専門職大学院ワーキンググループ(第8回) 議事録

1.日時

平成28年7月14日(木曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省東館 3F1特別会議室

3.議題

  1. 専門職大学院制度の現状・課題について
  2. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)有信睦弘(主査),川嶋太津夫(主査代理)の各臨時委員
(専門委員)大竹由希子,片山直也,上西研,杉本徳栄,松﨑佳子,宮脇淳の各専門委員

文部科学省

(事務局)常盤高等教育局長,義本大臣官房審議官,浅野専門教育課長,塩田専門職大学院室長,伊藤高等教育企画課高等教育政策室長,川﨑専門職大学院室長補佐

5.議事録

【有信主査】  時間になりましたので,専門職大学院ワーキンググループを開催させていただきます。
もう8回目になりますが,いろいろ御意見を伺って,御協力いただきました。どうもありがとうございました。
本日は,事務局にこのワーキンググループの取りまとめに向けて報告書の更新案を作成してもらっています。昨日まで御意見を伺っていましたが,それに基づいて,本日もそれぞれ活発に議論をお願いできればと思います。よろしくお願いします。
それでは,事務局から資料の説明をお願いします。
【塩田専門職大学院室長】  それでは配付資料の確認をさせていただきます。
資料1が,骨子案でございます。
資料2が,ダブルカウント・みなし専任教員についての検討資料。
参考資料1として,大学分科会における主な指摘事項を用意してございます。
不備等ございましたらお知らせください。よろしくお願いいたします。
【有信主査】  それでは,早速議事に移りたいと思います。
議題の1番として,専門職大学院制度の現状・課題についてとして,報告書の骨子案を作成していただいています。事務局からまず説明をお願いします。
【塩田専門職大学院室長】  それでは説明させていただきます。
まず,参考資料1を御覧ください。前提といたしまして,先月24日に大学分科会に本ワーキングの検討状況を御報告した際の御指摘事項を御紹介させていただきます。
最初の丸ですけれども,新たな高等教育機関との関係を含めまして,専門職大学院が全体の中で占める位置について議論が必要であるというような御指摘。
二つ目の丸ですけれども,学位の違いについての議論が必要であって,どういう分野のどういうレベルの学位が必要とされているのかについての分析が必要であるという御指摘。
また,次ですが,専門職大学院の創設は大胆な改革だったけれども,これまでの評価やフォローアップが必要であるという御指摘。
次ですけれども,専門職大学院ならではの要求があるべきという御指摘。
また,教育の質保証という制度趣旨から,ダブルカウントの緩和については疑念があるのではないかという御指摘。
また,認証評価の審査員にステークホルダーを加えるべきという御指摘。
また,ステークホルダーという表現は曖昧であるので見直すべきといったような御指摘がございました。
このような大学分科会での御指摘ですとか,これまでのワーキングで委員の先生方から頂いた御指摘を踏まえまして事務局で案を作成したのが,資料1の骨子案でございます。
資料1の3ページを御覧ください。まず,1の現状の課題と今後の方向性ですけれども,最初の丸のとおり,専門職大学院は平成15年に創設されておりますが,次の丸のとおり,その前身といたしまして専門大学院制度がございました。専門大学院は修士課程の枠内での制度設計でありましたので,6研究科・専攻にとどまったという経緯がございます。
次の丸のとおり,そういうことを踏まえまして,柔軟で実践的な教育を可能とするため,専門職大学院制度を創設いたしまして,平成27年現在,162専攻が設置されてございます。内訳としては,法科,ビジネス・MOT,教職,こういった分野が多く設置されているという状況です。
なお,現在,平成28年度のデータについて集計中でございまして,次回のワーキングにおきましては最新のデータに更新したいと思います。
続きまして(2)ですが,専門職大学院が実務家教員の参画を頂きまして実践的な教育を双方向・多方向で体系的に行うと。また,分野別認証評価で教育の質を保証すると。また,次の丸のとおり,一定分野ではコアカリキュラムを作成するといった取組によりまして,大学院教育の実質化をけん引してきた面があるというようなこと。
また,次の丸のとおり,社会人に配慮した取組が進められ,社会人比率が約50%。これは博士前期を含む修士課程では11.8%となってございますが,比較しても高い数字となっていることを書いてございます。
2ポツの課題では,最初の丸のとおり,高度専門職業人養成の必要性は一層増大しているわけですが,次の丸のとおり,専門職大学院の設置数は減少傾向にあるということでございます。
ページめくっていただきまして,4ページでございますが,最初の丸のとおり,在学生数等も減少傾向。ただし,ビジネス・MOT,教職分野は増加傾向にあるということでございます。
一つ丸を飛ばしまして,制度創設当初の中教審答申の話ですけれども,この答申におきましては,職業人養成を相当の比重で行っている大学院につきましては,一律に専門職大学院に移行することは適当ではない。適当ではないのだけれども,高度専門職業人養成に特化した課程として分化する場合は,新たに専門職大学院として設置することが適当であると。このような指摘があったところでございますけれども,現実には転換とか新設は余り進んでいないという状況でございます。
また,次の丸ですが,有職者に必ずしも柔軟な履修形態を提供できていないのではないかということ。また,企業等の理解が不十分。このような指摘があることを記載しております。
次の丸で,専門職大学院の広がりや制度の柔軟化が不十分ではないかという指摘をしてございます。
(2)でございます。社会との連携が不十分で,社会のニーズを的確に踏まえたプログラムを提供できていないのではないかということ。
また,次の丸ですが,学位の付加価値が社会に理解されておらず,キャリアアップにつながる仕組みができていない。これが欧米との違いになっているということ。また,企業が専門知識に重きを置いて雇用していない。このようなことが労働生産性が上がらない一因になっていると指摘をしてございます。
次の丸で,不足している分野や連携が必要な分野があるのではないかということ。
また,次の丸で,ダブルカウントが認められていないために,連携した取組をしづらくなっているという御指摘がある旨を記載してございます。
5ページでございます。(3)で,認証評価の効率化と教員養成の遅れが課題であるということを指摘してございます。
(4)では,修士課程と専門職学位課程の目的を整理した上で,三つ目の丸にありますように,博士課程前期,修士課程との役割分担が明確ではない旨を指摘しています。
また,次の丸では,新たな高等教育機関では,現場レベルをけん引していく層の養成に重点を置いておりまして,これは完成教育機関として制度設計されておりまして,専門職学位との接続を念頭に置くものではないという旨を記載してございます。
3ポツの今後の方向性でございますが,(1)で,少子高齢化が進む我が国において,高度専門職業人の養成の充実・強化が必要であるということ。次の丸ですけれども,専門職大学院の強みや特長を伸ばすための取組の促進,修士課程を含めた全体的な強化が必要という旨を記載してございます。
(2)です。人材養成について,社会との共通理解を得るとともに,社会においても受入れ体制を作ることが必要ということを記載しています。
また,次の丸で,専門職大学院に連携強化を促すとともに,制度見直しが必要であるということを指摘しています。
また,次の丸で,養成する人材像の明確化と,養成課程のどの部分を担うかの明確化が必要と指摘をしております。
また,次の丸で,新設する場合は職能団体との連携が必要という旨を指摘しております。
(3)では,ほかの課程と連携した取組が必要であるという旨を指摘しています。
(4)では,分野ごとのきめ細かな対応が必要であるという指摘をしております。
(5)にでは,二つ目の丸でございますが,高度専門職業人養成機能を強化するため,専門職大学院の在り方のみならず,大学院全体としての議論が必要であり,例えば※印に書いておりますようなケースについて,既存の課程から専門職学位課程へ移行することを促す方策についても検討が必要ではないかという旨を指摘してございます。
2の具体的改善方策につきましては,これまで論点整理で点々で枠囲いをしていたところを主に転記しているものでございます。まず,アドバイザリーボードの設置ということで,論点整理と同じ趣旨ですが,1点,ステークホルダーが曖昧だという御指摘がございましたので,ステークホルダーの意味するところをここに追記しているものでございます。
コアカリキュラムにつきましても,以前議論していたことを基本的に書いているものでございまして,コアカリキュラムをステークホルダーや認証評価機関,学会等の参画を得た上で策定し,必要に応じて更新することを促すということを書いております。
7ページでございますが,最初の丸です。前回,コアカリキュラムの作成主体について御議論がありましたので,それを踏まえて若干修正しております。コアカリキュラムの作成主体は,当該分野の全ての専門職大学院から意見を聞くことが必要であって,同じ分野の専門職大学院からなる組織体が積極的に関与することが望ましいということで,こういった協会のようなところが積極的に関与することが望ましい旨を明記しております。
続きまして,(2)の継続教育等の充実ということで,ここは論点整理で書いているものをそのまま書いています。
(3),(4)も同じく,論点整理メモに書いているものでございます。
3ポツの教員組織でございます。(1)も特に変更してございません。
(2)も同じく特に変更は加えてございません。
(3)他の課程との連携の促進ということで,ダブルカウントについて記載してございます。これにつきましては資料2を御覧いただけますでしょうか。資料2につきまして,1ポツは現行制度の概要ということで,2ポツも主な指摘ということです。
