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法科大学院特別委員会(第45回) 議事録

1.日時

平成23年9月14日(水曜日) 10時30分~12時

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 法科大学院の改善状況調査について
  2. 平成23年新司法試験の結果について
  3. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)田中成明、有信陸弘の各臨時委員
(専門委員)井上正仁、笠井治、笠井之彦、樫見由美子、木村光江、杉山忠昭、関一穂、土屋美明、土井真一、永田眞三郎、長谷部由起子、日吉由美子、山本和彦の各専門委員

文部科学省

常盤高等教育局審議官、内藤専門教育課長、中野専門職大学院室長、小代専門教育課課長補佐

5.議事録

【田中座長】
 所定の時刻になりましたので、第45回中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会を開催させていただきます。まず事務局の異動があったということでございますので、事務局より紹介させていただきます。

【中野専門職大学院室長】
 本年9月1日付で、高等教育局担当審議官の小松が私学部長に異動になりました。後任で着任しました常盤審議官でございます。

【常盤高等教育局審議官】
 常盤でございます、どうぞよろしくお願い致します。

【田中座長】
 それでは事務局から配付資料の確認をお願い致します。

【中野専門職大学院室長】
 お手元の議事次第に記載のある配付資料を御確認願います。資料1から資料3-4まで用意しております。
 まず資料1でございますが、前回第44回の本特別委員会の議事録案でございます。こちらにつきましては、修正等を御確認いただき、御連絡くださいますようお願い致します。次に資料2でございますが、各法科大学院の改善状況に係る調査結果。前回の特別委員会で、本特別委員会の下に設けるということが決定されました改善状況調査ワーキング・グループでおまとめいただいた調査結果でございます。それから資料3-1から3-4は司法試験の関係でございまして、資料3-1というのが平成23年新司法試験の結果、法務省大臣官房人事課による資料でございます。資料3-2が「新司法試験結果の分析(法科大学院別)」というものでございます。資料3-3が平成23年新司法試験受験状況の実態等の状況でございます。それから資料3-4が各年度修了者の平成23年までの新司法試験合格状況の資料でございます。また、参考資料といたしまして、参考資料1-1と1-2がございます。1-1は「法曹の養成に関するフォーラム第一次取りまとめ(概要)」でございます。参考資料1-2は表紙に平成23年8月31日と書いてあります、法曹の養成に関するフォーラム第一次取りまとめ本文でございます。資料は以上でございますが、そのほかに机上配付資料といたしまして1~5まで御用意しております。
 資料につきまして欠落等がございましたら事務局までお申し出いただきますようお願い致します。

【田中座長】
 ありがとうございました、それでは議事に入らせていただきます。
 まず、改善状況調査ワーキング・グループの主査である永田委員より、各法科大学院における教育の改善状況に係る調査結果について御報告をお願い致します。

