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大学院部会 人社系ワーキンググループ(第7回) 議事録

1.日時

平成22年4月27日(火曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省5階 5F7会議室

3.議題

  1. 「新時代の大学院教育」(平成17年中央教育審議会答申)の検証について
  2. その他

4.出席者

委員

(委員)金子元久(座長)
(専門委員) 小池啓一、小泉潤二、小林雅之、角南篤、高橋和久、田中愛治、橋浦洋志、樋口美雄、本郷真紹、山田礼子、吉田研作の各専門委員

文部科学省

(文部科学省)藤原大学振興課長、樋口大学改革推進室長、石川大学院振興専門官 他

5.議事録

(1)  事務局より配布資料の確認があった。
(2)  大学院部会人社系ワーキンググループの検証のまとめ(案)について、事務局より資料2に基づく説明があった後、以下の議論が行われた。

 
【樋口室長】
 人社系ワーキングとはいえ人文系、社会科学、教育系でそれぞれに課題が異なっており、取り組むべき改善方策にも濃淡がある。学問的な特性から注意すべきところ、追加すべきところ等があれば指摘いただきたい。

 【小池委員】
 教育系のデータでは修士課程の人数は非常に多いが、博士課程の人数は少ない。修士課程には教員養成系も混ざっており、博士課程の方では教員養成系は連合大学院が二つあるだけでそれといわゆる教育系が一緒になっている。このため、修士から博士への進学率が相対的に下がっているのは集計の仕方の問題もあるのではないか。

 【金子座長】
 教育系の扱いに問題がある。社会科学系に入っており、2ページに「とても低い」とあるが、低くはない。社会科学系はとても低いという表現は問題があり、また教育系を混ぜて議論するのにも問題がある。量のところは現状と違うので区分が必要。また、大学院に占める人文系の割合について、学部から修士への割合が低いと書くことは必要だろうか。数の上では少ないが、それによって問題が生じているというものでもないのではないか。

 【樋口室長】
 日本の大学院が理工系中心であり、対比として人社系大学院の割合が低いということが言われている。客観的に見ると、諸外国とのデータ比較でみるとそういう傾向がみられる。議論いただいて不要なら削除する。

 【金子座長】
 言いたいことは「過剰ではない」ということであろうと思うが、「少ない」とは意味が違う。
トーンとしては過剰ではないということが分かるような言い方にした方がよい。

 【田中委員】
 欧米、特に北米で人社系(特に社会科学系)が多いのは社会(一般企業)が受け入れる下地があるためであり、大学院レベルの人材を受け入れる慣習が高い。一方、日本はそのような文化がない。社会科学で学んだ者が使えると思われていない。教育に対する理念の違いのようなものがあり、社会科学系でも人社系でも大学院に進めば進むほど就職できる者が少なくなるというのが現状。数が少ないのは問題だが、社会が受け入れないから大学院へ行く者が増えないと考えてもいいのではないか。また、大学院の教育が社会に有用であることを発信しないといけない。社会の役に立っていると言うことを、社会と大学が連携して確認しなければ教員・研究者以外の就職者が大学院から出てこないのではないか。

 【樋口委員】
 就職率が出てくるが、定義をはっきり入れたほうがよい。たとえば、企業派遣の大学院生が理系にはかなりいるが、今の統計では再就職のような形にして就職率に入っている。またポスドクの研究員は就職率に含まれているのか、あるいはパーマネントな職に就いた人だけが就職率に入っているのか。人文学系32%、社会科学系47%などの数字が出てくるが定義が分からない。

 【石川専門官】
 就職率には企業から来ている人間も入っている。またポスドクを就職者とカウントするか、学校基本調査でいう一時的な仕事に就いた者にカウントするかは大学による。博士課程修了者でポスドクが2,000人くらいいるが、就職者でカウントしている大学で1,000人くらい、一時的な仕事に就いた者にカウントしている大学で1,000人くらいいる。(人文学系の)32%には一時的な仕事に就いた者は入っていない。

 【樋口委員】
 定義が分からない。これに基づいて将来推計をやったが、企業から派遣されてきた人が大学院を卒業して企業に戻った際に、その人を就職者に含めるとのことであり、果たしてそれは就職者なのか。しかも統計上、どれぐらいの人数がそういう人なのか分からない。

