法科大学院特別委員会(第33回) 議事録

1.日時

平成21年8月31日(月曜日) 16時30分~18時45分

2.場所

文部科学省東館 16F特別会議室

3.議題

  1. 認証評価の見直しに係るヒアリングについて
  2. 認証評価の見直しについて
  3. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)田中成明 委員
(専門委員)井上正仁、笠井治、笠井之彦、鎌田薫、木村光江、土屋美明、椎橋隆幸、永田眞三郎、長谷部由起子、山本和彦 の各専門委員

文部科学省

小松高等教育局審議官、澤川専門教育課長、浅野専門職大学院室長、小代専門教育課課長補佐

オブザーバー

(ヒアリング協力者)
 【財団法人日弁連法務研究財団】
 評価委員会副委員長 浅古弘、評価委員会副委員長 飯田隆、評価委員会副委員長 京藤哲久
【独立行政法人大学評価・学位授与機構】
理事 川口昭彦、法科大学院認証評価検討ワーキンググループ主査 三井誠
【財団法人大学基準協会】
 法科大学院認証評価委員会副委員長 佐上善和、大学評価・研究部長 工藤潤 、大学評価・研究部審査・評価系副主幹 橋本孝志

5.議事録

【田中座長】
所定の時刻になりましたので、第33回中教審大学分科会法科大学院特別委員会を開催いたします。それでは、配付資料の確認をお願いいたします。

【浅野専門職大学院室長】
 配付資料の確認をさせていただきます。資料1といたしまして、前回の議事録でございます。ご意見等があれば、事務局のほうにご連絡をいただければと思います。それから資料2の1といたしまして、法科大学院に係る認証評価の見直しについて。資料2の2、法科大学院に係る認証評価の見直しに関する特別委員会報告における提言等について。資料3、法学未修者教育1年次における単位数増加と法学既修者認定の関係についてでございます。それ以外に参考資料といたしまして、法科大学院の認証評価についてという資料、法科大学院認証評価結果概要。それから法科大学院の認証評価関係法令というもの。それから関連新聞記事について、参考資料で配らせていただいております。そのほか机上に、前回の法科大学院生修了者からのヒアリングの概要について配付をさせていただいております。
 委員の交代についてお知らせをさせていただきます。司法研修所の事務局長の林道晴委員が人事異動に伴いまして辞職願を提出されまして、それを受けて8月31日付で新しく司法研修所事務局長に就任されました笠井之彦委員にこの委員会の専門委員にご就任いただくことになりました。

【笠井(之)委員】
 このたび、林局長の後を受けることになりました笠井と申します。今後ともお世話になります。よろしくお願いいたします。

【田中座長】
 8月3日に開催いたしましたこの特別委員会の審議を踏まえ、8月26日の大学分科会におきまして、井上座長代理から法科大学院の認証評価に係る関係規定について具体的な審議を行う旨をご説明いただき、了承を得たということでございます。そこで、今日はまず4月17日にこの特別委員会において取りまとめました「法科大学院教育の質の向上のための改善方策について(報告)」を踏まえた「認証評価の見直しに係るヒアリングについて」を議題にしたいと思います。
 本日は、各認証評価機関から認証評価についてのご意見をお伺いしたいという観点から、日弁連法務研究財団、大学評価・学位授与機構、大学基準協会にお越しいただいております。各認証評価機関からご意見を伺う前に、この特別委員会の報告を踏まえた認証評価の見直しにつきまして事務局で整理をしていただいておりますので、まず事務局から資料の説明をお願いいたします。

