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大学規模・大学経営部会(第6回) 議事録

1.日時

平成22年2月18日(木曜日)13時~15時

2.場所

金融庁13階 共用第1特別会議室

3.出席者

委員

(委   員)金子元久,郷通子の各委員
(臨時委員)今井浩三,樫谷隆夫,河田悌一,黒田壽二,佐々木正峰,佐藤弘毅,佐藤東洋士の各臨時委員
(専門委員)大森繁,佐々木元,中村量一,日吉雄太,山本眞一の各専門委員

文部科学省

清水文部科学審議官,德永高等教育局長,河村私学部長,加藤高等教育局審議官,藤原会計課長,義本高等教育企画課長,村田私学行政課長,伊藤私学部参事官,榎本高等教育政策室長,今泉大学改革推進室長,今村高等教育政策室室長補佐 他

オブザーバー

(意見発表)両角亜希子 東京大学大学院教育学研究科講師

4.議事録

(1)両角東京大学大学院教育学研究科講師から資料1の発表があり,その後意見交換があった。発表と意見交換は以下のとおり。

【両角講師】
 本部会の金子部会長が研究代表をされている東京大学の大学経営政策研究センターで行いました「職業人と大学教育」調査から,特に社会人の大学院進学需要などについてお話ししたいと思います。
 まず,調査はどのように行ったかということですが,1ページ目の下の図をご覧になってください。
 全国に約572万件の事業所があるのですが,その中から5万事業所を抽出して,それを調査対象にしました。この5万事業所に対して人事担当者にその事業所の方針について回答していただく形と,人事担当者からその事業所にいる個別の大卒社員5人に調査をお願いするといった形で,2つの調査を実施しました。
 最終的な回答数ですが,人事担当者については8,777票,大卒社員については2万5,203票という,大規模なデータを得ました。
 次ページですが,事業所という概念があまり知られていません。この調査の結果を発表をすると,事業所に関する質問に終始してしまうので最初に説明しておきたいと思います。事業所は,企業とは少し違います。物やサービスの生産単位で,東京本社,名古屋支社,広島工場とか,そういった本社や支社という個別の単位が事業所になります。事業所を対象としますと,全国的に漏れなく調査対象になることや,企業に比べればサイズが小さいので協力を得やすいということで事業所が対象になっています。
 私たちの調査は,大卒社員がどのように働いているのか,大学教育をどう評価しているのか,どういう大学院教育に対する需要があるのかを尋ねた調査で,非常に意味がある調査なのですが,この結果を見ていただく際の留意点を説明いたします。
 1点目の留意点は,対象者が大卒の方のみという点です。この部会で関心に上がっています社会人の大学進学需要の分析に関しては,データとして限界があることをあらかじめ申し上げておきたいと思います。例えば,専門学校や短期大学を出た人が,働いた後にまた学歴が必要ということで大学に帰ってくる学びのパターンが一般的にはかなりあると思いますが,そういったものはこの調査では拾えません。
 2点目の留意点は,調査対象者は民営の事業所のみです。例えば公務員や学校の先生は入っていません。
 3点目の留意点は,事業所の従業員規模を30人から1,000人を対象としました。下の図をご覧いただくと,実は全体で29人以下の小さい事業所が約半数を占めています。我々が調査をしたかったのは,大卒者がいる事業所でしたから,そういった方が割と多くいる規模のところに調査対象を限定しています。
 4点目の留意点は,社員データが比較的小さい企業のサンプルに偏っていることです。事業所の規模にかかわらず大卒社員5人だけに調査しているので,どうしてもそうなってしまいます。
 こういった留意点がありますが,これまでにない大規模調査であり重要であることには変わりません。次からは結果について見ていきたいと思います。
 最初に,学習状況についての調査です。3ページになります。大卒の職業人のこの1年間に限ったものです。どういう方法で学習しているかといいますと,書籍などで学ぶのが68%と最も多く,あとは講習会などです。いわゆる大学,大学院や専門学校などに入って学ぶ方は少ないです。
 学ぶ内容については,仕事に必要な専門知識を学んでいる方が多いです。
 学習に時間と費用をどれだけかけているのかに関しては,1週間当たり2時間未満の人が約46%,続いて2時間から3時間の人が21%と,割と時間としては短い方が多いのですが,8時間以上かけている方も15%います。1カ月の費用も,あまりお金をかけてなく,1万円未満の方が約7割です。ただ,その一方で,1カ月に7万円以上かけている方も5%います。
 次ページでは,学習の時間と費用に影響を与える要因として,必要性と制約条件が影響を与えているだろうということで分析したものです。ここでは,学習時間にしても,学習費用にしても,仕事で必要な知識,特に特定の学問分野の中心となる考え方や知識が必要だと感じている人ほど学習をしていることが,職種にかかわらず見られることが1点です。
 もう1つは,制約条件ですが,どれぐらいの年収があるのかということで,こういった学習に時間とお金を投資できるのかということについて,違いがあるのかということですが,もちろんその影響はあると出ています。
 ただ,職種によって違っていて,技術系の方だけはその影響があまり見られない。事務系や営業系だと,年収が高い人ほどよく学習しているような関係が明確に見られており,学習することに対しては,必要性と制約条件の両方が影響を与えていることになります。
 続いて5ページですが,社会人の大学院に対する需要がどのぐらいあるのか分析をしたものです。修士課程に対する需要について聞きますと,約半数は「興味がある」と答えていますし,約2割は「機会があれば進学したい」と,かなり前向きに答えています。ただ,ここには記載がありませんが,学位未満の資格を与えるような履修証明や講習は,あまり認知されていないのか,興味がない人が55%と結果が出ました。こういった学び方があまり知られていないのかもしれません。
 続いて,修士課程にどういう人が興味を持っているのかを,とても単純ですが,属性別に検討したものが幾つか出ています。まず性別ですが,大学院進学に対する関心で男女差はほとんど見られませんでした。続いて年齢ですが,50代以降になりますと関心が薄れていく傾向があります。ただ,20代,30代,40代についてはほとんど傾向が変わらないことがわかります。
 次ページにいきまして,地域差ですが,地域をここでは簡単に大都市圏の首都圏と京阪神,地方中核の政令指定都市や大都市を持っているような都道府県,それ以外の県の3つに分けてみました。これを見ますと,ほとんど結果は変わらない。つまり,どの地域でも一定の需要があることがわかるかと思います。したがって,社会人大学院自体は都心を中心に増えていますが,地方でニーズがないかというと,そういうわけではないことを示していると思います。
 4の出身大学ですが,どの大学を出ているのかも全部聞いたので詳しくわかるのですが,ここでは,いわゆる銘柄大学と言われるところと,そうではないところで差があるのかを単純に見たものです。これを見ますと,割と銘柄大学と呼ばれる大学を出ている人のほうが興味を持っていることがわかります。
