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大学院部会 人社系ワーキンググループ(第2回) 議事録

1.日時

平成21年10月9日(金曜日)17時~19時

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 大学院に係る取組の検証方法について
  2. 人社系大学院の現状と課題について
  3. その他

4.出席者

委員

(委員)金子元久(座長)
(専門委員)伊丹敬之、小池啓一、小泉潤二、小林雅之、佐藤彰一、角南篤、田中愛治、橋浦洋志、本郷真紹、山田礼子の各専門委員

文部科学省

(文部科学省)小松高等教育局審議官、藤原大学振興課長、澤川専門教育課長、今泉大学改革推進室長、浅野専門職大学院室長他

5.議事録

 

○事務局より、配布資料の確認があった。

【金子座長】
 前回は、人社系一般に関する議論があったが、本WGでは、大学院に対するアンケート調査を実施することになる。今日は事務局案を配布しているので、ご意見いただきたい。
 その前に、私自身が科研費で行っている調査について、少しご相談したいことがある。現在、高校生、大学生を対象とした調査に続き、職業人を対象とした調査を実施しているのだが、その際に、大学院生に関するデータ、特に学生の就職先のデータがないと感じた。理工系は比較的把握されているが、人社系は修了後の就職先が不明の人が多いため、どういう風にすれば就職先を把握できるのかを考えていたが、もはや大学の側からは把握できない。そこで、大学院生に対して1月に調査を行い、完全な把握は難しいが、大学院生がどこに就職するのかを聞けば、具体的な状況がわかるのではないかと思っている。修士1年生の状況だと、学生はこのような労働事情に対してかなり適応しているが、大学側の方が対応できていないように感じている。このような調査をやるべきか否か、また、やるならどのようなことを質問すればいいか、委員の先生方にご示唆いただきたい。

○事務局より、大学院教育振興施策要綱の検証作業の進め方等について、資料2~資料4-2を用いて説明があった。

【金子座長】
 これまでの中教審で議論された大学院改革の項目が、各大学でどれくらい実施されているのかということを聞いて、さらにヒアリングをしていこうと考えている。この調査は大規模なものであり、事務局のみならず大学も相当な負担がかかるだろうと思う。調査内容を増やしすぎると、大学側の負担も増える。一方で我々が評価しやすいようにすることも考えないといけない。また、サンプルの抽出方法も考えないと。自由に発言いただきたい。

【佐藤委員】
 座長から大学院生の調査の話、事務局からファクトベースの調査の話があったが、そこのつながりをうまく調整しないと、効果的ではない。

【金子座長】
 本WGとしては、今事務局が説明したほうの調査がメインである。もう一方はアカデミックの私の研究としてやろうとしている。

【今泉大学改革推進室長】
 本WGの調査は、大学の教育のあり方を、大学院答申に基づいて調査し、答申を踏まえた効果や現場の状況、今後の方向性などを見るもの。一方、座長の調査は実際に教育を受ける側からの効果を見るものであり、見る方向は違うが、多角的なアプローチ方法があってよいと考えている。

【小林委員】
 これ以外の指示書はつけるのか。

【今泉大学改革推進室長】
 もちろん記入要領や答申・施策要綱の内容、最近の議論等の情報は提供する。

【小林委員】
 学生への授業料減免は、人数で聞こうとしているが、学期によって人数が異なる。また、全額減免、半額減免以外の制度もある。調査後に事務局に質問が集中しないような工夫が必要。

【山田委員】
 記述式の定性的な質問が多く、分析するのは非常に難しい。

【金子座長】
 どの大学が取組を実施しているのかということを知るのが目的でなく、全体的な拡がりを見ないといけない。分析の方向性が明確でないと委員の負担も大きい。

【小池委員】
 教育分野では、博士課程のあるところはまとまりがあり、分析できるが、修士課程はサンプルの取り方でデータにバラツキが出ると思う。うまくやらないと、まとめるときに苦労が出る。

【金子座長】
 一般的な意見しかもらえないと、実態が見えない。小規模な大学院の悩みが出てきたほうが望ましいと考えている。回答のばらつきが大きいと想定されるのはどのような部分か。

