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質保証システム部会(第21回) 議事録

1.日時

平成23年1月14日(金曜日)13時~15時

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.出席者

委員

(部会長) 黒田壽二部会長
(副部会長) 濱田純一副部会長
(委員) 安西祐一郎,浦野光人,荻上紘一,郷通子の各委員
(臨時委員) 有信睦弘,佐藤弘毅,森脇道子の各臨時委員
(専門委員) 石田恒夫,川嶋太津夫,中西茂,納谷廣美,前田早苗,山田礼子の各専門委員

文部科学省

磯田高等教育局長,河村私学部長,加藤高等教育局審議官,義本高等教育企画課長,藤原大学振興課長,榎本高等教育政策室長,石橋大学振興課課長補佐,西川高等教育政策室室長補佐 外

4.議事録

(1) 文部科学省から,平成23年度文部科学省予算(案)及び税制改正の概要について,資料1の説明があった。

 

(2) 文部科学省から,前回の部会までの審議を踏まえた「公的な質保証システムの改善」について,資料2-1~資料3の説明があり,意見交換が行われた。

【川嶋委員】 認証評価について,資料2-2の7ページの不適合の場合の取扱いですが,前の部会でも申し上げたと思いますが,そもそも日本の認証評価の仕組みは,国が評価機関を認証します。つまり文部科学省がその大学評価基準を適切ということで認証した評価機関が大学を第三者評価しています。その際に何らかの形で大学評価基準に合わなかった場合に不適格や不適合という判断がなされます。
 本日の資料ですと,その際,国とその不適格という判定を受けた大学の関係は,法律上の関係でしか処分できないという考え方だったと思いますが,法律上違反しているということは多くの場合,外形的に大学としての要件を満たしていないという場合が多いと思いますが,むしろ認証評価で重要なことは教育の内容と水準という中身の問題だと思います。
 その点で,高等教育を提供する機関として,その内容や水準の部分で不適格と判断されたほうが,むしろ事は重大ではないか。そういう意味で,認証評価で間接的にではありますが,法律上の違反に限らず,認証評価基準に適合していない大学については何らかの形のペナルティーがあってもしかるべきではないかと思っています。

【中西委員】 今の川嶋委員の話とも関連すると思いますが,この資料は不適合という言葉を使っていますが,たしか用語はいろいろと使い方が認証評価機関によってあると思いますが,これが一般の方からすると非常にわかりづらいと思います。同時に川嶋委員が言われたように同じ不適合でも法令違反の場合と,そうでない場合との違いがあることもわかりづらいと思いますので,もし認証評価機関同士の連絡協議会ができるのであれば,その中で用語を統一できるものかどうかということも含めて議論いただければと思います。

【納谷委員】 認証評価のことについて少し言わせていただきますと,「教育の質を保持する」というか,維持していくギリギリのところと,「質を向上させる」部分の2通りのファクターがあります。ですから,認証評価をするときのウエートのかけ方が,法律が予定している質のレベルや設置で認めたときのレベルが維持できているか,できていないかということだけ行うのか。もちろんプラスアルファのところはあると思いますが。そういうこととのバランスをとりながら設定されるもの,それが認証評価の基準です。
 要するに言葉は認証評価で同じですが,認証評価機関によってウエートのかけ方やベクトルの置き方が違っているものですから,結論が不適合といってもただちに法令違反になっていくということにはいかない部分がかなりあります。その程度は認証評価機関によって違いますので,その違いをこの部会で多様性という形で認めていくのか,どこかで統一しろという形の提案とするのか,それは大きな課題だと思います。
 先ほど川嶋委員が言われたこととも若干関係するのですが,教育・研究のレベルが既に高等教育としてあり得ないレベルまで落ち込んでいたら,これはある意味では大学ということのもともとの概念に引っかかりますから,そこで法令違反になるのではないかと,私はそういう解釈をしています。そこまでひどければそういうことだと思います。問題は先ほど言いましたように向上を求めている幅の中でもう少しやりなさいとか,そういうレベルのところで我々が期待している基準には達していない。そういった評価のときはどうするかという問題はあると思っています。

