法科大学院特別委員会(第46回) 議事録

1.日時

平成24年1月30日(月曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省東館16階 16F特別会議室

3.議題

  1. 法科大学院をめぐる最近の動向について
  2. 法科大学院教育の充実について
  3. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)田中成明委員
(専門委員)磯村保、笠井治、笠井之彦、樫見由美子、鎌田薫、木村光江、椎橋隆幸、関一穂、土屋美明、土井真一、永田眞三郎、長谷部由起子、日吉由美子の各専門委員

文部科学省

板東高等教育局長、常盤高等教育局審議官、内藤専門教育課長、今井専門職大学院室長、小代専門教育課課長補佐

5.議事録

【田中座長】
 それでは定刻となりましたので、第46回中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会を開催いたします。まずは事務局の方に異動があったということですので、御紹介をお願いいたします。

【小代専門教育課課長補佐】
 それでは、御紹介申し上げます。まず、高等教育局長でございます。1月6日付で磯田文雄が東京大学理事に就任いたしまして、後任に板東久美子となります。

【板東高等教育局長】
 板東でございます。よろしくお願いいたします。法科大学院ができます前に、法案を出す時に高等教育企画課長として、当時担当をさせていただきましたので、法科大学院の今後のしっかりとした発展ということで、先生方と協力させていただきまして、その道をしっかりつくっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【小代専門教育課課長補佐】
 続きまして、専門職大学院室長でございます。昨年12月末付で中野が異動いたしまして、後任の今井でございます。

【今井専門職大学院室長】
 今井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【小代専門教育課課長補佐】
 以上でございます。

【田中座長】
 それでは、事務局から、配付資料の確認をお願いいたします。

【今井専門職大学院室長】
 それでは、本日の配付資料の確認をさせていただきます。お手元に資料番号を付した資料があると思います。資料1は前回の議事録の案でございます。資料2-1は行政刷新会議ワーキング・グループ「提言型政策仕分け」の提言の抜粋でございます。続きまして、資料2-2は「法曹の養成に関するフォーラム」の開催について、資料2-3は法科大学院制度に関する現状分析等について、資料2-4は法科大学院の現状に関するデータ、これが資料2のくくりでございます。続きまして、資料3-1は大学院部会専門職学位課程ワーキング・グループにおける検討結果についての報告。資料3-2は法科大学院の質の向上のための改善方策についての報告抜粋でございます。これは、ダブルカウントの該当部分の抜粋となっております。続きまして、資料4-1は未修者教育に関して今後検討を要するポイント。資料4-2は法科大学院の現状に関するデータといたしまして、未修者教育関係のデータを今回新たに提示させていただきたいと思います。最後でございますが、資料5-1は法科大学院教育の質の向上のための改善方策についての報告抜粋、これは適性試験の改善の関係部分の抜粋でございます。また、資料5-2といたしまして、適性試験の最低基準点の取扱いに関するポイントとして資料を出させていただいております。

