ここからサイトの主なメニューです

大学院部会 理工農系ワーキンググループ(第4回) 議事録

1.日時

平成22年2月3日(水曜日)15時~18時

2.場所

文部科学省3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 各大学における取組について
  2. 「大学院進学時における高等教育機関間の学生移動」について(科学技術政策研究所報告)
  3. 「新時代の大学院教育」(平成17年年中央教育審議会答申)の調査結果について
  4. その他

4.出席者

委員

(臨時委員) 有信睦弘(座長)
(専門委員) 阿草清滋、木野邦器、五神真、小林信一、高橋真木子、野口博、光田好孝の各専門委員
(意見発表者)佐藤恵一金沢工業大学教授、上平正道九州大学教授、後藤雅宏九州大学教授、米田友洋総合研究大学院大学教授、速水謙総合研究大学院大学教授、茶山秀一科学技術政策研究所総括上席研究官、加藤真紀科学技術政策研究所上席研究官

文部科学省

(文部科学省)加藤高等教育局審議官、藤原大学振興課長、今泉大学改革推進室長、神田専門教育課企画官他

5.議事録

 

(1)事務局より配布資料の確認を行った。
(2)各大学における取組についてヒアリング調査が行われた。

〈金沢工業大学大学院工学研究科機械工学専攻〉
【佐藤教授】
  金沢工業大学は歴史が浅く、設置後40年を迎えたところ。現在は大学院博士後期課程まで設置している。学部は4学部14学科、定員1480名。大学院は2研究科。機械工学専攻は定員18名。人数としては1年次57名、2年次59名、定員をオーバーしている。
 人材育成目標等については、もともと大学院の人材養成があった訳だが、大学院答申を踏まえ、WGを設置し教員間で議論し、現在の目標を立ててきた経緯がある。当該目的は、博士課程前後期で分けて規定している。本学は、前期課程に学生が偏ることもあり、前期課程に着眼した目的が示されているところ。
 教育内容・方法以外の工夫については、1つ目は、学生がどの程度研究したかの時間、内容、教員からの助言の内容を明確にするため、研究活動記録を作成している。活動支援システム(WEB上から研究日誌的に使用可能)を用いて学生の履修を円滑にし、研究が進行する仕組みを取り入れている。2つ目は、前期課程でも学生が学協会で発表する機会を設けることにしている。修士論文そのものの質保証も学生発表を通じて担保しているものと考えている。3つ目は、学習支援計画書(シラバス)を全教科に義務づけて、学修目標、授業概要、学生の行動目標、評価方法、授業計画、学生の達成レベルを示し、ガイダンス等を通じて学生に示している。
 人材育成目標に準じた体系的な教育内容の見直しについては、平成20年度から授業科目を入門、基盤、応用、モジュールと分けて学生がコースワークをスムーズに修得できるように配慮している。幅広い統合的な能力を付けるため、副専修セミナーにおいて、他の研究室のゼミに参加し、他分野を学んでもらうこととしている。また、単に座学として学ぶのではなく、モジュール統合科目として講義、演習、実験、実習、レポート、プレゼンテーションを統合した科目を設け、機械工学専攻では4単位選択必修としており、准教授、助教等の助けを得て、コンピュータを使用する、実際にものをつくるなど実践的な授業を展開している。特に企業との連携を進めており、統合型チームコーチングとして企業側の意見を取り入れている。学生が企業現場にいき、学生が企業における課題を発見させ、学生なりの解決策を見いだし、いわゆるエンジニアデザインのプロセスが実践できる。企業にとって第一線のエンジニアからも指導が受けられるという点で、学生の評判もいい。企業側・学生側からも公表。共通科目としては、技術者倫理に重きを置き、大学院でも必修としている。その他インターンシップなどの試みも行っている。博士課程においては、企業経験が無い者に対して長期リサーチインターンシップを課している。以上が本専攻のポイントである。
 論文審査・成績評価については、博士後期課程・前期課程ともに厳密な審査を行っている。博士課程では3名以上の外部委員を入れ、4から5人の審査委員で審査。前期課程では専門学協会で2回以上講演発表するなど学生の能力の保証を行っている。学習支援計画書に成績成果基準を明確にしており、60点以上が合格としている。教員の資質に関することについて、大学院に教育課程を設置する際には、専攻全体で学生を育てることの意思統一を図っており、かなり浸透してきていると思う。FDについては、全教員で3月に1度実施するもの、機械工学専攻独自のものも年1回程度を通して、専攻全体で学生を育てるという共通認識の統一化を図っている。
 職員の支援体制としては、研究支援機構、教育支援機構、産学連携機構で教員側のサポートを図っている。教員の流動性を高めることについては、学生と教員がある程度一緒に接していないと教育ができないこともあり、教員の流動性を高めることが直ちに効果的であるとは思えないが、若手教員や企業との流動性を高めることが重要ではないかと考えている。本学では、産学連携を非常に重視しており、企業交流、企業退職者を積極的に教員として登用しており、結果として、産学連携体制が強まっている、学生も企業の立場で学ぶことができる、就職においても有利に働くこともある。産業界との連携やキャリアパス形成について、産業界との連携は本学での大事な幹であり、客員教授との連携、企業出身者の採用など積極的に産学連携を進めている。パートナーシッププロジェクトを立ち上げ、学部段階から企業、学生、教員の関係を対等関係で実施できるプロジェクトを実施している。モジュール統合科目もある。いわゆる経済支援については、様々な取組を行っている。

【野口委員】
 研究活動記録への対応はどのようにするのか。

【佐藤教授】
 WEB上で学生が入力できるが、教員がそれを見てフィードバックコメントを返すことができるようにしている。大変ではあるが効果的。また、時間管理などもできるため、学習状況がおかしい学生などの追跡チェックができる。