【森脇委員】 公的な質保証システムの改善について,設置審の点から少し感想を述べておきたいと思います。設置審で幾つかの改善がされたと思いますが,主に大学から申請される計画が変化に対応しようと焦るために内容がとても不備なものが多いという実態への対応だったと思います。
 2ページに記載があるように,明らかな準備不足の申請への早期不認可という制度を導入され,随分わずかの間に改善がされていると受けとめています。
 この制度の導入によって,各大学から出てくる基本計画が充実してきています。もちろん指導もあるとは思いますが,随分変わってきています。こういう少しの改善であっても具体的に実施され,運用を重ねることによって,各大学に影響を与えるということを改めて再認識した次第です。単に設置審の中の運用が円滑になったというレベルではないことを少し申し添えたいと思います。

【荻上委員】 公的な質保証システムは,設置基準,設置認可,認証評価という3本の柱で行われるのが基本的な考え方で,ずっとこの部会でも議論が進んできています。その3本の柱ですが,設置基準はそのすべてにかかわっている基礎をなす根拠法令になりますが,認証評価の中でも設置基準を満たしているか,満たしていないかということについて,その判断をきちんとしなければいけない。法令違反があれば学校教育法に基づく措置を講ずるというステップに進むことになっていますが,そのもとになる設置基準がいろいろな意味で非常にわかりにくい状況になっていると思います。
 大学に関して言えば大学設置基準,大学院設置基準,専門職大学院設置基準とあります。長年の間,部分改定を繰り返して今日に至っていることが大きな原因だと思いますが,全体として非常にわかりにくい。もともと大学設置基準は大学院や専門職大学院が明確な形でない時代からずっとありましたが,その後,大学院設置基準がつくられ,専門職大学院設置基準がつくられました。大学設置基準と大学院設置基準や専門職大学院設置基準の関係がどうなっているかということをぜひ明確にするような議論を行い,第6期では整理していただきたいと思います。
 現在,認証評価において,設置審査等で判断をする場合に,その幾つかの設置基準の関係が明確ではない点が多いことが非常に大きな障害になっていると感じています。今期も随分いろいろな議論がありましたし,第4期でもいろいろな議論が行われましたが,全体を見直すことが行われていなかったために,法令適合性の判断をする際に困る事態がいろいろと生じていると思いますので,ぜひこれは次期の大きな緊急の課題として引き継いでいただければと思っています。

【山田委員】 その他の課題のことで少し意見ですが,7ページの専門職大学院の認証評価の改善で,(ア)の外国団体等による評価はこれまで実績がないということですが,この点については,ぜひ次期においてこれを促進するといいますか,後押しできるような形で進めていただければと思います。外国のそうした特殊な専門職団体の認証評価を受けるのはハードルが高かったのか,それとも実際にいろいろな条件で難しかったのかもしれませんが,国際的通用性を考えたときに,特定の専門職大学院においては,今後,非常に国際化をしていかなければ残っていけないような分野もあると思います。
 そうしたときに,外国の認証を受けることは非常に国際化が進むことにもなりますし,実際に台湾の大学では,国内の認証評価を国際的な団体から受け,代替することでかなり国際化が進んできた領域があります。ビジネススクールなどです。そうしたことを考えてみますと,今までは実績がないかもしれませんが,次期ではそうした部分で進んでいくような何かがあればと期待をしています。

【黒田部会長】 今の話は非常に重要です。グローバル化されてきた大学では,必ずそういう事態が起きてきます。日本の評価そのものが国際的な評価のところまで高められたら,外国から日本の評価機関を受けに来るということも起こり得るので,そういう点も少し検討していただくといいと思います。

【有信委員】 今の議論に関連するのですが,今の公的な認証評価の枠組みの検討のスキームだと,基本的には設置基準,設置認可の内容に沿って認証評価を行います。認証評価の内容が具体的にはその中の自己点検・評価を含めたPDCAサイクルがきちんと回っているかという質的な部分を評価することで具体的に回されている形になっていて,国際的な同等性をどこで担保するかという切り口が今の構造の中からは出てきません。
 PDCAサイクルの中で,自己点検・評価,あるいはそこの審査の仕方,内容,評価の在り方が国際的に同等であるかという方法のレベルで比較して,国際的に認知をされる方法がないわけではありませんが,余りにも国際的な観点を欠いた格好になってしまいます。先ほど荻上委員が全体的な検討が必要だと言われましたが,その流れの中で国際的な視点を入れて検討をぜひ進めていただきたい。
 これは伝聞ですので,必ずしも正確でないかもしれませんが,具体的に問題が出てきているのは,特に海外からの留学生が国に帰って,日本の留学を終えて自国に帰って就職をしようとしたときに,自分が留学したところがいわゆる国際的な意味でのアクレディテーションを受けたプログラムであった場合には,大学卒の資格で就職ができますが,そうでないところを卒業した学生は大学の卒業資格を認めてもらえず,結局,高校の卒業資格でしか就職ができなかった例があったと聞いています。
 これは定かではありませんが,具体的にそういうことが起こり得る時代になってきています。ましてや,先ほど山田委員の例にありましたように,台湾や中国も今非常に国際的なアクレディテーションを受けることに熱心です。今のところは,例えばビジネススクールや,エンジニアリング・エデュケーション・プログラムなどの特定の分野に限られていますが,これがだんだんと広がってくることも考えられますので,以前から申し上げていますように分野別評価とのかかわり合いも含めて,非常に難しい話になりますが,もう一度全体の枠組みをグローバルという視点で検討をする必要があると思います。

