平成20年4月25日(金曜日)10時~12時
文部科学省16階特別会議室(東館16階)
二宮皓(座長代理)、大野
裕、小尾晋之介、佐藤次郎、武田哲一、鳥飼玖美子、中西久枝、水谷惟恭、森田嘉一、横田雅弘の各委員
木村孟(座長)、佐藤弘毅
清水高等教育局長、久保高等教育局担当審議官、土屋高等教育局担当審議官、片山高等教育局主任大学改革官、藤原高等教育企画課長、村田学生支援課長、氷見谷高等教育企画課国際企画室長、江崎学生支援課留学生交流室長他
資料2に基づき、事務局より教育振興基本計画について説明があった。
資料3~資料9に基づき、事務局より説明があり、その後、以下のとおり意見交換が行われた。
【委員】
資料5で、包括的な基礎データをコンパクトにまとめていただいて大変便利であると思う。
【委員】
資料5について、国費と私費に分かれでいるが、高等専門学校に係る私費留学生数の220名というのは、これはマレーシアとのツイニングプログラムであり純粋な私費ではないが、私費の中で、本当に私費で留学している者の数はわかっているのか。
要するに、私費として分類されている留学生として、本当に私費で留学している者と、実際向こうのお金で、先方国の経費で留学している者がいる。現在、先方国負担の留学生を増やそうという話もあるが、それぞれの内訳がわかると、今後の議論の助けとなる。
【委員】
とらえ方の問題があり、相手国の派遣が私費に入っているので、その辺の仕分けをもう少しきちんと行う必要がある。私費というと、自ら費用を負担していると受け取られるが、実際には相手国から経費が出ているものも入っている。
【事務局】
政府派遣の数については、把握できると思うので、次回以降に示す。
【委員】
それから、今までいただいたデータについて、机上資料として入っていないデータもあるため、今までの会議資料に係るデータについては、一括して入れていただきたい。
【事務局】
わかりました。
【委員】
資料7の6ページの締結先地域別派遣・受入人数で、学生交流と教員・研究者の交流というのを見ると、教員・研究者の交流の中で、北米、ヨーロッパ、オセアニアというのが著しく低いというのがちょっと意外に思ったが、恐らく、共同研究等を今後促進していくということが留学生の獲得にも関わってくるという指摘も他の部分で出ていたので、これは非常に重要な問題ではないかと考えているが、データ分析の過程で理由と思われるようなことがあったか。
【委員】
今、ご指摘のところは、資料7の5ページの表7において、ヨーロッパは相当数の派遣・受入実績があるが、北米は学生の派遣・受入かなり多いが、教員・研究者交流は派遣861名と受入551名で非常に少ないということである。
【事務局】
北米等の研究者交流については、主に協定に基づいて、協定の事項の中で行われたものであるが、例えば日本学術振興会や様々な機関で支援いただいた研究者交流や研究プロジェクトの数字というのは、本データ入っていないので、実際と若干乖離がある。
【委員】
本データはどうやって調査したのか。
【事務局】
資料7の表紙に記載のある822機関に調査票を送り、記入いただいた。
【委員】
私も資料7の6ページの質問であるが、表6の学生交流で、派遣総数が19,379名、受入が13,464名になっているが、これは留学生のカテゴリーに含まれるのか。
【事務局】
短期については、3カ月未満であると含まれないが、3カ月以上であればカテゴリーに含まれる。
【委員】
これは協定に基づく交流の内容及び交流状況であるので、必ずしも短期だけとは限らないと思うがどうか。
【事務局】
長期もあり得ると思う。
【委員】
逆に言うと、これが留学生の総数の中に入っていない可能性もあるのではないか。
【事務局】
留学生数のカウントの方法であるが、毎年5月1日現在の数字であるので、短期であるとカウントされない場合がある。
【委員】
やはり多点観測にしないと、どのぐらいの留学生がいるかなかなかつかみにくいということである。以前話題にあった留学生数調査の結果についてはどのようになったか。日本学生支援機構の留学生数調査の結果とはかなり違うのか。
【委員】
どういう学生を留学生ととらえるかという問題を検討すると、どれぐらいの期間から入れるかという問題となる。留学の場合は、大体2週間未満から1年ぐらいでかなり差があるので、どういうふうに留学生としてカウントするかという問題はある。
それから、受入れの多様性が広がっていると考えて良いと思う。特に小さな大学では短期の分野を、手はかかるが大きな枠組みが余り必要でなく部分的に手をかけるとできることもあり、今後そういう活動は広がっていくと思う。
【委員】
恐らく、学生の流動性という観点からすると、2週間でも入れるべきであり、十分考慮すべき対象だと思う。
【委員】
