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資料3-1 大学における社会人の受入れの推進について(検討試案)

大学審議会・中央教育審議会の審議

 大学における社会人の受入れ推進については,大学審議会・中央教育審議会で累次の提言を行い,これを受け,各種の制度改正が実施された。
 大学分科会は,本年6月の「第一次報告」では,我が国の大学教育の量的規模について,我が国の大学が社会人の多様なニーズを持つ者を対象とする教育機関に転換することを想定した上で,社会人,高齢者等の大学就学の充実等を踏まえた検討を提言した。

【大学分科会「第一次報告」(平成21年6月)】

2 大学全体に関わる事項
(1) 大学教育の量的規模を検討する際には,我が国の発展に大学が果たすべき役割にかんがみ,社会人,高齢者等の大学就学の充実やグローバル化を踏まえなければならない。
 大学教育の構造転換を果たしていく中で,18歳人口を主たる入学者として想定する現行の大学教育を,一人ひとりにとって,恒常的に知識技能を身につけられる場に大きく転換していくことが強く求められる。国の内外から幅広い年齢層の者が集ってともに学ぶことは,高度な研究と全人格的な教育を行う大学の内的欲求にも応えるものである。
 これまでも「将来像答申」等の累次の答申を通じて,大学教育を通じた生涯学習社会の推進に関する提言を行ってきたが,その具体化をさらに進める検討が必要である。
 近年,我が国では社会人学生の入学は停滞している。例えば,社会人学生を積極的に受け入れているとされる大学院の専攻は800程度存在し,これは,全体のほぼ半数となる。しかしながら,その多くの実態は,ほぼ従来型の大学院であり,十分に社会人に対応したものとなっていないとの指摘もある。大学が多様なニーズと潜在的な需要があると想定される中で,どのように対応するかが問われている。

検討課題(例)
ア 18歳人口だけでなく,我が国の人口全体が減少期を迎えた中,我が国の発展に大学が果たすべき役割にかんがみ,社会人,高齢者,留学生等の大学就学の充実やグローバル化を踏まえた量的規模の検討。

 1.社会人の受入れの推移

(1)社会人入学者数
(諸外国と比較して低い日本の大学生に占める社会人比率)(参考資料P1~3)
○ 国際比較によれば,欧米の多くの国では,大学生の一定の部分を25歳以上の者が占めており,OECD平均では,入学者のうち25歳以上の者の割合は20.6%であるのに対し,日本では2.0%。また,アメリカやドイツでは年齢階層を問わず高等教育学歴取得率が一定であるが,日本は年齢階層が上がるほど高等教育学歴取得率が低い。
 すなわち,日本は諸外国と比較して,1.中等教育修了後ただちに高等教育に進学する者の割合が高く,一旦就職等した後に高等教育に進学する者の割合が非常に低い,2.年齢が上がるにつれて高等教育修了者の割合が低くなる,といった特徴がみられる。

(停滞している社会人受入れ)(参考資料P4~7)
○ 大学学部への社会人入学者数は5,228人(平成10年度),通信制への入学者(放送大学を含む)を含めても18,340人(平成13年度)をピークに減少傾向。社会人入学者数は通信制の方が通学制を上回っているが,近年は通学制,通信制ともに社会人入学者数が減少。社会人入学者の全入学者に占める割合は通信制も含めて2%前後。
  大学院への社会人入学者数は,増減があるものの近年は増加傾向にあり,平成20年度は18,799人。そのうち通信制(放送大学を含む)への入学者数は1,100人程度。社会人入学者の全入学者に占める割合は,近年は17~18%である。課程別では修士課程が11.8%,博士課程が34.3%,専門職学位課程が40.7%(ともに平成20年度)。

(2)社会人の大学での学修ニーズ
(社会人の教育機関の活用)(参考資料P8,9)
○ 就業者を対象とした調査によると,勤務時間外の学習のために活用したことがある教育機関としては通信教育が約20%,専門学校・各種学校が約9%に対し,大学は約6%。一方,教育機関を活用したことがない者の割合が60%を占めている。
 また,大学卒業以上の学歴を有する社会人を対象とした意識調査によると,「リカレント教育を受けたい」又は「興味がある」と回答する者は約90%を占めており,利用したい教育機関としては大学院が約46%,大学が約20%となっており,短期大学,高等専門学校も含めた高等教育機関が全体の3分の2を占めている。

(社会人のリカレント教育の受講意識)(参考資料P9)
○ また,実際に学修するに当たっての課題としては,業務多忙あるいは雇用者の理解が得られないことのほか,職業生活と学修の両立を図るに当たっての費用や学修時間の確保,勤務時間と受講時間の調整等に不安があることや,魅力的なカリキュラムが得られないこと等が挙げられている。