【田中座長】
 それでは、議事に入らせていただきます。まずは、法科大学院をめぐる最近の動向、必ずしも歓迎すべき動向ではないのですが、これにつきまして、色々と関連データも準備していただいておりますので、事務局からの説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【今井専門職大学院室長】
 それでは、資料2-1から御説明をさせていただければと思います。資料2-1につきましては、行政刷新会議ワーキング・グループ「提言型政策仕分け」で、昨年の11月に開催されました。この提言の中には、法科大学院に関することも指摘を頂いております。その点について、まずは御報告をさせていただければと思います。提言型政策仕分けが昨年11月に行われました。この中に、行政刷新会議のワーキング・グループがございます。各国会議員の先生方、民間有識者の方々が、このワーキング・グループに参加されておりますが、法科大学院の関係の御指摘を頂いた先生は、ワーキング・グループAに属しておられる先生方でございました。資料にアンダーラインを付している先生方に御指摘を頂き、国会議員の先生が4名、民間の有識者の先生が6名おられたということでございます。続きまして、そのワーキング・グループAで御指摘を頂いた点について、内容の御報告をしたいと思います。ここでは、教育といたしまして、大学改革の方向性の在り方ということで、ワーキング・グループ議題が構えられておりました。この中の「論点(4)」がございます。ここは、大学は将来を見据えた明確な人材育成ビジョンを持っているのか、ということが論点として掲げられておりました。この論点に係る議論の中で、法科大学院についての御指摘を頂いているところでございます。資料に提言の取りまとめのところがございます。ここで、指摘を受けているところを御紹介させていただきます。「法科大学院の需給のミスマッチの問題については、定員の適正化を計画的に進めると共に、産業界・経済界との連携を取りながら、法科大学院制度の在り方そのものを抜本的に見直すことを検討する」。これが、ワーキング・グループでの取りまとめとして、提言されたところであります。その概要について、もう少し詳しく御説明をさせていただければと思います。法科大学院の需給ミスマッチの問題の改善のために重要なことは何か、というところの記載をご覧ください。ここでは、複数回答という形ではございますが、例えば(a)の「定員の見直し(廃止・縮小)」という御指摘を頂いた評価者の先生方は4名おられるということでございます。また、(b)の「産業界との連携」ということで5名の先生方からの御指摘がありました。また(c)といたしまして、「大学における人材育成(教育内容・指導方法の改善)」が必要なのではないかという御指摘が3名の先生方から、(d)の「その他」が2名の先生方からということで、複数回答ではありますが、このような御指摘があったという状況でございます。そして、最後では、どのような議論が行われたかというところで、法科大学院について、明示的に書いてある箇所のみ抜粋をさせていただいておりますが、御紹介させていただきたいと思います。一つ目の記述にアンダーラインがございますが、法科大学院については専門職業人になる基準が試験合格という明確性があるため、教育効果が十分ではないということがあきらかになっているのではないか、という御指摘。二つ目にございます、法科大学院でも試験合格以外に経済界の人材として、法律的専門性を持つ人材を育てるというなら、それを明確にし、かつその成果をいかに目指すかを明確にすべきではないか。そのためには、産業界でのニーズを具体的に把握すべきではないか、という御指摘を頂いております。三つ目、法科大学院の問題は大学教育のある側面、特に高等職業教育の面に関して、その問題を浮き彫りにしたのだろうとする御指摘。また、一つ飛ばしまして五つ目からでございますけれども、しばらく厳しい御意見が続きます。法科大学院は失敗。一刻も早く見直すべき。法科大学院制度は、その制度の存廃も含めて抜本的に改革すべきという御意見。その下でございますが、法科大学院について、廃止も含めて抜本的な見直しが必要ではないかという御指摘。更に、二つ飛ばしまして、法科大学院は、抜本的な見直し・廃止も含めて検討すべきではないかという御意見がございました。また、法科大学院のこれまでの取り組みについてのしっかりとした評価、今後の在り方の徹底的な議論が必要ではないかという御指摘を頂いております。そして、最後から二つ目でございますが、法科大学院制度の在り方そのものについてもこれまでの成果を十分に検証し、抜本的な見直しを検討する。このようなことが、11月の行政刷新会議のワーキング・グループAで議論されたという状況でございます。このように行政刷新会議における仕分けで御指摘を受けて、私共としても、中教審の場において御議論を頂ければと思い、本日は紹介をさせていただきました。なお、併せて、そのような対外的な動きといたしまして、資料2-2をご覧いただければと思います。法曹の養成に関するフォーラム、これは現在議論が進んでいるところでございます。こちらの法曹の養成に関するフォーラムについては、関係六大臣が申し合わせをして設置された会議でございまして、ちょうど先週の金曜日に第7回が開催されたところでございます。既に御承知だとは思いますが、昨年の夏に、一つの大きなポイントでございました、個々の司法修習終了者の経済的な状況等を勘案した措置の在り方についてとして、第一次取りまとめがなされたところでございます。そして、昨年の後半から法曹の養成に関する制度の在り方について、議論が始まってきたという状況でございます。資料をご覧いただければと思います。まず、法曹の養成に関するフォーラムの構成メンバーでございます。関係省庁はそれぞれ副大臣が参画をしております。また、有識者につきましては、佐々木座長を中心として名前の挙がっている先生方、私共の法科大学院特別委員会にも所属いただいている井上委員と鎌田委員が御参画されているという状況でございます。次は検討経過でございます。第1回が平成23年5月に開かれまして、同じ年の8月まで5回の会議を開いて、先ほど申し上げた第1回の取りまとめが行われております。そして、下段の第6回から第7回というところで、法曹の養成に関する議論がいよいよ始まったというところでございます。昨年の10月には、今後の進め方、在るべき法曹像についての意見交換がなされまして、先週開催されました第7回におきましては、今後の進め方の確認をした上で、司法試験、予備試験の結果報告、それから二回試験の結果報告、そして就職状況等の説明。また、法科大学院の視察として、早稲田と東大に視察をした際の結果報告がなされたという状況でございます。今後の進め方についてでございますが、第6回と第7回の会議で、今後の進め方について御指摘がございます。まず、「今後の進め方(案)」として、第6回の資料にございますように、本年の5月までを目標に、まずは現状の把握、特に関係者からのヒアリングを中心として、意見交換を行っていくという段取りが予定されております。ポイントといたしましては、活動領域の拡大、法曹養成制度についてでございます。本年の5月には、その現状把握及び意見交換を踏まえた論点の整理ということで、議論を進めていくことが確認されております。その後でございますが、平成24年6月から平成25年5月までにかけて、その論点整理を踏まえた検討をしていくということで、大きく三つ論点が掲げられ、活動領域拡大の方策について、将来の法曹人口の検討、法曹養成制度の在り方ということで、このような大きな三つの論点を中心に議論し、取りまとめを平成25年の5月ということで予定がされております。1月27日の第7回会議を経て、今後の予定といたしましては、月2回程度のペースでヒアリングを行っていき、2月には第8回会議で弁護士関係の先生方のヒアリング、第9回会議では民間企業、国家公務員の方々の話を聞こうという段取りになっております。3月に入り、第10回会議では、地方自治体、国際関係について、関係者からのヒアリング、そして、第11回会議では、いわゆる隣接職種や、法科大学院の修了者の声を聞くという形でヒアリングを行った上で、4月5月で論点整理に向けた意見交換。このような段取りで進むことになっている状況でございます。以上、資料2-1と資料2-2で、法科大学院関係の今現在動いている状況等を報告させていただきました。このような状況を踏まえていただいた上で、資料2-3でございます。法科大学院制度に関する現状分析として、是非、法科大学院特別委員会でも御議論いただければと思い、論点を整理してまいりました。まず、問題意識でございます。資料にございますように、大変厳しい現状の中、志願者の減少や新司法試験の合格率の低迷等はもとより、昨年11月の提言型政策仕分けにおきましても、先ほど御紹介したような御指摘を頂いて、法科大学院制度の在り方そのものを抜本的に見直すことを検討するという取りまとめがなされるなど、極めて厳しい状況にあると認識をしております。このような状況にあることを踏まえた上で、法科大学院制度が法曹養成制度の中核的機関として、社会の期待に応えるため、教育の改善をはじめとした様々な改革に取り組むことが必要だろうと考えており、以上のことから、改めて法科大学院をめぐる現状や、現在まで進めてきている各種施策の実施状況を検証いただき、更なる改革に向けた新たな取組の展開について検討していただくことが重要ではないかと思っているところでございます。そのような意味で、現状の分析といたしまして、ポイントは、恐らく、法科大学院をめぐる現状について、新司法試験合格率の低迷、法科大学院志願者の減少、入学定員・実入学者の減少等のデータを今一度御確認いただく必要があるのではないかと考えております。更に、続きをご覧いただければと思いますが、そのような項目への取組については、既にこの特別委員会におきましても、平成21年4月に御提言を頂いております。そのように、これまでの取組である、改善方策について、その実施状況及び成果を御評価いただくのだろうと考えております。ポイントといたしましては4点あり、入学者の質の確保、修了者の質の確保、組織見直しの促進、評価システムの改善等でございます。これらにつきまして、資料2-4において、データベースで整理させていただきましたので御報告をさせていただければと思います。法科大学院の現状に関するデータとして整理をしております。まず、1点目が新司法試験の合格状況でございます。グラフとともに御説明をさせていただきたいと思いますが、平成22年頃に合格者数を年間3,000人程度とすることを目指すという政府の目標については、御承知の通り実現していない状況でございます。そのような中で、受験者数が増え、合格者数が頭打ちのため、合格率が低下しているという状況でございます。ただ、受験者数については、ここ1~2年がピークではないかという見込みがございます。更に、法科大学院の入学定員の見直し等が行われております。それに伴う修了者数の減少により、数年後には受験者数が大幅に減少する見込みではないかと認識しております。尚、データで御紹介をさせていただきたいのはグラフでございます。平成18年受験者数につきましては、2,091名から平成23年の8,765名と大きく受験者数が増えております。ただ、例えば平成22年から平成23年につきましては、その受験者数の増加ペースが徐々に落ちてきている状況も見て取れるかと思っております。また、合格者数につきましては、平成18年の1,009名から、平成23年は2,063名ということでございます。この点につきましては、平成20年以降は、2,000名で推移をしているという状況でございます。このような状況の中で、折れ線グラフのようになっているわけでございますが、平成18年に48.3%あった合格率が、平成23年に23.5%まで落ち込んでいるという状況がございます。このような現状にあることを踏まえた検討が必要なのではないかと考えております。続きまして、法科大学院の志願者・入学者の状況でございます。次の資料でございますが、こちらにつきましては、新司法試験の合格率低迷を背景に、法科大学院の志願者総数自体も減少しております。初年度から約3分の1程度の規模まで小さくなっているという実態、また未修者の司法試験合格率の低迷によりまして、社会人や非法学部の入学者が減少してきており、これも初年度から比べると、約3分の1の規模まで減ってきているという状況でございます。志願者数の推移につきましては、平成16年度の段階で72,800人いた志願者が、現在では22,927名というところまで減ってきているという状況でございます。また、社会人非法学部出身の入学者の状況でございますが。社会人で平成16年度は2,792名であったものが、平成23年度では平成764名に。また、非法学部出身者が平成16年度に1,988名であったものが、平成23年度で748名というところでございます。そのようなことから、「参考」の新司法試験合格状況について先ほど全体の合格率も御説明いたしましたが、更にうち数でございます。既修者の平成18年の合格率48.3%が、平成23年では35.4%と、マイナス13%の減という状況となっております。一方、未修者の合格者につきましては、平成19年の合格率32.3%が平成23年の合格率16.2%と、マイナス16%の減と半減している状態でございます。次は入学定員・実入学者数の状況でございます。入学定員・実入学者数の状況は、平成21年の中央教育審議会の提言を踏まえて、平成23年度までに全ての法科大学院が入学定員を削減し、ピーク時と比較して約2割、1,254名の減となっております。更に、入試における競争性の確保等を通じて質の高い入学者を確保することに努めていただいた結果、平成23年度のいわゆる実入学者の数につきましては、ピーク時と比較して約4割減って、3,620名となっております。グラフで申し上げますと、例えば、入学定員につきましては、平成19年度の5,825名がピークでございます。それが平成23年度に約2割減って4,571名。また、実入学者についてのピークは平成18年度の5,784名でございます。これにつきましては、平成23年度で3,620名の4割減という状況で、入学定員・実入学者数が減少しているという状況でございます。次の資料をご覧いただければと思います。法科大学院の修了者の状況でございます。ここにつきましても、厳格な成績評価・修了認定の実施によりまして、標準修業年限で修了される方の数は低下をしているところでございます。例えば、平成17年度の段階では、9割以上が標準修業年限で修了されておりましたが、平成22年度につきましては73.6%まで標準修業年限で修了される方が減ってきている。いわゆる厳格な成績評価や修了認定が行われているという状況が進んでいると認識をしているところでございます。以上が法科大学院を取り巻く現状、経緯を含めての説明でございました。それを踏まえて、最後となりますが、法科大学院教育の改善状況でございます。中央教育審議会法科大学院特別委員会におきまして、平成21年に提言を頂きました。先ほどの資料にもあった4点について、その進捗状況を御説明させていただきたいと思います。まずは一つ目、入学者の質の確保でございます。ここは、(1)にございますように、入学定員の見直し等による競争性の確保が進んでおります。入学者選抜における競争倍率2倍以上の確保ということで、例えば平成21年度は32校から、平成23年度は54校ということで、競争倍率2倍以上を確保しようという動きは各大学に浸透しつつある状況だと思っております。また、二つ目の項目の入学定員の削減は、先ほど御説明したような状況でございます。また、実入学者も先ほどのような状況で、着実に削減されている。また、(2)でございますが、適性試験の合格最低基準点の導入につきましても、各大学で、適性試験の成績が全国総受験者の下位から15%未満の者は入学させないという方向で、取組も徐々に進んできているという実態がございます。続きまして、修了者の質の確保でございます。(1)にございますように、共通的な到達目標の導入ということで、法科大学院修了者が共通的に備えておくべき能力の到達目標の設定を進めていくという動きは着実に進んでおります。平成20年から21年にかけまして、文部科学省の補助事業で東大、京大、神戸大学が取組をされた法科大学院コア・カリキュラムのモデルにつきまして、それをベースに、それぞれの大学で到達目標を設定していこうという動きが広まりつつある状況だと認識をしております。また、(2)にございますように、法学未修者の充実のための省令改正といたしまして、未修1年次の法律基本科目については、6単位まで増しても良いということで、省令改正をしたところでございます。本日の議題で資料が出てまいりますが、現在、私共で調査をさせていただいたうち50の大学で、増加に取り組んでいただいているというデータが出てきている状況でございます。また、(3)の成績・進級判定の厳格化は、先ほど御説明したような状況で着実に進んでいると理解しております。続いて三つ目の組織見直しの促進でございます。(1)の入学定員の見直しや統廃合の促進というところで、二つ目でございます。入学定員の削減はもとより、現在二つの大学において学生募集の停止が表明されたというところでございます。また、(2)にございますように、財政支援の見直しにも着手させていただいております。深刻な課題を抱える法科大学院につきましては、新司法試験の合格率や入学者選抜の競争倍率を指標として、国立大学であれば運営費交付金、私立大学であれば私学助成の減額ということで取り組む。まさに平成24年度からその取組が進められる状況となっております。平成24年度の対象校といたしましては6校という状況であります。そして、四つ目であります評価システムの改善等といたしましては、認証評価の基準・方法の改善として省令改正をさせていただいております。従来、評価について省令には明記されておりませんでしたが、修了者の進路等についても評価項目として追加すべきということで、省令を改正しております。それ以外にも重点的に評価をすべき項目等の設定を行いまして、認証評価基準や、その方法が改善されるような取組が進められているところでございます。そして、この中央教育審議会において、現在、改善状況調査を行うためのワーキング・グループが設置されて、各大学へ個別に伺いまして、その教育の改善状況について調査をし、結果を公表しているという状況でございます。昨年度の調査結果におきましては、28校に対して個別に課題等を指摘し、その改善を促すという取組を進めてきたという状況でございます。以上、御説明が長くなってしまって大変恐縮ではございますが、最近の法科大学院をめぐる現状、改善の取り組み状況について御報告させていただきました。この点につきまして御審議いただければと思います。よろしくお願いします。

【田中座長】
 どうもありがとうございました。それでは、ただ今の説明に対して、質問等ございましたらどうぞ。あわせて、事務局で整理いただいた現状分析や関連データも含めて、法科大学院制度に対する検討の今後の方向性などについても、意見交換をお願いしたいと思います。

