平成20年6月23日(月曜日)16時〜18時
文部科学省3F1特別会議室(東館3階)
二宮皓(座長代理)、青野敏博、大野
裕、小尾晋之介、佐藤次郎、白石隆、武田哲一、鳥飼玖美子、中西久枝、水谷惟恭、森田嘉一、横田雅弘の各委員
木村孟(座長)、有信睦弘、佐藤弘毅の各委員
清水高等教育局長、久保高等教育局担当審議官、片山高等教育局主任大学改革官、藤原高等教育局高等教育企画課長、村田高等教育局学生支援課長、江崎学生支援課留学生交流室長、織田学生支援課留学生交流室室長補佐、都築初等中等教育局国際教育課国際理解教育専門官他
資料2に基づき、事務局より説明があり、その後、以下のとおり意見交換が行われた。
【委員】
高校留学は、非常に柔軟性のある若い世代の生徒たちを対象にしているという意味で、極めて重要であると考えている。受け入れ側については、若い高校生を受け入れることによって、理解を深め、そして将来、再び日本の大学や大学院に学ぶという、留学生の予備群を育てるという意味でも重要であるし、それから派遣については、たまたま今、中央教育審議会で議論となっている学習力の中には、他文化、異文化理解ということや、コミュニケーションスキルということが言われているが、その素地をつくる、あるいは出発点となるという意味で、大変意義があるものと思う。これまでは相当の成果を上げてきたが、近年、高校現場を取り巻く状況や留学そのものを取り巻く環境が大きく変化し、岐路に立たされているということで、その実情も話したいと思う。
まず、受け入れについてである。各地の高校が世界各国からの高校生を留学生として受け入れるということで、数の面から見ると以前よりは増えていると言えるが、これは地域や学校によって相当事情が異なる。それから、管理職と現場との間の意識の乖離というものも見られる。東京に比較的近い関東圏内のある県の2003年度の調査によると、過去3年間の受け入れ状況を調べたところ、県内の高校のうち39校は受け入れたことがある一方で、全く受け入れのない高校が36校あった。なぜ受け入れないのかということをアンケートで調べてみると、受け入れ体制が校内でできていないということや全校的な理解がなかなか得られにくいという意見であったが、最も大きい理由としては、関係する教員の負担が大変重くなるということであった。校長先生が留学生誘致に熱心であって受け入れたいと思っても、実際の業務を担うことになる先生にしてみると、ちょっとたまらないということになる。意義はわかるが、これ以上仕事が増えるのは大変負担感が大きいということである。
この状況を改善する方法はいろいろ考えられるが、一つ現場から出てきているのは、留学生を担当する教員というのはそれぞれの高校で決まってくるものなので、例えば日本語指導というような部分をその教員の担当時間数としてカウントし、ほかの業務を少し軽減する方策が取れないかという声が出ている。
それからホスト家庭について、高校生の場合、寮に入れるよりは、日本を本当に理解してもらうという意味で、一般家庭に滞在することは極めて特徴的であり、大きな意義を持つが、世界的な流れを見ると、無償としての善意のボランティアではなく、有償としてある程度の金額をホストファミリーに支払うという流れになっている。
日本では、実際に受け入れたにもかかわらず、これほど経済的に負担になると思わなかったという声が出ている。交換留学の団体にすると、教育的観点からできるだけボランティアにお願いして、お金を取るようなことはしたくないというのが本音であるが、例えばアメリカなどでは月額200ドルの必要経費を認めているということがある。それから、カナダでは、ある程度お金をきちんと払って、そのかわり責任を持って留学生を預かってもらうというほうが望ましいのだという担当者もいた。
例えば留学生を受け入れるに当たって、月額で5万円程度を必要経費として認めるなどの措置をとることで、受け入れ家庭の経済的負担を少しでも減らし、そして一般の家庭ももう少し気楽に、余り負担にならないように高校生を預かることができないと、受け入れ家庭の増加というのは余り望めないだろう。
それから、学校の問題で重要なのが、学籍のことである。1年間預かるにしても、これはお客様として預かるわけで、正規の学籍はないままなので、そうなると、学校によっては授業料を免除するという法的な根拠は何なのかということを教育委員会に問い合わせてくる場合や、通学定期の身分証明書が発行できないこと、それから、せっかく広島に平和ツアーで連れていきたいと思っても、学生割引がきかないというようなトラブルが各地で生じている。これがなぜか最近は悪化しているが、県の教育委員会としては、入学試験などの正規なコースを経ていないのだから、学籍は与えられないというスタンスである。これはやはり文部科学省として何らかの通達を出すとか法的措置のようなもので、1年間正規の学籍を与えて過ごさせることができるのであれば望ましい。逆に日本人の生徒が海外に留学した場合には、実際に正規の学生と同じような扱いを受け、卒業証書を与えられ、かつ日本に帰ってきた暁にはその留学体験を単位として認定されるわけであるので、日本に来た世界からの高校生に対しても同様の措置をとってしかるべきではないか。
それから、派遣についてである。今は業者が非常に多くなっているので、資金さえあれば、だれでも好きなところに、好きなときに、好きなだけ行けるという非常に恵まれた状況にあり、多分そのせいかもしれないが、高校生が交換留学するということで、試験、面接などを行うと、海外に行って、何をしたいのか、という動機づきが極めて弱くなっている。これで行って大丈夫なのかとか、1年間海外で高校に通い、海外の家庭に入ってやっていけるのだろうかという不安を抱かせる生徒が増えている。そして、実際に出してみると、早期帰国というか、アーリーリターンと言っているが、途中で帰ってきてしまったり、帰ってこさせられてしまう生徒が年間に2パーセントから4パーセントはいる。体が悪くなったということであれば仕方ないが、何となく精神的に参ってしまったり、コミュニケーション能力がなくて、周りと全く話すことができないで帰されてしまうというようなことがある。
それから、派遣で今一番大きな問題になっているのは、英語力低下という部分である。