 【金子座長】
 情報の可視化は非常に重要。卒業後の状況についても今の学校基本調査の調査項目では問題があるのではないか。もう少し詳しい調査をした方がいいとは思うが、それはさておき、とりあえずそういう定義は注意書きで入れてほしい。個人的には一時的な職に就いた者も就職に含めてもいいのではないかと思うが。

 【樋口室長】
 一時的な職というのは、一時的な職だけで一つのカテゴリーではなく、その他も含まれているため、就職できていない人もその中に含まれている。

 【石川専門官】
 資料2の後ろの資料6,7の円グラフを見ていただくと、一時的な仕事に就いた者等となっているが、学校基本調査では一時的な仕事に就いた者、その他など就職者以外の者を一時的な仕事に就いた者等という形でまとめている。一時的な仕事に就いた者だけ切り離して就職者に含める、あるいは単独で表すことも可能。

 【橋浦委員】
 人文系のところで記載されている修士から博士への進学率について、他分野に比べ高いとあるが、「他分野」とは何か。内容があいまいに見える。

 【樋口室長】
 理工農系との比較。

 【橋浦委員】
 人文学系のところでは比べて高いとの記載があるが、社会科学系では比較について触れていない。比べて高い、比べて低い、にどういう意味があるのか。比較をするのであればすべての分野において比較をしなければ意味がない。ある水準を設定して、それと比較して高い低いなら分かるが、他の分野と比較することにどういう意味があるのか。

 【樋口室長】
 資料を見ていただくと、人文系の進学率が他の分野と比べて最も高い。社会科学系はそうでもない。何を言わんとしているかというと、理工農系においては修士を出てからのキャリアパスが多様に存在しているが、人文学系においては修士を出た後のキャリアパスが確立されておらず、博士への進学率が高いということにつながっているという現状があるのではないかということ。

 【橋浦委員】
 もちろん比較することは大切である。しかし、ある水準を設定して、それと比較して高い低いなら分かるが、他の分野と比較することにどういう意味があるのか。

 【樋口室長】
 そこは議論いただければと思うが、一つには修士を出てどれだけのキャリアパスが開かれているかを見る材料として、それぞれの学問分野の特性が表れているのではないかと考え、このような記載にした。

 【金子座長】
 学士課程、修士課程双方に就職率の問題があり、分野によってかなり違いがある。どういう視点から比較しているのかを明確にしなければならない。

 【本郷委員】
 現状のキャリアパスという観点から見たときに、大学院の規模にどういう課題があり、どういうものが適切なのかといった視点で書かないと、単純に大学院自身の拡張と発展を目的として書いてしまうと他国と比べてどうかという議論になってしまう。キャリアパスを前提にすると修士の適正規模と博士の適正規模は異なる。その点を意識した書き方にする必要がある。

 【田中委員】
 修士の就職について、専門職学位課程を分けて分析する必要がある。

 【樋口室長】
 本データには専門職学位課程のデータは含まれていない。

 【金子座長】
 専門職学位課程でないということがどういう意味をもっているのかということは非常に重要であり、記載が必要ではないか。

 【樋口委員】
 今回の報告書のメインはキャリア形成、キャリア支援などの多様化についてであるが、具体的に日本社会にとって社会科学系の大学院、人文系の大学院がどういう役割を担っているのか、あるいは今後担うべきなのかということを考えていかなければ、今後キャリア支援について各大学に委ねることになるのか、日本社会として考えるのかによってトーンが違ってくる。ここは大きな論点。今後の改善方策について、産学官で議論すべきとあるが、アメリカの大学院修了者が企業においてどういう能力を認められて採用されているかを知らなければ、ただ多様化といっても、少なくとも日本の企業は今の大学院教育に対して期待していない。なぜ諸外国と日本とでそのような違いがあるのかについて、今後の課題とするのか、ここで議論するのかということについて問題提起したい。

