資料5 第6期大学分科会におけるガバナンスに関する議論について

(総論)

○ ガバナンスの強化は,個々の大学ではなく大学全体のシステムとして確立することが必要。
○ 大学がガバナンスを発揮できない要因には、仕組みやシステムによるものとそうでないものがあるため,そこを掘り下げて考える必要がある。
○ ガバナンスの在り方は多様であり、特に私学については、一律的な仕組みを作ることについては慎重であるべき。一様なガバナンスからは、多様な教育研究は生まれてこない。
○ 大学は多様化しており、大規模校の中でもガバナンスがうまくいっている大学もあれば,単科大学でもうまくいっていない事例もあるので,具体的に要因を調べる必要がある。
○ 国内外の現状を調査しながら,実証的なエビデンスに基づいて結論を出すべき。その際、ガバナンスと教育研究上のパフォーマンスとの関係などについても分析すべき。

(学長のリーダーシップ)

○ 人事や予算を含め、学長がリーダーシップを発揮できる仕組みが必要。仕組みがないままに、リーダーシップの発揮を求めても仕方がない。
○ 国立大学は法人化により学長裁量が拡大したはずだったが、実際には法人化前と比べて変わっていない。それにも関わらず、学長のリーダーシップの発揮だけが求められている。
○ 学長・学部長がリーダーシップを発揮して方針を出したときに,その方針どおりに教員が活動しないときに,それに対する評価の仕組みも考えることが必要。
○ 学長や学部長のリーダーシップが強くなればよいというものではなく、教員が主体的に改革に参画することが必要。
○ 学長が交代して教育方針が大きく変わることがあるが、教育の継続性・安定性の面では問題。学長に権限を集中させれば良いというものではない。
○ 組織の詳細も重要だが,大学のミッションを明確にし,それを実現できる人に任務を与えるのが大学のマネジメントの原点ではないか。
○ アメリカやフランスにおいても、学長と各部局の緊張関係が見られる。

(学長の補佐体制)

○ アメリカのOffice of Presidentのように,学長のサポート体制の充実をどのようにしていくかを考えなければならない。
○ 学長、学長の補佐機構、学部長、教授会などそれぞれの権限について考えるべき。

(学長の選考・任期)

○ ガバナンスを考えていく上でのポイントは、学長や学部長の選考の仕方に尽きるのではないか。
○ 学長も学部長も事実上,教員による選挙で選ばれているため,大学や学部の最高執行責任者である学長や学部長の権限もあまり強くない。
○ 学長の任期制に妥当性があるのか疑問。例えば,任期の残り1年になると学長の言うことを聞いてもらえないといったこともある。

(学部長)

○ 学部長が教授会において選挙で選ばれている中で,どのような権限があるのかについては非常に不透明であり,雑用に追われることになっている。
○ 学部長選挙を廃止して,学長が学部長を任命できるようにするべき。

(教授会)

○ 教授会は本来教学に関する重要事項について審議する機関であるのに,実態は経営的な事項にも日常的に関与しており、組織決定の迅速性を欠くこととなっている。
○ 教授会の権限の内容や位置付け(審議機関なのか議決機関なのか)といったことまで踏み込んで考えるべき。

(理事会)

○ 実質的な最高意思決定機関としての理事会の経営・監督機能の強化のため、学長選挙を廃し,理事会が直接学長を任命する必要があるのではないか。
○ 理事会は、学長に大学内における人事・予算権限を付与するべき。

(監事)

○ 大学運営の適正性をチェックするため、監事の機能を強化すべき。
○ 監事機能など管理監督を強化しただけでガバナンスが強化されるというものではない。

(その他)

○ ガバナンス改革ありきで考えるのではなく、各大学が評価を受ける中で、自らのガバナンスのあり方を見直していくことが本来の姿ではないか。
○ 大学が自らの教育研究パフォーマンスを評価していかない限り、ガバナンスを具体化することはできない。
○ 評価のフィードバックを全学的に行うべき。評価の結果を踏まえて、大学全体でどのように改善していくか考えることが必要。

 

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