【前田委員】 専門分野別評価の一連のお話に関連しますが,昨年の秋にヨーロッパ大学協会に行って,そのあたりの状況を聞いてきたことがあります。日中韓の連携の前提として,ヨーロッパでのボローニャ・プロセス以降の動きに危機感があるからです。質保証について,どの程度国を超えた連携が進んでいるのか,短時間ですけれども状況を聞いてきたところ,やはりまだまだ自国の機関別評価の中でのプログラム評価を受けている大学が多いということでした。
 国を越えてまで活動しているのはMBAと,芸術分野と化学,それ以外はほとんど自国の中で受けているそうです。私は例として日本からアメリカの評価機関に調査をする際に,評価機関が二つあれば,有名な大学がどっちに入っているかをみて,そちらに行くと思いますが,そのようなことがヨーロッパでは起きていないのか,国を越えてでも,レベルの高い大学が受ける評価機関に集中するというような動向はないのかと聞きましたが,今のところそれはないというお話でした。
 この辺も,文部科学省でヨーロッパの動向は具体的にとらえておいたほうがいいのではないでしょうか。直接,調査するのと何となく入ってくる情報とでは何か違うような気がします。大学個別レベルでやれることと,評価機関が他国の評価機関とできることと,国のシステムとして同等性を主張していくということと,いろいろなレベルがあると思いますので,この辺は情報をなるべくたくさんとっていただいて,次の検討につなげていただければと思っています。

【森脇委員】 今後の取り組んでいただきたい課題として,先ほど荻上委員から発言がありました設置基準,設置認可審査,そして認証評価を全体として検討するということは,私も全くそのとおりだと思います。とても重要な点で,それに国際的な視点も入れてぜひ議論いただければと思います。もう1点,これはある意味では当たり前のことかもしれませんが,ユニバーサル段階に移行しており,機能別分化が随分実態として促進しています。それに設置基準,設置認可審査,そして認証評価がどうかかわっていくのか,そしてそれをどう支援していくのか,それはとても必要なことだと思いますし,設置審をやっていましても強く感じるところです。相当急ぐ必要があるのではないかと思います。
 短期大学の設置基準のことは,公的質保証システムの改善の2ページで,短期大学の設置基準のことは,「ユニバーサル段階の身近な高等教育の1つとして,地域との連携・協力を通じて多様な学習機会を提供する役割を果たしており,その設置基準の在り方に関し,引き続き検討。」と書いていただいており,これは全くそのとおりだと思います。いま相当実態が変わりつつあります。それで,短期大学だけではなく,大学においても全部とは言いませんが,今言ったように機能別分化して幅広い職業教育をやろうとなさっているところや,地域貢献をしようといった学部については,今,相当変わりつつあります。
 ちょうど羽化をしているような状況ですので,何かこういう基準をはめることよりは,解釈でできるところは解釈をして支援し,改正すべきところは改正することで,そういう変化にどう支援しつつ対応していくかが,全体として公的質保証システムを確立していくときの視点として大事なのではないかと思います。

【石田委員】 森脇委員が言われたことは,個性化や特色化ということを十分理解しながら,設置の段階でもといった話だったかと思いますが,実際問題,設置認可の過程ではやはり学士課程教育が非常に強調されることもあって,それがなかなか具体的にどのように設置審の間で語られているのかということが,普通の大学に見えにくいということがあります。それから,設置審の方の意見を大学が直接お伺いする機会がないものですから,どのような基準でどのように判定されたかが詳しく伝わってこないことがあります。
 それで,それぞれ認可申請する大学としては,十分な理解を持たないまま学科や学部を設置し,それをどう育てていけばいいのかという明確なポリシーを持ちにくいということも実際問題としてあります。設置認可の過程で,法人分科会は先生方と十分面談しながら話をする機会がありますが,今の設置審はそれがほとんどありませんので,文部科学省の担当の方の説明だけではなく,何が本当は問題であったのか,何が不十分であったのか,何がよかったのか,どこをどう生かせばいいのかということが大学として理解できるような設置認可の可視化といいますか,担当大学に対してだけの可視化で結構ですが,そういうものがもう少し充実できないのかと個別の大学としては考えています。