【小池委員】
 教育系では、教員養成と教育学、国立と私立で大きく異なる。出てきた回答をどう分析するのか、回答がないとなんともいえない。

【金子座長】
 そこまでの分野の詳細の違いによって、教育改革の違いが必要だという議論はしてきていない。

【小林委員】
 調査の回答以外に、大学の基礎資料、シラバス等を集めてはいかがか。調査対象校に負担をかけるとは思うが。

【今泉大学改革推進室長】
 最低限必要な資料はとりよせる。教育目標と内容、シラバスあたりはとりよせたい。

【伊丹委員】
 おそらくこの規模でファクトベースのアンケートをとるのは初めてだと思う。来年の2月までという制約を考えると、どのような負担が生じるかわからないが、とりあえずやってみるのがよい。ただ、大学院生側の調査をわれわれが主体的にやるのは時間的に難しい。

【金子座長】
 私の調査は、私が主体的にやること。このWGで作業してもらう必要はない。

【伊丹委員】
 それであれば議論は本WGの調査に限定していただきたい。

【佐藤委員】
 アンケートの回答を分担して読み込む場合、大学に対して、どのような意図なのか聞くことは可能なのか。質問がとめどなく出てこない限りは、個別の問い合わせで解決できると思う。

【金子座長】
 紙で来たものがわからなければ聞けばよい。ヒアリングはどのようにやればいいのか悩ましい。我々も大学も相当な負担になる。

【藤原大学振興課長】
 ヒアリングはアンケートを行ったすべての大学に聞くことは想定していない。必要に応じてヒアリングをしようと考えている。

【小松高等教育局審議官】
 定量的な部分と定性的な部分があり、その中でぜひ呼びたいとなれば、ヒアリングが有効な手段である。

【小泉委員】
 大変ではあるが、可能な限りヒアリングはやるべき。現場の人から話を聞くのと紙で見るのとは違う。

【橋浦委員】
 回答のなかで、成果と課題の「成果」については、答えるほうは難しい。数値化できるものだけを成果というのか、そうでないのか。

【今泉大学改革推進室長】
 問11の場合、「透明性が高まった」というような抽象的な書き方を想定している。

【橋浦委員】
 それであれば、成果が上がらなかったという回答が出てこないのでは。

【金子座長】
 大学院答申で出された方向性を質問の前提としているが、必ずしもそれでは十分ではない。調査をやるとすれば、これまで言われてこなかった問題点がどこにあるのか、ということを知ることが必要。

【本郷委員】
 平成18年度に施策要綱が出てから、大学院の側も、到達目標をどこに置くのかということを中心にカリキュラムを組んできている。出口と連動した上での内容を検証していただいたほうがわかりやすい。

【金子座長】
 人文系では、修士課程で、職業人養成を目標としているところは少ない。研究者養成と職業人養成を明確に分けているのか、そのような例を調査するといいのではないか。

【伊丹委員】
 自分の大学では、高度職業人養成と研究者養成は入試から明確にカリキュラムを分けた。入試のレベルからわけている。そのような取組をどのくらいの大学でやっているか、調べるべき。

【金子座長】
 法学系研究科と法科大学院の関係はあちこちで問題になっている。

【伊丹委員】
 私の大学では、高度職業人のカリキュラムを分けたのとは別に専門職大学院もつくった。

【藤原大学振興課長】
 人社系は専門職学位をどう考えるかというのも大きなテーマ。その点を意識した設問を設けることも一案。

【角南委員】
 今回のアンケートは定性的な表現が多く、フォローしないといけない。時間との兼ね合いもあるが、一度答える可能性のある方にトライアルをかけてほしい。

【金子座長】
 出席委員がやっていただいて意見をもらうのが一番よい。

【今泉大学改革推進室長】
 理工系WGの堀井委員にトライアルをやっていただいている。各委員にも一週間くらいご覧いただいて、事務局に意見をいただきたい。

【金子座長】
 かなり難しいなという印象なので、それをあえて答えていただいて、分析しやすいように指摘をいただきたい。現実的には、この日程の中でどこまでできるのかということもあるので、あとは私と事務局と相談して修正したい。サンプリングの話については、何か意見はないか。