【野口委員】
 研究活動記録がポートフォリオなのか。

【佐藤教授】
 研究活動記録もその一つである。日々の学修記録としてポートフォリオとして残しているものもある。

【阿草委員】
 若手教員については、3年の任期を付しているとのことであるが、いつ頃から採用され、その結果はどのようになっているか。

【佐藤教授】
 いつからはじまったかは分からない。全員ではなく5名中1名程度が採用にならないといった例がある。

【阿草委員】
 その方はどのようになるのか。

【佐藤教授】
 他研究機関に移るのが一般的であると認識。詳細は把握していない。

【木野委員】
 建学の精神に則り産学協働に力を入れているのが分かるが、モジュール統合科目について、ある特定の企業とカリキュラムを作成するものか。

【佐藤教授】
 例えば、国際デザイン統合特論においては、小型エンジンを作成している企業と協働でエンジンのコレクティングノートを最適設計するにはどうしたらいいかを考えさせ、現場の者が問題点を提議し、学生がそれにアイデアを出すようなものもある。それを工作機器メーカーに行ってものを作り当該企業で性能評価をするなどしていることもある。

【木野委員】
 学生のリクルートにも有効と捉えていいのか。

【佐藤教授】
 そのことが主目的ではないが、結果として就職につながるといいと思う。

【木野委員】
 半数が企業経験者となれば、中堅以上が殆ど企業出身者となるのか。企業との中でのモジュール統合科目となれば実学的な科目となり、アカデミックな教育課程を設けることができるのか心配。

【佐藤教授】
 若手教員の流動性が激しいというわけではない。結果として、かなりの者が本学に残る形になる。本学ではリサーチキャンパスを作成しており、産学連携を強め研究を教育に取り込みながら進めることとしており、企業出身者も含めながらおこなっているが、修士論文、博士論文さらに教員の研究等が、おろそかになっている訳ではない。教員から見れば、大変かもしれないが皆頑張っている。

【木野委員】
 若手教員を含めたFDについて、流動化の中で、助教や准教授で外部にでる状況もあると思うが、インセンティブを与えるシステムがあるのか。

【佐藤教授】
 各教員の意向をすべて把握していないが、例えば本年度から40代の教員で科研費がとれなかったものに対しては学内基金を設け、資源配分を行っている。

【木野委員】
 標準修業年限内での学位授与率、品質保障という観点で、修士課程でのレベルの問題がある。博士では十分であると思うが、前期課程では就職活動の早期化など、2年間で十分な教育がなされているのか。最終的にどのような形で保証が図られるのか、実際はどうかを伺いたい。

【佐藤教授】
 活動支援システムの中で学生はどのように研究に携わっているのか、企業活動はどうかなどの管理システムを作成し、学生活動もコントロールしている。

【有信座長】
 その問題については、努力していることと、どのようにチェックしているかという事は別問題。

【佐藤教授】
 システム整備後あまり期間を要していないこともあり、効果の検証まではできていない。修士の標準修業年限内で学位授与まで至らない者は20名中2名程度。

【有信座長】
 インターンシップA、Bの期間、費用、単位数(リサーチ)を教えて欲しい。

【佐藤教授】
 インターンシップのAとBとは、それぞれ1単位ずつ。Aは学生が実際に企業に行くものではなく、むしろ企業に入った場合、企業活動に詳しい者にきていただき、企業とは何か、インターンシップは何か、どのように行動すれば効果的に行えるかということを、企業関係教員から講演(授業)してもらうものである。一方、Bは夏休み最低でも4日以上、インターンシップとして活動するものである。それ以上の場合にも1単位にとどめている。費用については、現時点では自己負担もしくは企業側との話し合いをしている。

