資料3‐1 法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成制度の安定化に向けた論点(たたき台)

1.法科大学院の組織見直しの促進及び教育の質の向上について

  • 平成26年までの司法試験合格状況によれば、法科大学院修了者の累積合格率は5割弱であり、また、法科大学院の入学定員と実入学者数のかい離も十分には解消されていないことから、制度の安定化に向けて、法科大学院の規模の適正化や教育水準の引き上げは喫緊の課題。
  • 上記状況を踏まえ、法科大学院の組織見直しの促進や教育の質の向上に関する取組を更に加速させるため、以下のような論点について検討すべきではないか。

法科大学院修了者の司法試験合格率/適正な入学定員の規模

  • 法科大学院については、規模の適正化を図るとともに、司法試験合格率の向上を視野に入れた教育の質の向上に取り組むことにより、学生にとって将来のキャリア形成の見通しが立ちやすい状態を実現し、志願者の減少と入学定員・実入学者数の減少が繰り返される現状を早急に改善していくことが必要。
  • これまで、法科大学院においては、修了者の相当程度(例えば約7~8割)が司法試験に合格できるよう、充実した教育を行うことを目指して教育の改善・充実に関する取組が進められてきたが、これらの状況を踏まえ、適正な入学定員の規模を検討するに当たっての司法試験合格率の水準をどのように考えるべきか。
  • その際、法科大学院の教育課程を修了した者については、司法試験を受験しない、あるいは、司法試験に合格しない場合においても、高い法的素養を備えた人材として多様な活躍の可能性があることにも留意が必要。
  • 法曹人口の在り方を踏まえ、今後、入学定員の規模をどのように考えていくべきか。
  • 公的支援の見直しの今後の在り方をどのように考えていくべきか。
  • 平成27年度入学者選抜における全体の競争倍率は1.87倍となり、2倍を割り込んだことを受けて、文部科学省では、今後、各法科大学院から入学者選抜に関する最近の状況についてヒアリングを速やかに行うなどして、課題を整理していく予定であるが、入学者の質の保証の在り方をどのように考えていくべきか。

2.法科大学院志願者の回復に向けた学修環境の整備について

  • 平成27年度の法科大学院入学者数は過去最低の2,201人(対前年度比マイナス71人)となったことに加え、2015年法科大学院全国統一適性試験(以下「適性試験」という。)志願者数(速報値)も対前年比10%以上の減となっており、制度の安定化に向けて、法科大学院志願者の回復は喫緊の課題。
  • また、先述のとおり、平成27年度入学者選抜における全体の競争倍率は1.87倍となり、認証評価の厳格化において目安として提示された2倍を割り込んだが、入学者選抜を競争的な環境の下で実施し、入学者の質を確保する観点からも、法科大学院志願者数の回復は重要。
  • 上記状況を踏まえ、法科大学院の組織見直しの促進や教育の質の向上を図ることはもとより、法曹志願者の減少に歯止めをかけ、法科大学院志願者数の増加を実現するため、以下のような論点について検討すべきではないか。

法曹養成期間の短縮

  • 学部3年+法科大学院既習2年コースの確立・充実について、いつまでにどの程度の規模を目標とすべきか(当面、10校程度で100名程度を目指すが、その後、当該措置の普及・定着をどのように図るべきか)。

3.その他

  • 上記のほか、今後も法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成制度を維持・発展させていくため、制度全体の整合性にも留意して改革が講じられるよう、法科大学院教育の観点から、以下のような論点について検討すべきではないか。

法科大学院の魅力の発信

  • 法曹志願者全体の増加に向けて、各法科大学院で実施されている優れた先導的な取組を高校生・大学生や法曹関係者など社会に周知していくため、どのような取組を検討していくべきか。
  • 法科大学院出身者(法曹有資格者はもとより、法科大学院を修了したものの司法試験に合格しなかった者を含む)は、社会においてどのような評価を受けているのか。また、それをどのように定量的・客観的に把握していくべきか。

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高等教育局専門教育課専門職大学院室法科大学院係

(高等教育局専門教育課専門職大学院室法科大学院係)