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大学院部会 人社系ワーキンググループ(第6回) 議事録

1.日時

平成22年3月26日(金曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省17F1会議室

3.議題

  1. 「新時代の大学院教育」(平成17年中央教育審議会答申)の検証について
  2. その他

4.出席者

委員

(委員) 金子元久(座長)
(専門委員) 伊丹敬之、小池啓一、小泉潤二、小林雅之、佐藤彰一、角南篤、橋浦洋志、樋口美雄、本郷真紹、山田礼子の各専門委員

文部科学省

小松大臣官房審議官(高等教育局担当)、藤原大学振興課長、石川大学振興課大学院振興専門官 他

5.議事録

(1)事務局より配布資料の確認があった。

(2)大学院部会人社系ワーキンググループの検証のまとめ(案)について、事務局より資料2に基づく説明があった後、以下の議論が行われた。

【樋口委員】
 学生は、自分の個々の研究についてはこれまでも良く考えていたのだが、グローバルCOEプログラムや大学院GP等の施策を通じて、プロジェクト単位の研究に参加するようになって、全体の鳥瞰図の中での自分の研究の位置付けを理解した上で研究するようになり、非常に成果があった。

【伊丹委員】
 記載されている事実そのものは間違いないが、総合的なトーンとして、実態をもっと厳しく書いた方が良い。成果は形式的なものであり、最大の課題は入学者が減少していることである。企業で言えば製品開発をしたが売り上げが落ちたということである。努力が実っておらず、文部科学省の政策だけでは解決できないということを明確にした方が良い。

【本郷委員】
 学生の実態を中心に記述するのは止むを得ないが、教員の体制について、FDの実施や意識改革については書かれているが、果たして優秀な大学院生を教えるだけの体制が整っているのかという視点も必要である。私立大学では、学部と兼ね合いながら大学院教育を受け持っている。教員体制が質量の面から整っていない。実際、大学院教育を良くしようとして、それに見合うだけの教員体制を整えようとすると、過度の負担が生じる。大学側は数が充足しているかという視点で調査の報告をしているが、実際に余裕を持って一人ひとりが学生に対応できているかは別問題である。数だけでなく、中身の問題に踏み込む方法を検討しないといけない。

【金子座長】
 大学院の数が多すぎて、小規模にやっている大学院は、果たして合理的に教育ができるのかという問題もある。

【橋浦委員】
 成果のところは予算措置の話が書いてあるが、成果に対応する問題点が書いていないので、書くべきである。

【金子座長】
 成果もあるが、全体的に見ると単発に終わっている。良い改革成果が大学の中で継続性を持たせられるようにしないと。

【小池委員】
 文部科学省としては、大学院を充実させる、社会的に活躍する学生を増やすという方向のようだが、ドクターコースについて、果たして今の定員が適正なのかという疑問がある。修士課程と博士課程は人材養成目的が明確に異なる。一貫性でも途中で抜けていく学生がおり、博士課程の定員は、もう少し少なくても良い。規模の小さい大学院に対する提言が、踏み込んで書けていない。GP事業については、大きな大学は予算措置されて継続性があるが、小規模な大学はその議論から外れてしまう。ワーキンググループの委員の所属する大学はいずれも大きな大学であり、小さな大学に対する視点が影を潜めている。

【角南委員】
 検証結果から見えるところとして、成果については、政治学分野を見てもかなり限定的である。特別の予算措置がされ、それなりの規模がある大学の話がメインになっており、それだけを読むと全体的に成果があったというイメージになってしまうが、そうでない大学もある。また、制度改革と予算措置の因果関係について、ロジックと整合性が弱い。

【小泉委員】
 大学院重点化の話が出てきていないが、大学院重点化を受けて、我々の大学では大学院教育中心の体制をとっている。他方で、学部教育を中心にしている大学では相当状況が異なる。それと同様に、COEやGPの成果を持っている大学と、規模がかなり小さく、成果が上がっていない大学でも状況が異なる。「大学院重点化」の概念を入れることで、少し整理できると思う。

【金子座長】
 記述のトーンをどの程度厳しくするかというのは重要な問題である。メッセージは厳しくしないといけない。スムーズに書いてしまうと、具体的な方向に持っていけない。

【山田委員】
 4ページの「学生が博士論文に着手するまでに」の部分を考えたときに、クオリファイイグザムは、コースワークを全て終えた時点で実施するのか、論文を書き始める直前に実施するのか、どちらを念頭に置いているのか。また、標準修業年限内に論文を執筆することの難しさがあるが、クオリファイイグザムを通った人たちが就職市場で損をしないために、論文を書くのがどうしても長くなるようなところでは、それを証明する「ABD」という称号を導入すれば良い。

