専門職大学院ワーキンググループ(第10回) 議事録

1.日時

平成28年8月10日(水曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省東館 3F1特別会議室

3.議題

  1. 報告書(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)有信睦弘(主査),川嶋太津夫(主査代理)の各臨時委員
(専門委員)片山直也,上西研,杉本徳栄,添田久美子,松﨑佳子の各専門委員

文部科学省

(事務局)常盤高等教育局長,浅野専門教育課長,塩田専門職大学院室長,川﨑専門職大学院室長補佐

5.議事録

【有信主査】  それでは,定刻になりましたので,第10回中央教育審議会大学分科会大学院部会の専門職大学院ワーキンググループを開催させていただきます。
お暑い中,一部遠方より,本当に御苦労さまです。ありがとうございます。
前回の会議での御指摘事項と併せて,各委員から様々な御意見を頂いています。その御意見を踏まえて修正した報告書案について,最終的な議論を行えればと思っています。何か特別のことがない限りは,今回でまとめられればと期待をしておりますので,取りまとめに向けて,是非御活発な御意見をよろしくお願いしたいと思います。
それでは,事務局から配付資料の説明をお願いします。
【塩田専門職大学院室長】  それでは,配付資料の確認をさせていただきます。
配付資料といたしましては,資料1が,報告書の案でございます。
資料2が,参考資料。
資料3が,表題では「現地視察における主な指摘事項」となっているものでございます。
不足等ございましたら,事務局まで,よろしくお願いいたします。
【有信主査】  それでは,資料についてはよろしくお願いします。
議事に移りたいと思いますが,議題1の「報告書(案)について」ということで,報告書及び参考資料,附属資料について,事務局から説明をお願いします。
【塩田専門職大学院室長】  それでは,説明させていただきます。
資料1でございます。赤字の部分が前回からの修正点ということでございます。まず,「はじめに」のところでございますけれども,前段部分では,前回のワーキングでの御指摘を踏まえまして,アメリカの例として,特に学位とキャリアアップの仕組みが社会的に確立されておりまして,多くの学生が専門職系の大学院で学ぶといったような追記してございます。
また,後段の方では,専門職大学院を高度専門職業人養成の中核的教育機関というふうに位置付ける同時に,高等教育全体としての機能強化が必要ということ。そのために修士課程から専門職学位課程への移行を積極的に促す政策も含めた取組が必要であると,こういった旨を「はじめに」のところにも追記してございます。
続きまして,3ページを御覧ください。課題の(2)の部分でございますけれども,見出しのところを「連携が不十分」というように,課題としての見出しにふさわしいように修正を施してございます。
続きまして,4ページを御覧ください。上から数えて二つ目の丸でございますけれども,「積極的な情報提供が不足している」というところでございます。そこを「国及び各専門職大学院による」と主体をはっきりと書きまして,それが理解が進まない一因であるというように追記してございます。
続きまして,(3)でございますけれども,見出しを「役割分担が不明確」と修正するとともに,この項目の重要性に鑑みまして,(4)と(3)の順番を入れ替えてございます。
また,(3)の四つ目の丸でございますけれども,新たな高等教育機関について少し説明が足りなかった部分がございますので,もう少し詳細な説明を追記してございます。
続きまして,5ページでございます。(4)の最初の丸では,機関別と分野別の認証評価の効率化の必要性を丁寧に記載してございます。
また,二つ目の丸でございますけれども,専門職大学院の教員養成の課題についての記載ぶりとして,従来,「養成が遅れている」というような書きぶりにしておりましたが,「他の課程の教員養成の仕組みとは異なる体制の整備が必要」というふうに課題の指摘の仕方を変えてございます。
続きまして,3.今後の方向性として,(3)多様なニーズへ対応するための連携強化というところでございますが,前回ワーキングでの御指摘を踏まえまして,「大学内の各課程間の共通認識とした上で」というような記述を追記してございます。
続きまして,6ページでございます。(5)でございますけれども,従来,想定されるケースということで幾つか具体例を記載しておりましたところですが,このような例示が適切に解釈,受け止められないというようなことも想定されましたので,ここまで詳細に書くのは控えまして,「高度専門職業人養成を主たる目的とする修士課程等」という文言にし,それを本文に記載してございます。また,地方のニーズを踏まえる必要性についても最後に記載してございます。
続きまして,8ページを御覧ください。上から二つ目の丸でございますけれども,博士レベルの専門職学位の目的を明示するとともに,各専門職大学院においても博士レベルの専門職学位について一定の要望があることを踏まえまして,「将来的課題として」という文言は削除してございます。
続きまして,(3)におきましては,クロスアポイントメントの活用についても言及してございます。
(4)では,「国際的水準での教育の質の積極的なアピール」との文言を追記してございます。
続きまして,9ページでございます。(3)のいわゆるダブルカウントを記載した部分でございます。二つ目の丸でございますけれども,前回の指摘を踏まえまして,こういったダブルカウントの制度により教員の確保が図られる一方で,他の課程との連携が図りづらくなっている面があると。こういったような指摘を追記するとともに,他の課程との連携の必要性を指摘してございます。
また,次の丸で地方の小規模大学などでの人的リソースの有効活用ということにも触れてございます。こうしたような状況を踏まえまして,次の丸でございますけれども,高度専門職業人養成機能の強化を図るため,教育の質保証を前提といたしまして,ダブルカウントを一定程度認めることを検討すべきであるということを記載してございます。
その検討の方法でございますけれども,次の丸にありますとおり,時限付き措置と恒常的な措置が考えられるということでございますが,更に次の丸で,教育の質の低下がないようにすることが必要であるために,エフォート管理の手法の導入や基準の在り方について十分検討が必要と。認める場合においても設置審査や認証評価の確認が必要ということを記載してございます。
次の丸でございますけれども,時限付き措置の対象としては,他の全ての課程が考えられるということを記載してございます。
