共通到達度確認試験システムの構築に関するワーキング・グループ(第1回) 議事録

1.日時

平成28年5月26日(木曜日) 16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 共通到達度確認試験システムの構築に関するワーキング・グループの運営について
  2. 第2回共通到達度確認試験試行試験の結果及び今後の検討課題について
  3. その他

4.出席者

委員

(専門委員)池田千鶴,磯村保,上田信太郎,大貫裕之,片山直也,佐伯仁志,酒井圭,宍戸常寿,高橋真弓,西山卓爾,花村良一,日吉由美子,山本和彦の各委員

文部科学省

義本大臣官房審議官(高等教育局担当),北山専門教育課長,塩田専門職大学院室長,川﨑専門職大学院室室長補佐,真保専門教育課専門官

オブザーバー

(有識者)小粥太郎,橋爪隆

5.議事録

(1)共通到達度確認試験システムの構築に関するワーキング・グループの運営について
事務局から,資料1に基づき本ワーキング・グループの設置等について説明があり,主査代理に佐伯委員が指名された。

(2)共通到達度確認試験システムの構築に関するワーキング・グループの公開に関する事項について
  事務局から,資料2に基づき,本ワーキング・グループの公開について説明があり,原案のとおり決定された。また,公開に関する規定に基づき,この時点から会議が公開された。


【山本主査】  本ワーキング・グループを開始するに当たりまして,主査である私から一言御挨拶を申し上げたいと思います。
  本ワーキング・グループの対象である共通到達度確認試験というものは,御承知のとおり,法科大学院の教育の質を保つということで非常に重要な位置付けがされるものであると理解をしております。
  そして,本日御紹介がありますように,先頃第2回の試行試験が終了いたしました。今後,第3回,第4回試行試験を積み重ねていきまして,現在の予定では平成30年度,したがいまして2019年の初め頃には本格実施がされるということになっていくわけであります。
  月日のたつのは早いもので,経験でもそうですが,ぼうっとしているとすぐその日が来てしまうという,原稿の締切りなどは,そのようなことが往々にしてあるわけですが,これは重要な試験ですので,そのようなわけにはまいりません。しっかりとした準備をしていかなければならない,議論を積み重ねていかなければならないということで,本格実施を見据えた真摯な議論をしていくためには,法科大学院特別委員会の下に設けられた,中教審の下のワーキング・グループという位置付けが適当なのではないかということで,今回の改組に至ったということでございます。
  ただ,議論の実質につきましては,これまでの調査検討会議を引き継ぐということでございまして,私自身はこの調査検討会議は非常にいい議論ができた,非常にざっくばらんに議論ができたと考えております。主査としましては,引き続きまして委員の皆様に是非率直に,活発に御議論をいただきたいと考えておりますので,よろしく御協力のほどお願い申し上げます。
  それでは,続きまして,文部科学省からも一言御挨拶をお願いいたします。

【義本大臣官房審議官】  事務局を代表しまして,一言御挨拶させていただきたいと存じます。委員の先生方におかれましては,御多忙の中にもかかわらず,この共通到達度確認試験システムの構築に関するワーキング・グループの委員をお引き受けいただきましたこと,誠にありがとうございます。御礼申し上げたいと存じます。
  山本主査からのお話にありましたように,この到達度試験につきましては,昨年の6月にまとめました法曹養成制度改革推進会議の決定に基づきまして,ロースクール改革を30年度までにしっかりやっていくという一環の中での,法科大学院教育の質をどう維持・向上させていくのかという観点からの位置付けになっているところでございます。
  お話ございましたように,これまで2回の確認試験を試行として実施していただきましたけれども,平成30年度を目途にしまして本格実施ということを見据えながら,この試験のこれまでの試行の課題を踏まえながら,その目的,実施主体,あるいは実施体制等,具体の制度設計について本格的な議論をいただきたいということで,中教審の法科大学院特別委員会の下に設置いただくものでございます。
  本ワーキング・グループにおきましては,共通到達度確認試験の試行試験で明らかになりました課題への対応ですとか,本格実施に向けてありますような課題としての進級判定への活用の方法ですとか,あるいは実施主体等の論点につきまして御議論いただきたいと思っておるところでございます。
  委員の先生方におかれましては,いろいろな形で御審議いただき御負担を掛けることになろうかと思いますけれども,法科大学院教育全体の質保証のために積極的に御審議をいただきますように,よろしくお願いしたいと存じます。
  よろしくお願いいたします。

【山本主査】  ありがとうございました。
  それでは,中身の議論に入っていきたいと思いますが,本日は第2回試行試験の結果,あるいは第3回試行試験に向けた論点,更に本格実施に向けた検討事項について幅広に御議論いただきたいと思っておりますが,それぞれが関係を持っておりますので,まず事務局の方から,一通り資料について御説明をいただき,その後,それぞれの論点について意見交換をしたいと思います。
  なお,現在は検討チームと名前が変わりましたが,従来の推進ワーキング・グループに依頼しておりました,第3回試行試験の試験範囲及び試験時間についても,検討結果をおまとめいただいたということでありますので,併せて事務局から御説明をお願いしたいと思います。