要するに、きちんとしたプログラムがまだでき上がっていない途上の状態だと思う。例えば、2週間でも集中講義が日本で多々行われているように、集中講義ができプログラムが良ければ、1学期の間留学したのと同じようなことができると思うが、まだ試行錯誤している段階で、面白いプログラムができていない。短期留学を活性化させていくためには、少し政策的に刺激するということも有効ではないかと思う。
【委員】
資料5に戻るが、この資料から今後の具体的な方策につなげることを考えると、学問分野と、それから各国、各地域に対して、どのような方策を用いて積極的に獲得するかということにつながると思う。獲得するためのインセンティブとしては、例えば国費の仕分けをどうつけるかということになるかと思う。そういう観点で考えると、国費と私費で、アジアと欧米とその他のアフリカ等々という地域分類をしていただくと大変ありがたい。
つまり何が言いたいかというと、黙っていても、私費で経費を負担してでも来るような分野があると思うが、そこに奨学金を出す必要は、はっきり言ってない。そうではなく、こっちとしては呼びたいが、お金がないので来れない者に重点的に奨学金をつけようということを検討する上での根拠になるかと思う。
【委員】
全く私も同感であり、資料4についてご議論いただきたいと申し上げたが、まさに戦略として出していく必要があるために議論する訳である。
【委員】
先ほどオセアニアとの交流実績が低いということについて、少しだけ情報があるので説明したいと思うが、オセアニア、特にオーストラリアは留学生の受入れをかなり経済的な観点からとらえているということがあり、その仕組を構築した大学の執行部の方々にヒアリングをしたことがあるが、外国へ留学していこうとする意欲を持つオーストラリア人学生が逆に少ないということを嘆いていた。
今後はそのことが問題になるという危機意識を持っているので、危機意識を持っているからオーストラリアで派遣目的の奨学金ができるかどうかわからないが、少しその危機意識にアプローチして、共同で日本に来られるようなルートを開いていくという可能性はあるかと思う。
【委員】
今の話に関連して、資料7の5ページのオセアニアの部分に係る学生交流を見ると、派遣はかなり行っており2,464名いるが、受入は450名しか来ていないということがある。
【委員】
その辺は、この前指摘があったが、域内交流としてUMAPを使うことによって突破口があるかもしれない。
【委員】
資料4については、大変よくできていると思う。これから戦略を見ていくときに、ぜひビジュアル化した図が欲しいなと思っており、先ほど分野別ではどこに投資する必要があるかという話があったが、国の経済力との関係で経済力がある国にどうするか、ない国はどういう形で投資していくか、また短期留学等、留学の種類、期間、分野といったものに対しどのように戦略的に資金をどう投資していくか、資金だけではないが、そういう戦略との関係がわかるようなグラフや図が幾つかできるのではないかと思う。そういったものを幾つか重ね合わせていくことによって、どの分野にどういう国を、あるいは日本に興味を持っている国にどういうような戦略をかぶせていくかということが明らかになってくる気がする。
【委員】
私も、戦略として考えれるのであれば、どのような地域、国からどんな留学生が来ていて、どの分野が多いのか、もう少し詳しいデータとして出していただければと思う。
【委員】
今の話で、例えば資料4の4ページの中東諸国については、非常に人数が少ないので今後増やしていかなくてはならない地域ではないかと思うが、現在中東諸国のうち、特に石油、天然ガスを排出している国々は、資金は出すから行政官研修をやっていただけないかという話や、留学生をもっと受け入れてくれないかという話が具体的に出ているので、その辺りを今までは私費という形でとらえているが、非常にお金持ちの国は、経費は負担するが、人材育成のための受入機関が欲しいという様子も具体的に出ているので、その辺りも地域別に盛り込んではと思う。
【委員】
サウジアラビアは、教育大臣が何回か来ており、相当熱心に日本に留学生を出したい、研究者を出したいと言っているので、その辺のこともぜひ行っていくべきと思っているが、サウジアラビアについてはまだ何も具体化していないのではないか。
【事務局】
サウジアラビアについては、政府が全世界に、主として大学院規模の優秀な学生を送って教育してもらいたいということがある。これは、サウジアラビア政府が費用を負担して、派遣をするというものであり、日本にも100人規模の留学生を送りたいということで、実際に今、日本語の予備教育を日本学生支援機構の大阪日本語教育センターで行っているところである。また先ほど留学生の分類の中で、私どもとしては、国費・私費のほかに、外国政府の派遣学生というデータをとっている。
【委員】
資料4の3ページであるが、ASEAN(アセアン)から受け入れることも、重点地域ということで非常に重要であると思う。