【野口委員】
 論文審査について指導教官と主査をわけているのか。

【佐藤教授】
 分けていない。

〈九州大学大学院工学府化学システム工学専攻〉
【上州教授】
 人材育成目標の設定経緯については、平成18年の答申を踏まえ19年に学則変更を行い、これまでも人材育成目標、カリキュラムポリシー、アドミッションポリシーはあったが今一明確になっていなかったため、このタイミングで明確化を図った。その他、授業目標の明確化やシラバス内容の充実等も実施。前期課程と後期課程で人材育成目標については分けていない。それはカリキュラムが柔軟であるということの理由から、高度専門職業人及び研究者の双方を育成できると考えているからである。
 当専攻の教員が拠点リーダーではないが、当専攻に所属する教員が、2つのCOEのどちらかに属している。グローバルCOEのコースワークを活用している。化学システム工学専攻のコースワークは従来型ではあるが、それでは不十分であるため、グローバルCOEのコースでさらに発展的に実施している状況にある。教育内容で特に配慮している点については、プレゼンテーション能力を向上させる取組を従前から力をいれて実施しているが、修士課程では1年次から中間発表をさせ、コメントなり評価を行っている。また、プロポーザル型授業科目を設けて、同様な取組を行っている。グローバルCOEのプログラムにおいて、国際会議での発表支援、国際研究活動奨励、社会人として通用する者を育てるための卒業生による講演会、非常勤講師に企業者を採用し、企業の考え方について学生の理解を深めるように努めている。インターンシップも奨励し、就職担当教員、今年度から全学のキャリア支援センターを設置しており、活用も促している。
 人材育成目的の明確化による大学院進学への影響については、学内学生では、学部で卒業研究している者がそのまま進むことが多いが、その他の者については教員の研究分野や成果を踏まえている場合が多い。
 体系的な教育内容及び教員の資質向上については、コースワークは従来のものを発展させて、内容については、従来も考慮していたが、プレゼンテーション、プロポーザル、ディスカッションを中心とした授業科目を用意している。単に知識・技術の修得を目的とするのではなく、学修意欲や自主性を重視した教育を行うことを目指して改革を行ってきている。研究企画実習(プロポーザル型)、産学連携実習(インターンシップ)などの内容を充実させている。各科目でも同様な点を重視している。全学的な取組としては、倫理、経営に関する科目を実施している。
 論文審査ついては、修士では修士論文が中心になる。化学系なので実験系の論文が中心。それに対するプレゼンテーションを踏まえ評価を実施。博士課程については、従前通り実施しているが、一連の基準の改正にあわせ、明文化した。申請資格として国内外で十分高い水準にあると認められた査読付きの学術誌または国際的に評価高い国際会議論文集に1編ないし2編以上あることとしている。審査基準は、研究者として自立して研究遂行能力を有することとしている。また、英語論文作成ができる、または英語論文の発表ができる語学力が必要。
 アドミッションポリシーは従来のものをより明確化している。大学院入試については、筆記のみではなく面接試験を課し、意欲を確認している。内容の実践を重視することとなったことが、教員の意識改革であると認識。
 教員間での共通認識ができているかと言う点については、FDが全学で年3回、工学部年1、2回、その他教育に関するものが年4、5回、専攻年1回行われているが、その受講が初任審査での判定に影響することとなっている。FDへの参加を通じて、情報共有が図られているものと認識。
 事務職員の支援体制については、大学院の重点化後かなり縮小されている。事務職員とパートでまかなわれている。大きなところでは問題ないが、きめの細かい支援という意味では問題がある場合がある。
 流動性については、採用を公募で行い外部からの受入れが高いことからも流動性が高いと認識している。若手教員に対しても、外部の教育職にチャレンジするように促している。若手5年任期、再任審査も基準を設け明確化。論文、研究、教育、社会貢献に関する項目に分けて再任審査を実施している。
 学生の募集は一般学生に対してはHPに掲載するのみで、外に出向くことは行っていない。過去の試験は受験希望者に配付している。学内の学生に対しては、ガイダンス等をとおして実施。定員割れはない。修士については超過であるが、何名かは落としている。博士は平成17年の頃満たしていないが、本年度も来年度も満たす予定だが、教員の定年と重なったため満たせなかった。現在は増加傾向にある。
 産業界との連携については、インターンシップの奨励を行っているが、短期が中心である。夏休みを中心に、数週間長くても1ヵ月程度行っている。GCOEでは半年や1年と長期のものもある。学会認定の技術士資格についても申請することを奨励している。企業の方の非常勤講師としての採用など、産業界との連携を促している。博士学生に対して就職支援、さらにキャリア支援センターも振る活用を促している。
 経済的支援は、修士は50%強の学生が学生支援機構の奨学金を受給、20%強の学生が授業料減免を、後期課程ではほとんどがJSPSの特別研究員に採用、あるいは学生支援機構の奨学金を受給している。その他TA・RAの支援、また一昨年前から総長裁量経費(24万円)で大学独自の奨学金を設けている。授業アンケートについては、FDの機会を通じて、毎年度、次年度の授業内容の方法の見直しを行うようにしている。
 国際化戦略はGCOEなどを通じて国際学会への参加支援、長期・短期の海外渡航支援、英語のスキル向上教育、外国人研究員によるセミナーなどを実施している。本年度G30に採択され、2011年10月から英語コースの開設予定。ジョイントディグリーは行われていないが、ダブルディグリーを本年10月から実施予定。

【阿草委員】
 教員は任期制とのことだが、テニュア・トラック制としていることの矛盾を感じるがどうか。

【上平教授】
 そのとおり事実上のテニュアにはなっていない。既存の教授、准教授、助教の全てが5年の任期制となっている。

【後藤教授】
 若手教員のうち一部では、テニュア・トラック制を取り入れているが、5年間のトライアルを経てパスすればテニュアを取得することが可能となっている。

【阿草委員】
 定員超過に対する大学としてのコメントはないのか。

【後藤教授】
 基本的には大学全体としてのバランスをとっている。理系・文系でならしている。

【阿草委員】
 それは昔の話であって現在は専攻単位での管理が求められているはず。修士も博士も教育内容をわけなくとも高度専門職業人や研究者ごとの目的人材を輩出できるとのことだが、実際のところはどうか。学生のキャリアに結びつけた履修指導はおこなわれるのか。

【上平教授】
 専攻レベルでの対応するのは困難であるが、指導教員レベルでの履修指導は行われている。単位上限があるためそれぞれに応じたコースワークの指導を設けている。全体の指導というよりは個別指導となっている。優秀な者に対しては早期修了で対応することとしている。

【後藤教授】
 本専攻は、半分が化学工学部門、応用科学部門である。後者では飛び級を推進している。

【野口委員】
 コースワークを発展させ、プレゼンテーション、プロポーザル、ディスカッションを求めているとのことだが、シラバス上ではどのように記載され、また評価はどのように行われるのか。

【後藤教授】
 応用化学部門では、その点に力をいれていて、修士課程では、2年目の夏休み1ヶ月にわたり自分の専門分野と関係のない分野について、20頁の要約をさせて9月に30分間のプレゼンをさせている。これを総合試験と呼んでいる。これは30年間の実績がある。コミュニケーションの実績として単位も授与している。

【木野委員】
 任期制について、審査を通らなかった教員がどの程度いて、審査会はどのような構成で、どのような審査基準で判断がなされているのか。定量的な判断がなされているのか。

【後藤教授】
 審査委員会は必ず設置する。部門の教授が担当する。その中には他専攻の教員も入るようにしている。定量的な基準も設けており、それを満たしていなければパスしない。5年でイエローカード、10年目でレッドカード。今のところレッドカードはない。

【木野委員】
 学生の自主性を尊重した教育システムを設けているが、修士と博士で目標を明確に分けていないことにより、専門性が重視され、いわば一般教養的なものがおろそかになってしまうため、結果的に適当になったりしていないか。

