専門職大学院ワーキンググループ(第7回) 議事録

1.日時

平成28年6月20日(月曜日)10時~12時

2.場所

霞が関ビルディング35階 東海大学校友会館富士の間

3.議題

  1. 専門職大学院制度の現状・課題について
  2. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)有信睦弘(主査),川嶋太津夫(主査代理),玉腰委員の各臨時委員
(専門委員)青井倫一,大竹由希子,片山直也,上西研,杉本徳栄,宮脇淳の各専門委員

文部科学省

(事務局)常盤高等教育局長,義本大臣官房審議官,北山専門教育課長,塩田専門職大学院室長,伊藤高等教育企画課高等教育政策室長,川﨑専門職大学院室長補佐,真保専門教育課専門官

5.議事録

【有信主査】  それでは,定刻となりましたので,第7回の中央教育審議会大学分科会大学院部会の専門職大学院ワーキンググループを開催させていただきます。
今まで割合自由に,いろいろな意味で御意見を頂いてまいりましたけれども,そろそろ徐々に方向性を出しつつ議論を進めていきたいと個人的には考えていますので,よろしくお願いします。とはいえ,活発に議論をお願いしたいのは,いつもどおりです。
それでは,事務局から配布資料等の確認をお願いします。
【事務局】  それでは,配布資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第のとおり,資料1から5でございます。資料1が,従来御議論いただきます論点整理,資料2が,先導的経営人材養成機能強化促進委託事業の概要,資料3が,社会人の受入れを促進するための主な制度,資料4が,教員組織の在り方についての論点整理,資料5が,機関別と分野別の効率化についての資料となってございます。不備等ございましたら,事務局までよろしくお願いいたします。
【有信主査】  もし不備ありましたら,随時御連絡いただければと思いますので,よろしくお願いします。
それでは,最初の議題であります専門職大学院制度の現状・課題についてですが,前回までの議論を踏まえて,事務局で論点整理の資料を修正していただいております。
事務局から説明をお願いできますか。
【事務局】  それでは,まず資料1から御説明させていただきます。見え消しになってございます。これは,前回御意見いただいたことを反映したものでございます。
まず最初のマルにありますように,学位の付加価値をどうやって社会に理解してもらうかがポイントだという点,また,各専門職大学院におきまして職業人養成のプロセスのどの部分を担うかを整理,明確化し,それに対応したカリキュラムを編成することが必要であると,こういった御指摘を頂きましたので,追記しております。
また,枠囲いの中でございます。冒頭は,アドバイザリーボード設置の意義・目的を明確化したものでございます。次の重要事項というのではよく分からないという御指摘がございましたので,重要事項の内容を記載してみたというものでございます。また,意見を伺うというのは適切ではないという御指摘がございましたので,指導・助言という表現にしております。また,有効性というだけではよく分かりにくいということでしたので,その具体的な内容を記載したというものでございます。
続きまして,2ページは特にございません。3ページでございますが,教育課程のところでございます。この枠囲いの部分は,新たな高等教育機関のところの※のところに書いておりますように,教育課程を編成・実施するという言いぶりにされておりまして,こちらの方も,それに合わせまして,実施という言葉を明記したというものでございます。意見聴取は,先ほどと同じように直したというものでございます。
(2)のコアカリキュラムの部分につきまして,※で,ビジネス・MOT分野については,平成28年度新規事業によってコアカリの調査研究が公募に掛けられていると書いております。これを御参考までに御紹介いたします。資料の2でございます。
資料の2にございますように,これは新規予算で今年度8,000万円のお金が付いているものでして,事業概要にありますように,3本の事業によって構成されております。1点目が,国内外の経営系専門職大学院や修了生,産業界のニーズ等の実態調査というものです。二つ目が,コアカリキュラムの策定で,これは,ビジネス・MOT分野のコアカリキュラムの策定です。3点目が,コアカリキュラムの策定以外に,共通的な課題に対応するための機能強化に資する取組の調査研究です。こういう3本立てになってございます。
真ん中辺りに表がございますように,まず実態調査をして,それをデータ提供というのを,コアカリキュラムの策定又は機能強化に資する取組にしていただくと。コアカリキュラムの策定も,ビジネスとMOTが,しっかりと連携をして策定していただくということを想定しております。スケジュール案にございますとおり,現在公募中でございまして,7月下旬には事業を開始したいと。今年度末には合同シンポジウムを開催していただければと考えてございます。
これが,御参考までに,委託事業の内容です。また資料1に戻っていただきまして,次が4ページでございます。
4ページのところで,コアカリキュラムという部分に,従来,共通的な到達目標しか書いていなかったんですけれども,もう少しコアカリキュラムの意味を正確に追記してございます。
また,枠囲いの中でございますが,コアカリキュラムを策定する意義をもう少し明確に追記したということと,前回の議論を踏まえまして,策定する際には認証評価機関や学会等がしっかりと関与すべきということを書いております。また,最後の赤線の部分ですが,これも前回の議論でコアカリキュラムがなかなかその分野に1個しかないといった場合は策定が難しいんじゃないかと,こういった御指摘もございましたので,そういった策定が困難と判断される場合は,各校において学習内容や到達目標を策定することが望ましいという旨を記載しております。
また,次の枠囲いも同じ話でして,策定が困難である分野もあるということを踏まえまして,書きぶりを修正してございます。
続きまして,5ページでございます。(5)の社会人に対する多様な教育課程の提供など継続教育等の充実ということで,これは資料3を御覧いただければと思います。これも,参考までに,社会人の受入れを促進するために現在ある主な制度を御紹介するものでございます。
履修証明制度と左枠にございます。これは要件といたしましては,書いておりますように,体系的に編成して120時間以上やるということでして,修了後の措置ということでは,修了の事実を証する証明書を交付することができるんだということでございます。
科目等履修につきましては,修了証明制度と違いまして,単位を与えることができるということで,試験を受けるということも規定されてございます。また,その一番下の枠でございますけれども,入学前に取った単位というのは,修了要件単位数の2分の1を上限として単位として認めることができるという規定がございます。
続きまして,長期履修制度でございますが,要件のところに書いておりますように,職業を有している等の事情によって,修業年限を超えて計画的な履修を認めることができるんだということでございます。
夜間開講につきましては,夜間その他特定の時間にやることができるというものでございます。
また,修業年限の短縮ということで,1年以上2年未満の期間とすることができるんだと。主として実務の経験を有する者に対して教育を行う場合であって,かつ,昼間と併せて夜間その他特定の時間又は等々において,適切な方法によって教育上支障を生じない場合に限るんだと,このような規定が既にあるということでございます。
また資料戻っていただきまして,これが現在の制度でございますが,5ページでございます。(5)のところでございますが,例えば履修証明制度と科目等履修制度を併せて活用することによって,履修証明書を交付しつつ単位認定も行うと,こんなような取組が考えられるのではないかと,こういった御指摘が,前回のワーキングであったかと思います。また,長期履修制度をしっかりと活用してはどうかということと,夜間開講も同じく活用してはどうかと,こんな御指摘があったと思いますので,追記してございます。
また,もう1点が,博士レベルの専門職学位と。これも,社会のニーズというのがあるのであれば,そういったことを検討してもいいんじゃないかという御指摘があったかと思います。また,ノンディグリープログラムと言った場合は少し響きが悪いという御指摘もありましたので,ノンディグリーという言葉は削って,履修証明書の交付や単位認定を伴うというのを追記してございます。
また,枠囲いは同じような趣旨でございまして,柔軟な履修形態のところに追記するのと,将来的課題として,社会ニーズがあることを前提として,国際通用性に留意しつつ博士課程の検討を行う旨を追記してございます。
続きまして,6ページ,教員組織につきまして,7ページでございます。ダブルカウントの在り方について,検討をすべきではないかと。これにつきましては,また別の資料を用意してございます。資料の4を御覧いただければと思います。
資料4,まず,現行制度の概要ということで簡単に説明させていただきますが,教育に専念する教員の充実を図り教育の質を担保するということや,専門職大学院の独立性を確保すると,こんなような二つの理由から,設置基準上必ず置くこととされている必置教員については,他の学位課程の必置教員数に算入できないと。これはダブルカウントと便宜的に言っておりますが,ダブルカウントは認められないとされているということでございます。また,専門職大学院につきましては,必置教員数につきましても,修士で必要とされる研究指導教員の1.5倍の数と,こういったような手厚いスタッフが求められているものでございます。ただ,制度創設後の10年間の特例として,皆様御存じのようにダブルカウントが認められていたということでございますが,25年度に終了し,26年度以降は,教員養成の観点から,博士後期とのダブルカウントのみが認められているという現状でございます。