【浅野専門職大学院室長】
 それでは資料2の1、それから資料2の2、それから資料3に基づいてご説明をさせていただきます。
 資料2の1でございます。法科大学院に係る認証評価の見直しについてということでございます。既に4月17日のこの特別委員会におきまして、法科大学院の認証評価のあり方について幾つかご提言をいただいたところでございます。今現在68校、今年度ですべての74校の認証評価が終わる予定になってございまして、そういった中で幾つか認証評価についても問題点が指摘されたということでございまして、そういった課題を持って改善を、次の2サイクル目に向けて行う必要があるということで、四角の中の3つ目の丸でございますが、その中のポツとして、もう少し質の評価に軸足を置いた評価基準・方法などへ改善する。それから2つ目のポツでは、認証評価の基準において、質の保証の観点から例示として幾つかのというのがありまして、重点評価項目を設定するということ。それから3点目に、「不適格」の認定について社会に誤解や混乱を生じさせないような運用を図るために、重点評価項目を踏まえた評価基準・方法の見直しを行うということが、この委員会の報告として取りまとめられたところでございます。それに基づきまして、今後の評価基準、それから評価方法を検討していく上で、やはり今現在定められている学校教育法第110条第2項の規定する基準を適用するに際して必要な細目を定める省令のうち、第4条の一部改正を行う必要があるんじゃないかという問題意識であります。これについては、お手元に参考資料としてお配りをさせていただきました資料の中で、法科大学院認証評価関係法令という資料がございます。この法科大学院認証評価関係法令という資料の5ページ目をごらんいただきますと、法科大学院の認証評価において、評価の方法として定めるものということで第4条に規定されてございまして、その次のページのイからワにわたって評価項目が定められてございます。
 その評価項目については、現在規定がされているわけでございますが、この評価項目について、今回4月17日の報告ではさまざまな評価の改善、それから法科大学院教育の質の改善ということで、幾つかいろいろな提言があったわけでございますが、それについての、それに対応した形でこの評価の項目について再度見直しが必要ではないかと。特にそこの、資料2の1にお戻りをいただきまして、関係規定改正の方向性ということで、現行の省令の評価項目の中で規定されていなかった事項で、今回4月にまとめられた報告で指摘された事項について、評価項目として新設する必要があるのではないかと。それから2点目には、今回の4月の報告を踏まえて、評価内容をより明確にする観点から、現行の評価項目に新たに何か文言を追加する必要はないかと。それから3点目に、適格認定の方法について今回改善の方向性が示されましたことも、これについても関係の規定を新設する必要がないかということで検討いたしました。
 その資料2の1の2ページ目でございます。これは1から14になってございますが、先ほどの参考資料の認証評価の関係法令の6ページ目を見ていただきまと、これがイからワに対応した形での内容になってございます。それに基づいて今回提示させていただいている内容は、評価項目の修正部分については下線が引かれております。これらについてご説明をさせていただきたいと思います。あわせて資料2の1の3にございます重点評価項目の設定について、これについてもあわせてご説明をさせていただきたいと思います。非常に見にくいんですが、その資料2の1の2ページ目と、それから資料2の2を新たに取り出していただきまして、特別委員会の報告の提言と比較をしながらご説明させていただきますと思っております。
 まず資料2の2の1ページ目でございます。特別委員会の報告、1つ目の教育活動等の状況に係る情報の提供に関することということについては、特別委員会の報告の中では特に、例えば入学者選抜や教育内容、修了者の進路の情報を一層積極的に提供していく必要があるということで、具体的な情報の例示としての項目が幾つか挙げられております。こういった内容をきちっと評価のほうにも踏まえていただければということで報告が出ております。1番の部分については、特にこういったことを省令の項目の中に明示しなくてもきちっと評価機関における評価基準でやっていただければということで、訂正は特にされてございません。
 それから、2番目の2ページ目でございます。入学者の選抜における入学者の適性の適確な評価及び多様性の確保に関することということで、これまでの項目等の中では、今2番になっていますが、適性の適確な評価というものが文言としてございませんでした。ということで、今回、特別委員会の報告では、競争倍率の確保であるとか、それから入学者の特に適性をきちっと評価するという観点で、適性試験の統一的最低基準というものについて設定をし、その運用状況について評価をしていただきたいということで、評価項目の中に「適性の適確な評価」という文言を今回加えさせていただいております。
 それから3でございます。これまでの教員組織に関することという内容でありましたが、今回特別委員会の報告の中でも、専任教員、法律基本科目を初めとする主要科目について適切に専任教員を配置するといったようなこと。それから、認証評価機関においても教員の能力・実績について適切に評価が行われることが期待されるという内容が盛り込まれております。そういったことをより明確にする観点から、「専任教員の適正な配置など」という文言を項目の中に加えてございます。
 それから、おめくりをいただきまして3ページ目でございます。4については、特に特別委員会の報告の中で提言はございませんでした。
