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大学教育の検討に関する作業部会 専門的人材養成の在り方に関するワーキンググループ(第1回) 議事要旨

1.日時

7月31日 14時30分~16時30分

2.場所

文部科学省13階 13F2・13F3会議室

3.議題

  1. 専門的人材養成システムの在り方について
  2. 専門的人材養成の質保証の在り方について
  3. その他

4.出席者

委員

木村委員、阿草委員、荒川委員、石田委員、井上(圭)委員、井上(正)委員、江藤委員、続橋委員、中山委員、永井委員

文部科学省

德永高等教育局長、加藤高等教育局審議官、新木医学教育課長、澤川専門教育課長、藤原大学振興課長、浅野専門職大学院室長、榎本高等教育政策室長、下大田専門教育課課長補佐、樋口医学教育課課長補佐

5.議事要旨

(1)事務局より配付資料の説明があった。

(2)事務局より委員の紹介があった後、徳永高等教育局長、加藤審議官から挨拶があった。

(3)事務局から、平成20年9月11日の中央教育審議会総会で文部科学大臣より諮問があった「中長期的な大学教育の在り方について」及び6月15日の中央教育審議会大学分科会取りまとめ「中長期的な大学教育の在り方に関する第一次報告」について説明があった後、概ね以下のとおり各委員からプレゼンテーション及び意見交換がなされた。

 

《委員》 課題として、医療に対する社会のニ-ズの多様化、生命科学の急速な発展や医療の高度化に伴い、医学教育の専門分化、細分化が顕著になっている。また、従来の医学教育は、講座・診療科単位の縦割りで、個々の教員の裁量に委ねられている傾向にあり、「臓器ばかり診て、人を診ない」という批判もある。もう1つは、教育内容が膨大となっている。必然的に専門知識詰め込み型の教育が進行し、これに伴い、早く医学専門教育を始めようという流れがあるが、医学に携わる者の倫理観、患者中心の医療の実践、患者に信頼されるコミュニケ-ション能力の育成、医療の安全への配慮など、社会が求める医師の良識、教養、人間性の涵養が十分でないという批判もないわけではない。

 これに対して、医学界としても取り組んでいて、平成13年に「医学・歯学教育の在り方に関する調査研究協力者会議」が「医学・歯学教育の改善に関する報告」をまとめた。1つは、膨大となった教育内容から、全ての医学生が履修すべき必須の学習内容を精選し、基礎医学と臨床医学を関連づけて学べる統合的なカリキュラムを確立するというもの。もう1つは、診療チ-ムの一員として患者と相対し診療に参加する臨床実習を強化しようという提案。

 この方針に基づいて、平成13年にモデル・コア・カリキュラムが作成され、医学部・医科大学ではこれに沿って教育がなされてきた。これは一昨年度にも改定されている。いま1つは、5年生進学時にそれなりの知識・技術が身についているかどうかを確認するため、臨床実習開始前の共用試験というものがある。これは2つあり、1つはやはり知識を見ようというもの。もう1つは診療の技能あるいは態度を見ようというもので、この2つの試験を全国共通で行うということが決まり、平成17年度から正式に実施されている。

 最近になりまして新しい問題も浮かんできている。1つは、医師不足が大変深刻な問題となっている。それに伴って、地域の医療を担う医師をいかに養成するかということが1つの社会問題になっている。いま1つは、卒後臨床研修の必修化に伴い、医学教育の8年制ということになるわけですが、そのためには改めて、卒前・卒後教育の整合性が求められている。その関係で、大学の若手医師が非常に減りまして、大学の若手医師が不足し、臨床系教員の診療に対する比重が過大となって多忙化し、教育活動の減少、研究活動の停滞が大きな問題となっている。

 これにつきまして、今年の2月に「医学教育カリキュラム検討会」を立ち上げ、医師不足問題への対応、臨床研修制度の見直しの方向性を踏まえ、卒前・卒後教育を改めて見直して、一貫した医学教育の改善の方向性について検討してきた。それをまとめたのが参考資料となっている。

 主なものを挙げます。

 1つは臨床実習の最低必要単位数を明確にすることなどにより大学間でばらつきのある臨床教育の質を統一することを確保する。それから、救急医療や総合診療など複数科にまたがる診療について、体系的な教育をきちんとやる。そうすると、臨床教育全体の統括責任者を置き、診療科等の枠を超えた体系的な指導体制を確立する。もう1つは、地域の医療機関等との連携や臨床教授制の活用など、地域全体で医師を育てるシステムが必要である。もう1つは、臨床が少し多すぎる、基礎を軽視していないかという指摘もあり、基礎と臨床の有機的な連携により研究マインドを涵養する。もう1つは、共用試験、医師国家試験を、それぞれの段階で求められる能力を評価するシステムとして確立する。特に、共用試験の位置づけを明確にして、統一基準を設定する。こういうことをやろうとすると、設置基準上の必要教員数の拡充も含めた指導体制の強化と教員の勤務環境の改善が必要である。こういうことをまとめて報告した。