また,必置教員数のうち3割以上は実務家教員の配置が求めらておりまして,最新の動向を熟知している者の参画を促す観点から,3分の2までは,年6単位以上の授業科目を担当し,かつ組織の運営責任を担うということであれば,みなし専任教員として専任教員に算入できると,こんな特例措置が設けられているところでございます。
また,参考1のところに書いてございますように,特例措置を期限10年が来たときにどうするかということを,かつて中教審でも議論いただいたということでございます。その際の御議論でございますけれども,黒ポツのところでございますが,一定程度の独立性の確保と教員に専念する教員組織を充実するという制度の趣旨を踏まえるという点と,また,多くの専門職大学院で暫定措置の終了に合わせた計画的な解消が進められていると,このような実態を踏まえて,特例措置は当初の予定どおり終了しましょうという議論がされました。また,一方で,教員養成に支障が生じる懸念があるということがありましたので,博士後期のみダブルカウントを認めると,このような議論がされたという過去の経緯がございます。
ページをめくっていただきまして,3ページでございます。2ポツ,ワーキング(視察を含む)における主な指摘ということでございますが,これまでの指摘をまとめたものでございます。
最初のマルでございますように,専任教員数の確保がネックとなって,修士から専門職大学院への移行が進んでいないんじゃないかという御指摘。
また,リカレント教育等の観点から,現行の専攻と同様の分野について,異なる専攻を設けるような場合は,軽減する措置があってもいいんじゃないかという御指摘。
また,ダブルカウントの見直しにつきましては,先ほど御説明したように,特例措置廃止の際に十分議論しているので,今の段階では慎重であるべきではないかという御指摘。
また,ダブルカウントを認めるのは難しいものの,特徴的な取組ができるなど機能強化が図られることを前提とすれば,検討の余地はあるんじゃないかという御指摘。
また,これは視察の際の御指摘でございますが,学部とのダブルカウントの特例がなくなった後,教員の交流がなくなって壁ができてしまったと。ダブルカウントを認めて学部との連携を促してはどうかというのが,視察先での御指摘。
また,同じ分野の教員を学部と別個に雇っているんだけれども,それを整理できれば教員を有効活用できるんじゃないかという御指摘。
また,実務家教員だけでも学部とのダブルカウントを認めてもらえないだろうかと,このような御指摘があったということでございます。
また,その際に,クロスアポイントメント制度でエフォート管理がされておりますけれども,そういった考え方を導入して質を担保することはできないかという御指摘。
また,専門職大学院間のダブルカウントも検討してはどうかという御指摘。
みなし専任教員につきましては,これは視察先でございますが,必要単位数が緩和されれば社会ニーズの高い実務家に参画してもらいやすくなるんじゃないかと,このような御指摘があったということでございます。
そういったことを踏まえまして検討事項ということで,最初のマルでございますが,まず,制度趣旨との関係は十分配慮する必要があるであろうということを書いてございます。
二つ目のマルは,特例措置の際に十分議論いたしましたので,そういった経緯を踏まえましてダブルカウントのことは考えなきゃいけないんじゃないかという御指摘でございます。
続きまして,最後のページでございますが,そういったことを踏まえまして,例えば新設する場合に限りまして時限付き,例えば創設から5年以内で必置教員についてのダブルカウントを認めると,こういったことについての是非をどう考えるかと。
また,今のは時限付きの措置でございますけれども,社会ニーズに対応した新たな分野の教育プログラムの提供が可能となるといった自らの強みや特徴を伸ばす積極的効果が生じる場合に限りまして,恒常的にダブルカウントを認めると,これについての是非はどうでしょうかと。
ただ,※にございますように,そういった積極的効果が期待される場合におきましても,教育に専念する教員が減少するとか独立性の確保が困難になるという可能性もあるということに留意が必要と。
そういった際に,例えば教員のエフォート管理を行うと,こんなような概念を導入いたしまして教育の質の確保を担保すると,このような取組が可能かどうかという御指摘でございます。
また,次ですけれども,みなし専任教員につきまして,年6単位のところを例えば4単位にするという緩和措置ということはどう考えるかということでございます。必要単位数を緩和するとしても,引き続き組織の運営に責任を担うということを担保することによりまして,教育の質を保てるかということでございます。
また,ここに書いてございませんけれども,ダブルカウントの緩和を考える際には,設置基準上,ロースクールとか教職は特例規定を設けられております。また,教職につきましては現在特例措置が続行中ということ,また,ロースクールにつきましては集中改革期間ということで,質の高い教育が求められているという状況がございますので,それについて同じ扱いでよいかどうかというのは別途の検討が必要ではないかと考えてございます。
また,資料1に戻っていただきまして,7ページ,次が認証評価でございます。認証評価につきましては,ページめくっていただきまして,8ページでございます。(3)の機関別認証評価と分野別認証評価との効率化ということでございます。これにつきましても,別途資料を作成いたしましたので,御覧いただければと思います。資料5でございます。
資料5の1枚目が機関別と分野別の評価項目がどうなっているかということで,赤枠で囲んでいるところが文言上は重なっているということになっております。それで,負担を軽減してほしいと。特に専門職大学院しか設置していない場合について,評価項目が重複するのではないかという御指摘が従来よりあったところでございまして,それについての対応策というのが,ページめくっていただきまして,2枚目でございます。
まず上段が,これは専門職大学院以外も設置している通常の総合大学における対応案でございます。機関別の際に,分野別と重複する評価項目につきましては,直近の分野別評価で適合とされている場合に限りまして改めての評価は行わないこととする等,評価結果の活用を促進してはどうかと。ただし,適合とされている場合であっても是正が求められている事項がある場合には,その改善状況を確認する必要があるであろうということでございます。
留意事項といたしましては,既に分野別の結果を活用して費用面で負担軽減策を講じている機関別評価機関もありますので,そのような取組を促すことも必要ではないかということを書いてございます。
また,次が専門職大学院のみを設置している場合でございます。上記の対応に加えまして,機関別評価機関と分野別評価機関が同じ機関の場合は,両評価を併せて行うというのも一案ではないでしょうかと。また,機関別と分野別で評価機関が異なる場合は,例えば合同の判定委員会を設置していただくなどして評価結果の活用を促してはどうかと書いてございます。
また,さらにということで,分野別評価のみを行う評価機関が,併せて機関別認証評価機関の認証を受ける場合の大臣認証の方策について検討をするということを書いてございます。これは分野別機関がまた改めて機関別評価を取るということではなくて,どちらかというと例えば第三の類型のような形で,専門職大学院のみを設置している大学を評価する場合の新たな類型を作ってはどうかということも検討してはどうかと考えてございます。
ただ,その際に,留意点といたしましては,機関別も5年以内の受審という形になってしまうということと,実際そのような類型を設けたとして,認証を受ける機関があるのかと,こういったことも調査が必要であろうということを書いてございます。
済みません,また資料1に戻っていただきまして,次が9ページでございます。4の情報公開の促進ということでございますが,これにつきましては,従来より社会との連携についてのポリシーの策定・公表ということでずっと書いてございましたが,ポリシーといった場合は,既存のアドミッションポリシー等々の三つのポリシーがございますが,そのポリシーとの関係性が不明確じゃないかということで,少しこの三つのポリシーとは考え方が異なるものだということを明示するために,方策という別の言葉に置き換えてございます。
続きまして,専門職大学院の魅力の発信に取り組むべきじゃないかというところにつきましては,学位の付加価値を社会に理解してもらえるかが重要だという御指摘もありましたので,国においても専門職大学院について積極的な広報に努めるということを書いてございます。
あとは特に修正してございません。説明は以上でございます。
【有信主査】  ありがとうございました。今までの個別個別の議論を整理していただいています。本日も具体的に個別個別の観点で議論を進めたいとは思いますが,現実に個別に問題を分解してしまうと,それぞれ個別のところに足を取られて,それはそれで議論が深くなるという意味では結構だと思いますけれども,問題を整理してみると,大きく分けて質保証の観点,つまり教育研究の質保証をどうするかというのは,大学のアウトプットとしての質をどう保証するか,これがきちんとしていないと,言わば大学にどれだけのリソースを投入すべきかというところの議論がだんだん厳しくなってくる。これは最後に認証評価のところで一つ問題点が整理されていますが,それ以前として,専門職大学院の場合は,全体に教育の質保証という観点を常に頭に置く必要がある。それは,投入された資源に対して本当に必要な質のアウトプットがなされているかということを,教育という観点でどのように保証するか,その一つの方法が,言わば認証評価という形で表れてはいます。したがって,認証評価の議論をするときは,そういう観点を含めて考えていただければという気がします。