2、3年前に外務省関係の調査を手伝ったことがあるが、そのときに10年間でASEAN(アセアン)からどのぐらい留学生が増えているかということと、なぜそれが余り増えないのかということを分析したことがあるが、ASEAN(アセアン)の場合は、余り増えていないということであった。特に、私費の学生はほとんど増えていないという状況が、そのときわかった。
一部の国、例えばベトナムについてはかなり増えているが、その他の国は余り増えていなかった。日本の国費の留学生、それから各国政府が経費を負担している留学生の割合と私費の留学生の割合が大体半々である。日本で受け入れている留学生の場合、大体私費10対国費1でであるが、ASEAN(アセアン)の場合は、かなり公費あるいは日本の国費の留学生が多く私費の学生は比較的少ない。そういう状況で、今後この地域から相当数の留学生を期待するということになると、来てほしいと言うだけでは、なかなか進まないのではないかという感じがする。
したがって、留学生の獲得戦略を立てる場合は、それぞれの地域なり国によって相当違いがあることを念頭に置いて、具体的に個別の国の事情等も勘案して、対策、戦略を立てる必要があるのではないかと思う。
そのために基礎的な資料として、例えばユネスコやOECDの関係でまとめている資料があるかと思うが、例えば、タイやマレーシアやベトナムなど、ASEAN(アセアン)の国からどの国に留学生を送り出しているか、ナンバーワンはどこで、何人ぐらいという状況がわかると、日本に来ている学生は一体何人で、どの程度の順番なのかということがわかる。そうすると、なぜ日本には来ないのかということも、ある程度いろいろ分析できる。そういったように、特に日本にこれから来てほしいという国については、具体的に現在どの国に派遣しているかというような順序がわかるような資料を作っていただければと思う。
また、先進国の多くの学生を受け入れている国がどの国から受け入れているのか、特に順位と学生数がわかると、これから具体的に検討するときに非常に役に立つと思う。
関連して資料4の6ページに、海外における日本語教育の充実という観点で書かれているが、海外を含めて重要であるということはそのとおりであると思う。海外の日本語教育の充実と留学生の受入れ、質の向上ということを考えた場合に、国外の日本語教育の受入機関としての日本語教育機関というのも、制度的にもあいまいである。また、質的向上のための国の施策も十分でない現状である。ですから、そういうことについても同時に検討事項で加えていただきたいと思う。
【委員】
資料4の6ページ(7)であるが、「海外における」というのは、ちょっと海外のみという印象を与えるので、「海外も含めた日本語教育の充実」とする必要がある。
また、我々の共通認識として、現在の状況を見ると、非常に多くの正規学生が日本語教育機関を通ってきている訳であるので、そこは絶対無視できない。これは、自民党留学生等特別委員会でも強調したが、そこを相当充実しないと、30万人計画は多分実現しないであろうと思うので、ここへぜひ盛り込んでいただきたいと思っている。
それから、前段のデータについても手に入れば、例えばアメリカはどこの国から受け入れているとか、それからタイは、どこへ最もたくさん送り出しているのか、うち日本に何人来ているのかということがビジュアル的にわかれば、議論が非常にしやすいと思う。
【委員】
今の点であるが、分野別があるとないとでは、今後の選択の資料として変わってくると思う。
【委員】
先程の日本語教育に関する発言には全面的に賛成である。日本語教育機関の法的ステータスや水準向上にはぜひ取り組むべきことであると思う。
それと絡んで日本語教育の教師養成について、これも随分長い間いろいろなことが言われているが、依然として放ってある状態であり、大学の中でも、例えば我が国の学校教育に携わる教職課程の位置づけや内容と比べると、日本語教員の養成というのは非常におざなりになっている。国としても、一応の基準はあるようであるが、まだ十分ではないと思う。この分野を志す若い学生たちも、入学してくる時には非常によく燃えているが、だんだん現実がわかってくると腰が引けてしまうことや、あるいはその後の就職のことを考えると今ひとつ一生懸命になり切れないところがある。よって、日本語教育機関を整備することを前提として、日本語教育に携わる教師のステータスの向上や養成機関の整備もぜひ検討すべきであると思う。
あわせて、これは半分質問であるが、資料4の6ページに、海外における日本語教育の充実があるが、その通りであると思う。よく言われているように、同じ第二次世界大戦の敗戦国で、ドイツは焦土の中からいち早くゲーテ・インスティテュートがドイツ語とドイツ文化の普及に多大な努力をしており、その成果が十分上げられていると言われている。それと比較して、我が国の貧しかった時代のこともよく言われているが、話を聞いただけで、現実にどの程度の差が出ているのかよくわからない。