【納谷委員】 今,問題になっているような案件は相当,専門の分科会で議論して,そのうえで担当の先生方と申請大学の担当者との間でやりとりをしています。我々の分科会から見ると丁寧過ぎるぐらい申請した大学に対しては説明しています。それから,最後に取下げてもらうときには担当した委員の先生がきちんと対応しています。単なる事務官だけが行っているわけではありません。特にヒアリングなどをやるときには,学長以下,申請大学の責任者にこういうことで問題ではないかというところまできちんと言っておりますから,それができないで何とかという話は多分ないのではないかと思います。
 それから,去年,取下げてもらった案件が十何件あります。数も言っていただいたほうがいいと思いますが,皆さんが見ればびっくりするような内容です。早期に取下げてもらうことも含めて対応していることは事実だと思います。そのときに,申請した窓口の責任者の職員の方と学長なり理事長の方との間に,そごがあるかどうかはわかりませんが。設置審査にかかわった委員の1人としては,かなり文部科学省としては説明をきちんとして対応しているのではないかと思います。

【森脇委員】 私も全く同感です。全部申請された大学に直接審査に当たった委員とその学校の理事長や学長の方との面接審査の機会を設けているわけではないですが,設けていないのは問題のある大学ではないので,恐らくそこはご理解いただいていると思っています。今,納谷委員が言われたとおりで,ご理解いただく必要があるような事項があるときには,面接審査のところでヒアリングをする機会がありますので,そういう大学の場合はやらせていただいて,相当時間をとっていますのでご理解いただいていると思われます。
 大学が,しっかりと受けとめた上で改善事項を出しいただいていることから判断して,そのように受けとめています。しかし,もっと本当はこういうところをわかってほしいと思っているところについては,そこは限られた時間なので難しいところも残ろうかと思いますが,納谷委員が言われたのと同様のステップを踏んでいて,もっと全体を見ていると思います。

【森友大学設置室長】 ただいま先生方から説明があったとおりですが,基本的に全部の申請数を考えますと,全部の面接をするのはなかなか難しい面もあります。特に課題が大きい申請を抱える大学とは直接委員との面接審査等も交えながら,より審査会側の考えを理解いただくような形をとっています。その他の部分で文部科学省の担当者が大学の方々に説明をする機会も持っています。その点が不十分というような意見かと思いますが,そういった点に関しては,今後審査の手続や作業を進めていく段階で十分に留意しながら,我々としても作業を進めていきたいと思っています。
 また,先ほど納谷先生から発言がありました取下げの数ですが,今年につきましては,12件の取下げがなされています。大学院も学部も含めて,そういった状況になっています。

【黒田部会長】 ただいまの問題は,公的質保証の入り口のところの設置認可と審査の問題ですが,本日の議題は認証評価の今後の在り方ということですので,そちらへ振らなければならないと思いますが,大学の設置基準等の法令がまだ組織としての大学で見ているということです。それに対して,この中教審でやっていることは,学位に基づく課程をつくれということを言っているわけです。そこの取り合いが非常に難しい。審査するほうも判断に苦慮するのではないかと思います。
 せっかく学位に基づく課程をつくってプログラムをしっかり持ちなさいと言っている以上は,設置基準の中でも先ほど荻上委員が言われたように全体の見直しが必要になってくると思います。そうしないと整合性がとれてこない。審査をする人も大変ですし,新しい方針に基づいてプログラムをつくった大学もなかなか審査に応じてもらえないということが起きてくると思います。その辺は,今後の検討課題として次期にぜひ検討していただきたいと思っています。
 この認証評価の論点で先送りしたところが幾つかありますが,これらについてどのように考えているか。不適合の問題については認証評価機関が不適合と出したから,文部科学省がすぐ動くということではなく,文部科学省はそれなりに不適合の内容をチェックして再度審査を個別にする。その上で本当に不適合で法令違反があるのであれば,行政処分をするという段取りということで理解していますが,そういう方向で今後進むということです。