2番目は,専門職大学院側の観点で一体何をやるべきか,あるいは何を援助すべきかという議論の観点で整理をしたらいいのではないかという気がします。これはもちろん,そこで学ぶ学生に対する施策も含めて,これは大学院側の観点。
それから,3番目が社会との接続という観点で,全体を少し議論するときに整理をして,議論していただければと思います。
これとは別個に,今まで出ている様々な課題は,専門職大学院共通の課題,さっきの質保証の問題も含めて共通の課題と,それから特定の専門職大学院に固有な課題というのが多分あると思うんですね。これをきちんと分けておかないとごちゃごちゃになってしまうということだと思いますので,それはよろしくお願いします。
それから,問題の議論のときに,今,具体的に様々な取組の内容が示されましたけれども,その取組というのを,言わば課題が何であって,その課題に対する対応としてこれが適切であるか,こういう対応をすべきであるかという観点で全体を考えて議論していただけると,もっと問題がクリアになるような気もします。
それでは,また例によって全体の総論からということですけれども,御意見いただければと思いますが,よろしくお願いします。
はい,どうぞ。
【杉本委員】  文言の問題で恐縮ですが,4ページの一番上の案のところですね。そこのところで,また同じように,この4ページの上から3行目のところにもありますけれども,「コアカリキュラムの策定主体を誰が担うのか留意する必要」と記されています。この案のところを拝読しても,結局策定主体がどこなのかというのが明確に読めないんです。
さらに,その文言の中で,「同じ分野の専門職大学院からなる組織体の関与が望ましい」としています。特定の分野における専門職大学院では協会だとかがあるんですが,ここでの「組織体」とはそのことだろうとも理解することができるのですけれども,特にこの案の冒頭のところに「ステークホルダーや認証評価機関,学会等の参画を得た上で策定」するとあります。しかし,この策定が一体どこの主体で行われるのかというのが明確に読めないんですけれども。
【事務局】  おっしゃるとおりで,明確に読めないというか,書いていないんですけれども,そういった組織体があるところは,恐らくそういうところで作られるというのが望ましいんだろうとは思うんですけれども,必ずしも組織体がないところもございますので,そういった組織体がないところにつきましては,例えばどこかの大学が作るにしても,全ての専門職大学院から意見を聴くとか,そういったプロセスを経てやればいいんじゃないかということで,少し幅広く読めるように,あえてどこが作成主体かということを,今の案では明確には書いていないという状況でございます。
【有信主査】  本来ならこれは,専門職の団体,そこで仕事をしている団体が,この団体として専門性を認めるためには最低限これだけのことは身に付けるべきだと,こういう観点でコアカリのようなものを作るというのが筋だと思うんですね。
例えば,これもこの前,聞いてきたばかりですけれども,公衆衛生のような場合だと,アメリカでは公衆衛生の関連の団体,これは学会になるのか協会になるのか分かりませんが,そこで,基本的に必要なカリキュラム,単位条件を決めているんですね。それを全部クリアしないと,MPHマスター・オブ・パブリックヘルスという学位を出さないということになっていて,日本の公衆衛生大学院も,それにのっとって教育をしているところもあるということですね。
だから,こういう団体をどのように表記するか極めて難しいんですけれども,日本の場合は,例えば会計だったら,公認会計士協会が本当にできるのかどうか分かりませんが,そういうところがきちんと決めるということが,多分,筋かなという気はするんですけれども。
どうしますか。明確にもうちょっと分かるように書くか,それぐらいのことを書いて,これは多分,出口との接続との関係にもつながっていくので,その辺のところを少し明確に書くかですけどね。あるいは例示で例えばという形で書くか。という感じでどうですか。何か御意見ありますか。
【事務局】  もう少し趣旨が分かるようにということでしょうか。
【有信主査】  それでは,更にもう一度きちんと議論をするということにしたいと思いますが,教育課程について,ここでもどちらかというと余り大きな変更はなかったと思いますが,特に御意見あれば。ここでもかなりコアカリキュラムの話が出てきていて,これはいずれにしても質保証との関連でもありますので。
はい,どうぞ。
【川嶋主査代理】  一つ問題提起というか,つまりコアカリキュラム作成をしたりアドバイザリーボードを設置して指導・助言を受けるというのは,既に設置されている専門職大学院の場合はそれは機能すると思うんですけれども,今,検討というか,方向性として新しい分野での専門職大学院の参入ということを考えたときに,新しい分野の専門職大学院の設置の際には,誰がどういうアドバイスをするのか,あるいは何を根拠に教育課程を設置していくのかというところが,非常に一番問題なところじゃないかなと思います。
特に専門職大学院単体の大学院大学ですと,設置審査などに関わっていると,三つのポリシーとか具体的な教育課程,カリキュラム編成について,よるべきところが必ずしも明確ではなくて,設置審査の中で非常にフィードバックというか,やり取りしているケースが多い印象を持つんですけれども,その際にはどういうことを設置審査のときに求めるかということで,例えば今,委託事業でやっているビジネス系のコアモデルを作ったときに,ある程度汎用性があるものであれば,その周辺部分の新しい新規の専門職大学院は参照できると思うんです。全く新しいものを新たに設置しようとする場合に,マーケットリサーチなのか,もうその時点からアドバイザリーボードからの意見を受け入れて設置の構想を練るべきなのかとか,その辺り,少し今お話を聞いていて問題かなと。
つまり,今あるものについての強化はこれでいけると思うんですけれども,今後新しく入ってくる専門職大学院について,どのように考えるのか。全て設置審査と,あと認証評価に任せてしまっていいのかというところで,有信主査がおっしゃったように,今,専門職団体というのは日本では非常に少ないので,アドバイスもなかなか受けにくいという,そういう状況なんじゃないかなと思いました。
【有信主査】  難しい問題なんだけれども,職能団体がないところで専門職大学院を作る意味があるかという,こういう問題でもあるわけですよね。それを設置認可でどうやって審査をしていくかという,極めて抽象的な次元で何か全体が回っているような気がしますけれども,どうですか,何か御意見ありますか。かなりこれは一般論的な話になってしまうんですけれども。
はい,どうぞ。
【片山委員】  新しい分野に関しまして,職能団体という形で明確に団体がないという場合も,一定の既に社会的なニーズが先行してあるということが,当然専門職大学院設置の大前提になっているということですから,一定の専門家が実際働いておられるということはあると思います。そういった人たちにアドバイスを得るということは十分に想定できることではないかと思われますので,厳密な意味での団体があるということを要件としなければ,同じように考えていけるとは思います。
【有信主査】  同じように考えていけますか。
【川嶋主査代理】  どうでしょう。例えば外国にあって,まだ日本にないというのは,外国のプログラムが参考例にはなると思うんですけれども,結局これまでの個人的な設置審査に関わった経験からいくと,どうしても新しい分野を作る際には,ある意味,周辺領域を参考にしつつマーケティングの結果と,あとは申請者の構想力という形で構想が出てくるので,設置審査と5年後の認証評価を受審しても,結局マーケットもそれほどなく現実には消えていった専門職大学院が幾つかあるというこれまでの経緯を考えると,新しい分野で専門職大学院を作っていくというのは,非常にニーズと質保証も含めて,日本の現状ではその専門職団体がないという中で難しいのかなというのが私の印象です。
【有信主査】  だから専門職団体というか,出口側で具体的に何らかの資格保証のようなものができる。そのためには多分専門的な職能団体がないと難しいということもあるんだけれども,そういうこととつながっていないと,単純に教える内容が違うだけの大学院ということになって,専門職大学院そのものの在り方とは本当は違うんじゃないかという気がするんですけどね。だからそれをもう少し整理をすると。
ただ,新しい分野でトライをしている,例えば何でしたか,私も正確でないかもしれませんけれども,ビューティーとか,それからデジタルハリウッドでは,これが本当にきちんと機能するかどうかというのは今のような流れの話になると思うんですけれども,でもかなりちゃんとした形での職能団体ができないと,なかなか難しいかもしれないという気がしますけどね。
ここもいろいろ文言の細かな修正が挙がっているので,さっき言ったように大ぐくりのところでどういう視点になるのかというのを踏まえながら,もう一度整理をしていきたいと思います。それでは教員組織,ここはダブルカウントの在り方についてということで,これは多少議論しなきゃいけないという話になっていたと思います。
これもかなりどちらかというと専門的な問題にもなるので,もう一度,事務局からポイントだけ説明していただけますか。