 続いて7ページ目の年収ですが,年収についてはほとんど差が見られません。低くても高くても,一定の人が興味を持っているといった傾向で,これは細かく見ていったところでほぼ同じでした。
 6の業種ですが,これはかなりの違いが見られました。特に,左側のほう,例えば教育・学習支援,あるいは鉱業は38サンプルしかないので少ないのですが,あと情報通信業,医療・福祉など,こういった分野で大学院進学に関心を持っている人が多い。その一方で,あまり関心を持っていないのが農林漁業や建設業などで,産業によってかなり違いがあるということが明確に出てきました。
 続いて8ページ目の職種ですが,これは入職の際にどういう資格で入ったかを3つに,「技術系」,「事務・営業系」,「そのほか」と聞いているのですが,この「そのほか」で大学院進学に対する需要が最も大きいことがわかりました。「そのほか」って何かということですが,大半は何か特定の新しい専門職のようなものが出てきているようで,その人たちのことを指しているようです。
 以上の結果は,個人の属性の影響よりも,産業や職種の影響が大きいことがわかります。この要因として,おそらく,産業や仕事によって,仕事に必要な知識,何が求められているのかという違いが進学需要の違いに影響を与えているのではないかと考えました。ここでは,産業と職種によって進学需要が違うことがわかりましたが,産業と職種の関係がどうなっているのかを9ページ目では見ています。これを見ると,例えば医療・福祉や教育系では,「そのほか」と呼ばれる新しい分野の特定専門職がすごく割合を占めていることがわかりますし,技術系が多いのは情報通信,建設,電機・ガス,製造業や鉱業であり,事務・営業系が多いのは金融や不動産といったように,産業によって職種もかなり違いがあることを示すためにここでこの図を載せています。
 続いて4で,仕事にどういった知識が必要なのかということで,業種別と職種別で違いが見られるのかということを続いて示しています。10ページ目で,業種別の違いを見ていまして,どの業種でも一番大事なのはコミュニケーション能力,続いて一番右にある,仕事に関係する専門的な知識となっている点では同じですが,よく見ていくと,例えば,教育,医療のところでは,様々な能力を特に重要だと認識されている傾向があるとか,あとは,電機・ガスや情報通信については,わかりやすく文章を書くとか,論理的な考え方がより重視されているとか,産業によって多少の違いがあることがわかると思います。
 続いて11ページ目で,職種別で,技術系,事務・営業系,そのほか(特定専門職)でどう違うかということですが,一般的な能力,コンピテンス系よりも知識系で割と違いが大きく出ていると思います。コンピテンス系についても,「コミュニケーション能力」は,そのほか(特定専門職)のところで高い傾向があります。知識系については,「仕事に関係する知識」は技術系とそのほか(特定専門職)で高いのですが,「一般的な教養」については事務・営業系とそのほか(特定専門職)で高いというように,職種によってどういう知識が仕事で必要かといった違いがかなり明確に出ていると思います。
 続いて,12ページからは,大学院進学の目的と障害で,こういった仕事上の知識のニーズから学びたいと思うのですが,どういう目的で学ぶのか,何が障害なのかを修士課程に興味があると言った人だけの意見分布を見てみます。まず入学の目的については,「現在の仕事を支える広い視野」が一番多い。続いて,「先端的な知識」や「仕事に直接必要な知識」で,「人的なネットワーク」が主目的になることはないですし,「現在とは違う職場・仕事につくための準備」も少ないです。これについては,職種別でも多少傾向が違うことが出ていると思います。入学の障害については,時間と費用の障害が最も大きい。職種別による違いも見られませんし,地域別や様々な類型別に見ましたが,ほとんど差は見られません。
 続いて13ページ目で,働きながら学ぶための条件で,ここでは地域別の違いを示しましたが,大都市圏に行くほど夜間や土日に授業があることが大事ですが,それよりももっと地方に行ってしまうと,インターネットの授業が重要と考えるなど,地域によって条件が少し異なっていることがわかります。
 以上が,大卒社員に対して聞いたことですが,事業所に対しても聞いており,それについて見たのが14ページ以降になります。大卒の需要に対して業種別に見ますと,これまでは教育学習支援や電機などで増えていて,これからも増やしたいと言っているのは電機・ガスなど,これまでも採用してきた企業がこれからも増やしたいと考える傾向にあることがわかっています。
 続いて大学院卒の需要ですが,教育や情報通信で,これまで3年間採用を増やしてきたことがわかります。これは実際に社員が大学院への進学に興味を増やしている分野と,かなり重なっていると思います。これから増やしたい分野はどこかというと,そういったものに加えて,電機・ガスや製造業などでも大学院卒を増やしたい需要を持っていることが15ページからわかると思います。
 16ページ目,これは重要な図だと思いますが,大学院進学に対して約半数の社員は関心を持っていますが,事業所自体がどういった方針なのかを尋ねました。そうしますと,業種によらず,「原則として大学院進学を認めていない」と答えている事業所がかなり多いため,企業と社員のギャップが相当大きいことがわかりました。ただ,業種によって少し違っていて,例えば教育や医療分野は他の業種に比べると,割と条件付きで認めています。例えば,上司の許可が必要とか,勤務条件で配慮するといった形でやっている傾向がありますし,あと,電機・ガス,情報通信系も,今後は検討するとか,特定の者は派遣するとか,少し違う傾向があります。業種別でも多少違いますが,全体としては事業所が認めていないことが社会人の大学院進学が伸びない原因として結構大きいということがわかります。
 最後は参考ですが,先ほど,どの地域でも全く同じように需要はあるという図を6ページ目でお示ししました。これを詳しく見たのですが,ここでの作業は,地域別に,大学院に興味があると答えた人の規模がどういう業種と職種に分かれているのかを示したものです。
 業種が7種類,職種が3種類で合計21通りありますが,どの地域でも大まかにこの7つの類型によって占められているというように,確かに地域によって進学需要が似ている傾向はありました。ただ,教育,医療,建設や製造は,その地域によって多少違いがあります。今回は地域を3つとかなり大きな区分に分けていますが,今後もっとブレークダウンして考えていく際には,その地域の産業との関係でどういう需要があるのかを考えていくことが重要なのではないかということを示していると思います。
 つまり,社会人の大学進学の需要は,どういった業種であるか,あるいは,そこでどういう仕事の働き方をしているのかがすごく影響を与えているということです。また,事業所自体の方針で縛られていて,なかなか伸びない側面があるのではないかという,主に2点がこの調査から言えることではないかと思います。