2ページ目の中央に,前回のワーキングで御指摘いただいたことを追記してございます。ダブルカウントを認めた場合に,1専攻の教員数が少なくなり過ぎると,教育システムを構築できるか不安であるというようなこと,認証評価で確認するとこともあるのではないかという御指摘。また,みなし専任教員については,単位数を緩和する場合は,必置教員数の3分の2まで認めるか,検討が必要ではないか。また,教授会ということをはっきり書くべきではないか。このような御指摘がございましたので,それを追記してございます。
それを踏まえて,今回,3ポツの検討事項を充実させ,この点を御議論いただければと思います。検討事項の最初は,専門職大学院の制度趣旨や特例措置を廃止した際の検討の経緯,こういった経緯を踏まえることが必要であるということを大前提として書いてございます。
続きまして,ダブルカウントのところでございます。社会や地域のニーズを踏まえまして,他の学位間で連携して,自らの強みや特長を伸ばすための取組や新たなニーズに対応するための取組を行うことを促進するため,教育の質保証を前提として,他の課程の専任教員を兼務することの在り方を検討すべきではないかということで,具体的な案といたしましては,大学院を新設する場合に限りまして,時限付きでダブルカウントを認めることや,また,他の課程と連携した取組を促進するため,例えばマル1,マル2の条件を満たすなど,質保証が確保されることを前提として認めることも一案として考えられるのではないかと。
マル1,マル2といいますのは,教育上,積極的な効果が認められる場合,具体的には新たな教育プログラムを開設することができるですとか,学部との体系的な教育の構築ができるといったような明確な効果が生じる場合に限定して認めるということ。また,教育上支障がない場合ということは,これまでも本ワーキングで御議論ありましたが,エフォート管理の手法を導入することも一案としては考えられること。例えば担当する単位数を勘案してエフォート管理をすることも,一案としては考えられるのではないかと書いてございます。
ただし,次の丸のとおり,現行制度上,同じ課程間の専任教員の兼務は認められていないということですので,整理が必要です。
これにつきましては,次の次のページにダブルカウントにおける現行制度イメージ図を付けておりますが,先ほど私が申し上げましたのは,修士課程と例えば博士前期の間のダブルカウントは認められておりませんことと,専門職学位と修士課程といったような横のダブルカウントは現在認められていないという状況でございまして,現行制度との整理が必要であるという留意点を書いているものでございます。
ページ戻っていただきまして,検討事項でございます。続いての丸ですけれども,ダブルカウントを仮に緩和するといたしましても,現在,設置基準上,特例措置が設けられている法科大学院及び教職大学院については対象外とすることが適切ではないかということを書いてございます。
みなし専任教員につきましては,6単位から4単位に緩和することについてどう考えるかと。具体的には教授会への参画を担保するということ。そして,こういったみなし専任教員を緩和することによって,実務家教員の関与が薄くなるのではないかというような御懸念があったと思いますので,そういったバランスについては認証評価において確認するような一案を示してございます。
また,次ですが,法学分野の必置教員数の緩和ということを書いてございます。法学分野において,一つの研究科に複数の専門職学位の専攻がある場合は,必置教員数を一定程度緩和してはどうかというものでございます。修士課程の研究指導教員数が,法学系が5のところ,公法,私法等に分割したときは3以上とするという緩和措置が例外的に認められておりますので,この考え方を援用して,専門職学位においてもこういった考え方を導入してはどうかというものでございます。
ただし,質保証の観点から,法科大学院側の必置教員数を緩和するのはどうかということを指摘しております。
資料2の説明は以上でございまして,また資料1に戻っていただきまして,8ページでございます。
みなし専任教員は先ほど御説明したとおりでございます。
ファカルティ・ディベロップメントは,特に記載を変更してございません。
認証評価のところでございますが,変更しているのは,9ページの(3)機関別評価と分野別評価の効率化ということで,これにつきましては前回のワーキングにて別資料で御議論いただきまして,最後のところです。一本化する場合は評価の質を維持することが必要だという御指摘がございましたので,その旨を記載してございます。
5ポツの情報公開の促進,6ポツの職業資格,7ポツの教員養成,ここは従来の論点整理メモから特段変更は加えてございません。
10ページでございます。各分野の固有の問題への対応を新たに記載してございます。前提として,最初の丸ですけれども,こういった以下の事項が挙げられるが,今後,必要に応じ,適切な会議体において引き続き検討が行われることが必要ではないかという指摘をしてございます。
ここに書いてある主な事項は,第1回,第2回で,過去,委員からプレゼンをしていただきまして,そこで御指摘いただいたことや現地視察で指摘があったこと,そういったことを記載しているものでございます。ビジネス・MOT,会計ということで,時間の関係上,それぞれの説明は割愛させていただきたいと思います。
それで,9の新たな認定制度も以前から特段変更を加えてございません。
最後の3のまとめでございます。これにつきましては,今回,まとめを書いてございます。高度専門職業人養成の機能強化は喫緊の課題であるということ。また,専門職大学院と社会との連携が一層強化されて,そういった人材が輩出されるとともに,輩出された人材が受け入れられる社会が構築されることが期待されること。また,専門職大学院制度の見直しの具体化に加えまして,修士課程等々の整理などに係る見直しが必要であって,引き続き適切な場において検討が行われるべきであるということをまとめとして書いてございます。
説明は以上でございます。よろしくお願いします。
【有信主査】  どうもありがとうございました。
大学分科会でいろいろ指摘をされていますけれども,私は出席できなかったので,代わりに説明をしていただいたと思います。ごもっともな御指摘なので,特に全体の中でどういう位置を占めているかは最初の部分に整理をしていますが,この辺をどうやるかという話と,学位の問題もきちんと書き込まなければいけない。
それから,評価については,最初の部分の取りまとめの中で,ある程度評価的なことは書いていただいていますし,専門職大学院ならではの要求,位置付けとの絡みもあります。
ダブルカウントについては,質を維持するという意味で,かなり抵抗が大きいということですけれども,それを踏まえつつ検討を進める。
それから,認証評価の審査員……,この辺はいいですよね。
というような指摘を踏まえてやるということ,それから,もともと専門職大学院を設置する議論の時代は,この辺の書き込みは若干弱いような気もするのだけれども,ヨーロッパでボローニア・プロセスが進む中で,ディプロマ・サプリメントをきちんと書きましょうという方向が出されている。もともと欧州は学位と職位を基本的に共通な考え方をしていて,学位がそれ相当の職業に就くための条件である前提だったのだけれども,学位を欧州全体で標準化するという動きの中で,更に卒業生に対してディプロマ・サプリメントを充実させるという方向が出された。そういう流れを片方でにらんでいた。
もう一方で,アメリカのいわゆるプロフェッショナルスクールの仕組み。アメリカの場合はもともと学位プログラムという形でそれぞれのプログラム群が形成されて,それを緩やかにバウンディングする格好でファカルティが形成され,そのファカルティの責任を持つ形でディーンがいる構造になっている中で,プロフェッショナルスクールという,特定の専門性,高度な専門的な職業人を育てる仕組みができている。
日本の場合は,そういう制度が十分に充実できていないまま進んできて,戦後の経済成長の中での成功の下で,今までのやり方を踏襲してきていたという反省に基づいて,専門職大学院をきちんと整備しましょうという方向の議論だった。
もう一歩踏み込んでその辺のバックグラウンドを,今,ディプロマ・サプリメントがどういう形になっているのかというのはよく確認する必要があると思います。制度ができたときの背景,その後で専門的職業人がますます必要だということが突然ぽんとアプリオリに書いてある。
だから,そういうことの前提につながるような形として,今言った背景を少し書き込んでおくと,ここで専門的職業人の育成がますます必要になってきているということがもうちょっと理解されると思うのです。
これは企業サイドに対するメッセージとしても必要な話で,最初のところでそれをどう考えるかということで,川嶋先生はこの辺は御専門ですよね。御意見を後で伺いながらということにしたいと思います。
それでは,今の説明に関して,それぞれ御意見,質問があると思いますので,よろしくお願いします。
【川嶋主査代理】  では,よろしいですか。今,主査が言われたように,専門職大学院に限りませんけれども,日本社会の今後の行く末を考えると,何か所か言及がありますが,やはり一人一人の労働生産性を高めていかないと日本社会の持続性は保証されないと危惧されるわけです。そういう意味で,国民全体の知的レベルを高めることが必要であり,特にその中でも実社会でリードしていく人材を育成する専門職大学院の重要性は非常に高いと思います。それから,他国の状況を見ても,今,主査が御紹介された状況であるとおりだと認識しています。
しかしながら,現実的には,一つは,これも言及されていますけれども,知識というものの価値が社会の中で十分評価されていないという日本の社会の状況あるいは労働市場の問題があります。それからもう一方は,専門職大学院に参入する際の教員の数などのハードルが高いというような二つの課題がある中で,なかなか専門職大学院が拡充していかないというのが議論の前提,出発点になるのだろうと思います。そのことについては,書き方の問題ですけれども,もう少し強調してもいいのかなと思いました。
