(資料1-2)国際連携教育課程におけるメディアを利用した教育の取扱いについて(案)

1.メディアを利用した教育に係る一般的な取扱い

ア 大学は,学生に対して,一定の要件を満たした場合には,「同時双方向型」(テレビ会議方式等)又は「オンデマンド型」(インターネット配信方式等)の「多様なメディアを高度に利用」した授業を履修させることができる。(大学設置基準第25条第2項,平成13年文部科学省告示第51号)

イ また,大学は,学生に対して,アによる「多様なメディアを高度に利用」して行う授業を外国において履修させることができる。(大学設置基準第25条第3項後段)

ウ 卒業の要件については,修得すべき単位数が124単位である学部の場合,ア又はイ若しくはこれらの併用によって修得する単位数は60単位を上限として規定している。(大学設置基準第32条第5項)

2.国際連携教育課程におけるメディアを利用した教育の取扱いについて

ア 国際連携教育課程において,メディアを利用した教育の全てを認めないことは要しない(メディアを利用した教育が効果的である場合も十分にあり得るため)と考えられるが,例えば,メディアを利用することにより,次のような運用がなされる可能性は否定できない。
[1] 日本人学生が連携外国大学の提供する授業の全てを日本で受講できる。
[2] 外国人学生が日本の大学の提供する授業の全てを連携外国大学で受講できる。
※[1]は,外国の大学が大学設置基準第25条第2項に規定する「大学」と解釈することはできないため,60単位の上限が適用されない。一方,[2]は60単位が上限となる。

イ そもそも国際連携教育課程により実現するジョイント・ディグリー制度(以下「JD制度」という。)の趣旨は,我が国の大学と外国の大学の連携により,大学の教育研究機能の向上及び国際化を図るとともに,当該プログラムに参加する学生に対して我が国の大学だけでは実現できない学習機会(外国の大学における学習機会や外国人学生との交流機会等)を提供することにある。

ウ この点に鑑みれば,国際連携教育課程におけるメディアを利用した教育については,一定の制限を設けることも検討すべきではないか

3.考えられる対応(案)

国際連携教育課程におけるメディアを利用した教育については,次のとおり取り扱うものとする。

[1] 単位数等について特段の制限は設けない。(大学設置基準第32条第5項の規定に基づき,日本の大学の提供する授業については60単位を上限とする。)
→ この場合,法令上は特段の対応を要しないが,ガイドラインにおいては,連携外国大学の教室等が平成13年文部科学省告示第51号に規定する「授業を行う教室等以外の教室、研究室又はこれらに準ずる場所」に該当する旨を明記することが必要。

[2] 単位数等について一定の制限を設ける。

ア 日本の大学の提供する授業については,大学設置基準第25条第2項及び第32条第5号の規定に基づき,60単位を上限とする。
→ この場合,[1]と同様,法令上は特段の対応を要しないが,ガイドラインにおいては,連携外国大学の教室等が平成13年文部科学省告示第51号に規定する「授業を行う教室等以外の教室、研究室又はこれらに準ずる場所」に該当する旨を明記することが必要。
また,この場合,我が国の大学で最低限履修すべき62単位のうち60単位までについては,外国において履修することが可能となるが,JD制度は原則として,学生が連携する双方の大学に一定期間滞在し教育機会を得ることを伴うべきであることから,実施大学におかれては,その趣旨に十分留意した上でカリキュラムを編成することが期待される旨ガイドラインに明記することが必要。

イ 連携外国大学の提供する授業については,連携外国大学における最低修得単位数(※学部の場合は31単位)に達するまでは当該授業により修得した単位を連携外国大学において修得した単位とすることはできないものとする。
→ この場合,大学設置基準等において対応する条項を設けることが必要。


(参考条文)

○大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)(抄)
(授業の方法)
第二十五条 授業は、講義、演習、実験、実習若しくは実技のいずれかにより又はこれらの併用により行うものとする。
2 大学は、文部科学大臣が別に定めるところにより、前項の授業を、多様なメディアを高度に利用して、当該授業を行う教室等以外の場所で履修させることができる。
3 大学は、第一項の授業を、外国において履修させることができる。前項の規定により、多様なメディアを高度に利用して、当該授業を行う教室等以外の場所で履修させる場合についても、同様とする。
4 (略)
(卒業の要件)
第三十二条 卒業の要件は、大学に四年以上在学し、百二十四単位以上を修得することとする。
2~4 (略)
5 第一項の規定により卒業の要件として修得すべき百二十四単位のうち、第二十五条第二項の授業の方法により修得する単位数は六十単位を超えないものとする。

○平成13年文部科学省告示第51号(大学設置基準第25条第2項の規定に基づく大学が履修させることができる授業等)

通信衛星、光ファイバ等を用いることにより、多様なメディアを高度に利用して、文字、音声、静止画、動画等の多様な情報を一体的に扱うもので、次に掲げるいずれかの要件を満たし、大学において、大学設置基準第二十五条第一項に規定する面接授業に相当する教育効果を有すると認めたものであること。
一 同時かつ双方向に行われるものであって、かつ、授業を行う教室等以外の教室、研究室又はこれらに準ずる場所(大学設置基準第三十一条の規定により単位を授与する場合においては、企業の会議室等の職場又は住居に近い場所を含む。)において履修させるもの
二 毎回の授業の実施に当たって設問解答、添削指導、質疑応答等による指導を併せ行うものであって、かつ、当該授業に関する学生の意見の交換の機会が確保されているもの

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