【事務局】  資料の4でございます。資料4の検討事項というところでございますが,ダブルカウントを専門職大学院が求める趣旨というのは,教育に専念する教員の充実を図るんだということと一定程度の独立性を確保すると,こういった制度趣旨からダブルカウントは認められないということが,現行制度で認められているところでございます。特例制度を廃止する際に,その制度趣旨は重要であろうということで,博士後期にはダブルカウントを認めますけれども,それ以外は制度趣旨どおり認めないという判断がされたということが,前提としてあるということでございます。
ただ,一方で,次のページですけれども,ダブルカウントの緩和を認めてもらいたいという現地視察での御指摘がございましたので,例えば新設する場合に限りまして時限付きで認めると。これであれば,例えば創設から5年以内という限定を付しますと,それ以降は教育の質が担保できるということでございますので,それならばいいんじゃないかということが一つ目。
二つ目が,時限措置のみならず恒常的にも認めるという可能性があるかどうかということでございますが,ただ,単に縛りを緩くするということはなかなか難しいでしょうから,積極的な効果が認められるという場合に認めてはどうかというのが可能性として一つあると。ただ,その場合も,次のマルですけれども,例えば教員のエフォート管理を行うといった手法で質を担保した上でそういったことを認めるということも,一つ考え方としてはあるんじゃないかということを書いているということでございます。
【有信主査】  もともと専門職大学院に関しては,ここに書かれてありますように,通常の課程に対して1.5倍の専任教員を必要とするということになっていて,ただしこれは,教育の質を担保するという前提でそういう要件になっています。これを発足から10年に限り,すぐに教員が集められない可能性があるので,専門職課程でない一般課程の教員が,この教員を兼ねると。つまり一般課程の教員と専門職課程の教員とのダブルカウントを認めるということで,10年を経過した後にこのダブルカウントを廃止の決定をしています。ただし博士課程に関しては,将来の様々な研究的要素が必要だということも考えて兼任を認めるということで,特例的に兼任が認められています。
これで話がややこしくなるのは,博士課程の教員と修士課程の教員が区別できるのかという問題,これは一般のコースでの話ですけれども,ただ,専門職課程には博士課程がないので,博士課程で関連して教育をしている先生についてはダブルカウントを認めるという形式的な認め方になってはいるんですね。一方で専門職課程に博士課程を設けたいという希望がもう一方であって,これで話がまたややこしくなってしまうんですけれども,専門職課程は今のところ修士課程のみで,博士課程は一般教育研究課程ということで設置をされているだけですよね。専門職課程に博士課程を設けたときに一体何が起きるかというと,例えば公衆衛生大学院の場合には,慈恵医大でしたか,パブリックヘルスのドクターというのを出す。
【事務局】  帝京大学です。
【有信主査】  帝京大学ですね。帝京大学が学位を出しますけれども,これは専門職課程ではないんだよね。ですから同じ名前の学位が専門職課程でない形で出ているという事実,日本では1大学だけですけれどもあります。
パブリックヘルスに関しては,博士課程に進学する人たちで,例えば東京大学の公衆衛生の大学院だと,博士課程に進学する人は3割ぐらいはいるという話ですけれども,これは全部,医学部の医学系研究科の博士課程の定員の一部をかりて,そこに入っているというか,簡単に言ってしまうと,要は医学系研究科の博士課程に進学しているという形になっているわけですね。もちろん専攻は限られた専攻ですけれども,そういう形で卒業していて,専門職課程の博士課程はないと。
それから,MBAに関しても,DBAということがだんだん言われ始めているということも聞いていますので,一方で専門職大学院の博士課程をどう考えるかというのは,別の議論としてあるということになります。この辺で何か御意見あれば,お願いします。
はい,どうぞ。
【片山委員】  二つのことを,法科大学院に関連して申し上げたいと思います。
一つは,今日の資料4のペーパーですと,2ポツの二つ目のマルの意見,これは私から出させていただいた意見でありますけれども,リカレント教育等の観点から,現行の専攻と同様の分野について異なる専攻を設ける場合,必要教員数を軽減する措置が必要ではないかという,これは特例措置としてのダブルカウントとはまた全然違う話ということになりますけれども,法科大学院,法曹養成教育の分野では,今後の専門職大学院の在り方として,より高度な専門教育の必要性ということで,例えばグローバル化に対応したグローバル法曹の養成であるとか,あるいはビジネスに強い法曹の養成であるとか,あるいはさらに,例えばタックスに強い法曹養成,そういった専門性の強い法曹養成を,例えばアメリカですと,J.D.と別個にLL.M.というコースを設けて教育を行っています。
そういった観点から,このたび慶應義塾では,新しくグローバル法務専攻という専門職大学院の設置申請をさせていただいておりますが,その経験から,必要教員数をある程度軽減する措置が必要ではないかという点を痛感しております。今,専門職大学院は,最もミニマムに設置する場合にも12人の教員が必要でありますが,例えばビジネス系で言いますと,MBAを持っている大学院の中にもう一つ専攻としてMOTを作るという場合に,教育内容に重複が出てくるということになります。そういう場合に両方の専攻で12人ずつの教員が必要なのかという問題です。
我々が今回設置申請をしておりますグローバル法務専攻というのは,これは12人で設置申請させていただきましたが,何とか慶應ではできましたが,後発的に多くの大学院が同様のグローバル化の試みをしていただくためには,設置教員数の軽減がどうしても必要となってきます。現行の法制度の中でも,大学院に専攻ごとに置くものとする教員の数を定める件に関する文科省の告示175号では,例えば分割設置という形で,法律分野ですと,公法専攻,私法専攻という形で分けて設置する場合に関しては,必要教員数は7で足りるという,そのような措置があります。このように,同じような形で,同系列の,経営系なら経営系,あるいは法律系なら法律系という形で,複数の専門職大学院の専攻を同一大学院内に置くという場合に関しては,一定の先ほど申し上げた形での告示に類似する設置教員数の軽減措置を設けることによって,今後,そういった分野での専門職大学院の開設をエンカレッジするということが必要ではないかというのが,第1点でございます。
それから,もう1点,別な視点ですけれども,法科大学院の中で,今,一つ問題になっておりますのは,広い意味での法学教育を担う教員の配置の問題で,法科大学院と,それから学部,既存のアカデミックな大学院が,従前はダブルカウントを認めて,両方の専任になっているということで両方の意思疎通が図れていたところがありましたが,特に私学のように別個な大学院を設置したところでは,ダブルカウントが終了したことによって相互の組織の交流が途絶えてしまって,研究・教育の継続性に,特に教員養成等で支障が出ているのではないかという意見が,いろいろなところで聞かれます。
もちろん,ダブルカウントを認めて必要教員数ぎりぎりでやるということになると教育の質が確保できないという点は避ける必要がありますが,ある程度教員数に余裕があるところでは,むしろダブルカウントを認めることによって双方の組織にコミットできる教員を複数置くということで,より柔軟な意思疎通が図れるのではないかという議論が聞かれるところでございます。
二つの点を申し上げました。
【有信主査】  整理をすると,とりあえず博士課程の話は横に置いておいて,ダブルカウントという観点で言うと,類似の専門職大学院が,類似というか,教える人がある意味で共通と思えるけれども目的が違うという,例えば,MOTとMBAのような大学院が並列する場合に,双方の教員の,ダブルカウントと言うからネガティブに聞こえるんだけれども,兼任を認めるということをやってもいいのではないかというのが第1点で,そのときには,どの範囲で兼任を認めるかという,言わばどの範囲でダブルカウントを認めるかということを決めればいい。
受け身受け身でやっていると,どうしても大学が楽な側に楽な側に行こうとしている印象を与えるので,むしろ積極的に,教育効果という観点で,どういうことが主張できるか,教育効果を上げるという意味で兼任をある程度の範囲で認めるというやり方をするかというのが第1の問題ですね。
それから第2の問題としては,学部との連続性が切れてしまうと。これは法科大学院では特に法学部との問題で議論されていますけれども,ほかでも学部との連携が必要なところもあると思います。これをどういう形で兼任を,今は確実にダブルカウントが駄目ということで兼任が全部駄目という解釈をされているようなので,少なくとも兼任という形でどの範囲で認めて,より積極的に今の専門職大学院の質的な向上を図るかということを織り込む。むしろ積極的な形で織り込んでいって,その結果としてこういう効果がありますという話にしないと,とりあえず困っているから広げましょうと,これは多分無理だと思うんですよね。そこの議論を是非よろしくお願いしたいと思いますけれども。
はい,どうぞ。
【青井委員】  今,片山さんがロースクールの議論をしたと思いますが,ビジネススクールの場合,今のところは非常に好調なので,どちらかというと,教員の数がコストで響くということは,一部除けば多分ないんだろうと思います。ただ,ビジネススクールも,いずれマネジメントスクールとかそういう形で,より広くなってくると,例えば公共政策,MOT,いろいろなところと多分連携していかなきゃ駄目だと。そうなったときに,ビジネススクールというか,マネジメントスクールの一つのニーズは,いろいろな教員が欲しいと。その意味では,片山さん言われたように,共通している教員はなるたけ効率化して,新しい分野にいろいろな形で教員を雇っていきたいという意味での積極的な理由で,多分ダブルカウントをお願いしたいというのが,これは一つと。