【佐々木元委員】
 特に,16ページのデータについて伺いたいのですが,この電機ガス,情報通信の場合に,「原則として認めない」という33.7%と,「今後,奨励の方向で検討」と将来に含みを持たせた数字が10%を超えているのですが,これが企業内の研修とどのような相補的な関係があるのか。要するに企業内でそれなりの手当をしているから,そういうものをまず優先的に考えたらいいのか。逆に言うと,企業内で対応できないものについては,むしろ派遣するといった方法をとっているのか,これはなかなかデータが取りにくいと思うのですが,企業内の研修との相補的な関係で何か知見がございましたら教えていただければと思います。

【両角講師】
 企業内研修との直接の関係は尋ねていませんが,大学院に対する需要は,仕事に直接役に立つことや最先端の知識ということよりも,今の仕事をとらえ直す幅広い視野といったことに対して結構需要があるのではないかという傾向がありました。このように,企業内の研修とは少し違う意味付けがあることが調査からは伺えます。

【金子部会長】
 一般的には企業内訓練は大企業が完備していると思いますが,驚くほど企業の規模との関係はない。大企業でも中小企業でも同じような傾向が出ていますので,むしろ大企業でも満たされていない事情があるのかもしれないと思います。

【佐々木元委員】
 私どもの場合においても,例えば,幹部候補生の育成のための研修は,企業内の研修プログラムでは対応できないということで,他の企業の方々と共同で一橋大学と一緒にプログラムを作成しました。確かに内容によっては大企業であっても企業内では対応ができなく,そういった連携を必要とする内容があることは確かです。
 また,地方の企業の場合は,その地域で,大学との連携を企業何社かと連携をとるような方法も必要になってくるのではないかと思います。金子部会長のご指摘の点,そういう内容だと理解しております。

【山本委員】
 大学院ですが,入学の障害として,16ページにあったように,かなり多くの企業が原則として認めないということを知って驚いたのですが,ただ,12ページに,個人としても職場の理解を得られないということが3割あるのは,何となく符合するような感じもあります。しかし,勤務時間が長いとか,費用が高すぎるということがもっと高いパーセンテージになっておりま。このあたりは,例えば12ページの入学の障害で言う5つの制約条件は,お互いに関連し合っているのではないかと思います。例えば,費用が高過ぎると思っている人と,自分の要求に適合した教育課程がないということとは,かなり高い相関があるのではないかと思いますが,その辺はいかがでしょうか。
 それから,13ページに働きながら学ぶための条件として,何が必要か色々と挙げられておりますが,例えば,社会人が割とよく活動していると思われる語学学校やスポーツ・健康関係のプラクティス等は,早朝営業がありますが早朝というオプションはここでは聞いておられないのでしょうか。

【両角講師】
 早朝のことは聞いていません。
 最初の質問ですが,相関がある程度あるのではないかということは,確かにそのとおりで,大学院に興味がある者だけの結果を示したのですが,真剣に興味がある人ほど色々なものを障害として捉えている。例えば,時間について6割,費用についても5割の人が障害だと思っていることは,1つだけが障害ではないということです。

【今井委員】
 9ページですが,「医療・福祉」と「教育・学習支援」のところで,「そのほか」の職種の方が多くなっています。説明では「そのほか」という定義がはっきりしなかったのですが,特定専門職系というのはどういう職の方か具体的に教えていただければと思います。

【両角講師】
 我々も,「医療・福祉」と「教育・学習支援」で,「そのほか」が多いので何だろうかと関心を持っています。今回の調査票では,この3区分以外に技術系,事務,サービス系,専門職,その他というような5つの区分にわけても尋ねているのですが,この「そのほか」としている人たちは,専門職というところに回答している方が多いです。ただ,具体的にどういう職種なのかということはわかりません。
 ただ,ここはかなりおもしろい傾向があるので,この人たちについて調べていきたいと思っています。

【金子部会長】
 これは入職時に技術系と事務・営業系と2つに大分して募集するところが多いので,それ以外の資格で入職している人が一定数いて,やはりそれが教育と,それから健康産業系にあって,今井委員の質問は,一緒のものかという話ですが,一緒ではないと思います。
 ただ,大卒の方で一定の専門的な職業に就いている人が,今,労働総合人口で1割近くいます。それは1つの新しいカテゴリーといいますか,その人たちはやはり大学院進学の需要もかなり高いとか,かなり特有の特性を示していると思います。