最近で言えば、孔子学院のこともあるので、もし資料があれば、主だった国において、自国の言語を普及するための努力として、どのようなことがなされていて、我が国と比較してどうなっているのか、わかる範囲で調べていただきたいと思う。
【委員】
今のことに関連するが、6ページ(6)にブリティッシュ・カウンシルのような留学を専門に取り扱う機関の整備を進めるというのがあるが、実はこれが、4ページの(4)に日本留学に関する情報発信機能の強化とあり、日本留学フェアや日本留学説明会と非常に関係してくるのと、それからもう一つは、今出ているような海外における日本語教育で、例えばゲーテ・インスティテュート、フランスであると日仏学院、アテネフランセであるとか、スペインはこの間、セルバンテスセンターを作ったが、日本語教育にも関わってくるわけである。
6ページの(6)だけを見ると、英国のブリティッシュ・カウンシルのような機関というのが何を指しているのかよくわからないが、これは比較的、総合的な日本語教育も多分含め、そして各大学が個別に行うのは大変なので、それをまとめて肩がわりする部分もあり、あるいはもう少し全体的に何か方針を練って、広報戦略を練るというようなことも含んでいると思うので、この書き方であると印象が弱いかという気がする。
【委員】
例えば資料4の6ページ(7)に日本の文化、それも語学に関する研究というくだりがあり、ブリティッシュ・カウンシルのようなものができるとすれば関係してくるし、留学生に対する情報提供等でも関係してくる。先ほど申し上げた自民党留学生等特別委員会においてブリティッシュ・カウンシルのことを説明した際に、女性の議員の方で、我々はかなり前から日本カウンシルを作るための運動をしているという発言をいただいた。このことから、国の政治レベルでも議論されているので、ここで別に1項目を設けて、総合的な機関としてどうしても必要であるということを盛り込むのも一つの方法であると思う。
それから、各国のそういう文化やメッセージを発する機関においてどのような活動をを行っているのかということをわかる範囲でまとめていただけばと思う。
【委員】
留学といっても長期と短期はかなり性格が違うと思う。
今2,700名の留学生を迎えているが、5年以内に8,000名にするということを目標としており、ちょうど今12万人を30万人にすると、ちょうど大体2.何倍ということで似たような数値になってはいるが、長期と短期で全く考え方が違ってくる。
つまり、長期の場合には、例えば今までであれば、既に日本語ができる学生を獲得し、我々の持っているカリキュラムをそのまま行えば良いが、もっと増やそうと思うと、英語による授業は少なく、全くカリキュラムそのものをどう変えるかという話になってくる。一方短期の場合には、例えばサマープログラムや1年のプログラムなど、既存のものを少し組み換えるだけで済むような、仕組み上の問題もある。
それと同時に、リクルートの仕方も全く異なってくる。例えば学部生を獲得しようと思うと、海外の高校に対してどのようにアプローチするかというようなことまで考えないといけないと同時に、他の国の大学は、実は競争相手であるので、全然立場が違う。一方で短期留学の場合は、大学に頼る学校の場合には、お互いに自分たちの学生をもっと高めたいから協力して実施するというような、多分UMAPみたいな形で協力することがある。
よって、海外で拠点を作ってどうするかということについても、どのように活動するか全然違うし、大学間の連携も全く違ってくる。つまり、あるときには競争者で、あるときには協力者であるというようなことであるが、全く視点が違っており、どのように取り組むかも違うので、少しその辺りも盛り込んでいかなければ思っている。
【委員】
多分、文部科学省もその辺は意識しており、長期も大事であるが、短期留学も大事であるということで、短期にかなり重点を置き始めているので、その辺もはっきり打ち出すということであると思う。
【委員】
今後5年間において、急激に増やそうということ、資金が少ないだろうと思う。戦略的な部分は投入できるかもしれないが、30万人全体についての資金がすべて税金からというわけにはいかない。
そうなると、諸外国の学びたいと思っている人たちのニーズにどれだけ私たちが応えるかという問題となる。
例えば、このたびメキシコでUMAPの会議に出席した際に、タイにマヒドン大学というのがあり、米国のマイアミ大学と、ジョイント学位を出す準備に今入っているということであるが、アメリカは自国の学生であるが、タイは自国の学生がいないということである。ちょうどシンガポールと同じで、英語で授業を受けられるため近隣国からそのコースを取りに来ている。よく考えてみると、タイには交流者の支援というニーズはないかもしれないが、近隣国にはあるということである。アメリカに2年間も行くとコストが大変であるため、コストパフォーマンス的にタイの方が良いということである。