【永田委員】
 それでは改善状況調査ワーキング・グループの主査を務めます永田でございます。
 本ワーキング・グループは前回6月2日開催の本特別委員会において、これまでの第3ワーキング・グループの活動を引き継ぐ組織として設置され、引き続き改善状況に係る調査を実施することになりました。本日は6月2日開催の特別委員会における平成23年度法科大学院入学者選抜に係る審議を踏まえ、本ワーキング・グループが実施致しました各法科大学院の入学者の質の確保に関する取組に係る改善状況調査の結果を御報告いたします。
 平成21年4月の特別委員会報告を踏まえまして、これまでに3回にわたり各法科大学院の教育の改善状況について調査を実施し、その結果の報告により改善の取組を促して参りました。その結果、入学者選抜においてはより多くの法科大学院が競争的な環境の整備等により入学者の質の確保に努めるようになっておりますが、一方で依然として選抜における競争性の確保が不十分なため、適性試験の点数が著しく低い者を入学させたりしている法科大学院も存在いたします。このような状況を踏まえまして、本ワーキング・グループとして、平成23年度入学者選抜の結果から、課題があると考えられる法科大学院に対して、入学定員の見直し等、入学者の質の確保のための取組について調査を実施することといたしました。
 調査の概要ですが2ページ目に入ります。少し長くなりますが御報告いたします。本ワーキング・グループでは、調査方針及び内容について審議した結果、報告書の別紙に示してある通り、32校に対して書面調査、29校に対してヒアリング調査を実施いたしました。
 書面調査は平成23年度入学者選抜の結果、競争倍率が2倍未満となった法科大学院や、適性試験の点数が著しく低い者を合格させた法科大学院に対し、その理由や入学者の質の確保に向けた今後の取組等について調査を実施致しました。次に、書面調査に対する各法科大学院からの回答を分析いたしまして審議を行った結果、平成23年度入学者選抜において、競争倍率が2倍未満となった全ての法科大学院及び適性試験の点数が下位から15%未満の者を入学させた法科大学院に対して、平成24年度入学者選抜の実施に向け、入学者の質の確保を再度強く認識していただくべく、ヒアリング調査を実施することにいたしました。
 調査の結果でございますが、その結果及び本ワーキング・グループとして得ました所感について御報告いたします。総論といたしましては、まず申し上げますけれども、法科大学院が法曹養成機関として社会的責任を果たすためには、入学者選抜の段階で質の高い入学者を確保し、それらの者に対して質の高い教育を行う。その上で厳格な成績評価、修了認定を行うことにより、修了者の質を保証し、すぐれた人材を社会に送り出す入口、それから中身、出口の全体としての取組が必要であります。入学者選抜についての対応のみで足りるわけではないことは言うまでもありませんが、入口の段階である入学者選抜における質の確保は、その後の取組の前提としても極めて重要であり、最低限の質を確保するための選抜システムとして、競争性の確保や入学者選抜における適性試験活用の厳格化が強く求められるところであります。
 ヒアリング調査におきます各法科大学院の説明とそれに対する本ワーキング・グループの考えを御報告するにあたり、少しおさらいになりますが、状況をもう一度申し上げます。平成23年度の入学者選抜の結果、競争倍率が2倍未満となった理由については、入学志願者の減少を挙げる法科大学院が多く、その改善方策として、広報活動の強化や入学者選抜の内容・方法・日程・会場設定等の改善、学生への経済的支援の充実、教育指導体制の強化による新司法試験合格状況の改善への取組等が示されました。しかし、志願者の多寡にかかわらず、入学者の質の確保をしなければならず、そのために競争性の確保が必要であることから、志願者の数の減少は、競争倍率の確保ということの必要性を減ずるということにはなりません。また競争倍率が2倍を下回る結果になるとしても、入学定員の充足や、クラススケールとして必要な入学者数の確保を重視して合格者数を決定したとする法科大学院や、合格発表後に追加合格を出したために、競争倍率がさらに下がってしまうという法科大学院がありました。しかし、入学者数の確保ができたとしても、最終的に修了できない者や、修了しても新司法試験を受けるだけの学力があるという自信を持ち得ない者、あるいは、受けても合格するに至らない者を多数出してしまうことになり、入学者選抜の段階から入学者の質を確保することは極めて重要であります。各法科大学院は入学者選抜において競争性の確保を徹底すべきであり、その結果として、入学者が入学定員を相当に下回る状況が継続する場合には、入学定員自体を見直すなど、さらなる抜本的な改善に取り組む必要があります。また、競争倍率と法科大学院入学後の成績との相関があまり強くないことを理由に、競争倍率が2倍を下回ってもマイナスの影響はない、前年までの入学者選抜に比べて合格水準を下げているわけではないことから入学者の質は確保できている、と説明する法科大学院もございました。しかし、全体の志願者数が減少している中で、競争性の極めて低い入学者選抜において、質の高い入学者を確保し続けることができるかどうかは疑問でございます。また、従来どおりの当該法科大学院の合格水準を維持していれば質が確保できるという見解に対しては、それについては、その合格水準が、普遍性があるとまで言えるかどうかは疑問とする余地があり、入学者選抜における競争性の確保に取り組む必要性を減ずるものでも、説得力のある説明とは言い難いところでございます。さらに、司法制度改革で求められている法曹養成の理念の実現のために、入学者の多様性を確保することに重点を置いて、社会人等の多様な人材に教育を受ける機会を広く提供するようにしていると説明する法科大学院もございました。これにつきましては確かに、法科大学院入学者の多様性を確保することは重要でございますが、結果として新司法試験に合格するレベルにたどり着けないのであれば、多様な法曹を養成するという理念を実現することはおよそできず、むしろ質の低い学生を入学させると、授業等教育全体のレベルが下がる可能性があり、進級・修了の認定も甘くなり、その結果、修了しても新司法試験を受けるだけの学力があるという自信のない者や受けても合格するに至らない者を多数出してしまう。このような状況を反映して、質のよい学生がさらに集まらなくなる、という悪循環に陥ることが懸念されます。入学者の多様性の確保という理念自体の実現を大前提といたしましても、入学者の質の確保を図る必要が当然ございます。
 次に、適性試験については、適性試験の成績と法科大学院入学後の成績、新司法試験の成績との間に有意の相関関係が認められないことや、適性試験の点数が著しく低いものであっても、入学後に学力が伸びる可能性があることから、入学者の選抜の段階で絞りきることは適切でないという説明をする法科大学院もございました。これにつきましては、確かに、適性試験の入学後の成績、新司法試験の成果に正の相関が顕著に認められるとまでは言えないかもしれませんが、適性試験の点数が著しく低い者が、ごく一部の例外を除くと、一般に法科大学院の入学後の成績も良くなく、仮に修了できたとしても新司法試験に合格していないという成績傾向があるということは確かであります。そのような意味から、入学者の選抜における質の確保のための最低ラインとして、適性試験の点数が著しく低い者を合格させることのないように、適性試験に最低基準点を設定し、厳格に入学させることが必要と考えられました。
 さらに、入学者選抜のあり方に関連して、特に法学未修者については、入学者選抜の段階では適性を図ることが困難であるため、入学者選抜の厳格化よりも、むしろ入学後に厳格な成績評価を行うことにより、適性を判別し、適性のない者は進級・修了させないものとすることにより、対応するのが適切であるという意見もございました。しかし、これらにつきましては、法科大学院が法曹養成のための高度専門教育機関であることからすれば、充実した教育を行うことにより、法曹資格を得られるようなレベルに導くことが求められているのであり、また、入学する学生との関連でも、入学後に絞り込むというような対応は多くの学生の期待を裏切りかねないものでもあります。
 今回の調査では、多くの法科大学院から、入学者の質の確保の重要性を認識し、平成24年度以降の入学者選抜において、競争倍率2倍以上の確保や適性試験最低基準点の設定に取り組んでいくことが表明された一方、法曹養成制度全体の問題点を指摘して、個々の大学の努力には限界があることから、取組が困難だとする法科大学院も見受けられました。
 しかし、こうした一部の法科大学院の問題意識は、法科大学院全般の信頼性を失わせることにつながりかねず、また、個々の法科大学院として質の高い修了生を出していく責務を果たすためにも、入口である入学者選抜における入学者の質の確保は極めて重要であり、平成24年度の入学者選抜における改善に期待するところであります。
 調査結果の報告につきましては以上でございますが、今後の取組といたしましては、平成23年新司法試験の結果を踏まえながら、各法科大学院の改善状況について、引き続きフォローアップを実施し、その結果について随時、法科大学院特別委員会に報告していく予定でございます。
 以上が調査結果でございますが、この調査・ヒアリング等をしていく中で、一点このワーキング・グループから所感を示して今後御検討いただきたいという点がございます。最後に「その他」といたしまして、適性試験の最低基準点というものもこの報告書に加えております。この適性試験の最低基準点の設定の必要性に関してですが、先ほどの特別委員会報告では統一的な入学最低基準点については、総受験者の下位から15%程度の人数を目安として、適性試験実施機関は毎年の総受験者数や得点分布状況などを考慮しながら、当該年度の具体的な基準を設定すべきである、とされています。しかし、現状におきましては、適性試験実施機関による得点分布の発表は行われておりますけれども、具体的な最低基準点の設定は行われておりません。適性試験につきましては、高度専門職業人を養成するための基礎としての資質・能力を測る、具体的には、法科大学院教育に適切に対応できることができ、その成果と結びつける資質・能力を測るために、入学者選抜の重要な判定資料として活用することが求められているものであり、適性試験を課している趣旨を無意味にするような、点数の低い者を入学させることがないようにする必要があるということが、提言の趣旨と考えられます。そこで、本ワーキング・グループとしては、実施機関が最低基準点を設定しないとしても、各法科大学院において、最低基準点を設定する必要性について説明してきました。
 また、入学者の質の確保の観点から、自主的に適性試験の最低基準点の設定を行われる法科大学院も多数存在しています。そのほとんどは、特別委員会報告で言及されている下位15%を目安として設定しております。さらに、最低基準点を設定するには至らないものの、全体のうち、54の法科大学院においては、下位15%未満の者を合格とはしておりません。
 一方で、ヒアリングの中で、今回の調査におきまして、適性試験最低基準点の設定について、複数の大学でございますが、適性試験実施機関が設定したらそれに従う、あるいは法令で定められれば守るという意見も一部に見受けられました。こういう状況の中で、本ワーキング・グループは改善を促しているわけでございますが、こうした状況を踏まえまして、この適性試験最低基準点に関しましては、先ほど申しましたように、実施機関による設定が行われていないということから、平成21年4月の特別委員会報告の内容を本委員会で御確認いただき、明確化する必要があるのではないかと考えております。また、この最低基準点を設定していても、その公表の取り扱いは各法科大学院で様々でございます。志願者に対して選抜基準を予め明示することの必要性や、適性試験の運用性について明確なメッセージの発信といった観点から、この方針を導入する点も検討する必要があると考えております。以上でございます。

【田中座長】
 どうもありがとうございました。
 ただいまの永田委員からの御報告に関連いたしまして、事務局から今、追加の資料が配付されておりますけれども、この資料につきまして、事務局から簡単な御説明をいただけますでしょうか。

