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制度・教育部会 学士課程教育の在り方に関する小委員会(第2回) 議事録

1.日時

平成19年5月10日(木曜日) 15時~17時30分

2.場所

如水会館 ペガサスの間(2階)

3.議題

  1. 学士課程教育の在り方について(ヒアリング及び討議) 福島 一政氏(大学行政管理学会会長)
  2. その他

4.出席者

委員

(臨時委員) 
 黒田壽二(主査)、佐藤弘毅
(専門委員)
 平野眞一(主査代理)、川嶋太津夫、高祖敏明、島田燁子、田中毎実、濱口哲、濱名篤、安岡高志、山本眞一、吉田文

文部科学省

 磯田私学部長、村田高等教育局担当審議官、辰野高等教育局担当審議官、倉持政策評価審議官、小松高等教育企画課長、中岡大学振興課長 他

5.議事録

(1)有識者から意見発表があり、その後、質疑応答が行われた、意見発表及び質疑の内容は以下のとおりである。

【福島一政氏(大学行政管理学会会長)の意見発表:「大学教職員の職能開発」】
 行政管理学会は10年程前に発足、職能団体的な色彩が強く、創始以来の経験の理論化あるいは手法化を意識的にやっている。今現在の会員数は約270大学、1,200名弱ぐらい。
 教育学術新聞に私が寄稿した記事で言いたいことは、今大学が社会から求められていることに答えようとすれば、大学の職員の能力を高めないとできないということ。
 学校基本調査のデータでは、職員数は、国公立私立合わせて教員の半分以下という状況。
 当学会には外部の職員研究グループがあり、ここでは職員自身の問題意識と、理事長・学長サイドから見た職員の問題意識の調査を数年前から行っている。その調査によると、大学職員自身は大学の現状に対する危機意識は大変持っているが、職員の能力開発についての大学の取り組みが足らず、自身は能力向上を図りたいと考えている。若い職員ほど大学院への入学意欲が高く職員管理職層もそれを望んでいるというデータになっている。
 理事長・学長サイドについては、大学経営機能や教育の質の強化をしなくてはと考えている。また、教職協働のためには職員の専門性の向上、危機意識の共有が重要だと認識しているが、職員の専門性に対する意識を変える取り組みを重視することまでには至っていない。
 総じれば、職員の職能開発は個別大学だけでは無理だという問題意識だ。
 一般的にプロフェッショナルな大学職員に求められるものを整理すると、1コミュニケーション能力、2戦略的プランニングの手法、3政策を実現できるマネジメント能力、4新たな価値創造能力、5複数の業務領域での知見、6教職員・学生から信頼される人格と「大学リテラシー」を含む教養、7使命感と勇気、だろう。
 具体的には、一つ目は財務。「金庫番から羅針盤へ」と発想を転換させることで、より戦略的な財務業務ができるようになる。そういうことはこれからの財務には必要だろう。
 二つ目は教育。「学籍管理から教育マネジメントと学習支援へ」と発展させる。特に地方の中小規模の大学では著しいが、低学力で意欲が十分でない学生が増えており、この学生たちがふさわしい力を身につけて卒業することができるように、学習体系をつくっていく必要がある。それは教員だけではなく、職員がもっと関わっていくことが望ましい。
 3つ目に評価。定性的評価だけではなく、評価指標を定めて定量的評価に基づく改善・改革業務へ向けていく必要があるのではないか。一言で言えばPDCAのサイクルが働くような仕組みを作っていく必要がある。
 もう少し具体的に新たな職員業務の開発ということで言うと、次の1~5のような人材が必要である。

  1. フィールドワーク・コーディネーター
     体験型教育学習にあたって、地域、自治体、企業との関係など、職員が日常的にそういうフィールドを開拓し、そこにどんな問題があって、どういうことが研究等につながっていくのかを把握し、日常的なケアをする。
  2. インストラクショナル・デザイナー
     e-learningやオンデマンド授業などの演出を専門的にできる。
  3. 研究コーディネーター・マネージャー
     特に世界的なレベルのCOE等の研究にあたり、国際的なレベルの交渉ややり取りができる。
  4. 学生生活支援ソーシャルワーカー
     学生自身が自立的に問題を解決できるように持っていくサポートをする。
  5. インスティテューショナル・リサーチャー
     大学特有なデータの蓄積、あるいはその分析ということがきちんとできる。