【塩田専門職大学院室長】  それでは,資料を説明させていただきます。まず,第2回の試行試験の実施結果について御説明させていただきたいと思います。資料は3のシリーズでございます。
  まず資料3-1でございますけれども,2の実施結果にございますように,参加大学は60大学,受験者数は1,153名ということで,約4割の学生が受験したということになってございます。3科目合計の平均点は,ここに書いてございますように未修1年が153点,2年が165点,既修2年が176点といったような分布になってございます。
  続きまして,資料3-2を御覧ください。資料3-3が作問委員の先生方におまとめいただきました報告書の本体でございますが,資料3-3を事務局が概要としてまとめたのが資料3-2でございます。時間の関係上,資料3-2の方で御説明させていただきます。
  まず,下線部を中心に御説明させていただきますけれども,基本的に,基本的学修内容の修得を確認できるような問題を出題したということ。また,過去の法学既修者試験で出題された問題も使用しているということ。学生へのフィードバックということにつきましては,学内成績との比較分析を行っていただくため,各法科大学院へ提供しておりますけれども,成績評価に流用できないよう,4月以降に送付しているということでございます。
  実施上の課題といたしましては,実施日が平日であったために,社会人学生の参加が困難だったという指摘がございました。
  次のページでございますけれども,視覚障害を有する学生につきましては,実施校の判断で1.5倍の回答時間という運用でございましたけれども,本格実施の際は十分な検討が必要という御指摘でございます。
  また,参加学生や法科大学院へのフィードバックにつきましては,今後も更に検討する必要があるという御指摘でございます。
  次に,試験結果の分析でございますけれども,試験結果は概(おおむ)ね良好であった,未修1年の平均点は昨年度と大差がなかったということ,また,学年,既修・未修によって成績に有意な差が生じた。未修の1年と2年でも確実な進捗が認められる。一方で,未修者と既修者の間には,2年次においても一定の差異が認められることが明らかになったとの御指摘でございます。
  続きまして,3ページの出題範囲でございますが,出題範囲は基礎的な問題を中心としつつ,発展的な問題も一定数出題している。また,今回は出題範囲を限定していないが,法科大学院によって教育課程が異なる場合の対応を今後検討する必要があるというような御指摘を頂いております。
  続きまして,問題形式といたしましては,正誤式問題と多肢選択式問題のバランスについて,今後慎重な検討が必要という御指摘。また,マークシート方式で基本的な知識を確認することは十分可能であるという御指摘。
  次に,問題の難易度につきましては,発展的な問題について正答率が低い傾向が見られたということと,基本的な知識の定着度を確認するという趣旨から,水準を下げて,専ら基礎的な知識を問うべきという理解もあり得るけれども,それには限界があるのではないかというような御指摘がなされてございます。
  次のページでございますが,特定の分野で正答率が著しく低下するような状況が認められなかったことから,前回と比べて出題数を増やしてやっていただいたことによる有意な影響は特に見受けられないということでございまして,昨年度と同程度の問題数であっても理解を確認することは十分に可能という御指摘を頂いております。
  また,問題作成体制につきましては,民法,刑法の点検委員に弁護士の先生に加わっていただきましたが,実務的観点から適切な指摘を頂くことができ,重要な意義を有しているという御指摘でございます。ただし,科目の特性によっては異なる部分もございますので,更に検討が必要ということでございます。
  続きまして,資料の3-3のかなり大部な資料に,実際の問題ですとか正答などを付けておりますので,お時間のあるときに御参照ください。
  続きまして,参考資料に飛ぶのですけれども,参考資料1を御覧いただければと思います。参考資料1が,第2回の試行試験を受けた学生にアンケートを採った集計結果でございます。まず問2で試験を受験した理由といたしましては,これは複数回答しておりますけれども,回答した学生の半分ぐらいが力試しであるとか,今後の復習に役立てるためといった項目にチェックをされているということでございます。問3では,大体6割とか7割ぐらいの学生が,試験対策は行わなかったという回答をしておりまして,その理由が問5の方に飛ぶのですけれども,ロースクールにおける学修成果を測る試験であることといったところが多数を占めてございます。また,問6にありますとおり,試験の難易度については適切であったという回答が多数を占めております。また,問7でございますが,試験時間については,憲法,民法については若干余ったというような回答も一定数見受けられます。
  4ページでございますが,問8でメリット,デメリットということを聞いておりまして,メリットというところにつきましては,法科大学院の学修が身に付いているか確認できるということや,ウにありますように今後の学修に生かすことができる,このようなメリットを指摘していただいているとともに,デメリットといたしましては,特にないというのが一番多くはございましたが,エの試験を受けること自体が負担になるといったような御指摘も一方であったということでございます。
  5ページの問11でございますが,新規4科目を追加することに意味があると考えますかという問いに対しては,意味があるという答えが半分以上を占めているということでございます。また,自由記載の主な意見というところでは,試験時間,休憩が長過ぎる,途中退席を認めるべきだとか,復習のために速やかに詳細な解答,解説が必要だ,試験場で配布するべきといったような御指摘を頂いているというところでございます。これが第2回の試行の結果報告でございます。
  次に,第3回の試行に向けた論点ということの資料を御説明させていただきたいと思います。資料4からでございます。資料4が論点を整理したものでございますけれども,前提といたしまして,資料5を先に御覧いただければと思います。第3回の試行につきましては,前身組織でありました調査検討会議におきまして,基本的枠組みという大枠は既に昨年11月に決めているところでございます。簡単に御説明いたしますと,1ページにありますように,第3回につきましては1年次は3科目,2年次は7科目でやる。これを1日で実施するということでございまして,7科目にすることに伴いまして試験時間や出題範囲などについては推進ワーキング・グループにおいて専門的な検討をしてくださいというような宿題を出していたということでございます。
  3ページ,実務家の関与というところにつきましては,第2回の結果を踏まえた上で,引き続き積極的に検討を進めるというような方針が定められていたということでございます。
  続きまして4ページでございますが,実施体制としましては,真ん中のぽつにありますように,従来,東京大学,京都大学,一橋大学にやっていただいておりましたけれども,国立大学を1大学追加する方向で検討ということで,これは具体的には神戸大学に御参画いただいているというような状況でございます。これが既に決まっていた基本的な枠組みというのが,この資料でございます。
  さらに資料6を御覧ください。これが新規4科目を追加するに当たりまして,試験範囲とか試験時間をどうするかということについて,下部組織で御検討していただきました検討結果の報告でございます。資料6の1にありますように,試験範囲をどうするかということですが,一部を指定又は除外するかどうかは科目ごとの判断に委ねることとする。試験範囲を限定する場合は,適切な時期に受験生に対して周知を行うということが報告されております。
  その考え方でございますけれども,考え方の二つ目のぽつですけれども,各大学の進捗状況を全て考慮しようとすると問題作成が難しくなるとともに,除外された範囲については勉強する必要はないというメッセージを発してしまう恐れがあることから,試験範囲を限定せずに,出題問題の数を限定したり,難易度を下げたりして対応することも一案だということではございますけれども,次の2ページにございますように,これらの考慮事項は科目によっても事情が異なるということでございましたので,試験範囲を限定するかどうかは科目ごとの判断に委ねることが適当というのがワーキング・グループの検討結果ということでございます。
  また,試験時間につきましては,憲・民・刑の時間をどれぐらい取るかということを,まず確定することは必要でありますけれども,新規4科目について三,四十分程度とすることで,1日で実施することは可能ではないかということを報告いただいております。
  また,時間短縮のために複数科目を一括して実施することの可能性にも言及しております。具体的なタイムテーブルは,この資料の9ページ,10ページに書いてございまして,9ページは新規4科目を30分でやる場合というようなタイムスケジュールで,複数科目を一括でやる場合と各科目独立でやる場合で二つに分けてやっております。朝は大体9時からが限界だろうという御指摘がありましたので,9時からスタートということで想定しています。
  次の10ページが新規4科目を時間を10分多めに取って,40分取ってやった場合といったようなタイムスケジュールの案を御報告いただいております。
  これを踏まえまして,資料4がこれらを踏まえた論点整理ということになっています。各科目の試験範囲につきましては,先ほど御説明しました推進ワーキングの報告を踏まえて,各科目の判断に委ねることとしてよいかどうかというのが一つ目の論点でございます。
  次の論点が憲・民・刑の試験については,同一問題でいいかどうかということでございます。第2回の試行試験の結果ということで,同一の問題でも有意に差が生じたということで,同一問題でも対応可能ではないかという御報告は頂いておりますけれども,そこをどう考えるかということでございます。
  また,試験を1日で実施することを前提としまして,各科目の試験時間をどう設定するかということであります。第2回の結果を踏まえますと,憲・民・刑につきましては,第1回目程度の時間,問題数で理解度を確認することができるのではないかという報告を頂いております。
  このような見解を含めまして,これをどう考えるかということでございます。矢印に書いてございますのは,検討チームに対して,この課題に対して何らかの専門的な検討をもし依頼する必要があれば,依頼することも可能だということを示してございます。
  法曹実務家の関与の在り方ということでございますが,第2回におきましては,先ほど御説明しましたように,参加した刑法,民法では有益であったということでございますが,それを踏まえて法曹実務家の関与をどう考えていくかという論点でございます。
  次のページでは,第3回試行試験の実施スケジュールでございます。先ほども第2回の報告書に,社会人のことを勘案する必要があるというような御指摘もございましたが,第3回についてはどうするか。例年どおり3月の平日に実施し,第4回については本格実施を見据えて進級判定等への利用を考慮した実施時期とする方向でどうかということを書いてございますけれども,ここについても御審議いただければと思います。
  確認試験の解答方式につきましては,マークシート方式の試験によって対応可能ということでございますので,マークシートでいいのではないかということを案として書いてございます。また,学生アンケートでの指摘事項への対応ということで,先ほど御説明しましたけれども,このような事項について対応する必要性があるかどうかというようなことでございます。
  これに関連いたしまして,参考資料の2を御覧いただければと思います。参考資料の2が,各法科大学院に対しまして第4回の試行試験の実施日程について,どのあたりが適切と思いますかということを聞いたものでございまして,全法科大学院の回答71校のうち,一番多かったのが2月12日から2月18日といったような枠の中が多かった。ちなみに募集停止校を除いた場合も同じような形で,このあたりの期間が一番多かったということでございまして,2ぽつにございますように,期末試験の終了後というような回答が29校あったということでございます。3ぽつにありますように,進級判定に利用する場合には,2月の下旬ぐらいにはその結果が欲しいといった回答があったということでございます。あとは土日祝日に実施する場合の留意点の主な回答を,ここに挙げてございます。
  当面の検討スケジュールとしては,本日5月26日第1回ということでございまして,先ほど申し上げましたように,検討チームに何か依頼するのであれば依頼しても大丈夫ということでございます。それを踏まえまして,第2回におきまして,第3回についての基本的な方向性を策定していきたいということでございます。
  ちなみに基本的な方向性というものがどのようなものかといいますかと,このファイル机上参考資料集の5番を見ていただければと思うのですけれども,この5番が第2回の共通到達度確認試験の基本的な方向性ということで,基本的にはこれを第3回にリバイスしていくというような作業でございます。
  先ほど御説明した第3回の論点整理で大体ポイントを押さえておるのですけれども, 1点だけ論点整理表に若干書き忘れていた点がございまして,第2回の基本的な方向性の3ページの出題範囲,難易度というところでございますけれども,第2回につきましては枠囲いの三つ目でございますけれども,今年度の作問に当たっては短答式試験との難易度の差異の在り方については特段考慮せず,法科大学院の教育課程や到達目標モデルに即したものにすることとするといったような方針で難易度を定めたということでございますけれども,第3回についても,このような方針でいいかどうかということも御審議いただければと思います。
  続いて資料7を御覧いただければと思います。これが本格実施に向けた主な検討事項ということでございます。今回や次回に何かを,決めなければいけないということではないのですけれども,このようなことを念頭に置きながら,今後試行試験を進めていっていただきたいということでございます。
  まず1点目は,本格実施時の試験実施科目をどうするかということでございます。第3回は新規4科目を追加した7科目までやるということでございますけれども,本格実施の際はどのような科目数でやるべきかというものが1点目でございます。
  また,2点目が,先ほど御説明させていただきましたように,スケジュール感をどう考えるかということでございます。学事暦作成との関係で,第4回について本格実施を想定したスケジュール感であるのであれば,秋ぐらいに大体第4回をいつやるかということを示す必要があるのではないかということでございます。
  また,法曹実務家の関与の在り方についてどうするか。また,本格実施に向けた実施機関や作問の体制,費用の在り方ということでございます。現在は国立大学への運営費交付金を活用してやっておりますけれども,本格実施の際にはどうなるかということが論点でございます。また,実施主体として何か考えるべきかどうかということがございます。
  次は,進級判定において御活用いただくという前提でございますけれども,それをどのように活用していただくのか。また,この試験を制度的に位置付ける必要があるのか。また,追試まで考える必要があるのかといったような論点でございます。
  最後が,短答式免除ということで,これは昨年定められました関係閣僚会議決定におきましても,短答式免除ということを念頭に置いて分析等を進めるということになってございます。このようなことを,今後どう考えていくかということでございます。
  説明は以上でございます。

【山本主査】  ありがとうございました。
  それでは,ただいま事務局から御説明がありました第2回の試行試験の結果について,本日は作問主任の先生方にもおいでいただいておりますので,補足説明等がありましたらお願いしたいと思います。小粥先生,いかがですか。

【小粥教授】  報告書のとおりなので,特にございません。

【山本主査】  そうですか。橋爪先生は,よろしいですか。

【橋爪教授】  はい。

【山本主査】  よろしいですか。宍戸委員は,その件はよろしいですか。ありがとうございました。
  それでは,今,御説明をいただいた問題について,順次御議論をいただきたいと思いますが,まず初めに第2回の試行試験の結果につきましての意見交換を行いたいと思います。ただいまの事務局からの御説明等について,御質問あるいは御意見等がありましたら御自由に御発言ください。
  どうぞ,宍戸委員。

