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大学院部会 理工農系ワーキンググループ(第2回) 議事録

1.日時

平成21年10月8日(木曜日)17時30分~19時30分

2.場所

文部科学省17F1会議室

3.議題

  1. 大学院に係る取組の検証方法について
  2. 理工農系大学院の現状と課題について
  3. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)有信睦弘(座長)
(専門委員)阿草清磁、木野邦器、五神真、小林信一、菅裕明、直井勝彦、野口博の各専門委員
(人社系WG委員)金子元久

文部科学省

(文部科学省)小松高等教育局審議官、加藤高等教育局審議官、藤原大学振興課長、榎本高等教育政策室長、今泉大学改革推進室長、神田専門教育課企画官

5.議事録

 

○事務局より配布資料の説明があった。
○事務局より大学院教育振興施策要綱の検証方法等について、資料2~資料4-2により説明を行い、質疑応答、意見交換を行った。

【金子委員】
 今、私のところで、科研費を用いた調査を実施している。高校3年生の追跡調査、5万人の大学生を対象とした調査、職業人に対する調査である。職業人に対しては、まずは事業所を対象として、大学院教育の意義等についての質問を行っており、今は企業への調査を準備している段階。調査時期も終わりに近づいていて、最終的な調査のまとめ方を検討しているところだが、現時点においては、個別の大学院生に関するデータが不足している。
 このWGでの調査は、大学院でどのような教育を行っているかという調査であるため、学生側のデータが不足している。特に、修了者の就職状況については、学校基本調査をみても不明の割合が多い。また、大学院生が在学中に何を考えているのかというキャリア感も見えていないように感じる。大学院生は、実際かなりの割合で就職をしているとは思うのだが、事業所の調査でどれくらい大学院生がいるかというのを調べるとヒット率が悪く困難である。
 そこで、12月に、大学院生に対して就職先を調査しようと考えている。大学院で学んだ内容等も質問項目に入れる予定。人社系はだいたい傾向がわかっているが、理工農系のアンケート作成にあたり、本日はご意見をうかがいたい。

【木野委員】
 大学院生の就職先が不明確ということだが、これは全学問分野トータルのことか。

【金子委員】
 理系は、修士卒の就職先は概ね明確だが、分野によって状況は異なる。博士卒は明確でない割合が多い。すでに実施した大学院生調査のフォローアップで、当時修士1年だった学生の就職先は押さえられているが、就職先が実際に望んだところなのかが分からない。

【木野委員】
 学生の観点に立った調査は必要であると考えるが、大学院が社会人としての自己形成の場であることを考えた場合、大学院教育が細かい範囲で方向性を決めるというのは、今回の趣旨と外れる可能性もあるのではないか。注意してデータをみないとまずい。

【金子委員】
 学生はいろんな志向性を持っており、その志向性のどこに大学院教育が対応して、どこが対応していないのかということを把握することは重要。

【有信座長】
 博士課程からすでに働いている人と、就職が決まったばかりの人に聞くと、違いが見えてくると思うので、その双方を比較してほしい。博士修了間際の人には、論文を書くためのコースワークが就職に役立っていたかどうかが聞ける。実際に就職した人は、学位論文の分野で研究できている保証がないので、全く違う分野で仕事をやらされたときに大学院教育を振り返ってもらうと、だいぶ違う回答がでてくると思う。

【金子委員】
 修士1年、2年で自分の研究テーマに確信がない者が3割いる。理系に多い。

【小林委員】
 人社系は博士修了後1、2年経ってから就職するし、理工系はまずポスドクに就職する傾向があるので、修了直後だけではなく、修了2・3年後もフォローする必要があるのではないか。

【金子委員】
 本当はそれが一番良いのだが、科研費が今年度で終わりなので、次につなげられる形にしておきたい。ただ、すでに修了した者を追跡するのは補足率が低くなる。また、最近では就職活動が早くなっているので大学が困っていると聞く。学生はそのことに順応しているが、教員が順応し切れていない実情にある。

【五神委員】
 理系では学部から大学院に進学することが主流になっているが、進学先の研究室の都合もあり、やりたいテーマの研究室に進めないことも多い。学生がそのことをどう捉えているかが重要である。文系と理系では、大学院に行くという決断のバリアの高さが違い、理系はごく自然に入る。それを納得して入れるようになれば、教育のフォローになる。