【椎橋委員】
 貴重な資料、ありがとうございました。各ロースクールで平均して2割定員を削減して、実人員は更に低いようですが、このまま、例えば司法試験の合格者が2,000人程度ということで推移した場合に、合格率がどこで止まると予想されているのでしょうか。私は、期待して見ているのですが、そこにきて少しずつ上がってくれば、一定の司法試験の受験者、法曹希望者もいるわけですから。合格率が上がってくれば、志願者もまた増えてくると期待しているのですけれども。一番下になるのは、どの辺りなのかという予測が分かれば教えていただきたい。

【今井専門職大学院室長】
 きちんとしたシミュレートを行ったわけではないのですが、例えば、先ほどの資料2-4で新司法試験合格状況、実入学者数などを御説明させていただきました。新司法試験受験者数につきましては、ここ1、2年がピークになるのではないかという見込みも出てきておりますので、やはり新司法試験を受ける方が徐々に減ってくるということとともに、実入学者数が減少されていけば、見込みではございますが、1年か2年後には上に向かっていくような状況も生まれてくるのではないかと考えております。ただ、その辺りにつきましては、まだ数字が動きますので、はっきりとした確証はないのですが、イメージとしてはそのようなものを持っているところでございます。

【磯村委員】
 他のフォーラムのことですので、御質問しても良いかどうか分からないのですが。法曹の養成に関するフォーラムでのヒアリングの御説明を頂いたところですけれども、大部分は、弁護士の方、あるいはそれに隣接する職務であって、非常に重要な法曹の一角を担われる裁判所関係、法務省の検察関係のヒアリングがどうも含まれていないのではないかと思うのですが、文科省で事情を把握しておられるか分からないのですが、どのようなことなのか疑問に思いました。もう一点、先ほど合格者数が問題となりましたが、このデータについて若干注意をしておく必要があるのは、平成23年と平成22年、21年、数字が並んでいるように見えますけれども、旧司法試験の合格者がいた時代と新司法試験のみの合格者ということになっておりますので、法曹有資格者の数という点から言うと、実はこの数字が横ばいになっているかということに、やや疑問があるというところにも注意をする必要があるかと思います。

【今井専門職大学院室長】
 最初に御質問を頂いた件でございますが、確かに、現在のところヒアリング対象の中には、法曹の弁護士以外の二者がいない状況でございます。しかし例えば、その後、活動領域拡大の議論が、この5月以降に行われていく中で、色々と議論の御提案もあるのかもしれないと思うので、恐縮でございますが、私共の方からこの点において現時点で明確なお答えをできないという現状がございます。

【関委員】
 事務局を取りまとめる法務省の方から説明をさせていただきますと、今現在ヒアリングを行っていますのは、右側にありますように、活動領域の拡大の方策の検討ためのヒアリングということですので、検事、裁判官については、既に活動領域として、ある程度のものがあるわけでございますが、新規にどのような活動領域があるのかという観点で、色々な方々からお話をお伺いしているという状況でございます。これを踏まえまして、さらに裁判官あるいは検察官の新たな活動領域というものを設定できるのであれば、そちらのヒアリングも行うということになろうかと思います。

【長谷部委員】
 大変詳細なデータを御提示いただきまして、有り難く思っております。法科大学院志願者が減少している原因については、新司法試験の合格率が低迷していることももちろん影響しておりますけれども、それ以外に、法科大学院生をめぐる経済的状況も関係しているのではないかと思います。例えば、法科大学院生の奨学金の受給状況ですとか、その返済の状況、修了時までにどれぐらいの債務を負っているかなどについて、調査をされる御予定があるかどうかお伺いしたいと思います。

【今井専門職大学院室長】
 現在、データが手元にないのですけれども、特に、法科大学院の学生で経済的に困窮を極めている方々は、奨学金を希望した場合、希望者に対しては、基本的には全員お渡しができるという状況でございます。具体的な数字が手元にないのですが、まずは、そのような形で対応できているという認識でございます。その数については分からない部分もあるのですが、法科大学院在学中の奨学金の利用率は、法曹の養成に関するフォーラムの学生へのアンケート調査の結果によると48.3%ということでございます。

【田中座長】
 法科大学院でフルに借りた場合、どれぐらいの額になるかということは、司法修習生の給費問題が議論された時にかなりデータが出ているはずですが・・・。

【今井専門職大学院室長】
 今御指摘いただいた点については、次回にきちんとデータを出せるように整理して、また御説明させていただければと思います。

【土屋委員】
 法科大学院教育の改善のところで、法律基本科目の履修単位を6単位増加ということですけれども。各大学で実施されているその内容について、6単位をどのように割り振って、どのようなことをやっているかということは、把握されていると思うのですが、お聞かせいただけませんか。

【田中座長】
 その議題は、後ほど別に取り上げることになっております。配付資料にデータが入っており、準備してもらっていると思います。

【日吉委員】
 質問です。進級判定の厳格化というのが進んでいるように、数字からは見て取れるという御報告がございましたけれども。お分かりになる範囲で結構なのですが、例えば、多くの大学院でどのような形の進級判定、タイミングはどうなのか、1年終了時、2年終了時と1年ごとにやっているのか。それから進級判定の材料と申しますか、材料は期末試験のようなものだけでやっているのか、その指標はどうなっているのか。分かる範囲で、現状どうなっているのか教えていただければ幸いです。

【小代専門教育課課長補佐】
 私共が認識している範囲でお答えをさせていただきます。まず進級判定というところでの段階です。その部分で各大学において色々なパターンがあるのですが、例えば1年生では2年生に上がる時、ここはまさに進級というところで判定をして、その段階で一定程度の条件を達成しなければ1年生をもう一度やるという形です。それから、2年生から3年生も同じような形で、進級の段階で受けているというパターンのところ。あとは、最後までは進むのだけれども、修了ができないという形で制限をしているところと、例えば2パターンございます。また、その段階で、どのような指標を用いるかということについて、最近増えてきているのはGPAというものを導入しまして、単位の修得は何単位以上取得するということがありますが、加えて成績の中身などを点数化していきます。例えば、成績の中身ですから、優を何点、良を何点とする。その平均が一定以上の平均の点数でないと、進級ができないと。そのような場合には、一旦取った単位につきましても、取り直さなければ、その点数が上がらないということになりますので、ある一定程度の範囲の中で、取った単位につきましても、取り直しをしていただくという形でやっておられるところ。これも進級の段階で使う場合と、最後の修了の判定で使う場合、両方の段階で使う場合と3パターンございます。大体このぐらいの御回答でよろしいでしょうか。

【田中座長】
 文科省の方で、現状分析等をしていただき、どのように評価すべきなのかについて、三つのパターンを挙げていただいているわけです。新司法試験の合格率の低迷も、合格者数自体が本来予定された数に達していないことが問題だということもあるのですが、その理由がどこにあるかということについては、やはり意見が分かれているというところでございます。それから、法科大学院志願者の減少も、当初、志願者が非常に多かったというのは、どちらかと言うと異常な現象で、減ってきていることは間違いないのですが、現在の状況が正常か、そうでないかということは、また評価の仕方が難しいわけです。入学定員・実入学者数の減少というのは、減らすという方向になっているのですが、これも適正規模がどの辺りかということが、なかなか難しい問題です。例えば、司法試験の合格者数が3,000人となると、3,600人というのは、数としては十分絞り込んだということでして、入学定員を実入学者に合せて調整すれば良いということにもなるわけです。数値だけで見るのではなくて、原因がどこにあるかをあわせて見ていくと、結構難しい問題が出てくると思うのですが、その辺りを、委員の先生方はどのように評価していらっしゃるかということについて、少しお伺いできればと思います。いかがでしょうか。
 司法試験の合格率の低迷については、やはり法科大学院の修了者の試験のできが良くないと、法科大学院の教育力に問題があるのではないかという指摘がありますが、ただ、法曹の職域があまり広がらないので、需要供給との関係で、司法試験の合格者数を抑えるべきだという意見もあり、その辺りをどのように評価するかについて、ある程度、理解を共通にしておく必要もありそうです。他の件についても同じですが。

【磯村委員】
 定員と実入学者の乖離の問題というのは、恐らく首都圏とそうでないところで、やはり大きな違いがあって、志望者が多い地域とそうでないところで、このような差が表れて、それが入学者の質に関わるとすると、数年後には司法試験の合格率にも反映され、さらに志望者が減少するという形で、悪循環に陥って定員を確保することが難しい状況にあるかと思います。しかし他方で、当初から言われてきたことですけれども。色々な地域に法科大学院が設置されて、それぞれの地域でそれぞれのニーズに対応するということを考慮すると、倍率だけで自然に絞っていくということが良いのかどうか、一つ気になるところではあります。もう一つは、行政刷新会議でも同じ前提なのですが、需要と供給のバランスという発想については、必要な人数分だけしか法曹資格を与えないという方向で良いのかどうかは、国によって全く違っています。例えば、私が滞在経験のあるドイツなどでは、法学部を卒業して国家試験に合格するという数は非常に多くて。しかし、非常に多くの人が、実際に弁護士になるのではなく、例えば公務員になる、企業に就職するなどしていきます。そうすると、法曹資格も、かつてのイメージでは、司法試験に合格すれば、当然に法曹になるということが大前提で、それ以外の道に進むというのは、ほとんど例外であったわけですけれども。そのような発想をずっと続けていっても良いのだろうかとうことも、もう一つ重要な問題点ではないかと感じているところです。