2.社会人の受入れ推進に関するこれまでの取組

(1)大学設置認可における取扱い(参考資料P10,11)
 大学の学部等の新設及び収容定員の増加は,昭和51年より平成14年まで原則として認可しないという抑制方針を採っていたが,「勤労者等を対象とする夜間学部,通信教育等」「社会人,留学生,帰国生徒の受入れに積極的に対応するもの」で必要性が高いと認められるものについては,抑制の例外として認めることとしていた。
 なお,抑制方針は平成15年度より原則として撤廃されている。

(2)大学制度の弾力化等
(大学制度の弾力化)(参考資料P12~14)
○学習・通学時間等に制約のある社会人に大学での学修機会を拡大するため,
・社会人学生の入学資格の弾力化(平成元年など)
・夜間大学院(修士課程は平成元年,博士課程は平成5年)
・昼夜開講制(学士課程は平成3年,修士課程は昭和49年,博士課程は平成5年)
・「メディアを利用して行う授業」の授業の方法への位置づけ(平成10年)
・大学院修士課程の短期在学コース(平成11年)・長期在学コース(夜間大学院は平成元年,その他の修士課程は平成11年)
・早期卒業(学士課程は平成11年,修士・博士課程は平成元年)
・長期履修学生制度(平成14年)
等を制度化。

(通信教育の充実)(参考資料P12,13)
○通信教育に関する基準として,
・大学通信教育設置基準(昭和56年)
・短期大学通信教育設置基準(昭和57年)
を制定。大学院については大学院設置基準の改正により,
・通信制修士課程(平成10年)
・通信制博士課程(平成14年)
を制度化。
 通信制の大学学部・短期大学については平成13年の省令改正により,卒業に必要な単位のすべてをインターネット等の「メディアを利用して行う授業」で修得することが可能。

(科目等履修生制度及び履修証明制度)(参考資料P12,14)
○また,大学の学生でない者へ学修機会を提供し,その学修成果を適切に評価するため,
・科目等履修生制度(学士課程は平成3年,修士・博士課程は平成5年)
・履修証明制度(平成19年)
を創設。
 科目等履修生制度により単位を修得した者が大学に入学した場合,各大学の判断により,当該単位を卒業に必要な修得単位に一定程度算入することができ,また,入学前の学修量に相当する年数を,入学後の在学期間に通算することが可能となっている。

(3)主な制度と各大学の取組み状況(参考資料P15~P32)
 社会人を主な対象とした専攻等については,入学者選抜,授業時間(夜間や休日),授業を行う場所,修業年限,授業方法(通信による教育など,対面授業以外の方法)等について,2.に示した制度等を組み合わせて導入している例がみられる。
 しかし,こうした社会人の多様な学習者の利便に配慮した履修形態を設定している専攻は,一部にとどまっている。

・社会人特別入学者選抜:実施校数は大学学部・大学院ともに増加している。ただし,一部の専攻に限定されている状況)。

・夜間における授業の実施:大学学部は,夜間学部・昼夜開講制ともに設置校数が減少。ただし,夜間学部を廃止して昼間主コース・夜間主コースに区分しない昼夜開講制に移行した大学の例もみられる。学生数は,約12万5千人(平成7年度)をピークに減少し,平成20年度は約5万6千人。
大学院は,夜間大学院は設置校数が横ばい。昼夜開講制も設置校数は横ばいだが,研究科数は増加。学生数は,平成21年度で約4,200人。

・サテライト教室:設置校数は近年100校前後で横ばい。複数キャンパスのうち利便性の高いキャンパスにおいて,社会人を対象とする専攻の授業を実施する等の事例もみられる。

・標準修業年限の弾力化:大学学部については,早期卒業の実施校数は増加しているが,早期卒業者は年度により増減がある。長期履修学生制度の実施校数・学部数は増加しているが,受入れ学生数は制度創設時以降減少し,平成19年度は52名と,実施学部数より少ない状況。
 大学院については,早期課程修了の実施校数,早期課程修了者ともに増加。短期在学コース・長期在学コースの設置校数は増加。長期履修学生制度の実施校数・研究科数,受入れ学生数ともに増加し,学生数は約1,700人。

・通信教育:大学学部(放送大学を除く)の設置校数は増加傾向にあり,平成20年度で41校。学生数は,増減があるものの近年は15万人程度。(なお,通信制の学生数は通学制の学生数の6%程度)。
通信制の大学院(放送大学を除く)は,設置校数・学生数ともに増加(なお,通信制の学生数は通学制の学生数の1%程度)。
通信制の短大の学生数は平成6年の4万3千人をピークに,現在は2万3千人程度。

・科目等履修生制度及び履修証明制度:科目等履修生制度を実施する大学・大学院数は増加。科目等履修生数は,大学学部は減少,大学院は増加。
履修証明制度は平成19年度に創設され,本制度を活用した取組が進められている。

