大学教育部会(第35回) 議事録

1.日時

平成27年6月8日(月曜日)16時~18時

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 認証評価制度の改善について
  2. 大学運営の一層の改善・充実のための方策について
  3. 職業実践力育成プログラム認定制度の創設について
  4. その他

4.出席者

委員

(部会長)鈴木典比古部会長
(副部会長)黒田壽二副部会長
(委員)亀山郁夫,羽入佐和子,坂東眞理子,日比谷潤子,牧野正幸の各委員
(臨時委員)安部恵美子,金子元久,川嶋太津夫,小畑秀文,小林雅之,篠田道夫,二宮皓,濱名篤,前田早苗の各臨時委員

文部科学省

(事務局)吉田高等教育局長,河村生涯学習政策局長,德久総括審議官,藤原私学部長,義本高等教育局審議官,佐野高等教育局審議官,德田生涯学習政策局審議官,瀧本大臣官房付,森田高等教育企画課長,塩見大学振興課長,北山専門教育課長,氷見谷私学部参事官,新田主任大学改革官,伊藤高等教育政策室長,山口大学改革官,北岡大学振興課課長補佐,遠藤大学振興課課長補佐,片柳高等教育政策室室長補佐 他

オブザーバー

(オブザーバー)納谷大学基準協会会長,工藤大学基準協会事務局長,関口短期大学基準協会理事長,原田短期大学基準協会副理事長

5.議事録

(1)認証評価制度の改善について,事務局から資料1-1,大学基準協会から資料1-2,短期大学基準協会から資料1-3に基づき説明があり,その後意見交換が行われた。

【鈴木部会長】  それでは,所定の時刻になりましたので,第35回の大学教育部会を開催いたします。
  御多忙の中,御出席いただきまして,誠にありがとうございます。
  本日は,まず大学教育の質保証の充実という観点から,第3期評価サイクルに向けた認証評価制度の改善及び設置基準の改正に関しまして御審議いただく予定になっておりますけれども,認証評価につきましては,まずは第2評価サイクルにおける現状と課題について共有することが大切でございます。そのため,本日二つの認証評価機関の方にお越しいただいておりますので,ヒアリングという形で御意見を伺い,それをもとに意見交換を頂きたいと思います。その後,設置基準の関係については,スタッフ・ディベロップメント(以下,「SD」という。)や専門的職員について御審議いただきたいと考えております。また,大学等における社会人の実践的・専門的な学び直しプログラムに関する検討会において審議され,先日,5月12日に議論が取りまとめられております職業実践力育成プログラムにつきまして,文部科学省より報告があるとのことですので,本日の最後に御報告いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは,事務局から本日の配付資料について確認をお願いします。
【伊藤高等教育政策室長】  本日の配付資料は,資料1-1から資料3までの計5点になります。不足がございましたら,事務局にお申し付けください。どうぞよろしくお願いします。
【鈴木部会長】  それでは,先ほど申しましたように,第3サイクルに向けた認証評価制度の改善に向けた検討につきましては,第7期でも審議を重ねてきたところでありまして,改善に向けた論点整理と改善の方向性をまとめております。一方で,これまでの審議は委員間での意見交換が中心でしたので,冒頭に申し上げましたとおり,評価機関から,これまでの取組や改善が必要な点等について意見を聴取したいと考えております。本日は第8期に入って以降,初めての本格的な審議でありますので,まず認証評価制度の概要及び第7期の論点整理をおさらいしていただきまして,その後にヒアリングとしたいと思います。
  では,まず事務局から説明をお願いいたします。
【片柳高等教育政策室室長補佐】  失礼いたします。資料1-1を御覧ください。部会長からも先ほど御指摘がありましたように,認証評価制度の導入が平成14年の法改正を経て,平成16年度から行われております。認証評価制度全体の概要を最初に説明させていただいた上で,第7期の中央教育審議会において取りまとめていただきました認証評価制度の論点・検討課題について,簡単に御説明させていただければと思います。
  資料1-1でございますけれども,規制改革等の流れの中で,平成15年におきまして,質保証に関する制度改正が行われております。設置認可の在り方や,第三者評価制度の導入ということが議論されておりまして,その結果として,認証評価制度が導入されてございます。
  イメージといたしましては,下の段の図を御覧いただければと思います。大学設置基準が全体に係るものとして存在しており,左側から時系列的に参りますと,設置申請がございまして,まず設置認可に係る審査がございます。その後,文部科学大臣の認可が下りました後に,大学が新設され,それに関しましては,認可後のフォローということで,設置認可の際の設置計画の履行状況をチェックすることとなっております。4年制大学の場合は,4年間そのフォローが行われた末,完成年度を迎えます。
  一方で,恒常的な質保証といたしまして,まず大前提として,全体の中に青字で書いております,各大学の学内での質保証の取組が中心となります。各大学において教育研究活動を行い,自己点検・評価を行い,その結果を更に自己改善に生かして,そのまた次のサイクルの教育研究活動を行う,という形のサイクルが内部質保証でありまして,これらを進めることが第一となっております。この内部質保証を補完する意味で,認証評価制度といたしまして,第三者による評価を実施してございます。
  先ほど,認証評価も含めた質保証全体の在り方について,概要を御説明いたしました認証評価制度についてでございますけれども,平成16年度より,認証評価機関による評価を受けることが義務づけられております。目的といたしましては,評価結果が公表されることにより,大学等がまさに社会から評価を受ける,そして社会から評価を受けることとも関連しますけれども,その評価結果を踏まえて大学が自ら改善を図るということが狙いとなってございます。
  内容といたしましては,大きく分けて二つの評価がございます。いわゆる機関別認証評価と呼ばれますが,大学の教育研究等の総合的な状況の評価といたしまして,大学全体の評価を7年以内ごとに受審をするということになってございます。また,今,専門職大学院にのみ課されており,いわゆる分野別評価と言われておりますところが,分野別の評価を5年以内ごとに受審をするということになってございます。
  認証評価機関の認証につきましては,評価機関は,大学評価基準とその評価方法が適確に行うに足りるものであることかどうかといったところを,一定の審査を受けまして,文部科学大臣の「認証」を受けることとなっております。また,目的とも連動するところでございますが,評価結果につきましては,しっかり公表していただくことで,まさに社会から評価を受け,大学等の自らの改善を図るといったところが重要となっております。
  次に,第7期の中央教育審議会の中で取りまとめていただきました論点・検討課題について簡単に御説明いたします。
  まず,高大接続改革ですとか,質的転換,大学入学選抜改革等を推進するための評価の在り方でございます。もともと御指摘といたしまして,認証評価制度において,法令適合性の観点ですとか,最低限の質の確認といったところが中心になっているというような御批判,御指摘がございましたので,それに対して,評価を通じての教育の質的転換,改革等を促進することができないかどうかということが論点となっております。
  課題といたしましては,一つ目の点でございますが,繰り返しになりますけれども,質的転換ですとか大学入学者選抜改革,このような更なる取組の充実につなげるための評価の在り方をどうしたらよいか。そして,学修成果や内部質保証を重視した評価への移行をすべきではないか。また,特定の研究活動に重点を置いた評価を行い,一方で,共通の評価項目の扱い(簡素化)などを行って,大学の多様性に対応した評価をすべきではないか。さらに,大学が掲げる目的・水準等に対する評価を行うべきではないか。また,評価結果に応じて次回評価を弾力化すべきではないか。最後でございますけれども,分野別評価の推進をすべきではないか,ということが挙げられております。
  進みまして,二つ目の点は評価結果を活用した改善の促進でございます。現行の認証評価制度では,評価結果を踏まえた改善については,特段法令上の規定がございません。つきましては,改善につなげるためのしっかりとした仕組みが必要ではないかといったところが論点となっておりました。
  検討すべき課題といたしましては,評価基準等への最終的な適合・不適合の判定の仕組みを整備すべきではないか。
  また,そのようなところと連動いたしますけれども,不適合等の場合においてのフォローアップの仕組みを整備すべきではないか。
  評価結果の各種取組への活用をすべきではないか,というところが意見として出ておりました。
  三つ目の点は,評価機関の評価の質の向上でございます。この点は,認証評価機関の評価の質を向上するための取組が必要であろうということで,検討課題といたしましては,評価機関に対する評価の在り方として,メタ評価,評価機関の評価,また,認証評価機関の定期的なレビュー等が必要ではないか。さらに,評価の質の向上として,複数の機関で連携した取組を行っていただくですとか,先進的な評価手法の開発等,調査研究をより促進していただく,といったところが挙がっております。
  お進みいただきまして,四つ目の点は評価における社会との関係の強化でございます。現行の認証評価制度におきましては,大学教員を中心としたピアレビューが一般的となっておりまして,専門性が担保されている一方,大学に対する評価に関しましては,幅広い関係者の意見を踏まえることが求められておりますので,そのようなところをどのように取り組んでいくかというところでございます。
  検討課題といたしましては,ステークホルダーの視点を取り入れた評価をどのように実施していくかというところ,また,各大学の特色のある取組,それを社会へいかに発信していくかというところでございます。
  続いて,5と6を一つのスライドにまとめておりますけれども,1点目の評価人材の育成の観点でございます。先ほど分野別の評価についての推進も課題として挙がっておるところでございますけれども,評価制度を更に発展して,いろいろなことを加えていくためには,まさに人材の育成が必要でございます。そのような点から,複数機関等に連携していただきまして,評価人材の育成や専門的知見をどのように継承していくかという取組を促進していくかというところが挙がっております。
  最後でございますけれども,評価の効率化でございます。大学等の「評価疲れ」も指摘されている中で,質の確保を前提として,どのように評価を効率化していくことができるかというところでございます。この点に関しましては,既存資料の活用ですとか,他の評価制度との連携,また,情報公開に取り組む大学等に対する評価の特例を設けることができないか,といったところが論点として挙がってございます。
  以下,参考資料となっておりますので,適宜御参照いただければと思います。
  事務局からは,以上です。
【鈴木部会長】  ありがとうございます。
  続きまして,早速ヒアリングに入らせていただきます。本日は,大学基準協会から納谷会長と工藤事務局長に,短期大学基準協会から関口理事長と原田副理事長にお越しいただいております。改めまして,本日は御足労くださいましてありがとうございます。
  二つの評価機関から御意見をそれぞれ頂戴いたしまして,その後に,質疑応答も含めた意見交換の時間を設けたいと思います。
  それでは,大学基準協会さんからお願いいたします。
【納谷大学基準協会会長】  大学基準協会の会長をしています納谷と申します。よろしくお願いいたします。
  本日は,このような機会を頂きまして本当にありがとうございます。私たちが今やっていることを御案内申し上げるとともに,今後の在り方について,若干,お話しさせていただければと思っております。
  大学基準協会は,2004年から,4年制大学の認証評価を行っております。そして,2007年からは,短期大学の認証評価も行ってきております。それは,資料1-2の2ページ,3ページにありますような,このような結果を行ってきている実績があります。2004年度から2010年度までが第1期でございまして,2011年度からが第2期ということで,今行っているところまでの評価実績をトータルで表にさせていただいております。
  全体で475校,うち27校の大学については,不適合又は期限付不適合ということで,問題のある大学だということの評価結果を出させていただいております。短期大学については,25校を評価させていただいておりますが,そのうちの1校が不適合だという評価,これが過去行ってきたもののトータル的な統計実績でございます。
  それから,あわせて,3ページ目に当たりますけれども,専門職大学院認証評価につきましては,法科大学院は,スタートした2007年度から既に実施させていただきまして,もう2期目に入っていますけれども,ここまで来る間に,34校のうちの約半分の17校が不適合という形で出させていただいております。経営系についても,51校のうちの5件が不適合だという評価,それから,公共政策系,公衆衛生系,知的財産系,それぞれ,そこにある数字のものを評価させていただいております。そのような形の中で,新しい分野別のところにもチャレンジして,少しずつ高等教育の在り方について貢献できればという形で動いてきております。