よって、費用をかけないで、開かれた大学を作り、ニーズに応えるという観点であれば、まず日本の大学や日本社会がどれだけグローバルなルールを作れるかということが重要となってくる。それについて政策的に誘導したり支援したりする部分をきちんと行うという政策の部分を3分の2くらいにして、そして、残りを戦略的に、ある一定の国益なら国益という目的をしっかりと見定めて、例えば大学院で特定分野の特定地域からの優れた留学生を獲得するためには何をするのかという、丁寧な議論をして、まずは資金がなくても、どのような支援をすれば、日本で学びたい、あるいは学ばせたいということで、多くの人たちが、来てくれるかということもここで議論し、戦略としてどの部分効果的・効率的に狙おうとしているのかということをはっきりしておかないと、総花的になってしまい、大学は何を努力するのかというところが結局見えなくなる。
結論であるが、大学も市場であるので、開かれた日本ということであれば、大学こそもっと開かれた大学になるべきだという強いメッセージを発して、大学が自ら社会のニーズに応える使命を持つという前提の中で、今後5年間、各大学はどれぐらいの留学生を受け入れ、国際貢献や市場に対してのニーズに応えるつもりなのかということである。この考えを基に、各国公私立大学が自らの使命や特色に応じて具体的な案を立案していくのではないかと思う。
【委員】
中曽根プランを実現するに当たっては、一般会計予算だけでも5倍になっている。特別会計を入れると恐らく七、八倍にはなっているだろう。留学生の数を10倍にするのにこれだけかかっている。宿舎については実際10倍近く手当てされているだろう。こういった予算措置があまり今後期待できないとすれば、いろいろな工夫をしていかなければいけないというのがさきほど発言の趣旨だと思うのだが、特定の大学で、例えば留学生数を2,700人から8,000人にする場合、それにかける費用はどうするとお考えか。
【委員】
それについても、理事会の中で若干議論が始まっているところだ。試算すると、相当大きなお金が必要だというようなことがわかっている。私立だと、資金源もそれほどいろいろなものがあるわけではないので、なるべく費用はかけずに、何とかしなければいけないが、これは非常に難しい。
しかし、8,000人にすることによって、今までの大学のすべてのやり方、教育から、あるいは事務組織から何からすべて変えなければいけないので、相当大きな変革になる。ある意味では、8,000名計画を大学改革の一つの大きなきっかけになるはずだ。いわゆる開かれた大学になるだろう。
【委員】
この点に関して、別の委員がプレゼンテーションしたときに、要するに、授業料を払ってでも行きたいという大学を増やさなければいけないといわれていたが、その通りだと思う。1996年時点で、イギリスは高等教育に必要な費用の4パーセントを外国人の授業料で稼いでいた。今それが8パーセントから9パーセントになっている。英国が積極的にできるのは、要するにビジネスになっているからだ。ビジネスになっているというと、言い方は酷だが、それだけ英国の大学は、質保証して、非常にレベルを上げて、来れば留学生自身にとってメリットがあるというような形にしているから来るのだと思う。もちろん、それは英国という国のナショナル・ブランドもあると思うが。
兼ね合いも重要だが、日本の大学もそういうところをつくっていけばよいと思う。現実に、ある特定の分野については非常に注目されていて、短期留学で海外の著名な大学から日本の大学にくる例もある。そういう分野を売りにしながら全体的にレベルを上げていくということが重要だと思う。
【委員】
先ほどの話とも関係するが、オーストラリアはもともと、そういう経済的な観点から留学というものを捉えていた。当時から観光政策の中に留学生の政策を位置づけているのだ。
あるいは、インドの病院の行政には、これも観光省が入っていて、海外からお金持ちをインドに呼んで、インドで最高の医療を受けさせて帰国させるというようなことをやっている。インドの病院の行政に観光という要素が入っているというのは驚いたが、短期留学であれば、例えば日本の観光業界も参入できるようにしてもいいと思う。留学生政策を、いろいろな人に日本に来てもらおうという観光政策の中に位置づけることによって、ある意味で国もお金を出しやすくするというようなことが考えられる。オーストラリアもそう位置づけることによって、国の予算が多くつくようになったと聞いている。こういう見地からも考えていくといいと思う。
それから、海外拠点としてJASSOや日本学術振興会を利用できないか。ブリティッシュ・カウンシルの話もあったが、そういった機関を統合して、情報発信ができるようにすることを具体的に検討していただきたいと思う。それぞれ別々に近くのビルでオフィスを持っているというようなことが見られるが、少なくとも同じビルの同じフロアをシェアするとか、これはお金が多少かかるかも知れないが、機構的には新しいものをつくるというよりは、今までのあるものをもっと統合していくということを考えるべきだ。これについては具体的なアクションを検討してほしい。