【宍戸委員】  東京大学の宍戸でございます。出題者としてではなくて,このワーキング・グループのメンバーとしてでございますけれども,資料3-1を御覧いただきたいと思います。事務局より御説明がございましたように,2回目の試行では,1回目の試行を踏まえて,いろいろ各憲・民・刑3分野において出題を工夫して実施をしてみました。それなりに全体の平均点としても,受験者の成績をうまくはかれているのではないかと思います。この点は学生アンケートにおきましても,特段の試験対策をしないで臨んだという学生が多かったということからも,法科大学院での学修を測るのに良い問題が作れつつある,また出題者の側での経験も蓄積されつつあると私は思っておりますし,そのように納得していただけないだろうかということでございます。
  また,特に未修1年,未修2年,既修2年について,それぞれ各科目ごとに非常になだらかに実力が測れているのではないか。正直ここまでうまく数字が出るとは私は思っていなかったので,最初にこの数字を見たときは,本当かと思ったのですけれども,ねつ造などではなく,どうも本当のようでございます。これで前回よりいろいろ御議論ありました未修1年と未修2年,既修2年で問題を分けることはしなくてもいいのではないかというのが私の意見でございますけれども,この点については,まだいろいろ御議論あろうかと思います。
  その他,この数字の見方,またいろいろ御意見あろうかと思いますが,差し当たり関わった人間から口火を切るということで,発言させていただいた次第でございます。
  以上でございます。

【山本主査】  ありがとうございました。
  ほかにいかがですか。どうぞ。

【磯村委員】  今年度の結果については,憲法,民法,刑法を並べて比較すると,どちらかといえば刑法が比較的点数が高く,憲法がやや低くて,民法が中間という感じなのですが,これは去年も同じ傾向にあったのか,あるいは今年の特徴なのかというのが一つと,今,宍戸委員がおっしゃったなだらかな上昇というところに関わるのですけれども,例えば民法100点満点で65.68点が,未修2年になると69.48点に上がるというのが,本当に有意的な差といえるほど大きいのかどうかというのが,やや微妙かなと思います。1年間しっかり2年次の学修をした後に,この程度の差しかないというのは,法科大学院の学修は短答式試験の,このような形式の問題についてはそれほど劇的な効果をもたらしていないのではないかという読み方もあるかなというのが率直な感想です。
  以上です。

【山本主査】  ありがとうございます。昨年の結果については,宍戸委員,お持ちですか。

【宍戸委員】  お手元,黄色い冊子の3という項目を開いていただければと思いますけれども,ピンクの紙をめくっていただきますと,共通到達度確認試験(仮称)第1回試行試験の実施についてという1枚紙がございます。これの右下を御覧いただきますと,憲法57.8,民法99.4,刑法60.3ということで,昨年とある意味同じような数字なのかなと思っております。
  ちょうど1枚めくっていただきますと,お配りいただいている第2回試行試験の実施も,すぐそこにありますので,並べてみていただいて,今のようにいろいろ御意見,御指摘を頂ければと思います。
  以上でございます。

【山本主査】  ありがとうございました。

【磯村委員】  今教えていただいてデータを見ると,大体6割というイメージがあって,今年の場合は多分,憲法は6割ですけれども,刑法は7割に近いという形で,少し難易度は違ったのか,という感じではありました。

【山本主査】  この点,橋爪先生,何かコメントがおありですか。

【橋爪教授】  刑法の方からお答えさせていただきます。刑法理論は複雑な対立がございまして,いろいろな見解が主張されています。したがって,作問に際しましても,どのような見解を前提としても解答できることを重視いたしましたので,問題の表現振りも,「このような理解はおよそあり得ない」など,やや誘導的な表現が増えてしまい,このような問題につきましては,どうしても難易度が下がってしまう傾向がございました。
  あと,もう1点,資料に即して説明申し上げますが,資料3-3の方で分厚い別添資料がございます。その末尾の方にエクセルの表がございまして,科目ごとの分析結果の概要をお示ししております。刑法につきましては194ページに具体的な分析がございますが,今申しましたように,かなり簡単な問題が幾つか出ております。そのような問題については実は未修も既修も差がついておりません。例えば第2問ですと,未修も既修もほとんど差がついていないのです。ただ,後半になりまして,かなり難易度が高い問題がございまして,それにつきましてはかなり顕著に差が付いてまいります。例えばですが,33問を御覧いただきますと,平均が61.7%。未修1年が44.2が,未修2年は56,既修は77というぐあいに,かなり有意な差が付いております。
  このような次第ですので,感覚的なお答えになってしまいますが,ある程度難しい問題については,確実に差が付いているなという印象は持っております。

【山本主査】  ありがとうございました。
  それでは,ほかにいかがですか。どうぞ,池田委員。

【池田委員】  先ほどお見せいただいた資料の3ページで,昨年の1回目の試行試験と,それから2回目の試行試験の実施について比較しますと,参加者について,1回目は6割の学生が受験し,2回目は4割の学生が受験したということになっています。神戸大学でも,実感としましては1回目の方が参加者が多くて,2回目は結局6割しか参加せず,1回目より2回目の方が参加者が下がったという結果になりました。
  なぜこうなったかを考えますと,1回目はやり方についてはお任せいただけていたので,原則参加と学生に通知を出して,当日都合が悪い者については届け出るようにという方式で実施しました。それに対して2回目は,オプトイン方式で届け出るようにという実施マニュアルを頂きまして,それで実施したところ,なかなか学生が申込手続を取ってくれないということで参加者が減ってしまった実感がございます。
  可能であれば,オプトアウト方式も認めていただければと考えております。

【山本主査】  ありがとうございました。これは実施ワーキングの方で,そのようなやり方を採られたということなのですね。この会議自体は,そこまでの細かな議論はした記憶は余りないのですが。

【宍戸委員】  私が答える立場なのかどうかもよく分かりませんが,一つ御理解いただきたいのは,第1回はとにかく,いわばやりっぱなしでよかったわけですが,第2回は未修者1年,既修者2年,未修者2年という属性ごとに点を把握しなければいけないということで,個人情報という形になるのかどうか分かりませんが,取得のやり方について属性ごとに把握するため,相当工夫をしなければいけないということがございました。そこで事前に参加者の方に自発的な意思に基づいて登録をしていただいて,付番をして試験を実施するという手続を第2回は取ったために,第1回と比べると,何だろうという意識はあったのかと思います。
  ただ,この点もよく事前に各法科大学院において周知していただくと,受験率は上がるのか,あるいは,もう少し違うやり方もあるかもしれないと思いますけれども,この点を御理解いただければと思います。

【山本主査】  ありがとうございました。そのあたりは,恐らくは実施検討チームの「また」ということになるかと思いますが,御議論いただく必要があるかもしれません。
  ほかにいかがですか。どうぞ,日吉委員。

【日吉委員】  せっかく主任の先生が見えているので,是非伺わせていただきたいという質問がございます。学生からのアンケート結果,参考資料1を見ますと,問7で解答時間は十分だったかという質問に対して,一般的な傾向としては,憲法と民法に関してはかなりのパーセンテージの学生が「余った」と言っております。それと比較すると,刑法の方が,既修2年は「余った」が多いのですが,それほどでもないのかなという数字のアンケート結果になっているように見受けられます。
  ところが,今のお話にございましたけれども,点数は刑法が高く出ていて,それと比べると憲法,民法は低く出ているというような,少なくとも学生の実感と点数との関係を見ると,そのような形になっています。
  当然,今後7科目を試行し,かなりの確率で7科目そのものを本施行しようと考えてくると,それぞれの科目の時間を何分に設定して,それに対してどのくらいの問題数を出して,そしてその問題の中身が,ありていに言うと,例えば正誤方式と多肢選択式の割合,当然その前提として正誤方式よりも多肢選択式の方が,解くのに時間が掛かるだろうという前提でいかなければならないと思いますが,そのあたりを決めていくのに大変重要な情報になってくると思うのですが,私の質問は,刑法では時間が余ったとあまり言っていないのに点数が高く出ていて,相対的な問題ですけれども,憲法と民法では余ったと言っている学生が結構多いのに,それと比べて点数が低く出ているというのはどういう要素に影響されたとお考えですか。
  例えば問題の数との問題なのか,それとも出題方式の割合の問題なのか。それとも,例えば極端なことを言うと,全体として正誤方式が2対1の割合で多いというものがあったわけですけれども,正誤方式だと50%の割合で正答できる問題ですので,途中まで考えて,あと考えるのを放棄してしまって,どちらかに丸を付けて次に行くというような形で進んでしまうと時間など掛からないということが影響しているのか。そのあたりはどのように分析されますか。

【山本主査】  それでは,お願いします。

【橋爪教授】  先に刑法のほうからお答えさせていただきます。刑法については,解答時間が余っていない割には正解率が高いということでしたので,その点,私なりの推測を申し上げさせていただきますが,基本的には正誤式は1問1分,多肢は3分という計算で問題を作ってございます。それは全科目共通でございますので,基本的に憲法も民法も刑法もその点は変わりありません。それでは,なぜ刑法だけが時間が余らなかったかという問題でございますけれども,恐らく刑法は若干問題が長いのです。判例を引用している問題が多くなっておりまして,全体的に問題文がかなり長くなっております。ただ,問われている内容はそれほど難解ではないので,時間をかけて読んで解けばできるという問題が多く,正答率は上がったのかと想像しております。
  そもそも多肢が3分,正誤が1分という時間配分の当否自体,議論になり得ると思うのですけれども,正誤は,たしかに,その気になれば瞬間的に1か2かを決めれば済むわけですので1分もかからない気もするのですけれども,きちんと考えたり悩んだりすると,やはり1分ぐらいかかるだろうと考えて作問した次第です。ただ,この結果を拝見しますと,全般的に時間が余る傾向があるようですので,もう少しタイトな時間配分でもいいのかなという感想を個人的には持っております。