 【金子座長】
 理工系でも就職が問題になってはいるが、人社系はずいぶん状況が異なる。この際、議論があれば。

 【角南委員】
 適正のサイズというのであれば、出発点としてアメリカの現状がどうなっているのかということについて、まず把握しているものがあるのか。アメリカで、民間企業に就職するというのは、どこかで研究者としての道を断念せざるを得なくなる局面に立っているということ。博士課程教育で得たものを民間が評価して積極的に採用していると言うよりも、研究者としての道をあきらめて、個人として民間企業にアピールしているということであり、意味合いが違う。大学の指導教員は学生が民間企業に行くのに役立つ教育をしたと考えているかというとそうでもないと思う。大学院で教育しているそもそものねらい、比較しているアメリカとどう違うか、といったことが重要になってくるのではないか。

【田中委員】
 アメリカの大学院で25年ほど前に政治学の分野では、就職がすべてアカデミックなところには決まらないということを前提として博士課程を終えた者が世の中に役に立つということを言うべきだと言い始めていた。今の日本の状況に似ており、博士課程に行く者は、優秀な頭脳を持っているが研究者としてはやっていけない者として一般社会に出るが、もっと理路整然と物事を考えられるなどということを、我々ももう少し社会にアピールすべきである。自分たちが行っている教育がどのように社会に役立っているのかと言うことを社会にアピールすべき。

 【小池委員】
 大学院の研究者養成と大学の教員養成は必ずしも等しくない。研究者養成にもいろいろなレベルがあり、大学の教員になる者はある意味最後までたどり着いた者。その段階まで行って判断する以前にいろいろな判断があり、アメリカの場合、教員以外になることもあるかと思う。日本の場合、学位の取得が遅いため、手遅れになってから事態が表に出てくる。課程にいる間に様々な競争があり、それぞれが進むべき道が明確になってくれば事情が変わるのではないか。博士号の取得の後の話だけでキャリアを考えるのは間違いではないか。大学院の中での教育の仕方について考える必要がある。

 【樋口室長】
 現状の記載はここに書いているように、博士の出口において教員が大きく占めている状況であるというものであるが、今回のトーンは、今後の人社系としては、教育機関、研究機関だけではなく、企業、ジャーナリズム、国際機関等で活躍できる多様な人材育成が期待されるとのまとめとしている。その中で、キャリアパスが見えること、社会と大学との対話の促進等を通じて、幅広い素地を作り出すということが大事であるというまとめにしている。

 【吉田委員】
 委員を見ても、外国の大学院を出た人ばかりで、日本の大学院を出た人が少ない。日本の大学院と外国の大学院とでは何が違うのか。果たして社会の意識なのだろうか。同じ学位でも日本での取得と海外とでは違うとの認識があるのではないか。

 【山田委員】
 キャリアは大事で、メッセージとしてどこまで入れるべきかと悩んでいる。先日別の会議で、卒業後3年目までは新卒扱いにして欲しいというメッセージを産業界に出していたが、そもそも企業側の採用の年齢制限が問題となっている。アメリカでは年齢制限は明示的にはない。日本の一般的な社会において、新卒の年齢が大きなネックになっている。これが大学院の問題にもつながっているのではないか。

 【金子座長】
 大学院の議論をしているため大学側の課題しか見ていないが、大きな問題は社会側にもある。それをどう入れるかは悩ましい。

 【樋口室長】
 社会的なバリアを取り除いていく必要があるということであれば、提言として書く必要があると考える。

 【金子座長】
 今、修士卒は普通の学部卒と同じように入れる企業が増えてきている。学校基本調査でも傾向が出てきているのではないか。

 【樋口室長】
 分野を問わず就職率は伸びてきている。

 【金子座長】
 修士課程がレギュラーの学歴になりつつあるということを認識しておく必要がある。

 【樋口委員】
 5ページ目で、博士と修士が区分されていない。博士の問題と修士の問題は異なっており、分けて書いたほうがよい。

 【本郷委員】
 博士と修士を分けて書かないと、修士で完結するということを前提に大学院の枠組みを組んでいることがぼけてしまう。また、社会が受け入れる体制について、パーマネントな雇用と一時的な雇用について、整理した上での議論が必要である。

 【樋口室長】
 前者はクリアになるように整理したい。終身雇用か否かについては、データを持ちえていないため、どこまで言えるかというところについて課題としていきたい。これまでの議論で、修士段階においてさまざまなキャリアが広がりつつあるというのが全体の認識だと思うが、社会の多様な場で活躍して欲しいということは博士課程にも求められるものなのか、それとも博士課程はアカデミア中心であるべきものなのか、議論をいただきたい。