それともう一つですが,我々として後継者養成という観点では,さっき博士課程という議論も出ましたけれども,どちらかというと学部の若手の教員をしばらくはマネジメントスクールで教えてもらって,これが面白いと思ったらこっちの方に動いてほしいという形で,学部とのダブルカウントというのは,一つマネジメントスクールからしたら非常に興味のある点。
【川嶋主査代理】  今のダブルカウントの問題ですけれども,現状と方向性と二つに分けて整理すると,現状では実のところ必置教員数のみで運営している専門職大学院というのはないと思うんですね。必置教員数プラスアルファで運営している大学院が現実だと思うので,その場合には必置教員数の外側の教員は,今でも兼任・兼担という形で,ほかの課程を持つことはできるということです。これは現実にもそういうことをやっていらっしゃるんですね。
もう一つ,将来の方向性としては,これは別に専門職大学院だけに限ったことではないんですけれども,例えば専門職大学院に限定すれば,慶應ロースクールとして一つの独立した教員組織を持っているならば,教員組織と学位プログラムで,LL.T.とLL.M.ですか,その二つの学位プログラムに,それぞれのロースクールの専任教員が,それぞれの分野に応じて出ていって教えるという形に持っていくと。そういう方向にすれば,ダブルカウントという問題はなくなるのかなという。
したがって,専門職大学院に限らず,教員組織と教育組織といいますか,教育課程をどうするかというのは,今,整理されていないので,ですから将来の方向性としては,そういう解決策もあるのではないかとは思います。
【有信主査】  大体,今のお話で言うと,コアの教員群と,それからそれぞれ兼任する教員群とという形に分けて,全体として今のやり方が解決できないかと。法律をいろいろ調べていたみたいだけれども,それで問題ありますか。
【事務局】  それについてですが,資料4の一番下の参考2,兼務の考え方というところで書いてございます。「兼務」と書いていますが,自大学の複数の専攻の専任教員となることということで,このうち,必置教員数内の兼務,ダブルカウントについては法令上の規制がありということで,必置教員を超えている場合につきましては全く法令上規制がないので,ダブルカウントというか,兼務することは可能であるということと,あと,兼担ということでは,自大学の別の専攻で教育研究を担当すると。教育研究する分には別に規制がないので,兼担するのは自由だということになっておりまして,学部との壁ができるという御指摘に対しては,こういった必置教員以外の部分ですとか,専任教員じゃないですけれども授業を教えるということは可能なので,そういったことをもって壁をなくすということは可能じゃないかと,こんなような考え方は確かにあると思います。
【片山委員】  済みません,私,兼務に関して誤解していたところがあったのかもしれません。そうしますと,現行の法令下でも,必置教員を超える部分では,両方の専任になっていいという理解でしょうか。そうしますと私の二つ目の問題点は,もう解決済みということで撤回させていただいた方がいいかもしれません。
【有信主査】  となると必置の数を超えないところの問題ですよね。
【片山委員】  そうですね。
【有信主査】  博士課程と修士課程の兼任というのは,今みたいに博士課程前期,博士課程後期といっているときに,この間で兼任というのはあるんですか。単純な質問なんだけれども。ここで修士課程というのは,明確に定義上の修士課程で,博士課程前期ではないと言っているわけ。でも,それだと同一専攻というのは変ですよね。
【事務局】  例えば修士課程と博士の前期とのはあるかという話ですか。
【有信主査】  いや,この前の答申以降の区分けで,博士課程前期,博士課程後期という課程と,それから修士課程という課程と,一貫と,分けていますよね。だからここで言っている修士課程というのは,博士課程前期という意味に解釈していいわけですか。
【事務局】  分かりにくくて恐縮です。参考2のところで,二つ目のマルの1つのポツ,博士課程(前期を除く)と修士課程においては1個の専攻に限り兼務可能と書いていますが,博士課程(前期を除く)と言っているのは,一貫制の場合は前期を除くということであります。分かりにくくて済みません。もう少し丁寧に書くようにします。
【有信主査】  全体を整理すると,今のダブルカウントの問題に関しては,少なくとも必置教員数を超える場合については,さっき言った学部との兼任も当然認められるし,ほかの分野との兼任も認められるということなので,そこの部分について必置教員数さえ確保していれば,今言ったように,積極的な意味で教育効果を出すために兼任教員数を拡大するということについては問題がない。ですから書きぶりとしては,そういう方策を積極的に使っていただいて教育効果を上げるということだと思うんですね。
それからもう一つ,よりネガティブな側といいますか,ぎりぎりのところで,例えば新たにMBAのコースを持っているところがMOTのようなコースを立ち上げたいというときに,教員の兼任が認められないかという問題ですよね。これに関して,一定期間兼任を認めるという方策と,総数に対して一定の割合を決めて,その範囲であれば,コアな教員として両方を見ることができるとするか。ただしこれは教員の負担が増えるから,逆に言うと,それは本来の1.5倍という必置教員数の考え方とは矛盾してくるという問題があるので,どうしますか。皆さん方の御意見を。
上西先生,MOTの観点なんかだとどうですか。
【上西委員】  今言われたのは,コースを設置するというよりも,新しく専攻を設置するという場合ですよね。MBAがあって,それにプラスしてMOTの専攻を新しく設置するという場合は, MBAとMOTの共通部分があるので,そこのところを必置教員から差し引いた形で少ない人数,例えば今,MOTは11人が必要だというのが,例えば5人とか6人ぐらいで作れないかということですか。
【有信主査】  いや,実際にやってみて可能かどうかということですよね。実際に教えている側からすると。
【上西委員】  そうですね。MBAの中で,MOTの専攻ではなくてコースを作ってやっておられた大学はあります。そのときは,かなりテクノロジーに寄った先生が何人かおられて,コースを形成していました。経営の基礎的なところは本体のMBAのところでカバーされているので,数名のMOTの先生だけでMOTのコースを作っておられたということはあります。けれども,今は統合されている形になっています。MBAの方にお聞きした方がいいような気がするのですけれども, MOTの中でも,あるどこかの産業分野に強いMOTという形で設置されることは可能かと思いますが,余り狭くすると,結局経営的に成り立たないという問題もあるので現実的には難しいと思います。
【有信主査】  MBA的な観点からすると,将来的には,ビジネスアドミニストレーションというのは広く考えるとマネジメントの問題だから,よりマネジメントとして広範な範囲をカバーするようになって,当然,そうするとその中に,技術系マネジメントという観点で技術も含まれてくる。こういう,より広い構想の中で動き出すときに全体的な設計をどのようにしていくかという話で,これは多分,今のMBAを積極的により効果的なものにするという方向性としては,あり得る方向だと思うんですよね。
そのときに教員数の制限をどのように考えますかということで,より積極的に今のMBAなりMOTを,今の社会で活躍できる人材をより積極的に育てるために構想を広げていくようなところを,専攻を超えてある種の共通の枠組みで教えられる人がいれば,もっと効果的ではないかという考え方もできるわけですよね。両方のスコープを持った人が,両方で教える。そのときの必置教員数をどのように定義するかということを考えればいいわけで,今だと個別個別に1.5倍必要だというのを,コアの部分で何割かは両方を教えられる人を確保するということを考えていくか。そのダブる部分というのをどんどん広げていくと,共通にダブる部分が幾つもできてくるわけですよね。
【青井委員】  有信先生が言われるように,例えばビジネススクールの場合でも,生産をやったりマネジメントテクノロジーとかそういう科目は,作っている学校はいっぱいあるんだろうと思います。しかし同時に,上西先生のところのように,MOTの方もそういうことをやられていると。そうなってくるときに,そこは同じ人間が教えた方が,ワークロードは増えるかもしれませんけれども,そうなるとまた,別のMOTなりビジネスマネジメントのところで別の教員が雇えると。
多分,MOTもマネジメントも,こういう科目が欲しい,ああいう科目が欲しいというのは最近増えていますから,その中で大学の予算制限とかいろいろな形で出てくるので,その意味では,少ない人数で手を抜いて専門職やりたいという議論じゃなしに,自分たちが伸びていくためにはある程度共通分野は効率化していきたいというのが,多分我々の基本的なスタンスだろうと思います。
【有信主査】  これは常に個別に議論があるところだと思うんですけれども,質をどう保証するかという話とも絡む話なので,コアの部分を認めるというのは,当面は恐らく経過処置で,新たにそういうところで類似のコースを設置するときに,そこの専門職大学院との間で,兼任を一定期間だけ認めるという感じで走ることはあり得るかもしれない。どうですか。
はい,どうぞ。