また,ページ変わりまして,次の丸でございますけれども,恒常的措置の対象としても同様の対応が考えられるところでございますけれども,現行制度におきましては,例えば修士課程と修士課程との間でのダブルカウントということは認められていないと。こういったような現行制度との関係もございますので,引き続き全体的な議論が必要であるというふうに指摘してございます。
丸を二つ飛ばしまして,四つ目の丸でございますけれども,教授会の運営等において一定の独立性が確保されている場合は,同じ研究科内に,修士課程と専門職学位課程が併置されることも一つの方策と,これは前例も多々あるところでございますけれども,そういうことを一応確認の意味でここに記載してございます。
(4)でございますけれども,ファカルティ・ディベロップメントは研究者教員と実務家教員の双方に必要であるということを明示するとともに,具体的な取組例を記載してございます。
続きまして,11ページの5.情報公開の促進の(2)でございますけれども,この括弧書きの中に「処遇の状況」というようなことも特記してございます。
続きまして,12ページでございます。(1)ビジネス・MOTのところの三つ目の丸で,目的に応じた発展を目指すことが必要であることと,他の経営系大学院との連携の必要性についても指摘してございます。
また,(2)会計分野におきましては,受験者が増えつつあることを踏まえて積極的な取組が必要であることや,学士や修士との連携強化の必要性にも言及してございます。
続きまして,13ページでございます。(5)臨床心理分野のところでございますけれども,「公認会計士試験等の国家試験と同様」という文言を挿入してございます。ただ,その際に,公認会計士試験が適切な形で制度的に位置付けられているかというと議論があるところでございますので,「適切な形で」というのは省かせていただいております。
続きまして,(6)法科大学院におきましては,弁護士等の法曹有資格者の活躍の場を広げることが必要である旨を記載してございます。
続きまして,資料3を御覧いただければと思います。資料3をめくっていただいたところに「経団連との意見交換会における主な指摘」というものを記載してございます。7月29日に経団連との意見交換会を行いまして,そこでの主な指摘を御紹介いたします。
最初の黒丸でございますけれども,産業界は,修了生を適切に評価する場を設けてきたかということにつきましては,反省があるというようなことをおっしゃっていたと。また,現在では,企業は計画的に優秀な者を派遣していると,こういった御指摘がございました。
また,次の丸ですけれども,地方自治体と専門職大学院との対話が少ないのではないかというような御指摘もございました。
丸を二つ飛ばしまして,五つ目の丸ですけれども,専門教育は社内で行うと,こういったかつての状況は多様化してきているものの,学位と人事管理が連動するのは難しいのではないかとの御指摘がございました。
また,次の黒丸のように,新卒一括採用の風土が変わらないと,学生が修めてきた専門性と仕事との対応というのは難しいのではないかというような御指摘もございました。
また,次の黒丸ですけれども,日本は解雇できないために,採用がコンサバティブになるのではないかというような御指摘がございました。
また,次の黒丸ですけれども,企業にメリットがないと実務家教員の派遣というのはなかなかできないのではないかというような御指摘がございました。
最後の黒丸ですけれども,修士論文を書いたことがビジネスの世界では役に立ったと。専門職大学院では修士論文をなくしてしまったのはどうしてなのか,こういったような御指摘がございました。
資料2につきましては,特段の変更は加えてございません。
説明は以上でございます。
【有信主査】  どうもありがとうございました。
それでは,どんな観点からでも結構ですので,特に修正点を中心に御議論いただければと思います。よろしくお願いします。
経団連との討論会では,相手側は大企業がほとんどなので,大企業の事情をベースにいろんな意見を聞かせていただいたと。かなり専門的能力に対する理解は進んでいますし,企業の中での人材育成も,一般に仕事の中で能力のある人間がプロモートされていくという形はとっているものの,例えば経理系であるとか,人事勤労系であるとか,あるいは技術系であるとか,それぞれの枠内で,その枠を超えて人が移動するというのは相当ハイレベルというか,経営幹部に近いところまで昇進した後の話。ですから,それまでの間は,ある種の専門ごとに分かれて,ずっと訓練をされていますが,もともと採用段階でそういう専門的能力とは全く無関係に採用し,それぞれ振り分けているものだから,どうしても人事の採用部署の感覚は,この中にも書いてあるようにコンサバティブになって,際立った能力があるからといって周りとうまく協調できないような人を採用してうまくいかなかったらまずいというようなことの方が先に働いてしまうということなので,本当はその辺をもう少し人事の関係者がきちんと整備して見直してくれれば,また変わってくると思いますし,内部で昇進していく人たちも,それなりのきちんとした教育訓練を受けて,それを身に付けている人の方が当然能力も発揮できる。適正に配置をされれば,社内的にはその能力を認められるが,まだまだ自覚的にきちんと運用されていないというのが,多分,大企業の現状だろうと思います。
それから,社会一般的に言っても,専門職系というと,一般の大学と比べて何となく一段低く見るような風潮もあって,これはアメリカなんかとは大きな違いになっているわけです。一方で,大企業はアメリカの専門職系のところにも社員を派遣していて,これは英語の訓練と人脈づくりという,併せて別の面の期待もありますが,実際行って,それほど人脈づくりができるかどうかというのは,また別の問題でもありますし,そういうやり方で人材育成がうまくいくかどうかというのも,また違う話だと思います。一応企業側としては,意識はしているけれども,まだなかなか実態として専門職を生かす側に動き切れていないというのが実情だったような印象でした。ということだったと思います。
それでは,どうぞ,どなたからでも結構ですが,御意見を頂ければと思います。
【川嶋主査代理】  よろしいですか。
【有信主査】  はい,どうぞ。
【川嶋主査代理】  内容に関してというよりは,また読み返して,少しこうした方がいいのかなというのを2点ほど,記載の場所の話です。4ページの(2)の白丸の,(3)のところから数えると三つ目に,「専門職大学院制度においては」というところに教員組織の話が入っているんですけれども,実は(2)というのは社会との連携が不十分であることについての記載項目ですので,教員組織のことは少し異色な内容ですので,一つ前の(1)の3ページの,例えば上から二つ目,「制度創設当初」のその下の「また」の前か,あるいは「また」の後ろに移動した方が,座りがよくなるのかなというふうに思いました。