【小林委員】
 組織的・体系的な教育は、学士課程との関係を書いてもらいたい。組織体制や教員負担の面で関係は深い。また、3ページでTAについて書かれているが、RAについては書かれていない。RAについても、経済的支援の側面だけでなく、研究者としてのトレーニングを積むという大きな役割がある。問題は財源が競争的資金中心であり、安定的な雇用ができないことにある。

【小泉委員】
 大学と大学院との関係は大変重要である。教養教育を考えると、学部と大学院は一体的に考えないといけない。また、TAは学生を教育者、RAは研究者とするためのトレーニングであり、その理念を書くことは重要である。更に、記載されているように、TAを総合的な教育プログラムとして組み込んでいくことも重要である。クオリファイイグザムについては、アメリカは大学ごとに違っていて、コースワークを終えた時点でテストがあって、それを通るとPhD取得となる。博士論文の途中でテストを行う大学もあるし、論文審査のディフェンスを終えてから行うところもある。様々なバリエーションがあるので統一する必要はない。

【佐藤委員】
 フランスの場合はDEA(高等研究資格)がオフィシャルにあって、アカデミアの世界では通用力がある。これまで議論されていなかったが、制度として打ち出してはどうか。

【藤原課長】
 クオリファイイグザムについては、人社系のワーキンググループではこれまであまり議論がなかったが、理工農系の方で議論があり、今回、論点として出した。

【金子座長】
 アメリカでは制度としては定着していない。日本ではこれまで修士論文がその役割を果たしてきた。先日ヒアリングを行った京都大学では、修士論文が相当なステータスとなっており、そういう大学でクオリファイイグザムを行う必要があるのかとも思う。また、知識体系が明確に共有されている大学はやってもいいが、そうでない大学も人文系の分野には多い。一括してやらなくても良い。

【樋口委員】
 定員の多い少ないを議論するときには、いくつかの視点が必要となる。まず、社会ニーズに対して、ニーズに即した人材を大学院で養成できているかということ。ビジネス界であれば企業戦略に対する評価、役所であれば政策評価など、社会は高度専門職を必要としているのに、大学院への進学希望者が減ってきている。その乖離の原因は、教育が社会ニーズに合致していないだけではなく、これまでの日本の労働市場が高度専門職を必要としていなかったことにもある。これを社会に対して問題提起する必要があるのではないか。
 もう一つは、他国と比較してどうかということ。社会科学分野について、日本のマスターは国際水準と比較して多くはない。進学希望者が少ないという状況は、今後の産業界の高度化を考えると心許ない。そういう視点も複合的に記述する必要がある。社会の潜在的ニーズは相当あると思う。マッチングが進まない理由を大学だけでなく社会に発信していかなければならない。

【金子委員】
 大学規模・大学経営部会で議論している。潜在的需要があるがなぜ希望者が増えないのかということについては、大学側がディマンドを決定できないというのも理由にある。自分が調査した際、半数の企業が、社員が大学院に行くことを禁止していた。何故なのかと思う。理工農系は引く手あまただが、人社系は状況が異なる。もう少し幅広い前書きが必要になるのではないか。

【藤原課長】
 人社系は、各国比較データを見ると、大学院生が相当少ない状況である。

【小松審議官】
 大学院については、中教審で何年も議論しているが、前回大学院答申を作成したときのワーキンググループで、初めて分野別の違いを念頭に置いて議論した。人社系としての固有性を、今回の検証の中で打ち出していただければと思う。また、ニーズはあるはずという話だが、平成17年の答申35ページに、「産業界、地域社会」とあり、産業界のマッチングを進めるには、地域社会にも広げないとだめだ、ということで記述した。また、進路の多様化ということで、従来は大学の研究者になるのが基本で、例外的に他の分野に行くこともあるという位置づけだったが、研究職以外にも進出することを考えていかないと、高度知識基盤社会で対応できないということになり、そういう方向性を打ち出していった。

【伊丹委員】
 結局、今後の改革の方向性のところで、このグループとして強調すべきは、教育のクオリティが社会の潜在ニーズと一致していないということ。確かに潜在ニーズはあると思うが、教育がそれとマッチしていない。潜在ニーズを正しく把握しておかないと、良い教育をしている大学にも風評被害が出てくる。また、改革の方向性は、修士と博士をはっきりと分けて書くべきである。修士は研究者と高度専門職業人それぞれを育てるためのコースを作るよう書くべきである。教員が大変だからといってそこを一緒にやっていると、いつまでたっても評価されない。大学院生が増えることは日本として喜ばしいことだが、拙速にやると、日本のために良くならない。