【納谷委員】 今,大学基準協会で今年度出ている問題ですが,認証評価を申請している大学の中には,一応出てきていますが,これが自己点検・評価報告書といえるような文なのかどうか,疑わしい案件があります。そういうことになったときには文部科学省としては,これは実質的に認証評価申請をしていないものという形で読みかえていただきたいと願っています。我々はその対応の仕方を考えているようですが,不適合以外の特別の表現で十分でないということを含めていろいろな,公表の仕方について考えています。ただ,7年目にギリギリで出してきている大学がないわけではありませんので,これから決定していく課題になる大学はあると思いますので,参考にしていただきたい。文部科学省は文部科学省として法令に違反している大学に対しては,やはり呼び出してきちんと対応させる。面倒でもやっていただいたほうがよろしいかと思います。それが1つです。
 もう1つ別なことですが,先ほどダブル・ディグリーのことがありましたが,これはぜひもう少し積極的に推進していただきたいと思っています。教育の内容や研究の内容について,先ほどいろいろありましたが,これからは必ずここのところが突破口で,国際化の教育研究の中身をきちんとやっている大学が外から評価されるわけです。そういう意味でこのダブル・ディグリー等の推進の対応についてはもう少し意識を高めて,設置基準のところまで行くのか行かないかも含めて,ある程度考えていただきたい。なお,これをやるときには必ず機関別評価なのか,分野別評価なのかという接点がいろいろ出てきますので,これは次期でしっかりやっていただきたい。
 もう1つお願いしたいのは,せっかく資料2-3の2ページにこれだけのモデルが既に出ていますので,これを十分調査していただいて,次期にはこれを生かして,どういうところでお互いに認め合ってダブル・ディグリーを出しているのか。どういうところのファクターによって単位互換をしていくのかとか,そういうことをもう少し詰めていけば,この分野のこの部分はお互いに認証し合えるような内容になっていくのではないか。そういうことの実態を示していただいて,お互いに信頼し合える認証評価基準の内容モデルをつくっていくといいのではないか。そういう意味で,ここに書いているように,これからもう少し様子を見て,実質的なところを見ながら基準化していくのは1つの方法と思っています。ぜひそういういいモデルをたくさんつくっていく中で,国際化に向けての取組のところをしっかりと何らかの形で組み上げていただきたい。
 それからもう1つ,前田委員が言われたように,認証評価機関自体が国際的に評価される認証機関かどうかについては,学位授与機構等は一生懸命やっておられます。大学基準協会もやっていますが,これは認証機関自体の問題でもありますから,お互いにどういう認証作業をやっているのかを理解し合うことも,ある意味では非常に重要なことと思います。次期には認証機関を認めるに当たって,これでいいのかどうかも含めていろいろなことを少し考えていただければありがたいと思っています。

【有信委員】 実際にダブル・ディグリー等々を含めて国際的な同等性を担保していくのは非常に重要なことで,その中でいわゆる認証機関の問題と,それから,例えばボローニャ・プロセスの経緯などを見ていますと,European Credit Transfer Systemがベースにあって,欧州域内での単位互換を進めましょうということをEU各国の文部大臣が集まってバックアップをしているような公的なバックアップの問題があります。それぞれの国がそういう形でバックアップをしながら,あとは個別の大学で具体化していくプロセスを努力しながら築き上げていく,こういった二重構造になっています。その中ででき上がった標準的な学位についての質保証をどうするかというところで,これは本来は個々の大学の責任であり,その国のアカデミックシステムの責任でありますが,それだけではやはり十分ではないという視点でアクレディテーションという軸を入れようとしています。ヨーロッパの場合は,それが可能かどうかということを検討しようということで進んでいるのだろうと思います。
 したがって,認証機関は基本的には民間の団体が中心になっていて,その民間の団体の正当性がどこで担保されるかという部分で,ある認証機関は国際的に同等な認証がやれるということで,正当性を担保しています。こういう構造になっているので,いわばその認証機関が独自に努力しなければいけないことと,やはり大学そのものの国際的な同等性ということで国がバックアップしなければいけないことと,それをきちんと分けて検討していく必要があると思います。特に今,日中韓という枠組みが進んでいますので,日中韓は国ベースでのバックアップがあって進んでいることですから,少なくともここは日中韓の単位互換のようなことを国としてプロモートし,その中で大学の努力を促すような構造をつくっていくことをぜひ今後進めていただければと思います。