【日吉委員】  ありがとうございます。

【山本主査】  ありがとうございました。
  小粥先生,コメントは一緒ですか。

【小粥教授】  付け加えるべきことはないのですけれども,時間配分と配点も1対3になっているのです。民法に関しては,例えば関連する司法試験の過去問なども参考にしながら,できるだけシンプルな問題を作ろうということで,特に正誤問題で一つ以上のことを聞かない,多肢選択式も一つの肢で複数のことを聞かないということを極力徹底するようにしたものですから,多分情報量はそれほど多くなっていないと思うのです。そのかわり,知らないと全然できないというようなことがあったかもしれません。

【山本主査】  ありがとうございます。
  宍戸委員,何かありますか。

【宍戸委員】  本日,憲法の曽我部主任がおいででございませんので,僭越(せんえつ)ながら私から回答を申し上げますと,私は次のようなことではないかと思っております。
  まず,この分量を御覧いただきますと,資料3-3でございますけれども,例えば憲法につきましては,通し番号のページで申しますと2ページから19ページまで,17ページ程度になりますが,刑法で申しますと,これは通し番号で40ページまでで21ページある。分量が,憲法の方が刑法より絶対量として少ない。きちんとカウントしていませんが,ざっくり見たときに,そのようなことがあるだろうと思います。
  他方,憲法につきましては,そもそも考え方などの対立が激しい分野でもございますので,基本的に判例の知識を中心に,基本概念についてもまぎれのないような質問をしたつもりでございます。逆にそれが学生から見ますと,細かいことを聞かれているという意識が若干あったかもしれないということでございます。
  それから最後に,アンケートで参考資料1の問7でございますが,解答時間については余ったというわけでございます。問6を見ますと,参考資料1の2ページの問6というところで,「難しかった」というのが18.6,22,13.7と憲法は出ておりまして,民法,刑法よりも難しかったという学生が多かった。それがこの数字に表れているのではないかと思っております。
  以上でございます。

【山本主査】  ありがとうございました。
  日吉委員,よろしいですか。

【日吉委員】  はい。

【山本主査】  それでは,大貫委員。

【大貫委員】  先ほど橋爪先生から御指示いただいた,資料3-3の後ろの方の193から後ろに書いてある表の読み方なのですけれども,今回は1年次と2年次というのを受験者に対しては区別せずに出したわけです。ただ,出題側としては,これは1年次に対応した問題,2年次に対応した問題という区別は恐らくあったと思うのですけれども,1年の到達度を試す試験の問題だというおつもりで出したものは,2年はとてもよく出来過ぎるぐらい出来たとか,2年の到達度を試す問題として出したものは,1年次はできなかったとか,そのような傾向があるのかということをお聞きしたいと思います。
  それと,数字の読み方なのですが,私も短答式試験の公的試験の出題をしたことがあるのですけれども,正答率が9割などになると受験者の能力を識別できていないといわれます。普通は正当率が8割程度にならないと対象者の能力をうまく識別していないといわれて,4割,5割ですと,先生,この問題は失敗ですなどと言われるのですが,ここの正答率をそのような読みをしていいのかということをお聞かせ願いたいと思います。これが1点。
  それと,もう1点は,もっと応用的な問題を出す可能性もあるというようなことが,どこかに書いてあったと思うのですけれども,作題をされてみて,応用能力を試す問題の可能性をどのようにお考えですか。私も短答式の問題を出したことがあるので,応用的な問題を出すというのは手間暇が掛かるので,応用的な問題は作題にはとても限界があります。応用的な問題作成にどの程度対応可能なのかということをお聞きしたいと思います。ざっくりとした質問ですけれども,この二つです。

【山本主査】  ありがとうございました。
  それでは,まず表の点ですけれども,いかがですか。

【橋爪教授】  私の方からお答えさせていただきます。表の読み方でございますが,刑法に限って申し上げますと,一番左の出題水準という項がございまして,ABの区別を付しておりますが,これはAが基本的な問題,Bが発展的な問題という趣旨でございまして,基本的にはAが未修を想定しており,Bは若干未修には厳しい内容を含んでいるかもしれない,と思いながら作問をした問題でございます。
 そのような観点から数字を見てまいりますと,確かにAは未修もかなり高い点数になっているものが多く,また,Bについては未修,既修で大きく差が付くものもあるのですけれども,中にはAでもBでも,未修も既修も出来が悪いという問題も出てきております。

【小粥教授】  分類は民法もAとBで分けているのですけれども,民法も前提問題として1年生が終わった時点での民法の到達目標というのは,割と既修者認定のレベルですので,はっきりしているのですが,2年生が終わった時点での各法科大学院に共通する民法の到達レベルというものが分かりませんので,その問い掛けに答えること自体が非常に難しいというか,答えることができないのではないかという気もいたします。
  それで難易度の区別というものはしているのですが,基本的には昨年の分析結果を踏まえて,一般的に難しいという認識を学生さんたちが持っているのは,民法の場合ですと担保物権法と家族法,特に相続法なので,その分野を基本的に発展的と,それからあとは事案に対する適用とか,事案に関係して具体的な知識を問うような問題の,やや高度なものをBに分類しておりまして,そのBのやや発展的という問題については,それなりに出来は全体によくないということかと思いますが,橋爪先生もおっしゃったとおり,必ずしもそれがきれいに分かれるというわけでもございませんでした。

【大貫委員】  今の小粥先生のお話ですと,それは各大学のカリキュラムの進行度などとも関係しているので,一概に言えないという感じですか。1年と2年一緒の問題を出して,1年,2年がうまいぐあいに解答が差が出れば,一緒にやってもいいかなという気はするのです。

【小粥教授】  もちろん1年余計に勉強した学生さんの方が,今年の結果を見ても,できることは確かなのですが,具体的なこのラインまで必ず2年が終わったら到達しているべきだというのを,法科大学院共通に設定することは難しいので,なかなか。

【大貫委員】  それによって,多少結果にうまく相関しない結果も出たという感じですか。

【小粥教授】  でも,それはなんとも言えないのではないかと思います。

【磯村委員】  データ処理の問題なのですけれども,AとB,あるいはCを付けている人はCも含めてですが,Aで想定された問題についての正答率,Bについての正答率というような形で未修者,既修者,未修者1年,2年というような属性で分けて分析することができると,もう少し明確に議論ができるように思うのですけれども,そのような処理は可能なデータですか。

【小粥教授】  書いている時点では,やや発展的,具体的な数字は忘れてしまいましたけれど,もちろん期待,想定の範囲内であったというような分析をしていますけれど,想定の正答率はAの想定の範囲とBの想定の範囲は,当然ずれていますので,それを前提に作業としては,少なくとも次回に向けてということであれば十分可能な作業ではあると思います。

【山本主査】  ありがとうございました。
  どうぞ,橋爪先生。

【橋爪教授】  もう1点,先ほど御指摘いただきました正答率の問題でございます。刑法については,確かに98%とか99%というものが結構あるわけです。これは余りにも簡単過ぎると申しますか,正答率が高過ぎる印象を私も持っております。ただ,そもそも出発点なのですが,この試行試験につきましては未修1年生をターゲットにしておりまして,まさに共通到達度の確認が目的でございますので,未修1年次に普通に勉強していれば当然に学修し,修得しなければいけない内容について理解を問うべきであると考えており,その結果,判例の基本的な理解などを確認する出題が多くなった次第です。もちろん,基本的な理解の確認であっても,もう少しひねった出題をしてみて,その結果,正答率を80ぐらいにした下げた方がよいのかという気持ちはあるのですけれども,判例の趣旨や射程を問うなど,少しひねってしまいますと,それによって正誤の紛れが生ずる場合が出てくるのです。つまり判例の解釈といっても一様ではありませんので,極端な話,このロースクールの教育内容によれば丸でも,他のロースクールはバツということが出てくるおそれもございます。このように,なかなか難しいところがございまして,問い方もかなり素直なかたちになっております。今後,更に工夫したいと存じます。

【佐伯委員】  よろしいですか。私は点検委員というものを仰せつかっていまして,記憶があやふやなのですけれども,刑法の問題2というのは3-3の21ページで,先ほど橋爪先生が正答率98.3%というので言及なさった問題なのですけれども,間接正犯について判例の理解を問うているものなのですが,「Yが刑事未成年であることのみを理由として」となっていて,多分原案では「刑事未成年であることを理由として」となっていたのだと思います。しかし,それだと紛れが出てしまうので,「のみを」と入れたのですが,そのことで問題文の記述が誤りであることが判断しやすくなってしまったと思います。
  もちろん非常に基本的な問題なので,正答率は高くていいと思うのですが,そのような点も正答率の高さに寄与してしまったかなと思いますが,簡潔な文章で判例の理解を問うためには,どうしても仕方がないところもあるのかなと思います。

【山本主査】  ありがとうございました。
  もう1点,大貫委員からの御説明,応用能力を試すということが可能か,非常に手間が掛かるのではないかという御指摘がありましたが,そのあたり,もし,御感想があればお伺いできますか。

【小粥教授】  1回目の試験問題に対しての御意見によれば,2回目の作題に際しては,もう少しいろいろな問題を出したらどうかというような御示唆をいただいておりましたので,実は民法は今年はいろいろな問題を出してみたのです。きっと磯村先生がおっしゃっているのではないかと勝手に想像しながら,いろいろな種類の問題の作成をトライしてみたのですが,率直に申しまして,なかなか作るのは難しい。例えば実際の遺言書に即した問題を出してみたとか,それから実際の最高裁の判決理由を取ってきて,上告棄却なのか,破棄差戻しなのかとか,学生さんはブラックレター・ローは読むけれども,なかなか事実関係まで読まないことを考えてあえて基本的なことを尋ねてみたとか,そのようなこともやってみたのですが,若干は効果はあるかもしれませんけれども,非常に難しい。
  民法は思考力を問うべきだというような御示唆も頂いているのですが,基本的には知っているか,知らないかベースにならざるを得ないところがあるのではないかと,個人的にはそのような感想を持っております。