 専門的人材養成システム・質保証の在り方としては、基本的に、「医学教育カリキュラム検討会の意見のとりまとめ」を実効あるものにすることが重要であると考えている。一部重複するが、特に強調したい点を述べる。

 1つは、医師として、豊かな人間性と良識ある社会人を目指し、改めて教養教育を重視する必要がある。もう1つは、4年次までに基礎医学・臨床医学を、講座縦割りでなく、統合的に学習してほしい。4年次から臨床実習の始まる5年次への節目に実施する共用試験は、全国の統一された基準で判定することが必須である。もう1つは、内科・外科は、医学・医療の進歩とともに専門分化の流れが止まらないが、それを支える教員数の不足が深刻である。それ以上に問題となるのは、分化のみが先行して、統合が看過されていることである。今求められている全人的医療・総合診療の教育に、統合のシステムが改めて必要ではないかと考えている。また、今言われている 救急医療、総合診療は、救急部、総合診療部の重要性を再認識するとともに、改めて体系的な教育が求められている。それからもう1つは、臨床実習は、5・6年次にわたって確実に行われるべきで、必要単位数を明確に定めることが必要である。これに続く医師国家試験は、知識偏重の試験を脱し、臨床実習の成果を問う在り方に変えることが重要である。また、社会との関係では、社会的要請に応える医師の養成には、学生が大学内だけでなく、地域医療の現場で患者に接し、生活を実感することが重要である。そのためには、大学は教育理念・目標のなかに地域医療教育の必要性を明確にして、教育に参画する学外機関のスタッフの方々を対等のパ-トナ-として位置づけ、教育課程の編成や成績評価等への積極的な参画を求めたい。さらに、将来の医学研究者の養成も重要な課題であり、基礎、臨床医学を問わず、一定期間研究を体験する研究重点コースやMD―PhDコースも選択としては可能だということが必要だと思う。それから、大学病院は、医学部とともに、医師を養成する唯一の教育施設であり、教育病院として社会の要請に迅速に対応できるハ-ド・ソフトの強化が必要である。教員の勤務状況を見ると、診療の比重が極めて大きく、教育研究に支障を来している現実があり、定員の強化が必要である。

 

《委員》 総論は医学・歯学ほぼ同じであるが、2000年までは報告書はでるけれども改革なしという状況であった。

 その後、モデル・コア・カリキュラムというものを医学側、歯学側がそれぞれ作成したのは委員の御説明のとおりである。

 医学と歯学の違いは何かというと、医学の方は人材が足りてなくて、歯学の方は余っているということ。

 昭和57年の閣議決定を受けた厚生省の「歯科医師需給に関する検討会報告」(昭和61年)を踏まえ、入学定員の20%削減を行った。それから、平成10年の厚生省検討会報告で、さらに10%程度の削減を提言したが達成はされず、平成10年度の以降の入学定員の削減は3%程度となっている。現在のところ昭和60年度に3,380人だったものが、平成21年度には2,624人となっている。適正な人数について、報告によっては、1,300人でもよろしいと言ったものもある。

 歯学教育の質について、臨床実習が重要である。かつては学生自身が歯科医療行為を行っていた臨床実習について、患者さんが学生に見てもらいたがらないため、見学型へと形骸化した。それで、ペーパーテストだけで試験を受けている大学生がいることが問題である。

 中国やアメリカでは、学生が行った診療は半分になるが、日本では保健医療上そういったことができない。そこで、人形を使った実習をするシミュレーション教育が最近では行われている。

 国家試験が難しいために、6年目に臨床研修を省き、国家試験の勉強に充てるというのが非常に問題になってきている。また、共用試験と国家試験の出題範囲が重複しているために、国家試験というものが非常に大きな負担を教員や学生にかけている。

 そういった問題を緊急に解決しなければならない。

 「4.歯学教育の改善・充実に関する調査協力者会議」について、次のようなことを議論している。臨床実習の単位数を大学設置基準に明記して、卒業までに修得必要な実習項目を明確化していく。歯科医師国家試験の出題基準を検討し、共用試験との重複を避ける。歯学教育の質を保証するための第3者評価の導入について検討する。なかなか分野別の評価ができないことをどうするか。優れた入学者確保が困難な大学や国家試験合格率の低い大学の入学定員の見直しについて検討中である。

 