 【小林委員】
 社会のことを書くのであれば、キャリアアップの記述も必要。社会人学生はキャリアとして評価されないということが障害になっている。アメリカの場合は大学院進学が明確にキャリアアップにつながる。

 【金子座長】
 小規模な大学院が多いことについて、ここは問題と扱うべきかどうか。

 【田中委員】
 日本の大学院がひとつのモデルを追うのは問題。アメリカではリベラルアーツカレッジがあるが、卒業生の8割ぐらいが一流大学院の修士課程へ進み、博士へは2割程度が進む。一般の学部をもっている大学が修士までを持っているのはいいかもしれないが、博士課程まで持つ必要があるのか。優秀な学生であれば他の優れた大学院(博士)に送り込むというのも重要。

 【金子座長】
 供給側から見て、大学院をやめるのか、連携して特色ある大学にするのか、小規模な大学院の方向性を入れるのは一案。

 【橋浦委員】
 優れた取り組みはいずれも大規模で体力のある大学。この資料をどういう方向で扱えばよいのか。すべての大学院がこれを目指せということなのか。資料の受け取り方も考えなければならない。

 【樋口室長】
 最終的には大学名を伏せて、こういう大学院があるという紹介にとどまる。教育課程上、ひと工夫、ふた工夫あるものを選んでいるので、その取組について規模如何を問わずやってもらうことが望ましいという示し方をする。大学名を見ると規模が大きいところばかりだが、オープンにするときには大学名を入れないため、疑義は生じないかと思う。

 【金子座長】
 大きな大学でしかできないような内容が多い。小規模な大学のモデルとなるような取組があるのか。規模の問題においてそこはとても重要。

 【吉田委員】
 私の大学において博士課程後期の定員を議論したが、教員の負担を考えて増員を見送った。大学院の教員の配置を考えないと、なかなかうまくいかないのではないか。

 【高橋委員】
 「現状」の持つ意味だが、「現状」に指摘したものは、たとえば低いと言われればその通りとして了解するのか、問題点の指摘として了解されるのか。ここは修了後のキャリアパスの問題と密接に絡んでいて、いろんな大学院の取組を見たときに、この大学には大学院はないほうがいいのではと思うことがあった。大学名を伏せたとしてもある取組を優れた取り組みとして評価するには、何らかの座標軸を明示的に示すことになる。大きな予算がとれない大学院が低評価になってしまう。

 【樋口室長】
 結果的に小さな大学院の取組があまりなかったということ。5年前の大学院答申でも、課程を通じた体系的な教育課程が設定されており、きめの細かい指導をし、関連分野を含んだ知識、技能を2年なり5年かけて修得させていくようなプログラムが含まれている、ということが求められていた。そのようなことが重点的に取り上げられている大学を掲げている。掲げられている大学は5年前の大学院答申において推進されてきた項目に沿ったものであると考えている。そういう意味では、方向性は5年前からあったのだと考えている。

 【金子座長】
 沿ったところをできているとするのはいいが、できているのは大きな大学であることは事実。もう一つ、大学院の数が過剰であるとの指摘もある。規模の問題で、5年前の大学院答申に書かれた取り組みをやりようがないところもある。そういうことについてどのように書くのか、あるいは全く触れないのか。

 【小泉委員】
 情報公開で何が公開されるか。それぞれの大学院の使命、ミッション、存在意義をそれぞれの大学院自身がどのように考えているのかを明確にすることが大切であり、そこが出発点であると考える。修士をつくるということと、博士をつくるということは明確に分けるべき。この報告書において大学院の存在意義、大学院のミッションを大学院一般とするのはので分かりづらい。それぞれのミッションを自ら仕分けることで、修士・博士・専門職の組織ごとにどのような人材育成を行うかを明確にすることが出発点ではないか。そうすればそれぞれの教育体系、教育システムも決まってくる。修士と博士を区分し大学の個性化を図り、そのなかで産学官の話の中で自分たちにどういったことが求められているのかを対話の中で考えていく。そういったプロセスが必要ではないかと思う。