【後藤教授】
 修士課程と博士課程の大きな違いとして、博士課程では、国際性を重視しており、カリキュラムでもグローバル化が求められている。例えば、英語のコースがあり、1年間に何百万円もかけた個人レッスンを義務づけており、本学の学生は修了する段階で、英語でのプレゼンテーションができるなどかなりの能力を身に付けて世の中に輩出されている。

【五神委員】
 アドミッションポリシーについて、学生の学力保証という観点から、一つの専攻内だけでなく、横断的にコントロールできるシステムの導入が行われているか。修士課程以上に博士課程で入学資格チェックの管理は重要と考える。例えば、社会人学生の場合はどうか。大学院生の質保証という観点では、入口段階から崩れつつあることが問題。昔は数学や物理の学力を共通科目として試験していたので、専攻間でのバラツキを相互監視できたが、個別にすることとなればチェック機能も無くなってしまうのではないか。特に、社会人の場合には、標準がないと、例えばプレゼンテーションや英語はできるが、基礎学力がない者を入学させてしまうことも考えられる。

【後藤教授】
 確かに、社会人が入試段階でクオリティを満足しているかという定量的な評価はかなり難しく、どちらかというと定員充足を満たすため、希望があれば殆どの場合、プレゼンテーションや面接をもって入学させているのが現実である。

【小林委員】
 専攻の体系とGCOEの体系と複線化されると学生の立場で見れば混乱するのではないか。それとも選択の幅が広がるため、問題はないとするのか。

【後藤教授】
 GCOEのコースとは、通常のコースを履修した上で、追加のプログラムとして用意しているため、問題ないと考えている。8割くらいの学生がGCOEプログラムに参加している。

〈総合研究大学院大学複合科学研究科情報学専攻〉
【米田教授】
 総合研究大学院大学はご存じのとおり、大学共同利用機関と各専攻とが密接に連携を図っており、本専攻は入学定員が6名と小規模である。専攻の目的については、情報科学、情報工学、人文社会情報学等の基礎から応用に至る開発研究を行うもので、先端の情報学の素養、広い視野、柔軟な思考力と高度な専門的知識、学術研究の新しい流れに対応できる力、国際的で独創性豊かな真の問題解決能力を項目として学修させることとしている。本専攻には6分野あり、指導体制は、アドバイザーのほか2名のサブアドバイザーを置いて複数で行っている。
 5年一貫制であるため1年半目に中間審査、2年次末で修士報告会、2回の中間審査、最終審査の2ヵ月前に行う予備審査により、学修の進捗状況により指導を行っている。単位の実質化については、5年一貫制博士課程に移行した段階で研究指導を単位化し、実質化を図っている。
 アドミッションポリシーについては、学生像を示し、専攻HPにて公開している。求める人材像は、高度情報社会の実現に向け、自然科学から人文社会科学を幅広く横断した学際領域である情報学に関して強い興味を持ち、情報学の分野でリーダーとして活躍する研究者や社会に役立つ情報技術を開発する高度な専門職業人となる素質を有する学生、あるいは、在職のまま広い視野と深い専門知識を獲得しようという意欲を持つ社会人である。入試は基本的にペーパーではなく面接で実施しているが、時間をかけて行っている。外国人も多いが、インターネットを活用している。専攻で6、70名と専任教員数が多いが、専門委員会を設け、学習指導・講義カリキュラムについて議論し、認識の共通化を行っている。学位審査については、専門委員会において、審査委員以外の教員から質問や議論を活発に行った上で最終判断を行っている。基盤機関において、年1回トップによる全教員のヒアリングを行っており、決められた項目のプレゼンテーションと資料提示により、教育研究活動を評価している。学生の支援体制については、奨学金については、国立情報学研究所外国人留学生奨学金(NII奨学金)として、企業等からの寄付金を財源として各期2名程度を対象に支給している。国立情報学研究所国際交流協定に基づく外国人留学生研究助成金を、基盤機関の運営費交付金を財源として実施している。総研大生RAについては、社会人や留学生以外を対象とするものであり、ほぼ全ての学生を対象にした制度である。また、国立情報学研究所プロジェクト・アシスタントとして、単価の高い謝金制度も設けている。補完的な教育の提供として、東大、東工大、お茶の水大との単位互換を実施している。外国人を招いて英語によるプレゼンテーションを実施している。共通教育基礎科目を設定している。国際化については、MOUからインターン生を受け入れているほか、ダブルディグリーも現在検討中。E-ラーニングについても中国の精華大学などと実施している。学生の海外派遣については、原則として4週間以上のものを推奨している。希望する学生には好評である。

【阿草委員】
 5年一貫制であるが、途中で学位を出すのか。

【米田教授】
 途中で学位を与えることはない。修士の学位を与える場合は退学させる。

【阿草委員】
 最終的に課程博士を授与される率はどのくらいか。

【米田教授】
 社会人については、学生の都合というより、会社側の都合であるため一概に言えない。社会人を除くと7割程度、社会人が5割程度である。

【阿草委員】
 社会人のことを踏まえると、5年から7年間への長期履修制度を設けることなども効果的と思うが。

【米田教授】
 学内本部で検討したが、実現には至っていない。

【阿草委員】
 テニュア・トラック制度について、定員の都合もあろうかと思うが、どのように運用されているのか。

【米田教授】
 助教は5年の任期であり、承認された者はテニュアを取ることとなる。それ以外の者は外部で探していただくこととなる。

【阿草委員】
 5年後にこのようなことを行っていれば、テニュアが取れるとシステマティックになっているわけではない。

【有信座長】
 5年間に情報科学関係で博士を取得するという前提で論文審査をすることとなると、論文審査の基準は難しい気がするが、明確にしているか。

【米田教授】
 明文化はされていないが、ジャーナル論文に最低1本は採択されていること、国際会議での発表、他専攻委員による審査などである。

【小林委員】
 総研大生RAは年間960時間とあるが、月80時間、週では20時間となる。週20時間で学修の成果があるとの考えによるものか、学修時間の外にこの時間働いて欲しいということなのか。