《委員》 薬学について、ちょうど4年前に4年制と6年制の2つのものができた。

 その理由は、臨床家として、医療現場で活躍するような質の高い薬剤師を育成するためで、当然国家試験もそれに応じて変更されることになるし、出題範囲の変更や出題領域のあり方にも大きな影響を与えることになる。

 質保証に関しては、薬学分野では、社団法人薬学教育評価機構が昨年12月に4年間の検討の後で発足した。

 薬学に関しては、色々な団体があるが、先ず、4年制・6年制ができた背景となっているのは、中央教育審議会で、「薬学教育の改善・充実について」が平成16年に出て、それから薬学会が薬学教育を考える様々な委員会を作って、色々なことを検討してきた。それ以外にも薬学教育のことを考える実に様々な委員会があるけれど、主なものはこれらである。

 大きなもととなっているのはモデル・コア・カリキュラムであり、平成14年度にモデル・コア・カリキュラムについては薬学会が、実務実習モデル・コア・カリキュラムについては平成15年に文科省の調査研究協力者会議が策定している。6年制の大学設置に際しての講義・演習・実習のプログラムについては、このモデル・コア・カリキュラムを原点にしている。国家試験も現在検討中であるが、一応モデル・コア・カリキュラムを原点にする予定である。共用試験についてもモデル・コア・カリキュラムを原点にして問題を検討している。

 共用試験については、医学・歯学と違って、薬学の場合は、各大学が最低限の合格基準を決めるのはもちろん、試験の結果を利用してもう少し出題内容をチェックし、各基準点を明確に示して、各大学で厳守していきましょうと申し合わせようとしている。CBT、OSCEが始まるのは、今年の暮れからである。まだ具体的にはどうなるか分からないが、努力していきましょうとなっている。これから評価や教育を考えるに当たっても、原点としてはモデル・コア・カリキュラムということになる。

 6年制は医療人、一方の4年制は創薬研究者の養成、薬学にはその2つが存在するということであるが、医療人教育となると6年制の方となる。4年制と6年制が存在するとどういうことになるかというと、学士力、卒業生が持つべき能力を考える場合に、2種類のものを考えなければならない。6年制での学士力については、6年間で学んだ能力をどう試すかというと、すべてを学士力ということにすると、薬剤師国家試験で試すということは到底ならない。しかし、これも新たな局面として、薬剤師国家試験において、効果的に考えて、現在検討している。端的に言うと、医療現場感覚を今まで以上に重視しようとしている。ただ、実践ばかりではなく、やはり基礎科目も重要だ、また知識・技能・態度などを統合した応用問題、判断力が重要なので、単に国家試験を目指した丸暗記といったことがないように、何とかしようとしている。それも限界があるのであるが。もう一つは、やり方を間違えるとまさに予備校化しかねないという問題が懸念され、ここをどうするか重要な課題と考えている。

 これが昨年の5月まで薬剤師国家試験出題制度検討会で議論してきて、その後は、医道審議会の薬剤師分科会、国家試験関係の分科会ですが、そこで検討している。

 次に評価であるが、まさにここの場と同じ中央教育審議会大学分科会から示されたものであるが、6年制の薬学教育で、質の高い教育が行われているということを保証するためのシステムを作ったらどうかということを、平成16年に、ちょうど薬学6年制ができるのにあわせて言われた。それから、4年かけて薬学会の委員会で検討して、昨年12月に、薬学教育評価機構というものを立ち上げ、平成24年に評価に入りたいと進めている。

 薬学会という学術団体が、こういうことを検討することはどうかということも言われて、全国には学部長会議というのがあるので、そこに独立の委員会を作り、合同委員会を置いて検討をした。細かい説明は省くが、まず評価基準を作って、全国説明会を行って、第三者評価の重要性を全薬学教員に分かってもらうということも行った。さらにマニュアルなどを作る上で、全国の薬科大学・薬学部の大学教員の意識の共有化を図るためにワークショップなども行い、4年間かけて、最終的には評価機構がやることになった。

 さらに、評価をどういうふうにしていくのか、独立性と第三者性と透明性をどう確保するのか、難題である。社団法人であるので、理事会があり、そこで評価が行われると第三者性を確保できるのか、独立性を確保できるのか懸念があったので、評価に関しては、総合評価評議会というものを置き、ここにすべての決定権を与え、常置委員会はここに関しては一切クレームをつけられないようにした。総合評価協議会の委員には、少なくとも約半分は薬学以外の医学や法曹などの人間を入れた最高決定機関として評価を行うということを今考えて作業を進めている。

 6年制というのはまだ始まったばかりで卒業生を出していない段階であるので、とりあえずは、教育プログラムの評価というのは本来はアウトカムまで視野に入れたものでなければいけないのだが、これについは前例がないので、当面は課程を評価するというふうに考えている。