 【田中委員】
 方策は、修士と博士を分けて書いたほうがよい。修士用の政策と博士用の政策は緩やかに分けておく必要がある。博士の場合には、修士の1年目の終わりには博士になることを考える必要があり、そうでない者は修士で社会に貢献することを考える、そういう区分けが必要。

 【金子座長】
 7ページの一番下、「学生の進路状況を適切に把握するとともに~」のところだが、就職支援を先に持ってくるのではなく、早い段階でどの方向に進むのか学生に相談させるようなことを加えるということが考えられる。

 【橋浦委員】
 教員の教育面の評価について、ここは文科省としてどのようなものをイメージしているのか。

 【樋口室長】
 訪問調査をした中でも、研究活動の評価はあるものの、教育を一生懸命行っている教員への評価が十分ではないということであった。教育業績をどのように評価していくのか、学生からの授業評価、卒業者としてどのようなところへ送り出したのか、などがあるかと思うが、ご意見があればいただきたい。

 【橋浦委員】
 修士論文指導の場合、担当教員と指導教員がわかれている。授業担当が実質的に指導することが多々あるが、その場合、書類上授業担当は指導教員になっていないため、本人の教育評価の対象にならない。何か書類上の工夫はできないものか。

 【樋口室長】
 委員の先生方の中で、何かやられている事例があれば、この場で共有できればと思う。

 【金子座長】
 大学院での教育を評価するのは難しい面があるのではないか。大学院教育への体系的、組織的な努力が必要といった見方の方がいいのではないか。

 【田中委員】
 効果的なのは、チームティーチング。領域が近いにもかかわらず、他の先生の話を聞かずに蛸壺のように教育を受けていることは問題である。本大学でも、となりの研究科とまたいで教育をおこなっている。そうすれば体系的なシステムとなる。いつも話を聞く先生にしか話が通じないのではなく、たまに会う先生にも話が通じるような教育をするべき。他の先生の話も聞かせながら教育をする方が、効果が上がる。

 【小泉委員】
 アメリカでは3~4人の大学教員の指導体制がとられており、それは大変に有益なこと。私のところでも取り入れたが、4人が時にはアドバイスをすることもあり、それが学生にとって非常に訓練になる。ひとりだけの指導ではないことが重要。

 【橋浦委員】
 人文系といえども裾野は広く、内容は雑多。矛盾はしない。

 【高橋委員】
 中高の学科を担当する教員の道もあり、博士を出てディグリーを取ってもしばらく高校の先生になるという分野がある。そのことと教職系の大学院との関係をどのように意識しているのか、書かなくていいのか。

 【金子座長】
 体系的な教育の最初のところで、「組織的、体系的な教育課程を構築していく必要がある」とあるが、そこにチームティーチングの話や、複数の教員で教育をやるというところを強調したほうがよい。そこに教員の大学院教育に関する意識改革の話が組み合わさって表現されるのがよい。

 【本郷委員】
 学生と教員だけでなく、学内研究会等との関係も重要となる。都会だと、学校を超えたさまざまな研究会等に出る機会にも恵まれているが、地方に行くと機会が少ない。どのような環境が望ましいのかを意識した有り様を示す必要がある。学生相互の学びの観点は何らかの形で入れておいた方がよい。

 【金子座長】
 大学院を出てすぐに教員になる人が少ないため、統計的には出てこないが大学院の就職先として教員が多い。理工系でも同じ問題があるが、教員養成6年制と、通常の大学院との兼ね合いについてどの程度入れるか。

 【藤原課長】
 教員養成は今議論が始まろうとしているところ。学校現場に入ってくる先生が能力・スキルを持っていて対応能力を持っていること、理工系は小学校を中心に新しいハイレベルの知識が必要であり、一方、学級崩壊等トラブルに実践的に対応できる能力も重要、等の話が出ている。

 【小池委員】
 教員養成は、今の議論が偏っており、閉鎖的な議論になりつつある。問題は教員養成系の大学の教員の養成がきちんとできていないこと。現場の教員養成だけが議論されているが、もっと視野を広げて教員養成をやる立場の教員をどう養成するかという視点も必要。