 5についてでございます。5につきましては、今回、共通的な到達目標の設定ということ、それからそれの達成に向けた各法科大学院の取り組みについての適切な評価というものが期待されるという内容が盛り込まれてございます。それから、現在も各評価機関によって行っていただいておりますが、やはり各科目群の適切な科目の整備を行い、偏りのない履修・学修の確保にも配慮していただきたいということであります。そういったことも踏まえまして、5については「教育上の目的を達成するための体系的な」という言葉を追加させていただいております。そういったものを評価の基準としてお考えいただきたいということであります。
 それから4ページ目でございます。6につきましては、これも特に特別委員会の報告では、この内容に異論はございませんでした。
 7でございます。授業の方法に関することということで、これについても今回の報告の提言の中で、学修のテーマや学生の習熟度に応じて、双方向・多方向等の授業方法を基本としつつ、さまざまな方法を組み合わせて授業方法の一層の工夫が必要であるという内容が指摘されてございます。これについては、今回新たに内容の修正を加えておりませんが、やはりきちっと適確に評価を引き続きしていただきたいということで、報告の中に言及されているということでございます。
 それから5ページ目でございます。8の学修の成果に係る評価及び修了の認定の客観性及び厳格性の確保に関することということで、これについては特別委員会の報告の中で、1年次から2年次の進級判定の厳格化や、GPA制度や進級判定を、修了認定を積極的にGPA制度を活用したものを踏まえて厳格に行っていただきたいという内容が盛り込まれてございます。これについても現在の報告の内容で十分読めるということでございます。
 それから9でございます。これにつきましても、FDの充実という内容が報告に盛り込まれてございます。これについても報告の中に、授業内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究の実施に関することが既に盛り込まれてございますので、特に修正等はございません。
 それから6ページ目でございます。学生の1年間の単位数の履修登録上限の内容でございますが、これについては、今回の特別委員会の内容において、法学未修者1年次の法律基本科目の6単位の引き上げということが提言されてございまして、これを踏まえて認証評価の内容を変えていただきたいということですが、特にこの文言については修正を加えてはございません。
 それから、下の11番のほうでございますが、法学既修者の認定についても、今回の提言の中には、既修者認定試験の統一的な運用ということで、認定のさまざまな考え方が盛り込まれてございます。これについても特に項目の修正はしてございませんが、評価の内容にきちっと反映をしていただきたいということでございます。
 7ページ目でございます。12、13については特に特別委員会の報告は何もございません。
 14でございます。14については、今まで項目としてなかった、新たに新設されたものでございます。これにつきましては、特別委員会の報告の中で修了者の特に司法試験の合格状況を含むということで、これを重点評価項目とする必要があるという提言が行われてございます。そういった内容を踏まえて、今回新たに14の項目を新設してございます。
 それから、2でございます。重点評価項目の設定ということでございまして、これは省令の中には、適格認定の方法について具体的にどういう方法をということは明確には規定されてございません。今回、特別委員会の報告の中で重点評価項目の設定ということ、それから不適格認定の方法についても提言がされてございました。この点を踏まえて、重点評価項目の設定についても、資料2の1の3に戻っていただきまして、重点評価項目の設定については複数の項目を重点評価項目として設定し、当該項目の評価結果を総合的に勘案して適格認定を行うということを新たに規定してはどうかということでございます。
 以上が、いわゆる認証評価の細目に関する省令の第4条の見直しについての考え方を整理したものでございます。それから、最後に資料3でございます。資料3におきましては、これに伴いまして評価の問題と直接は関係がないんですが、先ほどの法学未修者1年次の6単位の増加に伴いまして、法学未修者について93単位の修了要件が、それに上乗せして6単位増える形になると、99単位になると。そうすると、既修者が今、30単位までを上限としてみなしをできることになっていますので、残り63単位を取るということになっているわけでございますが、新たに6単位を加えたときに、既修者についても69単位、6単位増加するということになるわけでございます。そういった中で、今回の措置というのが法学未修者1年次の教育の充実という観点で6単位分増やしているにもかかわらず、既修者にも義務的に6単位一緒に増えることになるということが問題ではないかと。
 それからもう一つは、法学既修者についてその観点から、やはり6単位を履修したものとみなせるように、現在30単位までがみなすことができることになっておりますが、法学未修者が6単位分増えた分をあわせて既修者の単位もみなしができるような形で、専門職大学院設置基準25条を改正する必要があるのではないかということでございます。今回、改正が考えられる事項として、最後に一番下に挙げてございますが、法学未修者1年次において法律基本科目を6単位増加し、修了要件単位数も6単位引き上げた場合には、法学既修者も専門職大学院設置基準第25条において、法学既修者認定で履修したものとみなすことのできる単位数を超えて、新たに法律基本科目6単位の範囲内で履修をしたものとみなすことができるような制度改正をやってはどうかということでございまして、後ろの2枚目には、中央教育審議会の委員会での報告の内容、それから、参考2の下のほうには現在の専門職大学院設置基準の25条が載ってございます。これをごらんいただきますと、30単位を超えない範囲ということで規定されてございますが、今回の提案は36単位まで、修了要件を93単位以上上げた法科大学院については6単位までを上げて既修者について習得したものとみなすことができるようにする必要があるのではないかという整理でございます。