 一方で4年制に関しては現在のところ、どのようなものを最終的に保証するのかまったく決まっていないというのが現状である。

 

《委員》 看護学分野ほど広い分野はなく、どこに焦点を当てるかで迷ってしまった。

 基礎教育のことから言いますと、中学卒業でも看護師になれるし、博士号を持っている看護師もいるというくらい幅広い分野だと考えてもらいたい。

 現在、看護系の大学は約180校あり、学生数は14,000人を超えているが、これはものすごく急速な増加で、1966年には3校であったが、1998年には63校になり、今年度は3倍の180校ということで、この10年間にどれだけ増えたかが推測できると思う。

 看護師になる人は1年で約45,000人いる。そのうち、高校を卒業して3年間の養成所を出て看護師になる人が大体50%、准看護師から2年間の教育を経て看護師になる人が25%くらい、残りが大学を卒業して看護師になる。

 3月から「大学における看護系人材養成のあり方に関する検討会」にて、3つの課題を検討している。

 1つ目は、学士課程における看護学基礎カリキュラムによる看護学教育の在り方、

 2つ目は、新たな看護学教育の在り方とその質の保証の在り方、

 3つ目は、大学院における高度専門職業人養成の在り方である。

 今回はこの中の「1.学士課程における看護学基礎カリキュラムによる看護学教育の在り方」についてを基に説明したい。

 基本方針は、「看護専門職としての能力開発に努め、長い職業生活において、あらゆる場で、あらゆる利用者のニーズに対応し、保健、医療、福祉等に貢献していくことのできる応用力のある国際性豊かな人材の育成」ということである。看護職の働く領域が、医療現場だけでなく、保健・福祉など様々な領域に広がってきており、高齢社会を迎え、健康レベルも様々になってきた中でどのように対応していくのか、ということが大学における看護職の養成の課題ではないのかと思う。

 看護系大学には、看護師、保健師、助産師の3つの職種の養成があるが、保健師と看護師については必ず国家試験を受けられるような教育課程を含んでいる。助産師は選択という形にしている。これらの看護職の資格を取れる課程が必ずしも大学である必要はないので、免許資格を取得する課程を持つことが、即大学教育にはならないということから、どのように大学として教育していくかが私たちに与えられた課題と考えている。

 現在、取り組もうとしているのが、「学士課程にふさわしい新たな看護学基礎カリキュラム」であり、3つの職種のコアとなるようなものを作りたいと考えている。平成16年にはモデル・コア・カリキュラムという形ではなく、「看護実践能力育成の充実に向けた大学卒業時の到達目標」という、大学において看護専門職としての実践的な能力をどのくらい修得するのか、という目標を決めたものを作成している。看護職の国家資格を得るためには、養成所指定規則があり、さらにモデル・コア・カリキュラムを作成すれば、それによって縛られる。大学とはもっと自由なものではないのか、ということもあり、「到達目標」との表現になった。今回どうするのか、ということについては大きな課題になるのではないかと考えている。

 検討会の中で大きな問題になっているのが、看護師と保健師についてである。大学にて両方の国家試験を受けられるよう教育しているが、学生数が増えすぎて、保健師教育に必要な臨地実習の場が確保できない、という問題が出てきた。14,000人を全て保健師の免許を取得できるようにしなければならないのか、という問題がある。一方で、高齢化が進んでいる中で住民の健康を維持する、あるいはこれ以上健康状態を悪くしないようにするヘルスプロモーションという役割が看護職に求められていることを考えれば、健康を維持・増進するということを中心とした保健師の教育が看護職から薄れて良いのかという意見があり、これを担保しつつどうするかと検討している。取得できる免許を大学の理念に基づいて決めても良い、学士課程を看護師教育のみとしても良い、保健師教育を含めても良い、というように自由に、選択性を取り入れようということで検討会を進めている。

 もう一つ出てきた問題が、今回7月に保健師助産師看護師法が改正となり、 保健師と助産師の教育年限が半分で良かったものが、1年という形に変わったことによって、大学教育の中にこれまで通り3つの職種の教育課程を収めることができるかという議論がある。保健師や助産師の教育を学士過程の外に出すことや、大学院にするという案があっても良いのではないか、と検討している。

 いま、保健師、看護師に求められているのは予防活動の担い手としての看護職、予防から生活の場での療養の支援まで地域支援力の強化が求められている、という課題がある。看護師、保健師の業務範囲の拡大・高度化も課題としてあげられる。

 また、学士課程における免許取得のための教育課程を複数入れることにより過密になり、大学本来の教育ができないのではないか、もう少し整理した方がよいのではないか、という検討がある。