これ以降は質問というか,疑問なのですけれども,一つは,認証評価に関わることなのですが,大学教育部会でも教育の質保証については認証評価にかなり任せるという議論が非常に多かったのですけれども,伊藤さんもおられますが,今回の専門職大学院でも,実務家教員と研究者教員のバランスとか,あるいはコアカリキュラムの導入状態など,認証評価で確認することを求めてはどうかという提言になっているのですが,この確認という言葉の具体的意味は何なんでしょうか。認証評価そのものについては,これも大学教育部会で議論になったのですけれども,受審は義務であるのですが,では,受審した結果で何か大学に対してリワードとかサンクションがあるかというと,現状では明確にはなっていなくて,補助金申請のときに資格がないとかという程度なのですけれども,今回,認証評価によって確認することが強調されています。いろいろ確認はできるのですけれども,確認した結果をどう質向上とかにつなげていくのかというところが,全て認証評価機関にお任せになっているような書きぶりになっているということについては少し心配です。
それに関連してお聞きしたいのは,最後の9ポツの新たな認定制度という提言なのですけれども,これはまず誰が認定するかということと,認定することによってメリットがあるのかないのか。つまり,認証評価の結果で非常にすぐれた取組をしている大学院を認定するということなのかとか,認定制度を導入する意図とか主体とか期待される効果とか影響力というのが,今のこの4行だけだとなかなか具体的に伝わらないということです。
最後に,一つ疑問なのですけれども,4ページの(2)の三つ目の白丸のところで,社会のニーズは多様化しており,専門職大学院が扱う分野として,不足している分野や他分野との連携が必要な分野があるというのは,これについては具体的にどういう分野を想定されているのか。これまでの議論の中で何かここに該当する具体的な分野とかはあるのでしょうか。あるいは,該当する分野については今後調査をされていくのか,というのが質問です。
【有信主査】  では,今の質問で,事務局サイド,答えられるところは答えてくれますか。最初は認証評価のところで。
【塩田専門職大学院室長】  ここに書いていることの多くの部分は,これを踏まえまして設置基準を改正するとか,認証評価の基になります細目省令を改正するという,法制的な手当を予定しておりますので,無理にここに書かなくても,当然設置基準が改正されましたらそれを踏まえて認証評価が変わり,それを基に認証評価が確認するという……。
【有信主査】  いや,だから,確認した結果,どうするのかという話。
【塩田専門職大学院室長】  それは,これに限らず,認証評価制度自体の問題とは思うのですけれども,もしも認証評価基準に合っていないという御指摘があっても,国としてはという話ですよね。
【伊藤高等教育政策室長】  事務局から併せて追加で御説明申し上げたいと思います。
まず,専門職大学院設置基準等,そういった規定に記載がされた場合は,認証評価機関も評価対象とするというのは,分野別も機関別も共通の方針であります。
ただ,確認した後,どのように改善に促していくのかというのは2段階あると思っておりまして,一つは大学コミュニティーとしての自主的な改善を促していくといった観点で,今回,認証評価制度全体の改革が3月に大学分科会審議まとめで行われましたけれども,その際にも認証評価結果において改善が必要とされた事項について,大学の教育研究活動の改善状況について評価機関も再度評価を行うよう努めることというような形で,認証評価機関のフォローアップ機能を充実していくということで,課題として記されたものがどのように改善しているのかというところを評価機関もフォローアップしていくといった形で,より質の改善を促していくという大学コミュニティーでの質向上の流れということとともに,法令等に違反していることが判明した場合は,これは行政庁の考え方,対処の方法ということになりますので,しかるべき担当課で法令違反の状況をしっかり把握した上で,同大学等に指導,改善を促していくという2段階の対応になると思います。
【有信主査】  だから,そういう対応をしても,大学が言うことを聞かないで放置していても,実質的には変化はないわけですよね。だから……。
【浅野専門教育課長】  よろしいですか。基本的に認証評価で評価するものについては,今の報告書の中でも例えば教員数であるとか教員の勤務の形態とか,そういう法令に違反するものについては,基本的にはまず行政的な指導を行い,それでも改善されない場合には学教法に基づく改善勧告であるとか,一番重大なものでは廃止勧告ができるようになっていますので,法令違反についてはそういった措置をとっていくことになります。
それ以外の,いわゆる法令には反していないけれども認証評価でしっかり確認していただきたいということについては,改善を促していくということになり,法科大学院の例で申し上げれば,やはり司法試験の合格率の問題であるとか入学者選抜の質の確保ということが,認証評価でも基準として評価をしていただいていたのですけれども,それで大学の方から改善が見られないことについては,運営費交付金とか私学助成金の削減という形でペナルティーを課すとような施策をとったりいたします。
そういう形で,認証評価の結果は,法令違反由来のものについては法令上のしっかりとした措置をとる。それ以外のものについては,行政的な指導を行いつつ,必要な場合はそういったペナルティーのような政策もとるというような形になると思います。
【有信主査】  ありがとうございます。具体的にはそういう形になるということと……。
【川嶋主査代理】  よろしいですか。今の課長さんのお答えに関して,先ほどもお聞きしましたが,9ポツの認定制度のところを読んでいて,今お話があった法科大学院のように,何か指標なりを作って,その指標ごとにすぐれたパフォーマンスを示している大学院に対して国かどこかが認定するのかなということを読みながら想定はしていたのですけれども,今のお話ですと,そういう方向なのですか。
つまり,法科大学院だと補助金を削減するというサンクションの方ですけれども,この場合ですと,むしろリワードというか,いい大学については褒めてあげたり,補助金を出したりということなのでしょうか。
【浅野専門教育課長】  私が申し上げたのは,新たな認定制度についての回答ではなく,認証評価を受けた形での様々な措置,政策の話でございました。9ポツの新たな認定制度については室長から。
【塩田専門職大学院室長】  新たな認定制度,これは今まで論点整理には書いてあってもなかなか議論が深まっておらず,事務局もきちんと説明ができていなくて大変申し訳ございません。
これにつきましては,ここに書いてございますように,設置基準というのは最低限の基準というものが設置基準でございますので,そういった基準ではなくて,1ランク上の基準を国で設定いたしまして,その基準を満たしていると認められる専門職大学院を新たに認定し,ここにはまだ書き切れておりませんけれども,それに伴って何らかのメリットを享受できるというような制度を設けまして,各専門職大学院における改革を促してはどうかということでございます。
改革というのは,ここに書いてございますように,各専門職大学院がしっかりと自分たちの特色を打ち出す取組を促進することを想定しているものでございます。
そこで,認定された場合のメリットというのは,予算的なものですとか制度的なもの等あると思うのですけれども,まだ事務局の中でも検討中という状況でございます。
【浅野専門教育課長】  これは先ほどのペナルティーとかそういう話というよりは,むしろ頑張っていろいろな特色を発揮しているところについては,こういう特色を発揮していると認定をして,そこに更に充実した支援をすることができないかと。
【有信主査】  これは多分少し議論した方がいいですね。今,指定国立大学という制度も動き出していますし,ある意味で,特別に認定,指定をして,それなりの援助なり自由度を増やすとかメリットを与えるという話で,変に認可制度に絡むとおかしな話になるので,議論をきちんとした方がいい。
それと,認証評価も,法科大学院については明確に法律で適格認定を定め,法律上,認証評価と適格認定評価等を分けて書いてある。専門職大学院については単純に認証評価としか書いていないので,ここの部分に書き込もうと思えば書き込める余裕がある。
【塩田専門職大学院室長】  もう1点,御質問が。
【有信主査】  もう1個ありましたね。
【塩田専門職大学院室長】  川嶋先生から御指摘があった不足する分野というのは何だという御質問だと思いますが,これは何か具体的に調査しているというわけではなく,例えばロースクールにおいて,通常の司法試験のための教育をするだけではなく,実際の弁護士や法曹に対する再教育というような分野が,必ずしも法科大学院ではきちんと実施できていないのではないかといったような問題意識から出た表現ではないかと認識してございます。
【有信主査】  これは法科大学院のときも議論が出ていましたけれども,専門職大学院で必要な専門性の教員を全てそろえるわけにはいかないので,それぞれ教えている中で特定の専門性に関する教育が必要なときに,その専門性を持った先生の協力をどういう形で得るかということ。
例えばMOTでは,エンジニアリングのいろいろ専門的な知見が必要なときに,その専門的な知見を持った先生を全員そろえたら工学部が1個できてしまうので,その辺の配慮をどうしましょうかと。
これは各分野,同じだと思います。それぞれ全ての専門家を専門職大学院で抱えるわけにはいかないので,そこをどう解決するか。それは専門職大学院の教育の質を確保する意味でも重要なので,もう少し丁寧に書いたらどうか。
【川嶋主査代理】  すいません,なぜお聞きしたかというと,これは第1回目のときに出た資料だと思うのですけれども,産業競争力会議かどこかの提言で,1回目の資料5のところに書いてあって,分野に特化した,これはビジネススクールですけれども,コーネルのホテルスクールとか,オックスフォード大学の,ザイードの流通業とか,南カ大の映画の専門職大学院とかというようなことが資料として入っていて,そういうものを書き込むのかなとも思ったりもしたものですからお聞きしました。
【有信主査】  両方。
【川嶋主査代理】  ちょっとお聞きしたのですけれども。
【有信主査】  出口側の方の話と合わせて。