  大学基準協会としては,2011年の第2期から,大学の機関別認証評価より大学の内部質保証を重視した評価を実施してきております。現在は,2018年度からの第3期の認証評価に向けて,大学評価の改革を検討しております。昨年,その改革方向を公表したところでございまして,本日,皆さんのお手元に厚い冊子をお配りしておりますけれども,247ページ以下に,第3期に向けての我々の考え方を述べさせていただいております。後で触れて御説明させていただきたいと思っております。
  この冊子は,まず大学基準協会自身が実施した自己点検・評価報告書がそこへ入っています。その自己点検・評価報告書をもとにした外部評価報告書も載せております。後で見ていただければ分かりますが,これを実現するためのロードマップをどのようにしていくべきか,そのようなこともここに収録させていただいております。また,大学基準協会の役員を中心にして,大学基準協会の歩むべき方向性について,いろいろコメントを書いていただいて,その点も冊子に載せておりますので,御参考にしていただければと思っております。時間のあるときに是非御一読賜れば幸いでございます。
  本日は,大学基準協会からは,第3期認証評価の基本方向について紹介するとともに,この基本方向を策定した背景について御説明申し上げたいと思います。
  スライドの4枚目を見ていただきたいと思いますが,そこに改革の方向として7項目が記載されております。本日配付しております先ほどの冊子247ページ以下に詳しく書いてありますので,お時間のあるときにお読みいただければと思っております。ここでは,若干ですけれども,その背景についてコメントをさせていただければと思っております。背景の一つとして,内部質保証をより一層重視する必要性があるのではないかと考えて,そこに書いているようなことを我々は考えております。このことの背景につきましては,最も重要なことは,大学評価が大学の自主性,自律性に根ざしたものであるということを前提にして,我々は内部質保証というものが大切なんだということを考えておりました。要するに,大学が主体的に質の保証,質の向上に取り組むよう,2011年度の第2期認証評価から内部質保証を重視した評価を実施して,本日に至っております。
  しかしながら,第2期の4年間,2011年から2014年度ですけれども,この4年間を見ただけでの評価結果でございますけれども,内部質保証に何らかの問題点,努力課題とか改善勧告をしたというところですけれども,そのような問題点を指摘された大学は,151大学中50大学でした。この数字から分かりますように,受審大学のおよそ3分の1の大学が,質保証における大学の主体性という点で問題を抱えていると我々は見ております。
  第3期の認証評価においては,内部質保証の有効性はもとより,恒常的・継続的なプロセスとして内部質保証システムが学内に定着しているかについても重視し,内部質保証の実質化に取り組み,その促進をさせていきたい,このように考えております。これが一つ目の背景論でございます。
  背景の二つ目として,法令要件の評価から,大学の機能強化を促進させる評価へということで図っております。御存じのように,大学設置認可,認可後のアフターケアと,認証評価との相互連携を図ることが重要だということは,この中央教育審議会でも御指摘されているところでございます。
  しかし,その場合でも,常に法令遵守に努めている大学とそうではない大学とに分けて考える必要があるのではないかと私どもは考えております。この大学設置認可,アフターケア,認証評価の相互連携の意味するところが,大学としての設置基準などの法令要件の充足状況を単に評価することであるとすれば,常に法令遵守に努めている大学に対しては,7年ごとの毎回の認証評価において,大学の自己点検・評価に基づき,法令要件の充足状況を評価することが果たして必要なのかどうか,大学と認証機関との負担軽減という観点からも検討する必要があると思います。それで,第1期及び第2期の評価において,特に法令違反がなく,第2期認証評価において内部質保証に関して問題点の指摘がなされていない大学に対しては,第3期では,法令要件に関わる事項については,データのみを提出していただき,認証評価機関としてこれを確認するということにとどめてはどうだろうか。そのようなことで,大学の自己点検・評価の段階で軽減措置を講じることも考えておかなければならないのではないかと思っております。
  しかし,むしろ法令要件の遵守について,大学の自律的内部保証の中で自覚的に行われることが必要であり,これからの認証評価は,グローバル社会,知的基盤社会への対応が迫られている状況下では,それぞれの大学の特性に鑑みた大学の機能強化を促進させる評価を志向していくべきだと我々は考えております。
  他方で,大学基準協会のこれまでの評価において,法令違反などの最低要件が満たされていない大学も散見されることから,このような大学に対しては,引き続き,最低要件の厳格な評価を実施していくことは言うまでもありません。不適合になった大学に対しては,評価機関から法令違反などを指摘して,改善を促していますが,大学設置認可,アフターケア,認証評価の相互連携を強化するとすれば,単に認証評価機関からの指摘にとどまらず,不適合大学に対する指導内容を実現化するための枠組み,法的整備も検討しなければならないと,このように考えております。
  負担軽減の関係では,大学ポートレートの利用なども我々は考えているということを付け加えておきたいと思います。
  7ページ目では,学修成果の評価の現状と大学基準協会の今後の役割という形で書かせていただいております。
  大学基準協会では,学修成果の評価について,学位授与方針において,課程修了時に修得が期待されている学修成果の明示と,その学修成果を評価する手法の開発を求めております。第2期の4年間の評価結果において,学位授与方針への学修成果の明示がない,又は不十分であるとして評価結果において問題点があると指摘した大学は,先ほどの151大学中98大学であり,受審大学の約65%に当たります。また,学修成果を評価する指標の開発に着手していない,又は不十分であるという評価をしている大学は,151大学中104大学あり,受審大学の約69%に当たります。この結果から,学修成果の評価が各大学に定着するには,まだまだ時間がかかると思われます。このような現状から,大学基準協会としては,学修成果の明示と学修成果の評価方法・評価指標の開発に,シンポジウムやセミナーなどを通じて促進させていくことも検討していきたいと考えております。
  8ページ目でございますが,これは皆さんもう大体お分かりだと思いますので,このような大学の役割,認証評価の機能,これからの大学評価機関の役割などを考えながら,考えていかなければならないということを述べております。
  それから,私たちとしては,時間があればまたお話しさせていただきますけれども,大学基準協会としては,認証評価機関として,評価を通じて各大学の特色,個性を適切に社会に伝えるとともに,大学評価に社会の声を反映できる仕組みを構築するなど,社会との関係を一層重視していく必要があると考えております。特に,各大学の評価結果が社会一般に一義的に理解できるようにするため,評価結果の様式の見直しなども必要と考えております。
  最後に,この部会に対するお願いでもございますけれども,私たちの大学基準協会では,ほかの認証機関より1年先行して2004年度からスタートしておりますので,そのために,第3期に向けて作業を進めておるところでございます。今後の我々のスケジュールから見ると,2015年度中に評価システムの改革のための検討を終え,2016年度中に各大学に対して新評価システムの説明会を実施し,第3期認証評価が始まる1年前の2017年度が,評価申請大学の自己点検・評価の実施期間となりますので,かなり切羽詰まっているところでございます。中央教育審議会の方でも,そちらに対してどのような御関係があるかを,ある程度見える形でお示しいただければ有り難いなと思っております。
  最後に勝手な要求を申し上げて申し訳ありませんが,一応以上で我々の説明とさせていただきたいと思います。アンケート結果も添付資料でありますけれども,いろいろございますが,このアンケート結果を踏まえながら,我々は更に第3期に向けて改革を進めていきたいと考えております。
  以上です。
【鈴木部会長】  ありがとうございます。
  続きまして,短期大学基準協会さんからお願いいたします。
【関口短期大学基準協会理事長】  それでは,短期大学基準協会から御説明をさせていただきますが,この第三者評価につきまして,私どもの中で中心となって扱っております副理事長の原田第三者評価委員会の委員長から具体に御説明を申し上げた方がよろしかろうと思いますので,まずそちらから御説明申し上げ,具体的に何か御質問等がございますれば,後ほど私から御説明をさせていただくということにさせていただきますので,よろしくお願いいたします。
  それでは,原田副理事長,お願いいたします。
【原田短期大学基準協会副理事長】  原田でございます。よろしくお願いいたします。
  まず,当短期大学基準協会がどのように創立されたかということを説明させていただきます。平成3年の大綱化を受けて,その翌年に短期大学も自己点検・評価をやらなければいけないということで,平成4年にはアメリカの東海岸,西海岸,ハワイ地区の大学等に行きまして,また,アクレディテーションの委員会等も訪問して,アメリカの第三者評価はどのように進められて,また,適格認定はどのようになっているのかという実情を勉強してきました。平成6年に私立短期大学協会が短期大学基準協会を作ったわけですけれども,その折はまだこういった認証評価ができておりませんでしたので,お互いに評価をし合うという,相互評価というのを短期大学基準協会はやっておりました。
  その後,平成14年度の学校教育法の改正等が,平成16年に施行されるということで,平成14年にもう一度,昔のアクレディテーションがどのようになっているかということで,平成14年から3回ほど西海岸の西地区のWASCの方のコミュニティカレッジの認証評価機関ACCJCを訪ねまして,評価員の研修,それから,アクレディテーションのスタンダードがどのように変更になっているか,ALO(Accreditation Liaison Officer)がどのような役割を果たしているかという,そのような評価の構造について学んで,そして,平成17年に認証評価の認可を受ける際に,それを採用しようということで,これを当時の第三者評価を行う認証評価を受けるための委員会で検討しました。
  ですから,ちょうどベルリン・コミュニケの後の学修成果というものは,もう既にアメリカの方に取り入れられておりました。ヨーロッパがやっているので,私どもが行った平成14年には,アメリカも学修成果をもう基準の中に取り入れて,これを新しいアクレディテーションのスタンダードとして,既に四つのスタンダードになっておりました。
  中心は,学修成果を査定の中心に置いて,どのように獲得できるかということで,ミッションと教育目的,人材養成,プログラム,そして,そこから出てくる情報を,インスティテューショナル・リサーチ(以下,「IR」という。)というのか,そのようなデータを集めて,そして評価をして,そしてフィードバックして,その中でPDCAを行うという,そのような改善の査定のループというものを私どもは持って帰りました。
  それから,その中で一番重要だったのは,学生のニーズというのは,やはり大学が,学生がどのようなことを求めているかということをニーズとして捉えるのではなくて,学生が卒業したときに就職先の人事担当者から良い評価がもらえるということが学生のニーズであるという,そのようなことが学修成果の査定になるという,そのような仕組みを持って帰りました。
  平成17年から認証を受けて評価を進めていくのですが,その折の新しいスタンダードについても,学修成果を中心に自己点検・評価を進めていただきたいということを説いてまいりました。評価員研修も,ALO(Accreditation Liaison Officer)の研修,これは評価を受ける学校の方のリエゾンオフィサーの研修にも,学修成果が大切だということで進めておりました。その結果,第2評価期間には,今現在は学修成果が中心になるような,又は査定のループの中で内部質保証が可能になるように,自己点検・評価報告書も,課題改善,行動計画ということが記述できるように,正のスパイラルができるような報告書,レポート,作成ツールに作っております。先ほどおっしゃったような学修成果の問題というのは,第2評価期間では出ていないというのが現実でございます。
  大体今の我々の短期大学基準協会の概要でございますが,数値的には,平成17年から認証評価を始めまして,26年度まで,評価校は459校評価しております。そのうち適格認定を行ったのが447校,第1評価期間の終わりが22年度ですが,22年度に9校の保留が出ました。それから,24年度から第2評価期間に入りまして,1校の保留,それから,条件を付した適格が2校出ております。それを合わせて459校の評価校をやっておりまして,22年度の第1評価期間で,97%の私立短期大学の評価を行っております。数値的には,そのような状況でございます。
  本日用意させていただきました資料1-3について説明をさせていただきます。
  あらかた現在の取組というのは,先ほどの私の概要の説明の中でありましたけれども,内部質保証というのは,先ほど申しましたように,学修成果を焦点に据えた査定のループでもって,PDCAサイクルをしっかりと中で運営をして,充実・向上を目指すということを進めております。