【有信座長】
 この調査は、コースワークの充実を検証するために非常に重要である。

【金子委員】
 その話だが、日本学術会議において、工学を対象とした調査をしたことがあるが、コースワークに対して学生はネガティブである。

【有信座長】
 そのとおり、コースワークは与える講義という反応があり、ネガティブである。ただ最近では、PBLの実施などである程度は馴染んできている。是非、調査を有効に生かして欲しい。

【金子委員】
 もし、ご賛同いただけるのであれば、調査にご協力いただけるようお願いしたい。

【有信座長】
 それでは、事務局の説明について議論していただきたい。別紙のキーワードの考え方について、最近、工学系では、電気工学、電子工学などの名前が消えたと聞くが、本来は「電気・電子」と区分すべきものが、結果的に「情報」として区分される場合があるので、その辺りは各専門の委員と相談されたい。

【神田専門教育課企画官】
 まずは機械的に整理した上で、委員に相談したい。

【五神委員】 
 今回10~15専攻を選ぶ際は、例えば学生数の割合をもとに選ぶのか、それとも国費の投入量なのか、どこに注意すればよいのか。入学定員ベースでは必ずしも資料にあるような国公私割合にならないと考えるが。

【今泉大学改革推進室長】
 事務局が提案する際は、入学定員ベースで抽出したいと考えている。

【阿草委員】
 情報分野については、ネットワーク、ソフトウェアなどに内容が分散するが、ある程度ばらつきがあった方がいいのか、それとも大学間の比較をするために集中した方がいいのか、仕上がりを想定しないと作業が難しい。

【今泉大学改革推進室長】
 後者である。なるべく同じような内容の分野で調査を行い、国公私別や規模別などで比較したい。

【阿草委員】
 もしそうであえば、40~50程度の専攻を示してもらう必要がある。その上で各委員が絞る作業を行うのがいいのではないか。

【有信委員】
 あぶれる専攻が出てこないかが不安。情報分野であれば、従前から存在する専攻とは別に、新たに発展してきた学際的な専攻が増えてきている。保守本流だけしっかりやっていけば大丈夫という分析でよいのだろうか。

【小林委員】
 確かに、旧態依然の分野だけの意見を採用してしまうと、実態と乖離し、改革していないという本来とは異なった結果になってしまうことも懸念される。

【藤原大学振興課長】
 その点も含めて幅広にピックアップしたい。その上で中身のあるものを見出したい。10~15専攻を選ぶ際には、まずは入学定員を参考にし、その上で規模、国公私、地域、予算の投入状況などを踏まえて選びたい。

【有信座長】
 多少広めにピックアップし、委員に絞り込んでもらう方がいいのではないか。

【小松高等教育局審議官】
 時間的な制約もあり、大学院の状況も一つ一つ異なる中で、理論的に考えても幅広くすればいいというものではない。委員からの提案を踏まえた上で、可能な範囲で調整したい。

【有信座長】
 このWGの委員は、基準さえ示せば作業は十分できる。大学院GPとGCOEに採択されているか否かという情報は付け加えてほしい。

【野口委員】
 建築分野では、環境や環境共生などが必要なキーワードであり、どのように内容を見て選ぶのか。実際の教育目標なのか、カリキュラムなのか。

【今泉大学改革推進室長】
 事務局での選定作業は専攻名称からピックアップすることを予定している。まず、例えば情報分野なら、「情報」と名の付いた20~30専攻程度選び、それを先ほど示した観点から絞り、結果として10~15程度を選ぶ予定である。各専攻の内容にまで踏み込んだ選定は我々では困難である。

【直井委員】
 応用化学分野でも同様。ここで示されているものは、いずれもクラシカルなキーワードである。現代の動きを見るのであれば、環境、エネルギーと化学の関わりも考えながら抽出する必要がある。キーワードに幅を持たせて欲しい。

【藤原大学振興課長】
 例えば、産学連携の観点では、いろいろなところで議論がなされているが、企業側からのニーズが高い分野などに絞って選定するようなことも考えられる。