【塩田専門職大学院室長】  今,先生の御指摘があった項目は,この骨子案でいうと,7ページの(3)成長が見込まれる分野に特化した経営人材養成ということで,専門学校,学部,他の研究科等と連携してそういったことを行うことも有効ではないかとした書きぶりに,現時点で収れんさせております。
【有信主査】  それではほかに。
はい,どうぞ。
【宮脇委員】  今の7ページの(3)のところなのですが,議論の経緯としてビジネススクールというところが出てくるのは分かるのですけれども,こういう連携というところは恐らくビジネススクールだけではないのではないかという。
【有信主査】  ビジネススクールだけではないですね。
【宮脇委員】  はい。ですから,ここを読むとそれだけに限定されてしまっているので,少し書きぶりを変えた方がいいのではないか。
それともう1点,関連したことで,これは1ページお戻りいただきまして6ページ目の(4)なのですが,一番上の分野ごとのきめ細かい対応ということなのです。このきめ細かい対応,それぞれの専門職によって性格が違うというのはそのとおりなのですが,何のためにきめ細かい対応を行うのか。恐らくこの報告書を見ていると,全体として,いろいろな形の連携ということが非常に強く言葉として出てくるのですけれども,そういった連携を行うためにもそれぞれの固有の課題をきめ細かく見ていって,そしてそれを克服していくといったようなニュアンスというのでしょうか。
それで,分野ごとのきめ細かい対応ということだけだと,恐らくどんどん細分化されていくという構造というような,これはイメージ論というか,文章的な読み方になってしまうのかなと思いまして,これは全体の中での位置付けというのでしょうか,何のためのものなのかということがもうちょっと分かるようにした方がいいのかなと思いました。
【有信主査】  今のところは,そういう書きぶりに。
よろしいですか。
【塩田専門職大学院室長】  はい。
【有信主査】  そういう方向でやっていただければと思います。
ほかに。
【片山委員】  先ほど主査からディプロマの供給の話がありましたけれども,例えば7ページの(2)社会人に対する多様な教育課程の提供など継続教育等の充実というところの二つ目の丸で,例えば履修証明書を交付しということが書かれているわけですが,このような文脈の中で,多様なディグリーとか多様なディプロマの供給という点が言葉として入っていると,更にイメージが分かりやすくなってくるのではないかとも思いました。
【有信主査】  そこにもう少し,何を記載するのかを。
【片山委員】  多様なディグリーとか多様なディプロマの供給を検討するという趣旨です。それが必ずしも継続教育の充実のところだけではないのでしょうけれども。
【有信主査】  ここの文脈は,どちらかと言うと,社会人が,例えば断続的に教育課程をとりつつ,最終的に学位を取得できるような,そういう仕組みとして履修証明のようなものを活用するという,少し理解しにくいと思いますが。
だから,多様な話はまた別立てで書かないと多分駄目だと思います。要するに,柔軟にICTの活用や,そういう文脈の中で履修証明制度と科目等履修生制度を併せて活用し,履修証明書を交付して単位認定を行うというのは,結局,連続的に何年間か在籍はできないが,例えば1年ずつ分けていっても,それが持ち越せるような形で最終的に履修が修了する可能性も検討するという意味だったと思います。
どうぞ。
【義本大臣官房審議官】  多分,片山先生のお話を頂いた背景としては,(2)のインデックスの付け方として,社会人に対する多様な教育課程の提供という書き方をしているので,この意味の多様というのは,恐らく主査がおっしゃったように柔軟な形態あるいは方法によるという意味を多様と記載していますので,そこは少し工夫する余地があると思います。
【有信主査】  どうぞ。
【杉本委員】  6ページのアドバイザリーボードの設置のところなのですが,今日,参考資料でも提示していただいた大学分科会における主な指摘事項のところで,ステークホルダーの意味合いについて御指摘がありました。このステークホルダーとの関わりで特にアドバイザリーボードの設置がうたわれているのですが,実は一部の専門職大学院においては既にアドバイザリーボードを設置している場合があります。
ただ,一部誤解が起こるかなというところが見られるのですが。というのが,この書きぶりからすると,社会との連携強化のために,基本的に学外の関係者に限定されると思うのですけれども,既存のアドバイザリーボードの名の下で運営している大学院は卒業生を組み込んだりしている場合があります。また,場合によるとこれは一部バイアスが掛かる可能性があるので,この書きぶりからすれば,このステークホルダーのところは基本的に学外だというところを徹底していただければと思います。
【有信主査】  今の話は,アドバイザリーボードメンバーは学外メンバーでなければいけないという話と,それからステークホルダーがどういうことになるという意味ですか。
【杉本委員】  既存のアドバイザリーボードを設けている大学院においては,ステークホルダーの中に,書きぶりからするとこれは外部の関係者と読めるのですけれども,専門職大学院を既に卒業している者をこのメンバーに入れている場合がありますので,その場合は果たしてステークホルダーと捉えることができるのかどうか。
また,場合によると,卒業生の選定の在り方に関しても一部バイアスが掛かる可能性があるので,このステークホルダーの構成員の在り方は基本的に外部の者に限ると徹底する必要も出てくるかと思います。
【有信主査】  それは少し議論した方がいいですね。外部,内部をどこで区切るかという話が,例えば卒業生は外部なのか内部なのかという議論になりますし,結局,卒業生そのものも関連の職に就職している限りはステークホルダーであるし,むしろ卒業生の方が中身を分かっているので,的確なガイドができるという考え方もあり得る。今の主張をされている根拠をもう少し詳しく説明していただいた方がいいと思います。
【杉本委員】  この書きぶりからすれば,卒業生は含まれないと理解できます。この書いてある文章からするとですね。飽くまでも外の機関の関係者というふうになります。確かに専門職大学院の卒業生ということで,また,卒業後の所属が各企業ですとか団体,その関係者ということになるかもしれませんけれども,その関係者が直接その大学院に関わっているのか,関わっていないのか。関わってきたのか,関わってきていないのかというところも詰めて,徹底しておく方がいいのではないかと思います。
【浅野専門教育課長】  ここで述べているのは,卒業しているか否かを問わず,関係業界や地方公共団体の関係者など,そういう人材養成に関連が深い者となっていますので,そこは卒業しているかどうか,学校によっては内容をよく知っているので卒業生でこのような関連の仕事に従事している人が望ましいとされるところもあるでしょうし,適当な人がいなければ,卒業生でなくても,こういった業態の人たちに関わっていただくという考え方だと思います。
【杉本委員】  分かりました。もしその場合であれば,できれば卒業生の事柄もこの文脈の中に入れていただくとよいかと思います 。
【浅野専門教育課長】  分かりました。そこは整理をします。
【有信主査】  ほかに御意見はありますか。
どうぞ。
【片山委員】  法科大学院に関する点ということでもよろしいですか。
【有信主査】  はい,どうぞ。
【片山委員】  今回,まず第1点は,11ページの(6)の分野ごとの固有の問題の対応ということで,法科大学院について六つの丸で課題,問題点を指摘していただいていますが,これは全く異論がないところであります。他方,6ページの一番上の(3)多様なニーズへの対応のための学士課程・修士課程との連携強化という点で,学士課程,修士課程,他の専門職学位課程等との連携による人材養成機能の強化が必要だという点ですが,この総論部分がまさしく,特に法科大学院の中でも必要で,法科大学院を法学教育機関の中から孤立させずに,むしろ法科大学院を中心とした総合的な教育システムを構築すべきではないかと思いますので,この総論部分が各論部分には常に適用されているということであれば改めて書く必要はないということかもしれないのですけれども,法科大学院の中でも特にそれが問題となっておりますので,総論の6ページの(3)に当たるような内容を,法科大学院の11ページのところにも書き加えていただくということをしていただければ有り難いと思いました。
【有信主査】  それはそうですね。それと,法科大学院に関しては,もう一つ,特別検討委員会で検討が進んでいるので,そこの検討を踏まえて記載していくということで,ここで直接法科大学院には踏み込まないですが,全体の専門職大学院の検討という観点からは以下のようなことについて配慮する必要があるとしないと,片方で特別検討委員会が進んでいるのに,また横やりが入るという書き方でない方がいいと思います。
【片山委員】  ありがとうございます。
もう1点,よろしいですか。
【有信主査】  はい,どうぞ。
【片山委員】  報告書の方ではありませんが,教員組織の在り方についてというところでも確認をさせていただきたい点がございます。ページ数は振られておりませんが,3.検討事項という3ページ目のところになります。ダブルカウントというのが真ん中にございまして,四つ目の丸のところに,法科大学院,それから教職大学院については対象外とするのが適切ということですし,それからその次のページの上から丸が三つ続きますけれども,ただし,法科大学院の質保証から,法科大学院は緩和対象としないという趣旨なのですが,ここで確認させていただきたいのは,法科大学院の教員については,専門職大学院であるとか,ほかの修士課程の専任教員をダブルでカウントはできないということはよく理解できるのですが,逆に,法科大学院の専任教員が他の専門職大学院等々で専任になって,そっちでダブルカウントするというのは,この条項との関係でどうなのですか。
【塩田専門職大学院室長】  ダブルカウントについては,法科大学院の必置教員外であれば特段規制がく,法科大学院の専任教員であっても,必置数を超える部分については特段規制がないのため,学部の専任教員にもなれます。