日本人の高校生が海外に留学したいときに、行きたい国はどこかというと、いまだにアメリカが圧倒的に多い。交換留学の場合、アメリカ側では枠を増やしており、日本からの留学は大歓迎という姿勢を示しているが、だからと言って何でも良いから来てほしいではなく、来てもらっても授業にただ座っているだけで、さっぱり英語がわからないという生徒が増えているということで、一時はこの生徒の英語力は大丈夫ですよという推薦状をもらいたいという話があったが、最近はそれだけでは不十分となってしまった。試験でスコアを出してほしいというのが先方の要望である。その試験というのは英語能力判定試験、SLEPと俗に言っており、いわゆるTOEFL(トーフル)の中高生版である。リスニングの部分とリーディングの試験があり、リーディングの部分の中には文法、構文、それから語彙も入っている。最近の傾向としては、リーディングのスコアが落ちている。高校の交換留学をしている団体はきちんと試験をし、面接もしているので、比較的レベルが高い志願者が多いが、それでも近年の生徒の平均スコアを見てみると38点前後である。
アメリカの正規の留学団体は、45点を要求している。45点とれなければ、学校に通っても授業が理解できず、教科書も読めず、宿題のレポートも書けないので、45点はほしいと言ってくるが、この要求されている45点を希望者の半分以上が到達できない。38点前後をうろうろしていて、何回も何回も受け直して、ようやくクリアした者がアメリカに留学できる。多くの場合、あきらめてしまって、他の国に留学をするということになる。
それからもう一つ、英語圏への留学は多いが、以前は英語が好きだから、あるいは英語が得意だから行こうという高校生が多かったが、最近は英語がだめだから、アメリカへ行ったら何とかなるのではないかとかいうので応募するケースが大変増えている。
留学したいと思う高校生についてはぜひ応援したいと思うが、学校現場では高校生のうちは受験も控えているので余計なことを考えずにまず大学に入って、それから大学に行けば幾らでも語学研修があるのだからという指導をしてしまう。しかし、実は最初に申し上げたように、高校生という非常に柔軟な世代にあえて外に出て、異文化の中でもまれるということは、これは目に見えない宝や栄養になる。せっかくの意欲を学校現場でそぐことのないように、先生方が異文化理解教育や国際理解教育の意義を認識していただきたいというのが強い願いである。
それから、先ほどホストファミリーについてお話ししたが、外国では有償のお金を払う留学が増えており、交換留学の場合なかなかホスト家庭を確保するということが難しくなっている。有償ということは留学費用に加算されるわけで、交換留学でありながら費用がかかるという問題は大きい。それが響いて、派遣の相手国を選ぶのに苦労するようになっている。
アメリカの場合は、先ほど申し上げたように、SLEPという試験の要件が厳しくなっているので、アメリカ以外の英語圏を探すようになっているわけであるが、英国では既に留学生受け入れ事業がほとんどビジネスになっているので、受け入れ先の家庭に払うお金、授業料その他を入れると参加費が本当に高くなってしまう。このように交換留学の枠組みというのがもう崩れており、AFSという特に歴史が古いものであるが、2008年1月に英国でのオペレーションを閉じた。
オーストラリア、ニュージーランド、カナダも、交換留学と言いながら、授業料を払って、ホームステイにもお金を払うという団体が増えているので、事実上、交換留学といっても私費留学とどう違うのかということになっている。このように交換留学の枠組みというのが崩れかけており、2008年1月に英国でのオペレーションを閉じた歴史の古い留学団体もあり、既に英国とニュージーランド派遣は中止し、2009年度からはオーストラリアへの募集も中止するという留学団体もある。ほかの団体も大体似たような状況ということは、数年以内には高校生留学に関しては、オセアニアと英語圏カナダへの交換留学というのは派遣がなくなる可能性がある。
英語圏以外は、東南アジアへの派遣というのは90年代に比べると減っているが、ヨーロッパへの派遣は着実に伸びているということから、数年以内に英語圏への派遣数と肩を並べることになる。
高校生の人口当たりの留学生というのは、ヨーロッパと比べると、日本は非常に少ない。ということは、派遣先の多様性を確保しないと、高校生留学は増えないということが言えると思う。それでも、高校生留学希望者の8割以上が、やはり英語が上手になりたい、だから英語圏へ留学したいということを望んでいるわけで、この辺をどうするかということである。相手国の受け入れ能力を考えると、英語圏の受け入れ能力というのはもう限界である。なるべく高校生の意識を変えて、英語圏ばかりでなく、他の国へ行くようなほうに仕向ける、というと言葉は悪いが、そのようなことが必要ではないかと思う。
受け入れに戻ると、高校留学の受け入れを増やすという意味では、学校現場ももちろん努力はしているし、地域で協力をしていただくということも不可欠であるが、実際に高校の現場でやはり大学進学ということが成果として求められているという現状が何とかならない限り、あるいは学校教育の現場で国際化というものが、いかに生徒たちに対する教育の視点からも重要なのであるということが理解されない限り、そして、外国からの高校生を預かるということがいわば日本の社会的使命であるというような日本社会全体の意識の変革がない限り、高校生の留学は増えていかない。そのためには、もちろん高校留学を担っている団体も精いっぱいの努力はしているが、何らかの教育政策が欠かせないのではないかと考えている。
留学に必要な英語力について、TOEFL(トーフル)が最近iBTということでインターネットに変わり大幅に内容を変えていることがある。相当な内容の長文を読んで、その場で理解して、それについて自分の考えを書くという、高度な読解力と書く力が必要である。
それから、同じように自分の意見を読んだこと、聞いたことに基づいて語るということで、話す能力も相当に難易度が高いものが求められる。
英語教育は、聞く、読む、話す、書く力の4技能を総合して伸ばすような、腰を据えた指導が必要であると思う。
それから最後に、コミュニケーション能力というのが脆弱であるという問題があると思う。相手国に行った場合に、有償とはいいながら、実費程度であるので、日本からの留学生を預かる外国の家庭というのは、日本のことを知りたいということで預かるわけである。しかし、最近の高校生がどういう態度をとるかというと、ほとんど話さず、食事が終わったらそそくさと自分の部屋に引き揚げて、インターネットで日本の友達とEメールをし合っている。異文化を理解しようという意欲やコミュニケーションを取ろうとする意欲が全く欠如しているのではないかと言わざるを得ない。そういう意味で私は、小学校で重要なのは、対人関係を構築していく能力やコミュニケーション能力の素地を涵養することであると思う。