【田中座長】
 ありがとうございました。
 それでは、日弁連法務研究財団から順次、ご意見、ご発言をお願いします。

【日弁連法務研究財団 浅古副委員長】
 日弁連法務研究財団の認証評価委員会の副委員長をしております早稲田大学の浅古でございます。こういう機会を与えていただきましてありがとうございます。
 財団といたしましては、平成23年に第2巡目の認証評価を行うことになりますので、平成23年度を目途としまして、現在、評価項目・評価基準について、これまでの経験あるいは本委員会のご提言を踏まえて検討しているところでございます。余り時間がございませんので、かいつまんで財団としての意見、あるいはお聞きしたい点をお話ししたいと思います。
 まず、見直しのところの2でございますけれども、「入学者の適性の適確な評価及び多様性の確保に関すること」について、特別委員会報告では、適性試験の受験者の下位15%を足切りすることが提言されていますが、15%という数字を基準の解説の中に書くのは時期尚早ではないかと考えております。適性試験がそれほど内容的に成熟しているものではないのではないかという意見があります。 3の「専任教員の適正な配置」については、これまでも評価の対象として重要視してきた点でありますが、実際に適格な教員として質を保っているかどうかということを評価するとなりますと、方法としてかなり難しい点があると感じております。 5の「教育上の目的を達成するための体系的な教育課程の編成に関すること」については、コア・カリキュラムがどういうものとして提示されるのかが具体的に見えないと、どういうふうに評価項目・評価基準に取り入れたらよいかよくわからないということがございます。平成23年度から新しい評価基準で評価したいと考えておりますので、できるだけ早くコア・カリキュラムについての考えを示していただきたいと思っております。
 8の「学修の成果に係る評価及び修了の認定の客観性及び厳格性の確保に関すること」を評価することに異論はありませんが、GPAや進級制度があればよいということではないだろうと思います。これまでの評価の経験から、GPAを高く設定し、進級制を入れていると、逆に成績評価を甘くする教員も多く見られます。大切なのは、本当に厳格な成績評価が行われていることだと思いますので、これをどういう形で、GPAや進級制度と組み合わせた形で、どういう評価ができるか検討してみたいと考えております。
 1年次に法律基本科目を6単位まで増加できるということについて。財団の評価基準見直しWGの中でも、果たして、6単位増加させることが、学生の学力の向上に資するのかどうかという疑問の声もあるところでございます。例えば、各学年で2単位ずつ増やすというように、6単位を各年次に分ける方法もあるのではないか。このようなことについて、特別委員会ではどのようにお考えなのか、お教えいただければと思います。36単位の上限に加えるということなので、認証評価においても、36単位を目安として、これを超えて設定する法科大学院については、自学自習の時間が十分に確保されているかどうかという点を評価の対象とすることになろうか、という議論になっております。
 14の「司法試験の合格状況等の進路に関すること」について、進路とは、具体的には、法科大学院を修了した時だけの進路なのか、司法修習を終えた後まで含めて評価するのが望ましいのかということについて議論しているところでございます。新司法試験に合格して二回試験に不合格となった場合も、法曹を養成するという法科大学院に期待される役割に鑑みると、評価の対象とすべきであろうという意見がございます。あるいは、司法修習を終わったけれど、どこにも就職口がないという場合も、法科大学院の教育に幾ばくかの疑念が生じるかもしれない。これらの点も含めて評価をすべきではないかと考えているところでございます。法令基準に「司法試験の合格状況等」という文言が入るのがよいのかどうかという点について、もう少しご検討いただきたいと思っております。
 重点評価項目については、案にある項目をこれまでも評価の対象としていますので、これをさらに精査したいと考えております。法令由来の評価基準に一つでも満たないために不適合としてきたのではないかという指摘がございますが、確かに、これまで、各法科大学院に不適合と認定するときに、授業の質が悪いということだけでは納得してもらえないということがあり、客観的に数値で示せることについて不適合としたということがありました。現在、法曹養成教育の質の総合的な評価を行うという総合的な評価項目を立て、その項目が比較的よい評価でありながら、他の重大でない項目が不適合であるという場合には、全体として不適合とはしないという方法を議論しているところでございます。