【中野専門職大学院室長】
 今、永田委員の方から最後に問題提起がございました適性試験についてでございます。 今、配付した資料と共に、机上配付資料1と2もご覧いただければと思います。
 机上配付資料1でございますが、ただ今、永田先生からありました、平成21年4月の本特別委員会の法科大学院の質の向上のための改善方策についての抜粋でございまして、そこで入学者の質と多様性の確保という中の一項目として、適性試験の話が出ております。
 今御説明がございましたように、「適性試験は、法科大学院入学時に、高度専門職業人として備えるべき不可欠の資質・能力を測るものでもあるため、法科大学院の入学者選抜においては、適性試験を重要な判定材料として活用することが求められる」と言っていただいた上で、適性試験を課している制度趣旨を無意味にするような著しく低い点数の者を入学させないよう、統一的な入学最低基準点を設定する必要があるという御提言をいただいております。
 この統一的な入学最低基準点でございますが、先ほど永田先生から御説明がありましたように、三つ目の丸にございます、「総受験者の下位から15%程度の人数を目安として、適性試験実施機関が、毎年の総受験者数や得点分布状況などを考慮しながら、当該年度の具体的な基準点を設定すべきである」ということで、適性試験の実施機関がそういった基準点を設けるべき、というのがこの報告に書かれていたことでございます。なお、それに関連して、認証評価において各法科大学院における入学者の適性試験の得点状況を調査し、当該年度の入学最低基準点に照らして、実施機関による入学最低基準点に照らして適切に運用されているか否かを評価することが必要である、という御提言がございました。
 しかしながら、今、説明がございましたように、実施機関の方では、適性試験は今年から統一されまして適性試験実施委員会で一括してやっていただいているわけですけれども、このような最低基準点の話も公表していない。ただし、点数分布については、細かい資料が提供されているということでございます。それを受けまして机上配付資料2は、先ほどのワーキング・グループの調査の対象であります、適性試験の各大学の最低得点を書面調査いたしましたところ、どのような分布になっているかというものを書いてもらった結果ございます。先に「参考」として、平成23年の入学者選抜ですので、平成22年度に実施した適性試験で下位15%にあたる点数というのは、大学入試センターの適性試験では38点でございます。では実際に23年度に入試を実施しました73校で、合格者の適性試験の最低得点は何点かを調べたところ、30点未満というところが4校、30点以上38点未満、ただし日弁連法務研究財団の場合は、入試センターの点数に換算すると36.9点が下位15%の点数とのことですので、その点を踏まえた結果、15%未満という点数のところが15校、合計で19校ということでございます。それから、15%以上で50点未満というのが46校、50点以上が8校という分布でございます。
 それから、ただ今配付させていただきました、会議後回収と書かせていただいている資料もご覧いただきたいと思います。最低得点と共に、大学が個々に最低基準点を設定しているかどうか、設定の有無を○×で記載しておりまして、○がついているところについては、具体的に何点にしていますかというデータを載せております。一番下の合計にありますように、平成23年度の入試において、設定したと回答いただいたところが27校ございました。ただ、基準点の具体的な中身を見ていただきますと、特定の点数という形で設定している場合と、15%という形で設定している場合がございまして、特定の点数を設定する場合も、必ずしも皆さん同じということではなくて、ちょうど15%のところに設定しているところもあれば、それ以上のところ、若干ですけどそれ以下のところに設定しているところもございます。
 また、先ほど永田先生からありましたように、最低基準点について、多くのところが入試要項などで、あるいはホームページなどで公表しているわけですけれども、必ずしもそうではなくて、基準点としてやっていますと答えていただいている大学もございますし、逆に、基準点は設定していませんという回答だけれども、内規としては定めてありますという大学も含まれておりますので、そういう意味で、必ずしも精緻な結果ではないということを御理解いただければと思います。また、合格者の最低点、下位15%の得点の者が何人入っているかというところについても載せておりますので参考にしていただければと思います。以上でございます。

【田中座長】
 どうもありがとうございました。
 それではまず、永田委員からの先ほどの報告につきまして、御意見、御質問がありましたら、どうぞ。永田委員から最後に御提案がありました、適性試験に関する御提案については別途議論していただきたいと思いますので、最初に、適性試験以外の問題について、全般的な御意見御質問がございましたらよろしくお願い致します。
 ちょっとよろしいですか。全般的に、こういう入学定員の問題とか、実際に入学させている者の数とかを見ると、やはり、各法科大学院で入学者の質を一定レベルに確保することは非常に重要だと、そういう認識が基本的には広がってきている、というような理解でよろしいのでしょうか。問題のある法科大学院はもちろん御指摘のようにあるわけですけれども、全般的にはやはり、無理をして人数を揃えるという発想はあまりなくなってきている、と理解してよろしいのでしょうか。

【永田委員】
 座長のお話の通りあります。全般としては競争倍率の問題も、適性試験の最低基準の設定についても、正面からそれを否定する考え方の法科大学院は、ごく限られています。大方はそれを守っていくべきだという認識にあると思いますが、これが必ずしも実際には遵守されていないのは、やはり全体の志願者数が減少する中で、特に志願者数を多く獲得できない法科大学院では、競争力の確保は重要なのだと認識しつつも、先ほど申し上げましたいろんな理由から、現実にはそれが遵守できないという結果としてなってしまった、というところでございます。
 それで、ヒアリングをしておりましても、ほとんどの法科大学院では、その基準をできる限り守っていきたいという認識にはなってきておりますし、そういう意味では、競争倍率2倍という基準も、適性試験の最低基準点を設けていくということも、いわばデファクト・スタンダードになってきているという感じはいたします。

【有信委員】
 よろしいですか。質問なのですけど、一つはやはり入学試験の成績と司法試験の合格者数には、強い相関があるという前提で考えることができるのですけど、もう一つ、ツールの要件として、法学の既修者と未修者という観点で見たときに、実際の最終的な司法試験の合格者数の合格率は、未修者の方が確かに低いのですが、入学試験という観点で見たときに、どういう取扱いになっているかというところは、特に問題があるようなところで、その取扱いについて教えていただきたい。

【永田委員】
 ヒアリングに際して、その関連での指標で調べておりませんので、十分に把握できておりません。

【井上主査代理】
 入学者選抜はペーパーテストだけでやっているわけではありませんので、確実にこうだということは言えませんけれども、ペーパーテストの結果と入学後のパフォーマンスないし成績、それと司法試験の合格率が有意の、正の相関がある程度認められるのは既修者の場合で、学部の法律の試験の成績との間でも相関が見られることもあります。ただ、法学部の成績については、出身大学によって事情がずいぶん違っていて、学部の成績のつけ方が非常にゆるやかなところから来る人については、あまり当てにならない。厳しいところから来る人については当てになる。こういうことが言えるのですけれども、未修者については、少なくとも今までの経験では、そういう正の関係というのが認められるとまでは言えない。ですから、どの法科大学院でも、未修者については、どういう試験をし、どういう選抜をすれば質のいい人が確保できるのか、試行錯誤している、というのが現状だと思います。
 私どものワーキング・グループが本特別委員会の指示で行ったのは、それとは正反対の方法の観点からのチェックでありました、これぐらいは最低ないと入学してもついていけないだろうし、学力を本当に身につけ、またそれだけの自信を持って修了するということが難しいのではないかと思われる人を入口のところで選抜しているかどうか、ということです。マイナスの方向のチェックでしかありませんので、我々もややうんざりしながらやっているところがあります。そのぐらいのことしか今の段階では申し上げられないのですけれど。

【永田委員】
 若干の法科大学院ですけど、競争倍率2倍、あるいは適性試験の15%未満の者については入学させないという基準について、司法試験の合格との相関関係があるのかという議論をする中で、一部の法科大学院では、各法科大学院で実施している入学試験の成績との相関関係も必ずしも明確ではなく、それも本格的に検証しなくてはならないというような意見もみられました。

【井上主査代理】
 一点付け加えますと、入学者選抜ではなく、法科大学院に入ってからの成績が上位であることと司法試験の合格率とは明らかに正の相関があるというデータが出ています。
 問題は上位ではなくて、真ん中ぐらいから下の方の成績の人について、その辺をどう高めていくかということで、入ってからの問題なのですけれど。

【田中座長】
 今の問題と関係するかもしれないのですが、未修者の入学者選抜は、適性試験と、小論文と面接という形でやっていて、既修者試験の場合と比べて、合否判定データが少ないというところがどうしてもありまして、入学者を見ると、非常によくできる人と、そうでない人、両方いるのですね。結果として、司法試験の合格率が全体としては非常に低くなっていますけれども、みんなできないというのではなくて、既修者以上に非常によくできる人もいるのですね。そのあたりを踏まえて、適性試験の問題と併せて、未修者の試験の仕方の工夫がもっと要るのではないかということも指摘されております。 未修者の質のばらつきが大きいことは。まあ、制度的にやむを得ないところもあります。
 それでは、先ほどの適性試験の問題はあとで議論いただくと話したのですが、適性試験について、先ほど中野室長から説明がありました、この委員会で以前にまとめた報告の改善策で示したスタンスについて、先ほどの永田委員の御提案を踏まえて、明確化するというか、少し修正するとか、あるいは踏み込むとか、そういった辺りについて御意見がございましたらお願いします。

【永田委員】
 ワーキング・グループとしては、こういう問題提起をして、委員会の方で取りまとめていただくということを期待しての付言です。こういう問題を提起する段階に来ているという感じがいたします。