  それから,学修成果も,既にもうこれは取り入れてやっております。
  それから,入学者選抜,これはアドミッションポリシーは,先ほどのいわゆる査定のループの中のプログラムの中で,入学者選抜というのは非常に重要なことになってきますので,そのアドミッションポリシーも,しっかりとこれを入れております。
  それから,大学の多様性に対応ということ,これは,昨年の8月6日にまとめました中央教育審議会の短期大学ワーキンググループの審議まとめに出ております機能別分化というのは,もう既に我々の評価の中の選択的評価基準の中に入っております。
  それから,評価結果のフォローアップですが,これは保留校に対しては,フォローアップの仕組みを設定して実際に運用しておりますが,不適格というのは出ておりませんで,不適格については,まだこれは実施はしておりません。
  そして,下の参考というのは,17年度に開始しまして,23年度までが第1評価期間の間だったんですが,22年度で終わって,23年度はお休みをしたような状況になっておりまして,第2評価期間のスタンダード,基準は平成24年度から実施しております。ですから,30年度が終わりということで,31年度から第3評価期間に入りたいと考えております。
  次に,2ページ目でございます。第3評価期間に向けての取組ということで,本日,課題として御説明いただいたことについて,ここのように書いておりますが,ステークホルダーの意見の活用という部分では,やはりピアレビュー,要するに,短期大学の評価ができるプロの知識を持った人で評価をする。もちろん,短期大学関係者ばかりではございませんけれども,この評価をする最終的なまとめには,ほかの理事の意見等も入りますので,そのような形ではないんですが,ステークホルダーが評価員として参画するのは非常に困難であるのではないかと考えております。評価結果の審議に際しての意見を反映するということでは,これは意見を参酌するということはできるのではないかと考えております。
  それから,評価業務の効率化,大学ポートレートの活用という部分で,今現在大学ポートレートは動いておりますけれども,私立大学の場合は,日本私立学校振興・共済事業団のデータベースが中心になって出ております。それについてはよろしいんですけれども,ポートレートの情報というのは,参画している各大学が自由にアップロードできるようになっておりますので,その根拠が明確でないということと,それから,我々が求める情報にはなっていないというのが現実なので,今現在,これを使えるという状況ではないということになっております。関係者において工夫されることを望みますと記載させていただいております。
  それから,評価結果に応じた次回の評価の弾力化ということでございますが,やはり評価基準の改定等を勘案しますと,慎重に検討が必要であると考えております。弾力化というのは,やはりなかなか難しいなと考えております。
  それから,分野別評価の推進でございますけれども,我々短期大学で一番多いのは,保育関係,それから,栄養士関係でございます。そのあたりは,やはり知識を共有しているとか,プログラムの必要な教員の状況とかあるんですけれども,ただ,全体的に分野というと,かなり広い範囲に短期大学の学科を設置されている場合もありますので,なかなかこれも分野別に入っていくというのは,ある一定の部分は可能かも分かりませんが,全てをやるというのは困難ではないかと考えております。また,その評価員の養成にも時間がかかるでしょうし,それから,財政もかかっていくのではないかと考えております。
  3ページ目でございますが,検討をお願いしたい事項として,ここに用意させていただいております。
  認証評価機関に対する支援等ということで,この第三者評価の水準を維持するということ,また,新しい要請が出るという,法律の改正などに対して,人員や経費がすごく必要になってくるということでございますので,助成金等の配分をよろしくお願いしたいということを記述させていただいております。
  それから,評価において指摘した課題が履行されない場合,我々が早急な改善を求めますというような事項が出てきます。それについて,やはり権限というのはなかなかありませんので,何らかそういう権限があるような形で措置を望むということを,ここで記載させていただいております。短期大学の場合は,先ほど大学基準協会さんも短期大学の評価をされたり,日本高等教育評価機構も評価をされたりするので,我々,一認証評価機関が評価をするのであれば,我々の評価を受けなければいけないので,我々が求める事項というものが履行されなければいけないということであれば,このあたりは措置が図れるのではないかなとも考えておりますが,今,現実には非常に無理があるかなと思っています。
  それから,評価校数の平準化というのは,これは先ほど全部で459校と申しましたが,実際,22年度までは328校を評価しておりまして,17年度では30校,18年度で44,19年度で51,20年度で55,21年度で65,22年度にぐっと増えて83という数になりまして,ここで83校の評価員を求めるのは非常に困難なことがありました。それがどうしても7年に一度という形でくると,評価員がだんだん高齢になってくると出られないとかいうことがありますので,そのような数も平準化できたらいいなと考えております。
  それから,調査研究の促進ということで,冒頭に申し上げましたように,アメリカのアクレディテーションの研究を重ねて,現在,我々の基準は出来上がってきております。平成24年だったと思いますけれども,アメリカのACCJCとも連携協定を結びまして,この基準協会の国際通用性を確保するという点でも,それは役立っております。そういうことで,アメリカだけではなくて,調査研究委員会というのがございますが,オーストラリア,ヨーロッパの認証評価の仕組みも研究して,我々の評価の中に取り入れたいということで,今現在も進めておりますが,そのようなことに対しての助成もよろしくお願いしたいと考えています。
  それから,評価人材の育成方法等。これも評価員が,お願いしますと言っても,先ほど申し上げましたように,教授になって学部長と兼務とか,異動したとかいうことで,経験者が非常に少なくなってくるというような事態も発生していますので,育成に対しても,また,学校の方でも評価員を供出するという機関の負担軽減もよろしくお願いしたいと考えています。
  それから,認証評価機関に対する評価の在り方という,メタ評価ですけれども,これは自主性・独立性の観点から慎重な検討が必要ではないかなと考えております。
  まことに簡単で,早口でございますけれども,私どもの短期大学基準協会の御説明をこれで終わりにさせていただきます。どうも御清聴ありがとうございました。
【鈴木部会長】  ありがとうございました。
  御意見,御質問のある方は,御発言をお願いいたします。なお,御発言のある方は,机の上のお名前札をお立ていただきたいと思います。それでは,よろしくお願いいたします。
  どうぞ。
【濱名委員】  濱名と申します。
  大学基準協会の方にお尋ねをしたいと思うのですけれども,配付していただいた資料の7ページのところで,学位授与方針への学修成果の明示の点と,成果を評価する指標開発の点についてお書きいただいていて,かなり課題が多い状況であることは理解できるのですけれども,学位授与方針への学修成果の明示というのは,中央教育審議会での議論で言うと,私自身は,アセスメント・ポリシーというか,どのように学位授与方針ができているかどうかというのは,やはりポリシーとしては少し整理しなければいけないのではないかと考えているのですが,大学基準協会としては,このあたりのポイント,学位授与方針の中に評価指標まで入れたポリシーを考えておられるのか,この辺の内容も併せて教えていただければと思います。
【鈴木部会長】  お願いいたします。
【工藤大学基準協会事務局長】  御質問ありがとうございます。
  大学基準協会が求めている学位授与方針の中身といいますか,それは,例えば,4年間の学士課程教育を通じてどのような成果を期待するのかという,いわゆるラーニングアウトカムをきちんと明確にしてほしいということと,それから,学位授与に関わる手続ということもきちんと明示しておくようにということを求めております。
  今回,このスライドの7ページ目のところにありますように,学位授与方針への学修成果の明示がない,又は不十分だということの指摘がなされた大学が98大学ほどあるということなんですが,これは必ずしも全く書かれていないというわけではなくて,例えば,大学全体のいわゆる学位授与方針はあるけれども,各学部単位,あるいは大学院研究科単位で見たときに,それがまだ整備されていないとか,あるいは,学部単位では作成されているけれども,大学院のところではまだない,あるいは,学位授与方針と教育課程の編成実施方針,カリキュラム・ポリシーとディプロマ・ポリシーが十分連動性が保たれていないということも含めて,指摘がなされている大学が,この98大学の中には入っているということでございます。
  それから,今,濱名委員が御指摘された評価指標のことも含まれているかということは,特に大学基準協会としては,学位授与方針にそのことまで明示することは求めておりません。
【濱名委員】  ありがとうございました。
【鈴木部会長】  よろしいですか。そのほか,いかがでしょうか。
  では,牧野委員。
【牧野委員】  いずれの認定評価機関の方への質問となりますが,先ほどのお話の中の海外事例を聞く限りにおいては,企業の人事部門や最終的には学生本人にとっても,卒業時点でどれぐらいの履修が行われていて,どれぐらいのレベルに達しているか,に大きなニーズがあるとのお話があったと思います。今現在,日本における大学の卒業生,短期大学の卒業生に対する企業の人事部門への個別のヒアリング等による評価というのは,今後検討するお考えはあるのでしょうか。
【原田短期大学基準協会副理事長】  私どもから,企業さん,又は就職先にヒアリングをするというようなことではなくて,要するに,広域アシュアランスの中で,その大学が向上・充実するために,学生が卒業した先に自分たちの学修成果が獲得できているかどうか,学修成果を説明して,就職先の担当者から,それがクリアされているかどうかという意見の聴取をする,データを集めて,そして,そのデータをもとに,向上・充実するための課題があるのか,いいところを褒められたら,更にそれを伸ばすにはどうしたらいいかという,そのようなセルフスタディをやってくださいという,そのPDCAサイクルを求めているということであって,我々が企業さんにどうだこうだということは考えていないということでございます。
【鈴木部会長】  よろしゅうございますか。
  どうぞ。
【工藤大学基準協会事務局長】  大学基準協会で考えている学修成果の評価というのは,学修成果を設定するのは大学であり,それを評価するのは大学自身だという考え方に立っております。やはりそれは大学の多様性ということがありますので,一つの指標で全ての大学を評価するというのはなかなか難しいだろうと。ですから,大学自身がどういう評価指標を設定して学修成果を評価しているか,また,その結果をどう教育プログラムの改善に結びつけているかというところの評価が,やはり機関別認証評価が本旨とするべきところだろうと思っております。
  大学基準協会は,2013年に,INQHEという世界の評価機関,質保証機関が加盟する団体があるんですが,そこの加盟機関に対してアンケート調査を実施しております。そのときに,学生の学修成果を重視しているかということに対して,やはり重視しているというのが,いわゆるインスティテューショナルレベルもプログラムレベルも高かったんですが,どちらかといったら,プログラムレベルの方がやっぱり圧倒的に高いですね。ですから,機関別認証評価と専門分野別評価で見る学修成果の視点というのは,やはり自(おの)ずと異なってくるだろうと。機関別認証評価では,間接的にその部分は見ていく必要があるのではないか。むしろ直接的に学修成果が上がっているのかどうかというのは,分野別評価の範疇(はんちゅう)だろうというふうに我々は考えております。
  それで,企業との関係で言いますと,その辺はこれまでの第2期のところでも出てはないんですが,ただ,一部の大学では,在学生に対するアンケート調査のほかに,それこそ卒業して10年後の卒業生に対して,どの程度学修成果というものが自分たちの社会に出てから影響をなされたかということのアンケート調査を実施しているところもございます。このようなところはしっかり見て,それがその大学の教育とどのように連動していっているのかというのは,より分析が必要かと思いますけれども,いろいろな評価指標を多面的に見て,学修成果というのは見ていく必要があるだろうと思っております。
【鈴木部会長】  日比谷委員,お願いします。
【日比谷委員】  大学基準協会に伺いたいんですけど,アンケート調査の結果を幾つかお示しいただいておりまして,ざっと見まして,これ,左の方,ブルーと赤が多いとよろしくて,右の方のが張り出しているといかがなものかというふうに読めばよろしいと思うんですが。全部見ますと,圧倒的に25番の質問,「貴大学担当部署の作業量は,適切であった」というのは,余り肯定的な回答が得られていないというふうに読みました。確かに,さっき評価疲れという言葉をどなたかお使いになったと思うんですが,ある種の疲労感といいますか,やっぱり負担が大きいという気持ちを持っている大学関係者は多いと思いますので,今後,いろいろなライトタッチとかお話は伺いましたが,なぜ負担感が多いのかということを,大学基準協会としてどのように捉えていらっしゃるかということと,この問題の改善に向けてのお考えを伺いたいというのが1点です。