【米田教授】
 RAなので自分の勉強だけをしていれば良いということではないが、実際のところは個別事情である。

【速水教授】
 実質的には教員のもとで研究を遂行するため、含まれると解していいのではないか。

〈大学院進学時における高等教育機関間の学生移動〉
【茶山総括上席研究員】
 科学技術政策研究所としては、「大学院進学時における高等教育機関間の学生移動」を報告書としてまとめたところ。大学院進学時において、大学間を移動した学生と移動しない学生との比較やそれに対する教員の意識を取りまとめたもの。米国の状況については参考までにお知らせする。

【加藤上席研究官】
 日本の修士進学時の機関移動状況(理工系)については、平成20年度の学校基本調査を基にまとめたデータである。当該大学出身者率で見ると、国立の理学では7割、私立では97%となっている。一方、工学については、国立で約8割、私立では94%となっている。1991年から2008年までだが、当該大学出身率は減っている。
 次に、本調査を実施した目的としては、日本の理工系大学院の進学時にどの程度の学生が移動しているのか、そして機関間の移動の有無により学生の教育・研究の実態及びこれらに対する認識の違いがどのように異なるのかなどの実態把握をすることである。出典データについて、学生に関するものとして、「日本の理工系修士学生の進路決定に関する意識調査」、「理工系大学院の教育に関する国際比較調査」を活用している。
 調査結果の概要としては、学部・学科から修士課程への進学時の指導教員を変更した学生は約3割であり、高等教育機関間を移動した学生は約2割である。これらの高等教育機関間を移動した学生500人の中では、国公立機関内の移動が314人と最も多い。
 専攻分野による移動状況について、専攻分野によって移動状況は異なり、高等教育機関間を移動して進学した学生の割合は工学系で14.7%と小さく、複合系で35.4%と大きい。この背景としては、大学院に併設される同専攻の学部の有無や、学部定員の修士定員の比率など大学院の設置形態の影響が示唆されている。
 修士課程への進学前後の機関移動の経路について、調査対象大学間を移動した学生の移動前後の所属機関に着目すると、東京大学や京都大学が異動先として多く、異動元としては少ない。また、調査対象大学以外の高等教育機関から進学する学生の異動先としては、東京工業大学や東北大学そして大阪大学が上位に位置する。異動先順位により12大学を3種類に分類し移動経路を分析すると、学生が進学前に在籍している高等教育機関の属する層より、上位層の大学へ進学する傾向が示されている。
 機関間を移動した学生の博士課程への進学について、機関間を移動した学生の博士課程への進学予定率は、非移動者と比較して高い傾向が示される。移動者の博士課程進学予定率は18.0%、非移動者は11.5%である。
 対外発表の経験について、内部進学者の方が学会での発表や学術誌への投稿を経験する割合が大きいなど、対外発表に関しては移動による差異が示される。教育研究環境の評価については、高等教育機関間を移動した学生は移動しなかった学生よりも、所属する大学院の教育・研究をより肯定的に評価している。これに対して、彼らが所属する研究科への進学や指導教員への師事を後輩に勧めるかどうかは、移動経験の有無により大きな差異は認められない。
 教育研究環境の評価については約15%の差があるのに対して、後輩に勧めるかどうかについては約5%の差でしかない。
 移動に関する学生の意見については、自由記述では、複数の移動経験者が研究室での学生の公平な扱いや組織的な支援を求めているであるとか、移動の有無にかかわらず、修士課程への進学に際して研究室を選択するための情報が十分に得られていないことが指摘されている。また、博士課程への進学を検討する際に研究室の移動をためらう理由として、教員が内部学生を重視する傾向や移動を肯定的に捉えない雰囲気が指摘されている。教員側の意見としては、複数の教員が大学の威信に沿った片方向の学生移動に懸念を示し、内部進学を重視する意見が述べられている。囲い込み等のコメントが散見された。他の高等教育機関から自大学の大学院へ進学する学生の意欲や学力に対する教員の評価は多様である。
 参考に米国での大学院進学時の移動についてまとめている。大学院教育調査では、米国の大規模研究型大学に勤務する日本人教員を対象にメールによるアンケート調査を実施しており、その結果によると、米国での博士課程への内部進学率は1割程度と示されている。そのコメントとして、米国では優秀な教員は分散しているので学生の選択も幅が広がるというのがあった。また、内部進学率があまりにも低すぎるというのは問題ではないかとのコメントもある。
 考察としては、平成17年に出された中央教育審議会の答申は、日本の高等教育システムが、学生が「高度な研究水準にある大学院等で教育・研究指導を受ける」機会や「異なる学修歴を持つ学生」と接する環境を提供することの必要性を提言している。本結果はこのような環境が近年着実に進展しつつある実態を示唆している。もっとも、移動した学生に対する教員の評価は多様であり、このような流動化によって、学生にとって「互いに切磋琢磨しながら自らの能力を磨いていく教育研究環境」が作り出されているかどうかを知るためには、今後の探求を待つ必要がある。学生の移動はそれ自体が目的ではない。学生の流動性による広範な影響を考えると、移動をしない学生、組織としての大学、そして産業界などの労働市場などへの影響を問うことも考えられる。

【有信委員】
 米国の大学のいわゆるトップ20では、修士課程と博士課程が別立てとなっているわけだが、ここでの内部進学とはいわゆる博士課程への進学ということでよいか。

【加藤上席研究官】
 そのとおり。

【光田委員】
 工学系、理学系、情報学系、理工学系、複合系とは、どのように分類しているのか。

【加藤上席研究官】
 研究科単位で調査をしており、調査大学担当者に分類を確認し、その結果をもとに集計している。

【光田委員】
 工学系、理工系の中に、複合的なものが増えているはずで、どのように分類したのかで大きく意味合いが異なってくる。また、専攻単位での移動については何も分からないということでよいのか。例えば、同じ研究科内で専攻移動するものがわからないということか。