【田中座長】
 特にこういう方向にしたらどうかという御提案ではないのでしょうか。

【永田委員】
 ヒアリングで改善を促す際に、これを基準として明確に示すことが難しいことがあります。この委員会でもう一度御確認いただいて、実施機関が最低基準点を決めていないけれども、これが概ね最低基準であるというようなことを、今回でなくても座長の方でおまとめいただいたものがいただければ、我々としてはやりやすいのですが。
 先ほども申し上げましたが、当初はやはり相関関係がないし、その基準について問題があるという法科大学院が多かったのですけども、次第に変わってまいりまして、適正試験の成績下位15%未満の者を入学させても、例外的に司法試験に合格する者があるかもしれないが、しかしそれは極めてまさに例外的である、そういう認識を大方の法科大学院でも持つようになってきています。
 そういう意味から、この基準は、一応共通の基準になってきているということが言えるものと考えています。

【井上主査代理】
 私どもがお願いしたいは、特別委員会の提言自体は、適性試験の実施機関に最低基準点を決めていただいて、それを踏まえて各校において入学者選抜を行うべきだということになっているのですけれども、実施機関では最低基準点を設定してくださっていないし、そんなことはできないと考えておられる。そのような状況ですから、法科大学院の方では、実施機関が設定してくれればそれを採り入れるつもりだが、設定してくれていないのに、そのような基準を採り入れていないからといって、ワーキング・グループがその点を問題視するっことどうしてできるのかと反問するところもないではない。その点で、ワーキング・グループとして行ってきたことの正当性という点に疑問を抱かれかねないのです。ただ、下位15%というのは、かなり広く共通認識になってきていますので、本委員会としても、もう一歩踏み込んで、そこを明確化し、実施機関が設定しなくても、各校としてこのぐらいを最低基準とすべきだという線を出していただきたいということです。

【田中座長】
 これは確かに、新しいロースクール制度が発足した当初は、先ほども永田委員が指摘されたように、旧試験で勉強した人は、法律専門科目の成績は非常に良いんだけれども適性試験は悪いというケースがあって、そういう人も司法試験に受かっている、という事例を挙げて反論する法科大学院もあったわけですけれども、そういう事例はなくなってきていると思われます。もう一つは、やはり、先ほどの問題とも関連するのですけれども、非法学部とか社会人の法科大学院の受け入れ体制の問題を考えるときに、適性試験のウエイトの問題が非常に重要になってくると思います。現在、こういう共通認識的なものが形成されつつあるということを踏まえて、本調査をやっていただく場合は、指針というかチェックポイントをどうするかについて、今日すぐにということは無理だとしても、意見をもう少し詳しくまとめる必要はありそうです。本年度の入学願書などはもう受付が始まっているところもあるのですが、いつ頃までに方針が決まればいいのでしょうか。ワーキング・グループの調査の進め方として、どうすればいいでしょうか。

【井上主査代理】
 ワーキング・グループとしては、同じ形で調査をするのは、もう勘弁してほしいというのが正直な気持ちです。やるとすれば来年の夏になり、対象となるのは平成24年度入学者選抜ですが、それについてはもう入試要項が発表されていますので、そこに書いてもらうことは最早時機を逸してしまっています。ただ、実施の過程で多くのところが、そういうことを意識しながら選抜をなさっているというのが実態ですので、そこに反映させるということは可能ですし、事実上、これまでの調査結果が伝わっていますので、意識されてやられると思うのですけれども、明記してもらうとすれば平成25年度の入試からになります。それについてもしかし、それほど時間があるわけではなくて、多くの法科大学院では年明けぐらいから入試要項について意思決定のプロセスに入りますので、本委員会としてはっきりさせるとすれば、遅くとも冬ぐらいまでには出しておかないと間に合わないと思います。

【田中座長】
 今日この場で、どうこうしましょうということまでまとめるのは、ちょっと難しいかもわからないので、次回ということになりますが、いつ頃になりますか。

【中野専門職大学院室長】
 後日調整させていただきます。

【田中座長】
 今回はこれぐらいにして、非法学部の入学状況を調べていただいたり、今後のスケジュールを検討していただいたりして、こういう方向でどうだろうかということは、委員の先生方の御意見を伺いながら、原案を作るようにさせていただくということでいかがでしょうか。

【山本委員】
 前提として、この実施機関が、この基準点を設定していないというのは、理由はどの辺りに、そもそも基準点を設定してくださいと誰かが言っているのか。この問いは出したのですが、誰か言っている状態になっているのか。

【田中座長】
 今日は鎌田委員がお見えになっていないので、鎌田委員に確認しないとよく分からないのですが・・・・。

【井上主査代理】
 それとなく伝わってくるところによると、実施機関としてこれが最低基準だというふうに言うことは非常に難しい。これを下回ると法科大学院に入る資格がない、あるいは、入っても無理だと、そういう線引きを実施機関として責任をもってやるのは非常に難しい、あるいはやりたくない、ということかもしれませんが、そういうことではないでしょうか。

【有信委員】
 この検討の中で、非常に入学定員が少ない法科大学院がいくつかありますよね。こういうところについて言うと、例えば最低点とか、15%とか、そういう仕切りは数字上ほとんど意味がないし、もっと個別の内容を本当は見ていかなければいけないか。そうでないとすると、例えば適性試験についても、何大学か合同で試験をやるかとか、そういう数の問題が多分あると思うのですけどいかがでしょうか。

【井上主査代理】
 15%というのは、個別の法科大学院受験者の中での下位15%ということではなく、適性試験受験者全体の中での下位15%でありまして、そこにすら達しないのは、著しく低いということです。

【有信委員】
 だとすると、定員が非常に少ないところというのは、実際にはかなり問題のありそうなところも含まれているので、相当個別に具体的な指導ができるということと理解していいわけですか。

【永田委員】
 下位15%というのは、非常に低い点数です。仮に適正試験の問題が五肢中一肢を選択するとしますと、全くわからなくても、確率的には、100点満点中20点は取れるわけです。ですから、10問中2問が解れば、その20点を基礎に、残り8問について当てずっぽうに選択しても確率的にはプラス16点となる計算になり、36点となります。3問解れば、44点になります。すなわち、下位15%というのが、これまでの実績では100点満点で換算すれば40点前後でしたから、その受験生は10問中3問できるかできないかの非常に低い位置以下にあるということです。先ほども申しましたけれども、従来、低い点数で入学させていた法科大学院でも、その院生が司法試験に合格することは、エピソード的に例外はありうるけれども、ほぼ絶望的であるというような認識になってきています。

【日吉委員】
 適性試験の性格なのですが、試験としての、一つ質問がございます。私も受けた口なのですけれども、受けた感覚で言いますと、言葉は悪いのですが一種の知能テストだったような記憶がございます。そうして、あるところでデファクト・スタンダードを設定して切る。私のかすかな記憶が正しいとすれば、知能テスト的な性格のものでデファクト・スタンダードを設定するということにした場合に、果たしてそれが全国の15%という、それは一種の相対評価なわけですけれども、そういう設定の仕方がいいのか。それとも、出題を考えておられる機関の方で、ある程度デファクト・スタンダードとして何点というような絶対評価的な点数の設定の方が、試験の出題の仕方との関係で相応しいのか、ちょっとその辺りがよくわからないのですが。

【永田委員】
 それは当初からある問題でもありまして、それから適性試験がどういう意味でなされるかで、大きく二つに分かれております。高度専門職業人としての資質、ある意味では知能テスト的なものになるという考え方もありますし、一方では、法科大学院の教育に耐えうるかどうかという点であって、あるいは、法科大学院に特化して、それに向けた適性試験かどうかという議論もあります。
 いずれにしても、適性試験は法制度上求められているわけですから、それを廃止してしまうならともかくとしまして、そういう制度がある以上、その中でどういう運用が適切かということは考えざるを得ないものでございます。それが数年前の特別委員会では、当初考えた線の30%の半分くらいのところを15%まで切り下げて、偏差値を計算する場合の一般的な考え方からも、15%以下を除くという基準は、低すぎるかもしれないが高すぎることはないだろうという議論をしたわけです。というところで、私どもも特別委員会の議論を踏まえまして、各法科大学院に対応してきたという状況でございます。以上です。