  それから,2点目は,評価者の育成に関することで,このアンケートは受審をした大学が対象になっていますが,負担感が非常に大きいのは当然のことながら,評価者も非常に負担を感じていらっしゃると思いますので,大学基準協会,これは短期大学基準協会の方もそうですが,評価者の方が評価活動をどのように捉えていらっしゃるかということを調査なさっているのかということと,それから,最終的には,それぞれの大学の特性に鑑みて,機能強化を促進させるような評価をしていくことは,非常に重要なことであって,一律化することが目的ではありませんけれども,そうなると余計にそれぞれの大学の,全然違う特性を理解した上で,それを適切に評価できる人の育成をしているというのは大変なことだと思うのです。文部科学省の方にも伺いたいんですが,その辺についてのお考えをお願いいたします。
【鈴木部会長】  どうぞ。
【工藤大学基準協会事務局長】  まず,御質問ありがとうございます。
  一つ目の負担のこと,本日,大学基準協会が配った資料の中にある,後半部分のアンケートの25番が,確かにほかのアンケート項目に比べれば,ぐっと「該当する」というのが少ないのであります。いろいろな要素があるかと思いますけれども,先ほど会長の納谷の方からも申し上げましたとおり,例えば,法令要件を満たしているかどうかという基本的な評価の部分を毎年毎年,7年周期で,それこそ同じことを何度も繰り返しやる必要があるのかどうかというところがあります。そのことを大学に対しても求めているということなので,その部分はある程度,どのような大学をライトタッチにするかというのは,またこれから議論は必要かもしれませんけれども,例えば,第1期,第2期のところで,特に大きな問題が指摘されていないとか,あるいは,第2期のところで,内部質保証についても特に問題として指摘されていないようなある程度しっかりやっているところは,第3期からはもう少しライトタッチにしていく必要があるんだろうと思います。
  それから,評価者の部分も,本日はお配りしておりませんが,評価者に対するアンケート調査も毎年実施しております。そこで,自由記述が多いアンケートの作りにしていまして,協会の中でそれを毎年分析をして,次年度の評価に,手続の中で改善できるものは改善していこうと。先ほどの法令要件,毎年,7周期のチェックの必要性があるのかどうかというのは,評価者の方から言ってきている内容でもございまして,この辺は是非見直していく必要があるだろうと思います。
  三つ目は多様な大学を評価するという点ですが,それは,日比谷委員の御指摘のとおり,大変難しい問題だろうと思います。大学基準協会でも,二つの側面から評価をすることにしていまして,一つは基盤評価,これは法令要件を満たしているかどうかの評価,もう一つは達成度評価という評価で,これは大学が掲げる理念・目的をどの程度達成しているのか,あるいは,それに向けてどのような努力をしているのかということです。アメリカのアクレディテーションの原理原則は,やはり大学の理念・目的なり,あるいはミッションをしっかり認識した上で,それに照らして評価をしていくということでやってはいますけれども,まだまだ日本では,十分浸透していないというか,定着していない感じが見受けられます。ですから,大学の特性を今後評価していくというときの評価者の視点なり,そのようなものの調査研究というのはやはり必要だろうと私は感じております。
【鈴木部会長】  川嶋委員,どうぞ。その後,篠田委員にお願いいたします。
【川嶋委員】  二つの協会の方に共通にお聞きしたいのは,いずれも大学ポートレートについては,一層の充実を図るとか,工夫が必要というふうに御指摘されているんですが,それぞれ具体的に,今のポートレートの課題は何で,どう改善すれば認証評価に有効に活用できるようなポートレートになるとお考えなのか,少し御意見をお聞きしたいと思います。
【鈴木部会長】  どうぞ。
【工藤大学基準協会事務局長】  例えば,大学基準協会では,自己点検・評価報告書のほかに,基礎データというものを出していただいています。基礎データも,例えば,学生の受入れのところで言いますと,それぞれの学部学科単位で志願者数,受験者数,合格者数,そして入学者数は何名なのかというところまで一応出して,学生の受入れのところはきめ細かく見ているわけですけれども,なかなかそこは大学も公にしにくい部分ではあるかなとは思うんですけれども,大学ポートレートではそのような数字は全く出ていないのです。あるいは,科研費の採択の問題もありますし,我々が大学に求めているデータというのは,まだまだポートレートでは不十分だろうと思っております。
【鈴木部会長】  原田副理事長,どうぞ。
【原田短期大学基準協会副理事長】  ポートレートそのもの,先ほど私も説明申し上げましたけれども,私立大学の場合は,日本私立学校振興・共済事業団の情報で,ある部分,教育情報の公表の数値が上がってくるわけですね。ただし,それ以外の短期大学の情報というのは,自由にアップロードできるようになっているんです。ということは,短期大学の広報の担当者が自由に記述したものが,そこにぽんと入れることができるわけです。その情報に対して,根拠がどこにあるのかというのを確認は取れないわけですね。学校案内を我々は頂いて見ますけれども,学校案内の根拠でさえ分からないという事実はございます。ですから,そのようなところが明確になっていれば,今後,大学ポートレートというのは非常に有効になると思うので,私の考えでは,大学ポートレートを今後有効にするためには,その大学がポートレートにアップロードしている内容に根拠をちゃんと収めて整理しておくことというようなことがあれば,大分変わるかなというふうに考えております。
【鈴木部会長】  篠田委員,それから,金子委員,小林委員とお願いいたします。どうぞ。
【篠田委員】  私は大学基準協会にお伺いをしたいと思いますけれども,第3期の改革方向の中で,1点目,2点目に,内部質保証の有効な機能化,アウトカムということを提起されておりまして,私自身も,第3期の全体的な認証評価は,内部質保証システムを大学の中にいかに根付かせるかというのが非常に重要な課題だと思っておりまして,これは先ほど中央教育審議会の論点のところでも,第1のところでも,質的転換,学修成果,内部保証というのを重視するということが言われておりますので,これで間違いないんじゃないかなと思います。基準で点検をするというやり方から,内部を自己改革をしていくようなシステムをいかに定着させていくかということです。
  それで,大学基準協会の内部質保証の有効な機能というのと,それから,アウトカム評価というのは,つまり,内部質保証というのも,結果とか成果を明確にして,いかにこれを改善につなげていくかということで考えますと,かなり連動している重要なところだと思っているんですが,このあたりのところをどのようにお考えかということ。それから,実際の第2期の4年間の取組で,3割程度は問題が指摘されたけれども,7割についてはある程度機能し始めているということではないかなと思うんですけれども,この内部質保証を重視する,あるいは,内部質保証を評価するというのは,言うは易(やす)いんですけれども,点検型よりもかなり難しい。大学がその気になって,本当に改善に向かっていただかないといけないということなので,そのあたりの評価を重視するといった場合に,どのような基準で見ている,あるいは,PDCA全体を機能化して総合的に評価をしている,いろいろなやり方があろうかと思います。そのあたりがどういうことかということ。それから,問題があると指摘をされたところとそうでないところの違い,多分,丸ぽつの最後のところに書いてある,有効性があり,学内に定着して実質化しているというあたりのところが,一般的に言えば特徴といいますか,評価結果になるのではないかなと思いますけれども,そのあたりが機能しているところとしていないところで,どんな差が現れているのかというところについて,かいつまんだ御説明で結構なんですが,よろしくお願いします。
【工藤大学基準協会事務局長】  御質問ありがとうございます。
  今,篠田委員が御指摘のとおり,内部質保証の部分とアウトカムの部分というのは,これは連動しております。先ほど私が申しましたアウトカムの評価というのは,大学自身が基本的には内部質保証の中でやはりしっかり行うべきだろうと思っております。
  それと,内部質保証が機能している大学と機能していない大学は,どのようなところに差があるかということなんですが,大学基準協会は,内部質保証システムについて,いわゆるPDCAサイクルなどを回して質の向上を図っていくということと,それから,自らの大学教育は一定水準にあるということを,大学自らが証明していかなければいけないと考えております。つまり,保証するわけですから,誰が誰に対して保証するのか。恐らく,これはステークホルダーだと私は思っていますけれども,質の向上と質の保証について説明責任を果たすということ,それと,このプロセスが継続的・恒常的であるということがやはり重要だろうと大学基準協会は考えておりまして,その観点から評価を実施しております。
  そのような意味で,内部質保証において何か問題があるというふうにこれまでも指摘はしてきましたけれども,例えば,改善・改革に取り組むためのシステムと体制が構築されていないとか,あるいは,これは先ほどの説明責任とも関連するんですが,教育活動等の状況について,ホームページで公表する情報としてはまだまだ不十分であるということで指摘がなされているということで,その観点から評価をして,不十分なところにはこれまでも改善を促してきたというところでございます。
  以上です。
【篠田委員】  ありがとうございました。
【納谷大学基準協会会長】  少し補充させてください。
  認証評価のことについて,少しお話ししたいと思います。自己点検・評価は,認証評価を受けるために,7年に1回やればいいという大学はあるんだと思うんですが,大学の改革をするためには,7年に1回自己点検・評価をやればいいなんていうことはもうとんでもない話で,私から言えば,毎年毎年それをやるぐらいのことをしなければならないだろうと思います。
  先ほど日比谷委員の方からもありましたけれども,PDCAのAの部分なんですけど,大学としてどのように持っていくかというところが重要なので,そこのところをきちんと決められる大学があれば,それを毎年毎年見ていくという,これをしない限りは実質化はできないわけです。そこに向けてどんどん誘導していくような認証評価を,これから我々はその大学に求めていく中で,きちんとしていかなければならないだろうと思っています。単に法令に適合しているかしていないかを7年に1回チェックするなんていうことは,もう終わった時代に入っているかなと,私はそう思っております。
  そのような形で,是非,大学学内の評価者が疲れるというのは,チェックした結果がプランなり何なりの方へ反映していない。要するに,予算的な裏付けがないとか,いろいろなことが,こんなにやったって何も生まれてないということがいろいろあったのではないかなと,各大学によっては温度差があったと思いますが,それがそのような評価疲れになっていると思います。私は,一番大切なことは,自分たちがチェックしたことが,その次に確実に改革につながって,予算も人も付いてくるということを大学全体で支持していけば,評価者は疲れなくて済むだろうと思っております。
  そこだけは付け加えておきたいと思います。
【鈴木部会長】  金子委員,どうぞ。
【金子委員】  二つの評価機関のお話を伺って,大変努力されていることは理解したんですが,これから私が申し上げることはかなりラディカルといいますか,多少批判的になってしまうので,これは一応議論の上で申し上げるので,是非誤解のないようにお願いしたいと思います。
  私,認証評価機関は,完全にアクレディテーションといいますか,適格認定モデルでは必ずしもまだないと思いますけれども,しかし,基本的には,設置認可の体制から適格認定の体制に移る途上にあるものだと思います。
  ただ,認証評価の在り方というのは,アメリカではここ20年くらいで非常に大きく変わってきたと思います。それは一言で言うと,機関の立場から学生の立場,あるいは外部のステークホルダーの立場からの評価を非常に重視する,それから,データを重視する,したがって,評価結果も,ある意味では,かなり大学にとっては厳しい結果もあえて出すことが求められる,そのような形に転換してきたと思います。
  例えば,アメリカでは,個別大学データについては,もう1990年代の初めくらいから社会一般に公開されています。しかも,それは,取り出す方法が,ただ個別大学によってしか見られないというのではなくて,大学を比較するような方法で取り出すことが可能です。
  それから,2000年代に入ってきまして,アメリカの適格認定制度には社会からの批判が非常に強くなりまして,大学が独自に相互評価をしているだけでいいのかという根本的な問題が提起されて,相当大きな批判が国内でも起こったわけです。例えば,一時は,法案としましては,州政府の大学評価機関を作れという法案が一応出ました。これも通りましたが,実現されていません。一部の州では実現されていますが,それくらい,アクレディテーションという仕組み自体が甘いのではないかというのが非常に強いわけです。