 【金子座長】
 教育学部を出た者でなければ、その先2年を学ばないというのは非常に閉鎖的。
 大学院卒の人が高度な専門家として教員になるというキャリアパスも踏まえたらよい。

 【田中委員】
 9ページの競争的経費のところで、「他方、取り組みが単発的~格差も広がり」とあるが、議論が事業仕分けの国会議員の先生によっている。グローバルCOEをとっていない大学からも批判があるのも確かだが、現実を見て実証的に書くべき。効果が上がったところをモデルにして、普遍化して普及することが重要。COE、GPをきっかけに大学は仕組みを変えてきている。私の大学では開学以来研究指導法を変えてこなかったが、10年前、競争的経費をきっかけとして、学生のためになる教育がはじまるようになってきた。一部の大学ばかり金がついてずるいと思うのではなく、理由があるから金がついているということを理解するべき。一般の方々に優れたCOEを見てもらいたい。

 【樋口委員】
 格差というのは往々にして望ましくないもの。格差が広がるのには2種類あり、下が下がって広がる場合と、上が伸びて広がる場合がある。今の話は後者。どのように下に波及させて行くかを書くべき。上が伸ばすのをやめる、COEをやめるという議論になっているが、上をのばし、下に普及させることが重要。

 【藤原課長】
 指摘はごもっとも。工夫をしたい。同じようなレベルで競っている同じ大学内の専攻がある中で、ある専攻はCOEに採択され、ある専攻は採択されないということもあり、大学内でも支援に差が出ていたりしている。ここは改善できないかと言うことで書いたもの。

 【高橋委員】
 COEは学内で連携を組みやすい分野がとりやすく組織的に最初から手を挙げられそうもない大学がある。しかし大学院の教育理念としては先端的な研究者養成をうたっている場合に、理念が自己矛盾を起こしている大学院が出てきている。小さいところで小規模な研究をやっていれば、科研費をとると自分の学生に何らかの形で還元ができるが、元の部分がとりにくくなってくると、所属している組織如何で、研究の先端度とは違ったところで大学院指導にうまくいかないところが出てきている。従来と同じ条件が保証されて、何かが削られると言うことがないようにと書いていただければ。

 【山田委員】
 7ページの三つ目の○「国際的に活躍する人材を養成するため~」とあるが、明示的に、日本人の院生の送り出しの体制整備が必要と考えている。国際的な海外の大学とネットワークを構築すると、海外に出て行く方も充実する。博士のみならず修士の院生が半年から1年海外にいけば、個人的なネットワークもできるし、進学の際に海外の博士課程にも目をむける。

 【樋口委員】
 7ページ、多様なキャリアパスの確立の最初の○で、各大学院がやることと、全体がやることの2種類がある。個別の大学院のやるべきことが書いてあるが、それでは社会は変わらない。社会を変えるためには、政府が取り組む内容も書いておくべき。他国の状況についても、個別の大学院が調べても仕方ない。全体として考えていくことも必要。

 【藤原課長】
 これまでは産学人材育成パートナーシップがあったが、これをさらに発展させる方向で考えて行きたい。

 【樋口委員】
 他の国の状況がどうなっているのかが分からないところが多々ある。海外の人々や、海外企業が何を考えているのか、もう少し知らなければならない。そこを教えてもらえるような仕組みを作ってもらえたら。

 【金子座長】
 大学院卒の就職先が知的能力を必要としているコンサルタントに広がってきている。大企業への就職をイメージしていると間違い。

 【橋浦委員】
 人材育成のところの最後の○「継続的に改革が実施される支援の充実」の支援は誰が誰を支援するのか。

 【藤原課長】
 COEの議論の中で、5年間が終わると支援がパタリと終わるのは問題ではないかということで、何らかの形で成果を上げている取組に対して何らかの支援ができないかという意味で書いており、文科省の立場から書いている。

 【金子委員】
 ここは文章が分かりにくいので修正してほしい。
 大きくは、キャリアの問題、各大学院の中での問題、人文系社会系等問題が違うことを意識して書かなければ混乱するのではないか、ということがある。そこを踏まえてまとめる必要がある。

 (以上) 

お問合せ先

高等教育局大学振興課大学改革推進室

大学院係
電話番号:電話番号:03-5253-4111(内線3312)

-- 登録:平成22年09月 --