【有信座長】
 物理分野はあまり専攻名称を変えていないので、名称と内容が一致するが、情報分野などは名称から判断するのであれば、相当広くとるべきである。
 この調査の本来の目的は、大学院教育改革が、大学院答申や施策要綱の趣旨に則って改革されているのかを見ることであるから、大学の規模、旧帝大と私学などの違いにより、典型的な状況が見出せればよい。

【阿草委員】
 学位名で絞る方法もあるのではないか。その方がバラツキが少ないのではないか。

【有信座長】
 学位名となれば、例えば「工学」「理学」となり、非常に大括りになるので適切ではない。

【菅委員】
 実態を知りたいのであれば、委員の興味で専攻を選ぶのは違和感がある。私が実態として知りたいのは、伝統的な組織であっても、伝統的な部分を残しながら、いかに改革がなされてきたかどうかを知ること。

【小林委員】
 調査を受ける側への説明責任、傍聴者等への説明責任という観点が求められる。そう考えると、委員の見識に委ねていいものだろうか。

【有信委員】
 抽出方法が非常に難しい。一番いいのは全調査であるが、そうすると、分量のあまり統計的に平均値を取るだけの結果になってしまい、個別で見るべき点が見えてこない。そのため、典型的なサンプルをとることが好ましく、今はその方向にしている。全体像が忠実に見えるわけではないが、本調査の趣旨は、各大学において改革が進められているかどうか、全てに対して断定的に結論を出すことではなく、問題点をピックアップすることなので、サンプル調査でも目的は達成し得る。

【小林委員】
 それであれば、あまり分野を固めないで、バラエティに富んだほうがいい。その観点でそれぞれの委員が選ぶ方がいい。

【五神委員】
 環境やエネルギーといった比較的新しい分野は、今後の全体の規模を議論する上で非常に重要である。もともと大学院が伝統的な専攻で構成されている中で、新たな学問課題にそれぞれの専攻ごとに対応するために、結果として重複した専攻が生まれる一方で、必要なものに対応できていない状況でニーズに合っていない。そこを分析していかないといけない。

【木野委員】    
 調査の宛先についてだが、事務局案では研究科長ではなく、専攻長宛になっている。専攻長レベルであれば組織的な回答にならないおそれがあるため、研究科長宛に調査をする方が良い回答となるのではないか。例えば、共同大学院など専攻を超えた取組もある。

【直井委員】
 バイオは理学・工学・農学・医学にまたがっており、このような分野を横断的に見れるようにできるとおもしろい。

【有信座長】
 本来の目的からすれば、大学院答申を踏まえ、具体的にどのような教育改革が行われているのか、そして進んでいないのであれば問題点は何かということを抽出するものである。典型的なものを見たときに、全てが網羅されてはいないけど、課題や問題点は基本的に抽出しないといけない、という視点で進めるべき。設問項目の方はよく考えられていると思うので、特に意見等あれば、事務局宛に連絡いただき、最後は私と事務局と相談して固めたい。

○事務局より理工農系大学院の現状について、資料5-2により説明を行い、質疑応答、意見交換を行った。

【五神委員】
 教員1人あたりの年間研究費等が示されているが、実際のところ、大学院生がどのような教育を受けているのかというのは、各研究室での財力と非常に関係してくる。現場の教育がどのような財源状況で行われているのかを知るのは重要。今回の調査項目にそういうことを盛り込むなど検討していけないか。

【有信座長】
 もともとの思想は、教育研究費の中で、教育費は基本的には運営費交付金の中でやると理解している。基本的に教員数等で積算されているため、大きな差異は生じない。ただ、研究費の中で転用するものは、外部資金の獲得できるかできないかで大きな影響は確かにでる。

【野口委員】
 教員1人あたりの博士課程学生数があるが、例えば、学生を30人受け持つ教員や、1人も持たない教員がいるなど様々であり、単純に平均値を示しても実態は見えない。

【有信座長】
 今回の調査ではその辺は十分には見えてこないとは思うが、大切な観点ではある。

【五神委員】
 建築分野では、身分としては博士課程に属し、実態は建築事務所に所属し働いているようなケースもあるのではないか。そういう人たちが修了していない場合が多い。外国人割合が多い場合も同様の状況になっているのではないか。