  今でもまだ問題は続いていると思いますが,一つ言えるのは,特に学生とか教員のパフォーマンスといいますか,どのような行動をしているかということについては,客観的なデータを集めて,それに基づいた評価をする。適格認定団体は,各大学に三つくらいアメリカではメジャーな学生調査のコンソーシアムがありますが,それのどこかを受けていなければいけないと決まっている。要するに,非常に重要なのは,学生の観点,学修の観点を入れるのと,それをデータとして使わなければいけない。そのデータは一応公開です。個別大学の名前について公開されているようなものです。
  私は,先ほど評価の活動のお話をお聞きしていまして,法令遵守の観点があることは当然だと思いますが,もう一つ,評価の結果を見ていましたら,明らかに設置基準を満たしていないところは注意処分になっています。ただ,日本の場合には,設置基準は非常に甘くできていますので,これは相当ひどいところだろうと思います。
  もう一つは,内部メカニズムの問題なんですけれども,内部メカニズムができているかいないかというのは,さっき申し上げたような動きからすれば,大学に対する評価になるのだろうか。メカニズムができていれば,当然,その大学の質は保証されていると言えるのだろうかというのは,必ずしもそうではないのではないかと思うわけです。アクレディテーションというものが基本的には自己評価を中心とするものであるということは,原則としてはそうだと思いますが,その解釈はかなりいろいろとあり得る。大学が独自の論理だけで自己評価を作っていくだけでは,実はほとんど影響があり得ないのではないか。何らかの形で外部に開かれた評価でなければ,力を持ち得ません。
  それで,学修成果の評価があることが求められるということですけど,それはいろいろな方法があるかもしれませんが,ありていに申し上げて,これが学修成果の測定なんていうのは,実はないと思うのですね。大学で本当の学修成果の測定が直接にできるようであれば,実は大学ではないのではないか。むしろそれは非常に多様であることが重要なので,実は抽象的にしか表現できない。実際に把握できるのは,主要な教育条件ですね。
  例えば,ST比というのは,教員一人当たりの学生比率。これは日本の大学はものすごくめちゃくちゃに変わるわけですね。大学基準協会の認証を受けたところでも,専任教員一人当たり学生数が70人なんていうところがあるわけです。これをどういうことできているのか,私はとても分かりません。
  それから,例えば,1クラス100人以上の授業は,あなたの受けた授業で何%ぐらいでしたかと聞きますと,経済学部では半分以上というところが結構多いんですね。
  そのようなデータもほとんど把握できないで,教育のプロセスが評価できるのか。あるいは,学生の学修時間,あるいは,教員とのコンタクト時間,このようなものは,成果の指標ではなくて,プロセスの指標ですけれども,しかし,把握しようと思えば把握できる。そのようなものを使う必要はないのか。
  そのようなものができないと,私は二つあると思うんですが,一つは,認証評価機関による評価自体にパワーが出てこない。相対的な学内体制の整備を評価するのであれば,それはいかようにもできるわけですけれども,実際に学生がどのように動いているかという評価をしなければ,これは評価にも根拠を持ち得ない。特に,それが同じような専門分野の大学と比べてどうであるかということが把握できなければ,これは余り強い論拠となり得ないと思うんですね。
  もう一つは,学内で評価が改善に結び付かなければいけないわけですけれども,改善に結び付くためには,認証評価機関が,体制がなってませんよと言うのではなくて,むしろ具体的に,学修時間が足りませんよというような評価を行わなければ,内部で評価を改善に結び付けるという力も生まれてこないのではないかと思います。
  IRはいろいろとできているんですけど,実は今,IRがどこでもままっ子化しておりまして,要するに,何も使われない。それはやはりそのような力と結び付いていないのです。アメリカのIRがなぜ発展してきたかというと,アクレディテーションと結び付いて,一定の間接的な力を持ってきているからです。やはりそのようなメカニズムが必要なのではないかと思うのです。
  大変厳しく聞こえたかもしれません。努力は大変認めるところなんですけれども,私はそう思います。
【鈴木部会長】  いかがでしょうか。
【納谷大学基準協会会長】  御指摘いただきましたこと,ありがとうございました。
  これは認証評価制度全体についての大きな課題だと思いますので,我々大学基準協会も十分考えていきたいと思います。
  ただ一つだけ,適格のみかどうかという,受審だけが一応基本になっている今の法制度がいいかどうかということにも関わってくるし,これはどこまで国の政策として考えていくべきか。これは各大学がどんなことを考えて,今まで大学の自治だとか,学問の自由だとか,いろいろ言ってきたこととの兼ね合いの中で出てきていることですので,それがきちんとできるか。先ほどの公表の話もそうなんですけれども,そこまで徹底して,私も公表のところで法的義務化を作るために,いろいろここの委員会で議論もしました。しましたけれども,やはりそれを受け入れるための大学全体の状況もありますので,そのような点も評価をこの部会できちんとやっていただいて,決めていただければ,それなりの対応ができるのではないかなと思います。
  そのぐらいにさせていただきまして,金子委員の御指摘はもう十分承知しておりますので,これからも気をつけて対応させていただきたいと思います。貴重な意見,ありがとうございました。
【関口短期大学基準協会理事長】  私も少しよろしいですか。
【鈴木部会長】  どうぞ。
【関口短期大学基準協会理事長】  金子委員のお考えの中で,一部欠落している部分があるので,私,補正をさせていただいた方がよろしいかと思います。
  アメリカの基準というのは全くなく,それぞれの地域のリージョナル・アクレディテーションが全部決めております。それに基づいての大学教育ということに,アクレディテーションをするしないの決定をしていくわけでありますけれども,そのスタンダードの中で,やはり評価をすることのシステムが,今,10通りぐらいのシステムに分かれてきております。その具体に分かれているシステムそのものについて,短期大学もこれに検討していく必要があるんだなということを申し上げておきたいと思います。ありがとうございます。
【鈴木部会長】  どうぞ。
【金子委員】  それはまた後で議論したらいいのです。そのような世界が,多分,アクレディテーション団体はそう言うかもしれませんが,もう20年くらいそのような状態ではないと思います。
【鈴木部会長】  では,小林委員,お願いします。
【小林委員】  私も質問というより,少し大きなことを提起したいと思います。
  それは,いろいろな認証評価機関が今非常に重複していて,その調整が問題だということが出されているんですが,それに加えて,現在,資源配分の問題がかなりこれに関わってきておりますので,そのあたりをどのように考えていくかということを考えていかなければいけないと思います。
  評価というのは,基本的には,やはり質の向上を促すものであって,プラスであるべきで,形成的な評価という言い方をしますけど,それが基準であるべきだと思いますけれど,先ほど短期大学基準協会の方から,権限がないということで,実際,質の向上を促すためにどのようなやり方がとれるのかということがかなり問題になってきているわけです。そのときに資源配分と結び付けるというのは,一つの大きなやり方ですが,これはある意味では危険なやり方でもありますので,非常に注意して考えていかなければいけない。
  そのあたりで,現在,国立大学について言えば,運営費交付金について一部評価を導入するということが言われておりますし,それから,私学助成についてもかなり評価的な部分が入っているわけですね。そのようなことをどのように考えていくかということは,ここで少し考える必要があるのではないかと思います。
  具体的にお聞きしたいこととしては,短期大学基準協会から,権限がないので,個々の大学に対する働きかけは難しいというお話でした。大学基準協会としては,個々の大学に対して,内部質保証が重要だということは分かりますけれど,それをどのように,特にペナルティというのではなくて,できたらプラスの方向で回せるようなインセンティブをとれないのかということ,あるいは,そのようなものが既にあるんだったらお聞かせ願いたいということです。
  これは御存じだと思いますけど,アメリカの場合のアクレディテーションは,連邦の学生支援,奨学金と非常に強く結び付いているので,アメリカの大学は熱心にやっているという問題があるんですね。日本の場合は,そのようなものなしにやっているわけです。どうしても個々の大学の努力に任せられている部分というのが非常に大きいわけですから,そのあたりのことをどのように考えているかということ。これは大学基準協会だけの問題ではなくて,全体の問題と思いますけれど,大学基準協会で何かお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
【鈴木部会長】  どうぞ。
【納谷大学基準協会会長】  認証評価の結果をどのようにプラスに利用していただける機会があるかということですけれども,一つは,私どもは私立大学のことだけしか言えませんが,私立大学等総合支援事業の中で,改革をしたところにプラスの点数が入ることによる傾斜配分を経常経費の中でやっておりまして,きちんとやっているところとやっていないところの違いが出てきます。そのときに,大学基準協会できちんとした評価を踏まえて,その評価が展開されています。これはプラスの方に動いている事例だと思います。
  国公立の方は,いろいろ事情があるんだろうと思いますので,ここでもう少し議論していただければと思っております。
  認証評価の結果がマイナスの方へばかり動いていくということは,私たちは考えていないので,個々の先生,個々の大学,それぞれがしっかりとやっていくため,こういう方法があるということを告げていく中で大学が評価されれば,外からは,この大学はいい大学だと見られる,そういう方へ持っていくことが我々の仕事ではないかなと思っております。
【鈴木部会長】  坂東委員,どうぞ。
【坂東委員】  ありがとうございます。時間がないので,短く質問させていただきます。
  私は,本当に日本の教育が入学のレベルで評価されるのではなくて,卒業時の学生たちの成果をみんながよく知り,評価する国になってほしい。その意味で,この認証評価に対して大いに期待しております。是非頑張っていただきたいと思います。
  ですが,その際に,先ほども金子委員からの指摘がありましたけれども,改善,改革の試みをしているところ,PDCまでのところについては,かなり丁寧に評価されておられますけれども,その結果,具体的にどのような成果を上げていらっしゃるのか,それはプロセスの批評で見えるのかなとは思いますけれども。基盤については,やけに詳しい,もうこれ以上ないくらいに評価されておりますけれども,達成度についての評価はなかなか難しいので,各大学に任せるとおっしゃいましたけれども,各大学に任せていては,やはり卒業の国にならないと思います。是非,何をもって成果とするかという部分について議論をしていただきたいと思います。
  例えば,専門職大学院の場合は,法科大学院の半分が駄目ですよね。これは法科大学院は,成果について,司法試験という非常に分かりやすい基準があります。普通の大学はなかなかそのような評価は難しいだけに,是非頑張って,そこの評価基準を詰めていただきたいなとお願いをし,期待しております。
【納谷大学基準協会会長】  ありがとうございました。大学基準協会としては,今の坂東委員の御意向に沿うように,一所懸命努力していきたいと思います。
  各改善だとか,助言とか,いろいろ私どもがやっている部分については,大学基準協会の場合は,3年に一度は報告書という形でしていただいて,次の認証評価を受けるまでの間にチェックをかける制度が用意されていまして,そこで不十分な場合は,きちんとまた言うということをさせていただいております。もちろん,そのときに,各大学に視察へ行ったときに,ヒアリングを我々もそこでしますので,そのようなときに,このレベルでは少しまずいのではないかとか,いろいろなことをこちらの意見を申しながら,このような方向で検討の必要があるのではないかと,このようなこともやりながら少しずつ詰めているところで,それがうまくいかなかったときは,このような具合にしたらこのようなモデルがありますよということも,次の段階では,このような例がありますという例を出しながら,できるだけそこを参考にしていただくというようなことをやって取り組んでおりますけど,まだまだ不十分だと思いますので,一所懸命やらせていただきたいと思います。
【坂東委員】  優し過ぎるような気がします。
【鈴木部会長】  ありがとうございました。
  前田委員も札を立てていただいていたのですが,これから制度の改善に向けた議論をしていくということでございますので,そのときに御意見を賜れればと思います。ありがとうございました。
  本日の意見交換を踏まえまして,制度の改善に向けた議論をしてまいりたいと思います。
  認証評価に関しましての議事は,本日は以上となります。
  本日お越しいただきました大学基準協会の納谷会長,工藤事務局長,短期大学基準協会の関口理事長,原田副理事長,本日はお忙しい中,ありがとうございました。御礼申し上げます。