【委員】
今の点に関してだが、日本は教育立国ばかりではなく、観光立国という方針も定めて、今また観光白書をつくっているところである。国土交通省には例えば国際観光振興会のように、海外の拠点を持っているところもあるのだから、そういったすり合わせができないのだろうか。
それから、総合したブリティッシュ・カウンシルのような、もしくは日本カウンシルのような、総合的な発信や日本語教育を結びつける場が必要であると思う。大きな大学だと8,000人留学生を呼んで、それを梃子に教学を全く変えるということが可能だろうが、多くの大学では、そこまでの余力がないのでそういう大学を海外にてサポートできる拠点が必要だ。
留学生についての制度を充実させることを考えると、動機づけの問題にいきあたる。社会的使命として開かれた大学が必要だとは思うし、各国からの留学生を増やしたいという利点はわかるが、実際問題としては、少子化の中でどうやって学生を確保していくかということに追われているわけで、留学生まで手が回らない状況がある。ホームページを充実させるべきなどの意見が出ているが、受験生に対するホームページはこういう場で言わなくても充実させているのに、留学生に対してそこまで行かないというのは、費用対効果を考えると利にならないことのほうが実は多いからだと思う。どうやってその動機づけを高めるかということも重要だと思う。
【委員】
その通りだと思う。それは前回最後のほうに、委員が発言になった、留学生はものすごく手がかかるということにつながると思う。まじめな先生であればあるほど疲れるのだと思う。よって、こういった問題は難しい。
それから、最初の指摘については、
の「関係省庁・関係機関等の連携」とあるが、多分これを書いた時点では、今、委員が発言になったようなことまでは、視野にいれてはなかったと思う。また議論をしたい。非常に大事なことであると考える。
以前も、ある会合で、ブリティッシュ・カウンシル、日本カウンシルという話が出たが、もう既に、オールジャパンで見たら、相当な国にいろいろな機関がオフィスを持っている。そういうものを統合して、それぞれの役割を担うようなセクションを置けば、それでかなりカバーできると思う。
【委員】
資料4の最後のページの外交戦略との連携についてだが、前回のこの委員会の中でも、委員から、国費留学生の抜本的な見直しも必要ではないのかという指摘があった。特に国費留学生というのは、外務省の管轄で各大使館が選考に当たり、選考が終わった後で、文部科学省の管轄に入るという形で大学等に受け入れられていく。その際に、例えば現在の時点でどの国から何名を枠として受け入れるのか等受入れ体制がどうなっているのか私たちにはよくわからない。
また例えば、その学生の日本語研修期間を半年にするのか、1年にするのかということが、実は指導教官のキャパシティーの問題で決まったりする。そうすると、戦略的にどの程度受け入れることが人材育成の上で合理的かというような判断が何もないままに、受入れ側のキャパシティーでのみ受け入れが決まってしまっているという現状もある。
国費留学生制度について、どの国から何名受け入れるのかというようなことが、どのような考え方からそもそも決まっているのかという情報があれば教えていただきたい。
例を挙げると、これまでの資料で、特定の国の学生が、比較的さまざまな分野で国の人口の割には多く受け入れているというような実態が見えたが、それではなぜ、その国の留学生が多いのか、全体的な政策の中でどのように決まるのか。これについての何かガイドラインがあれば教えていただければと思う。
【事務局】
国費留学生の大使館推薦枠については、これは毎年度、どの国から何名受け入れるのか、毎年、文部科学省とも協議して、加えて外国人留学生の選考にかかわる調査・研究協力者会議というところに毎年ご報告した上で決定している。
毎年各国・各地域から何名採用するかということについては、これまで当該国の前年の実績とか、それから定員に補欠があった場合にどの程度配置されたとか、そういったことを勘案しながら毎年決めている。近年国別の定数枠が非常に硬直化していて、かつ全体の総枠が増えないので、特定の国からの留学生を増やそうとすると、どこかの国を減らさなければいけないという状況が生まれている。こういう場合、調整が非常に難しい。1名、2名増やすというだけでも、これは大変な調整を要する。よって5年、10年かけてもなかなか変わらないということが指摘されてきている。
そういったことがあり、まさに今年度から、資料にもあるが、外交戦略機動枠ということで100名程度設け、その時々の外交政策の観点から国別の割り当て数を機動的に変更できる仕組みがようやく開始したという状況になっている。
【委員】
100名というのは、つまり追加で今年度から増えた数か?