【有信主査】  「また」はどちらの。
【川嶋主査代理】  3ページの上の白丸の二つ目の後に移動するか,三つ目の前か,後ろに行った方が座りがよくなると思います。
【有信主査】  二つ目と三つ目の間か,三つ目と四つ目の間か。
【川嶋主査代理】  ぐらいのところに移動した方が,全体としての整合性が高まるだろうと思います。もう一点は,6ページの(4)と(5)の並びなんですけれども,その前の(3)が学士課程,修士課程との連携強化という項目で,分野ごとのきめ細かい対応というのは,どちらかというと後に,(4)と(5)を要するに入れ替えた方がいいのではないかというコメントです。
最後は非常にささいなことなんですけれども,先ほど経団連のメモのところで,出席者のところが,私,副主査と書いてあるんですけど,主査代理ですので変えておいていただきたい。以上です。ささいなことで申し訳ないです。
【有信主査】  今の御指摘で,特に教員組織うんぬんの記載のところは,確かに全体からすると,今の御指摘のように前のページの,3ページの2番目の丸と3番目の丸の間か,3番目と4番目の間か,そちらに丸ごと移した方がいいという話だと思います。
それから,分野ごとのきめ細かい対応と修士課程等との在り方の整理という意味では,修士課程の在り方との整理ということが,多分かなり重要な項目なので一番最後に持ってきたと理解をしていますけど。
【川嶋主査代理】  この項目の結論的なので最後ということなんですか。
【有信主査】  (4),(3)。この(3)と(5)が割と関連があるので,この二つは一緒に並んでいた方がいいという御指摘だったと思うので,もしも(3),(5)というのが重要とするなら,これを一番最後に持ってきて,(4)をもっと前に持っていくか。しかし,その前は出口との連携強化ということと,分野ごとのきめ細かい対応,社会(出口)との連携を促進するとなっているので,(4)をむしろ(3)の前に持ってきた方がそういう意味ではつながる。
【川嶋主査代理】  ただ,その前の2.というのは課題の指摘なんですけれども,ここでの並びが,最後の(4)がその他の分野共通課題,その前が修士課程等との役割分担が不明確,そういう並びになっているので,この改革の方向性についても,それとある程度順序が対応するような形の構成にしておいた方が良いと思うのですが。
【有信主査】  全体としては整合がとれると。
【浅野専門教育課長】  よろしいですか。こういう順番になっているのは,(3)がその前の2.の(3)に対応していて,(4)は(4)に対応している。この(5)というのは,要は専門職だけの話じゃとどまらない大学院全体の課題として,最後に「おわりに」という形で整理している。
【有信主査】  それでは,そうすると,何かもう少し書き加えた方がいいでしょうか。
【川嶋主査代理】  見出しは少し変えた方がいいかもしれません。
【有信主査】  もう少しここが独立的に新しい,より大きな課題であるということが分かるような書き方になっていた方がいいですね。川島委員のような指摘もあると。
【浅野専門教育課長】  そうすると,当初の方はこれを4.にしていたんですが,3.今後の方向性とはまたちょっと別扱いで独立した形で取り扱っていたので,その形にまた戻し,ここだけ最後に4.で独立するという形はあると思います。
【有信主査】  というのも一つの案だと思いますけど。特に,ここで気になるのは,すぐ社会と協働してうんぬんが出てくるので,ここの表現が本当はもっとより大きな話をしているので,前の方の流れの中ですっと読み込まれてしまうと問題意識の重要性が薄れてしまう。4.という格好にするというのは,より違いが明確になるのでいいのではないかと思いますけども,どうでしょうか,川嶋委員。
【川嶋主査代理】  そうですね。あるいは独立させた上で,少し見出しも工夫して,例えば,ここの本文にありますけれども,2行目に高度専門人材の育成を担う大学教育の改革を推進するというのがあるので,高度専門人材育成を担う大学教育の改革とか,何かそういう見出しにした方がもっとインパクトが出せるかもしれません。もう少し,考えてみます。今すぐ良い案が出てこないので。
【有信主査】  最後までの間に少し考えましょう。
ほかに何か御意見ありますでしょうか。ここのところを4.として,今の案はこの表題をもう少し,全体のまとめというか,より大きな課題として扱うような表題に変えるという案でしたけど,ほかに御意見があれば。はい,どうぞ。
【杉本委員】  前回の会議を踏まえて,この間に意見を発出させていただきました。的確に反映していただきまして,ありがとうございます。特に,分野に関しては反映していただいておりますので,最終的にこの報告書案を取りまとめるという意味合いで,ちょっと細かいですけれども,文言などで二つほど指摘したいと思います。
9ページの(3)他の課程との連携の促進のところの丸が4番目のところですけれども,新たに赤で書き加えられたところですが,そこの3行目です。「専門職大学院の必置教員が,他の課程の専任教員を兼務すること一定程度認めることを」となっているのですけれども,この文章がつながらないので,「兼務することについて」だとか入れていただく方がいいのではないかなと思います。
【有信主査】  これは単純に語彙ですね。
【杉本委員】  はい。それと,その次の丸のところで例示されているのですが,マル1のところが時限付き措置,マル2のところが恒常的措置ということで具体的な例示だと思うのですが,この二つの措置については,二つ飛んだところの丸,ここで(時限付き措置)の対象,それと次の丸のところで(恒常的措置)の対象ということで半括弧がそれぞれついています。こうした文章の展開からすると,むしろ,その上のところの「この際,例えば」という例示のところで,マル1,マル2で該当する条件付措置を鍵括弧付きですとか,さらにはマル2の恒常的措置のところを鍵括弧付きにしていただく方がより分かりやすいのではないかなと思います。
【有信主査】  これが間に丸が1個入って飛んでいるから,それを一緒のところにまとめたらどうですかという提案ですが,事務局としては,ここ何か意図がありましたか。
【塩田専門職大学院室長】  「また」という一つの丸が入っているので,ちょっと読みにくくなっているということですか。
【有信主査】  この「また」の部分は,後ろ側に回しても,両方共通の話としてここに書いてあるわけですよね,マル1,マル2について。