 大学院に免許取得のための課程を持って行くと、大学院の教育はどうなるのか、といった問題が出てきている。

 また、看護職は卒業後すぐに即戦力として求められるが、すぐ役に立つようなものは専門職とは言えないのではないか、看護職が専門職であるならば、キャリアの中で育って行くものなのではないか、新人看護師の実践能力が低いなどと社会的に言われるが、学生の時に習得できる臨床能力を考えれば卒後研修はやむを得ないのではないかとの意見もある。そうすれば、就職して最初のつらい時期にゆったりと技術を磨け、離職の問題を乗り越え、キャリアを積んでいくような働き方も学べるのではないかと思う。

 看護系教員の方に求められるものは何なのか、とりわけ臨地実習の場における教育力をつけなければならない。

 学習成果の測定・評価方法の開発ということで、モデル・コア・カリキュラムの導入に向けた教育環境を検討している。たとえば、シミュレーション教育、スキルラボの活用、ポートフォリオを用いた教育方法、共用試験の検討など、医学・薬学教育で取り入れられてきたものを看護教育でも取り入れたいと考えている。

 最後に、分野別の評価システムの構築について、委託事業として開発を進めている。評価基準・評価体制については、昨年できているが、これをどう使っていくかが今後の検討課題となっている。看護学部のみの単科大学もあるが、国立の場合は医学部の看護学科、看護学専攻といった形がほとんどであり、単独で評価されにくいという問題があるなかで、どのように認証評価を進めていくのかが課題である。

 

《委員》 法科大学院が設けられたのは他の分野と共通で、大学・大学院における高度専門職業人の育成という流れに乗ったもので、国レベルで大規模に行った司法制度改革の柱の1つとして設けられたという特殊性がある。

 司法制度改革のスローガンとしては、国民にとって身近で、使いやすく頼りがいのある司法にしていくということである。それを支える質及び量ともに豊かな実務法律家を育成していく必要がある。ということで、量的な面では、当時、司法試験合格者が年700人であったところを平成22年頃に3,000人に増やすことを1つの目標としていた。ただ、闇雲に増やすのでは質が低下するだろうということで、質の維持・向上を図りながら増やしていこうと言うことになった。これまでは法学教育を必ずしも受けていなくても、司法の勉強をして試験に受かれば法律家になることができるオープンなものであったが、合格率3%という状況で、必ずしも十分な雇用能力を備えた人が法曹になっていないという問題があった。これらの問題を合わせて解決するため、法科大学院という独立の教育機関を設け、それと司法試験・司法修習を組み合わせた形で選別していこうというアイデアで作られた。

 ただ、新司法試験受験資格が法科大学院修了者のみに限られるという特権的な地位を得たことにより、当初からそれにふさわしいだけの質の保証を求められ、設置基準の中でも専門職大学院設置基準が設けられているほか、また認証評価についても5年以内に1回特別な評価を受けならない。現在3つの認証評価機関によって評価されているが、どの機関もかなり厳格な基準を設け、厳しく評価している。不適格になった場合は文部科学大臣のみならず法務大臣にも知らせが行くようになっている。同時に、社会的な関心も強く、社会の批判にさらされることが多くなっている。

 そういった仕組みに基づき、平成16年から17年にかけて、74の法科大学院が設置され、学生の定員総計は5,765名となっている。

 新司法試験は3年に渡って行われており、4,925名にのぼる最初の2年間の合格者については一線の法律家として活動を始めている。

 直近の20年度の試験については2,065人が合格し、合格率は33%だった。受験者が多いため合格率は低い数字にとどまっている。

 法科大学院の格差が大きく、司法試験結果だけ取り上げたが、合格者・合格率が0の大学からかなり高い数字の大学まである。

 ここ2年ほど前から社会的な関心の高まりから、法科大学院に対し様々な批判が行われている。様々な理由・立場・思惑があり、代表的なものは、法科大学院の教育の質、修了者の質が当初考えていたより高くないのではないか、ということが一致して言われている。その理由として、中教審大学分科会で検討したところ、十分な根拠があるものではなく、総体としては着実に整備されつつある、ということで一致した。ただ、一部問題があることも確かであるので、問題があるところについては批判を率直に受け止め、改善を検討してきたところである。

 中教審においては、平成20年3月から資料のとおり検討を開始し、今年4月にその結果をまとめた。そこでは4つの方策を提言している。入学者の質と多様性の確保、修了者の質の保証については入口と出口の質を確保し、それを支えるものとして教育体制を充実させ、質を重視した評価システムは質の保証を評価によって担保していく、という構成になっている。

 入学者の質の確保としては、2本の柱がある、まず、競争性を確保するということがある。受験者数を合格者数で割った実質的な競争倍率が2倍を切ると、実質的な選抜とは言いにくくなるということで、競争性を確保するために入学定員の見直し等の改変を図るべきではないか、ということが1本目の柱です