 大学アドミニストレーターに求められるものは、プロフェッショナルな職員に求められるものに加えて、業務管理能力、人事管理と人材育成能力、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力などだろう。
 最後に、大学教職員の職能開発を促進するためには、次のような取組みが必要である。

  1. 大学職員養成のための大学院設置を計画的に整備できるようにすること。自分たちで学びたいと職員たちは思っている。全体では44パーセント程度、20代は70パーセント超で、30代、40代は58パーセント程度。一部地域にだけに偏るとまずいので、できれば全国各地域、連合大学院や、通信制大学院などを含む多様な形態で取り組むことが望ましい。
  2. 大学職員が大学院で学ぶ場合の授業料補助制度などを検討すること。
  3. 職員の自律的な成長を促すために職員研修の補助制度や科学研究費の大学職員枠を設けること。特に地方の大学には手厚く。
  4. FDは、教員だけでなく、職員も共に参加して行うものとして位置づけること。FDは教員、SDは職員いうことではなく、一緒にやることによって職員の職能開発がさらに進むと思う。
  5. 大学職員の検定制度とその学習プログラムは性急に進めるのではなく、その可否も含めて、当学会や国立大学マネジメント研究会等の意見を十分に聞き、実施する場合に実効あるものとすること。
  6. 中教審など高等教育の在り方を審議する委員会等については、大学職員も構成員に加えること。

【福島 一政氏の意見発表に対する質疑応答】

【委員】
 スライドの5枚目の大学職員の現状という数値のデータで、国立大学より私立大学のほうが若干教員対職員の比率が高めである。これは個別の大学を見てもそんな感じがするが、私立大学では職員がかなり活躍されているという実態が、少なくとも国立より多いのではないかと思うがいかがか。

【意見発表者】
 幾つかの国立大学で話を聞いたり、若手職員の方々と一緒に勉強会をやったりすると、国立大学では職能開発や、意識改革に取り組む、ちゃんとしたリーダーが少ないのではと感じることがある。

【委員】
 アドミニストレーター養成の大学院への入学希望や、上司が部下に大学院に行ってもらいたいという6番目のスライドのデータは興味深い。
 また、12ページ目に新しいタイプの業務の開発が出てくるが、上司もしくは特に管理職が大学院の中でのアドミニストレーター養成として期待するのが、こういう新しいタイプの専門性を持った職員で、その育成が大学院に対する期待というふうに理解してよろしいか。

【意見発表者】
 今あるアドミニストレーター養成大学院と言われている大学院でも、そこに通っている人たちはそれなりに満足しているが、それだけでは、本当のプロフェッショナルな大学職員として十分ではない。理屈だけではなく、実践も含めて鍛えないといけない。そこで基礎の力をつけた上で実践力をつけることが大事。

【委員】
 11ページのスライド、「大学リテラシー」という言葉を使っているが、大学職員だけでなく、中身によっては大学教員そのものに必要ではないかという議論も出るのではないかと思うが、もう少し聞きたい。(?)
2つ目に新たな価値創造ができるということは、視野が広く、相対化できる情報の量・質があることとあるが、もう少し具体例等があれば、教えていただきたい。

【意見発表者】
 「大学リテラシー」に関して、大学がそもそもどういうものかを、歴史等も含めて我々自身が理解しなくてはいけない。大学の経営がうまくいかない事態になると、企業の例に倣えと一般的に言われるが、常に原点に立ち返り、大学とはそもそも何かということを考えなければいけない。
 新たな価値創造については、数年前にある調査で、全国の大学の改革状況を調査したことがあった。その結果、大半の大学は改革をやっているが、中身はほとんど横並び。ちょうど特色GPが発足する前年で、その中で目立った取組みをしている大学は、採択が予測できた。
 やはり改革、改革と言うが、一斉に同じことをやるのではなく、各大学の強みや特色をきちんと把握した上で改革をやらなければ、新しい価値にはならない。
 そういう意味で新しい価値創造のためには相対化ができなければならない。そうすることで自分自身の大学のレベルが把握できる。

【委員】
 プロフェッショナルな大学職員に求められることとして、学力低下とかやる気のない学生をどうするかを前提にしていると思うが、やる気のある学生に応えられない教育をしている実態があるのではないか。

【意見発表者】
 いずれにしてもマネジメントに職員が一緒に関わっていかないとだめだろう。加えて、特に、低学力あるいは意欲が乏しい学生の対応を放置すると、地方の中小規模大学では学生を確保することすら困難になる。