【塩田専門職大学院室長】  はい,そうです。
【有信主査】  その次にまた,マル1とマル2に個別についての説明があるので,こういうことをやるにしても,エフォート管理の手法やうんぬんという,こういうことについての十分な検討が必要であるということで,何か矛盾しなければ,順番を変えてもいいような気がしますが,何か矛盾するところはありますか。
【塩田専門職大学院室長】  分かりやすいように記述を考えます。
【有信主査】  はい。多分,後ろ側にエフォート管理の話が,マル2のところでエフォート管理について言及していて,それでその後ろにエフォート管理を導入する場合については十分な検討が必要であると,こういう並びで,余り違和感はないような気もします。
ほかに御意見ありますでしょうか。どうぞ,片山委員。
【片山委員】  このワーキンググループでの議論を十分反映していただいているという印象を受けましたので,特に意見があるいうわけではなくて,何かあら探しみたいなことになって恐縮ですけれども,4ページの(3)修士課程等との役割分担が不明確というところで幾つかございます。まずは一つ目の丸と二つ目の丸で,それぞれ修士課程と専門職学位課程の定義を比較している中で,括弧書きで米印として,社会人比率についての言及があるという点なんですけれども,まず,その意図がよく分からないという点がございます。社会人比率は圧倒的な差が出ているので,専門職大学院は社会人が先に出てきますので,そういう意味で社会人の教育という点に関しては成功しているけれどもという趣旨で括弧書きで書いておられるのか。すなわち肯定的なニュアンスで書かれているのか,まだまだ足りないぞという趣旨で書かれているのかというのがよく分からないということと,記載として,2ページの(2)の3番目の丸のところにも同じパーセンテージの話が出てきまして,ここでは一定の成果を上げてきたというふうに書かれていますので,内容的に重複しているという面と,それから2ページの方は,約50%という書き方と,11.8%と,一方は正確な率が書いてあって,他方は約になっているという点が若干気になりました。数字の取扱い,重複の問題は何とか整理をしていただくとして,ここでの趣旨,ニュアンスですね,どういう意図で書かれているのかという点を確認できればと思いました。
【浅野専門教育課長】  よろしいですか。
【有信主査】  はい,どうぞ。
【浅野専門教育課長】  4ページで記載させていただいているのは,修士課程も専門職学位課程も新卒の新規修了者だけではなくて,社会人も対象にしていますが,やはり専門職学位課程の方が社会人を受け入れる体制ができている。一方,修士課程というのは,社会人の比率が依然として余り高くないということで,この報告書全体のトーンとして,修士課程の専門職学位課程への移行をしっかり進めていかなければいけない。そういう意味で社会人の受皿というのをしっかり作っていくためには,既存の修士課程を専門職の課程に移行していく必要があるのではないかというトーンで全体的に整理されていますので,ここは既存の修士課程が社会人の比率が低いということを示している数字になっております。前の方の2ページもそこを明確にしていたわけですけれども,数字の書き方については,もう一度統一的に整理をさせていただきます。
【片山委員】  なるほど。
【有信主査】  このところの意味は,今の御指摘のとおりですが,ただ,専門職課程に関していうと,社会人教育,社会人を受け入れて教育することをよりきちんと考えるべきだという意見がもともとこの検討の前にありまして,この順番を入れ替えてもいいのではないかと。最初に「専門職課程は」として,それで半分ぐらいは社会人を受け入れていると。一方で,修士課程はまだ12%程度になっているという,こういう事実を基に,しかし,高度専門職業人養成という観点からは,特に大半の学生が博士課程に進学しないような修士課程の問題が書いてある。ですから,そのまま修士課程からこっちの流れにつながっても余り違和感はないような気がします。
そういう方向で御検討いただければと思います。
ほかに御意見は,特に教職系は問題ないですか。
【川嶋主査代理】  済みません,さっきの見出しの件ですけど,いろいろ考えても長くなってしまい,端的に表現するのが難しいんですけれども,例えば「大学院における高度人材育成機能の強化充実」とかはいかがでしょうか。
少し長いんですけど,何かそんなような。
【有信主査】  強化と充実など。
【川嶋主査代理】  強化・充実とか。
【有信主査】  その辺は検討して,項を新たにするということで。
今日はMBAの代表がいませんが,MOTの観点から見て大丈夫ですか。
【上西委員】  MOTの観点からは十分に反映していただいていると思いますけど,何回か読み返してみて少し違和感があったのは,8ページの教員組織のところです。バランスの取れた教員組織というところで,二つ丸が書いてあって,バランスの取れた教員組織であることを認証評価で確認するということが一つ目の丸,下の丸の方にも共通に書かれていて,少しニュアンスが違うと言えば違うのかなとは思いますが,かぶっている感じがします。また,FDの話は,もともと設置基準にやらないといけないことがきちっと書いてあります。ここでのFDはまたちょっと違う意味のFDの話なんだろうとは思いますが,例えば10ページの(4)の話と連動させた話かなと思います。普通に読むと,FDをちゃんとやっているかどうか確認しないとというように読めちゃうので,それは当たり前というか,当然なので,新たにここで書くのは少し違和感があります。また,認証評価で確認することを検討すべきというのも,かなり重要な事項なので,かなり弱い印象を受けます。その上の文章だと「必要である」とかいう書き方もあったりするので,この箇所はちょっと書き方として弱いかなというのが何回か読み返しているときに感じました。
以上です。
【有信主査】  ここのところは確かに同じ文言が重複していて,意味の違いが明確であれば,少し明確にしなければですが,上の方はバランスの取れた教員組織で,下の方はバランスの取れた配置と書いてある。それから「FDを適切に実施しているかを認証評価において確認することを検討すべきである」ということは,もう少し強く言っても特に何も問題はないと。
【上西委員】  FDをやらないといけないというのは,設置基準にも書いてあるから,当然です。ここでは恐らく研究者教員と実務家教員が相互にやるような,そういうタイプのFDを実施すべきということだったと思いますが,もう一回上からずっと読んでいくと,意図することが少し分かりにくいのかなと思いました。
【有信主査】  下の方はバランスというよりは,もう少し……。