【磯村委員】  私が言ったというわけではなくて,もともと調査検討会議の出発点において,短答式試験の方法でも思考力はある程度問えるのではないかという,そのような議論の中でした。私は60問全部自分で解いてみましたが,非常によく工夫されていると思いましたし,正解率が非常に低い問題というのは,それはそれで理由があるのではないかと感じました。
  例えば遺言については,現実の遺言を見て,この意義がどのようなものかということを問う問題になっていましたが,おそらく正答率が低かった理由は,方式のところは正解になっているので,学生諸君の多くは遺言の方式には余り注目しないので,そのような結果になったのではないかと思います。
  ただ,そうすると実は正誤問題とのギャップというのは結構大きくて,正誤問題で正解で,例えばその1点で,こちらが3点ということになると,それで配点がいいのかどうかというのが若干気になりました。
  正誤問題が多いと,先ほど大貫委員が言われたことの関係で言うと,正答率が非常に高くなっても,それはそれで仕方がないのかなと思います。民法で,例えば権利能力が出生によって始まるという規定に関して,出生届がなくてもいいのかどうかという問いがありましたが,これはむしろ間違う答案があるというのが意外なぐらいのものなのですけれども,そのような形でいろいろ工夫していただいているので,私は全体としては大変おもしろい問題を作題していただいたと感じています。

【山本主査】  ありがとうございました。
  それでは,まだ御質問等おありかもしれませんが,次の話題といたしまして,第3回に向けた論点の検討についての御議論に移っていただければと思います。事務局から説明がありましたとおり,次回のワーキング・グループで,この第3回試行試験の基本的な方向性という紙を確定する必要があるということです。
  そこで,資料4に,まだ今のところペンディング状態にある幾つかの論点が掲げられております。これを次までに固めていく必要があるということでございますので,これらの論点につきまして御意見がありましたら,御自由に御発言をいただきたいと思います。
  どうぞ,酒井委員。

【酒井委員】  検討会議のときから一番大きな争点といいますか,話題になっていたかと思うのですけれども,1年生と2年生で同一の問題を使用するかどうかという点についての意見を述べさせていただきたいと思います。
  率直に作問委員の先生方には御負担をお掛けする意見にはなると思うのですけれども,私,今回の結果を見ても,試行の最後の1回は問題を分けるという試験で取り組むべきなのではないかと考えています。
  理由としては,正答率がまず一つ,非常に高い問題が多く,確かに1年生と2年生,既修と未修で差は出ているのは間違いないと思うのですけれども,1年生が受けることを考えると,1年生に合わせる出題をするという必要が,どうしても強くなってくるのではないかと思いまして,それを2年生が同じ問題を受けるということになるときに,2年生の学修効果という観点から,果たしてそれで試験としてよいのかという観点が一つございます。
  また,特に今,小粥先生と磯村先生で民法の作問についてのお話がありましたけれども,私も特に民法については試験問題をある程度,さすがに全問は解いていないのですが,読ませていただきましたが,判例をばんと出して検討させるという出題は,私は非常にいい出題だという印象を持っていまして,司法試験の方の判例の射程を考えさせるような出題がある年があるかと思うのですけれども,あれに共通するような,決して判例のそのものを知識として理解をしていなくても,その場で読んで,きちんと読み取れるかどうかというのは,正に思考の部分がございますので,そのような出題をして問えるようなものというのは非常に大きいものがあると思うのです。
  ただ,1年生に対してそのような出題が多くできるかというと,それはまだ難しいという段階なのではないかという印象があります。私は未修コースを卒業しておりますので,1年生のときの学修と2年生のときの学修というものを振りかえってみると,1年生は基本的な知識の習得ですとか,判例にしても判旨の部分,ごく一番重要な部分というようなものを一生懸命勉強していたという印象があって,2年生になって何が大きく違ってきたかというと,判例の全文にばんばん当たるような勉強を,どの科目でもするようになってきたという記憶があります。そこの部分を特に差をつけて問うということには,一つ大きな意義があるのではないかという印象を持っておりまして,一度はそのような観点からも1年次,2年次とで問題を分けてトライをしてみる価値はあるのではないかと考えるところです。
  以上です。

【山本主査】  ありがとうございました。
  ほかにいかがですか。どうぞ,小粥先生。

【小粥教授】  酒井委員のおっしゃることは,とてもよく分かります。問題を作った経験から申し上げますと二つ申し上げたいことがあって,一つは,判例を問題にするのはよいと私もそう思います。ほかにもこの判例を使った問題ができないのか,判例を探してみましたが,法改正があったり,それから難しい前提知識が必要であったりで,適切な判例を抜き出して問題を作るということは,幾つも似たような問題を作ってみましたが,結局この譲渡担保の判例しか,うまく問題にならなかったのです。ですから,実際やってみようと思うと,非常に難しいということが一つ。
  それから,一般的に正誤式あるいは多肢選択式で,難易度を変えるということがどういうことになるのかということを内部でも議論したのですが,そうすると結局一つの肢の中に一つの命題を入れるのではなくて,複数の命題を入れる。つまり,事務処理量の負担を上げることによって難易度を高めるということにしかならないのではないかというのが我々の暫定的な判断でして,ですから正誤や多肢選択で難易度を操作するということは,単に事務処理量の負荷を掛けて,事務処理量のスピードが高い,低いを問うということになるのではないかと懸念を持っているので,そのような点も考慮の上で,今の点について御検討いただけるとありがたいかと思います。

【山本主査】  ありがとうございました。
  ほかにいかがですか。上田委員,どうぞ。

【上田委員】  誤解をしているかもしれませんので,確認をさせていただきたいのですが,1年次生と2年次の学生で同一の問題を使用するということですが,1年次というのは未修の1年次ということですね。一つの論点というのは他の論点に玉突きで影響を与えると思うのですが,例えばこの資料7にございます,本格実施に向けた主な検討事項というペーパーがございますが,この確認試験の結果というものを司法試験の短答式を免除するということに使うということになってくると,当然これは未修1年に課す問題と,既修2年に課す問題とでは,当然質的にも変わってくるのではないかと思うのですが,その点はどのような議論がこれまでなされていたのかを教えていただければと思います。

【山本主査】  これは事務局からですか。

【塩田専門職大学院室長】  そこにつきましては,第2回につきましては,この資料集の5のところの3ページで,出題範囲,難易度のところの3ページ三つ目の黒丸でございますが,枠囲いでございます。特段考慮しないという判断で2回目はやったということでございます。

【山本主査】  それで3回目につきましては,先ほど塩田室長から御紹介がありました,この紙には明確に載っていませんけれども,この点もどうするかということも論点になりますので,おっしゃるように,この点と,それから1年,2年次の問題を別にするかというのは関連してくるということは,御指摘のとおりだと思います。
  どうぞ,磯村委員。

【磯村委員】  今の酒井委員の御意見と,それから小粥先生の応答に関連する問題なのですけれども,来年の実際に際して,どれだけ時間を工夫して1日で全科目を実施できるかどうかを考えるときに,今回のように両方に共通の問題を出すということになると,ある程度未修者1年向け,ある程度既修者2年次向けというイメージで問題を作るので,どうしても問題数が多くなるのではないかと思います。そうすると,1日で全科目をおこなうために,民法についてその時間数を減らすための一つの工夫としては,問題を分けた上でそれぞれの問題数を減少させて,試験時間をもう少し短くしてもいいのではないかと思います。
  もう一つは,シミュレーションの問題に関わるのですけれども,先ほど宍戸委員は,今回の実績からいうと分けなくてもいいのではないかという方向を示唆されたのですが,分けなくていいかどうかを考える際に,分けてやってみたらどうかというデータがないところで,今年のデータからすると分けなくても問題がないのではないかという議論をするのは,やや厳しいのかなという気がします。正に試行なので,ともかく1回分けてやってみるというのがいいのではないか。その結果を踏まえて,最終的にどうするかということを決めるというのが試行の意味かなと思います。

【山本主査】  どうぞ,宍戸委員。

【宍戸委員】  宍戸でございます。酒井委員,それから磯村委員の御指摘はよく分かるつもりでございます。私も若干そのような気持ちも持っております。その上ででございますが,お手元の調査研究報告書の方の10ページを御覧いただきたいと思いますが,今回の施行に関わった主任の先生方の御判断といたしましては,第2段落の3行目のあたりでございますけれども,出題内容や形式を更に工夫すれば,昨年度と同程度の問題数であっても各科目の全般的な理解を確認することは十分に可能ではないかということが一つの御指摘でございます。
  それから2点目に作題の,私は分けることに絶対反対ということではなくて,この場でそのような御議論をいただいて作題することになれば,それは各主任の先生方が責任を持って各チームを編成してくださるものと思いますが,1点お考えおきいただきたいのは,どのような趣旨で問題を分けるのかということについてよく御議論いただいた上で,具体的な出題に当たってのミッションを出していただきたいと思います。
  例えば,未修者1年生に30問なら30問問題を出し,それとは全く別の問題30問を2年次に出すということで,そのどちらが出来る,出来ないということをはかっても,全く違う問題を出していると,意味がないということになると思います。そうすると,例えば共通問題を混ぜた上で,未修1年次には本当に単純な判例,学説の知識を30問のうち共通問題20問で,10問は問題を作ってみなさい。それに対して2年次については,20問共通問題で,残り10問が例えば応用力を試すような問題なり,細かい判例を聞いてみなさいとか,ある程度そのような御指示が頂けないと,各出題チームの主任の先生方が相当困るのではないかと思います。是非,最終的に何を検証するのかということとの関係で御議論をいただければと思います。
  以上です。