【小池委員】
 人文系と社会系では大きく状況が異なると思う。また、専門職大学院との関係もしっかりと認識して区別しないといけない。今は本質的な議論がなされていない。専門職大学院の影響を大きく受けている分野もたくさんあると思う。

【金子座長】
 アカデミックな分野については、社会的ニーズに引っ張られすぎると、専門職大学院との関係が出てくるので、注意しないといけない。

【伊丹委員】
 高度専門職業人を育てる教育と、アカデミック人材を育てる教育は、同じ組織、同じ教員、同じスタッフでやることが重要だと思っている。アカデミックが象牙の塔でいいわけが無く、社会の役に立たないといけない。専門職大学院では、制度的に複雑な問題があり、これまで垣根を作ろうとしすぎていた。今後は融合する方向に持っていかないと、アカデミアの方も良くならない。

【金子座長】
 アメリカでも大学の研究職に就かない人をどうするかという問題は昔からあり、その受け皿がマスターだったのだが、最初から修士と博士を区切るとモラルハザードが生じ、区切らないと目的が混乱する。そこは整地に議論する必要がある。2つ問題があって、まず、教員の所属と担当する教育課程の対応関係の問題がある。また、大学院の教育課程について、同じ専攻の中でもプログラム別にするかどうかを議論する必要がある。

【橋浦委員】
 この報告書は、キャリアパスや社会ニーズを踏まえた教育等、同じようなことが何度も書いてある。このあたりをすくい取って、その共通項を突破口に新しいプログラムをつくっていければよい。

【角南委員】
 キャリア支援について、アメリカの産学連携のワークショップに行くと、大学でキャリアディベロップメントオフィスが一番無駄になっていると聞いた。企業や自治体との共同プロジェクト、つまり産学官連携をやっているところで積極的にやっていかないと、ニーズに合うようなキャリアは考えられない。新しくキャリア支援の組織を作っても仕方がなく、例えば大学の研究支援課に産学官連携の取り組みをさせる方が良い。

【藤原課長】
 そこは仰る通り。また、専門職学位の話は、専門職WGにおいて、修士との関係が論点として出ている。

【金子座長】
 キャリアディベロップメントについては、重要な面もあり、内容で考えるべき。大学院生に対する学生調査の結果を見ても、就職活動は普通にしている。東大では、大学院生セミナーをやったら出席が多かった。

【樋口委員】
 博士課程について、当面の改革の最終点は、博士号をしっかりと出すことである。取得までの年限が長くても仕方がないという意見もあるが、それは博士課程のあり方が合っていないということ。博士号の考え方と期限内に授与するためのプログラム作りを行う大学を、今後は支援していく方向にすれば良い。

【金子座長】
 人文系の委員はどうお考えか。

【佐藤委員】
 伊丹委員の意見は正しい方向だと思う。大学院生の数が減っているのは、学位を取れるか取れないか、先が見えないからである。博士号を取得するまでにどれくらいの時間や内容がかかるのかというのは、教員であれば把握しているはずである。学生と話して工程表を作るような取組を行えば、人文系でも、学問水準を落とさないでもっと学位を出せる余地はある。

【本郷委員】
 キャリアパスを考えたときに、人文系で社会的ニーズに応じた指導体制と言われても、ドクターまで引っ張ると研究職か教育職しか行き先が無い。それを前提とするなら、キャリア問題とは連動しない、社会人のリカレント教育を考えた仕組みを構築しないと、規模拡充の議論と連動しない。

【小泉委員】
 標準修業年限に関して、自分の分野は学位取得までに非常に時間がかかる。海外で最低でも2年間調査を行う必要があり、そのための時間が必要となる。アメリカも含めて5年で学位を取得した学生はいなかったと思う。一方で、在学年限が長すぎると博士号取得の資格を失うのは良い仕組みであり、その年限については、分野によって研究者コミュニティで決められると思う。それぞれの分野で学位取得の金のかかり方が違う。医学と文学で学位取得にかかる金銭的コストが違うのと同様に、時間コストの違いも分野の違いを考える必要がある。

【小松審議官】
 相対的に見ると、標準修業年限内の学位授与率が上がっておらず、超過期間も相当長くなっている。そのような中、入学者が減少している状況は、社会的に評価が得られていないということである。また、今は奨学金など手を出しやすい部分について文章を書いているが、学位授与に対する学生と教員との共通認識など、平成17年の大学院答申に書かれているがゆるんでいるものは、文章のまとめの方にもメインとして書いていきたい。