【松﨑委員】  ここのところは,実務家教員については,これ以上という基準だけで上限がないので,実務家教員の割合が非常に高過ぎるところがあるということなどを踏まえてバランスというか,3割以上とか,4割以上とか決められているけれども,大学院によっては,8割,9割がそうであるところなどでの,もっとバランスを取った方がいいんじゃないかと,そういう御意見があって,このバランスという言葉が出ていたようにも思っておりましたが。
【塩田専門職大学院室長】  経緯の説明をさせてもらってよろしいですか。ここは確かに重複したような記載になってしまっていますが,経緯といいますか,大変分かりにくいんですが,かつて論点整理という資料を作成しましたが,過去の資料を見ていただければと思います。例えば,第7回の資料1の6ページの上の部分,研究能力を併せ有する実務家教員の配置を義務付けることは必要か否かというような,これは新たな高等教育機関との関係で,こういう研究能力を併せ有する実務家教員の配置を義務付けることを一体どう考えるかというような論点がかつてありまして,それの解として,実務家教員に研究能力をそこまで求めるのはやめて,適切なバランスで配置されているかというような解にしたらどうかというようなことが議論としてあり,それが整理されないまま報告書に落とし込まれているということでございます。
【浅野専門教育課長】  意味合いは,多分,違うアプローチから入っているけれども,言っていることは似ているので,ここは一つにまとめられるように整理をさせていただきたいと思います。
【有信主査】  むしろここの意図でいうと,バランスの取れた組織というのは,いわば体制として,採用している構成としての話と,もう一つは実務家教員と研究者教員とが,効果的に教育ができるような教育システム,あるいは教育体制になっているかどうか。あるいはそれに併せて効果的な教育が行われるようFDが行われているかまで踏み込んで,認証評価で確認することを検討すべきであるとまで書くかどうか。
要するに具体的な教育システムなり,教育体制が実務家教員と研究者教員とが効果的に教育が行われるような体制になっているか,併せてFDによってそれが改善されるような努力が行われているかということを認証評価で確認することを検討すべきであると。そこまで踏み込んでしまうか。そうすると前の方の議論に多分つながっていくのではないかと思います。
【浅野専門教育課長】  バランス配置の話をそのような記載に変えて重複感をなくすということですね。分かりました。
【有信主査】  認証評価はちょっと大変になるけど,認証評価は多分それぐらいのことはきちんとやっていくべきだと思います。
【浅野専門教育課長】  あと,ここで上も検討すべきでなっていますが,上の丸と下の丸と。
【有信主査】  検討。
【浅野専門教育課長】  両方とも確認することが必要であるという形に修正しますか。
【有信主査】  むしろ,確認して構わない話ですよね。ただ,上の方を確認すべきであるというふうにしてしまうと,バランスが取れたとは何ぞやという質問が必ず出てくる。それを示すことができればということで,どうしましょうか。
下の方は,要するに効果的な教育体制がとられていることは,認証評価で確認しなければいけないことですが,どういう基準範囲であればバランスが取れているかということの判断を認証評価機関に委ねるのであれば,検討すべきであるでいいと思います。そこを認証評価機関に委ねないで,ある程度の基準や指針を出すのであれば,これは確認すべきであるということでいいと思います。
【浅野専門教育課長】  そこは各大学のポリシーや専門職の分野によりますので,認証評価機関が大学ごとにバランスの考え方を評価していただくのだと思います。
【有信主査】  それが適切だと思います。ただ,下の方は明らかに効果的に教育が行われる体制になっていて,FDによってその改善が図られているかは確認する必要があるので,これは確認すべきであるで構わないと思います。
ほかに何か。はい,どうぞ。片山委員。
【片山委員】  今の教員組織の議論を聞いておりまして,それとの関係を意識する必要があるのかと思いますのは,11ページの7.の教員養成のところで,そこでは言葉として,「実務性」,「学術性」という言葉を用いて,両方が両立した教員養成が必要であるというふうな表現になっていますけれども,この実務性,学術性という言葉,考えてみると,今まで余り使ってこなかったように思います。研究者の方は研究能力という言い方であったと思いますので,その言葉自体の使い方の問題と,それから考えてみますと,ここで想定している教員というのは,研究者教員で実務をよく知っている研究者教員を育てようということを書いているのか,それとも実務家で研究者能力がある人も育てようということを意図しているのか。それとも両方だからこういう曖昧な表現になっているのかというところが改めて気になりました。御確認いただければと思います。
【有信主査】  そうですね。ここのところは……。ほかに専門職大学院の教員養成について言っているところはありませんでしたか。ここだけで考えればいいなら,ここの文言だけ考えればいいのですが,これ以外の場所でありましたか,教員養成について。
【塩田専門職大学院室長】  大体ここで。
【有信主査】  ここだけだと,もう少し丁寧に書き込むかですね。前から一応議論しているのは,専門職大学院の教員というのは,専門性と学術性を兼ね備えていなければいけないとは言っていない。つまり,研究能力があるという,いわゆる学術的な教員,いわゆる通常の学問的に専門的な能力を持った教員と,それから実務的な専門的能力を持った教員とが合わさって専門職課程の教育を行うべきであるということだったような気がします。
つまり,会計大学院でも会計学のある意味で専門的な能力を持った人は必要だし,会計の実務に関して通じている教員も必要だと。その双方が合わさって効果的な教育を行う体制を作るべきだという,その前の方の流れに,今の片山委員の指摘だとつながるので,そこを簡単に研究能力と実務能力というふうに言い換えてしまえば話は簡単なんですが,どうですか。
【片山委員】  よろしいですか。法律分野,法科大学院関係で考えますと,やはり二つの点は重要かと思いまして,一つは,これからのロースクール時代の教員の在り方としては,ロースクールを出て,修習も終えて,実務も経験した人たちがしっかり研究をやってもらうのが望ましいという研究者養成の問題が一つあります。