今,議論しているのは,必置教員の中……。
【片山委員】  中ですね。
【塩田専門職大学院室長】  中の話で,それを緩めるかどうかという議論をしているところではあるのですけれども,法科大学院については現在の状況に鑑みて,ほかとの並びで緩めていいのかどうかの若干の懸念を事務局としては持っているので,こういった記載にしています。
教職については平成30年までの特例措置がありますが,法科大学院については集中改革機関という位置付けもありますので,今の段階でそういう緩和に踏み込んでいいのかはちゅうちょがございます。
【片山委員】  ということは,必置教員数の中はやはり完全にダブルカウントしてはいけないという趣旨ですね。外の専任教員に関してもいけないと。
そうしますと,このダブルカウントの趣旨の丸の1の社会や地域のニーズを踏まえて,連携をし,自らの強みや特長を伸ばすための取組や新たなニーズに対応するための取組を促進するということは当面難しいという理解になりますが。
【浅野専門教育課長】  そこは,必置教員数内では措置はしないですけれども,必置教員の外のところでは,当然ほかのところの専任教員になれて,教授会のメンバーにもなれると。さらには組織の在り方も,今までは専門職大学院というのは独立性を持たせていたわけですけれども,それを学部や修士との連携という観点から,一体的な組織とすることも考え得るのではないかという方向の考え方を取り入れていけるのではないかなと考えております。
【有信主査】  ほかに何か御意見ありますか。
最後の箇所で非常に重要になってくるのが認証評価の話で,先ほども申し上げた,単純に5年に1度認証評価を受けるという話と,それから法科大学院のように適格認定を受けなさいという指定と二重にある。
法科大学院で適格認定を受けるように義務付けられているのは,司法試験との関係で,その文脈の中で司法試験の合格率を上げるためだけに努力するのはいかがなものかという議論も一方であるものだから,話がややこしく分かりにくくなっている。例えば公認会計士のような,いわゆるプロフェッショナルクオリフィケーションにつながっているような専門職大学院に関しては,基本的に何らかの形で適格認定を受けることを義務付けることによって,認証評価の構造化を少し進めた方がいいような気もします。
会計大学院の場合は,公認会計士の受験資格と関係あるのでしたか。
【杉本委員】  このワーキンググループの初めの段階の会合で御報告させていただいたのですけれども,今現在の公認会計士試験の受験資格はアメリカなどでみられるような卒業要件などを設けていません。公認会計士試験には短答式試験と論文式試験がありますけれども,会計専門職大学院の修了者については,短答式試験4科目のうち,企業法を除く会計関連3科目は免除になっているといます。
【有信主査】  免除ですね。だとすると,法科大学院の場合は受験資格という形で整理をされており,受験資格という形で整理をされていない部分については,多分これは妥協的にある種の試験の範囲が免除される形になっている。少なくとも受験資格があるなしできちんと整理をする必要がある。
はい,どうぞ。
【義本大臣官房審議官】  司法試験の立て付けとしては,予備試験という例外はあるにしても,結局法科大学院を出ないと受験資格が得られない。その前提としては,今,先生がおっしゃったように,司法試験法の中で適格認定を受けないといけないということを義務付けているというところがひも付いている。そういう立て付けになっていまして,それ以外は,今,杉本先生がおっしゃったように,各分野にその中身を評価した上で,一部科目免除などの形をとらせていただいています。
資格試験の立て付けの考え方と連動してますので, 9ページの6ポツの丸のような書き方をさせていただいて,今後,そこについては議論させていただくという形に事務局では整理しております。
【有信主査】  ここも十分配慮が必要ということで。
【川嶋主査代理】  よろしいですか。
【有信主査】  はい,どうぞ。
【川嶋主査代理】  今の議論に多少関連してるかと思いますが,今日,添田委員がお見えにならないのですけれども,教職大学院についても,お聞きすると,結局,いわゆる研究大学タイプの修士課程を出ても,教職大学院を出ても,専修免許,同じ免許が取れるということもあって,なかなか教職大学院の方に特に新卒が来ないという現状があるのではないかというお話を伺ったことがあるのですけれども,今回のまとめ案でも,修士課程等の関係性を整理する必要があるという指摘の中で,これは冒頭の主査の発言とも関連するのですけれども,やはりそれぞれの学位ごとのアウトカムと資格というのですか,そういうものをきちんと整理していかないと,ビジネススクールでもそうなのですけれども,結局専門職大学院の独自性といいますか,特色というのがなかなか顕在化してこないのではないかなと,全体の議論を聞いていて思いました。
【有信主査】  どうぞ。
【義本大臣官房審議官】  川嶋先生がおっしゃる点はそのとおりでございまして,有信先生の先ほどのお話と多分通底するところがあると思いますが,教職大学院については,今,国立大学がかなり大きな部分を占めており,一般の修士課程の教育学部のある大学については基本的には専門職大学院に移行する形の整理を原則とさせていただいて,政策的に進めさせていただいているというところでございます。
この点については,特に第3期の中期目標計画期間が今年から始まりましたけれども,大学数が2年前に比べて2倍ほど増えるなどかなり進めておりますので,そこは全体の議論をさせていただいて,それぞれの個別分野についての取組を政策的にどう考えていくのかということについては,特に今後併せて考えていかないといけないと理解しているところでございます。
【有信主査】  そのとおりですね。共通の基本的な姿勢として,高度職業人を養成するのは,プロセスとしての養成ということで,法科大学院のときも議論をされていますけれども,単純に試験に合格すれば腕がいいか,試験に合格すれば人の手術を勝手に行ってもいいかという話。
ほかの高度な専門的な職業についても,高度になればなるほど,知識なり行うことが一般の人からは見えなくなり,やはり基本的にきちんとした訓練のプロセスを経て,その上できちんとそういう職業に就くという認定を受ける。将来的にはそういう形になってくるのですよね。
だから,単純に今言ったように,二重の道があることや,片方で単純に試験に合格するだけで同じ資格が取れるとか,そういう制度設計ではこれから先はもたない。今はまだそこまで進んでいないと思いますけれども,今ここに出ている専門職大学院にしても全部そうです。臨床心理士にしても,臨床心理士が何をやっているかが一般の人に分かるわけではないので,携わる人たちが,必要な期間,必要な訓練,必要な教育をきちんと受けて,それを受けたことがきちんと証明されて,それが資格として認定されてという,このプロセスがきちんと一貫していないといけないと思う。
【浅野専門教育課長】  よろしいですか。今,主査や川嶋委員に御指摘いただいた点を,6ページの(5)の修士課程等との在り方の整理というところで,正にそういう趣旨を背景にして,教職大学院の今の状況等も踏まえつつ,ほかの分野についても,高度専門職業人の養成を強化していくという観点から,既存の課程から専門職学位課程へ移行することを促す方策についても検討が必要だと。正に今,主査がおっしゃったような趣旨が明確に入っておりますが,川嶋委員からも御指摘いただいた内容も含めて,もう少しここの内容をそういうトーンで書かせていただきたいと思います。
【有信主査】  どうぞ。
【松﨑委員】  今,主査からもお話がございましたけれども,臨床心理の分野におきましては,国家資格という形で,しかも学部教育とかなり連携をした大学院教育という形で,高度専門職業人という国家資格が出てきているわけでございます。
そういう意味で,この修士課程との在り方の問題,それから今言っていただいた国家資格等との関係のところにつきましても,それぞれの分野で検討するということでございますが,臨床の分野においてはこれからそこの整理が非常に必要なところかと思いますので,そこも含めた形でこの文章があるというようなことも是非お願いをしたいなと思っているところでございます。
【有信主査】  今,課長が言われたことと併せて,それから,共通のトーンとして,今言ったように,専門職大学院の位置付けがどうなのかは大学分科会でも言われているところでもありますので,高度な専門的職業人とは何ぞやというところを踏まえて,前段のところでもきちんと書いておいた方がいいかもしれない。それを受けて,ここのところで具体的に今後の方策を検討するという形にしたい。
ありがとうございます。
【川嶋主査代理】  もうまとめに入っている段階なので,これ以上突っ込んだ議論をしてくださいというわけではないのですけれども,一言だけ言わせてください。
前々期くらいの大学院部会,あるいは専門職大学院の部会だったか記憶が定かではありませんが,そもそも専門職大学院というのは,主査がおっしゃったとおり,アメリカとかヨーロッパでできた制度が日本でも必要だということで導入したとき,もともとは古典的専門職と言われる法曹家と医師と,歴史的に見れば神職と言いますか,牧師さんとかというのが古典的な高度な専門的職業ということで,アンダーグラデュエートの上のポストグラデュエート,グラデュエートの段階で育成するという形になってきたわけですけれども,ただ,日本の場合は,ロースクールは曲がりなりにもポストグラデュエートつまりアンダーグラデュエートの上にできたのですけれども,それ以外のところ,特に医師養成というところが大学院レベルで育成するという議論には全然つながっていなくて,アンダーグラデュエートで医師を養成しているのは先進国で多分イギリスと日本だけだと思うのです。
そういう中で,例えば公衆衛生だけ専門職大学院が日本では作られていて,必ずしも他国と同じ制度にする必要はないのかもしれませんけれども,国際的な通用性とかを見ると,今後,アンダーグラデュエートもそうですけれども,学位や各教育レベルについて,やはり根本的にどうすべきかということを,専門職大学院も含めて,議論する必要があるのではないかなと,今回の専門職大学院の議論に加わって,ずっと感じていたことであります。