例えば新しい学習指導要領でも生きる力ということを言っているが、今度の学習指導要領の重要な点で、私が興味を持って注目しているのは、各教科を通して言語力を重視していることである。各教科を横断して言語力を育成することによって、将来、留学したときに、何語であれ、十分にコミュニケーションを図ろうとする態度が培われると思うので、そういう意味で小学校から中高と一貫した言語教育を推進するべきではないかと思う。それがひいては大学、大学院への留学につながると考えている。
さらに、その留学の多様化ということについては、これは英語圏でなくても、行った国で国際共通語としての英語を使うという可能性もあるわけで、英語の世界における位置づけというのが、ネーティブスピーカーと話すだけが英語の意義ではなく、世界各国の人と共通語として英語を使うことによって理解を図るという、そういう英語の位置づけを考えると、英語圏に行くだけを考えるのではなくて、高校生のうちから国際人としての英語を目の当たりにするという見地から、留学先の多様化ということを考えても良いのではないかと考えている。
【委員】
高校生の留学については、授業や受け入れ側の問題、派遣の問題を改めて伺って、私もそう思っている。ただし、高校生留学も全く別なスキームがあるということを説明ずる。
それは、大学における留学と全く様子を異にしており、高校生は未成年者であるので、自由応募や自由に留学先を選ぶというスキームはなく、学校間の強固な協定に基づく交換留学、それも相互に教育と生活面との責任を分かち合うことが大変有効であるということを話したいと思う。
併設の高等学校で、国際理解教育や英語教育を重視しており、20年間で大体300名の相互交換留学の実績がある。年間で軽く2けた、多い年は30名近く、少ないときで10名程度である。これは対象が未成年であり、単に勉強だけでなく、生活面で非常に重い責任を負うことから、学校が生徒を交換するという考え方や、家庭が相互に子どもを交換して責任を持ち合うという考え方がそこにある。したがって、学校同士は、学費を相互に免除、ホームステイの経費はお互いにそれぞれの家庭が持ち合うということである。また、協定に基づくと、その事前指導、授業指導なども相互の基準をよくわかっているから徹底が可能であるし、それから留学中のさまざまな情報も組織的に交換し合えるというメリットがある。ついでながら、ホストファミリーも20年もやっていると300世帯が強固なサポーターとしての役割ができており、いろいろ問題が生ずれば、先輩ホストファミリーが相談に応じている。場合によっては緊急避難的に引き受けるとかというようなことも含めて、今、学校と家庭、それからOB、OGの家庭、これらが組織的にスクラムを組んでいる。
恐らくこれは私どもだけが特殊な例ではなく、全国を調べれば、主として私立学校を中心に力を入れている学校が数多くあると思う。もちろん、個人応募の留学も非常に有効であるが、先程の意見のように非常に難しい点があるとすれば、国等が支援するやり方として拠点校づくり、その拠点校が相手方の高等学校との協定によって、その責任を持ってやるというような、そういう方針も有効ではないかと思う。ちなみに、私どもの学校では、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、英語圏が高く、それは今の高校生の留学は英語力の向上と国際化とセットで行うのが一番有効だということでこれらの国に絞られてくる。
いずれにしても、学校間の協定に基づく相互留学、交換留学、これらのほうも少し実態をお調べいただいた上で支援体制をとるならば、今の個人応募の現状が先細りであっても、それに変わる有効な方法として考えられるのではないかと思う。
【委員】
公立でも、学校単位での協定というのは増えていると思う。私が今、説明したのは、いわゆる個人留学や私費留学ではなく、多国間での交換留学、交流団体による交換留学制度として、学校単位ではないが、世界的なネットワークで交換留学を行う、例えばAFSやYFUなど、国際的な留学団体の実情を説明した。
【委員】
15年くらい前に一度だけAFS、YFUの団体、あるいはほかの団体に所属していたものも含め、1年間高校生の追跡調査をしたことがあり、そのインパクトは非常に重要なものだということに驚いた。残念ながら、私もそれから大学の留学生のほうに自分の研究分野が変わっていったため追跡していないが、当時は調査が非常にやりにくかった。というのは、高校生でプライバシーのことがあるのかもしれないが、団体が情報提供するのに非常に慎重だったということがあったが、その後、自分の不勉強もあり、高校生の留学の効果やそのプロセス等についての研究がその後も余りなされていないのではないかと思う。
【委員】
その辺は、ある程度、例えばAFSならAFSで、成果のようなものをまとめてあったり、それから各支部が日本各地でアンケートなどをして、こういう効果があったという声を集め、肯定的な効果は大分出ている。それから何十周年という節目で、例えばAFSが出版した書物などでは、どういう効果が出たかというのが示されているが、多分高校生留学の効果やインパクトなどに関する学術的な調査研究というのは、あまりなされていないのではないかと思う。
【委員】
団体の中ではAFSの方々がいろいろ調査されて、肯定的な話が出てくるが、なかなかそれを中の団体が、自分のところのものを行っているという形で読んでしまうことがあるので、もう少しきちんと調査をしたら、非常に可能性のある、本当にすばらしいものとなると思っている。
【委員】
全国高校生留学・交流団体連絡協議会(高留連)というAFSなども入っている高校生留学の傘になっている大きな団体があるが、そこで実施した調査は文部科学省にも報告が行っていると思う。
【事務局】
高留連が行っている調査を今年も予定しており、留学プログラムに参加した方からの聞き取り調査を実施する予定であるので、そういった調査をもとにして、いろいろな施策の参考にしたいと思う。
また、文部科学省では2年に1回、高校留学あるいは高校レベルでの交流関係の調査をしている。その中では、姉妹校提携については、近年微増ながら増えており、平成19年でトータルで1,679の姉妹校提携がある。これは約10年前に比べると、500校以上の姉妹校提携が増えている状況である。ただし、具体的にこの姉妹校提携に基づいて、どの程度プログラムが実施されているかということは残念ながら統計がない。ただし、長期の留学についてはここ10年間ほぼ、日本人の派遣については4,000名くらいの数で推移をしているが、3カ月未満の短期の受け入れ、あるいは修学旅行については、短期の派遣については、平成18年度の数字で約3万名、高校生の修学旅行については17万名という数なので、トータルでいくと年間20万名近くの高校生が海外に行っており、この中で学校間の取り組みに基づく組織立ったプログラムを実施しているのは確かであると聞いており、先ほどの説明の効果については、現在文部科学省で実施しているスーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクールなどの中には、こうした海外旅行を生徒たちが英語力の向上の一つのモチベーションとして使うという幾つかの調査研究をしている。