【加藤上席研究官】
 それぞれの学生に専攻名まで確認しているが、調査結果としてはそこまで分からない。

【光田委員】
 修士課程の上に博士課程がない大学の場合は、繋がっているとみるのかどうか。

【有信座長】
 今回の調査では大規模大学を対象に調査を実施しており、結果的に該当しないのではないか。それ以外の大学からの移動の場合は考えられる。

【野口委員】
 優秀な学生は上位の大学に進んで欲しいという気持ちもあるが、定員割れ等を意識すると進学者への対応が難しい。もっとも優秀な者は面接して試験を受けないで進学させる、大学院説明会を開催するなど、囲い込みをする。移動することが良いのか、そのまま進学することが良いのかも含めて、きめ細かく分析した上で総合的に判断する必要があると思う。

【五神委員】
 東京大学の工学系研究科の状況は、外部から博士課程に進学する者が多く、学部学生が殆ど博士課程に進学していないのが実情である。例えば、機械系では学部生は126名いるが、2、3名しか博士課程に進んでいない。東大工学系では、内部進学率が低いことを問題視している。

【有信座長】
 米国で自大学からの進学率が低いとのことだが、スタンフォード大学でも学部の機械工学のエンジニアコースを出た者は、MBAやロースクールに進学する数が多い。学部教育の専門性が知識としてバックグランドになっている。東大の場合とは違うが、似ている部分もある。

【五神委員】
 日本人の優秀な学生が最高峰の高等教育を受けて、レベルアップして外に出て行くと考えた場合に、東大の学生が東大の博士課程に進まなくても、よりよいスタンフォード大学に進んでディグリーをとるというのではあればいいのだが、そうではなく、修士を取って社会人になり、社会でスキルをつける傾向になってきている。ここ数年、より顕著になっており、そのことが問題であると考えている。

【有信座長】
 この問題は、本当は現在の日本の就業構造やドクターの扱いを含めて検討していかなければならない。ここでの議論ではないかもしれないが、調査結果の事実は事実として、論理的に考えてこうでなければならない、あるいはこういうふうになっていくという指向が見落とされている。企業は現実しかみていないし、大学は現実に対して打つ手はない状況。論理的に考えれば、近い将来にPhDを持っているかいないかはより重要になることが明らかであるが、誰も認識しようとしない。なぜ重要かというと国際社会で本人の証明になるのは学位と職位というものでしかない。日本国内であれば東大とか京大とかいうが、それですら大学ランキングで比べたら訳がわからなくなってしまう。大学ランキング自体も懐疑的ということになってしまうかも知れない。学位と職位の必要性を考えていかなければならない。企業は少しずつ気がついていて、技術士をかなり取らせている。将来はPhDも必要になってくると思う。前の中教審答申でも書かれているが、いまだ浸透しきれていないのではないか。今後もそのことを含めて議論すべき。
 続いて、分析結果について各委員から報告いただきたい。

【五神委員】
〈物理学分野〉
 全体的に見た場合、理学系は研究マインドが高い学生がほとんどなので、研究者を育成していこうとする教員側の意見が多かった。しかし、修士から博士への進学率は3割を切っていること、博士課程修了者も大多数が民間に行くという実態に照らすと、各大学では教育目標を正しく設定しているとはいうものの、それがキャリアパスをふまえた適格なものであるかどうかは疑問である。また書かれている内容がどの大学でも抽象的になっていることも問題。また博士課程への進学率が顕著に下がっていることも心配。日本の理学系では物理分野は伝統的に強く、固定層があったが、そういうところでも博士離れが進んでいることが今日の調査でわかった。

【阿草委員】
〈情報処理分野〉
 アメリカでも日本でも大学発ベンチャーは情報系が中心であり、産学連携ということで大学院教育に対するプレッシャーもあるため、ある程度改革が進んでいると思う。教育の実質化については、必ずしも修得させる知識能力に対してそれが学生のキャリアパスにどのように役に立つかというものになっていなく抽象的であり、学生にも伝わっていないと思う。身に付けられるものが明確になっていない。大学院での授業の実質化という観点では、カリキュラムやシラバスの整備が進んでいるが、学部とは違って、ほとんどレポートや出席のみで評価することとなっており、多分授業に出たら単位を取れるということで実質化はまだ進んでいないのではないか。厳格な成績評価ということを考える必要がある。人事の活性化という点では、評価の体制の整備は進みつつあるが、人事考課をどうするかというのは進んでいない。テニュア・トラックなど若手教員の評価を行おうという動きは見受けられるが、制度はできたが運用は非常に難しいという状況にあるのではないか。任期付の助教制度もまだ成果が不明である。GCOEや先導的ITスペシャリストなどのプロジェクトを取っているのが対象校の3分の1程度だが、プロジェクトベースのプログラムとなっているため、終了後に恒久的なものにどう転換させるかビジョンがみえない。情報分野の中で目立ったのが、標準修業年限内での学位授与率は低いということである。これは、新しく動きの激しい分野ということもあり、どのように学位を取らせるのかという教育システムという点で難しいのではないか。最後に、残念ながら調査対象校の1つは、答申なんて知らないという回答をしていた。答申の持つ意味がその大学にどのように伝わっているのかという疑問を持った。