 2本目は、法科大学院に入学してくる方には、法学教育を受けてきた方とそうでない方がいるが、いずれについても適性試験を受けてもらうようになっている。論理的な能力等、法科大学院の教育に耐えうるだけの能力を測るものであるが、各適性試験実施機関において最低基準を設定してもらい、それを入学者選抜の最低基準とすることで質を確保する、というのが主要なものである。

 修了者の質の保証については、コア・カリキュラムに相当するものとして、修了時までに共通的に到達すべき目標の設定、それに沿った評価のシステムの実施を各法科大学院で考えてもらうというものである。

 この他、成績・進級判定の厳格化ですが、現在よりもさらに厳格にしていくということである。

 また、目に見えるアウトプットである試験合格者が著しく少ない法科大学院については、定員を含め抜本的に見直しを測ってもらう、というものである。

 共通的な到達目標の設定、モデル・コア・カリキュラムに相当するものについて、医学教育などと異なっているところは、医学教育においては大学における実習に入るための資格試験と位置づけているが、法律については司法試験を通ってから外で実習を行うため、コア・カリキュラムの達成度をどう評価するのか、というのは少し違った視点になってくるので、位置づけが難しいところである。また、医学については、ある問題については定説がある、と思うが、法律においては定説がないことが多く、色々な説がぶつかり合っているという現状を学んでもらうものであるので、他の分野の評価との仕方が違ってくる、というところを検討中である。

 教育体制の充実については資料のとおりであるが、ここでも入学定員の見直し、あるいは単独の法科大学院では存続が難しい場合、共同や統合を検討している。

 評価システムについて、3つの認証評価機関によって評価を行っているが、機関によって評価の仕方が違うのではないかということと、あまりにも細かな基準になってしまい、形式的な評価に流れてしまっているのではないかといった意見もあり、質を重視した重点項目のついた評価にしてほしい、ということを法科大学院特別委員会にて提言している。

 法科大学院を取り巻く状況として、法曹人口問題があるが、法律家教育が始まった頃は日本全国で2万人くらいで、先進諸国の中では国民の人口比で見るときわめて低い数値であったが、国民に対する法律家率を充実させるためには、さらに合格者を増やし、平成30年頃までに司法試験合格者を5万人規模にするべきではないかというのが基本的な計画である。しかし、法科大学院が多くできたことにより、合格率が低く押さえられてしまい、優秀な志願者が減ってきているのではないか、多様性を重視して集めた社会人や法学部以外の出身者の志願が減ってきているのではないか、という問題があるので、司法試験合格率を上げていかないと良い志願者が確保できないのではないか、という問題が1つ挙げられる;。

 もう1つは、5万人規模にしたところで社会的ニーズはあるのだろうか、ということについて、増加ペースを下げてほしいという提言が日弁連から出ている。現実問題として、法曹資格取得者の就職難が指摘されており、数の問題というのは深刻な問題である。また、教育の質を確保し、改善していくために適正な定員を考えていかなければならないということで、多くの法科大学院で早ければ来年度から、定員の削減を決定もしくは検討しているところである。

 最後に、改善の取組について紹介すると、文科省からの補助金等を得て、いくつかの法科大学院が共同で努力をしてきており、現在は、コア・カリキュラムの調査研究について、かなり多くの教員を動員して進行中である。また、今年度中に到達目標のモデルになるものを作っていくことを課題として動いている。

 今後期待される取組について、複数の法科大学院における教育課程の共同実施などが検討課題としてあげられている。

 

《委員》 まず、産学協働による教育の背景についてですが、情報は広く使われており、どういう教育をすればよいのかについて大学もとまどっている。社会からは、ITを使いこなす人的な力が求められており、今までは基礎力を持っていれば良かったが、実践力が非常に強く求められてきている。

 IT分野の先導的人材育成とは、技術を学ぶだけでなくそれを実用につなげることができ、新たな問題にどんどん対応できる人材を涵養する必要がある。

 次に、経産省と文科省の間で産学連携の人材育成について議論している。これからやらなければならないこととして、まず、企業とのインターンシップ。単なる就業体験やただの労働力としてではなく、教育として位置づけられたインターンシップとしなければならない。また、IT分野においては、7~8割が情報関係ではない学部出身の方が働いており、リカレント教育も大事である。大学に求められているのは大学教育機能の強化ということで、教員となる優秀な実務者についても、教員としてFDの実施について協力していこうとしている。教材、カリキュラムについても、産学連携の下にグッドプラクティスを作っていこうということが議論されている。