【田中座長】
 どうもありがとうございました。
 では、続いて大学評価・学位授与機構からお願いします。

【大学評価・学位授与機構 三井主査】
 それでは、大学評価・学位授与機構の法科大学院認証評価の観点からお話をさせていただきます。現在、機構内部に法科大学院認証評価検討ワーキンググループを設けておりまして、評価基準の統廃合等について検討中であります。また、特別委員会報告において提言されました事項を機構の評価基準として取り込むか否かについても検討を進めております。既に6月2日に第1回、8月4日に第2回を開催し、9月15日に第3回を開く予定ですが、現行の基準ごとに具体的な見直し作業を進めている段階でございます。私自身は、ワーキンググループの責任者でありますので、本日こうして出席いたしております。
 改正案として新たに追加されました文言についてのみコメントいたします。まず2について、現行の評価基準に「6-1-4入学者選抜に当たっては、法科大学院において教育を受けるために必要な入学者の適性及び能力等が適確かつ客観的に評価されていること。」という基準があり、これが対応しております。ワーキンググループでは、適性試験を適性試験実施機関が設定する入学最低基準点に照らして適切に運用していることという点について、新たな評価基準を設定する方針で検討しております。
 3については、現行の評価基準に「第8章教員組織」を設けており、これが対応しております。現在も、機構の評価においては、通常の評価部会とは別に、教員組織調査専門部会を設け、そこで教員の組織調査を実施し、科目適合性を確認しています。2巡目の認証評価においても同様の形で実施していく予定でございます。
 5については、現行の評価基準に「第2章教育内容」を設けて対応しております。共通的な到達目標については、特別委員会でとりまとめられましたら、評価基準に取り込む方向で検討したいと考えておりますが、現在は、まだ共通的な到達目標がとりまとめられていないため、保留としているところでございます。
 14については、現行の解釈指針1-1-2-1において、「各法科大学院の教育目的の達成度は、学生の学業成績及び在籍状況、並びに修了者の進路及び活動状況、その他必要な事項を総合勘案して判断するものとする。」としており、司法試験の合格状況のみをもって適合性を判断するということはしておりません。ワーキンググループでは、司法試験の合格状況を数値的な観点でのみ評価するのは妥当ではないという議論が大勢になっております。例えば、教育内容、成績評価、修了認定、適正な入学者選抜、自己点検・評価とそれを踏まえた改善状況という個々の項目を判断する要素として、司法試験の合格状況を間接的に評価基準に取り込む方針で検討しております。このような方法で司法試験の合格状況等を見るということで対処したことになるのであれば、十分対応可能だと考えております。14については、「等の進路に関すること」という部分に意味があるのではないかとも思われますが、司法試験の状況に限らず、修了者の進路を広く評価の対象にするということであれば、どのような評価の視点が考えられるのか、進路とはどのようなものを含むのかという点について、もう少し具体的な内容をお示しいただければと思います。また、各法科大学院が、必ずしも修了生の進路を適確に把握している状況ではないようなので、ここでいう「進路」が具体化された際には、修了生の進路の把握について、文部科学省から各法科大学院に対し強く促してもらう必要があるだろうと考えております。
 重点評価項目の設定についてです。ワーキンググループにおいては、まだ重点評価項目をはっきり定めてはいませんが、一つでも満たさない場合には原則として不適格とすることを検討しております。この改正案では、複数の重点評価項目違反があっても、総合的に勘案した結果、適格となることもあるというニュアンスも込められているので、重点評価項目の設定とその違反との関係、適格認定との関係について、「総合的に勘案して適格認定を行う」ということの具体的な意味をお示しいただければと思います。場合によっては、認証評価が緩くなることが懸念されます。また、重点評価項目以外の評価項目の取扱いについてもお考えのところがあればご説明いただきたいと思います。