【委員】
今度は大学における留学生受入れについての話となるが、昨年行った悉皆調査で、全国の4年制大学並びに東京都内の留学生を受け入れたことのある専修学校の調査を実施した。1年間を通して、短いものは1週間以内から1年までを調査対象とし、年間を通した短期留学生の受入れの実態はどうなっているか、留学生の定義が各国でどのようになされているか、留学以外の在留資格による外国人留学生の実態がどうなっているか把握するということである。
日本学生支援機構で実施している留学生調査は定点観測のため、流動性を踏まえた実態がつかめないということと、留学生の在籍、滞在のあり方が急速に多様化してきているために、どのような学生を留学生ととらえるかという定義の問題についても再検討せざるを得なくなっている。ただし、留学生の定義については世界的に統一したものがあるわけではなくて、結果として留学生数のカウントの確保、それぞれが定めた留学生の基準に応じて行われているのが現状である。
日本もこれから留学生を30万人受け入れるというときに、どういう学生を受け入れるのかを明らかにして、その区分ごとにそれぞれ目標を立てたり、戦略を立てたりしていく必要があるということである。
学生支援機構が行っている留学生調査では、2007年の短期留学生の数は、およそ8,000名ということであり、今回の調査では2週間未満から1年までであるが、その受入れ数はその約2倍の1万5,000名を超えているということがわかった。学部での受け入れが多く、8,000名から9,000名近い数である。学部、大学院を問わないその他は日本語・日本文化に関する研修が主である。実施の大学を見ると、学部か大学院かその他かを問わず、いずれにしても、1週間未満から1年まで1人でも受け入れたことがあるという大学の学部は大体3部の2ぐらいの64.8パーセントであった。
6カ月から1年が一番多く学部レベルでは5,661名であり、3カ月から6カ月という期間が次に多い。これはセメスター制の定着によるところもあるかと思う。
1カ月から3カ月というのは受け入れが一番少ないが、期間が短くなると逆に増加して、2週間から1カ月は740名、2週間未満であると約1,000名ということとなっている。これは多分サマープログラムや夏休み期間の1週間などの受入れである程度まとまった数を受入れているところがあるのではないかと思う。
大学院を見ると2,020名で、全体の中では13.3パーセントしかないが、それでも半数近くの大学は大学院生を受け入れているということである。学部か大学院を問わずに受け入れているものも、約3割の122大学で4,387名である。多分、日本語、日本文化に関する研修のようなものが多いのではないかと思う。
このように、1年以内の短期留学が徐々に広がっているが、短期留学についてどのように考えるかを見ると、必ずしも積極的に推進していこうというものではない。大学の国際性や国際的イメージを高めるといったような目的などを感じているようであるが、日本人学生の短期の送り出しとセットになっているために受入れている大学も多く、経済的なメリットについてはほとんどの大学は感じていない。むしろ経済的メリットについては否定的である。これは、短期の受け入れや事務が煩雑、宿舎の確保が難しい、あるいは英語での対応が教職員では不十分であるというような課題がかなり大きくのしかかっているようである。そして、これについては経済的にプラスになるということを考えているのではなく、交換留学なのでやっているとしか考えられていないようで、積極的にその効果を、経済的にもプラスになるようなものがないかというようなこともまだきちんと開発されていないように思う。
しかし、短期留学を強力に推進している先進諸国の潮流を考えても、短期留学がもともと経済的にプラスにならないとか、あるいは全体的な効果がないと考えられているわけでは決してないと思うので、今、日本の大学はこのような教育的な意義、理念の明確化、目標設定、ニーズの分析、あるいは日本の魅力を活かしたプログラムの開発等、戦略的かつ積極的な試みを行う余地は十分にあるように思われる。また、留学生受入れ30万人において、短期留学をどういうふうに考えていくかによって、どのような施策的支援が必要かということも考えなければならないと思う。
本調査で短期留学推進におけるプラス要因を尋ねたところ、学生の受け入れと派遣をセットにして交流協定を結んでいることが非常に大きいと回答した大学が30パーセントである。1年未満の短期留学の受け入れと派遣は表裏一体をなしているということがわかった。交換留学プログラム、特にセメスター単位での交換留学はますます増加していくと思われるので、そのニーズに対応することが重要であると思う。
推進への消極的な意見としては、期間が短すぎて、学生がまとまった知識を獲得できないからという意見があった。また、今後も受入れに消極的な大学の中には、医学歯学系、福祉系、芸術系など専門に特化した大学が結構多い。このような留学生の受け入れ先である専修学校のような専門的、実践的、研修的な効果を期待されるような分野では、基礎的な知識を身につけた留学経験のある者が、インターシップなどで日本の最先端の現場から学ぶようなプログラムを開発すれば、十分に実施できるのではないかと思うが、どうも実践的なプログラム開発は遅れているようであり、グッドプラクティスとなるモデルの開発を行う必要があると思う。
また、中小規模大学の短期留学を支援する競争的支援策が必要ではないかということで、今回の調査では期間の短い受け入れを比較的規模の小さな大学が少しずつ実施しているというような傾向がうかがえた。長期の留学生の受け入れに取り組むことはそれなりのインフラが必要であるが、小さな大学はその特色を生かして、受け入れを徐々にこの辺から行おうかということで、既存の枠組みの中でスタートしているような形が見られた。その特色を生かして得意分野で短期の受け入れから取り組むことは、リスクを抑えて国際交流に参加する方法ではないかと思うので、この辺の支援策も必要ではないかと考える。