【片山委員】  要するに,より専門性の高いディグリープログラムをロースクールが今後作っていくということは,必ず必要になってくると思っておりまして,他の専門職大学院とロースクールが違うところは,ロースクールは母体が93単位必要ですから,そこで学位に結びついたコースを作るということは事実上不可能です。もしLL.M.のようなものを作るとしたら,そのためには専攻を新しく作らなければならないという事情がございます。いろいろなLL.M.を作りたいというときに,そのたびに12人の専任教員がプラスアルファして必要になってしまうというのが,現行法下の制度設計ということになっております。そういう意味では,ロースクールという専門職大学院制度を,今後,更に専門性を高めた魅力のあるものにしていくためには,その点を何とか解決していきたいと思っております。まだまだロースクールの側で共通の認識にはなってはいませんし,法科大学院特別部会は他の専門職大学院の議論ができる場ではないという面もありまして,このワーキンググループで何とか議論をスタートさせることができればということで,問題提起をさせていただいている次第です。
【有信主査】  今の話は,専門職大学院の中に,言わばリカレント教育というか,社会人の再教育のためのコースを新たに作る。それは専門職課程とは違って,ある種のディグリーを与えるようなものになる。専門職大学院の観点で,社会で活躍している人を専門職として訓練し直して,これはディグリーを与えるんですか。
【片山委員】  そうですね。
【有信主査】  ディグリープログラムになるわけですか。
【片山委員】  はい。
【川嶋主査代理】  マスターですよね。
【片山委員】  マスターですね。
【有信主査】  マスターのディグリーを与えると。したがって,専門職のマスターではないけれども。
【片山委員】  いや,専門職のマスターです。
【有信主査】  専門職のマスターなんだけれども,別のコースになるわけですか。
【片山委員】  今のところ,コースが別の専門職大学院になってしまいます。
【有信主査】  でも,それは,実際に現実に例えば法曹なら法曹として活躍している人が入学して訓練を受けて,新しい学位を得て,また出ていくと。こういう話ですか。
【片山委員】  そういうことですね。あとは留学生を受け入れるわけですね。
【有信主査】  ああ,留学生を受け入れる。留学生を受け入れるケースは結構あるかもしれないですね。こういう部分について,兼任をどのように認めるかと。これはまた別の議論に多分なると思うんですよね。
【川嶋主査代理】  済みません,教員組織に関して,1点,細かなことですけれども,みなし専任教員の考え方について意見を述べます。最新の実務を教育に取り入れるために,実務家教員のローテーションを柔軟かつ流動的にするために,今の提案では,6単位で,なおかつ,教育に責任を持つという教員数を4単位にするという提案になっているんですが,現行の制度ですと,資料4を見ますと,必置実務家教員数の3分の2までを6単位担当のみなし専任教員とできるという仕組みですけれども,4単位にしたときに,この3分の2という比率をそのままにしてもいいのかどうかという議論も必要かなと感じています。4単位というのはその方向でいいのかもしれませんけれども,比率を現行のままにしておくと,かなり実務家専任教員の教育に対するコミットメントが低下してしまうような印象を持つんですが,その辺の検討も必要かなと思いました。
【有信主査】  確かに4単位担当の人が現実的に3分の2を占めたとすると,カバーしている単位数が減るので,結局残った3分の1の教員がカバーすべき単位数が増えてしまうと。単純計算するとね。そういうことになりますし,それで成り立つかということで,3分の2という数を少しどう考えるかということとも。ただしこれは,6単位だと優秀な実務家教員が確保できないという事情も一方であるので,実務家教員の数と必置教員の数との関係を,少し整理をしないといけないかもしれないですね。だから今,川嶋委員がおっしゃったように,3分の2という数を多分見直すしかないかもしれないと思いますね。ほかに御意見ありますか。
はい,どうぞ。
【上西委員】  今のみなし専任の件ですけれども,6単位を4単位にしていくというのは,現場からのニーズがたくさんあるので,良いかと思いますが,非常勤講師の先生とどう違うのかというところをより明確にする必要があると思います。今は運営に関与するという表現であり,基本的には教授会の構成員ということをイメージしているのだろうと思いますが,そこをはっきり書いた方が,運営に何をもって責任持っているかということが明確化され,教育の質も保つようにできるのではないかと思います。今の書き方だと,単に単位を減らすだけになり,質の保証が危ぶまれる可能性があるのかなと思います。
【有信主査】  問題のうちのダブルカウントの部分だけがまだ解決していないんですけれども,一つは必置教員を超える教員に関しては兼任を認めるということで,その兼任を積極的に活用して教育内容を充実させる。これが一つの方向性ですよね。それからもう一つは,類似の専門職のコースを作るときに,そこの教員数のダブルカウントを認めるのか認めないのか,認めるとしたら設置からの当初の一定期間の年限で認めるのか,あるいは全く認めないか,そのときの割合をどうするかということですよね。
具体的に数がどれぐらいかということを今ここで議論しても,どうしようもないので,一定期間設置に関して言うと,今,幾つかは,設置後何年間かはダブルカウントを認めるという規定があるので,それを準用することは可能だと思いますので,ただ,それを準用することが,どういうモチベーションにつながるかという話ですよね。つまり,今の専門職大学院制度というか,専門職の養成制度に効果があるかという話で,楽をしたいためにダブルカウントを認めてくださいという議論は多分ないと思うので,そこら辺で何か御意見ありますか。
はい,どうぞ。
【宮脇委員】  基本的には,制度の継続性という面からいくと,私は一定期間まず認めるという今のお話で,その上で重要なのは,質的な担保というところがそれとセットの問題であるので,その認証ですとかそういうところで,5年なら5年たったところで,一定の質が担保されているということであれば,そこで選択ができるようにするとか,何かそういう何段階かの制度設計というのも一方ではあるのではないかと。だからスタートラインにおいては,今,座長が言われたような形が,私はスムーズなのではないかとは思います。
【有信主査】  そういう形で一定期間認めるということであれば, MBAの方から出ているマネジメントという構想でどんどん全体を広げていくときも,それぞれの観点で認めていくか。何か認めて困るところは,ありますか。
【上西委員】  今の制度のままでそれを認めると,懸念されるのは,もともと小さい組織が,更に共通部分を除くとかになってくると,一専攻で教員が例えば7名,6名とかいう非常に小さい組織になってしまいます。教育の質を保つためのシステムが本当に作れるのか疑問です。例えば教務委員会をはじめ種々の委員会が必要であり,システムとして教育の質を保つというところが,人数が少な過ぎると,教育システムをきちっと構築できるかというところに不安があると思います。教育システムも含めて他専攻と共通で構築するとか,何かそういう工夫がないと,そこだけ独立させて質保証ということは,なかなか難しいのではないかなと思います。
【有信主査】  今の話は,要するに一つは,単独の専門職大学院単独専攻であるとすると,最低の必要な教員数というか,絶対値をきちんと明示する。それが一つと,それから,共通なところで似たような専攻ができるときは,共通専攻として教育課程の運営をやるという形にしないといけない話になりますよね。
はい,どうぞ。
【事務局】  個別の分野がそれぞれどういう位置関係に立っているかというのをよく考えないといけないと思うんですけれども,先ほどのお話を伺っていると,MBAの中にMOT的な要素を組み込んだものを,一つの専攻の中に作ることで教育研究をやるということは可能であると。その中でそれを切り離して,MOTをまた別個専攻として立てるのであれば,それは専攻としての実質を備えたものでないと,その中でできるのであれば,その中でやればよくて,切り離して専攻という一つの組織を立ち上げるのであれば,それなりの実質が必要なのかなと。
多分,片山先生がおっしゃっているのは,法科大学院の場合には,それが一つの専攻の中で違う要素を組み込むことが,法科大学院の教育課程の縛りは非常にきついので,制度上,そこに組み込むのは認められていないので,別に立てなければいけないと。そのときの立て方を緩くしてほしいという,かなり法科大学院固有の事情が含まれているのかなという感じもするので,もう少しそれぞれの大学院の具体的なニーズを伺いながら,横の兼ね方というのは少し考えさせていただいた方がいいかなと思います。
ただ,申し上げたいのは,専門職大学院に限らず,実は日本の大学が,なかなか分野融合とか新領域の開発が進まないので,もう少し横のダブルアポイントメントみたいなものを弾力的にした方がいいんじゃないかという議論が,専門職大学院に限らず,もう少し大きいレベルでもあるので,専門職大学院としての課題意識をむしろ出していただいて,それを踏まえて全体との関連でもまた議論させていただくといいのかなと,お話を伺っていて,感想的なコメントで申し訳ないんですけれども,そのように感じました。
【有信主査】  今の話は多分そのとおりだと思いますので,そこのところは明確に区分けをして考える。それからもう一つは,単純にダブルアポイントメントというのを,100%で兼任を認めるということではなくて,これも大学内のクロスアポイントが成り立つかどうかという議論はほかでもやっているんですけれども,形式的には,そういうクロスアポイントメントのような形で定員数を確保する。必置教員数のエフォートを確保するというやり方を入れて,より広範に,これもできるだけ教育内容をより豊かにして,今の専門職課程をより効果的に進めるという観点で,むしろそういう言い方の方がいいかもしれないですね。そうすると大分楽になりますか。どうですか。