それからもう一つは,実務家教員でもより高度の専門性を持ってという形で社会人としてドクターコースに進学されて,ある程度の研究能力を身に付けた上で実務家としても活躍され,かつ,ロースクールならロースクール,専門職大学院で教べんをとられるという方もいらっしゃって,その二つのカテゴリーはかなり違うと言えば違う,その両方の養成を今後は検討していく必要があるかと思いました。その両方を視野に入れたような書きぶりになった方がいいののではないかという印象は持ちました。
【有信主査】  そのとおりなので,言い換えると,専門職課程の博士課程と通常の博士課程と,それぞれを経た教員が併せて教えるという体制になるのが一番いいということですよね。そこに至るパスは問わず,最終的に研究能力というのは,通常の博士課程,ないしは博士後期課程で研究をした教員と,それから専門職課程の博士課程,いわゆる専門職課程の博士課程を修了した人とが合わさっている構成になるのが本当は一番いいのかもしれないのです。一定程度の実務経験を踏んだ上で専門的な研究をして教員になるのは,一般の専門的な学問分野での教員になる人たちと専門職課程で教員になる人たちとに分かれると。それから,専門職課程で学位を取った人たちの行き先は,より高度な専門職として活躍するか,あるいは専門職課程の教員になるかというパスになるということで,そういうことまで踏み込んで言うと,専門職課程での博士課程の設立を検討すべきであるという文言はどこかにありましたよね。
【塩田専門職大学院室長】  ございます。
【有信主査】  そことの関連を踏まえて,そういうことを検討すべきであるとまで言うかどうか。何となく実務性と学術性を備えてとしているのですが,細かく説明すると,今言ったようなことですよね,片山委員のおっしゃったことは。前の専門職課程でより高度な学位というか,専門職課程の博士課程というのは,例えば国際的に活躍するような専門家の育成にはやっぱりドクターという学位が必要なので,そういう人たちも育てなければいけないという部分と,それから専門職課程での教員として活躍する人もいるということで,専門職課程で学位を取った人が全て専門職課程の教員になるわけではないという考え方。例えば公共政策や公衆衛生は,WHOや国連などでより高位の職に就こうと思うと,その専門性に併せて学位が必要だということになるので,そういうところで活躍する人に学位を与えるというときに,もう少し専門職課程での学位という考え方を入れておかないといけないという気はします。
今の日本の通常の法学研究科だとか経済学研究科でドクターを取った人が国連で活躍するかというと,なかなかそうはいかないこともあるので,もっと国際的に活躍するような専門家を育てるためにパスとして,専門職課程でより高位の学位課程を考えるべきだという話をしているわけですよね。
何か御意見あれば。
この接合した部分とはどういう意味でしたか。
【川嶋主査代理】  現在は兼担化できるように,教員はできるようになっているんですね。
【有信主査】  教員は兼任ができるようになっている。
【川嶋主査代理】  だからそれを受けた形で,多分学生に,次のページにあるように,きちんと博士後期に進学できるような指導も専門職大学院で行うことにしてはどうかということですね。
【有信主査】  次の丸は,そういう意味でいうと,専門職課程の修了者が通常の博士課程(後期)に進学できるパスをきちんと確保しましょうという話で,これはある意味でもう一つのパスになるんですよね。つまり,専門職課程である程度の教育を受けて,その中でより深い学理の研究が必要だと思う人が博士課程(後期)に行って,その学理の研究を終えた後に実業界に出るか,あるいはまた教員という道に進むかという話で,それはそれでいいと思います。それは通常の博士課程(前期)から,そのまま博士課程(後期)に進む人と同じ内容のパスになる話で,学理を究めるという話と,専門職課程でより高度の学位を与えるという話は別の話になるということ。表現もう少し簡単に,いろいろなことが想像できるように,専門職大学院の教員養成で専門職大学院の教員としては実務能力と……,何て言えばいいんだろう。今の大学の教員を端的に表現する表現方法はないので。だから研究能力に優れたみたいな言い方で簡単に済むかという話ですが,実務性と学術性としていますが,ここは実務能力に秀でているという観点と,学術面で優れた能力を有するという観点と,双方の観点が必要でありぐらいで,両方兼ね備えてというのはなかなか難しい話で,その双方の観点が必要であり,専門職学位課程と博士課程との接合した部分が必要であるとつないでしまうか。前の方で専門職課程でより高位の学位が必要であるということにしているので,ここはそういう観点で,専門職課程で。ただ,すんなり接合した部分が必要であるとつないでも,ちょっとまだ足りない。
【川嶋主査代理】  英語でいうとすごく簡単なので,プロフェッショナル・エクスパティーズ・アンド・アカデミック・ケーパビリティーとか,何かそんな表現が適切だと思います。
【有信主査】  エクスパティーズとケーパビリティーと。
【川嶋主査代理】  英語ではそれで良いと思うのですが,日本語はなかなかうまい表現が浮かびません。これは,今,主査がおっしゃったように,優れた実務能力と学理にたけた能力を相互に補完し合うような教員養成の仕組みが必要であるとか,そんなようなことですかね。両立というよりは相互に補完するという。
【有信主査】  一人が両立している必要はないということ。悩んでいるのは,今まで学理という言葉は使っていないので,ここで学理と記載すると混乱するため,もう少し易しい言葉にできないでしょうか。
【川嶋主査代理】  ですから,専門職大学院を一言で表現すると「理論と実務の架橋」というのが専門職大学院の特色ですので,理論と実務の教育能力を相互に補完できるような教員養成の仕組みが必要であるとしてはいかがでしょうか。
【有信主査】  そういうふうに記載して。
【川嶋主査代理】  理論と実務を教育する教員養成の仕組みが必要であるでいいんじゃないですか。相互に補完,理論と実務,架橋でもいいんですけど,理論と実務の教育を相互に補完できるような教員養成の仕組みが必要である。
【有信主査】  そうすると,その次の接合した部分にすんなりとつながるでしょうか。
【川嶋主査代理】  この接合した部分という具体的なイメージがいま一つ浮かばないんですけど。
【有信主査】  専門職大学院の教員養成という表題で言うのであれば,専門職課程の高度な学位を修めた教員,専門職課程の博士課程及び通常の博士課程という言い方も変。要は……。
【片山委員】  よろしいですか。
【有信主査】  はい,どうぞ。