(2)大学運営の一層の改善・充実のための方策について,事務局から資料2に基づき説明があり,その後意見交換が行われた。

【鈴木部会長】  続きまして,職員の資質向上等に関する論点でございます。この論点につきましては,第7期でかなりの時間の審議を重ねているところでありまして,本日は,今後取りまとめていくに当たっての案文を提示していただくこととしております。一方で,認証評価等の話と同じように,第8期に入ってから初めての議論ですので,これまでの経緯も含めまして,事務局より説明をお願いいたします。
【遠藤大学振興課課長補佐】  大学振興課課長補佐の遠藤でございます。よろしくお願いいたします。
  資料2を御覧いただければと思います。これまでの経緯も含めて御説明させていただきます。
  まず4ページ目をお開けください。検討の趣旨というスライドについて簡単に触れさせていただきます。
  まず検討の趣旨でございますけれども,中央教育審議会大学分科会で,「大学ガバナンス改革の推進について(審議まとめ)」を取りまとめた内容に,今回のSDであるとか,専門的な職員についての御指摘を頂いているところでございます。
  特に,高度な専門性を有する人材(高度専門職)を各大学がその実情に応じて活用し,全学的な支援体制を構築していくことが御指摘。また,事務職員が教員と対等な立場での「教職協働」によって大学運営に参画することが重要であるという御指摘。大学が組織的な研修・研究を実施することも重要であるという御指摘がございました。
  このような御指摘を踏まえ,本審議まとめにおきましては,「学長がリーダーシップを発揮していくためには,補佐体制の充実が必要であることから,IRや入学者選抜,教務,学生支援,人事や財務,広報等各分野に精通した「高度専門職」の設置や恒常的な大学事務職員のスキル向上のためのSDの義務化等,今後,必要な制度の整備について,法令改正を含め検討すべき」という御指摘を頂いたところでございます。これまでの御審議は,まさにこのような御指摘を踏まえまして,これまで数度にわたり様々な御意見を頂いたところでございます。
  これを踏まえまして,本日準備させていただいた資料のポイントとなるところについて申し上げます。
  スライドの11ページをお開けください。ファカルティー・ディベロップメント(以下,「FD」という。)の現状ということで,簡単に現在の状況について触れさせていただいてございます。大学職員の資質向上についてという論点でございますけれども,今行われておりますFD,特に教員を対象とした教授方法等について,今どのような状況にあるのかという現状を記載させていただいてございます。
  大学設置基準第25条の3において,大学の授業の内容・方法の改善を図るための組織的な研修と研究を実施することについて規定がございます。これは平成11年に努力義務として規定され,さらに,平成19年に努力義務から義務付けという形で規定されたものでございます。また,その下のFDの実施状況でございますけれども,最も多い実施形態といたしましては,講演会,シンポジウム等におきまして,大学の授業の内容・方法の改善について様々な有識者から御意見を頂くような機会を各大学で設けていらっしゃるというのが現状でございます。
  更にページをおめくりいただきまして,14ページを御覧ください。FDについては,今申し上げたとおりでございますけれども,SDについても,現状を簡単に記載させていただいてございます。
  まず簡単に,SDの定義でございます。冒頭申し上げた大学分科会での「ガバナンス改革の推進について(審議まとめ)」において定義された規定でございますけれども,事務職員や技術職員などの職員を対象とした,管理運営や教育・研究支援までを含めた資質向上のための組織的な取組というものを指すということで,中央教育審議会大学分科会でまとめていただいております。
  また,SDに関連する法令上の規定でございますけれども,現状は特段の規定は設けられていないという状況でございます。
  さらに,SDの実施状況につきましては,大学全体又は部局等での単位でSDを実施している大学は82.5%でございます。このSDの実施内容につきましては,大学問題に関する基礎的な知識・理解を深めることを目的とするものが59.4%でございます。これは具体的には,例えば,国でどのような審議がなされているかや,大学における法令の関係で,基本的なところはどのようになっているかという,まさに基本的な理解を深めるものというものでございます。一方で,戦略的な企画能力の向上を目指すことを目的とするものについては23.3%と,少し低めの数字が出ております。
  さらに,SDの対象者についてでございますけれども,事務職員が81.9%,また,教員が26.1%ということで,大きな数字の開きがあるという状況でございます。
  最後の丸ですけれども,大学全体の専任職員のうち,SDに全員が参加した大学を見ますと,6.6%程度という状況になってございます。
  更にページをおめくりいただきまして,19ページをお開けください。我が国の大学職員の資質向上は不可欠であるという御指摘,これは第7期もそのように御指摘をしっかりと頂いていたところですけれども,一方で,その参加者は事務職員を中心としたものであるという現状がございます。また,その取組内容は,基礎的な知識の習得を目指すものが中心となっておりまして,戦略的に今後大学をどのように運営していこうか,経営的な人材をどう育成していこうかというところのSDについては,取組が低調であるという現状がございます。また,専任職員のSDの参加率が2分の1を上回る大学が半数に満たないということもございまして,これを総合的に判断いたしますと,やはり各大学におけるSDに対する参加の意識であるとか,その取組内容に大きな差が生じてしまっているのではないかと考えられるということでございます。
  また,FDの話になりますけれども,教員のFDに関する現行の法令上の規定が,「授業の内容及び方法の改善」に限られているという状況が指摘されてございます。
  以上のことを踏まえまして,大学は,その運営の一層の改善・充実のために,現行のFDだけでなく,大学職員,これは教員も,事務職員も,技術的な職員もすべて含めた概念として使わせていただいておりますが,このような大学職員の資質向上のための研修についてしっかりと計画を企画いたしまして,これを実施するということが大きな方向性としてあるのではないかと考えてございます。これが論点の一つ目の,SDについてでございます。
  駆け足で恐縮ですけれども,1枚おめくりいただいて,21ページをお開けください。大学の事務組織の現状というところでございます。
  事務組織に関する法令上の規定でございますけれども,まず,学校教育法92条に,事務職員を置かなければならないという規定があり,かつ,大学設置基準にも,大学は,その事務を処理するため,専任の職員を置く適当な事務組織を設けるという規定が整備されているという状況がございます。
  また,大学の職員ですけれども,ここに書かせていただいているとおり,全体的に,本務者は増加傾向にございます。事務系の職員も非常に増加傾向にございます。医療系の職員は,一気に倍増しております。事務系の職員が増加傾向にあり,一方で,技術技能系職員・教務系・その他の職員については減少するという傾向が如実に出ているということが,学校基本調査から分かるところでございます。
  更にページをおめくりいただきまして,23ページでございます。大学における政策決定に対する事務局の影響度合い,本日,委員としても参加いただいております篠田委員から御提供いただいたものでございますけれども,やはり事務局の影響度合いというのは非常に多岐にわたっておりまして,「就職支援」「学生募集」「学生支援」「施設計画」「財政計画」「事業計画」などの様々な項目で,「かなりある」という回答が多くなっているという状況にございます。詳細は,後ろにデータとしてお付けしておりますので,お時間あるときに御覧いただければと考えてございます。
  更にページをおめくりいただきまして,26ページを御覧いただきたいと思います。大学の事務組織の見直しの必要性と対応方針ということで,こちらについても一定の方向性について,案という形で提示させていただいてございます。二つ目の丸のところでございます。今,大学設置基準上ですけれども,規定上,単に事務を処理することを目的としているという形になっておりますが,今,事務組織に対する期待の高まりですとか,実際に果たしていらっしゃる役割の重要性を考慮すれば,このような事務組織が大学運営に積極的に貢献するような位置付けにすべきではないかという御指摘をこれまでも頂いていたという状況でございます。そのため,このような御指摘を踏まえまして,大学の事務組織は,学長,学部長その他の組織の長(ちょう)を補佐し,当該大学の管理運営,教育研究活動の支援,学生支援その他の業務を行うことを目的とした組織であることを,しっかりと明確にしていく必要があるのではないかという形で,方向性の案を提示させていただいている状況でございます。以上が二つ目の点でございます。
  最後に,28ページをお開けください。3点目に,専門的職員の現状等でございます。
  こちらについては,細かい数字等はなく,大変申し訳ないんですけれども,現状といたしましては,白い丸の一つ目の黒いぽつのところで,大学職員一人一人の能力向上,あとは,「教職協働」の言葉に代表されるように,大学が一丸となって大学運営を進めていくという点が重要であるという方向性について,御指摘いただいております。
  また,専門的職員については,例えば,平成10年ぐらいの答申では,国際交流とか大学入試の専門部署がしっかりと力を持って専門的に業務を行うべきだという御指摘があったんですけれども,ガバナンスの審議まとめを見ますと,専門的職員と言われている方々の職務とか職種というものは,文言だけ見ても非常に多様になってきているという状況がございます。さらに,昨今の御指摘でございますけれども,専門的職員の職務の性質に応じた柔軟な雇用・勤務形態であるとか,給与等の処遇であるとか,キャリアパス,人材の流動性のようなものも,このような専門的な職員についてはしっかり考えていくべきではないかという形で,議論自体も年を経るごとに様々な御指摘が複雑に,かつ,しっかりとしたものを頂いているという状況でございます。
  一方で,専門的職員に関する法令上の規定については,司書さんをイメージされていると思いますが,図書館に専門的な能力を有する者を配置するという規定がなされているという状況でございます。
  さらに,次のページを御覧いただきたいんですけれども,これまで専門的職員については様々な御指摘を頂いておりましたので,そのポイントとなる部分を留意点という形でお示しさせていただきました。
  一つ目の丸でございますけれども,専門的職員については,大学における自主的・自律的な判断が重要であろうということで,大学に必置とはしないことが適当ではないかということを出させていただいてございます。
  また,二つ目の丸でございますけれども,専門的職員の育成・採用・配置・研修に当たって,その具体的な職務や資格や能力,具体的な処遇等については,各大学において独自に決定できるようにすべきではないか。また,実際に大学において運用を行う上では,職務等を明確に示した上で,独立性や活動の保証を行っていくべきではないかということを,留意点としてまとめております。
  さらに,三つ目の丸でございますけれども,裁量労働制の対象として,この専門的職員を位置付けるべきではないかという御指摘もございました。この点については,前回の大学教育部会等々でも説明させていただいていたのですけれども,法の趣旨に照らせば,裁量労働制の対象となり得るか否かについては,やはり具体の業務の独立性の高さなど専門的職員の具体的な状況に応じて個別に判断することが求められるというものになりますので,一律に専門的職員であることのみをもって,国が,この人は裁量労働制の対象であるという形でお示しするのは困難であろうと考えてございます。