 

(2)大学における社会人の受入れの促進について,文部科学省から資料2-1及び資料2-2の説明があり,その後,審議が行われた。

【大森委員】
 社会のニーズとして,大企業では非常に研修体系が発達しているということが現実にあります。中堅中小企業になりますと,どちらかというと人材の質的な低下が見られまして,本来ここに相当な教育をしていかなければ,やはり日本の企業が弱くなるということは常に感じております。
 ただ,大学に企業や社会のニーズに合った教育プログラムがないのが一番大きな問題ではないかと思います。特に大企業の研修,企業内研修は通信等で相当充実したものができていると思いますが,そういったものを拾い上げていくと,どういうものがニーズとして現実の社会で要請されているのかが大学側にもわかるのではないかと思います。
 先ほどの調査にも関連しますが,大学院等に進学する場合に,通学する場合の現実的な話ですが,要するに会社を終わってから出るという,その時間の問題が非常にネックになるわけです。私も実際に管理職を経験している際にありましたが,要するに会社に言わないで,自分が行きたいから行くとなりますと,皆が働いているうちに多分出ないと,講義の開始時間に間に合わない。こういうことになると,仲間から,または残業を命じる立場からしても,勝手に帰られては困るのが現実的に非常に多くありました。ただ,会社で認めている制度により通学するという話であれば,これは皆が認めて,早く帰してあげようという形になりますので,堂々と帰るようになると思いますが,そういうように通わせるとなると,会社では,幹部候補生等の非常に少数の人にしか認めないのが現実だと思います。
 多数の会社員が色々と勉強したいと思いますが,通学という形をとる場合には,会社内の色々な問題が現実的にあるということで,ここはミスマッチを起こしているのが1つあります。どうしても,通信教育や読書で補っていく形が実際に増えるのではないかと思いますので,通信やインターネット等,それからどういう勉強の仕方といいますか,コマを区切って覚えていく提供の仕方もあっていいのではないかと考えます。また,もっと企業のニーズに合ったプログラムや教育内容を提供していただかないと,このミスマッチは永遠に続くのではないかと思います。

【河田委員】
 私立大学は,4年制大学が595,短期大学は379ありますが,その中で志願者が多く定員割れしていない大学は,ほとんどが大きな都市にある大規模大学であります。現在,1学年の収容定員が3,000人以上の大学が全国で23あります。それらの大学は,非常に調子が良く,その他の大学は非常に苦労をなさっているというのが実情です。しかし,現実の問題として現在の大学では,いわゆる社会人学生はおよそ2%位しかいない。18歳から22歳の人口はこれから益々減っていく中で,社会人が大学に多く入ってくださることが1つ。
 2つ目は,留学生30万人計画ではないですが,留学生を海外から呼んでくるしか大学は生き残れない。
 ぜひ地方の大学を活性化して,地域に役立つ大学にしなければならないということで,様々な取組がここで取り上げられています。いま私学事業団としても地方にキャラバン隊を組んで回らせていただいて,経営指導や教育的なカリキュラムの在り方を助言し,支援したいと思っております。
 その際に,地方の中小の私立大学や短期大学だけでは,状況は難しい。国立大学が各都道府県に86もあるわけですから,それらの国立大学と連携し,さらには各県や地方の都市とも協力体制を強めながらよりよい方策を考えなければいけない。ぜひとも社会全体で支えていただきたい。
 日本の社会はアメリカと違って,大学のそういった在り方についてわりと冷淡であるし,企業自身も自らの利益を図ることを考えるのは当然ですが,大学自身も努力しますので,もう少し大学を活用していただくことを考えていただきたい,と。

【黒田委員】
 都市における社会人の受入れの在り方,地方における社会人の受入れの在り方は全く違うことは認識をいただきたいと思います。金沢工業大学も東京で社会人向けの大学院を開講していますが,そこでの受入れと,金沢での社会人の受入れは全く内容が違います。
 地方における企業が欲している人材と,都会で頑張っている人達の勉強意欲とが全く違います。それを1つの物差しでプログラムをつくってしまうと,先ほどのミスマッチが起きてきます。全国の都道府県にコンソーシアムができ上がっていますが,こういった大学のコンソーシアムと都道府県の企業と連携して,新しいプログラムを共同で開発することをやっていかないと,産業界が求めるようなプログラムはできないと思います。
 したがって,大学としての学位に基づくプログラムと社会人が求めるプログラムは,変えていかざるを得なくなる。そうなりますと,大学の負担は非常に大きくなるのですが,幸いに履修証明制度ができ上がっていますので,それを大いに活用するような形で,短期間で1つのプログラムを修めていくといった短期集中型でやれる制度をつくり上げていくことが大事ではないかと思っております。
 ここで通学制と通信制の在り方も取り上げられていますが,社会人における通信制は非常に重要ですが,使える分野と使えない分野があると思います。通信制でインターネットを通して受ける授業だけで全てが終わるということではないと思います。やはり,面接において得られる,教科書では学べない分野が沢山あるわけですが,その辺をどう組み合わせるかが大事だと思います。
 特に,私が東京で経験していることですと,教科書に書いているような,出版されているような内容は一切必要ない。先生方が実際に経験した体験を語ってほしいということで,その中で方向性を見つけ出すという社会人学生が多い。ですから,そういうことになってくると,インターネットだけでは,これはメールのやり取りではうまくいくのですが,講義として一方的に出してしまう方法では,社会人教育は成り立たないと思います。その辺の組み合わせが,これも大学側にとっては非常な負担になりますが,考えざるを得ないと思います。
 特に地方にある大学は,そこまでなかなか手が回りません。やはり国立大学なり都市部の大学と連携しながら,大学間連携をうまく組み合わせていくことが必要と思っています。