【片山委員】  この部分で,恐らく「接合した部分が必要である」という一つ目の丸の文章が非常に抽象的なのですけれども,具体的な話としては何なのかということになると,次のページをめくっていただいて二つ目の丸の,まずここで一つ力説されている点は,一つの方向ですけれども,修了生が博士課程に進学をして研究者となる道をきちんと作りましょうということがここで言っていることですので,恐らく専門職大学院の教員は,今後は専門職大学院を卒業して,かつ,従前のドクターコースに進んで研究能力を身に付けた上で教員になってくださいというルートをしっかり作りましょうという点は,一つここで言われていることで,そのこと自体は否定されるべきではないですので,明記すべきだと思いますが,他方,今主査の言われたいわゆる専門職大学院としての博士レベルのより高度な専門職学位ということについて,恐らくここの段階ではまだそれほど意識されてはおらず,そういう意味で,高度な博士レベルの専門職学位については,8ページの一番上の二つ目の丸のところで,今後検討していきましょうというトーンに落とされているかと思います。11ページの7.のところで,そういった博士レベルの専門職学位もきちんと認めた上で教員を養成しようとまではなかなかここで言えないのではないかなというふうに思っています。
【有信主査】  将来の課題として。
【片山委員】  将来の課題だと思います。そこまでは踏み込めなかったということだと思いますので,いかがでしょうか。
【塩田専門職大学院室長】  片山先生がおっしゃったように,よく専門職学位としてのドクターコース,博士課程の課程を作ってほしいと言われる理由として,後継者養成や教員養成のために専門職学位としての博士課程を作ってほしいという要望は結構ありますが,やはり教員になるのであれば,通常のPh.Dに行くべきとの御指摘がありましたので,そこについては,あえて言及しなかったというのが1点。
一方で,8ページにありますように,高度専門職業人養成を主目的とした博士レベルということで,職業人養成を目的とした博士レベルであれば,専門職学位としての博士レベルとして検討に値するのではないかということで,8ページにはその旨を記載している整理でございます。
【有信主査】  要するに専門職課程の高度な学位課程が創設された場合に,その課程を教員養成の一環に位置付けるかどうか。
【塩田専門職大学院室長】  はい。例えば実務家教員がそのルートで,高度専門職業人養成を主目的とした博士レベルの学位を取得して実務家教員になるのが一つのルートとしてありますが,アカデミック教員がそちらのルートでいいのかどうかというのが,御議論があるところだと思います。
【有信主査】  それは議論があるところですね。だとすると,ここの専門職課程と博士課程(後期)の接合した部分はどういう意味でしょうか。
【塩田専門職大学院室長】  これは要するに12ページの二つ目の丸にありますように,専門職学位に入っている人も研究指導を受けられるようにする必要があるということだと思います。
【有信主査】  ということであれば,最初の部分は全部削除。そうだとすると,ここの部分は何も特別なことを言っていないことになる。
【浅野専門教育課長】  片山先生が言われたように,そういったルートをまず確保する必要があるということは総論的には置けると思います。その上でこの二つ目というのは,もう少し具体的に研究指導が受けられるようにとの記載。総論のところと,それからその後半部分の研究指導という具体的な中身と,まとめて一つに整理をさせていただいてはどうでしょうか。
【有信主査】  そうですね。一つにした方が分かりやすいと思いますので。どうもありがとうございます。
ほかには。皆さん方の御議論で,少なくとも中教審の大学院部会の審議まとめで提起された課題について,大枠のところでは答えが出ていますが,まだまだ答えとしては完璧でなく,棚上げした分もある。そこを踏まえて,今後どういうふうに進めていくかということは,また議論をしなければいけない話だと思います。少なくとも大枠は,随分と整理をされてきたと思います。
ここの中で取り残されている部分がないわけではなく,例えば原子力やIT情報系だとか,そういう特別な専門分野で専門職大学院を形成しているところがあり,大枠としては取り込まれていますが,個別課題としては,まだ十分掘り下げられていないところもある。将来的には,ここで記載されている社会の出口との接合の部分で,より厳密な議論をしていく,連携をとっていくというところで,ほかの部分についてもまとめにはなると思います。個別の部分が全て議論し尽くされてはいないというのは多少残ってはいますが,カバーできている印象は持っています。
何か全体として御意見があれば,松﨑委員や添田委員。どうしてもメーンの議論とずれてしまうものだから申し訳なかったですが。
【松﨑委員】  修正を入れてくださっているところは理解もできていますし,13ページですけれども,臨床心理分野については,赤で入れてくださったところは前の議論も踏まえて,なおかつ適切な形でのところが消えている部分は,さっきの御説明で分かりましたので,これでいいかと思います。
その上の部分が,「処遇については,非常勤職が多く」ということですが,実質的な社会的なニーズはかなり高いにもかかわらず,非常勤職が多く不十分であるというか,何か活躍の場がということも後で書いてあるんですけれども,ニーズとしては,これから企業においてもいろいろな形の中で多いと思っておりますので,そこの部分をちょっと入れていただけるといいかなと,今,読みながら改めて思ったところでございます。
【有信主査】  これを広げることが必要であるということよりは,むしろ今後活躍の場が広がっていくことが期待されるぐらいの方がいいということですか。
【松﨑委員】  そうですね。それと社会的ニーズが高いにもかかわらず,処遇が非常勤が多く不十分であり,より活躍の場を広げていくことが必要であると,そちらの形かなと思います。
【有信主査】  社会的ニーズが高いにもかかわらず,あるいは社会的な要請が高いにもかかわらずというのを前段に入れると。
【松﨑委員】  はい。
【有信主査】  それはそのとおりだと思います。現実に企業内でも,こういう問題というのはどんどん顕在化してきていますし,いわゆる様々な障害に関する適正な対応をとらなければいけないという法律ができました。その中に,実際には発達障害だとか,様々な精神心理的な要因に関わる話も出てきますから,事実だと思います。
教員養成系の大学院の観点からして何か抜けていることはありませんか。
【添田委員】  ありがとうございます。今,教職大学院ということで,14ページの(7)でまとめていただいている部分で申し上げた分は十分かと思うんですが,今日議論がありました教員養成ということで教職大学院の数が非常に増えたんですが,では,そこの教員をどう養成していくのかというのは非常に大きな課題になっておりまして,ここからは,ここに載せていただきたいということではなく,現状としては,公募等々いたしましても,なかなかその枠の適格な方というのを見つけるのが難しいということが一方にありつつ,なかなか研究者教員として,マスター,ドクターを来た方では担当できない科目がいっぱいある。