【山本主査】  ありがとうございました。
  ほかに御発言をいただければと思いますが,片山委員から。

【片山委員】  私も今の宍戸委員の見解に基本的には賛成で,1年次の到達度を測るのと,2年次の到達度を測るということで,全く違うことが要求されているのかというと,基本的な知識とか,あるいは基本的な法的思考能力の確認という意味では,かなり共通部分も当然あるということでしょうから,完全に違う問題である必要がないと思います。また,あるべきでもないとも思っておりますので,仮に違えるということであれば,共通問題を核として,時間を同じにするということであれば1年生が解くべき問題が何題か,それから2年生が解くべき問題が何題かというような形で実施するというのが合理的ではないかと思いました。

【山本主査】  では,池田委員。

【池田委員】  ありがとうございます。既に委員が御指摘されたように,この共通到達度確認試験がどのような使われ方を将来されるのかに,正に依存するといいますか,何を今,試すべきかということが関わってくると思うのですが,とりわけ進級判定に使うといった場合に,どのように使われるというイメージで議論されているのか,初めて参加するもので,お教えいただけますか。

【山本主査】  これは事務局からですか。

【塩田専門職大学院室長】  そこは,正直,これまでもそれほど詰めた議論ができておりませんで,今後,正に大変重要なポイントになってくるところで,これからの議論です。

【山本主査】  そうですね。基本的に今まで議論されてきた中では,各法科大学院で進級判定をする際に参考にしていただく。どの程度参考にしていただくかというのは,最終的には認証評価で一定の評価をするということですが,そこがどの程度厳しいものを想定するのかというのは,まだそれほど詰められてはいないというのが今の段階ではないかと思います。

【池田委員】  分かりました。

【山本主査】  どうぞ,大貫委員。

【大貫委員】  問題を同じにするかどうかは非常に重要な論点だと思います。私も片山委員などと同じで,同一問題を1年,2年両方受ければ,きちんと学年進行に伴って伸びているのかということも判定できると思いますので,同一問題でやった方がいいのではないかと思っております。
  分けると,実は応用問題はできたけれど,基礎ができていない学生がいるかもしれない。それは分からないわけで,できていないということはないでしょうけれども,それはどうかなという気がいたします。これが1点。
  それから先ほど上田委員がおっしゃったことですけれども,非常に議論しにくいというか,大変な問題だと思いますが,司法試験短答式試験の免除の問題はそろそろ考えないといけなくて,あと試行は2回しかありませんので,このペーパーにも書いてあるのですが,試験の出題範囲も短答式試験を免除を目指して出すのと,そうでなく到達度を確認するという試験では違ってくると書いてあるのですけれど,確かにそのとおりで,この点はそろそろ決めないといけないのかなと思っています。
  私はそもそもの原初的な形態としては到達度を測る試験であったので,短答式免除ありきというのは,どうかなという気が個人的にはしていて,純粋に法科大学院生が学年進行とともにどの程度のレベルに行っているのか,それを確認する試験ということで,よろしいと思っているのですが,これはほかの委員の方がどう思われるか分かりません。
  ともあれ,そろそろ決めないと,あと2回しかありませんので,作題委員の先生も困るのではないかと思っています。
  以上です。

【山本主査】  その点は,まさに御指摘のとおりで,非常に重大な問題であるということには,恐らく異論はないところだと思いますし,今日の資料7の本格実施に向けた検討事項のところでも,最後のところで短答式試験を免除することも念頭に置いた確認試験の在り方というのが,これ自体一つの非常に大きな論点であるとは思います。
  ただ,この問題を,第3回の実施に向けた論点を詰める,次回までに基本的にはこれを固めるという中で,今の大貫委員の言われたような考え方で完全にまとまるというのは,なかなか難しいのだろうとは思っています。
  ですから,決めないといけないことは,そのとおりなのですが,これはまた相手もある話でもある部分もありまして,中教審だけで決めるということにも,そもそも限界もある論点ではあるということもございますので,できるだけ急いで検討はしていくということではありますが,ここでは,とりあえずはそこは依然として少し括弧にくくった状態で,少なくとも第3回については考えていただくほかはないかなというのが,今の私の印象ではあります。

【磯村委員】  いずれにせよ,既修者の1年経過後のレベルでの到達度を確認するということで,短答式のレベルは法科大学院修了を前提とするものですから,当然それに対応するような難易度というものを考えることは適切ではないと思いますし,もう一つは,前からいわれてきたことですけれども,今回試行しているような試験の結果と,学内成績がどう関連するか,それから司法試験のアウトプットでどう関係するかというデータを見た上で,どうするかという議論をしないといけないので,多分現時点でとか,あるいは平成30年度でとりあえず本格実施が始まるときに,どこまで科目についてもやるかということも決まらない状況の下では,落としどころがあらかじめこうであるというのは決めようがないのではないかという気がします。

【山本主査】  そのような意味で,実証的なデータということであれば,今回の第2回の試験結果は各法科大学院に還元されて,それぞれ学内の成績等との関連性を見ていただくということになっておりますし,司法試験との関係ということになれば,この試験を受けた最初の人が司法試験を受けるのは来年の秋ということになるわけです。来年の秋,これは文科省と法務省の間でお話を頂かなければいけないのかもしれませんけれども,来年の秋の司法試験の結果と,この共通到達度の試験のそれぞれの方のパフォーマンスというのが,どの程度有意な関連性を持っていたのかという検証作業が,恐らくどこかで行われることになるのではないかと思っておりまして,そのような実証的なところを詰めないと,なかなか議論はまとまってはこないのかなとは思います。
  ただ,繰り返し常に念頭には置いておかなければいけないですし,一定の方向感覚のようなものはだんだん出てくればいいなとは思ってはおります。
  とりあえず第3回は,先ほど申し上げたように,その部分は括弧にくくっていただいて,お考えいただくということかなとは思っています。
  どうぞ,宍戸委員。

【宍戸委員】  1点確認ですが,磯村委員がおっしゃったことに私は賛成でございまして,要するに法科大学院における学修の達成度を測るという観点から,1年次それから2年次について測るものとして第3回の試行は作題検討するということで,差し当たりよろしいということですね。

【山本主査】  恐らく,その点はどなたも異論はないのではなかろうかと思います。
  それでは,特にこの同一の問題を使用するかということについては,現段階では両論あったように印象を持っています。ただ,これは酒井委員,磯村委員,別の問題というときに途中で出ましたように,核となる共通の問題はあって,それに未修者用,既修者用の問題を加えるべきという御意見と伺ってよろしいですか。

【酒井委員】  もちろん共通問はあることを前提にしての発言です。

【山本主査】  磯村委員もそのようなことですか。

【磯村委員】  両方あり得ると私は個人的には思っていて,同じ受験生が1年,2年と全然違う問題を受けることによる問題もありますけれども,既修者1年次の人は,今まで受けていない試験を受けるので,そのレベルをどう設定するかというのは,それはそれで決定のしようはあるのではないかと思います。
  しかし,共通問題をそこにまじえるというのは,多過ぎると意味がなくなって,また,少な過ぎるとそれも意味がないということであれば,例えば40問のうち半分近くを共通問題とすることが考えられます。ただ,私が民法の問題を見た限りで,正誤問題の幾つかは,これを既修者で入学した学生に問うても余り意味はないのではないかというレベルにあるかなという気はしました。

【山本主査】  分かりました。それでは,まだこの段階では,このワーキングとして決められない部分があると思いますので,実際に実務を担うというか,検討チームの方で今のような可能性,ですから問題を違えるという場合には完全に違えるわけではなくて,一定の共通問題を前提として未修,既修の問題というものを考えるということについて,実施上どのようなことが考えられるかというような観点から御議論をいただいて,論点というものを挙げていただくような作業をお願いすることは可能ですか。

【塩田専門職大学院室長】  はい,大丈夫です。

【山本主査】  どうぞ,橋爪先生。

【橋爪教授】  かりに本年度も作問委員を担当することになるといたしますと,多分8月,9月頃から作業を始動する必要があると思うのです。いずれにしましても8月頃の段階には,ただ今の点について御方針をお決めいただかないと作業に着手できませんので,是非早めの御検討をお願い申し上げます。

【山本主査】  それは誠にごもっともなことだと思いますので,我々の考えている日程としては7月までの段階で検討チームの方で今のような御検討をいただいて,7月にもう一度この会議を開催して,更に上の法科大学院特別委員会で承認を得るという手続が必要だと思いますので,しかし,いずれにしてもそれらは7月中に終えるということで,8月からは確実に前提として作業に入っていただくというスケジュールを考えています。
  それでは,同一問題の点でかなり御議論が集中したかと思いますが,ほかの点について,もしお気付きのところがあれば。どうぞ,片山委員。

【片山委員】  2ページ目の実施スケジュールの点なのですけれども,一応試行実施は4回目まであるということですけれども,4回目までいろいろやってみて,それから方針を固めて,その次の年から本格実施というのは,かなりスケジュールとしてはハードで,恐らくこの3回目が終わった段階でもある程度の見通しを立てて,4回目というのはほぼ本格実施と同じような形で実施をするというスケジュール感でやる必要があると思っております。その点で一番気になっている点が,この実施スケジュールで,一応第3回は例年どおり3月ということで議論がここまで進んできましたが,進級判定と関連付けるということになると,もう少し早い時期にやっておく必要があるのかなとは思います。多少無理をしても3回目に,例えば12月というタイミングなのか分かりませんけれども,それにチャレンジしてみるということは検討してもいいのではないか思っているところです。