【委員】
 プロフェッショナルな大学職員に求められるものを2つ挙げていて、その下の方に新たな職員業務の開発ということで並んでいるが、自大学では、インスティテューショナル・リサーチャーはぜひ欲しいと思っており、調査をやると、教授の人が2日ぐらい徹夜して集計したりしている。どこの大学も同じ思いではないか。
 スライドの4-1は従来型の職員、経営のラインの職員像に相当し、4-2の新たな職員業務の開発というのは、従来の国立大学の名称でいえば技官、技術職員がやっていた仕事にあたり、教育や研究との連関が非常に強いといえる。
 端的に言えば、小規模大学でここまで専門化したら職員の関わる余地は少なくなり、この提言は、ある限定された大規模大学だけを見たものと感じるがどうか。

【意見発表者】
 ベースとしてプロフェッショナルな大学職員に求められるものがあった上で、身に付けないといけないということ。大規模大学は別として、中小規模大学は確かにこれだけに特化するというのは難しいと思う。

【委員】
 今の4-2の関係だが、少し前に全大学に対してキャリア形成支援や就職支援について大規模な調査にやった。その際に、誰がどのくらい時間をかけて支援プログラムを行っているかを調査した。
 その結果、特に文科系の私立大学ほど職員が全面的に頑張っており、むしろ職員が引っ張って学生支援をしている。それに対して、国立大学は職員の役割が非常に小さく、教員と外部委託でやっているという構造のようだ。
 新たな職員の業務開発というのは、大学ごとにどういう人材を組み合わせて、どういうサービスを提供していくのかという考え方にかなりよってくる。
 したがって、これからの業務の部分も多分それぞれの大学が提供するサービスに応じて職員を方向づけていくという性質のものと思う。
 色々なことをやりながら、かつその中でバランスをとりながら専門能力をつけていくような、それぞれの機能、学校なりの方向づけによって変わってくる。そういう位置づけに、この議論があると思った。

【意見発表者】
 おっしゃるとおり、個々の大学の考え方によって変わってくる。

【委員】
 教員と職員との関係について、国立大学が法人化され、教員も職員も従来やっていない新しいグレードの仕事が増えてきて、今のところ、教員がそれを担っている状況。そういう新たに生まれた業務等は、いわゆる職員の人の職能開発で充実させていこうというお考えのようだが、例えば、インストラクション・デザインとかインスティテューショナル・リサーチャーなどは、やはり大学や、教育研究の中身について知った人間でないと難しいと思う。
 一方で、大学院を出てもアカデミックなポストにつけない人が増えている。アカデミックなキャリアパスから新たな業務のところにうまく移動できるような仕組みの構築という視点が必要ではないか。

【委員】
 教員学生比や職員学生比が、国立大学と私立大学で大きな差があることが示されたが、今の大学経営というのは大変厳しい状態だということを織り込んだ上でこういう数字の解読が必要ではないか。
 とりわけ私立大学では、かなりの度合いで職員の担うべき仕事がアウトソーシングに移行しているという実態がある。
 職員については、それぞれの経営体の努力によって専門分化できるし、それら全てを大学という機構の中で処理していくことが、今日必ずしも有効ではない。
 例えて言えば、本来、学生に対して指導的な仕事はプロパーの職員が今後重要な位置を占めている。しかし、それ以外の例えばセキュリティ等の面で業務委託や派遣職員が介入してくると、当然職員1人当たりの学生数というのは増大していく。これの状態は決して教育条件がよろしくないとは言えないはず。経営努力という観点からするとこの点をぜひ織り込んで検討しなくてはいけない。
 理事長、学長に対するアンケート調査の結果でもあるように、職員はもっと専門性を向上せよとはよく聞く話だが、職員が現在置かれている実態をよく考えなくてはいけない。伝統的な大学の中では縦の関係というものが強固にあり、主だったことは評議会構成員が決めるばかりでなく、職員があまり権限を持たされないような状況で、どう職員の自覚を促すのかということが考えられる。
 よって、職員の研修を大事だとすると同時に、学内における職員の登用、参画を促すというような大学内部の自助努力が必須である。

【意見発表者】
 職員学生比は、ご指摘のとおり、アウトソーシングしている部分の職員数はデータとして出てないので、こういう数字自体に意味があるかどうかはご指摘のとおり。
 職員の置かれている現状についてもご指摘のとおり。
 (2)各コーディネーター役の委員より、学士課程教育の在り方について、提言事項を発表の後、討議が行われた。討議の内容は以下のとおり。