その一方で,じゃあ実務家の方はというと,先ほど出てきたような専門職大学院すら出てないわけですね。そういう方が今実務家として入っていただいている中で,先ほどあったみたいに専門職大学院で後期課程をその後出て,教員養成をそこで目指すとなると非常な困難があるのだなということもありますので,やはり今後,教職大学院の方の教員養成について,教職大学院の方で議論していかないといけない課題だなというのは大変よく分かりました。専門職大学院の後期課程を作ったとて,なかなか現実の問題としては難しいという,分野は教職大学院以外にもあるかと思うので,教員養成というのは非常に難しいお話だなということで今日伺っておりました。
【有信主査】  専門職大学院以外でもそういう問題は多分あり,人文社会系でもそういう分野は多分あると思いますので,それはまた別の議論でしょうか。
では,一通りこれで全体に皆さん御了解いただけたということで,先ほど指摘があった部分については修正をしていただいて,その上でもう一度皆さん方にメールをお送りして確認いただいて,最終確定でいいでしょうか。
【塩田専門職大学院室長】  はい。
【有信主査】  それでは,大体まとまったので,局長から何かありますか。
【常盤高等教育局長】  ありがとうございます。委員の先生方におかれましては,昨年12月から10回会議を開いていただきまして,現地視察も2回,また,経団連との意見交換会ということで,大変精力的に御対応いただきまして,厚く御礼申し上げたいと思います。
報告書の中でも御指摘を頂きましたけれども,我が国においては,若年人口が急速に減少していく中で,持続的な成長を維持するという観点からは,国民一人一人の労働生産性の向上ということが必須でございます。専門職大学院を中核とした高度専門職業人養成機能の強化ということが喫緊の課題であるというふうに認識をしております。
やはり社会構造が急速に変革をしている,グローバル化の問題,あるいは都市と地方の問題,あるいは少子高齢化の問題,様々な社会構造の急速な変革ということの中で,様々な課題を解決するために大学に役割を果たしてほしいと。特に様々な職業分野においてアカデミックな知見を基にした課題解決ということを実務の部分でも期待されている部分が大きいと思っております。
最近,特に,少子化が影響していると思いますが,あらゆる分野で人材養成の重要性ということが指摘されているということがありますので,大学に対する期待も非常に大きくなっていると思います。ただ,今日の御議論の中にもございましたけれども,今日の言葉で言えば接合した部分ですね,そこの部分についてなかなか,実は指導者を含めて体制が十分整っていないということが課題だと思っております。そういう中で,今回報告書をおまとめいただいて,具体的なそれぞれの課題,項目について,社会との連携強化策を含めまして,専門職大学院の基本強化のための方策を御提示いただいたということでございます。
文部科学省として,この報告に基づいて改善方策の具体化を図り,修士課程との関係の整理も含めて,更に専門職大学院の充実強化,あるいは大学による専門的な人材の育成強化に努力をしていきたいと思っております。
報告書の取りまとめに至る過程で,非常に細部にわたりましてもいろいろ細かく御確認いただいて,先生方には御負担をお掛けした部分が多々あろうかと思いますけれども,そのことについて,改めて御礼を申し上げまして,御挨拶とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
【有信主査】  どうもありがとうございました。
それでは,主査代理を終えていただいた川嶋委員から何か一言。
【川嶋主査代理】  ありがとうございます。代理と言っても,横に座っているだけで余りお役には立てなかったとは思うんですけれども,一つは,非常に少人数でインテンシブに議論ができたのはよかったんじゃないかなというふうに思います。
それから,2点目は,今,局長もおっしゃいましたけれども,また,まとめの中にも何度も出てきますけれども,今回の専門職大学院の議論が,一般課程の大学院も含めて大学院改革の契機になれば,この1年弱の我々の議論も非常に報われるというか,そういうふうに思います。いろいろ長い間ありがとうございました。
【有信主査】  どうもありがとうございました。本当に短い期間でかなり集中的に議論をして何とかここまでたどり着いきました。最初は一体どうなることやらと思っていましたけれども,御協力ありがとうございました。
もともと専門職大学院に関して言うと,ここの報告書の最初にも書いてありますけれども,アメリカのようにいわゆるプロフェッショナルスクールが実際の主流になっていて,学部を卒業した後は,それぞれプロフェッショナルスクールを経て,専門的な能力を身に付けた人たちがそれぞれの分野で活躍するというシステムが,いずれ日本でも主流になるだろうという見込みの基に専門職大学院が創られたわけですけれども,日本の場合はなかなか,全ての大学が研究大学を目指すものですから,今の大学の状況は,完全に限界であるということはもう目に見えてきているように思います。
そういう中で,いわばプロフェッショナルスクールと研究大学等ということと,その双方に進む人たちに共通基盤としての基本的な教育を行う学部という構造に全体が整理されていかないといけないと思っていますが,産業界も成功体験から抜け切れていないところもあります。しかし,いずれそういう方向に動き出したときに,今の日本の専門職大学院がきちんとその機能を果たせるように,できれば今回の報告の指摘の一端が取り入れられて,より良くなるようになっていければと思います。本当に短い期間,集中的に議論していただいてありがとうございました。
事務局から,ほかに何かありますか。
【塩田専門職大学院室長】  本報告書につきましては,9月に大学分科会大学院部会に報告する機会がございますので,そこで御報告される予定になってございます。そこで頂きました御議論,御指摘等については,委員の皆様に情報共有させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【有信主査】  どうもありがとうございました。
本日は,少々早いんですが,これで閉会にさせていただきたいと思います。どうも御苦労さまでした。

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