【納谷委員】 有信委員の今言われたこと,ぜひモデルに対する方向性としてほしい。次期のときに日中韓の成果を必ず反映していくという覚悟で取り組んでいくと,この問題はある程度大きく見えるのではないかと思います。そこを実際見える形で皆さんにやっていただくと非常にいいと思いました。次期にはぜひそういう形でやっていただければと思っています。

【浦野委員】 今までの皆さん方と違う視点でお話しさせていただければと思います。例えば,今のダブル・ディグリーの問題にしても,グローバルな評価機関の問題にしても,ここでは国際的に戦える大学といいますか,そういったレベルの大学が課題になると思います。今,800近い大学があって,それらの大学が全部その土俵に上がるとはとても思えない。企業でいえば会社法があり,すべて,どんな小さな会社でもこの会社法に伴って設置されています。主要な形態は株式会社ですが,ほとんどの株式会社はまじめに仕事をしていて,町工場を経営している多くの会社も株式会社で一定の役割を果たしています。
 一方で,上場会社があって,この上場会社も日本だけで上場している会社もあれば,国際的に上場している会社もあって,まさに国際的にどのマーケットでも上場できる会社は,多分,今言われたようなダブル・ディグリーの問題とか,グローバルな評価機関の問題になると思います。会社で言えば,800近い大学の大多数はやはり国内の上場企業であったり,非上場の会社です。ここをいかに評価していくかという視点をもう一度考えていただければと思っていて,先ほど荻上委員が言われた設置基準そのものの整合性も,会社で言うと会社法みたいな最低のものと,それ以外の評価にかかわる部分は会社法とは別の視点でさまざまな機関が実際には整理しています。
 そんな形もあると思っていて,そういう流れの中で何が言いたいかというと,その大学の機能別分化を評価と絡めようとしているわけですが,先ほど森脇委員が機能別評価は進んでいると言われましたが,私にはなかなか進んでいるとは見えません。それを進めていく視点として,1つぜひ考えていただきたいのが,今後日本の社会は,各首長さんが言っていることも含めて,地方分権,地域主権といいますか,もっと言えば道州制みたいな形になっていく可能性が非常に強いと思います。そのときにこの機能別分化が非常に生きてきて,それぞれの地域の中でどうやっていくか。
 今はみんな東京を見ていますから,人材供給が地域の中でなされないのですが,今後,道州制,あるいは地域主権ということになったときに一番大事なのは人です。人を中央からもらうのかといったら,そうではないと思います。今,地方の公務員等も含めて,例えばデンマークが北海道と同じ人口,半分の面積で,北海道の倍以上のGDPを稼いでいるという事実に直面したときに,現実に北海道には今それだけの人材がいないわけです。そういう意味から,やはり各地域をにらんだ機能別分化を早急に仕立てていかないと,800近くもある大学が生きてこないと思います。
 改めて今,教育基本法を見ていると,「大学は学術の中心として高い教養と専門的能力を培うとともに」と書いてあり,ここまではいいと思いますが,その次の「深く真理を探求して新たな知見を創造し」というところまで行くと,本当に800の大学がこんなことまでやっているのだろうかということは正直疑問に思います。その辺の整理も含めたことが要ると思っていて,もしかしたらこの第7条のところまで含めて考えていかないと,この問題は少しレベルが違い過ぎるのではないか。世界で上場しようとしている会社と町工場の株式会社が同じレベルで評価してくれと言っているように聞こえたものですから,少し違う議論になったかもしれません。

【黒田部会長】 浦野委員が言われたこと非常に重要だと思います。これからの大学の多様化をどう受けとめて中央として指導していくか,その根本が今,浦野委員が言われた地域の問題です。その地域,地域でどう大学が中心となっていけるのかという問題だと思います。そういう中での設置基準の問題もあるでしょうし,この認証評価の在り方についても考えなければいけないと思っているところです。ぜひこれは次期に引き継いで,もっと詳細な検討をしていただきたいと思っています。