(4)魅力ある教育プログラムの提供
(対象者や人材養成目的の明確化)(参考資料P33~P41)
○ 社会人を主な対象とした専攻等については,対象者や人材養成目的を明確に設定しているものがみられる。
  具体的には,対象者については,1.就業者の専門的能力の向上,2.職業資格保有者(看護師,教員等)で休職・退職した者の復職支援,3.求職者等の就業支援,4.高齢者の就業・社会参画支援,などを設定している例がみられる。
 人材養成目的については,5.専門性の向上や新たな専門性の獲得を目指すもの,6.地域の人材需要に応えるもの,あるいはその開拓を目指すもの,7.地域の人材需要にとどまらず,広くの現代的課題の解決に貢献できる人材等の養成を目指すもの,などがみられる。

(産業界や他大学との連携・協力)(参考資料P41)
○ 教育内容の編成や授業の実施主体については,大学単体で行っているもののほか,8.企業等の産業界と連携・協力して行っているもの,9.大学コンソーシアム等大学間の連携・協力により行っているもの,などがみられる。

(5)社会人の大学修学にかかる負担の軽減
(学生の経済的負担の軽減)(参考資料P42~44)
○ 社会人の大学修学にかかる経済的負担の軽減については,
1.各大学において実施する社会人を対象とした奨学金事業や授業料等の減免制度等のほか,
2.大学が提供する教育プログラムの一部については,教育訓練給付制度における指定講座となっており,雇用保険の被保険者等が指定講座を受講し,その費用を負担した場合は,公共職業安定所より負担した費用の2割(上限額10万円)が給付される。
 また,
3.学生の雇用者の経済的負担の軽減策として,社会人を大学に派遣する企業等の経済的負担軽減策としては,中小企業が雇用者を大学等に派遣して教育プログラムを受講させた場合に活用できる税制上の優遇措置(法人税額控除)がある。

(大学修学を目的とした休業制度)(参考資料P44)
○ 公立学校教育職員については,専修免許状の取得を促進するため,平成12年に大学院研修休業制度が創設された。国家公務員については,平成19年に「国家公務員の自己啓発等に関する法律」が制定され,大学等における修学や国際貢献活動を希望する職員に対する休業制度が創設された。また,これら制度と類似した制度を設ける国立大学法人の例もみられる。なお,これら制度による休業期間中は,職員の身分が保証されるが無給となっている。

(6)学修成果の雇用先での初任給や昇給への反映(参考資料P45)
○ 公務員では,採用時に修士・博士の学位を取得した場合,初任給において学位取得を勘案。また,民間企業でも,初任給で学位のレベルを評価しているところもみられる。
 就業後に被雇用者が上級の学位を取得した場合に,これを評価して昇給が行われるといった処遇への反映を行う雇用者の例は,公務員・民間企業を通じてみられなかった。

 

3.社会人の受入れ推進についての検討の視点(例)

(社会人の受入れ方針の明確化)
○ 社会人の受入れ推進については,大学の機能別分化を前提として,各大学が自らの教育理念・教育目標に基づき社会人の受入れ方針を明確に定めた上で,保有する教育研究機能を活用した教育プログラムの開発,提供を進めることが肝要ではないか。

(獲得できる知識・技術体系等の明確な設定)
○ 社会人の学修目的や求める学修成果に的確に応えるためには,獲得できる知識・技術体系等を明確に設定した体系的な教育プログラムを編成するとともに,その内容をあらかじめ明示するといった取組が必要ではないか。

(学修成果の評価)
○ 履修証明制度の活用をはじめとして,学修成果が職業生活等において適切に評価,活用されるためにどのような取組が必要か。
 その際,特に,学修成果と職業能力との関連性を高め,学位や履修証明が職業能力の評価としての価値を高めていくための取組が必要ではないか。

(産業界や大学間の連携・協力)
○ 各大学の教育研究機能をより一層発揮しつつ,社会人の学修ニーズに対応した教育プログラムを編成し実施するため,企業や経済団体等の産業界や地方自治体等の公的機関との連携・協力や,大学間の連携・協力をどのように図っていくべきか。

(職業生活と両立できる学修環境の整備)
○ 各大学において,社会人の職業生活等と両立できる学修環境の整備を一層進めるために,どのような取組が必要か。この点に関して,履修形態の弾力化を図る各種制度の一層の活用を各大学に促すためにどのような方策が考えられるか。

(大学修学にかかる負担の軽減)
 また,修学に係る経済的負担軽減策の検討とともに,社会人の雇用者である企業等に対して被雇用者の能力向上のための大学教育の活用を促す方策としてどのようなものが考えられるか。

(情報提供の在り方)
○ 社会人の学修に配慮した教育プログラムをより多くの社会人が活用できるよう,これらに関する情報の提供の在り方についてどのような工夫が考えられるか。

(社会人の受入れ規模の検討)
○ 上記のような取組が進められることを前提として,大学教育における量的規模の検討に当たって,社会人学生について,どの程度の規模を想定すべきか。

 

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高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

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