【井上主査代理】
 どこが設定するのかというのは、結局、入学者の質の確保の責任をどこが負うのかという問題だろうと思いますので、最終的には個々の法科大学院ではないか。ただ、そのために意味あるものとして、適性試験を実施する機関において、毎年の適性試験の内容・結果に応じて目安を設定していただこう、というのが本委員会の提言の趣旨であったかと思うのですが、実施機関としては、適性試験の成績は相対的なものなので、ここが最低基準だとは言いにくいことがあるのかもしれません。
 そうすると、各法科大学院の責任で設定していただくしかないわけですが、その際、各校があまりばらばらでも適切でもありませんので、質の確保という意味で目安を示すのは本委員会の責務ではないか。その意味で、本委員会で明確化していただくべきだと、私は考えます。

【土屋委員】
 適性試験は一種の予備試験的な性格を強めるような方向かなということが一つ心配なところであるのです。最初から、適性試験が行われた時期の議論を思い起こしていくと、そこに一種の強い拘束力、その結果に対してですね、拘束力を求めるようなことではなくて、適性試験の結果をそれぞれの法科大学院が独自に判定をして、選抜に役立てるということだったように思います。それを、将来の法曹としての到達地というか、そういう結果とも睨み合わせながら活用していくというような趣旨で、拘束されない試験だと思うんですけれども、それが、最低基準点というようなことで、一種の、事実上の効力を持っているというようなことになると、試験の性格が、位置付けが変わってくるのではないかという気がします。今、適性試験の制度について、委員会で今までと違う形で一本化が実際に行われていこうとしておりますので、そういう動きと絡めながら、結構大きな役割を果たしていく結果になりはしないかな、というような気がするのです。そうすると、この場ですぐ決めてしまうというよりは、もうちょっと、例えば日弁連法務研究財団にヒアリングするとか、法科大学院協会にヒアリングするとか、適性試験の意味付け、位置付けみたいなものをもう一度考え直して、そこから決めていくのが良いのではないかなと、そんなことを感じております。
 私は最低基準点そのものが、下位15%で事実上機能していく、させていくということについては反対するものではありませんけれども、実際にメンテナンスをしないで運用されていくと、それは別の意味になってくる。制度設計全体にも影響してくるものがあるのではないかなということを感じています。

【田中座長】
 今の点につきまして、適性試験の位置づけについて、いろんな意見があったのですが、法科大学院の入学者の質を一定レベルに確保するために全国統一の適性試験が必要だということは、やはり当初から含まれていたのです。特に法科大学院ということで、法的な思考能力などの適性を備えているかどうかのテストではないということになりましたけれども、一般的に、専門職大学院レベルの教育を受けるのに適した能力を備えていることを判定し、法科大学院入学者のレベルを維持するというのが適性試験の基本的な性格としてあったわけです。入学者選抜は各法科大学院の判断に任せるけれど、一定の学生のレベルは確保し、プロセスとしての法曹養成の出発点についても一定のレベルは維持する必要があるということが、適性試験のミニマムの役割として了解があったと思います。法科大学院の入学者の質の確保ということがこれだけ問題になってくると、やはり適性試験のそういう側面についてももう少し詰めて考えなければならない状況になってきたのではないかと。そういう流れだと私自身は理解しております。土屋委員がおっしゃるように、全くこういうことが、適性試験の機能というか役割に含まれてなかったというわけではないと思っています。

【土屋委員】
 おっしゃる通りだと思うのですが、一方ではまた、適性試験をこういう形で、非常に得点が低い人も入学させるというような形で使われることも想定されていなかったわけです。それで、適性試験制度というのはやはり、それなりに参考にして入学手続に活用するというふうなことが盛り込まれていたはずなのに、これはやはり、法科大学院の方に結構問題がある、というように私は思うのですけど。ただ、そのことと、つまり理想的な形で適性試験が活用されているわけではないということと、その結果に対して、先ほど一種の拘束力みたいなことを言いましたけれども、そういう事実上の足切りというのを強く出した拘束力を与えることについては、いろいろ議論があろうかと思います。そういう意味でもう少し、日弁連法務研究財団とかの意見を伺った上で決めてもいいのではないかと。そういうことです。

【井上主査代理】
 土屋さんの御懸念はよくわかるのですが、これは今回新たに出てきた話ではなく、御承知のように、前期の特別委員会の下で木蹴られていた第1ワーキング・グループでかなり突っ込んだ議論して、このぐらいが最低基準だろうということになった。ではないかと。ただ、その年ごとの適性試験の難易度の違いなどもあるので、実施機関において15%ぐらいを目途に最低基準を出してもらって、それを踏まえて各校において選抜をすべきだ、という提言になったわけです。
 もう一つ、制度を立ち上げる時、適性試験がもっと意味のあるもの、活用できるものとなると多くの人が期待を抱いていたのですが、残念ながら今までのところ、プラスの方向の意味づけというのはなかなかしにくい状況です。適性試験の機関が統一され、精度を上げていただくよう期待しているところなのですけれども、現状ではむしろ、マイナスの方向の意味、つまり最低限の質を確保するという点で一定の意味があるという認識はかなり広く共有されており、そのような使い方をすべきだということだろうと思うのです。その際、今問題になっている下位15%というのは、実は相当低い数字であり、統制と言うにはちょっと恥ずかしい話なのです。これがもっと高いところに設定され、それによって足切りということであれば、おっしゃるような問題も出てこようかと思うのですが、本当に最低限の数字なものですから、土屋さんの問題とされているところとは違っているような感じがします。

【土井委員】
 実際の最低点と言いますか、この程度を目安にするということ自体は、全く異論はないのですけど、先ほどから言われているように、技術的にどういう設定のさせ方をするかというのはいろんなやり方があります。実施機関側に任せるというやり方をすると、結局は、先ほど土屋委員から少し出ましたけれども、適性試験の合格・不合格という認定をさせてしまうということになりますし、法科大学院側に設定させますと、ワーキング・グループの経験では、いろんなやり方を大学はやっていて、端から入学の受験資格を認めない設定をやっているところと、受験資格は認めるけれども実際の合否判断で切るところとか、いろいろ聞いております。
 それから、評価機関の中には、最低基準点を実施機関が設定するという文言を入れて評価基準を作っているところもあって、二順目の評価が始まるということにもなろうかと思いますので、基本的にどういう方法にするか、ある程度技術的にも方向を示さないといけないと思います。今日はそこまで詰められないと思いますが、次の機会には大体こういう方向でというのをお示しいただく必要があるのではないかと思います。

【中野専門職大学院室長】
 すみません、事務的に少し補足をさせていただきます。適性試験について、経緯のおさらいですけれども、適性試験をやるということ、適性試験は法律学についての知識ではなく、法科大学院に来る前提として要求される判断力、思考力、表現力等の資質を試すものということは、司法制度改革審議会意見書から言われていることで、そのあと実際にやっていただいたということを一点申し上げます。
 それともう一つ、今、井上先生から前期の特別委員会の第1ワーキング・グループのお話がありましたけれども、このワーキング・グループでは入試の問題、つまり入口の問題を色々とかなり議論をしていただきまして、その中で適性試験の話も出てきたということなのですけれども、その時の第1ワーキング・グループの主査は鎌田先生だったのですが、第1ワーキング・グループの主査から特別委員会に、この件について御報告があった時も、過去の法科大学院特別委員会の議事録をもとに、なぜ目安が15%なのかというところを、今日資料2で御報告のあった改善状況調査ワーキング・グループの調査結果の4ページの上の方に、※印で書いてございます。適性試験最低基準点の目安については、絶対点の設定は困難かと。先程は絶対点という話もあったのですけれども、設定は困難で必ずしも適切ではないということで、相対的な得点分布を基に平均点の上下標準偏差の広がりとして、概ね七割の者が入るところが標準偏差の範囲とされ、そこから外れる上下15%のうち、下位の15%については著しく低い得点として考えられることなどを踏まえて、目安として提言されたものであるという記載がございます。次回の御議論の際は、参考に、その当時の議事録等も整理して御用意させていただきたいと思いますが、参考までに申し上げます。