【山本主査】  ありがとうございます。先ほど各法科大学院に対してアンケートの結果のようなものが,参考資料2で配付されていました。これを見ると,各法科大学院の意見で一番多いのは2月ぐらいが想定されているということなのかと思うのですが,2月のどの時期かは分からないのですが,中旬などかと思いますが,期末試験終了後であることは必要だということなのです。
  他方で,社会人のことを考えると,本格実施の際に平日はなかなか難しいということになると,土曜日,日曜日ということになる可能性があって,今,片山委員のお話は,それにできるだけ近付けて,2月ぐらい,土日などにやった方がいいのではないかという感じになりますか。

【片山委員】  恐らく各大学の事情によると思いますけれども,2月実施では進級判定に間に合わない可能性があると思いますので,1月は期末試験への影響が余りにも大きいでしょうから,可能であれば年内のぎりぎりというところの土日というのが一つの考え方ではないかとは思います。

【山本主査】  どうぞ,磯村委員。

【磯村委員】  12月は,国立大学は学期中の祝日を休みにしているところは多分28日ぐらいまで授業があったりするので,非常に難しいのではないかと思います。

【山本主査】  ありがとうございます。確かに御指摘のとおりで,最後の最後まで本当に試行をやっていると,本格実施の1回目が非常に心配になるということは,誠にごもっともな御指摘だと思いますので,この点も実施の体制などに密接に関わることですので,一度検討チームの方でも御検討をしてみていただいて,その結果を基に,また次回ここで議論をするということにさせていただきます。
  ありがとうございました。
  ほかの点については,いかがですか。どうぞ,高橋委員。

【高橋委員】  高橋でございます。昨年の試行試験は,任意ということを考えると受験者はこれでも多い方なのかなと思うのですが,やはり4割のみの受験にとどまるのでは,データとしての信頼性はどうなのだろうかという問題が残るので,できる限り受験生を増やしていくという方策を取っていただいた方がよいのではないかと存じます。
  その点,学生にとって負担感ばかりが残る試験にならないよう,むしろ受験が自分にとって有益であると実感できるように,学生アンケートにみられるような解説の早期配布などという工夫は,一つの方策になるのではないかと思いました。

【山本主査】  ありがとうございました。ごもっともな御指摘です。この解説というのは,問題を作られた段階で,もう作られているのですか。どの段階で作られているのですか。

【小粥教授】  科目によって少しずつ違うかと思います。楽屋裏を申しますと,民法は試験が終わってから,あらかじめ先生方に解説をきちんとお願いしなかったものですから,取りまとめ等に時間を要しました。来年からは担当の方がしっかりと請け合っていただけております。

【山本主査】  そうですか。そうすると可能性としては,試験の段階でもうできていて,すぐに学生に配布するというか,インターネットで上げるということは可能なのですか。

【橋爪教授】  それは恐らく民法も刑法も,初めから問題と解説を並行して作ることができないわけではないと思うのです。はじめから,そのような態勢で対応すれば,試験日に紙媒体で解答を配ることも十分可能であるとは考えております。

【山本主査】  そうですか。アンケートの結果によれば,もし,それが可能であれば,そうしていただければ非常に学生にとっても,よかったという実感が出てくるということですね。

【高橋委員】  そのような形で,学生の間でも受験してよかったという,言ってみれば全国規模の模擬試験を受けようなものだというような認識が広がらないと,学部の学生などに,ロースクールへ行くと非常に負担の多い試験があるのだという認識だけが伝わることになるので,法曹志願者の確保という観点でも好ましくない影響が及ぶのではないかと思いました。

【山本主査】  ありがとうございました。貴重な御指摘だと思います。
  ほかにいかがですか。どうぞ。

【磯村委員】  一つよろしいですか。これはむしろ小粥先生,橋爪先生に御確認をいただきたいところですけれども,試験問題の作問,点検において法曹実務家が関与することは非常に効果があったということですが,法曹実務家の関与については,従来からペンディングになっていて,できるだけ前向きに検討するとしつつ,他方,法曹実務家が関与することにどのような意義があるかということで議論になっておりました。そこで,もう少し具体的に,どのようなところがよかったかというような御感想を頂けるといいのではないかと思います。

【山本主査】  お願いできますか。

【小粥教授】  民法は高橋司弁護士という方で,研修所の期が,たしか41期だったと思いますが,約30年の経験をお持ちの方で,弁護士としての経験もおありですが,京都大学の法科大学院で,恐らく数年間の教育の経験がおありで,お話をさせていただいても弁護士実務だけではなくて,民法学あるいは民事訴訟法学に対して非常に御関心と理解をお持ちの方でした。
  実務家だったからよかったのか,高橋先生だったからよかったのかということは分かりませんが,非常に有能な実務家で,法科大学院教育にも理解がある方に御参加いただけたということは,今回はとてもよかったと思っております。

【山本主査】  ありがとうございます。
  橋爪先生。

【橋爪教授】  刑法につきましても基本的に事情は共通でございまして,作問作業は研究者委員だけで担当いたしました。その後の点検委員につきましては,3名の委員の中に1名弁護士の先生にお入りいただきまして,点検をお願いしております。
  問題自体は基本的な出題が中心ですので,特に実務的な観点からの問題を出すわけではございません。そのような意味では,作問自体に実務家の方が入る必然性は,個人的にはそれほど強くないようにも思うのですけれども,どうしても研究者だけで作った問題につきましては,研究者のみの問題関心が強く出る場合がございました。弁護士の先生からは,点検会合の際に,これは実務的にどのような意味があるのかという厳しい御質問,御批判をいただきまして,改めて出題の趣旨や意義について検討を加えた上で,若干修正をしたり,差し替えた問題もございます。
  あと,表現振りの点につきましても,余りにも抽象的な問い方の問題については,具体的な事例を付すべきではないかとか,あるいは専門用語を使い過ぎる問題につきましても,それを別の表現に改める可能性などの御指摘をいただきました。このように,研究者だけの問題関心が強く出過ぎる可能性があり,その点を点検していただくという意味では非常に貴重な経験でございました。

【山本主査】  ありがとうございました。基本的には点検の部分で非常に意味があったというお話とお伺いをしました。これを踏まえて,第3回でどうするかということについては,また御議論いただければと思います。
それでは,やや時間が迫っておりますので,本日最後の点でありますけれども,資料7の本格実施に向けた検討事項ということであります。これについては,本日何かを決めるということではないわけですが,先ほど短答式との関係のお話も出ましたけれども,徐々に方向感というものが出ていかないと,先ほど私も御挨拶で申し上げましたように,あっという間に時間は過ぎてしまいますので,ずっと先にということにはなりませんので,できれば少しずつでも御議論をいただきたいということで,考えられる論点,まだ漠然とした論点でありますけれども,事務局で考えていただいたところですので,今日は全くのフリーディスカッションということで結構ですので,お気付きの点について御自由に御意見を頂戴できればと思います。
  どうぞ,片山委員。

【片山委員】  むしろ3回目の実施の方でも御提案をすべきであったかもしれませんが,本格実施時の試験実施科目についてです。今回の第3回では7科目で実施するということが決まっていますが,先ほど高橋委員からの,負担感という御指摘がありましたとおりで,その点は今回の第3回目で7科目実施する際にも一つ重要なポイントになるかと思います。今回の第2回の学生アンケートの結果を見ましても,参考資料1の4ページの第8問では,今回の試行試験は3科目だったわけですけれども,非常にメリットを多くの学生さんたちは感じてくださっていることがわかります。学修が身に付いているか確認ができるとか,どのぐらいのレベルなのか確認ができるということで,むしろデメリットの方は数としては非常に少なくて,人数は確かに減ったということでありますけれども,好意的に受けていただいているようです。
  他方,5ページの方で問10になりますと,仮に7科目が課されるということになると,どう影響するかという点ですが,影響するという方が多くなってきて,影響すると答えた中では,科目が増えることでデメリットがより強く感じられるというのが圧倒的に増えてきます。2年生が受けるときに,基本的には7科目を全部受けることを想定されていいますが,択一の勉強は3科目しかやっていないし,特に司法試験では3科目以外で択一試験が課されないということになると,3科目なら受けてもいいが,あとの4科目については今回は遠慮させてもらいたいという学生がかなり出てくると思います。3科目だけ受けても到達度を評価するということなのか,必ず全部受けなさいという基本方針で臨むかという点は,一つ重要な点になると思います。むしろ3回目に関わることで申し訳ございません。

【山本主査】  ありがとうございました。そのような選択的受験というか,3科目だけを選択して受験をするということを正面から認めるのか,あるいは,そのような受験者についても採点結果を教えてあげるというようなサービスをするのかどうかということですか。

【磯村委員】  今の方式で1点だけ気になるのは,データにバイアスが掛かってしまって,結局試行テストして行うことの意味がなくなる,あるいは少なくとも減少するかなという気はします。

【山本主査】  原則は7科目と今回は割り切るということですか。

【片山委員】  母数が減ってしまうということは非常に懸念される点ではありますけれども,私も7科目やるなら全部受けさせるという基本方針に反対するつもりはありません。

【山本主査】  大貫委員,どうぞ。

【大貫委員】  本格実施の場合,試験実施科目の点ですけれども,どう考えたらいいのか非常に難しい問題なのですけれど,前から議論になっているのは,特に2年次に課す試験は,先ほども議論に出ましたけれど,カリキュラムの進行状態が大分違っているので,共通の試験でやるのはいかがなものか。
  他方で,法科大学院の方や学生の方で,自分はこれはやっていないのだからと,それを除いて自己評価するなり,この問題は自分ところの学生はやっていないのだからと,法科大学院が評価すればいいという意見もありましたけれども,学生さんがこれは全然自分はやっていないと思ったというような感想は分からないのですか。
  あと,もう一つは,各法科大学院にアンケートをしたらどうだという提案をしたつもりなのですけれど,各法科大学院が到達度試験を自分の学生に受けさせてみたら,実際に問題を見て,これはうちの学生には無理なものが含まれているとか,それは能力の問題ではなくて,うちではやっていないということがばらばらと出てきたのか,出てこないのかというのは,本格実施に向けた,とりわけ2年次でやるときの重要なポイントになるかと思うのですけれど,その点の情報はございますか。