【田中座長】
 今の点は、鎌田委員、フォーラムの方でかなり重点的に問題視されているところではないですか。

【鎌田委員】
 私は磯村委員と認識を共通にしていて、今回の問題提起も、これまでもそうなのですが、やはり合格率が非常に低いということが、諸悪の根源であって、いかに合格率を上げるかが重要だと思います。そのためには、一つは質の向上ですけれども、絶対数増も必要です。合格率を数字の面で上げていくために、中教審の側では分母を減らすために非常に努力をしてきたところですけれども、分子は増えていかない。それどころか、受給論で、もっと減らせという声が強いわけであります。フォーラムの中にもやはり3,000名の合格という閣議決定を実現するべきであるというお考えの方もいらっしゃれば、もっと減らすべきであるというお考えの方もいらっしゃる。今は、職域拡大の問題が、需要を増やす手段という意味で、当面の議論の課題になっておりますけれども、その次には、やはり法曹人口論のようなものが議論の対象になっていくのだろうと思っております。個人的には、前から申し上げているように、どのような法曹像をイメージするのかによって、適正な合格者の人数というのは変わってくるものです。法科大学院制度の出発点からになりますが、法科大学院を通じて、いわゆる従来型の法曹を増やそうとしているのか、もっと幅広い意味での優れた法律実務家を増やそうとしているのか。恐らく、司法制度改革の理念は後者だったと思うのです。後者の優れた法律実務家を幅広い分野に供給できるようにする。その優れた法律実務家が全部法曹資格を持つ必要があるのか、ないのかということは、一つの中間的な論点としてはあり得るのではないかと思っております。現状では、法科大学院を修了して、法曹資格を取得できなかった人の就職の道というのは、あまり拡大していない。しかし、仮に法曹資格を与えれば拡大するのかと言うと、そこにも難しい問題がありそうです。ということで、どちらの考え方を取るかということはとりあえず置いておいて、職域の拡大可能性というのがあり得るのかということ、それが、最近のフォーラムにおいて、議論の対象となっているのは、ある意味では必然的なのではないかと思います。

【田中座長】
 今の問題は、法科大学院制度を設計する段階から問題になっておりました。司法試験に合格した人の職域を広げることをベースに考えるのか、法科大学院修了者の法務博士の職域について何らかの制度的手当てをするのか、どちらをベースに対応していくかということには、非常に難しい問題がありまして、とくに法科大学院修了者の法務博士をベースにして職域を広げるということになってくると、範囲が広がって効果が大きくて、法曹資格のビッグバンのような話になってきますので、今のところは、司法試験に合格した人の職域を広げるということで議論をしていくという話になっているわけです。将来の司法試験の位置付けの問題については、当初から色々な議論をしてきているところです。

【土井委員】
 司法試験に合格した人を法曹の有資格者と呼ぶとすれば、法曹有資格者が今後どのような形で活躍されていくのかということについて、検討せざるを得ず、それはこの場というよりもフォーラムでやっていただくということになると思うのです。その際に、やはり色々な問題がありまして、一つは、すぐに就職をした人の収入がどの水準にあるのかということについても、かつての弁護士さんたちに比べてどうかという指標があるのですが、では現在の経済水準の中で、他の職種と比べた時にどの程度なのかという指標もあり得ます。例えば、医師が最初にお勤めになる時の給料はそれほど高くないので、そのようなものと比べた時にどの程度なのかということについても考えていかなければ、ある種の給与水準を維持するために、どれぐらいの人数にするのかという議論も出てきかねません。そのようなところもトータルで判断していただこうということになると、やはりフォーラムやその他の然るべき場で全体像を把握していただく必要があるのではないかと思います。他の領域からしても、法曹有資格者の給与水準は最大の関心事で、やはり、あるパフォーマンスに対して、あるペイをするということが前提で、企業や地方公共団体等も考えます。給与水準が高止まりした段階で、あちこちに送り出すといっても、受け入れる側としては、そこまでのパフォーマンスが期待できるのかという話になりますので、その辺りを検討していただく必要があるのではないかと思い、潜在的なニーズは、地方公共団体等もありますし、大学でもインハウスのローヤーを雇うことも考えられるわけで、それぞれ考えられるのではないかと思います。法曹有資格者の需給はそのような問題だとして、法科大学院としてどのように対応するかということですが、司法試験合格者数の当初の目標は3,000人であったわけで、先ほど他の委員からもありましたように、3,600人まで実入学者が少なくなってきているということは、これを継続すれば合格率は3,000人合格ならば、累積で83%を超えることになるはずなのです。当初の定員が多かったというイメージが強いので、法科大学院の定員や入学者は多いのだという話になっておりますが、現在はそのような状態ではありません。ただ、入学してから修了するまで2~3年かかり、それから更に受験資格が失われるまで5年かかるわけですから、入学者数を絞っても、効果が出るのが遅くなるというのは、仕方がないことで、さらにこれ以上絞るという話になってきますと、当然やはり合格者数はどうするのかが問題になります。合格者3000人を前提にしますと、もう絞れないということになってきているのだと思います。ただ、制度として問題があるとすると、合格率というか、入学者の倍率、競争倍率2倍を確保して、色々と定員あるいは実入学者を減らした結果、既に入学者が1桁であるという大学も出てきておりますので、そのような大学について、どのように今後考えていくかということは、真剣に議論をしなければならず、現状維持で良いというわけではないだろうと思います。

【樫見委員】
 法科大学院を最初に設定した時の理念というのは、やはり色々なバックグラウンドを持った方、法律的な知識だけで測ってきた司法試験の合格者のような方だけではなくて、様々な社会人や非法学部の入学者を取り入れた形で法曹養成をしたいということが一つの理念であったと思うのですが、表の中の志願者数の推移で、やはり初年度が非常に多かったというのは、社会人や非法学部の方が沢山受験されたと。それらの方々が、やはり志願者数のかなりの部分を占めていたと思うのですが、結果として、司法試験の合格率は、既修者の合格率、平成23年で35.4%、未修者が16.2%と結局、旧司法試験のところで言われていたような形の、法律をやっている人しか受からないという現状。現在のところ、その数としてこれだけなのですが。では、社会人や非法学者の方々の入学を促す、あるいは就職などの様々な面での取扱いというか。修了年限は3年という形ではありますが、結局のところ、これらの方々を引き込むような魅力あるものに制度そのものがなっていないと。その点があまり議論されていないようなので、どうなのだろうと思うのですけれども。

【田中座長】
 今の点は、未修者の問題について、後で集中的に議論をしたいと思っているので、そちらで取り上げさせていただくとして、次の御説明の時に、今の質問も踏まえて御説明していただきたい。

【笠井治委員】
 ここでお尋ねすることが適切かどうか分かりませんけれども。私共、平成21年4月に法科大学院に関わる問題について、四つの提言というものがあるわけですね。そこでは入学者の質の確保、修了者の質の確保があると。これに関連して教育内容の改善、組織見直しの促進、評価システムの改善等の4点について改善提言したと。これに対して、ここでお尋ねすることが適切かどうかと言いましたが、先ほど行政刷新会議の御紹介がありましたけれども、法科大学院は失敗、一刻も早く見直せ、制度の存廃も含めて抜本的に改革をすべきというように、直ちに止めてしまえと言わんばかりの議論がされたようにも見えるわけです。これが、今まで私共が考える具体的な内容も踏まえたものなのか、そうではなくて、いきなり法科大学院制度そのものの存廃を迫るような考え方は、一体いかなる根拠に基づいているのか。そこら辺は説明がなかなか難しいかもしれませんが、どのような議論がされたのか、御紹介を頂ければと思います。我々が考えているのは、先ほど樫見委員もおっしゃいましたけれども、上手くいっていないという部分はあるが、多様な人材を法曹として取りこんでいくと。その中で、幅広い活動領域も確保し拡大させていくということを願って、このシステムを導入したわけですし。一部の法科大学院で遺憾な状況が生まれているとは言いつつも、かなりの大学院では努力し、教育に力を注いでいるということが行われているわけです。そのようなものに対して、そのような理念を否定するものなのか、裏付けがあるのかということについて、お話いただければと思いますので、よろしくお願いします。

【今井専門職大学院室長】
 お手元に資料がないので大変恐縮なのですが、提言型政策仕分けの場では、資料が二つ出ておりまして、一つは、財務省側から出てきた資料。もう一つは文部科学省側から出させていただいた資料で、これをベースに議論がなされたという状況でございます。この論点4につきましては、財務省側から出た資料には、法科大学院のみならず、例えば教員養成や医学など、それぞれの分野の状況についての財務省側からの御指摘が整理されておりました。そのようなものを踏まえて議論が始まったということなのですが、会議の雰囲気としましては、やはり法科大学院制度について、もっと見直していくべきではないかという思いの強い先生も委員の中におられまして、そのような先生方から、色々と法科大学院の現状が問題ではないかという指摘が向けられてきたということだと思います。ポイントといたしましては、この中央教育審議会法科大学院特別委員会の提言をベースに議論して、進捗状況を理解した上での議論かと言うと、当時そのような資料を出していない状況でありましたので、若干違う議論ではあったのではないかと思います。実態としては以上です。

【常盤高等教育局審議官】
 実際にその会議に出ておりましたので、少し補足をさせていただきますと、その会議自体で議題になったことは、法科大学院だけを最初から議論しようと始まったわけではなくて、日本の大学全体として、国際競争力の観点からどうなのか、あるいは少子化が進む中でどうなのかということです。その中で人材養成ということについて、これからどう取り組んでいくのかということについては、非常に幅広い視点での議論がテーマになっておりました。その中の全体に五つの論点があったと思いますけれども、四つ目の論点自体も幅広いものであったのですが、その議論の中で委員の方々に、関心を持っておられる方が、いわゆる仕分け人の中に含まれておりまして、法科大学院に集中して議論が行われたということがございます。その中で特に議論されましたのが、全体としての法科大学院施策ということについての議論自体はできず、むしろ、現状における合格率が非常に低くて、本来法曹を目指して入ってきた若者たちが、自分の想いを果たせずにいるのではないかと。そのような状況について、的確に素早く手を打つ必要があるのではないかということでした。先ほど土井先生がおっしゃられたように、我々が講じている施策は、どうしてもタイムラグがありますので、現状において、例えば入学定員の縮減をしてきたことが、今の段階で効果が出ているかというと、もう1~2年待たなくてはならない部分があります。その辺りを私も説明はしたつもりですけれども、なかなか御理解いただけなかったところがあるのだろうかと思っております。