【小泉委員】
 文化人類学など、新しい学際的な分野がたくさんあるので、そういうところを入れないといけない。「文化人類学」で検索しても専攻を抽出できないので、「国際協力」、「公共政策」、「人間科学」などがキーワードになると考える。

【金子座長】
 ユニークな専攻とオーソドックスな専攻が混ざっていた方がよい。

【今泉大学改革推進室長】
 机上資料として、専攻名からピックアップした例を配っているが、文化人類学はピックアップすることができなかった。各委員の分野のキーワードについて、ご助言いただきたい。

○事務局より、人社系大学院に係る現状と課題について、資料5-1、5-2を用いて説明があった。

【金子座長】
 大学院教育の改善という視野から見て、このデータからいろいろ疑問がわいてくる。

【小泉委員】
 国家公務員の採用データの中で、博士と修士の違いは見れないか。

【金子座長】
 採用の際に博士以上としているような採用はないのか。

【藤原大学振興課長】
 国家公務員一種ではカテゴリーわけはしていない。

【佐藤委員】
 私は史学が専門だが、修了後の行方がはっきりしていないというのには原因があると思う。指導教員との人間的な関係が非常に悪くなっており、卒業後一切のコミュニケーションをとりたくないという学生が多いのではないか。指導教員が非常にリーズナブルな指導の仕方をしていて、研究テーマに対して理解を示しているのであればいいが、研究テーマでフリクションを起こして、コンタクトができなくなった事例が多いのではないかと思う。史学のこのようなデータに、自分自身忸怩たる思いである。そこのケアはどうしようもない側面があると同時に、理性的な対応をとっていればそうはならなかっただろうという印象をもつ。

【金子座長】
 私の調査の中で、大学生の追跡調査を行うと、人文系より理工系のほうに論文テーマのコンフリクトがあるように思う。ただひとつ明確なのは、人文系は、指導教員と学生との関係が1対1、1対2と少数の単位であることが多い。

【本郷委員】
 入り口の問題が大きい。博士後期課程は、概ね学生の自主性にまかせており、論文を書かない学生に対しては教員も離れざるを得ない。大学院に入れるときに、大学院生の数を増やすことだけを考えて入れていいのかという悩みを常に持っている。在籍中にさしたる成果を出していない学生に対しては、関わりをたってしまうことが多い。学生側からもコンタクトをとってこない。

【橋浦委員】
 大学院に進んだ学生が、限界を感じてやめる際にフォローが必要。そこで、教養教育は学部に限定するのではなく、大学院でも必要である。社会で幅広く対応できる教育が重要。

【田中委員】
 人文系では教員と学生の関係が縦割り、1対1、1対2になるということだが、自分の大学の政治学はグループで研究をやるようにしている。また、学部長に建物を建てるように言っている。蛸壺化しているので、同じ領域の教員がコミュニケーションをとり、研究をチームで取り組むことが重要。理工系のような仕事の仕方ができればいい。チームとして育った学生は、連絡が取れるだろうと思う。
 今、大学院生にあることを任せると、数日間大学に来ないことがある。理工系はその変のスピード感が違う。教員も学生もチームをつくることにより、ダイナミズムが生まれる。

【小泉委員】
 前期課程と後期課程を明確にしないことが問題である。私自身がアメリカの大学院で受けた教育は、1、2年目で論文を書かせて、それを見た上で方向性について教員がアドバイスを与えるというやり方。それをやらないために、研究者としてやっていけない人が残ってしまう。私も、修士1年で論文を書かせて、修士2年時に研究者を目指すか、就職を目指すか、方向性を指導している。
 チームという点については、複数アドバイス制やサイバースペースを活用したバーチャルな研究室も有効である。

【小林委員】
 中退者の数字がこの調査では入っていない。かなりの人間が知らないうちに消えてしまっている。他の大学に移る、留学するのならいいが、どうなっているのかわからないうちに消えてしまうことも多い。中退についても数を調べたほうがよい。

【小池委員】
 教員養成系は、人社系の博士課程を出た研究者を教員として採用するのだが、その場にあわせた仕事のできない先生が多い。目的にあわせた多様性が欠落している人が多い。教員の意識を変えようとしてはいるが、そもそものスキルをもちあわせていない。大学院での教育をかなり考えないといけない。