 その次に、産業界13社2団体、教育界10校2団体でIT分野におけるワーキンググループを設置し、人材育成をどう進めていくかトライアルを始めている。

 また、これまで日本は体系化された知識のみを教育してきた。しかし、今求められているのは即戦力であるということで、大学でその力をつけ、企業に入っても継続的に技術を展開していく能力が求められている。外国については、結果的にはうまくいっているように見える。多くの大学では、ソフトウェアプロジェクトというものをやっており、先生方が産業界から仕事を取ってきて、学生にそれを作らせ、その成果の中から学んでいくという教育方法がある。実際のものを作っているので、その時の技術は持っているけれど、それを超えていくのは、教育としてみたときは違うのではないか、と思っている。我々はOJTではなく、OJLという、大学に企業の開発課題を持ってきて開発していくという試みを行っている。

 最後に、大学でこういうことをやろうとすると、研究大学か教育大学かが問題となる。研究者としての教育が大事にされていて、職業人としての教育が大事であるということを明確に言われる大学の方はほとんどいない。高度技術者を教育するということと研究者を教育するということは非常に近いはずなので、そこのところをよく考えていかなければならないと考えている。

 高度専門技術者として役に立つには数年後だが、そのフィードバックがかかるまでは教育プロジェクトも長いスパンで見なければいけない。情報は技術の発展が早く、数年後では意味がないと言われるが、そういうところも問題である。

 あとは、大学の先生が企業の現場を必ずしも知らない。大学と企業は一方通行になってしまっていて往復がない。大学をあきらめた人が企業へ行き、企業をあきらめた人が大学へ行く、というようないわば直流の状況であるが、これを情報関係の分野においては、真の交流に変えていくことを考えている。

 

《委員》 知的財産の人材は、技術的な面でも、人材的な面でも非常に多様である。専門人材育成も多様である。2002年2月に小泉総理の施政方針演説で、知的財産について国家戦略、その中でも人材が重要だと宣言し、2002年7月3日に知的財産戦略大綱、そしてそれに基づく知的財産推進計画が出て、7年連続で出ている。その中に、知的財産人材について、育成と国民意識の向上を第5章に毎年記載している。

 知的財産推進計画2003には、「あらゆる制度を支えるのは人である」ということを宣言している。その中で、「権利化や紛争処理、知的財産ライセンス契約等の高度な専門サービスを提供する専門家の増員及び養成が急務である」とされている。そして、「融合系人材を目指す」というのが理念となっている。

 知的財産推進計画2005では、知的財産関連人材育成の総合戦略という概念をまとめ、2006年1月に知的財産戦略本部の名において決定されている。知的財産人材として、大学、企業、行政、法曹、弁理士など各分野において、総合的に融合的人材を育成するという総合戦略を国が策定している。

 知的財産人材の人口について、カウントの方法が色々あると思うが、現在6万人くらいだろうと認識されている。これを12万人に倍増したいという人数的な計画がある。具体的な目標は、「知財人材像の明確化」、「各知財人材のスキルの明確化」等がある。

 これらを踏まえた上で、専門的人材養成システムの在り方について、国を挙げて知的財産が重要視され、国際的競争力、経済産業の持続的発展のための源泉として期待されている。

 先ほど「知的財産人材育成総合戦略」について申しましたが、知的財産人材育成を官民挙げて進める必要がある、その中で知的財産権人材育成推進協議会が2006年3月に創設された。その中のメンバーは今回省略するが、知財関係の主な機関が入っている。ここには記載されていないが、日本経団連は当初から知財人材の養成・育成に努めており、委員会を持っている。

 専門的人材養成の質保証の在り方について、非常に理念が多様化していると思う。知的財産人材に関して、評価指標の充実を図るということで、技能検定制度、正確には知的財産管理技能検定という形で国家資格に認定して1級、2級、3級を設けている。ただ、これは知識を求めるのではなく、実務を見たい、という考え方である。2007年に、企業に求められるスキルを明確化しようということで、知財人材スキル基準を経産省中心で策定した。ここでは実務、経験を知財人材スキル基準として統一化していこうという考え方である。

 知的財産教育には色々あって、専門職大学院があるが、知財人材の専門家として育成するために、弁護士、弁理士に限らず、技術的な観点もプラスするということで対応している状況である。

 専門職ごとの実務能力を評価する制度を充実させるということで、特許検索競技大会や専門職種ごとの研修や検定の充実を行っている。

 結論として、知的財産人材は多様であり、その在り方についても多様であるが、幸いにして国家的に知的財産推進計画第5章で毎年このことについて、基本的な政策戦略を提言し、それに沿って産官学が協力している。質保証の件については、難しいが、できるだけ包括して進めていこうというのが国の方針である。

 