【中村委員】
 現役の社会人が大学院に通学して学ぶことが大きなテーマになっているように感じますが,まずそのことについてです。
 現実問題として,地方の大学における大学院は学術レベルを上げるためにやっており,実際問題としては経営的にはペイしていない。そういうこともありますので,私立大学においては大学院の学生を沢山受け入れることができないと思います。大学の経営から見ても,大学院生を受け入れることは非常に難しいのではないかということが1つです。大学院の授業料を上げることができれば問題ないと思いますが,なかなかそうはいかないこともあります。
 例えばの話ですが,時間の問題と費用の問題が現役社会人の方々にとってのネックになっていますが,産業界と政府でお金を出し合って基金を創設するなど,無償の奨学金を出すとかいったことをしていただけると進むのではないかと思います。
 もう1つ,現役社会人とは違って,既にリタイアされた方の再就職のための教育があるかと思いますが,例えば,看護分野です。今,非常に看護系の学部が認可されていますが,マーケットとしては足りていません。将来にわたってずっと足りないかどうか,少し余るのではないかと感じておりますが,看護師の需要が多いことは,はっきり出ています。実際に地方においては,結婚,子育てのために退職する人が非常に多い。そういった方々が再就職するためのリカレント教育といいますか,社会復帰教育といいますか,そういったことも大学でやるべきことではないかという感じがしております。それは,先ほどの履修証明制度等によりプログラムをつくってやっていけばいいのではないかと思っています。
 現役社会人のための社会人教育と,一旦リタイアした方々の再就職のための社会人教育を分けて考えたらいかがかと思いました。

【今井委員】
 私は医療分野が専門ですので少し特殊ですが,企業だけが対象ではなく,やはり広く見るべきと思います。例えば自治体で働いている方は,地方で非常に多いわけです。あるいは,報道関係とかです。そういった方々の需要はかなり大きいと思いますが,そこがあまり触れられていないので述べさせていただきたい。
 今の話にありましたように,看護師や医師もそうですけど,色々な専門職の医療関係の人達は知識等が古くなりますので,リカレント教育は非常に重要だと思います。ただ問題なのは,それがどのように評価されるのかということです。実際にニーズがあって学ぶことは非常にいいことだと思いますが,自治体の方やマスコミ,報道関係の人等は,そこに評価がつかないと,履修証明書をいただいても,次にもっと色々なことをやりたいという場合に,あまりモチベーションにならないのではないかと思います。逆に言うと,その評価をどうやって構築するかということが非常に重要なのではないかと思います。
 実際の私の経験でも,医療の場合は,例えば医療経営や医療情報という分野は抜けておりまして,医療系の大学でも教えないし,情報系の大学でもやっておりません。そういう分野は非常に大きく広がっており,そういったところを大学院で履修していただいて社会に還元する流れができればいいのではないかと思っております。そのためには,評価をしっかりしていくことが重要なのではないかと思います。

【佐々木正峰委員】
 昨年6月に中長期的な大学教育の在り方についての第一次報告が出ました。そこでは大学の構造改革の必要性が言われ,その1つの視点として社会人の受入れなど,生涯学習の観点に立って,少子化社会に対応するといったことが言われました。
 そうすると,大学として従前とは違った形で社会人が受入れられるような状況をつくっていかなければならない。おそらく,そういう観点に立って今回の方策もつくられていると思いますので,その点は従来と違った施策がいかに展開されるかについて,ある程度の先を見通したものを提言されていると思うのですが,この大学規模・大学経営部会として,今後,社会人の受入れがどの程度大学として必要なのかという規模の問題を明らかにするべきではないかと思います。
 つまり,今まで社会人が必要ということを言われながら,なかなか進んでいない。やはり今後の社会人の受入れがどの程度進むのか,進めるべきなのかについてのある程度の指針が示されないといけないのではないかと思います。欧米と比較して少ないことは言われますが,どの程度まで社会人を受入れていくべきなのかといった規模の問題を少し整理する必要があると思います。そこを踏まえれば,各大学において,どういう人たちを対象に,どのような教育を,どのようなやり方でするのかを明確にしていくことができるのではないか。そういった大学の情報発信を今後,積極的に進めていくことが社会人の学習動機に応える学位プログラムの編成になると思いますが,そういった積極的な大学の発信を促す仕組みもあわせて整備していく必要があると思います。

【佐々木元委員】
 先ほどのコメントに補足させていただきたいのですが,企業においては,従業員のセカンドキャリアをどうするのかということが,重要な課題となってきております。当社の場合は,会社がある程度の金銭的な補助を出して,それなりのセカンドキャリアに必要な研修を,場合によっては社外において受けるというプログラムを用意しております。
 したがって,社会人の研修・教育といっても,現役として必要な内容のものと,このセカンドキャリアというものに対してどのように準備をしていくかといった仕組みについても考えるのが適切ではないかと感じております。このセカンドキャリア問題は,先ほどの話にもありましたように,どれぐらいのニーズがあるのかという見極めも必要ではないかと感じています。