【田中座長】
 法科大学院の教育の質の向上に対応するというよりも、これは困るというような話なので、あまり時期的に積極的に議論してもどうなのかという感もあるのですけれども、理論的には非常に難しい問題です。どこが基準を設定するのかということは、これ以上の成績であったら法科大学院で学ぶ能力、資格があるということを、この委員会などで決めるのか、それとも、各法科大学院の責任で決めるのか、あるいは、適性試験の実施機関が決めるのかということになるわけですが、なかなか詰めにくい問題です。制度設計している段階では、適性試験の成績が四割とか五割以下だと、法科大学院の入試資格そのものを与える必要はないのではないかというような意見も結構あったのですけど、適性試験の実施機関が一つに統一できなかったとか、いろいろありまして、そういう議論がつまらないままに、とにかく適性試験利用を義務付ける方向がやっと決まったというのが実情です。これまでの議論の経緯とか、制度的にもどういう問題があるかということを、次回までに詰めて於いていただくということでお願い致します。
 いろいろ御議論いただきましたけれども、こういうあまり生産的でないことも議論しなければならないということは、法科大学院を取り巻く状況が非常に厳しく、各法科大学院においても、鋭意改善に取り組んでいただく必要があるというところです。
 そこで、改善状況調査ワーキング・グループの方々には申し訳ないのですけど、引き続き、今回の新司法試験の結果を踏まえてフォローアップをお願いしたいと思いますのでよろしくお願い致します。
 それでは続きまして、先週の8日に平成23年度の新司法試験の結果が法務省より公表されましたので、関委員から御説明をいただけますでしょうか。

【関委員】
 法務省の関でございます、それではただ今御紹介いただきました、9月8日に発表されました新司法試験の結果について説明をさせていただきます。資料でございますけれども、資料3でございまして、先ほど内容については事務局から説明があった通りのものでございます。
 まず資料3-1をご覧いただけますでしょうか。こちらは平成23年新司法試験の結果の概要でございます。今回の合格者数でございますけれども、昨年の2,074人より11人少ない2,063人という結果でございました。受験者数は8,765人、合格率は23.5%ということになります。六回目の試験ということでございますので、既修、未修の別、修了年度、受験回数等が異なるなど、受験者層の多様化がますます進んでおります。ということで、過去の試験結果と単純に比較することは困難でございますし、これから詳しく分析する必要があると思いますが、幾つかの点に注目して御紹介させていただきます。
 資料3-2をご覧いただけますでしょうか。こちらの方は法科大学院別の合格者数ということでございまして、黄色に色分けされた右側の方、こちらが平成23年分ということになります。まず、合格者の全体というところが、3つ枠がございまして、一番左側になりますけれども、この全体の合格者をご覧いただけますでしょうか、二番目の合格者欄というところでございますが、こちらをご覧いただけますでしょうか。ピンクで色分けされておりますけども、こちらが50人以上の合格者を出した法科大学院でございまして、10校、具体的には東北、東京、一橋、京都、神戸、慶應、中央、明治、早稲田、同志社でございますけれども、ありました。合格者50人以上の10校で全合格者の59.1%に相当いたします、1,220人を占めております。一方、緑に色分けされているところが5人以下の合格者を出した法科大学院でございまして、こちらの方は23校ございました。こちらの方を全部御紹介いたしますと時間がかかりますのでご覧いただければというふうに思います。次に合格率をご覧いただけますでしょうか。全体の合格率は下にございます23.54%ということで、23.54%以上の合格率を上げている法科大学院は、合格率の欄にピンク色で色付けをいたしました18校でございまして、そのうち3校が合格率50%以上、一橋が57.75%、京都が54.6%、東大が50.48%ということになります。尚、全体の合格率23.54%以上の合格率を上げました18校で、全合格者の70.09%を占めております。一方、全体の合格率23.54%の半分の合格率、即ち11.77%に満たない合格率しか上げられなかった法科大学院が、緑に色付けされました32校ということになります。このような法科大学院毎の合格率のばらつきの傾向は昨年までと同様でございます。
 引き続き資料3-2をご覧いただけますでしょうか。こちらのほうで既修、未修の別、平成23年の欄の下のほうに本年の既修、未修の合格率が記載されてございます。水色に色分けされているものが既修でございまして、35.42%、昨年度は37.02%、ベージュ色に色分けされている未修が16.23%、昨年度が17.30%となっておりまして、本年も既修者に比して未修者の合格率が低いということがお分かりいただけるというふうに思います。
 続いて資料3-3をご覧いただけますでしょうか。こちらが受験状況ということになりますけれども、右側の合格者というところの欄に、修了年度別の既修者、未修者の合格者数と合格率が記載されてございます。直近に修了した平成22年度修了者の受験者の合格率を見ますと、既修者の合格率が41.8%、未修者が23.7%、下から五つ目のマスの一番右側の数字でございますけれども、このような数字となってございます。既修者、未修者、ともに修了してすぐの受験者ほど合格率が高く、修了後、年数を経た受験者ほど合格率は悪くなるという傾向も、昨年度と同様でございました。法科大学院の教育成果が端的に現れる直近の修了者の合格率が高く出ているということは、基本的に望ましい傾向であると考えます。しかしここでも、法科大学院ごとに合格率のばらつきがございます。
 資料3-4をご覧いただけますでしょうか。こちらも右側の黄色の部分をご覧いただきまして、直近の平成22年度修了者の対受験者の合格率がこちらに記載されてございます。このうちピンク色に色分けされたところが、対受験者合格率が50%以上の法科大学院でございまして、これが6校ございます。他方、平成22年度修了者の受験者がゼロだった1校を含めまして、合格率が10%未満の法科大学院が緑色に色分けされた25校でございます。このうち平成22年度修了者の合格者数ゼロの法科大学院が12校ございました。続きまして累積の合格者数について、引き続きこの資料をご覧いただきます。今回は平成20年度修了者が初めて受験しました平成21年の試験から数えて三回目の試験となりました。平成20年度修了者につきましては、これまで一度も受験していない人がどの程度いるかは現段階ではわかりませんが、本年までに三回の受験が可能でございまして、文部科学省から御提供いただいたデータによりますと、平成20年度修了者は4,994人ということでございます。全修了者のうち、44.6%に相当する2,228人が合格したということがわかります。表の真ん中あたり、平成20年度修了者のところの一番下をご覧いただきますと2,228人が合格しているということがわかるわけでございます。また、同様に隣の平成19年度の修了者につきましては、全修了者の45.3%、18年度修了者が49.6%合格しているということがわかります。さらに、平成18年から平成20年までの各年度の累積合格率の上位10校をベージュに色分けしてございます。これを見ますと上位10校はいずれも修了者の六割を越える者が合格している、ということがお分かりいただけます。最後に資格喪失者についてでございますけれども、司法試験を三回受験して合格できずに受験資格を喪失したものの数につきましては、今年新たに1,382人出ておりまして、そのうち、既修者が433名、未修者が949名ということになります。尚、この中には旧司法試験と新司法試験を合わせて三回受験したものの、合格せずに資格を喪失した者が含まれておりまして、新司法試験のみを三回受験したものの、合格しなかった者の数は1,324人、内訳は既修者が388人、未修者が936人でございました。ちなみに、法科大学院修了者の全てが修了後5年間に三回受験するわけではなく、途中で進路変更するなどして受験をしない者もございます。受験をしなければカウントされませんが、平成18年修了者につきましては三回の受験資格を使い切らないまま、今年の試験で5年間経過したということになりますので、受験資格を失った者もいると思われます。このような者は、今御紹介した数には含まれていないということになるわけでございます。私からは以上でございます。