《委員》 知財の分野の悩みというか、基本的な問題として、国家資格あるいは試験制度につながる分野は質保証がやり易いと思うが、それ以外の分野では非常に難しいと思う。

《委員》 工学分野のようにJABEEのようには評価機関が特定できるところについては方法もあると思うが、特定できないとちょっと大変だと思う。国家資格を作ったりするしかないのではないか。

 医学教育について、国際的に教育プログラムがどういう位置付けになるかについて何かないでしょうか。

《委員》 なかなか難しい問題である。例えば、日本の資格というのはアメリカでは全く通用しない。逆にアメリカで免許を取っても日本ではまた国家試験を受けないといけない。

《委員》 EUでは医師資格の相互互換が行われているが、東欧諸国などの加盟国との格差が問題となり、医学のプログラムをチェックしようということで国際的な組織を作って取り組み始めた。そういったところまで、医学の分野では最終的にいくのかと思うが。

《委員》 やはりどの分野でもそうしたことは必要ではないか。しかし、今のところ、日本とその他の国では壁がある。

《委員》 同じ質問を看護の分野にもしたい。今度、EPAでインドネシアから看護師が来ることになっているが、その人たちは日本で資格を取るというのが最終的には条件になっていると聞く。本当に日本と同じ資格試験で良いのだろうか。

《委員》 看護師の免許についても、EUではかなり流動的になっていて、教育レベルの違いがEUで問題になっている。そのために看護師の能力をどう測っていくかという研究がなされている。他の国に比較して、イギリスは看護の質が高く、他が低いので外国から集まってくるけれども、イギリスの看護の質が保たれるのかが問題となり議論している。

《委員》 質の問題に関して、一番問題となっているのは看護の分野だと思う。看護の分野は既に外国人も相当数入ってきているので、どうするのか考えなければならない。質保証を緊急に考えなければいけない分野もあるということでしょうか。

《委員》 看護分野について、課程終了後の研修が努力規定になるということであるが、身分とか給与とかカリキュラムとかはどうなっているのでしょうか。

《事務局》 保健師助産師看護師法の改正で、昔の医師法のように努力義務になるということであるが、どのように実施するかについては具体的な方策はまだ出ていない。

《委員》 研修問題というのは1つ間違えると昔の大学紛争ではないけれども、色々な問題になりかねない。

 評価の問題で、法科大学院は色々やってきて、まだほとんど結果がでていないのにどうして質が悪いといえるのだろうか。

《委員》 元々、新しい制度への切り替えについて、抵抗、あるいは反対していた方々がいて、そういった方が手を変え、品を変え批判をしている。

 不適格というのは基準を満たしていないということなんだけど、それが質が悪いと拡大解釈されて使われている面があるので評価が非常に難しい。

 すごい労力を使ってまじめにやっているが、まじめにやればやるほど厳しくなる。

《委員》 法科大学院の認証評価は、他の評価に比べて非常にきちんとしているのに、評価基準にばらつきがある等様々な批判を浴びている。一生懸命やればやるほど、評価されない社会ということなのかとも思う。

《委員》 評価をするほうもされるほうも疲弊してしまって、肝心の教育に集中できないのは問題ではないかと思う。

《委員》 イギリスは、大学評価について、一時非常に厳しい評価を行った、その結果みんな疲れてしまったということで、効率的になり、ライトタッチに切り替えた。日本ではそのような軌道修正がなかなか難しく、いつまでもずっと同じシステムでやろうとするので、心配である。

 「お前のところの評価委員はもう絶対に引き受けない」という人が非常に増えてきている。では、評価委員がいなくなるのかというと、そうではなくて、やりたい人間はいっぱいいて、クオリティの低い人がどんどん入ってくるということが起きる。同じシステムで評価を続けるのは非常に危険である。

《委員》 法科大学院については、メリハリをつけて、重点項目を設定して、そこに評価をしていく方に切り替えをしていこうとしている。

《委員》 評価をする側が世の中を啓蒙しないといけない。マスコミ、政治家は、少し効率化するとすぐ手抜きだと言う。そうではない社会にしないといけないと思う。

《委員》 国家試験で資格を取ると言うのが一番わかり易いけれども、認定されたプログラムを取ったものがただちに良いものだというのが先行すると本末転倒となる。良ければ、輩出した大学の学生が良いということが評価として定着する。質の問題は大切だが、上手く利用していかないと議論が変な方へいってしまって、大変だと思う。

《委員》 漢検など現在日本には約5,000種類の検定試験がある。うち国家資格に関わる検定試験が1,000ほどある。こんな国は日本だけ。異常に資格好きの資格マニアの国民で、評価とはそのような検定試験のイメージで捉えている人が多い。今一度、評価は何のためにあるのかをきちんと考えていかないといけないと思う。

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