もう一つ、留学生の定義に関する部分について紹介する。OECDの資料を見たが、2005年に留学生数の集計方法を改め、2006年版の報告書から学生の移動を調査することを目的に、従来の永住者や移民の子女を含む外国人学生というカテゴリーとは別に、教育を目的として国家あるいは領土の境界を越えてきた者というスタンスにより新しいカテゴリーを設けカウントするようになった。これは世界各国でも、移動というものを把握しなければいけないということが実際にOECDの中でも統計としてあらわれているということである。
各国の留学生の受け入れについては、OECDは自分のところで調査して、留学生がどうなったかという基準で調べているわけではない。各国が上げてきた資料をもとに、これは留学生なのか否かということをある程度判断して統計を出している。
留学生定義の基準項目はざっと上げてみただけでも10項目ある。国籍・市民権の有無、永住権の有無、主な居住地を留学先以外に定めているか否か、移民か否か、国際標準教育分類のどのレベルに在籍するか。あるいはこれに入らない語学教育機関に属する学生を留学生とみなすかどうか。留学ビザの有無をもって留学生とするかどうか。高等教育前の教育を留学先国以外で受けているかどうか。在学期間やその他出生地等を含めるとさらに多くの基準項目があって、それらを各国が独自に判断して留学生を定義している。
アメリカでは、留学生の定義について、高等教育機関に在籍する者のうち、アメリカ市民ではなく、移民ではなく、難民ではない者で永住権を持たない者と定義している。単位取得目的以外での外国人留学生、すなわち英語教育機関等に在籍する学生、あるいはアメリカにあるアメリカ以外の教育機関に在籍する外国人学生や、高校レベルでの留学生の数は含まれていない。この点では、就学ビザで日本語習得を目的として在留する学生を留学生として算入していない日本は、それと似た基準を持っている国である。ただし、日本では留学の在留資格が付与されている者を留学生とみなしているが、アメリカでは、F1(学生)、J1(交換)、M1(教育訓練)とといったようなビザがあるが、この取得者をもって留学生としているわけではない。F1ビザを付与されていても、例えば正規課程での単位取得目的以外での外国人留学生、例えば大学附属の英語教育機関に在籍する学生は留学生に算入されない。
一方で、国家安全保障省がSEVISに登録されているF1、M1、J1のビザにより、アメリカの教育機関にどういう学生がどのぐらい入っているかということは毎年発表しており、2008年1月の発表によると、F1とM1ビザの取得者が約67万人、交換留学などのJ1ビザをとっている学生は約18万人という統計が出ている。
オーストラリアはまた独特なカウントの仕方をしているが、留学生はオーバーシーズステューデントと呼ばれ、非オーストラリア市民で高等教育機関に在籍する者であり、ただし永住権を有する者、ニュージーランドの市民とニュージーランドの外交官のその家族は含めていない。オーストラリアの教育省のホームページを見るとここまでであるが、AUSAIDが実施している調査は政府の援助を給付している学生も除くとしている。あと独特なのは、オーストラリアの大学がその他の諸国で提供している遠隔教育について、そこに参加している学生あるいはオフショア・プログラムの留学生を留学生とカウントしていることである。このように、いろいろな統計が出ており、政府のAEI統計によると、学校教育、職業教育、英語教育その他の個々の数を合計すると約30万人の留学生を受け入れているというような表現が見られる一方、大学を中心としたユニバーシティーズオーストラリアの発表する留学生数は約15万人弱となっている。適宜どちらかが使われていると思う。
中国では専科・本科生、大学院生、普通・高級進修生、短期生の4種類に分類されているが、日本と異なるのは、研究生や研究員として入っている6万人の普通・高級進修生が留学生にカウントされていることである。この中には日本で言えば研究者に属するようなものも留学生に算入されてカウントされているようである。OECDの見解としては、最低1学期間を正規学生として教育課程に在籍する学生を留学生とすべきだということを繰り返し述べているが、実際にはそうでない学生たちも入っており、このOECDの主張が各国で認められているわけではない。また、OECDもユネスコも外国人留学生と留学生をそれぞれ分けたということは、それぞれ役割の異なる定義と考えているのであろう。1国における外国人学生の割合は、その国内の国民構成数に基づく国内教育の多様性あるいはその必要性をあらわすような数値として使われているとともに、インターナショナルステューデントに挙げられるような国境を超える学生の移動が世界的にどのように展開しているかについての理解を深めるために使われているわけで、今後留学生30万人計画の具体化へ向けて留学生、就学生の統一の問題等々も議論される中で、日本は一体どのような数値を出し、その数字がどのような留学政策を検討する上で役立つのか、有効なのかということをあわせて検討していく必要があると思う。
【委員】
1点質問なのだが、最後のほうで、OECDの定義では、1年間正規に入っていれば留学生ということであるが、円借款のスキームでやっている、半年から1年間中国の行政官を対象とする留学生受入れの場合は、どうなるのだろうか。
【委員】
OECDでは、正規に少なくとも1学期からは正規の高等教育の課程に入った者を留学生と考えるべきだとしている。しかし、実際には必ずしもそうなっていない。それで、何を留学生かと考えるかということの前に、どういう外国人学生が、どういうふうに存在しているのかということを把握する必要があるだろう。すべてを留学生と考えて、同じ施策を行うのは無理があるので、どういうような学生に、どういうような施策を施すのかという政策的な問題から、これをまず把握する必要がある。
中国の研修的なものを、留学と考えるかどうかということだが、私は、今言った言い方をすれば、そのプログラムの内容によって判断するという考え方もあるし、それをどこで行われているかによって判断するという考え方もある。また、期間をもとに判断するなど、ほかにも考え方があるので、私は一概にこれだから、研修だから留学としないとか断定できるとは考えていない。むしろ、日本のもっと短期の実践レベルのものを、広い意味での留学と捉えていいと思うのだが、しかしそうなってくると、質保証の問題とか、1週間といってもどういうプログラムなのかなどの問題が出てくるだろう。そうなると、今度は、質保証機関というものをどういうふうに設立するかなどの問題になってしまう。このように、質の保証をどう確保するかという問題に展開した場合には、なかなか難しい問題になってきてしまうだろうが、私は30万人と考える場合には、広く大学に関して言えば、いろいろな形で学生が入ってこられるようにするということが重要なことだと思っている。