【佐藤弘毅委員】 機能別分化という言葉も何回となく私たちは語っていますし,公式なドキュメントにも出てくるのですが,将来像答申以来,あまり具体的には進んでいない気がします。機能別分化は大変大きな課題でありながら,その分化すべき機能にどのようなものがリスティングされるのかということすら,まだ進んでいないような気がします。将来像答申に7つの機能を試案として出されていますが,あれだけが分類のすべてではないはずですし,次期にはそういったことをより具体的にどのような観点から機能ということをとらえることができるのか検討が必要です。
 例えば,今の浦野委員の話にありましたようなことも,規模そのものでないにしても,大学はおのずとインターナショナルな存在であるということが1つの過去の理想形であり,モデルであると思います。実際には非常にリージョナルな教育ニーズに対応する高等教育機関も立派に存在するし,ナショナルな範囲の機関もありますし,そしてインターナショナルもあります。このことは規模と絡んで人材養成にどの範囲で,地理的にはどの範囲にまで貢献していく役割を担うつもりなのかというような意味においても,1つの分化ということになると思いますし,その他いろいろな観点があると思います。機能別分化という,その機能の在り方について,ぜひ実質的な深い議論を早々にやるべきではないかと思っています。

【川嶋委員】 何名かの方が,ダブル・ディグリーや資料2-3に関連した発言をされていますが,繰り返しになるかもしれません。この283ものダブル・ディグリーのプログラムがあることをポジティブに見るか,ネガティブに見るかです。ポジティブに見れば現状は取組が非常に活発に進んでいるとも言えるのですが,逆に言うと,各大学の裁量で自由にやっているということです。極端な話,日本の大学で学生を集めるために1つのPRポイントとして外国の大学とダブル・ディグリープログラムをつくるということもあり得ないことではありません。
 そういう意味で,ここの課題と対応のところの質保証の仕組みは,やはり早急に構築していかないといけない。先ほどから出ているように日本の高等教育システム自体の国際的な通用性なり信用性をアリの一穴のたとえのように,ここから喪失させる可能性もある。非常に悲観的に考えると,そういうこともあり得るのではないかということで,この質保証の仕組みは,当面,自主的ということになるかもしれませんが,そういうことの検討と運用が喫緊の課題ではないかと思っています。

【郷委員】 皆様方のご意見をいろいろお聞きしていまして,グローバル化の中で,恐らく日本にいろいろな大学がありますが,それは他の国も恐らく同じだろうという気はします。それで,ダブル・ディグリーは,必ずしも優れた大学だけの間のディグリーではないのかもしれない。そこが機能別分化ということともかかわってくるので,もう少しいろいろなフレキシブルなやり方があってもいいのではないかと思います。
 私はダブル・ディグリーやジョイント・ディグリーについて,海外の大学と実施する前に,国内のダブル・ディグリーやジョイント・ディグリーを,そんなに簡単でないということもありまして,この辺もどう考えるのか。
 もちろん,グローバルな在り方は大事ですが,国内でやれないのに海外でやれるのか,考え方によってはそういうこともあるかと思っていますので,次期には国内のダブル・ディグリーやジョイント・ディグリーの問題も同時に考えていく必要があるのではないかと思います。

【黒田部会長】 ダブル・ディグリーについては,次期に送るべき内容として,この関係法令の規定の在り方をどうするのか検討していただくということ。それと,修士,博士課程の単位互換の上限を10から15単位に引き上げるということです。この2つはそういう方向でやっていただきたいということでよろしいでしょうか。ダブル・ディグリーは大変盛んに進んできていると見えるのですが,一方で,先ほど川嶋委員が言われたように非常に危険なところもありますので,これは十分注意をしながら見ていっていただきたいと思います。
 認証評価については,これからの検討として,多様化する大学をどう機関別評価していくのかということですが,それとあわせて分野別評価は避けて通れないことでありますので,できるだけ早い時期に参考指針を出していただいて,しっかりとした分野別の評価がプログラム評価できるような方向に持っていっていただきたいと思っています。

【濱田副部会長】 先生方が言ってくださったことで大体尽きているような気がします。1つだけ申しますと,認証評価の問題はどうしても虫の視点といいますか,小さなミクロの視点にどうしても議論が行きがちになりますので,認証評価を通じて機能別分化等々,全体としてどういう高等教育,あるいは大学のイメージを日本としてつくっていこうとしているのか。そういう大きなイメージと,それから細かな認証評価の仕組みとの一種の往復作業をきちんとやっていく必要があるだろうと思いました。