【土井委員】
 先ほど議論のあった社会人・非法学部の問題で、教育課程そのものをどう改善するかということは、後ほど議論するとして、この社会人・非法学部出身者の志願者・入学者が減っている状況については、やはり司法試験の合格率の問題が非常に大きいと思います。特に社会人からすると、一定期間内で合格する可能性を高めない限り、職を離れて法科大学院に行き司法試験を受けるという動機づけが低くなることは当然なのだと思います。ですから、そこのところをきちんと一定水準に高めてやる必要があると思います。法曹養成の問題について、色々なところで多角的に議論されること自体は、良いことだと思うのですけれども、議論の一貫性は確保してもらう必要があります。例えば、現在出ている議論の中で、司法試験の受験回数の制限を課すべきではないかというものがあります。司法試験に受からなかった、不合格でこのまま受験資格を失くしてしまう人たちを前にした時に、何らかの救済をしてあげるべきではないか、可哀相ではないかという気持ちになることは分かるのです。ただ、この点は単純な算数で、受験者数が変わらず、合格者数が変わらなければ、幾ら受験回数を増やしても、合格率はトータルで変化しません。ですから、気持ちは分かるのですが、それを導入してどのような効果が出るのか疑問に思うわけです。結果的には、回数制限等を緩和していきますと、受験者が滞留するだけですので、基本的には、合格する人の数は増えないけれども、合格するのに年限がかかるという旧司法試験の問題と同じ状況に流れていくわけです。そのような状況になればなるほど、結果として社会人からすると、合格までに年限がかかるわけですから、今仕事をやめて、合格するまでの生活をどうするのかという問題を抱えることになり、当然法曹を志す人が減ることになるわけです。そうすると、やはり施策を考えていただく以上は、何が基本的な目標・価値を明確にし、それを実現するための統一的施策というものを考えていただきませんと、当面の問題がこうだからとりあえずこうしましょうというやり方をすると、結局矛盾が出てくるわけです。フォーラム等で全体をお考えいただく時、司法試験の在り方等を含めて考えていただく時には、やはり最初に考えた法科大学院で何を実現しようとしたかという点を踏まえて、整合的に議論をしていただかなければ、先ほど来の御指摘にあるような社会人・非法学部出身者、多様な人材を吸収するという目的は実現できないので、その点は御留意していただいた方が良いのではないかと思います。

【田中座長】
 まだ他にも色々と御議論があると思いますが、予定している案件がかなりありますので、この辺りにして、また引き続き議論していきたいと思います。法科大学院をめぐる状況が厳しいということは、先ほどの事務局の説明にもあり、委員の先生方にも理解していただいていると思うのですが、ただ今御議論いただいた点を踏まえて、この委員会では引き続き法科大学院の質の向上のための検討を進めていきたいと思います。続いて報告事項ですけれども、専門職大学院における専任教員のダブルカウントの措置が、平成25年度に終了するため、その後の取扱いについて審議が進められております。その審議状況について事務局から説明をお願いいたします。

【今井専門職大学院室長】
 それでは、資料3-1、3-2に基づきまして御報告をさせていただければと思います。専門職学位課程につきまして、いわゆるダブルカウントの扱いについて現在中央教育審議会の方で御議論いただいているという状況でございます。今日御報告をする前に、まずは確認をさせていただければと思いますが、資料3-2をご覧ください。実は、ダブルカウントにつきましては、まさに法科大学院特別委員会においても平成21年4月の報告書の中で御指摘を頂いております。まずは1ページ目にございますように、質の高い専任教員の確保ということで、法科大学院の関係も含めてありますけれども、冒頭二つ目のマルに、「平成25年度まで認められている学部等との専任教員数のダウブルカウントの暫定措置については、延長しないこととする」ということが、法科大学院特別委員会での提言でございました。もう一つポイントとしては、次の教員養成体制の構築とした項目の一つ目のマルでございます。「学部等との専任教員数のダブルカウントの暫定措置終了後も、法科大学院の教員が博士後期課程における研究指導に携わることにより、優れた研究・教育能力を備えた教員を育成していくことができるような制度的な配慮が必要である」という御指摘を平成21年度に頂いているところでございます。実はこの二つの提言を踏まえた上で、今回の議論は専門職大学院全体でなされておりますが、その点につきましては、ほぼ御指摘どおりの方向で進んでいるということがあるということです。以上、まずは前提の確認でございました。そのようなこともあり、昨年の11月に中央教育審議会の大学院部会におきまして、ダブルカウントの取扱いについての議論が再度なされまして、専門職学位課程ワーキング・グループを設置して議論をしようということで、本委員会の田中座長にもワーキング・グループに御参加いただきまして、検討していただいたという状況でございます。そのワーキング・グループでの検討報告をさせていただいたもの、大学院部会で了承を頂いたものが資料3-1でございますので、この資料で御説明をさせていただければと存じます。
 専門職学位課程ワーキング・グループでの検討結果でございますが、そのポイントにつきましては、資料冒頭に二つマルがございます。一つ目のマルは専門職大学院の現状の確認でございますけれども、設置基準上必ず置くこととされている専任教員は、他の学位課程の必置教員数に参入できないこととされているが、制度の創設後10年間は特例としてダブルカウントが認められていると。この点につきましては、二つ目のマルにございますように、現在の特例が終了する平成26年度以降、専門職大学院のダブルカウントについて、教育上支障を生じない場合には、1個の専攻に限り、博士課程のみ認めることが適当だろうと整理されたところでございます。その考え方につきましては、資料の続きをご覧いただければと思いますが、専門職大学院では、その質保証の観点から教員組織の一定程度の独立性を確保し、教育に専念する教員組織を充実する制度創設の趣旨が、ダブルカウントを原則認めていないとしておりました。これに対して、博士課程とのダブルカウントが仮にできなくなりますと、将来の専門職大学院教育を担う専任教員の後継者養成に支障が生じる懸念がございますことから、特例終了後も博士課程とのダブルカウントのみ認めることが適当であるということが整理されました。続きまして2ページ目でございます。このような整理が認められますと、一つ目のマルにございますように、一般の大学院において博士課程の前期と後期の間でダブルカウントが認められていることと同様の扱いになると。その際に、ダブルカウントを認めたとしても、教員組織の充実を制度創設の趣旨としているところに鑑みまして、博士課程とのダブルカウントを認めるにあたって、教育上支障が生じない場合には1個の専攻に限り認める旨を法令上明らかにすることが適当だろうと。そのように整理をすることで、このダブルカウントの扱いを整理したらどうかということでございました。尚、ワーキング・グループで検討された際に留意事項が二つほどございました。一つは、今回の議論が誰を対象としている話かということでございますが、今回の議論はあくまで専門職大学院設置基準において規定する最低基準の教員を対象とするものでございます。この最低基準を超えて配置されている教員については対象外としていることを明らかにしております。また専門職大学院のダブルカウントが、特例終了後であっても、いわゆる兼担という形で、自大学の別の専攻や学科の教育研究を担当することが可能とする。要するに、学生の教育指導や研究指導を行うことは、従来通りできるということでございます。二つ目のポイントとしましては、法令上明記する条件として、教育上支障を生じないということを明記してはどうかということでございましたが、これは具体的に何か数字を設けるというよりも、むしろ趣旨を徹底して欲しいということで留意事項がついております。専門職大学院における教育上の必要性と教員組織に関する専門職大学院の制度創設趣旨を踏まえて、適切に対応して欲しいということでして、この趣旨に基づく運用が行われるよう、しっかりと今後進めていって欲しいということが、留意事項として付されていたところでございます。
 以上、ダブルカウントの検討状況等について、整理されたことについて御報告をさせていただきました。御審議をよろしくお願いいたします。

【田中座長】
 どうもありがとうございました。これは既にこの特別委員会でまとめていただいた報告で、基本的にはその方向で議論がなされていたと思います。何か御質問等ありましたらどうぞ。

【磯村委員】
 資料1ページなのですが、博士課程という言葉は、恐らく法令上は修士課程に対比されて博士の前期課程を含む概念ではないかと思うのですが。この趣旨はそうではなくて、博士後期課程だと思いますので、誤解を生じるのではないかということが一つでございます。それからもう一つ、2ページ目のところで、今御説明を頂いたところで、恐らく多くの大学で安心されるのではないかと思いますが。ダブルカウントができるということと、研究指導者になれるということが、恐らくワンセットで理解されている場合があります。法科大学院の専任教員であっても、例えば博士前期課程に在籍する学生について研究指導者になれるということであれば、今回の措置については、研究指導の幅や可能性が広がるという点で良いのではないかと思います。その点を情報として各大学にお伝えいただけると良いのではないかと思いました。

【今井専門職大学院室長】
 今御指摘いただいた一つ目につきましては、全く同じ指摘が大学院部会でも頂いております。今後、資料上もしくは対外的に説明する場合には、その点を明記できるようにしっかり対応していきたいと思います。二つ目の御指摘につきましても、まさにワーキング・グループでも同様の御指摘を頂いておりますので、その趣旨が現場に徹底するよう、私共としても努めさせていただきたいと思っております。

【田中座長】
 法科大学院協会の次の総会ででも説明していただくようにお願いしております。他にはよろしいでしょうか。

【椎橋委員】
 2ページ目のワーキング・グループで検討がなされた留意事項の一つ目なのですけれども。例えば、30人の教員が必要だと言う場合に、33人教員が配置されているとすると、その3名の方については、ダブルカウントは可能ということでしょうか。

【今井専門職大学院室長】
 今の御指摘につきましては、先生の御理解のとおりでございます。要は最低基準のところのダブルカウントの扱いでございまして、それ以外に、大学が努力をして配置をされている先生まで縛るものではないという考えでございます。