【野口委員】
〈土木・建築分野〉
 人材養成目的については、HPやパンフレットでは公表しているというのだが、中の学生や教員が知らない状況にあり問題であると思う。また、人材養成目的が抽象的な表現が目立つので明確化を図るべきではないか。建築・土木分野は社会に出る者が多いので、どのような能力が必要かという点で、企業が求める即戦力のみではなく、社会人基礎力など、企業を渡り歩いても対応できるような自分で道を切り開けるような力を具体的に示す必要があるのではないかと感じた。アドミッションポリシーについては、消極的な大学が建築・土木の中であるので、重要性を認識してもらう必要があるのではないか。単位の内容と質の向上は、学部のJABEEに準拠してシラバスを充実するとか、インターンシップ、セミナーなど様々な取組が見られるので、建築土木についてはワンパターンで実質化を図るのではなく、多様なものを認めることが妥当であると思う。建築土木、都市環境では、修士で修士政策、作品を認めていない大学も見受けられるので柔軟に対応すべきではないか。もともと学際性が強い分野であるが、品質をしっかり見ていく必要はある。複数指導は大学によってまちまち。社会に開かれたものとする必要がある。全ての大学で、主査と指導教員が一緒であるので、透明性の観点から見直しが必要ではないか。助教に負担をかけることに気を遣う大学もあればそうでない大学もある。シラバスは、学部に比して十分と思えないが、学生の側に立ち、見直すことも必要ではないか。インターンシップはこの分野は大丈夫ではないか。

【光田委員】
〈材料分野〉
  材料も他の分野と大きく状況は変わらない。人材養成目的が抽象的なため、中身が分からない。書面上は立派だが、内容が分からないという状況。単位の実質化も同様で、評価がかなり甘く1単位の実質的な教育が行われているのか不明瞭である。そういった面からも、答申の意図が浸透していないように感じられた。材料分野は物理も化学も両方の知識が必要だが、副専攻とまではいかないまでも他の分野の知識を学ぶことが必要だが、できている大学が少なく感じた。この分野は学生の不人気が時代とともに繰り返したところなので、そのたびに改組したり、カリキュラムの見直しを行ったりということをしてきたために、それには慣れている気がした。任期制も実態がつかめていない。単位やシラバスの中身がわからないので、どういうレベルのものかということに疑問が残った。体系的に学生に見える形になっているかどうかを問うた方がよかったなと感じた。

【木野委員】
〈バイオ〉
 基本的に、他の分野と同じだと思うが、調査の回答としては十分に書かれているが、実態がどの程度行われているのか不明瞭。シラバスも明確にはなっていると思うが、学生の理解度は不明である。バイオの特色は、菅委員の記載もあるが、博士研究員の数が非常に多いことである。バイオは物理や化学といった伝統的な分野に比べて、農学をベースにしつつも、工学、理学が入った学際的な分野であり、学位の輩出数も非常に多い。一方、学位の授与に対する価値観がどの程度重みを持っているか不明瞭でもある。カリキュラムについては、学生が広い教養を持てるカリキュラム、融合研究ができるカリキュラムを持っている大学が非常に多いことがうかがえた。ただし、実際、現実を見てみると流動的な研究員が多いであるとか、博士課程への進学率が減っていることから、企業への就職や実学という観点からのカリキュラム設定について困っている大学が増えているように感じた。より実践的な英語教育、プレゼンテーション、コミュニケーション、論文作成能力、インターンシップなどを含めた実践的なカリキュラムの設定が色んな大学で行われている。一方、GCOEのような研究をベースにする方向性と、教育というものが混在しており、学生への負担が大きくなっている。国立大学と私立大学における学位取得率にも大きな差があり、国立大学では50%を切っていることが多く、一方、私立大学では高いことも検討する必要がある。比較的多くの大学においては、修士でも中間評価をしており、評価をしないと本人のためにならないという状況にあると思う。本分野では、主査と指導教員が分かれていない。これは専門性が高いために分けることができないことを示しているのではないかと思う。教員の任期制については、若干取り入れているところがあるが、学生の教員の枠の問題も複雑に絡んでいるとは思うが、あまりうまく機能していないように感じられる。テニュア・トラックについても、1回目はいいが、2回目以降のテニュアの採用方法が難しいなど、バイオ全体として、これまで勢いの中で進んできたところもあり見直しの時期に来ているのではないか。

【小林委員】
〈広域・融合〉
 ここには広域系、学際志向指向のもの、MOT系の3タイプがあるが、いずれも学際的な志向性をもっていて、それが読むのを難しくしている面がある。学際的なものをつくるためには、そもそも改革を意図しているわけで、それ自体が極めて挑戦的なことを行っている。しかしながら、学際的であるが故に、検証項目に基づいて検証すると馴染まない部分が多くなってしまう。それが原因かどうかは分からないが、回答がかみ合っていないものが見受けられた。例えば、幅広い知識の修得については、専攻そのものがそういう仕組みとなっている場合がある。指導教員と主査の関係も複合的な領域であれば、それぞれの分野を担当する教員が少なくなり、MOTについても、他分野からの学生を受け入れている場合が多く、単純に他の分野と同様の検証項目で分析するのは難しい気がする。学際とは非常に大切なテーマであるは理解できるが、専攻を設置して実施するのか、履修の仕方として行うのかという考え方は色々あると思うので、専攻として考えたということであろう。それから、各大学が考えている整合的なストーリーが明確ではない。典型的なのは、例えば、質の保証について入口管理、出口管理、履修年限、厳格な評価について、定員充足などの面もあり、断片的に見ても全体のストーリーがわからない。テニュア・トラックについては、助教など、若手教員へのインセンティブという点でも一貫性が見えない。

【高橋委員】
 (1)ディスプリン型+アルファー(実学的なもの)、(2)通常のディスプリンのみでは解決できないので2つ以上の領域を合体させた挑戦的なもの、(3)MOTに近いもの、これは実学的なものが重視されていて、例えば英語やプレゼンテーションなどが重視されたものの3タイプがあると感じられた。いずれのタイプにおいても教員の負担が大きいと感じられた。産学連携について、インターンシップ等に積極的であることが見受けられるが、そもそも学際的で実学に近いということもあり、産学連携の共同研究とカリキュラムのコース設定が時として、コミットメントに近いとこまでできるのではないかと感じた。企業経験がある大学の教員は、専門家としての企業の経験は伝達できるがそのまま教育となるのかというのは慎重な検討が必要ではないかと思った。要は、企業での最先端の知識というのは非常に魅力的で学生への刺激にもなるだろうが、既存のディスプリンがない者を企業は求めていない。考える力のような基礎学力を求めていると思う。出口管理という点から非常に難しいと感じた。