【田中座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、大学基準協会からお願いします。

【大学基準協会 佐上委員長】
 大学基準協会の認証評価基準も、今年度内にはその作業を終えていきたいというふうに考えているわけでございますけれども、今回示されましたこの問題につきまして、現在のところでの意見という形で述べさせていただきたいというように思います。
 まず、全体としてでございますけれども、重点項目について、具体的な内容を示すことが難しい項目もあります。例えば、厳格な成績評価ということは、具体的にはどのようなことを示すのかということがなかなか明確な形で示しにくいところがあります。このような情報について、できるだけ明確な形で、各評価機関、各大学に示されることが必要だと考えております。「当該項目の評価結果を総合的に勘案して適格認定を行う」とあるが、「総合的に勘案」という部分は非常に曖昧さを含むので、各法科大学院にとっては、基準が明確でないということにもなりかねない。例えば、一定の項目について明確な数値基準で把握できない場合に、灰色だとすると、灰色と灰色を足せば黒になるのか、あるいは灰色と灰色を足しても灰色なのかというところでも、曖昧さを残す基準であっては運用としては良くないので、「総合的に勘案して」というところは、できるだけ透明になるような基準の設定としていただければと考えております。1について、具体的にはどのような形で情報提供していればよいのか。大学によって、文書の媒体、HPなどさまざまな形が考えられるが、最低限度どこまで公表していればよいかという点について、一定の基準を示す必要があるのではないかと考えております。
 2についてですが、適性試験の下位15%を最低点とするという一律的な適用が、果たしてどのような根拠に基づいて説明できるのかという点について問題が残るところです。この点については位置づけを明確にしておく必要があるのではないかと考えております。
 5については、履修登録上限を36単位から42単位に引き上げるということも、法学未修者の教育の充実に目標が置かれていることは理解できるので、その点をよく理解してもらうことが必要だろうと思います。これまでの評価の実績によっても、各法科大学院で法律基本科目を重視したカリキュラムが見られるわけで、このような状況を正当化させないということが必要です。きちんと適正なカリキュラムを設定し、それを実践することが大事で、司法試験に特化した教育とならないことを担保していく必要があり、この点の歯止めということについても、周知徹底していくことが求められると思っております。
 14について、これまで大学基準協会は司法試験の合格状況等を評価の対象にはして来なかったところですが、それは、合格状況等については、市場の評価に委ねればよいという考え方をとってきたためであります。今回の改正案では、一体何を基準にして評価をするのか。実際に受験した人数から合格率を割り出すということになれば、実際にもうなされているところもあるが、大学が受験を控えをさせることが一般的になるのではないかというような、いろいろな弊害があると思います。しかも、修了後5年という、大学が学生に対して指導できる年限を超えたところで受験機会が設定されている。これらのことからも、重点項目として司法試験の合格状況等や、これに対する大学の取組といったことについて、重点評価項目として評価の対象とすることは慎重に検討すべきではないかと考えております。大学が合格率を気にするあまり、受験の指導に専念していく、あるいは視野を狭めていくということにならないような手だても併せて考えていく必要があります。
 最後に、重点項目の位置づけ、機能についてですが、「総合的に勘案して適格認定を行う」とあるが、重点評価項目を一つだけ満たさないが他の評価項目は全て満たしており、適合と判断する場合に、評価の透明性を高めるということが問題になってくるので、各大学の間に不公平感や疑念を生じさせないようにする必要があります。重点項目は満たしているけれど、他の項目で問題があるということになった場合、これはどのような評価をするのかといったことについて、その位置づけについては、それぞれの評価機関で重視している項目があるので、調整が必要になってくるのではないか。このような点で、重点評価項目の「総合的に勘案して」という意味合いをもう少し具体的にご説明いただきたいと考えております。