【有信主査】  いずれにしても,学位の共通性というのはこれから先必ず問題になってくると思っていますが,特にボローニア・プロセスで欧州の中では標準学位が決められ,各国それぞれ独自の学位を持っているけれども,リファレンス学位としてボローニア学位が定義をされているという格好になっており,日本の学位がそれに対してもどう対応するかという話と,それとは別に,もう一つは,専門職学位に関して,各国が持っている専門的な職業資格,例えば弁護士や医師,プロフェッショナルエンジニアもそうですけれども,それは相互に承認し合うという枠組みができている。
したがって,国際的にはそれは相互に承認し合わなければいけない。恐らく臨床心理士なんかもそれぞれの資格で共通に,この資格を持っている人はどこの国に行っても同じような仕事ができるという形になってくる。
その前提として,そういう資格を得るために必要な教育訓練は共通でなければいけないという考え方になってきており,専門職学位がお互いに共通な形で同等性が保証されなければいけないという議論に必ずなってくる。
例えば今,公衆衛生の分野では,たしか東大の公衆衛生の専門職大学院ではアメリカのカリキュラムに準拠してカリキュラムの設計をしているということで,そうでないと,そこでのMPHという学位がアメリカで通用しないことになる。今は個別学位が通用するのしないの議論になっているのだけれども,いずれ共通の場でそれをどうしていくかという議論は多分出てくると思っています。
どうぞ。
【義本大臣官房審議官】  まさしくその点についてですけれども,ASEANを中心にしまして,国際的に学位と資格の枠組みを作ろうという議論がかなりありまして,オーストラリアですとか韓国がかなりそれを主導しようという話で,日本もその会議に参加していますが,その辺の態度についてはまだこれからだというところでございます。
今後,そういう問題については,NQFですとかCQFとか,そういう議論ともつながりますので,今言っていただいたような問題意識も,何かの形で,課題として認識を少し入れさせていただくなり,表現を工夫させていただければと思います。
【有信主査】  うっかりしているとまた日本は取り残されて後追いになってしまうので,是非よろしくお願いします。
ここで,ほかに何か御意見があれば。
どうぞ。
【上西委員】  8ページの(3)の他の課程との連携の促進のところです。最後のところで,いわゆるダブルカウントのところになると思うのですけれども,課程の専任教員を兼務することの在り方を検討すべきと記載されています。ダブルカウントについては先ほども御説明があったように,大学分科会でもいろいろと懸念を示されているところだとは思いますが,ここの議論の中でも,強みを生かすことと,各専門職大学院のいろいろな創意工夫を促すという意味で,ある一定条件のもとで許容してもいいのではないかという意見があったと思います。資料2で御説明いただきましたけれども,教育上積極的な効果が認められる場合とか,教育上支障がない場合とか,質保証がきちんとできる条件が整えば,そういう条件付で少し緩和する方向もあっていいのではないかという議論であったと思います。しかし,この書きぶりだとそこまで踏み込まないように見えるので,そのあたりはもう少しここの議論を生かした書き方をする方が良いように思います。
【有信主査】  その心はどうですか。
【塩田専門職大学院室長】  そこについてはまだ本ワーキングにおいても十分議論が尽くされていないと思いますので,資料2等での御議論を踏まえて,本体部分は記載していくのかなと認識はしております。
【有信主査】  一度厳しくしたものをまた緩和するのは,やはりよくない。ただし,それが有効であるという形で整理をしていくということだと思います。
先ほど言ったように,専門職大学院を高度化するために必要な人たちを全部専門職大学院に集めようと思うと,これは大変なことになってしまうので,そこの部分はある程度兼任を認めるというやり方をとった方が効果的だという方向の議論にした方がいいような気がします。
特に法科大学院だとかMOTだとか,ビジネススクールもそうですし,やっぱり経済学や経営学の専門の先生たちの協力も必要かもしれない。それと,いわゆるビジネスアドミニストレーションとして,いかに全体をマネージしていくかの専門家と,併せてそれぞれ必要になってくるので,それを踏まえて,教員数は確保しなさいということになっている。
もう一つは専門職大学院の教員養成をどうしていくかということともつながってきますが,そういうところで少し前向きな書き方にして,余り緩める記載ではない方がいいかもしれないですね。
これを整理して,今度,もう少しまとめの議論をした上で,一度,経団連と話をすることになっていますね,たしか。
【浅野専門教育課長】  そうです。
【有信主査】  本当はもっと早く経団連と話をした方がよかったのですが,まとまったところで話をして,そこで産業サイドへこちら側の要望も話し,向こう側の意見も聞く形で議論を進めたいと思いますが,今,一番産業サイドで見ている大竹委員,どうでしょうか。今のまとめ方の中で何か気になることはありますか。
【大竹委員】  やはりいろいろな大学院がある中で,産業界としてどう意見をお伝えするのか,非常に難しいなと思いながら毎回参加させていただいているというのが正直なところでございます。
【有信主査】  例えばMBAやMOTなど。
【大竹委員】  出口との関係をどう整理すればいいのかというのは私もずっと考えていたのですけれども,主に社会人を対象,MOT,また,MBAに関するところで言うと,新卒という観点よりも経験者というところ,あるいは既にいる自分の社員をどう出すかという観点になるのかなというところになります。
なので,企業としては,学位とかということよりも,どういったプログラムでどれだけ今後の仕事に役立てるかという観点でのカリキュラム作りというところがやはりポイントになってくるのかなと思って,お話は聞いておりました。
【有信主査】  以前,企業だと,ハーバード等,外国の大学に派遣してMBAや学位を取得してきても,帰ってきたら全くそれを無視して違う仕事をやらせるというのも平気でやっていたわけですよね。
一方で,そういうところに出すというのは,そういう訓練が重要だという意識は経営層にはあるのですが,実際の現場が具体的にそういうふうに動いていないということが続いてきていた。これは最近でも同じですか。
【大竹委員】  産業界それぞれによると思うのですけれども,メーカーの場合ですと職種が,会計だったら会計のままキャリアを積みますし,法務だったら法務のままキャリアを積むので,法務をやったり営業をやったりみたいなことがないので,そういった意味では勉強したことが生かせる業界であると思います。
ただ,金融をはじめとした職種をどんどんまたいでキャリアアップしていくという業界もたくさんありますので,そういったところで,勉強してきたことが本当に将来にわたって生かせるのかというのは少し疑問が残るなと思っております。
【有信主査】  その辺は今度,経団連の意見を聞いてみましょう。
ほかに何か。
【宮脇委員】  非常に細かいことなのですけれども,よろしいでしょうか。8ページ目の(4)のみなし専任教員のところなのですけれども,本当に細かくて恐縮なのですが,3行目の責任の後の括弧書きなのですけれども,教授会への参画を想定という場合,これは会議体としての教授会に参画をしているという意味なのか,それとも教授会に基づく機能というのでしょうか,そちらに参画をしているという意味なのか。
というのは,やっぱりみなし専任教員で担当科目数を緩和するというのは分かるわけですけれども,そうなればなるほど,大学行政というのでしょうか,そちら側に関与しながら学生との関係ですとか,そういうものをきちんと把握していくという部分が必要になると思うのですが,単なる会議体への参画ということになると,そこは非常に逆に薄まってしまうと。
そのことは二つ目の白丸のところで,これは認証評価との関係なのですけれども,実務家教員と研究者教員のバランスと。結局,専任教員,みなし専任,それから実務家教員との間の関係というのがだんだんとある意味重なってきている部分があるので,そうなってきたときに,機能的にどう考えていくのかということも非常に重要になると思いますので,この教授会への参画と書いた場合に,出席すればいいのかと,単純に言いますとそういう受け取り方もできてしまうと残念だなと思うので,その辺を,含意というのでしょうか,もっと明確に書いた方がいいのかもしれないなと思いました。
【有信主査】  要するに教授会のメンバーとして正確に位置付けられているという意味ですよね。その分の責任を負っていると。それを参画と書いているのですよね。
【塩田専門職大学院室長】  はい,おっしゃるとおりです。
【川嶋主査代理】  大学分科会の方から全く言及がないのですけれども,専任教員,みなし専任教員,特に大学院,大学の専任教員の在り方については,従来より大学分科会とか大学教育部会でその在り方に対してきちんと明確に定義すべきではないかという御意見がずっと出ていたと思うのです。
今は設置審査のときに大学の給与が月に15万円,あるいは20万円以上でないと駄目でしたかね,専任教員としての定義として。つまり,実務家教員で,会社の役員とかをされながら専門職大学院の専任教員になっているケースが非常に多くて,今の教授会参画もそうなのですけれども,これで本当に専任教員と言えるのかどうかという議論は大学分科会か大学教育部会でずっと出ていたと思います。特に目白大学の佐藤先生はずっと設置審査に関わっておられて,ずっとそういう質問をされていたと思うのですけれども,ですから,確かに企業で現役で活躍されている方が専門職大学院で教員をされることは非常にいいのですけれども,今の宮脇委員が御指摘されたところ,つまり,ある大学と別の大学は専任教員になれないのだけれども,大学以外の組織とは関係ないという仕組みになっていて,専任教員としての教育といいますか,運営と教育へのコミットメントの仕方というのはずっと議論になっていたと思うので,そのあたりも踏まえてこのワーキングで議論する必要があるのではないかなと思いました。