【有信座長】
 留学生からは、自国の大学では就職斡旋をしてくれるが、日本では就職に関するフォローが無いと聞く。そのため、死亡・不詳が増えるのだと思う。

【小林委員】
 工学系では、他分野と比較して改組が多い。社会人は保健分野が多いが、これは研修医制度の影響などの影響。

【有信座長】
 工学系で社会人の割合が多いのは、社会人コースの活用が増えているから。社会人が増えてはいるが、社会人コースは一般の博士課程とは別枠で設定されており、学位水準の問題がある。
 本来であれば別枠を設けるのではなく、社会人と一般学生が一緒に切磋琢磨することが大切であると考えている。特に、単位修得するためだけに、週一日だけ通学するだけで学位が出される状況でよいのだろうか。

【直井委員】
 社会人学生については、企業側の理解も必要になる。企業が学費を出す場合もあれば、個人が負担する場合もあり、様々な例があるにもかかわらず、一括りに社会人ドクターといってもいいのだろうか。教員側にも問題があり、容易に単位を授与する傾向がある。そのような実態を踏まえた調査が必要である。

【野口委員】
 最近では自己負担で大学院に通う傾向が強いと聞く。また、大学側から見れば、定員を充足するために社会人や留学生を獲得することが非常に重要になっている。千葉大学でも、従前は夜間の社会人教育を学部段階で行ってきたが、現在は大学院段階で行っており、早期修了も推奨している。ただ、最近の流れはかわってきているものの、学位のクライテリアは上げて、審査は厳しくすべきである。

【有信座長】
 前回の大学院答申をまとめる際の議論として、論文博士に準ずるものとして社会人コースが設けられているものもあり、論文の内容だけをみて学位を出し、足りない単位を取得するためだけに週1程度通学するものがあるなどの指摘があったと記憶する。PhDは、研究論文だけ書けばいいわけではない。学位を出す要件を外国と同等のものにして、戦っていく必要がある。要件を社会人も一般学生も同じにして、その上で、夜間開講や土曜講義などサービスを高めていく必要がある。

【木野委員】
 学生の質という観点で、学部段階・修士段階・博士段階のそれぞれの学位水準の維持が必要である。ことさら、修士課程では就職がすでに決まっている学生を落とせないなど、心情的な判断で単位を授与しているケースも多分にあると聞く。グローバルCOEなどの採択要件として、学位授与率が高いことが求められるが、分野によって学位の受理要件がバラバラであり、安易に単位を授与することとなってはよろしくない。学生の教育水準は、入口と出口のみがピークであり、在学期間中ではあまり高くないなどという話も聞く。

【直井委員】
 修士課程の10から15%の学生が鬱病で研究室にほとんど出てきていない。修士論文をつくれば修士はとれるが、大学に出てきて研究を行わないことから、実質化という観点から問題があるのではないか。

【小松高等教育局審議官】
 そのような点については、前答申を作成した際に議論が集中した。例えば、論文は作成したが、きちんとした能力が身についているのか疑問であるなどの議論があり、教育の実質化がメインになった。

【木野委員】
 学位は、単に学位を取得することが目的ではなく、一人前の研究者・教員として自立して研究を進めて行くことができる能力が身についたかどうかが重要であり、大学はその点に留意して学位を授与すべきである。文部科学省として、学位を出すことの意味を示す必要があるのではないか。

【野口委員】
 博士課程も単純に論文を作成することのみに特化するのではなく、交渉力や経営力といった社会力を高めることが非常に大切である。

【木野委員】
 社会の中では、チームワークでの研究ができるかどうかが大きな意味を持つ。日本で博士を持ったものが活躍できないといわれるのは、専門性の高い研究はできるが、分野的な広がりを持った研究ができないことや、チームワークを持った研究を進められないなどの理由が言われている。質を高めることをせずして、学位を持ったものを単純に増やすというのは不適切であると考える。

【有信座長】
 研究者としては優秀だけれども、協調性がない人を社会として切り捨てることはできない。ただ、理研のNMRのような装置を使えば、ネイチャーに残るような論文を書けるかもしれないが、それだけで学位を出していいものかというのもある。まずは、研究者として独り立ちできるようにしていくように努めることが重要であり、どのような者をPhDの候補者として、どのような者にPhDを出すかということを明確にしていくことが大事ではないか。

○事務局より今後の日程等について説明があった。

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-- 登録:平成22年07月 --