【川嶋委員から「学士課程の到達目標」、吉田委員から「各大学の取組のチェックポイント」、濱名委員から「国による支援策の在り方」について発表後、討議】

【委員】
 例えば、「21世紀型支援の能力・知識」という言葉が使われて、下の方ではシビックアーツいう言葉とリベラルアーツという用語が使われている。汎用的な能力でも、スキルと能力は分けられて、スキルの中に能力という言葉が多用されてい煩雑。その他もろもろ、全体的に、もっとすっきりならないか。
 厳格な成績評価や、学習到達目標の設定や、学校評価の方法論等、多くやれば助成があるというと、そこにみんなが飛びつくことを促進するのではないかと懸念している。
 例えば、FDについての特色GPということで、開催頻度、方法、参加率という数値が出てくる。例えば、参加率を増やすために義務化し、拘束すると参加者多数になるだろうが、意味がない。むしろ日常的にやっている形でFDの仕事がなされていくところを評価すべきだ。そうでないと、実質的なFDというものを壊すことになるのではないか。

【委員】
 GPAについて、これが国際的に必要な時代になることは十分認識はしているが、結局数字であり、そのようなもので普遍性が本当にあるのか。数字による差別化が進むのではないか。最初は低迷していても、後から伸びる能力もあり、あるレベルまでを保障すれば、あとは余り数字で表せるものではないのではないかというジレンマがある。

【委員】
 学士課程が授業カリキュラムだけじゃなく、課外カリキュラムも含めて成り立つものであることに留意する必要があるが、今の段階では両方を兼ね合わせた議論が余り展開されていないと思う。
 また本日の発表にもあるが、優秀な職員がいるのに、本日の提言は、概ね授業を中心に考えている。職員の役割というものをこの全体に取り込んで、考え直していく必要があるのではないか。
 また、荒い分け方で、20世紀は知識の量的くくりがされた。21世紀はこの組みかえや、質的な変容が求められている。それが企業の提言にも随分出てきている。ここに書かれているのはこれまでの答申で出ているものに近く、例えば「価値創造力」のような、これまでなかったものを新しく生み出すという視点も組み込んでいく必要があるのではないか。

【委員】
 こういう事例を書くと意識改革ができるのではないかということだが、問題はそれを評価する能力があるかどうか。その組織がその取り組みを導入することによって何を達成したいかということを考えているかが大切で、結果をどう測定しようとするのかという見方をすれば、余り問題はない。大学を全体としては評価能力のある評価者を育てるという視点を入れる必要があるのではないか。

【委員】
 学士課程の到達目標を議論しようとすると、いろいろ含めようと夢が膨らむが、現実には学士課程進学率は既に40パーセントを超え、ごく普通の人が学士課程にいる。例えば、医師の資格や裁判官の資格、博士の資格などのように、同世代のごく一部の人がつくポストや資格については、高度なレベルで必要なものが示せるが、40パーセントもの人間が行くような部分については、余り高い目標を掲げてもだめで、共通のものが必要とすれば限りなくレベルを下げないといけないことにもなる。そうなると学問分野間の若干の差があっても仕方がないと考えるのか、実現可能性は低くても、目標を掲げることに大きな意味があると考えるのか、その辺の議論の整理が必要ではないか。
 もう一つの問題は、教育改革に対する支援策は重要だが、支援を受けて改革された大学教育が社会にきちっと受け入れられるかどうかというインターフェースが大事。これは各大学の努力に加えて、高等教育政策のインターフェースも視野に含めて幅広に支援方策を考えていく必要があるのではないか。

【委員】
 テーマ1について用語の整理統一は必要。580の学位の種類がある現状の中では早急に、総整理しなければいけない。つまり、この質保証を考えれば、よりジェネリックなところでの目標設定以外には現実的にあり得ない。修正してコンセンサスが得られるようにやっていくことが現実的な解決策である。
 2点目は、GPの初期段階のように、アイデアをとにかく出させ、数年間の時限で人が群がってくるというような短期的なやり方は問題であり、方式を組み合わせることが重要。短期では初期段階のGPでもいいし、あるいはその手前の調査研究でもいいが、GP事業がある程度落ち着いてきた時に、その受け皿としての学協会やコンソーシアムを使えばよい。一定の段階までいけば、どこの大学でも条件を満たしたら出せばいい。そのうち今度は義務化すればよいといった長期的な展望が必要であるということを方式に記載した。
 個々の支援策で支援すべき大学としての要件、目標が明確になっている。方法論がきちんと裏づけされているかということの評価ができているかということなので、それぞれの支援をするときには、こういう観点を常に問うということをやっていけば、今ご指摘のようなものに直接群がってくるということはないのではないか。
 最終的には、ナショナルセンターがなければ、継続性、永続性がなく、ノウハウが蓄積されていかない。
 これからは、教育や学習支援の専門職、認証評価のための専門職を育成していくことも必要になってくる。このようなことをやる場合、ナショナルセンターによって、継続的・組織的にノウハウをストックし、マネジメントする必要がある。