【田中座長】
 ありがとうございました。
 ただ今の御説明について、御意見、御質問がありましたら御発言いただきたいと思いますが、机上配付資料について、事務局から御説明していただけますか。

【中野専門職大学院室長】
 机上配付資料の3と4も司法試験の関係の資料でございまして、ごく簡単に申し上げますと、机上配付資料3は関委員から御説明のあった資料3-4と少し似ているのですが、新司法試験の合格状況。修了年度別で、既修、未修にも分けてございますので、御参考にしていただければと思います。修了年度が左から右に平成17年度から平成22年度まであり、縦にそれぞれの18年以降の新司法試験の状況、そして受験者数・合格者数を載せてあります。平成17年度修了者につきましては、既に平成22年までに五回が終わっているということで、これは17年度ですから既修者のみですけれども、それについて各回の合格者、五回終わっての合格者の計、それから修了者に対する合格者数の割合、そして逆に、平成17年度修了者の場合は五回の試験が終わり、結局進路変更も含めて合格に至らなかった者が何人かという見方になります。平成18年度以降は、平成18年度修了者について5年が終わったという紹介が関委員よりありましたけれども、平成18年度修了生については今年で5年経ち、五回の司法試験が終わりまして、今年初めて法学未修者の方も5年が終わった方が出たということでございます。平成19、20、21、22年度修了者につきましては、御案内のように未だ五回の司法試験が終わっておりませんので、最終結果ではございませんが、法学既修者と法学未修者ということで差があるということが特徴かと思っています。それから机上資料4につきましては、これは大学別にしたものですけれども、今申し上げたように、5年間経った18年度修了者につきまして、法科大学院毎に修了者に対する最終的な合格者数の割合、とりわけ既修未修別で見るとどうかという数値を挙げておりまして、全体としては、繰り返しになりますが法学既修者の方が多く受かり、法学未修者の方が割合は低いという傾向ではございます。しかし個々に見ていただきますと、法学未修者の方もかなり受かっておられる法科大学院もあるということでございます。以上でございます。

【田中座長】
 ありがとうございました。
 この結果について御意見御質問ございましたら御発言ください。

【土井委員】
 最後の結果の資料を拝見させていただいて、私自身が問題かなと考えます三点について申し上げます。
 一つ目は、司法試験委員会の方でお決めになっておられることではありますが、平成20年以降、1,000人を超えた段階で合格者の横這い状態が続いていて、当初の想定とは異なる事態が続いている点が問題だと思います。
 もう一つの問題は、各法科大学院間で合格率、あるいは合格者数の格差が顕著になっているということです。
 三つ目が既修者と未修者の間での格差が顕著になっていることだと思います。
 各法科大学院での格差の問題は、各法科大学院で対応してくださいと、ワーキング・グループも含めて働きかけることだろうと思いますが、既修者と未修者の格差の方は、法科大学院の制度設計や司法試験の在り方を含めて、制度的要因がかなり強い問題なのだろうと思います。未修者教育の改善については平成21年に本委員会が出した報告があって、法律基本科目の上限単位数を6単位増にするということをやっております。それ自体の効果はまだ出ていないので、その効果を見てみないと解らないという部分はあります。それにしても机上資料の中で、新司法試験の合格者の状況を見ますと、平成18年度未修修了者の数値では、修了者数2,563人に対して合格者が1,012人で未合格者が1,551人、基本的には四割程度しか合格出来なかったという結果が出ています。これを考えると、やはり未修者の教育課程、あるいは教育の在り方について、平成21年の報告の結果を見て、継続して検討していく必要があるのではないかという印象を受けました。

【田中座長】
 ありがとうございました。
 どれも難しい問題で、とくに最後の既修・未修の問題は、この試験結果だけではなく、各法科大学院での未修者の学内成績と司法試験の結果との相関関係などをもう少し詳しく調べてみないと、よく解らないところがあると思うのですけれども、先程来の適性試験の問題の扱い方と関連しているところもありますし、フォーラムの方でも重要な問題となっているようですので検討を深めることが必要だと思います。

【土井委員】
 第2ワーキング・グループでコア・カリキュラムを検討した時にも議論になりましたし、特別委員会の報告の時にも申し上げさせていただいたのですけれども、我々のような法科大学院で教育に当たっている者の意識もそうですし、多分新司法試験の側もそうなのだろうと思いますが、何となく、法学部4年を卒業した者プラス既修2年で期待される標準的な能力というものが漠然と想定されてしまっているのではないでしょうか。しかし、法科大学院は3年課程というのが本来の在り方で、その3年間で何を学べるか、その成果を確認するというのが筋だと思うのです。
 法科大学院で法曹養成教育を改善し強化するという目的で制度設計はされているのだと思うのですが、しかし例えば司法試験の科目数だけ見ましても、旧司法試験で法学部4年を前提にしていた時に短答式3科目、論文式6科目で実施していました。他方、法科大学院の未修者3年課程を想定すべきところ、短答式7科目、論文式8科目という形になっているわけです。勿論、教育の方法等改善し充実した教育ということは当然だと思うのですけれど、単純に標準年限を考えてみた場合に、学部に4年対して法科大学院は3年と短くなっているのだけれども、司法試験の科目数を増やしている。そこに今度は質と言いますか、試験の水準の問題も絡んできますので、そういうことを考えるとやはり未修者の3年で何ができるか、ということについて考えて、それからその成果を試す試験方法を考えてみませんと、どうしても従来の上積み式でやっていくと、コア・カリキュラムの時もそうだったのですが、ただただ膨らんでいって、高い水準を求めるということになってしまいます。しかも合格者数が増えませんので結局未修者と既修者が競争になり、最初からイコールフッティングではないという事態が起きているのだろうと思います。まずそういう所を全体として考える必要があるのではないかなという気がします。

【井上主査代理】
 私も基本的には土井さんと同じような問題意識抱いているのですが、数字と言うのは難しくて、18年度についてはもうほぼ完結した数字が出ているのですけれども、この18年度というのは未修の場合第一期として入って来た人たちであり、社会に長年潜在していた志の高い人が多数入って来て、教育現場にいてもそういう熱気を強く感じたものでしたが、これが変わってきていますので、現段階での実態はもっと広がっているかもしれません。
 もう一つは、法科大学院によって未修と一口に言っても、中身が随分違う。いわゆる純粋未修の人がかなり多いところがある一方、法学部などで法律を勉強してきながら未修に入っている人たちが大半を占めているところも少なくなくて、それによって数字の意味付けが違うものですから、その辺にも立ち入って分析するとともに、例えば非常に良い実績を残しているところについて個別にパイロット・スタディのようなことをして、どういうところに理由があるのかを検討してみる、といったことも考えられるように思います。これまで何かマイナスの方の原因分析ばかりやっていたのですけれども、プラスの方の要因についても分析して、モデルケースにできるような形で議論していければという気がしています。
 司法試験の問題については又、フォーラム等でも当然議論になると思いますが、そこも重要な論点であることは間違いありません。