【樫谷委員】
 先ほど,両角講師から調査結果を聞かせていただいて,これは非常にニーズが多いということです。ニーズが非常に多い反面,わずかしか来ていない。お金が高いとか様々な理由が書いてありますが,企業の論理から言うと,お金が高くてもそれ以上のメリットがあれば来ると思います。時間がなくても,それ以上のメリットがあれば,工夫して来ます。これは学生もそうですし,企業もそうです。多分,そのメリットがないのではないか,コストに合うメリットがないのではないかと思います。
 ただし,個々の大学でニーズに叶うものを,体制を整えて開発していくと,ものすごくコストがかかると思います。例えば,現状の先生方だけでできる話なのか,新しい先生を入れないとできない話なのかということになります。現状で苦しいのに,プラスアルファで新しい先生を入れて対応ができたとしても,本当に学生が来るかどうかわからないということになります。つまり,固定費化されてしまいますから,非常に困った話になるということだと思います。やはり,良い授業や良いカリキュラムをするには,やはり連携で,つまり変動費,固定費のような発想で,あるいはリスク分散のような発想でやっていただかないと物事が進まないのではないかと思っています。
 このメディアを通じて授業を行うことは非常に興味を持ちました。資料2-1の12ページの新潟大学や早稲田大学で行われたメディアを通じた授業を行う通信制課程例がありますが,インターネットを使ってやる場合に,オンデマンドの受講をやるような場合,これは開発コストやメンテナンスコスト等が相当かかっていると思います。一体,開発コストとメンテナンスコストはどれぐらいかかっているのか,新しい投資はどんなものをしたのか,それに対して成果はどうだったのか,それをどういうふうに工夫して成し遂げたのかとか,そのようなことがわかれば,各大学がチャレンジする際に参考になるのではないかと思います。
 いずれにしても,レベルの高い授業をする,あるいはニーズに合った授業をすることは,ある意味では簡単な話ですが,簡単といっても実際はその体制を整えたり,人材を整えたり,組織を整えたり,投資もしないといけないということになりますので,どのように自分の大学の規模や財政の大きさに合ったやり方でやるか。それはどうしても連携しないといけないと思います。人材はそれぞれ各所にいると思いますから,その人材をできるだけ固定費化せずに変動費化してやっていくといった思想が必要だと思います。

【日吉委員】
 本日の資料や各委員の話を聞いて,社会人を受け入れていくのは認識していますが,それが思うように進んでいないのが現状ではないかと考えております。
 それがなぜかと考えた場合に,今の少子化の中で5年後や10年後に人が少なくなって,どれだけの収入が減っていくのか,いわゆる赤字ないし利益部分が減っていくのかということを明確に幾つかのパターンをもってシミュレーションしているのか。
 それをした上で,どれだけの社会人を受け入れることによって,少子化による部分の赤字を賄っていくのかといった計画をしているのかが気になりました。それを計画していれば,社会人を受け入れていくことについて進んでいかなければいけないとなっていく気がします。
 もう1つ,今までの大学は,ある意味パッケージ商品を提供していたと思いますが,やはり社会人を受け入れていくとなると,それぞれのニーズが色々と異なりますので,アラカルトというのか,個々のニーズにきめ細かく応えていくようなサービスの提供が求められてくると考えられますので,そうすると自ら大学経営上の管理手法も変わってきます。例えば,今までは学部毎に採算を管理していたのが,授業料も講座毎に金額を決めて,社会人を受け入れることになればシミュレーションをしていくことが,具体的に必要なのではないかと思っております。

【山本委員】
 2つほど考えがあるのですが,1つは先ほど佐々木委員から話がありました社会人の受入れ規模です。これは極めて大事なことだと思います。つまり,社会人を受け入れることが一般論として大変重要なことは認識していますが,一体どのぐらい受け入れることが現実的なのかを考えますと,色々な考えがありますが,例えば今の高等教育の規模を維持するために,それを補完する意味で社会人学生に頼るということになると,現在,年間70万人ほどの学生を受け入れているわけです。18歳人口が120万人から間もなく100万人位になってしまいますから,おそらく進学率50%としても10万人ほど若い学生が減ってしまいます。その10万人を社会人で受け入れられるかといった話になると,にわかに色々な問題がそこにわき起こってくると思いますので,やはり規模の問題は十分に考えておかなければならないと思います。
 それからもう1点ですが,先ほどからの色々な話を聞いておりまして,うなずけるところが多いのですが,特に本日の配付資料2-1の3ページと4ページに書いてある検討の方向ですが,これは極めて重要です。特に検討の方向にある3ページの1,2,3はいずれも大事ですが,それぞれが関係し合っています。特に,大学教育の充実と学修成果の評価は鶏と卵のような関係で,どちらも重要で,どこから始めてもいいわけですが,ただ,どこから始めるかについては,大学と産業界だけの努力でできるだろうと思います。
 ですから,こういった中教審の場で議論する意味は,ここに適切な高等教育政策としてどういったものが適当であるかを考えなければならない。そういったことは個々の大学や企業,あるいはそういった業界ではできないことです。やはり公共政策としての高等教育政策が補っていかなければならないと思います。
 とりわけ,その場合に重要なのは,大学教育の充実も当然大事ですが,学修成果をどうやって評価するか,評価を高めていくか,こういったところにも少し焦点を当てて議論をしていく必要があるのではないかと思っております。

【佐藤東洋士委員】
 山本委員が話をしたことと重複してしまうかもしれません。需要についてですが,社会人大学院の潜在需要は本当にあるのだろうか,あるいは先ほど中村委員が言われたように,勤めている人間だけでなく,もう少し幅広く見ていく必要もあるのではないかと感じております。
 年齢で20歳代から40歳代の潜在需要がほとんど変わらない。団塊世代で大体15%が高等教育に進学をしたことを考えると,潜在需要が高いはずがないと感じております。そういう意味では,学士課程も含めて考えるのがいいのではないかということが1つ,そういう政策の中では,山本委員が言われたように,大学と企業や,大学と地域の中の関係だけではなく,例えば高齢者に対する福祉の視点がこの中に入ってきてもいいのかもしれない。そういうことも含めて考えたほうがいいのではないかと思っています。
 それから,この流れはどうしても高等教育の質が問われて,質をどのように向上するかということで議論をしていますが,その中でとても大切なのは,教育内容の情報を公開することによって,各大学がどういう取組をしているかを社会が認識できるようにすることだと思います。あまりにも大学の内容が外に知られていない。企業側にも知られていないといったところに問題があるのではないかと思っています。そういう意味では,教育情報の公開は,これと同時にやらないと促進できないのではないかと思います。
 それから,もう1つ,少し蛇足の部分ですが,学習した経歴,経験を公的機関が認証することが求められていると言いますか,その期待があります。各大学が出す履修証明が,そんなに尊重されないことの裏返しなのかもしれない。そういう意味では,何か仕組みが必要で,以前であれば学位授与機構が学位のレベルを担保して証明する役割を果たしたように何らかの工夫があってもいいのではないかと思っています。