【小池委員】
 3ページの最後の博士号取得者の定義は、「適切な選抜」の部分ではなく、「学位のあり方」の部分で書くべき。もっと効果的なところに記述してほしい。

【金子座長】
 原則論はきちっと書くべきである。

【佐藤委員】
 情報公開のところで、学位論文の公開審査の割合はどの程度か。相当プラスの側面がある。

【藤原課長】
 データを整理して示したい。

【山田委員】
 人社系の学生は、ジャーナルの国際評価が低い。あっという間に中国や韓国に抜かされてきている。昔と比較すると、日本人でアクセプトされる人材が減ってきているからである。今はコミュニケーション力が重要なので、英語教育によるプレゼンス能力向上が必須である。そこが理工農系と人社系の大きな違いだと思う。

【橋浦委員】
 TA・RAの人数の面が書かれているが、単価についてはどうか。

【石川専門官】
 訪問調査の意見では、人数を重視すべきという声が大きかった。

【小池委員】
 東アジアの記述のところで、日本からみた東アジアと、中国・韓国から見た東アジアは違う。果たして日本は中国・韓国から相手にされているのだろうか。中韓はもっと広い世界を見ているのではないか。もっと突っ込んだ書き方をしないと、政権に引きずられているだけに見える。

【小松審議官】
 政権交代の前から、中韓政府に対して、日中韓の間でコミュニケーションをとって、質保証システムを作っていかないかということで話しており、相当反応が良かった。ヨーロッパのボローニャプロセス以来、国際的な質保証システムが動いており、経済社会上で行き来の多い東アジアで一緒になって高等教育の質を高めないといけないという意識がある。また、東南アジアではタイを中心として取組が進んでおり、日本もそれと連携してやっていく。評価システムを世界中に輸出したいアメリカ、自国の制度を生かしたい欧州がある中で、アジアとして世界に貢献できるシステムを作りたい。

【金子座長】
 留学生を受け入れるだけが教育ではない。国際交流は出て行かないと意味がない。日本はその数が非常に少ない。考え方が偏っているのではないか。

【小松審議官】
 前回の大学院答申で若手の流動性の話があり、そこはどう考えるか。また、評価についても話があった。この2点については今の文案では言及していないが、何かコメントはあるか。

【伊丹委員】
 そうやって論点を広げない方が良い。流動性の前に質の向上を叫ぶ方がインパクトがある。教育体制の見直しや社会人の大学院教育の促進の話は重要だと思っている。社会人ドクターの推進は、人社系では新たなコンセプトとなり得るので、もっと書いてよい。教育体制の見直しについては、あまりに小規模な専攻は廃止も含めて検討すべきと強い文言で書くべきである。現状認識として、社会のニーズに合っていない専攻が沢山あるとストレートに書いた方が良い。

【小林委員】
 社会人の大学院教育については、社会がもっと大学を評価しないといけない。企業側が大学院に行くことを奨励していない。大学院の資格をとったところでインセンティブがない。

【角南委員】
 国際的なルールを作っていくときに、日本人は博士号を持っていないことが多く、国際機関で重要なポストを取れていない。法律、経済学辺りの分野で社会人を教育していかないと、国際的な発言力の弱さを克服できない。

【小泉委員】
 企業や官庁の人が容易にドクターを取れるようなシステム作りが必要である。また、キャリアパスの問題は主要なテーマにしてほしい。更に、奨学金については、貸与制の話は出ているが、渡し切りの奨学金の話がないので言及してほしい。

【伊丹委員】
 社会人ドクターを増やすためには、大学側が社会人ドクターをどのようなコンセプトで受け止めて、どう教育していくかが重要である。博士号を取るのに何年もかかるということでは意味が無い。働きながら学位が取れるドクターコースを真剣に設計すれば、そのような問題はなくなる。勉強したい人は必ずいる。まずは大学から変えていかないといけない。

【金子座長】
 検証の結果はもっとマクロな視点から書いた方が良い。また、方向性のところは、もう少しストラクチャーにした方がよい。
 論点は、まず、「大学院は非常に多様であるが、GP事業等で先進的な例が出てきており、それを生かしていくべき」というところが前向きな部分である。次に、「キャリアパスの透明化・可視化」は非常に重要であり、これは具体的な政策につながる。3番目に、「大学院組織のあり方」ということで、社会ニーズとのマッチング、アカデミックなスタンダードとの問題がある。4番目に、「マッチングのためにはどのようなメカニズムがありえるか」という問題がある。潜在的なニーズはあるが、これを生かすために、大学がどのような教育を行っていくかということが重要となる。

 

(3)事務局より、今後の日程等について説明があった。

 

(以上)

お問合せ先

高等教育局大学振興課大学改革推進室

大学院係
電話番号:03-5253-4111(内線3312)

-- 登録:平成23年01月 --