【田中座長】
 少し理解のはっきりしていないところがあって議論が混乱しているところもあるのですが、その辺りをはっきりさせることができれば、これまで各大学が心配されていたことが解消すると思われます。これからも審議状況を特別委員会で報告いただくことにします。
 次の議題に移らせていただきます。先ほども少し議論となったところですけれども、前回の法科大学院特別委員会で平成23年新司法試験結果を踏まえて、法学未修者教育についての意見交換を頂いたところです。そこで頂きました御意見を踏まえて事務局で調査をしていただいて、未修者教育に関する検討のポイント例などを整理していただきましたので、それについて御説明をお願いいたします。

【今井専門職大学院室長】
 それでは、説明させていただければと思います。資料4-1、4-2に基づいて御説明をさせていただきます。資料4-1につきましては、未修者教育に関して今後検討を要するポイントとして御提案させていただいております。ポイントは現状分析で、今から資料4-2で御説明をさせていただきますが、調査結果が少しございますので、そのデータに基づいて御検討を頂ければと思います。これまでの取組についても、今の実施状況を少し確認できております。そのような意味で、これまでの改善への取組の実施状況とその成果をどのように評価するかという点で御議論いただければと思います。その上で今後何か取り組むべき点があるかどうか、そのようなことを幅広に御議論いただければと思っているところです。まずは、資料4-2で状況について、私共の方で御説明をさせていただければと思います。それではまず、「法科大学院入学者数の推移(既修・未修別)」について御説明をさせていただきたいと思います。左側に入学年度、平成16年度から平成23年度にかけてのこれまでの入学者数、既修者と未修者に分けてデータを取っております。ポイントといたしましては、平成16年度合計で入学者が5,767名おられました。その時の既修者・未修者の数は、それぞれ2,350名と3,417名。つまり、この当時は未修者の方が約1,000人以上多かったという実態がございました。しかしその後、年を経て平成23年度までやってまいりますと、合計の入学者は3,620名でございますが。既修者と未修者は、ちょうど平成23年度をもって逆転をしたという状況になっております。既修者で1,915名、未修者で1,705名ということでございます。そのような意味で、既修者につきましては、平成16年度から見て、マイナス400名ほどの減であったところでございます。未修者につきましては、初年度から比較してほぼ半減しているという状況がデータとして出てまいりました。続きまして二つ目ですが、新司法試験の合格者の状況で既修・未修別でデータを用意しているというところでございます。こちらにつきましても、既修者と未修者、その中でも法学部出身者と非法学部出身者に分けてデータを用意しております。まず既修者のところでございますが、データをご覧いただきますと、平成18年48.3%から平成23年度35.4%と苦戦をしている状況でございます。ただ、その中での非法学部出身者の割合の落ち込み方は大きいのだろうかと思いながら見ているところでございます。その非法学部出身者の割合を取っても、例えば平成23年のところを見ましても、既修者における非法学部出身者の合格率の割合は、平均よりは高いという実態がございます。一方、未修者でございますけれども、法学部出身者・非法学部出身者ともに大変苦戦されている状況にあるのではないかと見ております。平成19年の段階では、法学部出身者が32.1%、非法学部出身者が32.7%というところでございましたけれども、特に非法学部出身者は平成23年に入りますと14.3%まで減ったということで、初年度と比較しましても半分以上減っているということで、大変苦労されているような状況が見て取れるのではないかと理解しております。さらに、その新司法試験の合格状況を累積別に見ることはできないだろうかということで用意したのが三つ目でございます。新司法試験の合格状況で法科大学院の修了年度別で追いかけた資料でございます。見ていただくポイントといたしましては、平成18年度修了者の一番下のところで二重の四角で囲ってあります。合格者数計と、修了者数割る合格者数計で出ているパーセンテージで比較していただくと、状況が見てもらえるかと思いますが、平成18年度に修了された方々の未修者、既修者は、それぞれ修了後5年分の状況がわかっております。そこで累積で見てみますと、平成18年度修了の既修者につきましては、修了者のうち63.5%までが何とか合格をしているという実態があります。一方、平成18年度修了の未修者につきましては、39.5%ということで約4割、未修・既修で比較しますと、未修者の率が低いという状況でございます。その状況が平成19年度、20年度、21年度、22年度修了者と累積データがございますので、数字が悪くなるのは致し方ないとしましても、未修・既修でその率が、例えば平成19年度修了であれば64.8%である。それに対して未修者が31.4%。更に平成20年度修了者で見ますと、既修者で66.9%、未修者で28.9%と。平成21年度修了者にいきますと、既修者で57.8%、未修者で23.8%と。傾向としましては、既修者につきましては、累積合格率が5割以上ないし6割近くをキープしつつあるのですが、やはり未修者はなかなか数字が厳しい状況であるということが見て取れるのではないかと認識しているところでございます。続きまして、合格者ではなく、いわゆる修業年限で見た時の修了状況を御説明したいと思います。次のページにございます四つ目、標準修業年限修了の状況を既修・未修で分けてデータを取っているものでございます。この辺りにきますと、より明確に出てまいりますのは、例えば既修者の、平成16年度入学者で、標準修了年限で終わっていかれる方と平成21年度で終わっていかれる方では、92.6%から89.6%とほぼ変わらず、9割近くの方は、標準修業年限をもって修了されているというデータが見て取れます。その中でも法学部出身者は9割以上をキープされたままで、非法学部出身者の修了率が若干落ちますけれども、8割近くは標準修業年限で修了されているという実態が見て取れます。一方で未修者のところをご覧いただきますと、そもそものデータが、例えば平成16年度入学者の76.3%から平成20年度で64.9%と。修了率が既修者と比べても悪いところがございますし、全体としてもやはり12%ほど落ちてきているという実態がございます。さらに、その平成20年度入学者の欄を横に見ていただきますと、いわゆる未修者のうち法学部出身者、その中の社会人、そして次の欄では非法学部出身者のうちの社会人と並んでいるわけですが、やはり、それぞれパーセンテージが落ちていまして、非法学部出身者、そのうちの社会人という方は、相当苦労されているということが見て取れるのではないかと認識しているところでございます。そして、今度はその標準修業年限ではなく、未修者の1年次から2年次、既修者のデータは取っておりませんので、未修者のみのデータではございますけれども、進級率の推移でございます。平成16年度に入られた方々につきましては、1年次から2年次には約94%、全員というのは言い過ぎかもしれませんが、ほとんどの方が進級されているというところでございました。その後、色々と厳格化を進めてきた結果もございますけれども、全体で今は75.8%。つまり、4分の1の方が1年次から2年次にスムーズには上がっていないという状況でございます。この点につきましては、法学部出身者・非法学部出身者、そのうちの社会人をご覧いただきましても、基本的にはほぼ同じような割合で厳しい状況にあるということが分かってまいりました。
 以上、当方が確認をできたデータの御報告でございます。これに対して、中央教育審議会の本特別委員会で出していただいた提言の取組状況についても併せて確認をしておりますので、御報告をさせていただければと思います。六つ目です。未修者1年次の履修上限単位数の増加について調べたデータでございます。提言が出された平成21年度以降でございますが、平成22年度、平成23年度で、それぞれ国公私合計で36大学と15大学。このうち一つの大学のみが平成22年度、平成23年度と単位増加を行ったので、合計数といたしましては50大学が何らかの形で単位の上限数を上げております。平均増加単位数につきましては、上限6単位までは上げて良いという法令改正をしておりますが、平均で拝見しますと平成22年度で4.8単位、平成23年度で4単位ということでございます。ぎりぎりいっぱいまでというよりは、やはり厳しい状況の中で取組をしていただいておりますので、大学側も色々と検討した結果、4単位ぐらいが精一杯という状況なのではないかと考えているところでございます。続きまして最後でございます。七つ目でございますが、増加した単位の内容として、どのような内容を挙げているのかということを確認しましたところ、大きく分けて三つ見えてまいりました。一つは入門科目という形で新設をしたという御回答。これは30の法科大学院で取り組んでいるということでございます。一方、そのような入門科目を新設するというより、既存の授業科目の単位数を充実するという取組で単位数を引き上げたという例が24の法科大学院でありました。これら以外に、例えば演習科目ということで、教授と学生の距離がより近い形での授業科目を新たに新設したというものが、若干減りますが16の法科大学院で取り組んでいる。入門科目、既存授業科目の単位数を上げる、演習科目を新設するなど、色々と各大学で工夫をしていただいている状況というのは見て取れるかと思います。これらを複合的にやっていることもありますので、50法科大学院がどのようにやっているかというのは、それぞれの大学で取組があろうかと思っております。これ以外にも未修者教育の充実のための取組内容ということで各法科大学院に聞いてみました。八つ目です。その結果、例えば、1年次に限らない取組として法律基本科目の量的充実をしましたという大学は、60法科大学院から挙がってきた状況でございます。同じようにBのところ、法学未修者1年次における授業方法を工夫したという取り組みも62法科大学院から挙がってきております。また、法学未修者1年生の正規の教育課程以外でも自学自習を支援するという意味で、何らかの取組をしている。例えばチューター生を置くなど、そのような取組なのだろうと思われますが、68法科大学院で何らかの形での取組をしているということの御報告を頂いております。それ以外にも法学未修者の1年次の成績評価、2年次への進級判定の厳格化も65法科大学院が取り組んでいるということ。また、法科大学院に入学される前の導入教育という形でも57法科大学院が取り組んでいるということでございました。その意味では、母数に対してかなりの数の大学が、何らかの形で未修者教育の充実に取組をしていただいているという実態は見て取れております。ただ、未修者の取組をしたのは、ある意味では平成21年度の報告を受けて平成22年度からでございます。その平成22年度以降の取組を経て修了し、司法試験を受けていくというのはもう少し時間がかかりますので、現段階としては、取組がされているところまでの確認でございました。以上、私共の方で確認を取れましたデータの御報告でございます。