【委員】
 3点。まず1点は、今回は用語等の整理についてはまだ十分できていないという懸念を抱いた上で提出しているため、今日頂いたご意見を参考に整理させていただきたい。
 2つ目は、日本の学士課程教育がなぜ専門重視からなかなか脱却できないかということについて。一つはやはり制度、法律の問題である。具体的にいうと日本の大学の組織編制原理の問題が大きく関わっている。
 例えば、学校教育法では、大学には学部を置くことを常例とし、大学設置基準では、学部は、専攻により教育研究の必要に応じ組織され、学部には専攻により学科を設ける。学科はそれぞれの専攻分野を教育研究するに必要な組織を備えたものとすると、大学の編成原理はそもそも専門を中心につくるという形で法整備がされており、これを変えていかないといけない。
 我々が今議論しているのは教育の課程の方法までプログラム化していこうというものだが、実際それを支える大学のあり方、インフラが専門中心の組織原理になっている。現状ではいろいろ考えてもうまくいかないのではないか。可能であれば、法律上の組織原理の問題と教育の問題を分けて、きちんと整備していくべきではないか。
 3番目は、テーマ3の支援策について、教育というのは組織的取り組みであるということで、各種GPも組織をアプリケーションの単位、申請の単位としている。一方で、やはり教員のボトムアップの教育課程をどのように評価していくかということも必要である。科研の教育版、あるいは教育改善のための科研費、研究助成費といったように、個人やグループを単位として申請する支援策が今後あってもいいのではないか。
 また、小中高の先生には文部科学大臣から優秀な教員に対する表彰は毎年されているようだが、大学においても、象徴的な取り組みとして、そのようなものを今後作っていくのも一つの手ではないか。組織と、一人一人の教員のやる気を起こすということの両面で支援していくとが今後必要。

【委員】
 学士課程教育が非常に多様化している中で、まだ規則とか設置基準は古いままでなかなか改正されてきていない。今のご指摘も踏まえながら、変えるべき基準は変えていかないといけない。
 過去の答申でも21世紀型市民の育成を学部教育でしっかりやるように言われているが、余りに専門が細分化してしまい、学士の括弧書きの分野が580にもなっている現状で本当に学士課程というのが評価に耐え得るのかという問題がある。
 もう一つは、単位の実質化の問題がある。1単位45時間ということになっているが、ここをしっかりしないと国際的通用性がなくなる。今のところ、それぞれの協定した大学でうまくやってきてはいるが、実際にお互いに単位を認め合い、交換していこうとすると大変難しい。外国からも認めてもらうようなシステムづくりは、実質化の問題であると感じる。今のように講義15時間で単位を出し、あとは何もしなくていいという制度では困る。
 その点は、シラバスの中でどのような参考書を読み、レポートを書き、提出するというくらいのことをやっていかないと、教室内部のことが立証できない。立証されて始めて単位効果が成り立っていく。
 その辺のことが、この学士課程教育の改善の一番の目玉ではないかと思っている。それらが積み重ねられて学士課程の到達目標として21世紀型市民の育成ということになるのではないか。
 今の日本の現状を見ると、3年間で124単位全部とらせるという大学が多い。今では3年から就職活動をやっているので、ほとんど1年間は就職だけにかかってしまう。論文のあるところは論文で時間を費やすということがあるが、正規授業はほとんどのところが3年間で124単位がとれるといわれている。特に今3年から大学院への入学をやっているので、それが加速される状態がある。
 学部・学士課程教育とはそんなものなのだろうか。その辺のあり方も議論をしていかないといけない。
 それから、大学としてのナショナルセンターのようなものがそろそろ必要になってきたのだと思う。高等学校以下のところは、地方分権で地方自治の問題等で、ほとんどのところが各地域ごとの教育委員会で行われている。大学の場合は文部科学省所管であり、地方とは余り関係のないところで大学が運営されている。これを裏返すと、地域連携が非常に難しいということである。普段は全く地方自治体との関係がなく、地方自治体側も大学に余り目を向けない。いろいろな審議会の委員が各大学から出ているが、それは個人として出ているのであり、大学としては余り参加していない。
 地域連携をどう取り組んでいくかも今後の大きな課題であり、そういう点を考えていかないと地方の大学は、今後何をしていったらいいかという問題になる。
 今回の議論は、非常に時宣を得たものだろうと思っている。短期間でまとめていくので、忌憚のない意見を寄せていただきたい。