【田中座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただ今の3つの認証評価機関からの、ご質問も含めて、ご意見につきまして、委員のほうでご質問があればお願いしたいと思います。各委員からの資料の2の1、2の2、3に関するご意見については後ほどお伺いするということにいたしますので、各評価機関の意見などについての質問のみということでお願いします。

【井上委員】
 日弁連法務研究財団に対して伺いたいのですが、適性試験の下位15%を最低点とすることは、適性試験の制度自体が安定していないので時期尚早ということだが、下位15%というのはかなり低い点数だと考えているのですが、それでもやはり不適だと考えるのでしょうか。15%という数字が不適なのか、それとも最低点を設けること自体が時期尚早だと考えるのか。また、そのように疑問に感じている理由を教えていただければと思います。
 もう一つは、「司法試験」という言葉を法令基準に用いるのはどうかということだが、これは、特別委員会の中でもあまりそこを重視するのはどうかという意見があったところなのですが、外の批判としては、これまでは、あまりにもそこを避けていたのではないかということ。法科大学院は、法曹の資格をとって活躍してもらう人を育てるところですが、その教育の質、内容や方法を見るときに、司法試験はやはり一つの重要な指標になるのではないか。それに傾くと懸念されているようなことになるが、それをあまりにも度外視してきたので、何回かやった結果、司法試験合格率という意味で、ほとんど効果が出ていないようなところもあり、そういうことが全く無関係なのかと外からの批判もあり、そのようなところは適宜適切な配慮を払うべきということだが、そういう意味でも、司法試験という言葉を入れることが不適切かどうか。連携法などにも連携していくということは書いてあるし、制度趣旨もそのようになっている。それを前提としても、やはり書くべきではないということなのか。
 次に、大学評価・学位授与機構に対してですが、教員の質については、部会で適切に評価しているとのことですが、今回の改正の趣旨である、質についてまで本当に評価してきたのかどうか。してきたとすればどのような形でしてきたのか、教えていただければと思います。
 大学基準協会に対してですが、法律基本科目の重視は、受験に特化した教育をさせることになるのではないかということですが、法学未修者で特に強調したいのは、基本的な学力が劣っている学生が少なからずいるのではないか、既修者にも当然いるが、未修者は特にそういうところでうまく教育の体系に乗ることが難しいということが特に1年次で見られるので、そこのところをどう強化するかという発想で入れた内容ということなのです。そのような発想でも、法律基本科目を重視すると、受験対策への特化ということに結びつくことになるのかどうか。そういうことにならないように、基本的な学力を強化するためにはどういう方法があるのか。その点についての代替案はお考えなのかどうか、お伺いしたいと思います。