【田中座長】
 これは法科大学院の教育の問題と同時に、司法試験の在り方にも関連していますけれども、その年度に修了してすぐに合格する者が、五割以上いるというのは、試験制度としてはまあまあ難関大学の入学試験並みだという意味でかなり改善したというところはあるのではないかと思われます。また、全般的な傾向としては、既修者の合格率が非常に高くて、その次は未修者で法学部卒、それから未修者の非法学部卒というふうな状勢になっていることをどう評価するかという問題があります。さらに、合格者が2,000人ほどで停滞している問題についても、例えば2,000人に続くあと数百人ぐらいのその後の状況について、その人達もほとんど次年度の試験には合格しているのか、それともこの辺りの成績の人は、その後も成績があまり伸びず何回も試験を受け続けているのか、また、未修者と未修者で違いがあるのかどうかなど、少し詳しく調べて試験制度が適切に機能しているかどうかを検証することも必要だと思います。

【笠井(治)委員】
 先程土井委員と井上委員がおっしゃったことについて、私も非常に同感するのですけど、数字というのは非常に確かにどういうふうに見るかという見方、中身は正確に捉えないと非常に難しいのですけど、非常に大雑把に言って確かに既修の合格率が良いと。未修の中には抜け駆けできるのかも知れませんけど、一般的には既修よりも合格率が悪いという関係の中で、むしろやはり良い方を見た場合どうなのかと。そこでもらわれている教育の、具体的にどういうものなのかということですね。未修者は必ずしも合格率の通りに、本当にその能力が司法試験に反映されているかどうか、私の個人的な意見ですけど、きちんと反映されているとは言えないように思うのですね。合格率よりも高い能力を持った未修者の方達が沢山いるのだろうと思うのです。そういう所で、個別の法科大学院で成功していると言うと変ですけど、成功している法科大学院の教育内容はいったいどういうものなのかという点について、いろいろな角度から基本科目と実務科目での教育の違い等も含めまして、調査するのは非常に難しいかも知れませんけれども、何かヒントになるようなものはないかなと、そこを調べていただけると有り難いかなというふうに思います。

【田中座長】
 確かにマイナス面ばかりではなくポジティブな面についても、具体的な事例に則した検討が必要で、比較的にまずまずの成功をおさめている法科大学院について、数字だけ見て云々されているイメージとどういう違う結果が見られ得るかということをきちんと検証することが必要ですね。また第3ワーキング・グループにお願いするというのも何なのですが・・・。

【笠井(治)委員】
 第3ワーキング・グループのプラス版ですか。

【田中座長】
 確かに数字だけ見ると、各法科大学院について司法試験の結果に相当程度の格差が出てきているということがわかるのですが、やはり教育内容にもかなり格差があると思われるので、その辺り全部まとめて、悪い面ばかり検討するのではなくて、良い面をどうして伸ばしていくかという調査検討も、第3ワーキング・グループでやるか第4ワーキング・グループを設置することになるかはともかくとして、是非とも検討した方が良いと思います。数字だけ見ると、上手く行ってないようにも見えますが、しかし、全体としては、ロースクールを修了してすぐに司法試験に合格する者が相当数出てきてというのは、プロセスとしては基本的に上手く行っているという面もあるわけですから、上手く行っている法科大学院の事例を、もっと広く認識していただく工夫をする方が、適性試験の最低点をどうするかという話よりも生産的だと思います。
 土井委員、井上委員に御指摘いただいた点と、それから、ネガティブな面でだけではなくポジティブな面について、数字だけでなく具体的な事例に即して、もう少し分析検討すべきたということについては、ほとんど御異論はないと思うので、どういうふうに進めるか、検討させていただきたいと思います。
 次に、この司法試験の結果と改善状況調査ワーキング・グループの調査結果を頂きまして、事務局と相談して座長として何かまとめをしてはどうかということで、文章をまとめさせていただきました。内容については従来とあまり変わらないのですが、従来は非常に申し訳ないことに私が欠席の状況で、代理の井上委員にお願いしていたのですが、今回は私が説明させていただきます。内容的には、司法試験の合格者数については従来と同じく遺憾の意を表明したことと、改善状況の調査結果を全体としてみると、苦しい状況の中で改善は相当進んでいるとは思うのですが、やはり問題のある法科大学院が存在することは事実でして、このことが法科大学院全体のイメージや評価に非常にマイナスになっているので、やはり、事態が非常に厳しいということを認識していただくという趣旨で、机上に配付させていただいているような内容の文書を出させていただきたいと思います。それでよろしいでしょうか。
 それでは文科省の方でも、全ての法科大学院に対し、この談話の趣旨をしっかりお伝えいただくようお願いしたいと思います。
  次に8月31日に法曹の養成に関するフォーラムの第一次取りまとめがまとまったということですので、事務局より報告をお願い致します。

【中野専門職大学院室長】
 参考資料1-1が今の取りまとめの概要でございます。1-2もそうでございますけど、1-1で御覧いただきたいと思います。
 法曹の養成に関するフォーラムでございますが、前回、特別委員会で設置について御報告させていただきましたように、法曹養成制度全体について政府として検討するためということで、関係の六大臣の申し合わせで、本年の5月に設置されたものでございます。今までのフォーラムでの検討の結果や、名簿については資料1-1の2枚目3枚目にございますので、ご覧いただきたいと思います。このフォーラムの検討課題として二つの事がございました。一つは内容で言うと第一のところですけれども、個々の司法修習修了者の経済的な状況等を勘案した措置の在り方について、司法研修生の修習資金について貸与制、給費制ということの議論でございます。
 もう一つ目は第二のところにあります、法曹の養成に関する制度全体の在り方ということでございましたが、このうち第一につきましては昨年の11月に司法修習生の給費制を貸与制にするということについて裁判所法の改正で、1年間貸与制への移行を延期するという改正が為された時に、1年後までに政府として検討してくださいということが、今回から決議という形で政府に示されておりました関係で、早急に結論を出さないといけなということで、フォーラムでもこちらの方を先ずは重点的に御議論いただいて、今回、第一の点について結論的なものをまとめていただいているということです。
 内容ですけど、「司法修習の意義の経済的支援の必要性について」ここに書いてあるようなことを確認していただいた上で、経済的支援の基本的な在り方として、貸与制を基本とした上、個々の司法修習修了者の経済的な状況等を勘案した措置、即ち、十分な資力を有しない者に対する負担軽減措置を講ずるという取りまとめでございます。具体的な個々の司法修習修了者の経済的な状況等を勘案した措置の内容は三つ目の四角にある通りでございまして、十分な資力を有しない方について、返還猶予をするという結論でございます。
 それから第二の「法曹の養成に関する制度の在り方」につきましては、よりこの特別委員会の議論にも大きく関係することかと思いますけれども、先ず今の時点で、それほど沢山御議論されたということではなくて、出た意見を紹介するという形でのまとめになっております。具体的には本文14ページ辺りからありますので、後ほどご覧いただきたいと思いますが、ここでは司法制度改革の中での法曹養成制度の創設の趣旨ということを御確認いただいて、現状で、想定したことには法曹有資格者の社会進出は進んでおらず、法曹の養成に関する制度の在り方についても、様々な問題点が指摘されているということを踏まえ、フォーラムでは法曹の活動領域の在り方、法曹養成制度の在り方、法曹人口の在り方等について一本化をしていただいたと具体的な内容は紹介しておりますけれども、今回の8月31日の第一次取りまとめ以降も引き続き、これについては検討していくというまとめになっております。簡単ですが以上でございます。

【田中座長】
 ありがとうございました。
 今日は改善状況調査ワーキング・グループの報告書と司法試験の結果を中心に議論していただきましたが、予定しているのは以上でございます。ただ今のフォーラムに関することも含めて、何かほかに今日、議論すべきことがございましたら御意見をお願いします。

 (意見無し)

 どうもありがとうございました。
 本日はいろいろと御意見御提案をいただきましたので、これらの御意見御提案をもとに引き続き議論を進めて参りたいと思います。
 それでは本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

お問合せ先

高等教育局専門教育課専門職大学院室法科大学院係

(高等教育局専門教育課専門職大学院室)

-- 登録:平成24年04月 --