【田中座長】
 どうもありがとうございました。ただ今の説明につきましては、先ほど土屋委員と樫見委員が御指摘されたことに関するデータも出ておりますので、このデータを踏まえて意見交換をしていただきたいと思います。

【土屋委員】
 いろいろな取組をされていらっしゃるということは分かりました。この内容がいわば各法科大学院に共有される必要があるのではないかと思うわけです。つまり、どこの法科大学院がどのような目的でこのような未修者教育自立のための施策を取ったのかと。一定の単位数を確保する、有用な方策を取ったということが他の法科大学院にとっても貴重な情報になると思いますので、その辺りは、文科省の方からも積極的に情報提供をしていただきたいと思います。それぞれの取組内容というのは、随分バラエティがあると思うのですが、実際にこのような形で取り組んでいくねらい、どこをどのように手当てする必要があるのか考えてこのような取組をしたということと、それを1年以上続けての評価や見直しなどを継続的に行っていく必要があるのだろうと思うのです。特に未修者の場合には、進級や司法試験合格などへの影響も大きいですから。未修者の方を法曹として育てていくという意味合いは、法科大学院にとって重要性があると思いますから、その辺りは力を入れてやっていただきたいと思います。入門科目の新設を行った大学が30校ということで多いですけれども、取組内容になりますと、入門科目の新設というよりはむしろ、自学自習の支援というところが最も多いのではないかということですので、その自学自習というのは一体どのようなことなのか、チューター制度などもお話にありましたが、チューター制度とはどのようにやっているのかと。つまりOBの方に来ていただくなど、色々なことが考えられるのですが、その中身をもう少し分析していただければと思います。

【今井専門職大学院室長】
 最初に御指摘を頂いた点につきましては、いろいろな場を見つけ、私共としても各法科大学院にお伝えできるよう努めてまいりたいと思います。また、どのような観点でという話になりますと、データがこれ以外にないので大変恐縮でございますけれども、特別委員会におきましては、法学未修者の教育の充実という観点で、法律基本科目の質的量的充実なり、1年次の自学自習を支援する体制を充実すべきという御指摘を頂いております。二つ目の観点といたしましては、法学未修者の教育方法を改善しようということで、授業方法の一層の工夫、1年次における成績評価・単位認定。そして、2年次の進級判定の厳格化というものが、平成21年4月の報告書にあったことを踏まえて、各大学がそれぞれの状況に応じて、施策を混ぜながら色々と取り組んでいただいていると思っております。この成果からも分かるように、現在、本当に色々と頑張っていただいておりますので、是非私共としても3年後、平成22年、23年、24年と取り組んだ結果での司法試験の合格への影響など、どのような影響が出てくるのかしっかりと見据えていきたいと思っておりますし、当然、成果が出ないからやりっ放しというよりは、先ほどのように各大学でこれほど取り組んでいるのだという情報提供とともに、いろいろな場を通じてデータを集めていければと思います。尚、自学自習の支援体制の充実というのは、例えば平成21年の報告書ですと、教員によるオフィスアワー等での学修指導を充実させてはどうかとあります。オフィスアワーを設けて、いわゆる質問を受けながら指導できる場を設けてはどうかとか、メンターないしチューター制度の活用を行ってはどうかということも御提言いただいております。

【小代専門教育課課長補佐】
 それぞれの大学において御回答を頂いている中で、いろいろな取組があるのですが、大別しますと、最も多いのは「アカデミック・アドバイザー」と一般的に呼ばれる、授業外の相談にのってくださる弁護士を雇うなどの支援が今、最も多いかと思います。あとは、e-ラーニングといった電子媒体です。このようなものの中に自学自習に使えるような情報を充実させる、それを学生が使えるように充実させたということです。あとは自主ゼミ等を学生が開きやすくし、奨励する。先ほどのアドバイザーなどとの関連にもなりますが、自主ゼミ等の奨励。そして、オフィスアワーについては、既に大学の方では取り組んでおられるところですが、オフィスアワーの時間等を拡大するというところ、このようなところが取組としては多いところかと思います。

【田中座長】
 この点も、先ほどのダブルカウントの問題と同じように、法科大学院協会の総会ででも詳しく紹介をして、法科大学院協会の方で、関連委員会などで検討されシンポジウムなどでも議論されることを御検討いただきたいと思います。樫見委員、先ほどの御指摘について、データを頂いて何か、付け加えられることありませんか。

【樫見委員】
 私共の大学は、法学未修者の割合が非常に多い大学でして。ただ、授業というのは、少なくとも1年次である学生については、同じ形で実施するわけで、区分けをするわけにはいかないのです。未修者用、法学既修者であっても1年次に在籍している者と、この取組内容のところのBにありますが、授業方法の工夫という辺りで、どのような取組をしていらっしゃるのか、是非ともお聞きしたいと思いますし。それから、導入教育の実施のところでは、やはり授業をガイドするアドバイザーの指導、補習と、その辺りになりますと、予備校的な教育等とどうすみ分けをするのかという悩ましい問題も出てくると思いますので、その点も少し実態のところを知らせていただければ非常に参考になるのではないかと思います。

【田中座長】
 他に、この課題について何か御意見ございませんか。特にないようでしたら、これもまた引き続き御検討頂かなければならない問題でございますので、今日議論していただきましたことも踏まえて、よろしくお願いいたします。
 続きまして、前回の法科大学院特別委員会で改善状況調査ワーキング・グループの第4回の調査を御報告いただいた際に、適性試験の最低基準点の設定の問題について、御意見の交換をしていただいたところですけれども、これに関して、前回の議論を踏まえて事務局の方でポイントを整理していただきましたので、御説明をお願いします。

【今井専門職大学院室長】
 それでは資料に基づいて御説明、御報告をさせていただきます。資料5-1、5-2と机上配付資料でございます。まず資料5-1では、この特別委員会におきましても、適性試験の改善については、平成21年4月の段階で御提言を頂いております。資料にございますように、「統一的な入学最低基準については、総受験者数の下位から15%程度の人数を目安として、適性試験実施機関が、毎年の総受験者数や得点分布状況などを考慮しながら、当該年度の具体的な基準点を設定すべきである」ということでございます。また、その最低基準点の考え方として、やはり適性試験を課している制度趣旨を無意味にするような著しく低い点数の者を入学させないということで、この設定を考えていく必要があるのだと。また、このようなことを踏まえまして、最後に、最低基準点の設定がなされるべきなのだろうということが提言されております。この点につきまして、私共としましては、適性試験の状況等、最低基準のところのデータを集めているところでございまして、ワーキング・グループなどでも議論を開始したところでございます。また次回の特別委員会の場にそのデータなどもお持ちして具体的な御説明をしたいと思っておりますが、ポイントとしては資料5-2にあるようなところを議論していただくことになるのでないかと思い、御紹介しております。基本的には、法科大学院の入学者の質の保証も含めて担保するために、適性試験を課している制度趣旨、これを踏まえた対応を徹底していただく必要があるのだろうと思っております。そのためには、最低基準点というものをそもそもどのように理解していくのかということで、例外のない基準として設定していくのか、それとも若干の例外があっても原則とした上で例外も認めていくのか。また、出願の資格としてまで設定するのか、合否を判定する際の基準として設定していくのか。この辺りの議論をしていただく必要があるのではないかと認識しております。また、その最低基準点の設定主体でございますが、報告書完成時には、適性試験実施機関をイメージしておりましたが、現段階ではやはり大学での適切な設定が必要になってくるのではないかということが、検討の一つのポイントになるのではないかと思います。また、最低基準点のラインの設定方法については、データで次回以降御説明させていただきたいのですが、下位15%を定数にすることの適切性についての御議論がポイントとしてあるのだろうと思っております。最低基準点の公表につきましても、仮にそのような形で基準として使うのであれば、やはり学生への配慮の観点から明示していく必要があるのだろうと。また、その明示方法としては、例えば募集要項への明記など、何らかの周知が必要なのだろうと思われます。実際にこの募集要項などで明記をする取組も、これから始まっていこうかというところですので、このようなところを整理して、きちんとした形でこの適性試験が置かれた趣旨を達成できるような取組を進めていくことが必要なのだろうと考えているところでございます。
 以上、ポイントを御説明いたしましたが、今後データ等の分析や集計等をいたしまして、次回の会議でも御説明させていただきたいと考えているところでございます。

【田中座長】
 ありがとうございました。ただ今の事務局の整理を踏まえまして、次回以降ワーキング・グループの報告と併せて議論をしていただく予定ですが、今の時点で御意見、御質問がありましたらお願いします。

【磯村委員】
 今御紹介いただいた問題点、まず最低基準点の性格をどう捉えるかということなのですが、既修者として法学部生を採るときに、我々が最も安心して見られるデータというのは、法律試験の成績なのだろうと思うのです。法学部生として非常に成績が優秀であるけれども、適性試験が不得意であるという者がいますが、適性試験のポイントに重要な意味が与えられるとすると、そのような学生を拾い上げることはできないという面があります。あまりリジッドに考えると、あるタイプの学生は適性試験が苦手で、しかし法律が不得意かと言うとそうではないというケースもあるということを前提として御議論いただくと良いのではないかと思いました。

【永田委員】
 この下位15%未満という基準なのですが、磯村委員とは若干違う考え方をしております。現在の司法試験おいて15%未満での合格というのは、データとしても整理されているかと思いますが、極めてエピソード的であると言えます。いくつかの法科大学院でそれぞれのそのようなエピソードをお持ちですが、最近は極めて例外的であります。また、この基準を守れていない法科大学院も含めまして、この基準は妥当であるというところに定着しつつあります。ここまできて、この基準の設定を後退させ例外を認めるべきであるとなると、そもそも適正試験を実施する意味が無くなると思います。個々において、失敗する、成功するということは、どの試験でもあることですから、設けている以上は、例外有りではない方が良いのではないかというのが、私の考え方です。以上です。