【義本大臣官房審議官】  川嶋先生がおっしゃった経緯のとおりでございまして,当時は,結局,形式的に形だけ大学で教えている実態があるという課題がありましたので,一定の給与を得ているかや,あるいは担当科目数等を総合的に判断し,この方は実務家として,専任としてカウントできるかどうかについてのルールを作らせていただいたところでございます。
そこを前提にした上で,この議論で整理させていただいていると思いますので,考え方は変わらないと思っております。
【有信主査】  いいですか。
【川嶋主査代理】  いや,だから,みなし専任の基準単位数を減らすというのはどうかと思って。コミットメントを減らすのは良くないのではと思います……。
【有信主査】  少し難しいと思いますけれど。
【川嶋主査代理】  つまり,教育上のニーズで,ローテーションといいますか,現場の方を教員にするということのメリットと,質の保証とか大学院の教育や組織運営への関与の仕方というのを,なかなか微妙な課題かなと感じているところです。それで御質問しました。
【有信主査】  その観点での心配があるという話かな。
【義本大臣官房審議官】  記述は,そういったことも整理して,分かりやすい形でバランスよく工夫したいと思います。
【有信主査】  これは本当に深い話をし出すと非常にややこしい話になります。だから,余り深く掘り下げたくはないというところではある。
ほかには。
ダブルカウントはどこかでまとめて議論するのでしたか。
【塩田専門職大学院室長】  今後のスケジュールとも関わりますが,次回が7月27日,今の事務局の想定としては,8月にもう1回開催して,まとまれば次回で終わりです。もしもまとまらなければ,8月に2回やることを想定しております。
ということから考えますと,それほど議論するタイミングはありませんので,次回,改めて議論するというのが最後だと思います。
【有信主査】  ポイントを絞っておけば,それほど大掛かりに時間を掛けてやるという話ではないですよね。少なくとも問題点は明確になっていて,そこをどういう形にするかということと,全体をどういうトーンでまとめるかという話と,具体的なところで問題になる部分の処理をどうするかということ,それが全体の中でどこまで認められるかということを踏まえて,関わっている方々の印象を含めて,少しまとめておけばいい。
その方向が混乱するというようなことではないと思うので,大丈夫ですね。次回で議論しても。
【塩田専門職大学院室長】  はい,まだ事務局としても精緻な資料を御用意できていませんので,もしも今日御議論いただければ,それらも踏まえて,改めて精査した資料を準備します。
【有信主査】  整理をしておいてもらうと。
取りあえず今日,ダブルカウントの関係で幾つか意見が出ていましたけれども,ほかに,次にきちんと整理をするという意味で,もし御意見があれば,こういうことは是非入れておいてほしいということを。
【浅野専門教育課長】  では,ちょっとよろしいでしょうか。資料2の3ページ目を御覧いただければと思います。ここでダブルカウントについて,現状の縛りから少し変更を加えようとしているわけですけれども,その趣旨については,ここで書かれておりますように,今取りまとめをお願いしている全体のトーンとして,やはり専門職大学院だけで教育を提供するよりは,学部と学士課程であるとか,修士課程,そういったところとも連携しながらやっていく必要があるので,そのためにダブルカウントが必要だということが一つ。
それからもう一つは,教職大学院の場合はかなり政策的に地方の大学,国立大学をはじめとして,修士課程から教職大学院に移行した例がありますが,経営学とか,そういった分野がビジネススクールに移行しているとか,ほかの分野については実は余り進んでいない。正にお取りまとめいただいている内容で,専門職大学院が広がっていないことに対して,そういう移行を促していく必要があるのではないかと。
そういう観点からも,時限付きでダブルカウントを認めることも目的としてあるのではないかという二つを提案させていただいているところでございます。
考え方として,例えば学士課程や修士課程との連携がダブルカウントがなかったらできないのか,ダブルカウントしないとどうしてもそういうことが進んでいかないのだろうかということと,もう一つは,片や時限付きで修士課程からの移行を認めた場合に,ダブルカウントが認められることによって,地方の大学でそういう動きが進んでいく可能性があるのだろうかという点について,今日御意見を頂いて,目的がきちんと効果として出てくるのであれば,そういったカウントの措置を検討する価値があるのではないかなと思っております。
【有信主査】  もともとダブルカウントというのは,専門職大学院に対する教員数の要求数が通常の課程よりも多いので,出発点からそれだけの教員を一気に専任として確保できない部分を,どの程度余裕を持たせるかということで認めているということで来ているのですが,現状のダブルカウントは,教員数が実際に不足しているのでというよりは,さっき課長が言われた,より広範に連携をするという意味で認めてもらいたいという意見,それから,移行を促進したいという部分で言えば,これは当初のダブルカウントの主張そのままで考えられる。
ですから,その辺はどうですか。もう一度皆さん方に確認をしておきたいと思います。
どうぞ。
【松﨑委員】  臨床心理学の分は,今度できます公認心理師資格と専門職大学院がどういうふうに位置付けられるのかということがとても大きい要素とは思います。例えば学部とのダブルカウントの問題等も含めて一貫してということなどが考えられるとすれば,今,資格認定協会という民間団体の一種指定大学院が162校あります。専門職大学院は6校でございます。
そこからの移行といいますか,そういうことは十分考えられるのではないかなというふうに,これはまだ私個人の意見ではございますが,考え得ることではないかなと思います。
【有信主査】  臨床心理士の場合について言うと,今度の公認心理師の資格設定と絡めて,専門職大学院への移行促進と併せて,今度は専門職大学院の中で,実際には心理学を専攻していることが必須になり,現在の専門職大学院の設計から外れてしまうわけですよね。
外れた部分について,同等の教育部分を付けるという形を検討しているところはあると思うので,そこの部分について言うと,個別具体的な例になってしまいますけれども,今言ったようなダブルカウントをある程度認める形に行かざるを得ないと思うのです。 ほかに,法科大学院に関して言うと,いろいろ今まで片山委員から主張があったような形での兼任を認めるということやはり必要だと。
ほかには何か御意見ありますか。
【川嶋主査代理】  今のお話で課長さんがおっしゃった,実際に移行するケースがどれぐらいあるかという話ですけれども,一般の心理学の例で行くと,修士と学士というのはほぼ,例えば10人教員がおられたらその10人の方が学士も修士も担当されているわけですよね。どちらも専任教員というか。
ダブルカウントしたときには,どうなるのですか。認めた場合。
今の場合,修士と学士でそれぞれ専任になっていて,10人の先生方どちらも専任扱い。専門職大学院だと1.5倍にしなければいけない。
となると,ぱっと計算した感じでは結局増やせないような気がするのですけれども,例えば学士を担当している先生は10人で,修士を担当する方は5人というケースだと,学士の先生が三人,専門職大学院の専任教員としてダブルカウントを認められれば移行はできるのですけれども,全員が学士と修士を担当されて専任教員になっている場合はどうなるのかなと,一瞬頭の体操をしてしまったのですけれども。
【浅野専門教育課長】  恐らくこれは,修士と学士担当の教員が10人いて,専門職大学院を移行の過程で新しく作ろうとしたら,更に15人必要になってきて,トータルで25人そろえなければいけないことになりますが,これが専門職と学士なりのダブルカウントが数年間認められることになれば,例えばトータルで20人であるとか,割合によりますけれども,必要数が緩和されるということになるのではないかと思います。
【有信主査】  全部が全部移行するわけではなく,ある意味では整理をされ,臨床心理の専門職大学院と,例えば学部で心理学を教えているところと,最終的には分化していくという形になっていくと思います。
いずれにしても,臨床心理や公認心理師はどちらかと言うと公的な資格で,様々な役割を果たすことが可能になるので,希望者は増えてくる。だけど,それ以外に今の臨床心理士の資格で幅広く活躍できる部分と,両方の役割が果たせるということになれば,学生にとっては非常に魅力的な構図になると思うのです。
【浅野専門教育課長】  私,修士を残す例を申し上げましたけれども,仮に学士課程と専門職大学院のダブルカウントがある程度認められるということになれば,恐らくそれも相当,修士を一気に廃止するという方向になれば,相当数,また必要数は大分減るのではないかなと思います。
【有信主査】  ほかには。
今日はMBAの代表がいないのだけれども,MBAは困ることはないですか。
会計関係は特に何か困るようなことはありますか。
【杉本委員】  9ページの6ポツの職業資格試験等との関係ですね。ここにまとめていただいているところ,我々としては大変有り難いなという気持ちがあります。ただ,特に省庁との連携の在り方ですとか今後の対応だとか,これは主体的にどこが行えばいいのかというのが見えないかなと感じます。特に1行目の「資格と関連する研修等との望ましい連携の在り方」の検討についてです。
実は,今現在,公認会計士資格は,国家試験に合格しても,その後,実務補習を3年間受けて,更に一定の単位を修め,また,修了考査をパスしないと資格がおりない制度になっています。会計専門職大学院に関しては,職業団体の日本公認会計士協会との間で,会計専門職大学院の修了生に関しては,在学中に一定の科目を習得した場合,それが実務補習の中で認定されております。
この逆の発想から実務補習に会計専門職大学院の方から教育プログラムとして組み込んでいただけないかということを昨年から主張しております。日本公認会計士協会内部ででも実務補習の在り方の見直しプロジェクトが進められ,先だって最終報告書を提出したのですが,その中で会計専門職大学院との連携を強化するということをしたためていただきました。