  最後に,大学間で専門的職員に関する共通的な認識というものをしっかりと醸成していくことで,その普及や流動性の向上にも資するものと考えておりますので,国としても,事例をできるだけ整理いたしまして,示すことも考えられるのではないかと考えてございます。
  31ページを御覧ください。最後になりますけれども,専門的職員の必要性とその対応方針ということでございます。
  まず,専門的職員というのは,大学運営において極めて重要な役割を果たしているということを申し上げた上で,一方で,大学設置基準においては,専門的職員に関する規定は,図書館職員に関する規定が置かれているのみであるという状況にございます。今後,この専門的職員に関する職務等を管理運営ですとか,教育研究活動の支援,学生支援の三つの観点からしっかりと整理させていただくとともに,大学に専門的な知見を有する職員を置くことができることを,しっかりと明確にすることが適当ではないかという形でまとめをさせていただいてございます。
  関連する参考資料は割愛させていただきましたけれども,是非,お時間がある際に御覧いただきまして,御指摘いただければと存じます。
  以上でございます。
【鈴木部会長】  ありがとうございます。
  ただいまの事務局からの説明につきまして,御意見,御質問のある方は御発言をお願いいたします。
金子委員,どうぞ。
【金子委員】  26ページの下の方の,「大学の事務組織は」ということですが,何を意味しているのか,よく分からないのです。基本的には,事務職員は,管理運営,教育研究活動の支援,学生支援というふうに,主に三つの業務でもって大学を総合的に支えるということに意味があるのか,あるいは,補佐してというところに意味があるのか,よく分かりません。
  一つ申し上げておきたいのは,事務職員の役割というのが変わらなければいけない非常に大きな理由は,大学が,ただ単に授業でもって学生を扱うだけの集合ではなくて,大学全体として,組織全体として学生を育てると言いますか,全体がシステムとして学生の教育を行う,そのように転化していることだろうと思います。ここでそのようにおっしゃりたいのかどうか分からないんですけれども,大学の組織自体の在り方が変化しているのだということを,どこかで入れていただいた方がよろしいのではないかと思います。
  以上です。
【鈴木部会長】  ありがとうございます。
  濱名委員,どうぞ。
【濱名委員】  意見を言う前に,少し事実確認をしたいのですが。18ページのSDに参加した者の割合,足し算しても100にならないのですね。87%にしかならない。これでデータが正しいのですか。
  例えば,2分の1以上が参加しているという部分を足して49%ですね。それ未満は36%で,ミッシングがかなり大きいのです。私立大学だけで見ると,全体で500ぐらいあるのですけれども,少なくとも2分の1以上だと322ですから,大体もう6割以上,65%,それで,4分の3以上が参加でみても過半数ですね。ところが,問題は国立大学で,国立大学だけで見ると,50%の事務官が参加しているのは12しかないわけですから,12対79ということで,9割近くが,半分以下しか参加していない。この状況について,その数字の信ぴょう性の問題と,ここで,公立大学を見ても,50%以上で見ると,公立大学でも38大学は過半数が一応参加していて,26大学が50%未満。これは明らかに,私立大学はきちんとやっていて,国立大学が特にひどい状態だということです。これはどういうことなのか,背景を説明していただきたいと思います。
  ですから,この大学全部をひとくくりにしてみるという状態ですが,特に国立大学の近年の予算状況を考えたときに,実態がこのような状態だとすれば,問題の立て方が私立大学とかなり異質なのではないかということが気になるのです。そのあたりを説明していただけると有り難いです。
【鈴木部会長】  ありがとうございます。
  事務局の説明をお願いします。その後,篠田委員,二宮委員,羽入委員と御発言いただきます。
【遠藤大学振興課課長補佐】  濱名委員に御指摘いただきました数字に関して,あと,国立大学について,私どもの準備不足で,今御回答できる状況でございませんので,しっかりと事実関係を確認させていただいて,必ず御回答させていただきたいと思います。申し訳ございません。
【鈴木部会長】  それでは,篠田委員,どうぞ。
【篠田委員】  質問というよりも,三つの提案についての私の考え方みたいなところを簡潔に述べさせていただきたいと思います。
  今,2018年問題ということで,大学がもう数年先からまた大きな急減期に入るという中では,それに立ち向かって乗り越える体制づくり,運営づくりをいかに行っていくのかというのが非常に重要なところだと思っております。昨年来,ガバナンス改革だとか,いろいろな取組をしてきましたし,認証評価で内部質保証システムだとかというのが強調されているのも,多分,それに備えた動きだと思いますけれども,リーダーシップを強化していくためには,それを支援する教員幹部と職員の力というのが非常に重要で,これを何とか改善し,高度化をして,改革を励ましていくというのが私は非常に重要だと思っております。その点で,14ページで提起をしている資質向上,研修の義務付け,あるいは,26ページで提起をしています,事務職を,単なる事務をするというこれまでの位置付けから,学長や学部長を補佐し,教育研究支援をしていくというふうな位置付けに転換していくというのは,非常に賛成ですし,重要な意義があると思っております。
  しかし,資料の中にある東京大学の調査によると,例えば,職員の正式参加というのは,学内の委員会に正式委員で参加するのが望ましいというのは41.3%ということですので,実態としてはなかなか厳しい。つまり,職員は幾ら力を付けても,学内できちんとそれを提案して,その提案がきちんと議論されるというような,経営や教学にやはり運営も参加していくというようなことがないと,これは力が生きないわけですし,金子委員がおっしゃったように,システムとして学生を育てるというときにも,その一角に職員がちゃんと位置付いていかないと力になっていかないと思いますので,これは裏表の関係で非常に重要なところで,是非,そのような位置付けをしてほしいと思っております。
  それから,提起の三つ目の専門的職員の位置付けというのも,非常に重要な提起で,今まで専門的なとか,高度専門職とかということをめぐっていろいろ議論があったということは承知しております。けれども,私の考えでは,教員は研究を中心とした評価がきちんとできるわけですけれども,職員の場合には,大学によっても,また,その仕事の中身によっても,非常に多様な評価をしていかなければいけないところですので,このような中央教育審議会だとかというところで,余り細かいところまで定義をしていくということはどうかなと思います。だから,もちろん大枠は示していかなければいけないんですけれども,留意事項で先ほど御紹介していただいた形で,各大学がはっきり位置付けて,それを公表していくということでいいのではないかと思います。
  例えば,先ほど御紹介した3のところで,私自身も,専門的な知見を有するということなんですけど,本当に知見を有するだけでいいのか,知見だけではなくて,実行力だとか,そのような実績も要るのではないかとか,それから,専門職となりますと,URA(リサーチ・アドミニストレーター)だとか,特殊なある分野の専門ということなんですけど,この本来の狙いであります,学長や学部長のリーダーシップを支えるといった場合には,そのような分野別の専門的な力だけではなくて,全体に大学を運営をし,支えていくような力という,従来的にはアドミニストレーターとかいろいろ言われておりますけれども,なかなか正式な定義はないんですけれども,このような力というのが非常に重要だと思いますので,外部から入れるというのと同時に,やっぱり内部にいる人を成長させ,また,今いる人たちを位置付けて,権限を持たせて,教員幹部と一緒になって改革をしていくというようなことを励ますような定義,これにこのような形での位置付けというのはなっていくのではないかなと思います。
  是非進めていただければ有り難いというのが,私の意見でございます。ありがとうございました。
【鈴木部会長】  二宮委員,どうぞ。
【二宮委員】  28ページ,29ページの現状の裏返しの点なんですけれども,これまで,職員に力をお借りしたということは間違いないし,教職協働で大学の発展が支えられてきたことも間違いないんですけれども,今例示に挙がっているような国際交流などの専門性の高い分野で,高度な専門性を持った職員の方をというときに,現実問題としては実際の大学では,教員が,任期制をつけるつけないは別にして,教員身分で産学連携のコーディネーターとか,国際交流の何とかとか,いわゆる本格的な教育研究に従事する先生としてではなく実際は従事している現状があることももう一方で踏まえておかないといけません。教員でありますので,流動性は担保されている。だけれども,職員の場合の流動性というのは,果たして大学間の異動が可能なのかどうかという問題も他方で抱えてきますので,任期制の問題,それから,待遇が今度どうなるのかといった,現実に今その職務を担っている人たちが一体誰かということをよく考えた上での,高度専門職系の職員の方というものを描いていかないと,現実との齟齬(そご)が起こるのではないかなという印象を持ちました。
【鈴木部会長】  羽入委員,どうぞ。
【羽入委員】  2点あります。一言で2点を言おうかと思います。
  21ページにございますが,大学の職員数が増加傾向にあるというふうに書いてありまして,その中で,事務系と教務系というのを分けていますが,実際にこういうことが言えるのかどうかというのは少し疑問に思いました。教務系というのは,説明を見ますと,学生の実験,実習,実技若しくはというようなことが書いてありますけれども,これは,例えば,今,二宮委員がおっしゃったような任期制や専任ということを何の区別もなく,数だけ比較してよいものかということと,それから,職員数といった場合に,事務組織の機能は非常に変化している。このようなカテゴリーの分け方をすることができるのかどうかということは,少し疑問に思いました。
  もう1点は,先ほど二宮委員がおっしゃったように,事務組織全体に関して,人材の流動化ということを一つの視点として考える必要もあるのではないかということです。
  以上です。
【鈴木部会長】  ありがとうございます。
  濱名委員,ございますか。
【濱名委員】  では,一言だけ。
  今回の御提案でよく分からなかったのは,第7期の議論を踏まえて,31ページ以下は結論だと思うのですけれども,「大学に,専門的な知見を有する職員を置くことができることを,明確にする」と書いていらっしゃるのですけれど,提案の中身がよく分からないのですね。
  例えば,第7期で問題になったのは,職名,処遇,育成の問題だったと思うのですけれども,そのことについて,ほとんど実質的な中身がありません。各大学に任せると書いて,それでこの提案をされるというのがよく分からなかったので,次回以降,もう少し具体的に展開していただかないと,抽象化して話の提案が出てきただけのように感じましたので,これはお願いでございます。
【鈴木部会長】  ありがとうございます。
  この議題に対しましても,様々な御意見を頂きました。本日頂きました意見を踏まえまして,大学分科会でも御意見を頂きたいと考えておりますので,次回におきましては,本日の御意見,あるいは,大学分科会での議論も踏まえた形で,再度審議いただきたいと思っております。