単純に100%ダブルアポイントメントと言うから話がいろいろ難しくなるので,形式的なクロスアポイントメント,エフォート管理,エフォート管理という言いかたも余りしたくないけれども,そういう形できちんとつじつまを合わせれば,より効果的なプログラム設計ができると。もちろんそれぞれのエフォートに応じて経営には関与してもらうということでやるというのは一つの方向かもしれないですね。
それでは,博士課程の話は,ここで議論するより,もうちょっと詰めた後でもう少し原案を出したいと思います。次は,ダブルカウントとか教員組織の在り方についてはそこで,あと,認証評価について,一つ提案が出ています。
認証評価に関しては,提案として,これも言わば大学側の負担を減らすという意味で一つ提案が出ています。認証評価は御承知のように分野別評価ということになっていて,専門職大学院に関しては,それぞれ認証評価機関が指定をされて認証評価を進めています。
ただ,問題は,これとは別に,大学の機関別評価として認証評価というのがあって,これが二重にくるわけですよね。大学の認証評価は,基本的には7年間に一度というサイクルになっていて,専門職大学院としての認証評価は5年のサイクルで回るということになっていて,若干サイクルがずれてはいるんですけれども,少なくとも専門職大学院の単体で設置をされているところに関しては,専門職大学院の認証評価を機関別認証評価と同等とする。それから,一部として専門職大学院を設置しているところにおいては,専門職大学院の認証評価をもって,そこの部分の機関別評価を免除するという形にしてしまうという提案です。
ここで問題なのは,専門職評価の認証評価基準で法律で定められている項目と,それから機関別認証評価で法律で定められている部分で若干違いがあるので,これをこのままにしておいていいかという話が多分対象になると思います。恐らくこれは,代替するという案に関しては誰も反対はないんじゃないかと思いますけれども,何か問題ありますか。
はい,どうぞ。
【杉本委員】  機関別認証評価と分野別認証評価のサイクルのずれについてですけれども,分野別の場合は5の倍数で,5年,10年,15年になります。それと機関別の場合は7年,14年,21年と展開していくわけですが,ヨーイドンで両方ともスタートした場合,最大で実はサイクルのずれで4年ずれが出ます。最大で4年。認証評価のずれが出た場合,特に資料5の裏面のところで,「専門職大学院以外も設置している大学」のところの対応案として,特に1行目ですが,「直近の分野別認証評価で適合とされている場合に限り改めて評価は行わないととする」と。ここのところで,実は5年ごとの認証評価が直近のものでも,最大で4年前ということになり得る。問題ないかどうか,是非とも確認させていただきたいのですが。
【有信主査】  4年だと,あと1年でまた次の認証評価に入るということですけれども,どうですか。5年ごとにやってきていて,そこで合格の判定をされているので,4年前に合格だから,今年も機関別評価としてはやらなくていいということが一般的に認められるか,あるいは特例とする。
でも,そのときだけに限って突然4年目にやれというのも,これも変な話になりますよね。役所サイドとしては何か意見ありますか。
【事務局】  今回御提案として出させていただいているものに関しまして,今,御指摘ありましたとおり,確かに最大4年のずれというのがございます。ただ,翌年,正に次の分野別評価を受けるということになりまして,その際に,例えばここで例示の中にもございますけれども,是正が求められるような事項があった場合に関しましては,次はしっかり機関別評価で全体も見ていただくという形になっていきますし,継続的な質保証という点では,その時点時点の評価というのを活用していくということで,その大学全体の質保証ということはできるのではないかと考えまして,このような案になっております。
【有信主査】  大学側の観点から見ても,どうせ来年受けるんだから今年はほっておいてもいいかと,こんな感じになるかもしれないですよね。言い過ぎですけれども。そう言われてみると,結局,その年はとりあえず外しておいても,翌年必ずまた認証評価を受けるということになるので,それほど大きなそごはないような気もしますね。
はい,どうぞ。
【川嶋主査代理】  大学の負担という点からみると,今も少し言及されましたけれども,総合大学ですと,専門職大学院課程というのは,明治が一番多いと思うんですが。
【青井委員】  明治は法科を入れると四つです。
【川嶋主査代理】  四つですか。この部分を省いていただいても余り作業の軽減にはならなくて,結局,専門職大学院の認証を受けたときには作業しなくてもいいんですけれども,今のように次の年に受けなきゃいけないということになると,結局専門職大学院組織にとってもそんなに負担が減るわけではなくて,今回の案でいくと,二つ目の下段の例で,専門職大学院大学として単体で存在している大学にとっては意義があるのかもしれませんけれども,一方で,機関別認証評価のところも取り入れた形で5年ごとに認証評価と分野別評価を受審するということになると,かえって負担が増えるという場合もなきにしもあらずかなと。どれぐらい分野別認証評価基準と機関別認証評価基準の基準の重複にもよるんですけれども,その辺り本当に低減になるのかなという印象も持ちました。
【有信主査】  専門職大学院の側から見ると,作業としては多分低減になると思うんですよね。機関別評価でも同じ作業をさせられますから,そこの部分は。ただ,大学サイドから見ると,作業量はそんなに変わらない。一つぐらい減ったって取りまとめ作業は変わらない。費用もそんなに大して変わらないということになりますけれども,専門職大学院のコースの側から見ると,それこそ5年目やって7年目に,また2年後に同じ作業をやらされると,こういう話になって,共通であれば同じものをそろえればいいんだけれども,2年過ぎていると,また違う位置から違うものをそろえざるを得ないということに多分なると思うので,そういう意味では,専門職のコースからすると楽にはなると思うんですよね。
どなたか御意見ありますか。実際にやってみている人はいますか。
【宮脇委員】  実際にやっていると,今言われたとおりで,分野別認証評価が行われた後にすぐに機関別ということになると,それが1年あるいは1年半のずれであったとしても,データですとかそういうものの修正というのはかけていかなければいけないので,その面での手間というものが軽減されるというのは,専門職大学院側からすると,それはあるんだろうとは思います。
あと,4年の問題ですけれども,これも先ほど整理していただいたように,これが5年とかを超えるということはないわけですから,5年内の中で,認証評価いただいた期間内でそれを活用するということなので,基本的に大きな制度的な問題点は,私はないんじゃないかなと思います。
以上です。
【有信主査】  ありがとうございます。これは,そういう格好で共通化をするとともに,専門職大学院の分野別認証評価の評価基準を,少なくとも機関別評価の評価基準を下回らない形でより質的保証に努めるという形で,代替を認める方向の提案にしたらどうですか。少なくとも今の法律上の規定では,たしか専門職の認証基準の方が若干少なめになっていますよね。ですからそこは,専門職課程での認証評価基準を機関別評価の認証評価基準を下回らない形で行うという前提の下に代替することで,より質保証の効果を高めると。
はい,どうぞ。
【事務局】  主査がおっしゃっていただいたことに関して,専門職大学院の課程を置く部分に関してはおっしゃるとおりですが,そもそも資料の5で1枚目にございますとおり,機関別認証評価で,この赤い枠と以外の部分の記載,機関別認証評価でございましたら,例えば1号のイとかホとかヘとか,これは大学全体の組織としてどのような人員体制,基本組織を備えているのかを見る部分でございますので,もともと専門職大学院の課程について特記して見ている部分ということではございませんので,ですので,そこの部分の質を下回らないように専門職大学院評価の質を高めるという必要性は,そもそも評価上ないということだと思います。
【有信主査】  いや,この赤で囲っていないところの,例えば卒業の認定に関する方針だとか,情報の公開だとか,改善を継続的に行うだとか,こういう部分については,当然満足していないということになるわけですよね。ここが何で専門職大学院で抜けているのか余りよく分からないんだけれども,そういう意味で言ったわけで。
だから一般的に言ってしまうと,今御指摘のように,大学総体としてやらなきゃいけないことまで含んでしまうので,そこは文言上工夫をして,そういう形で,実質的には機関別認証評価の評価の水準を下回らないようにするという,上回ると言った方がいいのかな,水準を上回るようにするという形で進めるということだと思いますけどね。
多分実際には,そうはいっても,専門職大学院の認証評価をやっているところで,ここで言うホ,ヘ,ト,チ,リというところに関する部分について,チェックをしていないはずはないんですよね。基本的にはね。だからこれをちゃんと水準を上回るようにすると言ったところで,それほど今の認証評価に大きな影響があるとは思えないんだけれども。
【事務局】  事務局から念のため補足説明をさせていただければと思いますが,こちら,資料の5の2枚目の,例えば専門職大学院のみを設置している大学の対応案のところの記載でございますけれども,例えば機関別と分野別が同じ評価機関の場合は,当然大学全体として,例えば今主査が御指摘いただいた機関別認証評価でのヘの項目のようなこと,また,トのようなことというのが全体としてどう改善活動が行われているのかというのは,依然として機関別評価の観点から専門職大学院を設置しているところについては見せていただくことになりますし,また,専門職大学院のみを設置している大学の,「さらに」ということで,2枚目のペーパーで記述してありますところ,分野別認証評価のみを行う認証評価機関が,併せて機関別認証評価機関の認証を受ける場合の大臣認証の方策について検討を行うという部分に関しましては,1枚目の赤枠以外の観点を,今現在,分野別認証評価のみを行う機関は確認するという大学評価基準になっておりませんので,ここの部分を確認する評価基準を持っていただくために,どういう大臣認証のシステムにしていくのかというところは,しっかり質保証を考えていかなければならないと思っております。