【安西委員】 この質保証システム部会も本日で21回になりますが,黒田部会長や濱田副部会長をはじめ,委員の皆様には本当にありがとうございました。こちらからも厚く御礼を申し上げたいと思います。実際に質保証システム部会では,質保証だけではなくて職業的・社会的自律に関する指導のことですとか,教育情報の公表のことですとか,いろいろな実績を積み重ねてこられまして,それで一番大もとの質保証の問題を随分いろいろな観点から議論していただきました。
 この問題は,本日も委員の皆様から意見がありましたように,短大を含めて1,000を超える大学の在り方,特に機能別分化の問題は日本の高等教育が既に直面している非常に大きな課題でありまして,そういう中での質保証の課題をこれから恐らくもっと具体的に議論をしていくと思います。もちろん大学自治は大事ですが,そういう中で質の保証をどうやって保証していくのかという,そういうことを具体的にやっていかなければいけない時期が来るかもしれないと個人的には感じています。
 そういう中で,この質保証システム部会のこれまでの議論は,これから大変大きな蓄積になると思いますので,改めてですが,文部科学省担当局等も含めまして,深く感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

【黒田部会長】 それでは,本日の議論はこれで終わりにしたいと思います。今,話がありましたように21回にわたって質保証システム部会を開催させていただきました。多くの成果が出て法令改正等も進んで,大学に対しては大変大きな課題も問いかけていると思います。本日いただきました意見を踏まえて資料を修正しながら,19日に開催する大学分科会で今期の論点整理をする際に,本部会として大学分科会に報告をしたいと思っています。
 それでは,最後に文部科学省からあいさつがあるとのことですので,お願いします。

【磯田高等教育局長】 高等教育局長の磯田です。
 今お話がございましたように質保証システム部会は,平成21年3月以降21回の審議をしており,勉強会を含めますと延べ28回会議を開催しています。これまでの審議について,厚くお礼申し上げたいと思います。
 現在,大学分科会の審議を踏まえた論点整理をしていますが,その中でもマクロな議論とミクロな議論があり,それをどのように整理して論点をまとめ,次の大学分科会にお伝えしていくかということについて苦労しています。外部の方から文部科学省として,この大学分科会の審議状況がわかりづらいといった批判もいただいていますが,私どもとしてはマクロとミクロをもう少し整理すべきという反省に立っているところです。
 事前規制から事後チェックという政府全体の規制緩和の流れの中で,量的抑制の原則撤廃,設置認可基準の準則化,認証評価制度の開始があり,これらの制度について一定の定着が見られてきましたが,同時に様々な改善すべき課題があることから,この2年間において,改革の大きな方向性とともに,具体的な制度の改善も含めて審議いただきました。
 あわせて,今日の社会状況を踏まえ,社会的・職業的な自立に関する指導や,教育情報の公表などについて,具体的な制度改正の内容を取りまとめていただき,私どももそれを踏まえて法令を改正させていただきました。
 本日,審議いただきましたようにグローバライゼーションの問題と,ユニバーサル段階における我が国の高等教育の質保証を向上していく中で,機能別分化と連携をどのように考えていくのか。例えばノーベル賞を例にとりましても鈴木先生のカップリングの研究は北海道大学のみならず,幾つかの大学で様々な展開がなされていました。この2つのキーワードをどのように考えていったらいいのかを,しっかりとマクロとミクロの両方で考えていきたいと思っています。
 また,大学関係者のコミュニティにおけるアクレディテーションの議論,特に,その評価のレジティマシィ(正当性)をどうしていくか,あるいはそれを質的にどのように高めていくかについても引き続き議論を深めていただけるのではないかと次期の大学分科会には期待をしているところです。
 先ほど,国際的な観点で日中韓のダブル・ディグリー等の議論がありましたが,私どもとしては,先ほど義本高等教育企画課長から説明をしました大学の世界展開力強化事業の中で,前鳩山由紀夫総理が提唱されましたキャンパス・アジア構想,現菅直人総理から指導いただいている日米間の協働教育創成支援ということで,この2つのプログラムを実際に走らせたいと考えていますが,それに向けまして産業界の方々からの参加もいただきながら,高いレベルでの日中韓の制度づくり,あるいは枠組みづくりを進めていただいています。文部科学省としても,大きな枠組みの中でこの問題に取り組んでいきたいと思っています。今回いただきました様々な論点や宿題をしっかり受けとめて次期の大学分科会に引き継ぐことをお約束します。
 黒田部会長,濱田副部会長をはじめ,委員各位の方々に厚く感謝を申し上げ,お礼とさせていただきます。本当にどうもありがとうございました。

― 了 ―

お問い合わせ先

高等教育局高等教育企画課高等教育政策室