【田中座長】
 この適性試験の問題は、法科大学院で学ぶべき法的思考能力の試験ではなく、大学院レベルの学修をする基礎的な一般的適性、素養の試験であるというのが一般的な理解だと思います。磯村委員の示された問題は、他の分野で言うと、例えば、美容専門職大学院などについては、本当に大学院レベルの専門職大学院かどうかということが問題になっておりまして、美容師としての高度のノウハウを身に付けるのに適しているかどうかということよりも、そもそも大学院レベルの学識・素養を持っているかどうかを一般的に判定する適性試験を設けるべきではないかという意見が、専門職大学院全般の見直し論の中でありまして、そのような場合、適性試験に受かることと、美容師としてのノウハウの修得の適性との相関関係は、ロースクール以上にバラつきがあると思われます。そのような問題をどのように評価するかという問題がありまして、なかなか適性試験の位置付け、性格付けは、やはり法的思考能力のテストではないということをわざわざ強調して適性試験を導入していることの趣旨との関連で、磯村委員の指摘された点は難しい問題だと思います。

【永田委員】
 現在は問題形式が変わっていますが、従来の5択の方式で考えると、10問中2問できれば20点取れるのです。あとの8問は鉛筆を転がすと2割ですから16点くらいですから、2問できた人が36点取れる確率があるのです。運の良い人は40点取れる。その意味ではやはり、そのような試験をやりながら、10問中2問くらいしか正答できない受験生でも合格させるというのは、問題があろうかと思います。

【田中座長】
 今、永田委員が御指摘の点、下位15%の適性がどうかというのは、前も議論があったところです。また、どこが設定をするかということも重要な問題で、各法科大学院に任すか、ここでガイドライン的なものを示すかが以前から議論になっています。

【土井委員】
 私もワーキング・グループの委員ですので、その経験で話をさせていただくと、基本的には永田委員に賛成です。磯村先生の勤務校であれば、法律試験の水準等についても、一定の信頼があるという上での議論になるわけですけれども、実地調査に伺いますと、法律試験が良いからとか、小論文試験で良かったからとか、社会人としての実績があるからというような例外を主張されることが多々ございます。もし本当にその例外を認めようとし出しますと、法律試験の水準がどうで、その採点がどうなっていて、入試全体においてどのような位置付けかということを、きちんと押さえない限り、本当に例外なのかどうかは判断し切れない状態になってきます。このままワーキング・グループがずっと続くわけではないと思っておりますが、そのような作業をしない限り、判定できないということは大変な負担で、やはり15%というのは非常に悪い数字ですので、それを目指さなければ駄目だという形でやる方が安定的に運用できる基準になるのではないかと思います。

【笠井治委員】
 磯村委員にたたみ掛けるようで大変申し訳ないのですが、今の問題は入学者の質を確保しなければならないと、そのような施策の状況に置かれているわけです。もちろん、磯村委員がおっしゃったことは、入学者の質はごく例外を認めても確保できるのだとおっしゃっているのだろうと思うのですけれども、先ほどのように、磯村委員の勤務校については、その懸念がないかもしれないのですが、私共、改善状況調査ワーキング・グループで各校を巡った中身、結果としては、確かにエピソードで例外的に15%未満の方でも司法試験合格があり得ても、大きい傾向としては非常に絶望的ではないかと思われるところがありました。それは、そのような学校に共通した問題としてあるのではないかと強い危惧感を持ったわけです。ですから、状況の変化ということが、今後あり得るとは思いますが、それまでは今回の施策を徹底する意味で、疑念を残さないという意味で、基準に例外を残さないようにした方が良いのではないかというのが私の考えです。

【磯村委員】
 制度のマクロ的な運用として考えるときには、御指摘の通りであるということに異論はありません。ただ、問題は例外的にエピソード的なケースがあるという場合に、どこまで裁量の幅を認めるかという話なのだと思います。エクスキューズに使われるということを懸念するあまり、現実にある例外事例を見逃して良いのかという問題提起として御理解いただければと思います。

【田中座長】
 恐らく磯村委員の指摘された事例も適性試験がそういう形で最低ラインを設けていないから、いい加減な受け方をしたということも考えられ、適性試験をこういう形で運用するのだということを周知すれば、それはそれで受験生も然るべく対応できることだと思います。ただ、そうなるとやはり、下位15%が適切なのかどうかということの方が問題になります。あまり厳しくすると、受験者の数が全般的に減っている状況もありますから、厳しいラインを設けることも問題ですが、15%というのが、永田委員が指摘されたようなレベルならば、少し低すぎるのではないかという気もします。

【永田委員】
 結論を次回議論されると思うのですが、ワーキング・グループでも実態を感覚的に把握しておりますし、数値としてもある程度どのような状況か御報告できるかと思いますので、その時にまた御判断いただければと思います。全体として、それが徐々に守られ、やはりどの法科大学院もこの基準以下は絶望的だと。そのような学生を入れている大学ですら、そのような感覚を持ち始めておりますので、その辺もまた次回御報告したいと思います。

【磯村委員】
 一つだけ追加をいたしますと、資料5-1のカッコ書きの中で、下線を引かれている部分が、今の議論の対象となっておりますが、恐らく、これと連動して、大きな点が最初のマルで、法科大学院の入学者選抜においては、適性試験を重要な判定資料として活用することが求められています。問題はこの部分と連動しているところがあって、適性試験の最低基準はクリアしているけれども、法科大学院の受験者の中では、適性試験の点数が非常に低いグループに属するという場合に、適性試験の考慮割合を少なくとも一定程度入れるとすると、その点数によってトータルでの判定の中で非常に不利益を受ける。そういうケースがあり得るように思います。その場合に、三つ目のマルと一つ目のマルの考え方を組み合わせると、適性試験での最低基準は15%割合とするルールにし、しかし、15%を超えた人については、適性試験の考慮割合を著しく小さくするというのは、この考え方から言うとできないように思われます。そういうように考えていくと、適性試験の重みはそれなりにありまして、現在の適性試験をどこまで考慮することが、法曹となるべき人の確保という点から言ってどのように効果的なのか、そこが最大の疑問点であり、したがって、問題は15%の設定よりは、むしろ全体の仕組みの問題なのではないかという気がします。

【木村委員】
 今の点については、私も以前からそう思っておりまして、実は、適性試験の点数は、正確な数字を持っているわけではありませんが、年齢によってかなり違うようです。幅広い方々に法曹に入ってもらうという観点からすると、社会人など色々な経験を積んだ方が相対的に不利になる試験は望ましくないと思います。ですから、今の磯村委員からの御指摘なのですが、どの程度考慮すべきものなのかということについて、もう一度考え直す必要があると思います。

【鎌田委員】
 今御指摘の二つの問題は、別々の問題だと思うわけです。最低点、一定のラインをクリアしていないような人は、法科大学院生として相応しくない。それがこの15%ラインの問題ですが、それとは別に、それぞれの法科大学院で様々な判定をする際に、適性試験にどれぐらいのウェイトを置くかという問題があります。我々は総合判定方式と言っているのですが、やはり社会人の場合や、留学生も少数ですがいますので、そのような人を全て一律に適性試験が何%と単純に計算して足し算をするという判定は適切でないと考えています。それはしかし、各大学が設ける判定基準の作り方の問題ですので、ここで直接取り上げられている対象とは少し区別して議論した方が良いかと思います。資料5-1の一番上にある、重要な判定資料というものをどのような形で運用するかということでは、問題の対象になりますけれども、最低基準点そのものとは少し性質の違うものではないかと思っております。ただ、その中で、15%が良いかどうかということは、十分に議論していただく必要があると思うのは、標準偏差の算定にあたって、上15%、下15%というのは、すごくできる人とすごくできない人とされているのですが、今は適性試験の実受験人数が相当減ってきている。標準偏差の考え方は、できる人からできない人まで均一に受けているという前提での発想でして、ある程度できる人のみしか受けなくなった時に、この考え方で本当に良いのかどうかということは、少し考えていく必要があるのだろうかと考えておりますので、いずれ本格的に検討をする時には、難しい問題にゼロから取り組み直すことになるのかもしれません。

【田中座長】
 そうですね。この適性試験の判定資料のウェイトの問題は、別の論点として、最低基準をクリアしておれば、実質的な判定資料としてはゼロのような形の運用もあり得るわけで、そうすると、適性試験の趣旨からずれてくることも考えられます。適性試験のウェイトが非常に高い選抜方式と非常に低い選抜方式というバリエーションはあり得ると思うのですが・・・。

【永田委員】
 この適性試験の判定資料のウェイトの問題というのは、正確なデータは取っていません。これまでのワーキング・グループでは、そこまで踏み込むことなく、せめて15%未満の者の合格を避けるという方向で改善を図ってきました。

【田中委員】
 これはもう一つのポイントとして付けておいた方が良いかもしれないですね。判定資料にはしているが、チェックするべきポイントとしてほとんど実際の選抜には影響しないという形で運用している可能性はあるのでしょうか。

【永田委員】
 それが良いのかもしれないが、それを基準化することは難しいように思います。

【田中座長】
 そうですね。これは次回もう少し具体的に御検討いただいて、何らかの方針を出すかどうかということは、また御議論いただきたいと思います。本日予定していた議事は以上の通りですが、事務局から今後の日程などについて説明をお願いいたします。

【今井専門職大学院室長】
 どうもありがとうございました。次回につきましては、2月下旬頃に開催させていただく方向で考えております。具体的な日程につきましては、近日中に委員の先生方へ事務局より照会させていただきたいと思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。

【田中座長】
 それでは、本日の議事は以上で終了させていただきます。どうもありがとうございました。

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高等教育局専門教育課専門職大学院室法科大学院係

(高等教育局専門教育課専門職大学院室)