資料3 検討に際しての論点(例)

1.学長のリーダーシップの確立

○1リーダーシップを発揮できる体制の整備

  ・副学長や学長補佐、学部長、専門的な支援スタッフなどを活用して、学長がリーダーシップを発揮できる体制を整備していくためには、どのような方策が考えられるか。

◇各大学において、執行部(学長、副学長、学部長等)から構成される意思決定機関の設置、学長の補佐職(副学長、学長特別補佐、学長室等)の設置など、様々な運用上の工夫が行われており、こうした取組を推進していくことが必要。
■諸外国と比べても、日本の大学の学長には大きな権限が与えられている。
それにも関わらず、学長がリーダーシップを発揮できないのは、全学の意向を集約させる体制がうまく整備できていないからではないか。

○2予算に関する学長の権限

  ・学長が、従来の予算配分にとらわれず、大学として重視する分野や着実な研究業績が出されている分野などに、メリハリのある予算配分を進めていく上での課題と、考えられる対応策はどのようなものか。

◇学長がメリハリある予算配分を行っていくためには、合理的で説得力ある判断の基礎となる十分な情報が必要。
■大学の本部予算を確保していくためには、どのような方策があるか。(例えば、寄付金等の外部資金や競争的資金の間接経費の獲得に向けた取組みの強化などが考えられるが、他にどのような方策が考えられるか。)

○3教員人事に関する学長の権限

  ・学長が、優れた教員を積極的に採用・登用するなど、メリハリのある人事を行っていくためには、どのような課題があるか。また、そうした課題にどう対応していったらよいか。
  ・諸外国においても、教員人事については、各分野における専門的知見を有する教員組織が関わっているが、教員人事について、教員組織の意見をどのように考慮すべきか。

■学長が教員人事について適切な役割を担っていく上での課題や条件は何か。例えば、学長が、自ら適任者を推薦したり、教授会が推薦する人材とは別の人材を採用したい場合には、専門的な知見や情報をどのように補っていくべきか。

○4学長の選考方法・評価

  ・学長としての適格性を十分に考慮するためには、どのような選考方法が適当か。また、選考に際しては、教員組織や評議員会などの意向を、どのように考えるべきか。
  ・学長の業務執行状況について、どのように評価していくか。

■選挙で選ばれた学長では、教員の意に反するような改革は困難ではないかとの指摘もあるが、現在、多種多様な方法で行われている学長選考の方法について、特定の方法を示すべきか。
◇学長の業務執行状況を評価していく上で、認証評価や監事による業務監査などの活用が必要。

2.学内組織の運営・連携体制の整備

○1学部長の役割・選考方法

  ・全学的な方針の下で、それぞれの「学部の校務をつかさどる」学部長に求められるのは、どのような役割か。
  ・学部長としての適格性を十分に考慮することができる選考方法はどのようなものか。また、選考に際しては、学部教員組織や評議員会などの意向をどのように考えるべきか。

■大学としての方針と学部の意見が異なる場合に、学部長にはどのような役割が求められるか。
■学部長の選考も多種多様な方法で行われているが、特定の選考方法を示すべきか。

○2教授会の役割

  ・各分野の専門家から構成される教授会は、どのような役割を果たすべきか。
  ・学長の意向と学部教授会の意向が異なる場合において、学長が適切にリーダーシップを発揮していくためには、どのような調整メカニズムが必要か。

■各大学が教育研究について最大限の成果を発揮していくために、教授会の機能はどうあるべきか。
◇教授会からのボトムアップの意見を取り入れていくことは重要。また、主体的な教育研究を行っていくためには、教授会に一定の権限と責任を持たせることが必要である。

○3理事会や役員会の機能見直し

  ・学長のリーダーシップの下、各大学が教育研究について最大限の成果を発揮できるよう、理事会や役員会の機能を改めて見直していくべきではないか。

◇学校法人においては、最終的な意思決定機関である理事会が、教育研究に関する大学(学長)の意見を尊重しながら、学校運営を行っていくことが重要。
◇国立大学法人においては、学長の判断をサポートするために、役員会がより機動的な役割を担っていくべき。また、全学的な意見の集約や学外との連携等の観点から、教育研究評議会や経営協議会の有効な活用が重要。

○4監事による監査機能の見直し

  ・監事が、教育研究に関する状況など、業務監査を含めて、その役割を効果的に発揮していくためには、その機能についてどのように見直していくべきか。

◇監事による業務監査は、大学の教育研究活動の状況を評価するための重要な方法の一つ。監事の選任に際しては、財務・会計だけでなく、教育研究活動を評価することができる者を適切に選ぶことが必要。
■一定の独立性が求められる監事に対して、どのような組織的な支援・補助の体制が求められるか。

3.大学の自律的改革サイクルの確立、各大学のガバナンス改革に対する支援

○1情報公開の推進

 ・大学が自律的にガバナンス改革を進めていくためには、透明性の高い大学運営が前提となる。そのためには、情報公開のより一層の推進が必要ではないか。

○2教職員の意識改革

 ・大学改革を進めていくためには、学長や執行部が描いている改革ビジョンを、教職員が十分に理解・共有することが不可欠ではないか。そのためには、具体的にどのような取組が必要となるか。

○3各大学や大学団体等による幹部人材の育成・研修

 ・将来、学長や副学長、学部長などの大学幹部職員となる者の育成や研修が必要ではないか。効果的な取組はどのようなものが考えられるか。

○4大学による自律的改革の推進

  ・大学が自律的にガバナンス改革を進めていくため、大学団体や教員団体等にどのような役割・機能が期待されるか。(例:米国では、大学教員協会や大学理事協会などの団体が、大学のガバナンスに関する権限、責任の在り方についての基本的な考え方を示している)

○5国等による支援

  ・国の予算事業等において、大学の自律的なガバナンス改革を促すために、どのような支援が考えられるか。(例:補助事業の要件として、一部の部局だけでなく、全学的な取組であることの明確化を求めるなど、ガバナンス改革を間接的に支援)

 

 <検討にあたって留意すべき観点>

(大学の多様性・主体性)
○ 国公私の設置主体ごとの制度的違い、規模や伝統の違い、総合大学と単科大学の違い、評議員会などの役割の違い、理事長と学長との兼務状況など、各大学はそれぞれ置かれている状況の中で、主体的に活動している。ガバナンスを議論する上では、こうした大学の多様性・主体性を十分に踏まえた検討が必要ではないか。

(国際的な大学制度との比較)
○ ガバナンスを議論するに際して、大学制度が国際的な共通理解に立脚していることに鑑みて、諸外国の大学制度との比較・均衡の視点に留意すべきではないか。

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