【有信座長】
 事務局には委員のコメントをまとめて項目・分野ごとに一覧を作成してほしい。それをベースにして次回以降、課題を絞って行った方がいいのではないか。全体として、改善の方向に向かっているが、その方向が正しいかどうかの検証が必要ではないか。情報関係で学位の授与率があまり高くないことについて、建築分野で作品を学位として認めることにも関連するが、研究についていうと、物理的な分析的な研究で新たな発見がないと論文として認めないという風潮がある。日本の研究開発システム全体の遅れが指摘される。どこかで議論すべきではないか。教育改革プログラムで例えば、PBLが提案されているが、結局学生が行う場合は+アルファーになってしまい、学位に結びつけるものとなっていない。例えば電気通信大学では、分析的に明確にされている知識とは別に、作品の部分を学位として認める大学もあり、評価に値するのではないか。

【五神委員】
 定員充足率と入学者と在学者を見ると、分野によってかなり異なっている。工学系では学生数が少なく、理学系で留年生を含めて多くなっている。定員が増えて充足率を高めようとする中で、博士課程が学位の授与に結びついていないことが定着化している分野が生じているのかも知れない。分野によって学生としての身分を一時的に与えるためのものになっているとすれば要注意である。

【有信座長】
 インターンシップなどに言えることだが、社会人経験そのものが教材になるわけではなく、一定の抽象化を経た知識ということになっていなければ何の役にも立たない。教員の社会経験も5年も立てば同様なことが言えるかも知れない。

【五神委員】
 博士課程については一つの専攻の入学者総数が極めて少ない専攻が非常に多く、学生間での切磋琢磨による教育効果が考えられない様である。これではコースとしての博士課程というものが機能していないのかと感じた。GPなどを通じて変えるための努力はしているが、しかしながら方向性は議論されておらず、予算を取るためのプログラムとしての工夫だけで、継続性について問題が生じている。教育改善の一貫性が見えにくくなっていて、教員の労力を同じ使うのであれば、最終的に恒常的なシステム改革につながるように誘導しないとよくない。運営費交付金がゼロサム以下となっているので、何かを切り出してよい取組を恒常的に機関の中で支援するのは困難である。大規模大学では予算規模は大きいが管理運営の細分化も進んでいて限界がある。

【有信座長】
 日本の主要大学では、どこのような大学でも似たような研究テーマを実施しているため、拠点となって研究を遂行するところはいいが、それ以外の大学では規模があまりにも小さいので研究も不十分になっている。

【阿草委員】
 情報系は、学会レベルでは課題や制作で論文を受け入れることが可能となっているが、教員の意識レベルが追いついていない。それから、継続性を心配しており、GCOEなどをとるためだけに苦労している。アメリカでは研究費を取ってきて、その資金の中で学生に教育研究することとなり、できが悪いとクビにできる。その緊張感が日本の学生にない。日本の学生の状況というと、博士課程を辞める理由として、就職に決まったからなどという回答が返ってきたりする。そのような学生まで受け入れて定員の充足をする必要があるとすれば、例えば学生に緊張感を与えることができるような財政的支援が必要ではないか。教育改革を行うための継続的な支援が行える仕組みを取り入れるべきではないか。

【光田委員】
 本調査先を抽出するに当たっては、国公私のバランスだけではなく、競争的資金を受けているかどうか等を踏まえて選んだはずだが、ほとんどの大学で同様の回答が返ってきていることをみると、大学の機能分化の話も含めて、改革が進んでいないという感じだ。例えば、修了要件の変更が行われるべきだが、横並びに感じる。そこが変わらないと教育改革が進んだことにならないのではないか。

【小林委員】
 以前、国大協で調査をしたことがあり、クリティカルマスの話だが、地方大学で改革が進まない理由として、設置基準の中で大学院では明確になっていないが、学部について主要科目は専任の准教授以上が担当するとなっているため、各大学では真面目に対応しており、学部としての教育を提供することとなれば、結果として工学のような広い分野では1人ずつで対応することとなっている。助教を採るにも採れない実情もあり、そのような場合、准教授レベルの人を企業から取った方がいいということになる。クリティカルマスを超えるための打つ手がないのが、地方の工学系国立大学での傾向である。今回はそういう意見はなかったが、助教の取り扱いに困っている感じがした。

【木野委員】
 大学院教育においてどのような人材を養成するかという点で、基礎教育、専門教育で学力の高い国際的にも通用する人間の育成ということだが、実際に企業でどのような人材が好まれるか、社会に出た際にどのような者が自分の持った能力を発揮できるのかというと、その人の人柄そのものが研究のあり方に影響することは事実である。少なからず研究をベースにすれば、大学院教育で培われているところがあると思う。大学によって、理系であれば実験から研究のあり方までカラーが出ており、その研究環境の中で、その人の重要な基盤が作られている。継続性をもった、どのような教育があって、人間力をもった人材を育成する必要があるのではないか。

【有信座長】
 人間力を目指し、例えば育成すべき人材像と実際の教育全体を設計していくわけだが、その中でシラバスが非常に重要で、理念的にはそうなっているが実際にそのとおりになっているかどうか。大学とは人材育成の場であり、人材育成は教育を通じて行うこととされており、そのような考え方で大学院教育が行われる必要がある。今回の検討結果を整理し、項目を整理していきたい。事務局とも相談しながら進めてまいりたい。

○事務局より今後の日程等について説明があった。

お問合せ先

高等教育局大学振興課大学改革推進室

大学院係
電話番号:03-5253-4111(内線3312)

-- 登録:平成22年07月 --