あわせて,実は資格取得したときだけではなくて,これは継続的専門研修であるCPEとの関係になるのですけれども,これも同じく自主規制機関の日本公認会計士協会の方で定期的にかなりのプログラムを提供していますが,そのプログラムの提供の中にも,やはり会計専門職大学院の教育プログラムを今後組み込んでいただけないか,いくべきではないかということも併せて主張しております。
ですから,この6にしたためていただいた文章の内容は,個別の案件ということにはなりますけれども,会計専門職大学院で今現在取り組んでいる真っ最中のものでもあります。
ただ,この文章そのものがこのワーキンググループからの見解なのか,それとも今後の取組に関しては文部科学省も主体的に取り組んでいただけるのか,そのあたりを具体的に踏み込んで書いていただくと,更に我々にとっては非常に有り難いなと思います。
【有信主査】  現実に文部科学省としてできることとできないこととあって……。
【浅野専門教育課長】  よろしいですか。正に今,私,うれしく拝聴していたのですけれども,実は私,6年前に室長をやっているときに,金融庁と一緒になって公認会計士協会と会計大学院の協議会と,四者会談という会議を作って,月に1回ぐらい,そういう会議をやっておりました。
そのときに上がっていた実務補習の会計大学院との連携について,大分話が進み始めたということで,うれしく拝聴していたのですけれども,今後,どういう形でこういう連携を作っていくかというのは整理をさせていただきたいと思います。
【有信主査】  基本的には職業団体というか,公認会計士協会なら公認会計士協会と会計大学院が連携して具体的なことをやっていく形を作るのが重要だと思います。それに対して文部科学省がサポートしてくれると。
それから役所間の連携について言えば,どちらかと言うと職業団体が大学等につながっていたりしますから,そこと連携しながら役所間の連携を図っていただくという感じにやっていただければいいと思うのです。
そういうことを踏まえて,少し何か書き込めるのだったら書き込むかということですね。
ほかに何かありますか。
【宮脇委員】  個別にというお話ですので,公共政策全体というか,本学という視点にもなってしまうのかもしれないですけれども,先ほど課長様からダブルカウントしないと連携が進まないのかという御質問があったのですが,率直に申し上げますと,公共政策で言うと,ダブルカウントしないとできないのかと言われると,それが絶対的な壁にはなっていないのかなと。
逆に言うと,ダブルカウントすると抜本的に質が上がるのかと言われると,そこはもう少し考えますけれども,今の率直なイメージとしてはそういうところがあります。
ただ,今の学内的な制度の姿から言うと,きれいな形にはなるのかなという感じはしています。
それから,公共政策に関して言いますと,既にローテーション人事で行政から来ていただいていて,それでもう展開をしていますので,今回書かれているローテーション人事ですとか実務家教員の方との関係というのが少し先行している部分があるわけですけれども,8ページ目の(5)にありますファカルティ・ディベロップメントの問題なのですが,やはりローテーション人事的になっていくと,どうしても実務的な,新しい情報はあるのですけれども,経験則的な整理が非常に多くなってきて,それでのローテーションという形になってしまうという問題があって,これは特に公共政策の場合なのですけれども,ほかのところとまた違った形で教育力というのでしょうか,ここの部分の強化は必要なところなのかなと思っています。
ちょっと感想めいた話なのですけれども。
【有信主査】  専門職大学院として非常に難しいところで,経験に基づいた実務家教員を確保しなければいけない。その実務家教員の経験がどれぐらい教育の中身として抽象化されるかを担うのは,多分大学サイドの責任。
例えばMBAでケーススタディをやっていますけれども,ケーススタディも具体例だけならケーススタディにならないわけですよね。つまり,特定の例だったら特定の全く同じことが起こらなければ役に立たないという話になるので,それがある意味で応用展開が可能な形にまで昇華,抽象化されていないといけない。この辺が実務家教員にある程度頑張ってもらうということと,もともと実務家でない教員の方々との連携が必要だということになると思います。
【浅野専門教育課長】  1点だけ確認させていただいて,宮脇先生の所属大学は法学研究科の中に,公共政策の専攻が入っているということでしょうか。
【宮脇委員】  いや,外出しです。
【浅野専門教育課長】  外出しですか。それでもうまくいっておられるということですね。
【宮脇委員】  うまくと言われると,そこは評価問題になるのであれなのですけれども,一応回っていますし,それなりに。
【片山委員】  ダブルカウントの問題と同じ問題を違う側面からということなのですけれども,法科大学院が他の専門職大学院と違って,3年間で90単位を超える単位数で,それが初めてディグリーと結び付くという中での多様な人材養成ということが一つの大きな課題になっています。我々慶應義塾大学はそのグローバル化に対応した人材の養成をするためには,諸外国であるようなLLMという30単位程度の1年ないし2年のディグリーをどうしても作る必要があると考えまして,それが結局今の法科大学院の中ではなかなか難しいということですので,新しい専門職大学院を別途作って,今,教員数が60人ぐらいおりますので,必置教員は45人ぐらいですので,15人は余裕がありますので,そちらの教員を新しいLLMに回して必要教員数を確保することとしました。
新しいディグリーの設置は,今回,グローバル法務ということでやりましたけれども,例えばIPに特化したようなディグリーが必要だ,タックスに特化したディグリーが必要だというときに,我々としては新しい専門職大学院を立ち上げるという形での展開はできないわけです。
そうするとそもそも,新しいディグリーを作るのにわざわざ別途の専門職大学院を作らなければいけないのかというような問題も出てきますので,枠組みとしての専門職大学院とか専攻とか,その中でのディグリーか,ディプロマか,そのあたりの整序と専任教員の就き方との関係を別の視角から検討していくことが必要ではないかなと思っている次第です。
【有信主査】  今の話は,明らかに大学分科会で基本的には学位プログラムを中心にした形に移行するとしながら,いまだに設置認可制度の中で続けてきていることですね。
新たな学位プログラムが大学で独自に設定でき,その責任を一体誰が持つのかが明確になってくれば少し変わってくると思うのですけれども,簡単には解決しない。
【川嶋主査代理】  今の課題は,結局専門職大学院だけの話ではなくて,全ての学位段階に通じる話で,だから,ニーズに対応して新しい教育プログラムを作っていくというときに,別に専門職大学院に限らず,学士課程,修士課程,博士課程全てに共通する今の制度上のネックというところだと思います。
だから,それが専門職大学院ですと必要な教員数が増えるというところは違いはあるのですけれども,基本的な構造としては共通する制度上の課題だろうと思います。
それからもう1点だけ,上西先生がおっしゃられなかったので,ビジネスのところで,グローバルと地域密着と特色ある分野といったような,強みや特色の必要があって,これは最後の認定のところでもそういう分野ごとに書いてあるのですけれども,どうもこれを読んでいると,国立大学の3分野をそのまま持ってきたような印象も受けて,確かにそれぞれ強みや特色を出すのは今後更に必要性は高まるのだろうと思うのですけれども,少し安易な印象を受けましたし,ビジネスの世界では地域密着でもグローバルな教育,例えば広島県立大学のビジネスは地元密着型で,マツダとかの社員さんを教育しようというようなことを申請されていましたけれども,マツダといえどもマーケットはグローバルなので,その辺,地域密着でグローバルというのはどういうふうに書き分けるのかなというのがちょっと難しいのではないかなと思いました。こういう類型化のときです。
【有信主査】  ここを1行だけで書いたのはまずい。もう少し丁寧に書くべきで,ここの議論は基本的にはMBAのコースというのは大きく分化していくだろうということで,いわゆる世界共通レベルでのビジネスアドミニストレーションという言い方と,もう少し個別に地域でのビジネスの専門家,そういう人たちを育てる大学とという形に分かれていくというのが一つ。それから,ビジネスアドミニストレーションといっても業界ごとにそれぞれ特長が違うので,それはそれぞれで分かれるだろうという話と二つあったと思います。
最初の方の話をここ1行に簡単に記載したので,そうなっているのだろうと思います。もう少し丁寧に記載しましょう。
話がばらばらと飛びましたけれども,それぞれの項目ごとに,個別ではありますけれども,御意見いただいたと思います。今日頂いた意見を基に,もう一度整理をし直して,それから一貫してもう少し書き込んだ方がいいようなことはもう少しきちんと書き込んでいくということで,次回,もう少し議論を進めていただければと思います。
それから,ダブルカウントの話についてはもう少し問題点を整理して,次回に議論して,具体的な形で結論を出すということにしたいと思います。
事務局から今後の予定等,説明をお願いします。
【塩田専門職大学院室長】  それでは予定でございますが,次回は7月27日水曜日13時からということになってございます。
先ほど主査から御発言ございましたけれども,経団連との意見交換会も予定しておりまして,それが7月29日金曜日10時45分からということで,委員の先生方に御参加いただきたいと思っています。
それ以降でございますけれども,8月に1回,まとまらない場合は2回の開催を予定しておりまして,そこで報告書をまとめていただくことを予定してございます。
以上でございます。
【有信主査】  だんだんと方向性は見えてきた気がしますので,残り回数はそんなにありませんが,次回もう少し詰めて,明確な形の方向を出していければと思いますので,是非よろしくお願いします。
それでは,本日はどうもありがとうございました。
これで閉会にします。

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