【有信主査】  大学全体として機関認証を受けるときも,とりあえず外すということで言うので,外されたところはちゃんと分野別のところで見ておかないとまずいということだと思うんですよね。
はい,どうぞ。
【川嶋主査代理】  下段のところで専門職大学院のみを設置している大学院大学ですけれども,結局機関別認証評価でも,単科大学の場合は実質上分野別の質保証になっていまして,ですから専門職大学院大学の機関別認証評価は,実は事実上,その分野の質がどうなっているかということの確認が行われていることに,デファクトではなるのではないかなとは感じているので,ただ,制度上は全く別物ですので,そこの調整をどうするかというのが今の議論のポイントだろうと思います。
それからもう1点,認証評価に関しては,これは論点整理のところには出ているんですけれども,余り議論がないというか,8ページの一番下のところで,国際的な認証評価,分野別アクレディテーション機関の認証を受けたということについて,最初の方ではそれを何とか代替できないのかというお話もあったんですが,どうも何か受審する準備に非常に手間暇掛かるのでというお話もあって,少しその辺の議論がしぼんできているんですけれども,このことについては,認証評価の際に大幅な軽減を図る措置を検討するというのは,そういうような省令改正を行って,認証評価機関にそのような措置を取るということをお任せするという,そういう今の考え方の方向性と理解してよろしいんでしょうか。
【有信主査】  と言いますと。
【川嶋主査代理】  ですから,そういう軽減措置を図るような工夫をするように,省令改正などをした上で認証評価機関に任せるという,そういう今の現状なんでしょうか。
【事務局】  今,御覧いただいております資料1の8ページ,(4)の御指摘に係る部分だと思いますけれども,こちらに関しまして,既に告示で,(4)の2番目の※でございますけれども,外国に主たる事務所を有する団体で,適正な評価を行うと国際的に認められたものとして指定されたものについては,ある意味,代替が可能なような規定はあるんですけれども,現状,指定を受けたところはないということと,あと,このワーキングにおきまして,いろいろ国際的な認証評価団体から質の観点で評価を受けるのと,また,法令遵守等,国内で求められる基準と質の確保といったところは異なる観点で見るべきではないかという先生方の御意見もございましたので,結果,今回,案として書かせていただいている内容になっております。
ただ,その際に,省令改正が必要かという点におきましては,必ずしも省令改正ということでなく,評価団体に積極的な他の評価機関の結果を活用していくということで,今回,資料5の2ページ目の,専門職大学院以外も設置している大学,総合大学などというところに,分野別評価等で適合とされている場合は改めて評価を行わない。それの後,これは促進するということで,推奨していくという形を想定しておりますが,それとまた別の形で,こういう国際的な認証を受けている場合の評価結果の活用ということで,活用を促していくと。また,そこで見ていない観点については,しっかり国内の評価機関で見ていただくという整理かと思っております。
【有信主査】  よろしゅうございますか。
はい,どうぞ。
【青井委員】  ビジネススクールでいけば,認証機関として,グローバルベースで見て大きいのは二つしか多分ないんだろうと思います。一番重要なのは,日本の認証機関もグローバルに認められればそれでいいんですけれども,これには時間が掛かってくると。
なぜ認証を受けるかというと,教員の交換,それから卒業生がグローバルで就職するためには,それなりの,ストレートに言いますとアメリカのAACSBとEFMDという,この二つの認証機関を取るというのが,今の日本のビジネススクールは,みんな考えていることなんだろうと思います。言われるように,彼らの見る視点と日本での我々の認証での視点は違いますから,そこのところで,彼らが見ているだけでオーケーとは必ずしもいかないんだろうと思います。ただ,彼らもいろいろな商売上の議論があって,この頃は3年に1回という形になっています。
ここが大変だなという議論が一つありますし,もう一つは,今,いろいろな日本のビジネススクールを受けるときに一番大変なのは,スタートするときは日本語のいろいろな資料を全部英語にするという,まずスタートするときのコストは結構掛かるんだろうと思いますけれども,私の慶應での経験だと,2回目,3回目になるとしたら,そんなにはコストは掛かってこないと。
ただ,ある意味では,日本の認証機関も,EFMD,AACSBというのをライバルと見ないで,彼らのやっている,どういう視点でビジネススクールを評価するかというところは,先行き考えると,取り組んでいくというのは必要になってくるんだと思います。法制その他のそういうところの議論は,ここにもうルールがありますから,そのルールを当然適用するという形になるんだろうと思います。
向こうの二つの団体から言われるのは,日本に申請するにはどうすりゃいいのかという質問があって,あれはできると書いていますけれども,どうやったらいいかは何も書いていないので,本当のところ,あれは申請するなということかという議論もありますから,その辺は,ある意味では向こうといろいろな形のコミュニケーションを図られるのがいいんだろうと思います。
以上です。
【有信主査】  ありがとうございます。具体的には,例えばAACSBのようなところで認証を受けたことを,日本の認証評価機関が十分に配慮をして評価をするというところに,今のところは留まっているわけですね。ただ,将来的に言うと,グローバルで活躍する人たちを生み出すという,それと,専門的な職業そのものがグローバルな観点で定義をされ直すという全体の風潮から見ていくと,ここのところは何らかのことを考えていかないといけない。日本の認証評価をグローバル化するか,あるいは海外の認証評価を受けたことをどう日本の中で評価をしていくかということで,ただ,何せべらぼうに費用が掛かると聞いていますので,そこのところは,日本の中で独自に国際的に通用するようなことを考えていくということが,多分重要だろうと思いますけれども。
ということで,今の点に関して言うと,今の話でいいですか。少なくとも代替する案に関しては皆さん反対はないので,その方向で提案をするということと,それから評価の水準に関しては,機関別評価の水準を下回らないというか,上回るような形で,より質的な評価に努める。それからグローバル化という観点で言うと,今の指摘にありましたように,日本の認証機関で,グローバルな認証評価機関の認証評価を受けた場合については,その結果を十分に配慮するという,3点ぐらいで集約できると思いますけれども。
それでは,もうそろそろ時間が迫ってきていますけれども,情報公開のところで特に何かありますでしょうか。情報公開のところと,その後の職業資格試験等との関連というところで,これが出口との関係というところで,なかなかここの中だけの議論で収まらない部分もありますし,あとは,大竹さんにもせっかく出ていただいているんだけれども,企業サイドの側の受け側との関連というところで,もうちょっとこの部分については議論を深めたいと思います。その前に議論の整理をもうちょっと詰めてやっていくつもりでおりますので,多分,次回のこの全体的な会議の前までにはもう少し詰めた上で,議論をしたいと思います。
何か情報公開その他,今日発言していない方で,玉腰さん,何かありますか。
【玉腰委員】  ちょうど今の情報公開のところ,その次の四角の就職のメリットというところでも出ているんですけれども,公衆衛生系がなかなか地域とうまくまだまだつながれていないというところでは,この積極的な広報というのが,特に公衆衛生系で言うと厚労系だとは思うんですけれども,是非そこのところはうまく進んで,そうしますと,その結果がフィードバックされて,また専門職大学院が良くなっていくというところにつながると思いますので,そういう形になっていくことを願っています。
【有信主査】  大竹さん,企業にいた立場で何かありますか。
【大竹委員】  広報の観点に関してですけれども,アドバイザリーボードの役割はどうかと。先ほど冒頭のところでは,教育課程のところでアドバイザリーボードが出てきますけれども,広報の観点でも,どこが出口になるかというところもありますけれども,民間の人を入れて,広報の視点でも御意見いただくという形でやっていかれたらどうかなとは思いました。
【有信主査】  どうもありがとうございました。今日の議論を踏まえて,もう少し詰めて,詰まった議論にしていきたいと思いますので,よろしくまた御協力お願いします。
それでは,事務局から何か報告事項ありますか。
【塩田専門職大学院室長】  次回の日程は現在調整させていただいておりまして,可能であれば,7月は2回開催させていただけないかなと思っていまして,先生方,御多忙だと思うんですけれども,御協力いただければと考えてございます。日程は改めて連絡させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【有信主査】  どうもありがとうございました。
本日もいろいろ活発な議論,ありがとうございました。これで本日は閉会したいと思います。どうも本日はありがとうございました。

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