【委員】
 一般的に大学が社会から注文される話が強い気がするが、同時に、大学から社会、企業に向けて注文していく姿勢も必要ではないか。教育の中身や就職活動の早期化についても、どこかで大学もはっきり言っていかないといけない。はっきりとした姿勢なり提言なりというものを打ち出す必要があるのではないかと思う。
 2つ目は、日本の大学でもセメスター制の導入が進んできているが、問題は中途半端な形になっていることだ。例えば、半期完結なら完結という科目をどんどんふやしていくべきである。この辺にも大学教育の改革の一つのポイントがあるのではないか。

【委員】
 一つは、学士課程における専任教員の在り方を取り上げて欲しい。最近の流れの中で、大学の専任教員としての在り方に異議を感じざるを得ない事例が多発しており、一部は大臣の勧告にまで至っている。
 大学、とりわけ学士課程の専任教員と、大学院、特に専門職大学院などの専門家教員は、自ずと違ってしかるべき。ここで専門の指導に当たる教員の仕事の在り方について一度メスを入れるべき。既に初等教育、中等教育でも領域別の整備が進んでおり、専任教員の日常の仕事として授業、ホームルーム、学級経営、学年経営、公務文書作成といった領域がかなり体系化されている。
 そういうことから比べると、大学は遅れている。今のようにユニバーサル化を迎え、多様な学生に手を差し伸べ、導くことを余儀なくされている学士課程の専任教員の在り方は是非、整備すべき。

【委員】
 セメスターで半期完結といっても今のように週一回90分授業15回で、十何科目も学習していたらそれぞれの学習の進化というのは不可能。
 もう少し1科目の単位数を増やして履修科目数を減らすなどしないと、学習をきちんと保障できる大学教育システムにならないのではないかと思う。

【委員】
 科目の全体にかかわる検討というのは非常に重要。地域の国公私連携をとった教育体制も一つの重要な課題。ただし、責任回避にはならないようにそのシステムにきちんと対応させた上で、最もいい教育ができるようにすべき。

【委員】
 FDのほかにSDが必要。大学教育の改革は決して教員だけでできるものではなく、あるいは教員だけに行わせるものでもなく、さまざまな専門人材が必要。
 また、逆に職員全部にそれを負わせるというのも問題があって、教員でもなければ職員でもない、つまり何らかの専門職という形の人材を大学に位置づけ、そういった専門職の人材を増やしていくということが大学教育の充実のためには必要ではないか。

【委員】
 中間報告を誰に読んでもらいたいかということについて、もう少し、委員会の中で議論を重ねた方が良い。
 例えば、個別の大学に対するメッセージか、それとも学生に対するものか、あるいは、大学はこれだけ頑張っているのだから、もっと応援してほしいというメッセージを込めたものにするのか。
 どこかに焦点があった方が報告書としてのインパクトも強いし、読んでもらいたい人にメッセージを明確に伝えられるようなものになるのではないか。

【委員】
 この中教審で出すことは、今後の日本の将来の教育のあり方を示すということになる。ここでどういう議論がされて、それがどういう文章になってまとまっていくか。それによって法の改正が必要なところは法改正をするということになり、日本の将来を担っていくことになると考えている。

【事務局】
 ご指摘いただいたとおり、2種類の性格を持っているのがこの審議会の答申である。1つは文部科学大臣の諮問に答えて、まず行政としてあるべき基本的な考え方や提言など、一種の指針なり基本的な根拠なりを示していただく。これは行政を媒介とし、国民に公的資金などを使って、どのように公益の増進の施策サービスを行うかということの一種の根拠指導ということになる。こういう意味では国民全体に対して説明をするということ。
 2つ目は、その中身が直接、より関係の深いところへ届けられて参考にされることが期待されていること。この意味では大学関係者と、それが教員の立場であれ、職員の立場であれ、場合によっては高校の関係者、全体という意味では一般の保護者、高校生、あるいは企業へということもあり得る。

7.次回の日程

 次回は、5月25日(金曜日)10時30分~13時30分に開催することとなった。

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)

-- 登録:平成21年以前 --