【事務局】
いや、財源の関係から、ほかから削って充実させたものだ。ただトータルでは増えている。
【委員】
今、説明があったが、フローチャートで、国費留学生の大使館枠がどう決まっていくのか説明する資料があるといい。
【委員】
資料4の5ページ、ここに大学の教育サービスをどう提供するかということについて簡単な記述があるだけだが、大学が提供するものをもっと工夫や開発されたりしなくてはいけないのではないか。
教育振興基本計画の30ページにサマープログラムというものがあるが、これをしっかりやったらどうか。ただ、問題は入管法での「留学生」という概念だと思う。これは法律上の留学生の概念だろうと思うが、スクールモビリティという世界的な潮流の中で、留学生という概念をもう一度とらえ直してみると、文部科学省版留学生概念があっていいと思う。
このサマースクールは、日本の大学のこれからの非常に大きなマーケットでもあるし、大学の有効活用に役立つ。つまり、夏休みは、人と施設にかけるお金の実に無駄になっている。そういった意味で、アカデミックカレンダー自体をよく研究して、もっと集中的に質の高いものをコンデンスして、よいものをきちんと提供できるようにすべきだ。
結論として、中学生と同じようにサマースクールで単位が出るもの、インターンシップでも単位が出るものは、これは文部科学省版学習交流留学生などと銘打って、留学生というコンセプトの中に入れて、広く支援していくのがよいのではないか。こういった施策のほうが、30万人計画を達成するにあたって、質という観点からもいいのではないか。
【委員】
先生方がそれに協力してくれるかどうかが大学の場合重要だ。その問題が私はあると思う。
【委員】
今の委員の話に関連して、われわれの研究グループでは今回短期の留学生について調査をやって、その報告を出したばかりだ。
大学が短期留学と呼ぶのは、2週間から1年まで、いろいろな短期があるが、この短期留学制度に大学が積極的かというと必ずしもそうではないようだ。非常に事務的には大変なところもあるからだ。
どうして短期留学を大学としてやるのかと聞くと、自分の大学の日本人の学生を送り出したいからだという。留学は互換になっているので、受け入れたいから受け入れるというよりも、日本人の学生を出したいから受け入れているというところが、動機として結構大きく働いているようだ。その意味では、交換留学を促進することが、工夫が必要だとは思うが短期の受入れを増やすということにもなると思う。
例えばサマープログラムなど、とてもいいアイデアだと思うが、ビザ的な問題がある。例えば3カ月以内は短期だが、例えば「短期(留学)」というような査証を作るとか、あるいはその次は1年になってしまうため、半年の査証を出してほしいというような要望が、各大学からの自由記述の回答の中に結構あった。また、実は非常に短いのに留学ビザが出ていたりする場合もあり、統一が取れていない。よって、短期留学というものをきちんと位置づけていくため、どういう形で受け入れるのか、体制も一貫させるべきだと思う。
【委員】
最後の7ページに、外交戦略ということが書かれているが、この面から言うと、我が国で学んだ帰国留学生が将来母国で大変重要な地位に就くという発想を、私は今後変えるべきと思う。なぜなら、日本の人口問題は、構造的な問題だが、日本が各国といろいろな協定結びながら、単純労働者を含めて、介護者とかいろいろなものを入れるという時代に、留学生を帰国させることを前提にした文面はいかがかと思う。
また、ご案内のように、今年はブラジル移住100周年ということで、ブラジル年になっている。大体25万人の1世がブラジルに行っている。ところが、現在は、ブラジルは日系人というのは150何万人いる。そういうことから考えると、そういった日系ブラジル人の留学生のうち何割かでも、頭脳労働者という形で日本に定住してもらうということを前提に考えた場合には、別の表現の仕方があると思う。
そういう点で、これは厚労省との関係もあるのかも知れないが、留学生は帰すものだというような社会的通念があるが、こういうものをもう変えていく必要があるのではないだろうか。
【委員】
必ずしもそういったトーンではなくて、むしろ日本で就職させるという考え方がここの議論でもかなり出ていたと思う。そのための就職支援をするなど、資料4でいくと
になるが、日本に定住してもらうという視点が相当強く出てくるのではないか。むしろ出さざるを得ないのではないかと思っている。
【委員】
就職あるいは定住ということになってくると、家族を呼び寄せるなど、要するに居住者としての生活の側面がでてくる。どういった機関がそういう生活をサポートしていくか課題になるだろうが、日本語学校がそういうような観点で貢献できるのではないかと考えている。