【委員】
しかし、一方で政策を立てる際に、ターゲットをまずは絞らなければいけない。例えば、就学生、留学生という地位を与えて、施策を行うとすれば、まずは、対象をきちんと調べておかないと施策的にはうまくいかない。
【委員】
交換留学の学生については、留学生として数えないとすることがあるようだ。その理由をご存じなら教えていただきたい。もしかすると、これは国をまたいでの二重学籍をなくすような考え方がでてきているということなのだろうか。こういうことは、今まで比較的簡単にできていたが、今後は、かなり縛りが厳しくなる可能性もあるのか。
【委員】
この点は、私も不思議に思う。ただ、実際には交換留学についても、留学生とカウントされている。自国の教育機関に在籍して学費を払いながら他国で教育を受けている学生を留学生としてカウントすべきでないというのは、現実からすればかなり離れているように思うが、その理由についてははっきりしていない。しかし、想像するに、ヨーロッパでは特に学費をどういうふうに払っているか、授業料をどういうふうに受け取っているかということが非常に重要な観点のようだ。その授業料を払う学生と払わない学生、授業料を免除する学生、授業料を満額払う学生、授業料を安く払っている学生など、経済的なそういう学費との関係で留学生を分類していくということが、かなり重要のようで、OECDのこの定義はそういったようなことをある程度考慮した結果なのかもしれない。それにしても現実とはちょっと離れていて、不思議に私も思っているところである。
【委員】
英国は授業料を取るようになったが、まだヨーロッパは取っていない国がある。
【委員】
留学生についての定義は、今後どうなっていくのだろうか。
【委員】
事実に基づいた話ではないと初めに断っておきたいのだが、OECDとしては、本当は留学生についての統一的な基盤を持ちたいと考えていたようなのだが、いろいろやっているうちに余りにいろいろな基準があって、統一的に把握するのは難しいのではないかと思うようになったのではないか。それでも国際的な学生のモビリティーを捉えるという観点だけはとにかく外せないということで、こういった新しいやり方をとってきたのだろう。
【委員】
私も全く推測だが、OECDの場合は、交換留学について消極的な見方をもっているということではなく、それはそれで評価しているのだが、その学生数としてカウントするときに各大学が国際化をして、インターナショナルステューデンツを増やしていることを調べる上では、交換留学を入れてしまうと、混乱を生じるという、それだけのことではないだろうか。
【委員】
交換留学はむしろ非常にヨーロッパでも活発になってきているわけなので、それを阻害するようなことを言っているとは思えない。
【委員】
今後、日本でも、アジア版のエラスムス計画が本格的に始まるなどの話があるが、その際には、大学に対し、どういうインセンティブを与えるのか。具体的にいうと、例えば私の大学では、行政官の教育を行っているが、国によっては向こうからお金を出すから教育してくれというほど需要がある。我々としてはお金の取り方の問題じゃなくて、それをやってくれた先生にどういう形で支払うのかという、工夫のほうがとても重要になってきていると思う。
【委員】
短期留学については、期間が短くても効果があるものでないといけない。非常に短い間でイントロだけをやるというのは、なかなか難しいと私は思うが、研修的な要素が強くなって、現場を見るだけで、あるいはその現場に居合わせるだけで学習するものがあるような部分については、短期のものを開発する余地は十分にあると思う。企業のエクゼクティブ同士の意見交換のようなものを学ぶというのであれば、非常にニーズも高いと思うし、アジアとやっていく上では日本のメリットになるので、共同してやっていくべき例の一つではないかと思う。理系の、あるいは医学、歯学、芸術、ビジネス、それから理工のもので実学的なものは、短期研修的なプログラムが開発されれば、非常に魅力的なものになるのではないか。
高専や専門学校などは、非常にカリキュラムがタイトなので、なかなか受け入れられないという話を伺ったことがあるのだが、今言ったようなことであれば、高専や専門学校などでも良い取組ができる可能性があるのではないか。
【委員】
専門学校で留学生を短期で受け入れるというのはまだまだ非常に難しい。先ほど言われたように、カリキュラムが非常にタイトであるし、専門学校というのはあくまでトレーニングの場なので、トレーニングをするというような時間的なものがあって初めて身につくものである。実際には短期の受け入れをしているが、2週間から3週間程度のものを苦労しながらやっている。その程度のものはPRの意味合いが強い。募集活動の一環として、こういうサービスを、提携する大学、海外の大学に提供し、卒業後に当方に来てもらえればいいと思ってやっているという状態だ。
【委員】
高専で短期留学の受入れはとても考えられない。開発が非常に難しい。
【委員】
かつての短期留学は、日本の場合、欧米からの留学生を増やすためにやっていたようなものだった。しかし、これからの短期というのは、いずれの国から来ても、その人材をどう育てるかという、カリキュラム重視となっていくべきだと思う。専修学校に入る、もしくは高専に入るということが目的ではなくて、高専や専門学校で提供可能な部分は、提供していくという姿勢が大事ではないだろうか。
【委員】
実学的な部分という話からすると、今回のテーマの一つにもなっている卒業後の企業でのインターンシップなど、日本独特のリソースを活用することによって、比較的短期でも魅力のあるプログラムが組めるのではないかと思う。
【委員】
カリキュラムを工夫して、インターンシップも含めて短期留学を行い、日本の企業に入ってもらうというのも考えられる。
【委員】
日本人を派遣する短期プログラムについては、いろいろ柔軟に考えられるかと思う。例えば日本の教育機関が、ただ単に場所だけ、他国の教育機関に提供し、教員と学生を日本に連れてきてもらうというやり方もある。例えば香港とか韓国の場合は、そういう形でヨーロッパの大学から受け入れており、ビジネススクールの学生が一緒にフィールドワークをその場でやるという形で、来日するなどということがある。その際、日本の学生も参加できるようにする。そういった短期留学は、非常に有意義な交流になる可能性がある。当然、その授業には日本の大学の教員も参加して、何科目か担当するということになるのだが、柔軟に考えていろいろなことができると思う。
【委員】