【山本主査】  資料のどれでしたか,各法科大学院へのアンケート的なものがありましたね。

【塩田専門職大学院室長】  この資料集の11におきまして,各法科大学院において1年次,2年次でどの辺をやっているか,やっていないかというのをまとめた資料はお付けしております。この資料集の11の帯の付いているところでございます。

【大貫委員】  これは試験が終わった後のではなくて,試験の前ですね。

【塩田専門職大学院室長】  カリキュラム上。

【大貫委員】  カリキュラム上開講科目がどうなのかという調査ですね。実際試行試験が実施されて,その後に問題と照らし合わせて自校のカリキュラムとのずれがどうのこうのという話ではないのですね。

【塩田専門職大学院室長】  その分析は,まだ出来ていないのです。

【宍戸委員】  主査が資料を探していらっしゃる間に,私から申し上げますと,今,私も大貫委員がおっしゃられたことに賛成でございます。私もいろいろなレベルで試行に関わっているわけでございますが,関わっている人間だけが一生懸命やっていて,一般の法科大学院の方が関心を持たないとか,勝手に好き勝手なことをやられているという感じになるのは非常に問題がございます。試行のデータ等を見ていただいて,例えば本当にこれを各法科大学院で進級判定に使うとすれば,どのように使い道があるのだろうか,学事暦に大きな変更を課してでもやる価値がある試験なのかどうかとか,個々の試験問題の内容もそうですけれど,それ以上に,この確認試験の意義とか,そのようなものについて各法科大学院に考えていただき,また,その意見を集約して実際にどのような進級判定での生かし方があり得るか,あるいは実施機関の在り方があり得るかといったような議論を進める段階に来ているのではないか。その前提となる試行を2回やって,その議論のたたき台となるようなデータは,各主任の先生方の御協力で集まったのではないかと思っております。
  例えば進級判定につきましても,非常に拘束的なものとして確認試験を使うということであれば,全学生が必ず受けられるという試験でなければいけませんし,そのようなことが現実に各法科大学院において可能かという問題もあります。
  他方,例えば何か事情があって学生さんが受けられなかったとか,例えば学生さんが共通到達度確認試験で点が悪かったのだけれども,それはうちの法科大学院のカリキュラムの関係で,この学生さんはこの科目について点が悪かっただけなので,また,このような指導を法科大学院でしたので進級させたという説明を各法科大学院にしていただく等,カスタマイズできるような柔らかな縛りとして共通到達度確認試験を使うということであれば,各法科大学院で,では自分たちも人も出そうとか,何らかの形での協力もしようということになり得るのか,それは無理だということなのか。このあたりについて,そろそろ法科大学院協会等,いろいろなところでのコミュニケーションを始めて,この場に,あるいは上の委員会の方に集約していただくという作業をしていただきたいと,関わっている人間としては思っております。
  以上でございます。

【山本主査】  私の想定していた,探していた資料は,資料6の推進ワーキング・グループでされた各法科大学院の履修状況の実態調査というものが,資料6の4ページ以下に出ていまして,ここでそれぞれの科目について,民法だとここ,刑法だとここというのが,なかなか1年ではやっていないとか,2年でもやっていないとかという資料が出ていて,恐らくこれの基になるデータというものを法科大学院ごとにお持ちなのでしょう。

【大貫委員】  宍戸委員の意見は全くそのとおりで,やってみて,各法科大学院が自分のところでどう使えるかという,使いにくいなとかいう意見をフィードバックしてもらわないといけない。御指摘の資料は試験実施前の調査だと思うのです。

【山本主査】  そうですね。だからこれは第3回をやるために多分調べられたものなのです。

【大貫委員】  法科大学院に意見を聞いてみないといけないかなと思っています。
  それと,別紙の,今,山本先生が御指摘になった実態調査,これはどのような質問票でやったのでしょうか。特に行政法のところを見ていると,答えが,これは何なのだろうというようなものがあります。要するに,自由に答えてもらったのか,これはやっていますか,これはやっていませんかという形で聞いたのか,どのようなアンケート調査になっているのですか。
  聞き方によっては答えが随分変わってきてしまうという気がしているものですから,それを教えていただければと思います。

【塩田専門職大学院室長】  この基になったものが,先ほど御説明した,これを分かりやすいように書いたのが,これだということなので,元データは資料集の11の帯が付いているものになります。

【山本主査】  分かりました。いずれにしろ,各法科大学院へのアンケートというか,実際の試験についての評価のようなものは,何らかの形でやる必要があると思いますが,どこがやるのかということですけれども,検討チームとかでやっていただくということになりますか。

【塩田専門職大学院室長】  アンケートということであれば,文部科学省の方から各ロースクールに対してアンケートを出すことは可能です。

【山本主査】  それでは,何らかの形でそのようなアンケートを実施していただくという方向でお考えをいただければと思います。
  どうぞ,磯村委員。

【磯村委員】  一つだけ気になるデータが,資料3-3の192ページなのですけれども,全体の受験率がどれぐらいかというお話のほかに,資料11のところに参加した法科大学院及び受験人数というのがあって,法科大学院によって対応が全然違うというところがあります。個々の大学の名前は挙げませんけれども,このデータを見ると正答率とか,その他のデータも,一定の法科大学院の在学生の多数が受けていると随分違ってくるかもしれないというところがあるので,試行テストの段階でどれだけ協力を得られるかということを,できるだけプッシュできるような仕組みがあるといいなとは感じます。

【山本主査】  私自身も内心じくじたるところが,この結果を見てあるわけですが,具体的な参加を促すような各法科大学院への働きかけ,個々の法科大学院生への働きかけもあると思いますけれども,その方策も考えていかなければいけないだろうと思います。
  ほかに,今日の段階で御指摘いただくところはございますか。
  どうぞ,日吉委員。

【日吉委員】  本格実施に向けた検討事項の中で,いまだに明確に姿が見えないというか,どう考えていいか分からない,材料,データも手元にないなと思うのが,費用の在り方だとか,それから作問の体制は,試行試験に限っていえば大体何となく全容が見えてまいりましたけれども,果たして本格実施のときに中心になって行う機関及び作問の体制は,今の延長線上なのか,全く違うものを作らなければならないのか,そして費用はどうなるのか。
  最初の議論のときに出たと思うのですけれども,もともと負担感の強い試験で,しかもある種,法科大学院の質の維持・向上を狙って制度的に入れるものであるということからすると,これ以上学生さんに負担を掛けるわけにはいかないというのが,まず基本線だと思います。そうすると,その費用はどこからねん出するのかというようなことについては,具体的な案というか,プランABCかもしれませんが,このようなことも考えられる,その場合のメリット,デメリットはこのようなところであるというようなことが見えないと,なかなかここで議論をこれ以上するのは難しい。しかし,そろそろしなければならないのかなと思います。

【山本主査】  どうぞ,上田委員。

【上田委員】  今,日吉委員がおっしゃったことは,全くそのとおりで,先ほどからずっと考えていたのですけれども,共通到達度確認試験というのは,下手をすると法科大学院にとっては大きな障害になるのではないかという感じがいたします。本格実施に向けての試行試験をやっているわけですが,本格実施をやったときの内容と,今やっている試行内容が余りにも大きくかけ離れて,例えば受験料は取ります,進級要件で厳しい進級要件にします,修了要件にします,そして短答式の免除は認めませんというようなことになってしまいますと,結局,法科大学院の学生にとっては負担感ばかりが残って,不幸なことになりかねないということになりますので,考え方はまとまりませんけれども,慎重にやっていかなければいけないという感じはいたします。
  感想めいたことで恐縮ですけれども,そのような感じがいたします。

【山本主査】  ありがとうございました。
  片山委員,どうぞ。

【片山委員】  以上の点とも若干関連しますが,本格実施に向けて必要な検討事項の一つとして,この共通到達度確認試験を本格実施するということを前提とした上でもなお恒久的にこれから30年,40年,50年とロースクール制度が存続する限りにおいては不可欠な制度として制度設計するのか,それとも,そもそも進級判定等,きちんと各ロースクールがその責任においてやっていくべきことであって,ただ現在,ロースクールにおける特に未修者教育の問題が指摘される中で,とりあえず当面の制度的な措置として5年なり,10年なりというスパンで導入する制度と考えるのかという点も非常に大きな点であるかと思いますので,是非その点も検討事項の一つとして加えていただければと思っております。

【山本主査】  ありがとうございました。
  ほかに,いかがですか。今日の段階ではよろしいですか。日吉委員の御指摘,誠にごもっともで,恐らく次回7月は,第3回の試行試験についての最終的な取りまとめの作業をしなければいけませんので,かなりそれで時間を取られるだろうと思います。秋以降ということになると思いますが,本格実施の検討事項というものをかなり詰めていかなければいけませんし,その前提としては具体的な考えられる案というか,考えられる少なくとも論点というものを恐らくは示していただいて御議論をいただくということで,かなり具体的な点に踏み込んで議論していくことが必要になろうかと思いますので,事務局でも,秋に向けて,今もちろん一定の御検討はされていると思いますので,現段階での論点あるいは考え方というものを示していただければと思います。
それでは,私の不手際で時間を超過してしまいましたけれども,最後に事務局から,次回会議の予定等について御説明をお願いいたします。

【塩田専門職大学院室長】  次回のワーキングについては,6月の下旬から7月の上旬に掛けてかと考えておりますので,また改めて日程調整させていただきます。

【山本主査】  よろしくお願いいたします。
  それでは,本日はこれで終了したいと思います。長時間の御議論,ありがとうございました。

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