地域の日本語学校はただ日本語だけではなくて、いろいろな意味で留学生にとってのオリエンテーション、つまり、生活の第一線に初めてかかわってくる人たちへの教育を提供している。大学生というだけではなく、家族等の呼び寄せるような人たちにも、サポートを提供する役割も果たせるのではないか。
【委員】
全体のトーンとして、どうしても留学生の戦略的獲得というタイトルで書かれているので、留学生のニーズを考慮してというようなことが先にくるが、ニーズというと、結局、個人の欲望だったりすることもあるので、教育というからには、何を主体的にこちらが教育したいかという視点も大事だ。どういう人材を国として、日本として教育したいか。そういう側面が(1)の基本的考え方のところに強調されたほうがいいと思う。これは以前も言及したが、あくまでも何か顧客満足度をあげるためにメニューをそろえようというように読めてしまうが、それは違うと思う。確かに、実はそうではないなという考え方が、ちゃんと出てくるが、最初のところは気になる。
【委員】
これは、英国との決定的な違いだと思う。英国は、もちろんある程度の顧客満足度ということも考えているが。
例えば今、英国で一番人気がある分野というのは、クリエイティブデザインだが、いわゆるハードな学問がどんどん死に体になっている。英国は、それでも構わないと思っているようだ。英国の高等教育界の現状を明らかにして、それでも来きたければ来いというのだと主張しているのだと思う。日本と全然スタンスが違う。
日本の場合は、留学生にお金を出して来ていただいているのだが、一方で8パーセントから9パーセントも稼げる国もあり、その国情の違いがあるのである程度あきらめなければいけないという気もするが、今の委員の話もそのとおりだとも思う。
【委員】
より具体的にしていかなければならない点は多いと思うが、もう一つの視点として、この部会で話し合うべきことなのかどうかわからないが、留学生30万人と同じように、小泉首相が提唱した観光立国の場合は、観光客1千万人を目指すと言っている。
日本人の受入れ側の視点から、受入れ側の能力をどう開発していくのかというものもこの中に入れていかないと、留学生だけに来ていただいても日本人のほうが、対応できないのではないかと、私は非常に懸念をしている。
今まで、日本の国際化というのは、どうしても海外から学んでくるという方向性が強かったと思う。今現状、本当に日本の文化というのは世界中から注目を浴びているので、こういったものを発信していく能力というのが、日本人そのものに今充足すべきなのではないかと非常に心配している。留学生を増やしていくのであれば、日本の学生が、日本についてのことを発信していく能力をつけていくことが重要だ。ここも留学生を30万人にしていく意味では、非常に重要なポイントになってくと私は思う。
こういったものが、織り込まれておいたほうがいいと思うし、それが、留学生が満足して帰国する、あるいは日本に定住していく道にもなると思っている。
【委員】
どこということはないが、日本人の学生を見ていると、飢餓感覚というか、非常に何か大変だとか、そういう意識がどうしても少ない。
何でもかんでも学びとるというような意識や「考える力」をどうやって日本人の学生に植えつけるかが重要だ。もちろん海外に行って頑張るというのも一つだが、留学生たちと接触させて、ハングリー精神をもった学生が地球の中にはいると感覚をうまく持たせる必要もあると思う。例えば大学で日本人と留学生と混住の授業を始めてみると、留学生は何とかして日本人と接触していろいろやろうとするが、だんだん日本人の学生が少なくなって、気がついてみたら留学生ばかりの授業になってしまうということが前にあった。留学生たちの強い意識を日本人に植えつけるようなことをしていくべきだ。
それから、今、高専の場合、留学生はほとんど国費だが、高専から来て大学に行って、それで大学院に行こうというような学生について面接をやってみると、非常にすごい力を持っているのがいることに驚かされることがある。多分、日本に来てから、非常に意識が変わった学生がいるのだろう。海外で学部まで学んだすばらしい留学生を大学院に集めるというのもあるだろうが、こういう高専から受け入れている留学生も、中に入れ込んでいくべきだと思う。
最後に、事務局より次回以降の日程について、第6回は平成20年5月12日(月曜日)16時より、第7回は平成20年5月19日(月曜日)16時より開催する旨の説明があった。
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