として適切な場において全体的な議論が必要だというふうにまとめております。本ワーキングから御意見を頂くことはよろしいかと思います。
 もう一点,先ほど有信主査からもございましたけれども,今回示させていただいた論点の中で,兼務できる期間として,時限付きと恒常的という二つの論点がございます。その場合,時限付きの措置については旧制度におきまして,必置教員の3分の1までに限っては学部と修士との兼務を認めていた実績がございます。その場合,報告書に記載させていただいた横の同一レベルの課程との兼務というのが恒常的な措置を判断する際には全体的な議論が必要であるというふうに指摘させていただいているかと思いますので,今回ワーキンググループでの御議論を頂くときに時限付きと恒常的に分けて,過去に採用していた横の同一レベルの課程とのダブルカウントの実績も踏まえまして,御議論いただければと思っております。
 以上でございます。
【有信主査】  時間がそろそろ来てしまったので,この議論,それぞれのところで最終的にまだまとめには至っていないんだけど,大体どういう方向でまとめるかというのは今の議論の中で個別には分かったと思いますので,次回以降は具体的な方向性をきちんと示した上で,その中で問題点があり,なしということで整理していきたい。それから,より深く議論を深めなければいけないテーマについては,別に取り上げてしっかり議論するということにしたいと思います。かなりテクニカルにどうするかということで議論をまとめていった方がいいような問題もありますよね。だから,そこの部分についてはそういうことできちんと整理して,大学院部会に上げるものについてはあげるということにしていければというふうに思いますの。
 ということで,申し訳ありません。ちょっと議論が発散したままで終わりますけど,そういうふうに御承知おきください。事務局から今後の予定等についてお願いします。
【大月専門教育課専門職大学院室長】  資料8をお手元に御用意願います。今後のスケジュールでございますが,具体的な日程はまだ今後調整させていただきたいと考えておりますが,7月中に第3回のワーキンググループを開催させていただきまして,本日多数の御意見を頂きましたアドバイザリーボードと教員の組織の在り方,ダブルカウント等についてもう少し具体的な形で資料をお示しできないか,事務局で検討を進めたいと思っております。必要な事項につきましては大学院部会とか大学分科会で御審議いただくこともあるかと思いますが,また,アドバイザリーボードの関係については先般成立した学校教育法の改正で認められた専門職大学と同時にやる必要もありますので,そのようなものに,具体的にはアドバイザリーボード等でございますが,必要なものについては本年秋をめどに策定できればなというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。
【有信主査】  きょうは新しい期の最初の会議なので,それぞれ皆さん方に御意見を言っていただきました。次回から具体的に個別個別に整理ができるようにしていければというふうに思っていますので,よろしくお願いします。
【大月専門教育課専門職大学院室長】  細かいものでございますが,アドバイザリーボードは秋よりはもう少し早くなるかも分かりませんが,その場合にはきょうの御議論をしっかり踏まえて説明できるような形でやりたいと思いますし,次回には必要なものについてお示しできると思っております。
【有信主査】  それでは,申し訳ありません。時間が少々過ぎてしまいましたけれども,本日はこれで閉会にしたいと思います。どうもありがとうございました。

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