日本の大学が、基本的に初等中等教育の延長上の終点いう位置づけになっているために、全体に何となくそういうトラウマにとらわれていて、うまくいっていないという気がする。これからはやはり教育というのは生涯教育の場でなければいけない。そして、生涯教育を提供する場として大学が存在しなくてはいけない。こういう大前提をもとに進んでいかないことには、その日本の教育はうまくいかない。したがって、留学生を増やすということはそういう教育の場をいかに国際化するかということである。
そういう観点で言うと、今回の議論のように、短期とか長期とかいうことではなくて、具体的にそれぞれの目的に合わせた教育の制度設計をやって、その場をいかに国際化するかという視点で考えていかないと、留学生にとって魅力のある形にならないと思う。そうであれば、特段、若い高校を卒業した人ばかり呼んでくる必要もないし、おそらく日本社会も、これから日本の会社も若い人ばかり採るということではなくて、中堅のそれなりに専門性を持った人たちを採用せざるを得なくなってくるという状況になるのだろう。しかし、今はまだある種の固定観念にとらわれているので、なかなかそこまで進まないが、そうならざるを得ないと思う。したがって、それに対するイデオロギーを含めて検討を進めていくべきだろうと思っている。
【委員】
本日、この具体的方策の検討を最後にするということを先ほど聞いた。この報告書の前文に、もっと加えたらいかがかと思う。なぜ30万人受け入れるのかという趣旨が、ここでは簡単に「我が国を世界により開かれた国とし、アジア、世界との間のヒト・モノ・カネ・情報の流れを拡大することが必要であり、」と書かれているだけだが、それに加えて3点、30万人受け入れる理由があると思う。
第1点は、7ページの(7)外交戦略との連携というところにあるが、留学生の増加を通じて、国際的な人材の育成を図り、国際貢献するとともに世界諸国との友好関係の構築をすることである。それが今11万人だが30万人になれば、さらにそういうことが発展させられるのではないかと思う。
それから、第2点は8ページだが、(1)の優れた留学生獲得に向けたインセンティブの付与であり、留学生の増員を図ることにより、半ば自動的に、我が国の高等教育のグローバル化を推進するカリキュラムも考えなければならなくなるし、外国人教員の導入も図らなければならず、それに後押しされて国際化を実施し、大学改革のきっかけになりうるということである。
第3点は、18ページの(1)である。これは大学を卒業したすべての留学生の知識や技術を利用して、我が国の定着を図ることである。企業等に就職してもらって、世界の人材の我が国の企業、さらには世界への貢献を促進するということが重要である。
これら3点が、30万人に増やすインセンティブであり、趣旨、目的であると思う。しかしこの3点は、本文には入っているので読めばわかるが、前文では明らかではないので、3点を前に出して、前文のところで詳しく、なぜ30万人かという理由を書いておいたら、さらに熱心にこの方策の部分を読んでくださるのではないかと思う。
【委員】
その文は前からあって、まだこの段階では示されていないが、今ご指摘にあったように、皆本文中に入っている。その上で、外交戦略の連携については、やはりこのセキュリティーが何といっても大事なので、それを強調するため、今のご指摘について考えて、前文をつけることを考える。
【委員】
先ほど最初に留学生30万人計画の意義をうたった場合、この10万人の時とどこが違うのかという指摘がまずあるだろう。今回の場合は、我が国の技術、産業等の国際協力の意識向上という点と、我が国の経済活動の担い手として労働市場の優秀な人材を確保すると言う点、この2点が、最初の初期の10万人計画との大きな違いなのではないかと思う。こういった観点から見ると、やはり先ほど短期留学の話が議論されているが、やはり労働市場の優秀な人材を確保するという大きな30万人計画としての特徴ある意義があるので、やはりそういった意味では30万人計画の中では、高等教育機関でしっかり教えて、卒業生を社会に送り出す、こういったことが目的の中では最優先されるのではないか。
もう1点、細かいことなのだが、3ページの「日本留学につながっていることにも留意し、専門学校というより実学教育に特徴がある学種が、」という文になっているが、ここの文章の中で「というより」というふうにも読めてしまうので、これ、実際に「専門学校という、より」という形になるので、こちらのほうに点を入れていただくかスペースを入れるべき。
あと、全体として、専門学校に対しては基本的にこういった日本の教育の推進を図ることが必要であるとされてはいるが、現実的に具体的な推進をしていただけるような具体的な策は一切見当たらない。そういった意味では、まず委員の方にご承知いただきたいのは、高等教育機関の中でも専門学校というのは特に制度上違う分野に入っている学種であるということだ。こういった制度上の違いは、非常に大きな取り扱い上の違いを生んでいるということを皆さんにご承知おきいただきたい。
これは非常に重要な点なので、紹介させていただきたいのだが、まず、専修学校だけは、高等教育機関の中あるいは留学生の受け入れの機関の全学種の中で、文部科学省の指導によって入学定員の2分の1しか留学生の募集が認められていない。こういった点が一つ大きな問題点だ。また、卒業後、専門学校を卒業した後、日本での就業の在留資格の申請ができるのはたった1回だけだ。帰国した後、就業するため再入国する場合、専門学校を卒業したということで就業の在留資格の取得はできない。この点も大きな問題点の一つだと思う。細かいが、卒業後に起業支援のための在留資格というのが大学卒業生にあるのだが、こちらも専門学校生には採用されていない。あとは、前回もお話をしたのだが、インセンティブの付与ということで奨学金あるいは私学の助成の問題、授業料軽減措置の問題、こちらのほうもトータルで見ると、専門学校に対する大学間との差というのは非常に大きなものである。専門学校の場合は、今の時点で取り扱いに差があるということを前提にして、留学生が入りやすいような環境を整えていただきたいというのが我々の望みだ。
【委員】
高校生留学、17ページについて網羅的に書いて、前回より増えて悪いのだが、本日の報告を参考にしてもらいたい。
それから、その英語力の部分、25ページにあるが、これも本日の報告を参考にしていただけたらと考えている。
【委員】
二、三について、確認と要望をしたい。
一つは22ページ、
のところ、入国管理の関係である。ここでは、大学等の入国審査についての留意事項が書かれている。それで、受け入れの最前線のもっと数多く受け入れている日本語教育機関の入国審査についても、いろいろ問題があるということを言ってきたのだが、それはどこかに触れているということなのだろうか。例えば16ページに、就職率とかいろいろ書いてあるのだが、そこはどういうふうに理解すればよろしいのだろうか。