(3)職業実践力育成プログラム認定制度の創設について,事務局から資料3に基づき説明があり,その後意見交換が行われた。

【鈴木部会長】  本日の最後は,社会人等の学び直しを推進していくためのプログラムについて,文部科学省に設置した有識者会議の下で検討が進められてまいりまして,5月に検討会の結果がまとまりましたので,この検討結果について文部科学省より報告いただきます。では,説明をお願いします。
【北山専門教育課長】  ありがとうございます。専門教育課長の北山と申します。
  資料3を御覧いただけますでしょうか。「職業実践力育成プログラム」認定制度について御報告を申し上げます。
  本年3月に,教育再生実行会議の第6次提言において,次のように提言を頂いております。社会人が職業に必要な能力や知識を高める機会を拡大するため,国は,大学が提供する社会人や企業のニーズに応じた実践的・専門的な教育プログラムを認定し,奨励する仕組みを構築すべきというものでございます。
  これを受けまして,資料3の2ページ目及び3ページ目にございますように,文部科学省において,大学,産業界,労働界の関係の皆様からなる有識者会議を設置しまして,検討を進め,先月取りまとめが行われたところでございます。
  資料1ページの真ん中でございます。目的についてでございますが,これは,社会人や企業等のニーズに応じた大学等の実践的・専門的なプログラムを「職業実践力育成プログラム」として文部科学省が認定をいたします。それによって,社会人や企業等のニーズに応じた魅力的なプログラムの提供の促進及びプログラムの受講を通じた社会人の職業に必要な能力の修得の促進ということが図られるということを目的にしているものでございます。
  次に,認定要件でございます。一つ目としては,大学,大学院,短期大学,高等専門学校における正規課程及び履修証明プログラムであること,二つ目として,総授業時数の一定以上を以下の幾つかの教育方法による授業で行っていることということで,実務家教員,実務家による授業,双方向討論,実地での体験活動,企業等と連携した事業といったようなものを考えております。また,三つ目の丸で,修得可能な能力を具体的かつ明確に設定し,公表していること。四つ目は,受講者の成績評価を行っていること。また,自己点検・評価を実施し,結果を公表していたり,組織的に関連分野の企業等の意見を取り入れる仕組みを構築していること,また,プログラムの週末開講等,社会人が受講しやすい工夫を整備していることを求めております。
  これらの要件を満たす実践的・専門的なプログラムを文部科学大臣が認定することによりまして,一番下のところにありますように,社会人の学び直す選択肢の可視化,また,大学等におけるプログラムの魅力向上,また,企業等の理解増進を図って,社会人学び直しを推進すべきという取りまとめを頂いております。
  この認定制度につきましては,先週開催されました産業競争力会議課題別会合におきまして,下村大臣より御紹介しており,厚生労働大臣からも,専門実践教育訓練をはじめとした教育訓練給付制度等における位置付けについて検討いただけると御発表いただいているところでございます。
  今後,この有識者会議のまとめを踏まえまして,来年度にも,各大学等において認定されたプログラムが開始できるよう,速やかに制度設計を行ってまいりたいと考えております。
  以上,御報告申し上げます。
【鈴木部会長】  ありがとうございます。
  時間も押してきておりますので,ただいまの事務局からの報告につきまして,何か御質問等あります方は御発言をお願いします。どうぞ。
【安部委員】  この認定制度に関しまして,平成26年度の4月からやっている職業実践専門課程と,今後検討が進められております実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の構想について,どのような関係があるのか,文部科学省の方にお尋ねをしたいと思います。
【北山専門教育課長】  ありがとうございます。
  まず,職業実践力育成プログラム認定制度と新たな高等教育機関についての件でございますけれども,実践的な職業教育が行われる新たな高等教育機関については,教育再生実行会議を受けて,有識者会議における審議を経て,中央教育審議会総会直下の特別部会で5月から検討が始まったところでございます。今後検討が進んでいくことになりますが,社会人だけでなく,高等学校等の新卒者の入学を念頭に置きながら,質の高い職業人養成を行うため,高等教育を多様化するというものでございますが,今回の職業実践力育成プログラム認定制度は,社会人を対象に,社会人,企業のニーズに応じた実践的・専門的なプログラムを文部科学大臣が認定しまして,大学,大学院等における社会人の学び直しを促進するための制度でございます。
  また,この職業実践力育成プログラム認定制度は,大学,大学院,短期大学,高等専門学校における社会人の学び直しを促進するためのものでございまして,もう一方の職業実践専門課程は,専門学校における社会人の学び直しを促進するものであるということでございます。
【鈴木部会長】  金子委員,どうぞ。
【金子委員】  これは,これからまだ議論されるところだと思うんですけど,教育プログラムという言葉自体は,設置基準にもないですし,政策的にどのような裏付けがあるのか,私,よく分からないのですけど,これを含めて,対象は大学になるみたいですが,どのような形でこの議論が進められていくのかを伺いたいです。
【北山専門教育課長】  ありがとうございます。
  現在,有識者会議における御報告というのは頂いておりまして,現在,告示を作成し,募集要項を準備する作業を行っているところでございます。その過程で,また必要な論点というのを盛り込んでいきたいと考えております。
【金子委員】  例えば,履修証明プログラムなどについては,設置基準上に根拠があって,それなりに議論を中央教育審議会でやっているわけです。この教育プログラムというのはどういう位置付けなのか,よく分からないのです。特に,もう応募するというのであれば,相当話は具体化していることになりますが,この条件などは,かなり大学教育の本質に関わるところもあると思うんですけれども,その手続は,通常の教育課程に関する議論と違うように思いますが,それを御説明いただけないでしょうか。
【濱名委員】  関連してよろしいですか。あわせて,履修証明プログラムとの関係を説明していただけますか。
【鈴木部会長】  どうぞ。
【北山専門教育課長】  このプログラムでございますけれども,正規課程あるいは履修証明プログラムの中で一定の要件を満たすものを文部科学大臣が認定するということを考えておりまして,その認定の根拠というのは,告示に置かせていただこうと考えているところでございます。
【鈴木部会長】  お時間を差し上げたいんですが,これで最後ということで,締めさせていただきます。黒田副部会長,どうぞ。
【黒田副部会長】  職業実践力育成プログラムは,大学に対してこれをやるわけですが,もう3年ほど前に,専修学校に対してこれをやっているんですね。厚生労働省から奨励金が出て,進んでいるわけです。そのプログラムと全く同じ内容なんですね。専門学校は,分野が幾つかあって,六つぐらいに区分けされていたと思うんですが,その中で履修をどうするかということを決めて,補助金を出していました。それと同じことが,今,大学の方へ持ち込まれているという理解だろうと思うんです。
【鈴木部会長】  この件につきましても,多々御意見を頂きたいところでありますが,本日は5分ほど超過しておりまして,それでも全ての議題を議論していただくことができました。誠にありがとうございます。
  それでは,本日の議事は終了いたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――


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