【黒田委員】
 先ほどから,社会人の受入れがなぜ必要かということも出ているのですが,今の大学規模を維持するために社会人を受け入れることは,とんでもない話です。そういうことが前提になって議論してもらっては困ります。
 日本の国として,社会人の再教育といいますか,知識基盤社会になった時代の日本人の素養をどこまで高めていくかという,これが国際社会に勝つ,グローバル社会の中で勝ち抜いていく日本の姿だと思います。そのために社会人の再教育が必要ということでなければならない。また,受ける側もそういうつもりでしっかりと勉強してもらわなければならないと思います。ですから,大学側の18歳人口が減るから社会人を受け入れて規模を維持しようという発想はやめていただきたい。
 私立大学にとって,社会人をどれだけ受け入れても,18歳までの学生を受け入れて採算がとれていたような状態にはなり得ない。社会人を受け入れれば受け入れるほど赤字になってくるのが実態ですから,そういうことも含めて考えていただきたい。
 18歳までの人はパッケージで,4年間の授業料は決まっているのですが,社会人の場合は1科目幾らでやるところが非常に多い。社会人も見合う授業を受けることができるから来ているわけで,社会人にとっては,その授業に価値があって初めて来てくれている。自分の懐を計算しながら参加してくるわけです。そう考えていきますと,社会人を18歳人口の代替として考えるのはとんでもない。これは地方にいるからそういうことを感じるわけですが,社会人が学び直す機会を国としてどのようにつくり上げていくかが大事だと思います。
 今まで,どちらかというと大学は,昔よく言われていたのですが,東京大学を卒業した人は頭が悪い,東大在学中に司法試験や外交官試験に合格して中退した人のほうが頭が良いとか言われていました。ですから,昔の人は東大中退が非常に多い。外交官や司法試験の資格を持っていると,それで社会で十分に生きていくことができました。そういう時代がずっと続いてきて日本の社会を形成してきました。しかし,今はそうではなくなってきている。その切りかえがまだ日本の国としてはできていないから,日本の学修に対する社会の受入れと,日本の国の在り方から問い直さないと,この問題は解決しないのではないかと思っています。

【樫谷委員】
 私は自分の仕事として企業再生をやっておりまして,企業再生をやる以上は「あんたの会社,生き残らなければいけません」からスタートします。そこからスタートして,企業再生をするような会社ですからお金も何も無いし,銀行も金を貸してくれません。そうすると,金が無いとどうするかというと,知恵を出すしかない。金があると知恵を金で買おうとしますが,金で買った知恵は,ろくな知恵ではない。もちろんそういうアドバイスは必要ですが,自分でひねり出した知恵は本当の知恵です。
 例えば,社会人教育はニーズがあると思います。これは全国で見れば百万人単位だと思います。ただ,自分の大学に置きかえてみると,おそらく年間500人とか1,000人いれば十分です。要するに何百万人の中の500人や1,000人です。それ位であれば各大学の問題であり,やはり知恵を出して考えていくことが必要です。
 ただし,その際にコストも考えないで体制だけを整えても,うまくいきません。要するに質とコストを考えて全体を合わせるのが経営であり,本部会は大学規模・大学経営部会ですからそういうことを申し上げるのですが,それが前提です。ただ,大規模大学は1,000人,2,000人位ではだめかもしれませんが,地方の大学であれば,そんなに大きな規模ではないはずです。年間500人位を集める知恵が出ないものなのか。それが不思議です。
 ただ,知恵が出たとしても,体制の問題で採算の問題は当然考えなければいけない。ただ,これだけニーズがあり,これだけやりたいと言っている人もアンケートではっきりしている。課題はいっぱいあるが,この課題があるということは,非常にチャンスがあるということで,そこで何が難しいのか実はよくわからない。大学の先生方がこれだけいるのに,大学で一生懸命勉強もされている方が何を苦労しているのか,物事が進まないのか,よくわかりません。
 私も2年ぐらい専門職大学院で先生をやっていまして,専門職大学院ですから学生が30代の方で,ものすごく熱心な方でした。学生の授業等に対する要望がかなり多い。多いだけではなく,パターンも色々ありました。もう私は会計学を教えることは絶対だめだと思います。色々なものを取り込んで,学生に対して回答をさせてあげないと,高い授業料を出してまで学生が大学に来ません。
 とにかく体制を根本的に考えないといけないのではないか。色々なことをやりながらこれもやりますといっても無理で,要するに選択と集中です。我々の企業サイドでも,選択と集中をやるわけです。これもやります,あれもやりますと言ってしまった途端に採算が合わないことになりますし,実際の質も上がらないことになると思います。選択と集中は,大学でも経営ですから同じではないかと思います。
 その選択と集中をする際に,何を選んで,何に集中するかが大事で,これだけニーズがあるのであれば,社会人教育にもっと集中するべきだと思いますし,これからの産業だと思います。ぜひそういう観点からも少し議論を考えていただけたらと思います。

【佐々木正峰委員】
 今,知識基盤社会とか持続可能型社会と言われています。その中で,一定の知識,技能や態度を身につけることは,多くの国民が絶対的に必要です。そうすると,現在の社会状況を見たときにどれだけの社会的要請があって,その社会的要請に応えるためには,どの程度の社会人に対して大学教育を施す必要があるのかについて,今後の我が国の社会の発展という観点からきちんと整理する必要があると思います。
 その意味において,社会人学生をどの程度今後受け入れるのかという規模の問題は,避けて通れないと思っていて,それは個人的な要望と社会的要請をうまくミックスする中で調和的に考えていく必要があると思っています。