【角南委員】
 入口を絞って入学させて、ケアして最後まで送り出すというパターンと、たくさん入学させて途中で脱落する人が出るパターンがあるが、両方いいところ、悪いところがある。後者であっても、学部で受けてきた経験だけでは図れない可能性のある学生をとれる、というメリットはある。両方のシステムを残すことが重要。
 今後の日本では、社会科学系の学生が、理工系の分野で活躍しないといけないと考えている。調査の中で、社会科学系から理工系への就職率を調べられるといい。キャリアトラックを多様化しないといけない。科学技術政策をやっていると、理系以外の人も一緒にやっていかないといけないといわれている。

【伊丹委員】
 明らかに大学院を作りすぎていると感じる。上澄みの大学でなく、平均的な大学の大学院の専攻リストを見ると、そこでさえもしっかりと教育するのが無理なことが見えてくる。質の伴った教員の絶対量を考えると、制度設計、制度変更等の大きな施策を打たないと、社会的に大きな問題になる。

【山田委員】
 アメリカでは、学生の中で、市場が大学院生の将来を決めるという意識が浸透している。一方、日本の場合は、市場意識が諸外国に比べて低く、個人的な感情で大学院に入ってきている。今後教員になる数は決まっており、博士後期に進んでいる人へのキャリアを探さないといけない。教員がキャリアを見つけることはできないので、大学として企業との連携などキャリア教育を積ませることが重要。

【小泉委員】
 大学院を作りすぎ、大学院生が多すぎというイメージはあるが、一方で、今後もっと大学院教育を受けた人材が必要であるという意見がある。減らすことが第一ではないと思う。

【伊丹委員】
 長期的には大学院を拡大していくことに賛成。ただ、クオリティを伴わないと、社会的信頼が損なわれ、誰も来なくなる。クオリティの保証なく拡大が図られているから問題になる。それは入口と出口でなく中身の問題、つまり教員の問題である。しかし、教員の質は徐々にしか高めることはできない。

【藤原大学振興課長】
 この問題は、大学院部会の大きなテーマである。全体的な規模としては欧米比較でまだ相当少ない。今後どのような分野ごとの分析ができるか、議論していきたい。

【小松高等教育局審議官】
 17年の大学院答申が出るまでは、中教審では大学院の充実ばかりが議論になっていたが、大学院答申で「教育」にはじめてトピックをあてた。教育の中身の実質化により、どれだけ質が保証されるかということが重要。設置基準の改正や大学院GPの実施等でどうかわったのか、検証をしようというのが目的。役所側としても危機感は感じている。

【金子座長】
 大学院拡大政策がはじまり、大学にとって大学院があることが一種のステータスになり、小規模な大学院が増えた。大学院の数が多いからといって制限するのは難しく、在学することが意味のある大学院にすることが重要。社会のほうでどのように学生が使われているのか、大学院教育を社会がどう評価しているのか、そこを知ることが大きな課題。
 また、短期的な問題としては、情報公開が義務化され、充足率も公開されると、大学院において、ネガティブな情報を出さないために、できる限り定員を満たすような動きがでてくる。そこをどう解決するか。アメリカでは充足率はなんら問題にならない。

【藤原大学振興課長】
 定員ベースで組織ができ、財政投資がなされている。大きなシステム改革は難しい。

【小泉委員】
 認証評価でも、我々は専攻毎で充足率60%以上にしろという強いプレッシャーを受けている。法人化により、大学院は充足率と予算は実は切り離されているにもかかわらず、充足率重視の文化になってしまっている。

【金子座長】
 そもそも大学院は、入口での仕分けが難しく、ある程度の人を入れないと駄目な状況なので、アカデミックに進める割合が決まっている以上、途中で競争から落ちていく人を何とかしないといけない。アメリカのマスターはその対策としてつくられたと言っても過言ではない。そこの手当てをちゃんとしないと、優秀な人が入ってこない。その辺の問題も踏まえて、調査の設計をしたい。大学院答申に対して、ほかにどのような問題があるのかを発見するということを念頭におきたい。

○事務局より、今後の日程等について説明があった。

お問合せ先

高等教育局大学振興課大学改革推進室

大学院係
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-- 登録:平成22年07月 --