【事務局】
基本的に16ページに、日本語教育の充実とありまして、この点、真ん中のほうである。黄色のマーカーをつけているところの間あたりだが、「国は、特に入国時や在学中の取り扱いを留学生と同等のものに近づけて、大学等への進学を確実にしていくことについても考慮が必要である。」というようなところは、入国管理も含めて、そういった配慮を求めたいというようなところだ。
【委員】
この入国時というところには、入国管理のことも入っているのか。
【事務局】
そのような趣旨で書いてある。
【委員】
これは、わかりづらい。入国管理は、非常に関係者も関心を持っている事項なので、もし内容的に問題がなければ、日本語教育機関というのもこれ加えていただきたい。より明快になるのではないかと思う。
それから、16ページのところで幾つか申し上げたと思うが、まず「我が国の留学生の3割以上が、国内の日本語教育機関から進学し、」というところがあるが、これ多分、文部科学省でつくってもらって、提出していただいた資料の数字が書かれていると思うのだが、確かに約12万人の中、3万数千人の外国人学生が、直前に日本語教育機関に在籍したという数字が出ている。また、日本語教育機関を経由して専門学校に行った人や、大学等を進学するために、日本語教育機関に在籍したことがある者は非常に多い。このJASSOの留学実態調査を見ても、6割ぐらいの人がそういう形で、かつて日本語教育機関に在籍したという調査も出ている。
先ほど、専門学校生について、入国時在学中の取り扱いを留学生と同等のものに近づけるべきという発言があったが、就学生の入国審査や、学生の支援策についても、文章を入れるべきだと思う。例えば奨学金の充実、学割、宿舎の問題等、大学生と全く同じ、あるいは違った支援策が必要であり、そういった点でちょっと言葉を補うべきだと思っている。
留学生30万人計画を、10年でやり遂げるということになっているが、現在受け入れている数を相当大幅にふやさないと実現できない。しかし、こうした議論はここでなされていない。過去にもあったように、急に学生の数を多く受け入れると、いろいろな問題が生じるだろう。いろいろな人が入ってくるおそれがある。そういう意味で、段階的に受け入れるのが好ましい。特に、留学生の質を確保しながら数も多く受け入れるのが望ましいが、これは大変なことであり、日本語教育機関の場合、現在、過去の反省も踏まえて、入学選考の段階が非常に重要だと考え、数多く受け入れている中国については、統一試験の認証制度を開発して、現在は実行に移している。日本語教育機関で、一番最前線で学生の質を確保しながらやっている入学選考、認証システムについて、それを積極的に活用して、選考の適正化を進めるということを一言つけ加えたほうがいいだろう。
「日本語教育機関も教育指導を充実したり、学生の学籍管理を徹底することなどが必要である。」とある、そのくだりのところに、今の入学選考というのもつけ加えていただくと、しっかり受け入れができるのではないかと思う。
【委員】
さきほど、留学生の範疇をどこまでカウントするかという話があったが、学校種別とか課程だとか機関別とか、結局この会議では、どの範囲のことを留学生として捉えていくことにしようとするのか。
【委員】
そのような留学生の定義は、まだはっきりしていない。専門学校や日本語教育機関もいろいろな教育機関があって、それを何と呼ぶかというのは今後の問題で、私はそれを全部含めて留学生でいいと思っているのだが、ここではきちんとした定義ができていない。今後また考えていこうと思っている。
【委員】
定義できないと言ったほうがよろしいかと思う。例えば入管の制度については、法務省がどういうふうにそれを扱うかなど、いろいろなことがあるので、ただそういう省庁の連携が必要だとか、その辺のことは全部書いてあるが、そういう将来の日本の動向を見ながら検討していこうということにならざるを得ない。
【委員】
中教審の答申としてはそういうことでよろしいかと思うが、結局、30万人という具体的な数値目標を出した以上は、国としてその定義というのを明確にしないとやはりこの政策の正当性とか、そういうことについて後で問題になるのではないか。どこかの段階で国としては思料されることがよかろう。
【委員】
そういうことがあって、一つの研究という意味で、委員に各国の留学生の定義について、プレゼンテーションをしていただいた。それは今後も研究課題になろう。
【委員】
時間がないので、端的に言いたいが、これまでの議論の中で、何回か予算の問題が常に重要であるという発言が出てきたと思う。今回の会議でいったんとりまとめとなると思うが、これまで議論してきた施策については、予算を必要とする事業であるということを明らかになるような表現が必要ではないかと思う。
14ページの下から5行目に「組織的取組状況に応じた配分も検討することが求められる。」という箇所についていうと、大学間の交流による留学という場合、受入れと派遣という交換的な側面がある。しかし、実際には、外国人留学生は来るけれども、日本人は海外留学をしないということがよく起こっている。それはまさに6ページの「せっかく協定や覚書を締結しても」という状態であり、交流協定の積極的な活用が重要となる。そこで、例えば、これまでの大学間交流協定の在り方に加えて、複数の大学の連合体というようなものもあっていいのではないだろうか。そうすると、14ページに出てきた「組織的取組」については、一つの大学内での組織的取り組みという意味合いもあろうが、国内、国際間の複数の大学が連携していくという意味での組織的な対応というのも含めて考えていくべきだろう。
また、こうした考え方に立つと、協定の締結が重要であるというよりは、協定の運用が重要であり、それを促進するための予算的なインセンティブを伴わなければならないなど、具体的に書いていくべきということになる。
【委員】
ご意見はよくわかる。しかしながら、当世の財政事情によって、なかなか書けない。しかし、いずれにしても、私が冒頭申し上げたように、中曽根計画、中曽根プランで1万人から10万人に20年かかり、その間に予算が大幅に増加して、宿舎は10倍になった。計画を推進する上で、財政的支援が欠かせない、それは自明の理であるが、最近の財政事情によって強くは書けないということがある。そういうことで、その辺はお任せいただきたいと思う。
最後に、事務局より、次回の日程については、改めて事務局より連絡するとの旨の説明があった。
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