【郷副部会長】
 先ほどからも指摘いただいていると思いますが,本日の資料1で配付していただきました調査は,今まであまりなかったのではないかと思います。
 半数ぐらいの方が大学院教育を希望していることに非常に驚きました。ただ,説明がありましたように,これは事業所で,それから現役の方,しかも大学院への希望ということですから,やはり世の中には事業所で働いていない方,先ほどからも話があるように,地方の行政や主婦の方です。やはり一番は,女性が子育てを終えて,寿命も長いので,ある意味では色々なことができる貴重な人材を眠らせている。そのあたりが,日本の場合,特に欧米と比べたら大きいと思っていまして,その調査はどうやったらできるのか。
 大変難しいと思いますが,次はそれをぜひやっていただけないかと思っています。何かサンプリングでもしていただいて,そのあたりの情報が全く今までなかったと思いますので,これは大学院だけではなく,学部進学も含めると思います。このあたりは一度きちんとしたデータを持っておく必要があるのではないかと思います。

【金子部会長】
 ずっとお聞きしていましたが,大変おもしろい議論をいただきましてどうもありがとうございました。
 かなり共通して指摘されているのは,第1番目にやはり規模の問題。全体,どの程度の需要の規模があるのかをある程度把握する必要があるのではないかということです。本日発表いただきました調査によると,働いている人の5割は興味があり,2割はかなり行くことを具体的に考えているということです。
 現在,大卒の労働者は大体500万人位だと思いますが,2割としますと大体100万人位は潜在的な需要があるということになります。毎年,修士課程に入っている社会人は大体1万人弱で,ほとんど変わらない状況にありまして,非常にここに大きなギャップがあるわけです。さらに,幾つか指摘がありましたように,必ずしも大学院への進学需要だけではないということになると,潜在的には非常に大きなものがあります。これをどのように把握するかは1つ問題としてあるのだろうと思います。
 2番目は,各委員から指摘いただきましたように,かなりニーズは多様であることです。
 具体的に求めているのが非常に多様でありまして,年齢別に違ったニードが出てくるだろうということです。先ほど,年代別に30歳代や40歳代が多くて,少し50歳代で下がるといった話がありましたが,逆に私が驚きましたのは,50歳代が結構高い。50歳代,60歳代で高いということは,やはりキャリアを変える時点での需要も結構あるとの話がありましたけれども,そういったものもあると思います。
 あるいは,本日の発表にありましたが,大学院へ行きたいのは大きく分けると2つモチベーションがあるようで,1つは非常に具体的な知識・技能を獲得したいということと,もう1つは,自分がしている仕事をもう少し客観的に見たいといったニードも多く,これは2つとも同じぐらいです。そういう意味でもかなり違うものもあると思いますし,先ほど話がありましたように,地域でも違うということです。こういった多様なものにどのような資格を与えて,それにどのような処遇を与えるのか。あるいは,非常に大きいのは,多様だと供給側と需要側のマッチングが非常に難しい。これは一番クリティカルな問題で,これはどのように考えるかも問題になっていると思います。
 3つ目は,大学院を考えるのは,必ずしも18歳人口が減っているからそれを埋めるためではなく,むしろ新しい社会構造の中でこれは必要ということでした。これは正にそのとおりだと思いますが,ただ,そこでも,大学にとっては経営問題があり,こういった需要を満たしていくことが大学経営にプラスといいますか,バリアブルであるといいますか,成り立つものでなければいけない。単に潜在需要があるからやるといった問題ではなく,むしろ多様性を考えていくと,非常にこれまでと違った大学の管理体制も必要だろうし,様々な意味で違った大学にならないとこういった供給はできないだろう。
 その際にコストはどれぐらいかかり,実際それで大学の経営として成り立つのか,そういった問題もあるだろうといった指摘だと思います。これはまだ幾つか検討課題を考えてみたいと思います。
 ただ,最後に,最も基本的な問題は,やはり単に18歳人口が減って大学の入学者が少なくなるという問題ではなく,大きな意味で日本の企業社会全体を含めて転換点にあって,それに対応して大学や大学院も変わっていかなければいけないということです。そういった社会的な変化とどのように対応していくかも非常に重要だと思います。
 また,大変失礼ですけれども,企業では他の人がいると帰れないので大学に行くのが難しいという話がありましたが,多分そうだと思います。私のところで社会人向けの大学院をやっていまして,1人休学しました。なぜかと聞いたら,上司が行ってはいけないと言ったからということでした。私のところはウイークデーにあまり授業をしないで,土曜や日曜,それから夏休みでかなり集中的にやるようにしているのですが,それでも行ってはいけないと。しかも更に驚いたのは,これは外資系の金融機関でありまして,確かに上司から見て「行くな」と言って行かなければ,それは確かにその方がいいのかもしれませんが,そういうことを言っていて日本の企業は成り立つのか不思議です。
 実際に本当に拘束しなければいけない場合と,何となく気分で皆がいないとまずいということにあまりこだわっていると,変化の兆しが見えていかないのではないかと感じております。大変失礼ながら,これは大学だけが頑張る問題ではないと考えています。政府の新成長戦略とかもあるわけですが,かなり大きな枠組みでの変化といった中で考え直さなければいけない問題もあるのでないかと思いました。
 本日は,大変色々なご意見を伺いまして,またこの議論は続けていきたいと思います。

 

(3)「平成21年度学校法人の財務情報等の公開状況に関する調査結果について」,文部科学省から資料3の説明があった。 

 

(4)「大学間連携の成果と課題の検証について」,文部科学省から資料4の説明があった。

 

(5)「大学規模の推計の在り方に関する調査研究」について,文部科学省から資料5の説明があった。

 

(6)「全私学連合環境自主行動計画におけるCO2排出削減見込量と排出実績について」,文部科学省から机上資料の説明があった。

 

(7)今後の日程について,文部科学省から資料7の説明があった。 

(以上)

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-- 登録:平成22年05月 --