資料5 「法科大学院公的支援見直し加算プログラム」の見直しについて(案)

平成27年11月   日             
中央教育審議会大学分科会
法科大学院特別委員会      

 

1.見直しの必要性

  • 法科大学院の公的支援については、平成24年度からその在り方が見直され、平成27年度から「法科大学院公的支援見直し加算プログラム」の形で実施されており、平成28年度までは同プログラムの実施が決定されている。
  • 本年6月の法曹養成制度改革推進会議決定(以下「推進会議決定」)においては、
    • 平成27年度から平成30年度までの期間を法科大学院集中改革期間と位置付け、法科大学院の抜本的な組織見直し及び教育の質の向上を図ることにより、各法科大学院において修了者のうち相当程度(※)が司法試験に合格できるよう充実した教育が行われることを目指す。
        ※地域配置や夜間開講による教育実績等に留意しつつ、各年度の修了者に係る司法試験の累積合格率が概ね7割以上
    • 文部科学省及び法務省が実施している公的支援の見直し強化策及び教員派遣見直し方策は、法科大学院の組織見直しの進捗状況を踏まえつつ、平成28年度以降においても継続的に実施する。
    等が決定された。
  • 推進会議決定に掲げられた目標の達成を目指し、法科大学院集中改革期間における各法科大学院の取組を一層促進するため、平成29年度以降の公的支援の在り方を見直すことが適切である。

 2.見直しの方向性

 (1)基礎額の算定について

1 司法試験の累積合格率について

  • 司法試験に概ね7割以上合格できるよう充実した教育を目指すインセンティブとなるよう、「累積合格率が全国平均以上」という現行基準に加え、それを超える累積合格率を達成した場合に一定の加点を行うことが適切である。

2 法学未修者の司法試験合格率について

  • 法学未修者数が減少した結果、単年度の合格率の変動幅が大きくなっているという現状を踏まえ、「直近の合格率」ではなく、過去数年の実績を適切に評価することが適切である。

3 競争倍率について

  • 本年3月の認証評価に関する文部科学省通知(以下「認証評価通知」)において、競争倍率が2倍を下回っている場合には、「競争的環境の下での入学者選抜が十分に機能しているとは言い難いなど、入学者の質の保障への影響が懸念される」とされてい
    るところ、平成27年度の競争倍率は1.87倍にとどまっている。
  • こうした現状を踏まえ、各法科大学院に入学者の質の保障を促すため、競争倍率を指標に導入することが適切である。その際、単に2倍を下回ったか否かのみではなく、より段階的な評価とすることが適切である。また、競争倍率と入学定員充足率は相反関係にあるが、競争倍率は入学者の質に直結しうることに鑑み、両者のウエイト付けにあたっては注意が必要である。

4 入学定員充足率について

  • 競争倍率を指標として導入する場合、相反関係にある入学定員充足率の指標については、一定程度緩和することが適切である。
  • 一方で、認証評価通知において、入学者数が10名を下回っている場合には、「教育組織として規模が小さくなりすぎているなど、法科大学院としてふさわしい教育環境の確保への影響が懸念される」とされていることも踏まえ、複数年にわたり連続して10名を下回るような場合は、扱いを異にすることが適切である。

5 その他

  • 「法学系以外の課程出身者の直近の入学者数・割合、又は社会人の入学者数・割合」及び「地域配置の状況、又は夜間開講の状況」については、重要な指標であることから、継続することが適切である。

 (2)加算額の算定について

   法科大学院志願者の減、教員の確保難、司法試験合格状況についての法科大学院間のばらつきの拡大等に対応するため、法科大学院間の連携・連合の一層の促進が求められる。そのため、連携・連合の取組に対する加算率を、通常の取組より大きくすることが適切である。特に、高い教育力を有する法科大学院が全国的に一定のバランスで配置されるよう、都市部の高い教育力を有する法科大学院と地方の法科大学院による連携・連合の取組については、更に加算率を大きくすることが適切である。なお、加算に際しては、一般的な単位交換に留まらない高い教育効果が期待される取組であることが必要である。

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