【日弁連法務研究財団 浅古副委員長】
 ご質問の適性試験の下位15%という数字についてですが、年によって受験者の質は変わってくるだろう、それを15%という固定的な数字で足きりするのはいかがかという疑念が出ているところでございます。もし合理的な理由があって、適性試験の点数が非常に低い者を合格とした場合、それ一事を以て不適合とは言えないのではないかという議論があったところです。2点目についてですが、財団の認証評価においても、司法試験の合格率が悪いということを評価した例はございます。法曹養成の重要な関門の一つであることに間違いはないという書きようで、司法試験の合格者がほとんど出ていない法科大学院について、それに対する改革が十分なされていないという形で評価をしたことがあります。

【日弁連法務研究財団 京藤副委員長】
 補足させていただきますと、法令に「司法試験の合格状況等」と書くことによって、司法試験の対策にミスリードしてしまう可能性があるのではないかとう不安があります。それから、司法試験の合格は法曹になるための過程ではあるが、連携法には法科大学院の基本理念が書かれているが、そこには法曹に必要な学識と応用能力と書かれていて、司法試験との関わりは書かれていない。もし書くのであれば、法曹に必要な能力について法科大学院で教育が行われているか、それとの関わりとして、司法試験の合格状況は重要な資料となると思うが、細目省令には、基本法令にとっかかりのあるような文言を細分化して落とし込むのが望ましいと思っております。この14に書かれていることは、確かに特別委員会の報告に出てくるが、それを参考にして、法令に基づいてどういう表現にするのかという扱い方が望ましいのではないでしょうか。

【日弁連法務研究財団 飯田副委員長】
 連携法において、法科大学院は法曹養成の中核的機関とされているので、その役割・機能の側面からアプローチした方がわかりやすいし、司法試験偏重という弊害を抑止できるのではないかと思うので、14の表現は検討していただきたいと思います。

【井上座長代理】
 「司法試験」という言葉自体も使わない方がよいということでしょうか。

【日弁連法務研究財団 飯田副委員長】
 「司法試験の合格状況」という、あまりにも生々しい言葉は避けたほうがよいのではないかと思います。

【大学評価・学位授与機構 三井主査】
 教員の質の点についての審査が十分かというご質問ですが、教員組織調査専門部会では、教育経験の他に、法科大学院において当該教員が担当する科目に応じた研究業績が十分かという評価を行っております。これが質の点についての審査となりますので、特段に問題はないと判断しております。

【井上座長代理】
 形の上ではわかるのですが、この特別委員会の報告の趣旨に合ったようなレベルの審査は行われているのでしょうか。

【大学評価・学位授与機構 三井主査】 
 実施していると認識しております。

【井上座長代理】
 そのあたりのところが形に出て来ないので、疑問を持ったところです。あるいは、実際にいろいろなところの状況を見ていると、本当に厳格に審査しているのかという疑問もなきにしもあらずなので、そういう疑問に答えるような形になっているのかどうか。

【大学評価・学位授与機構 三井主査】
 厳格に審査をしているつもりです。

【大学評価・学位授与機構 川口理事】
 教員審査については大分議論があったのですが、基本的には科目適合性を教員の実績も踏まえてチェックしておりまして、私どもとしては、厳格にチェックをしていると判断しているところでございます。

【井上座長代理】
 非常に難しいところはわかっていますが、そういうふうに審査をされ、問題があると指摘された例は実際かなりあるのでしょうか。

【大学評価・学位授与機構 川口理事】
 ございます。

【井上座長代理】
 そういう場合は、不適格にしないで、「問題がある」ということにしているのですか。

【大学評価・学位授与機構 三井主査】
 それは、教員組織が十分かという観点から判断しますので、不適格になる場合もありますし、不適格とまでは言えない場合もあります。

【井上座長代理】
 基本科目の専任教員に問題があるということになるのでしょうか。

【大学評価・学位授与機構 三井主査】
 そうです。「問題学ある」と指摘された内容次第で、不適格かどうかが決められます。

【大学評価・学位授与機構 川口理事】
 若干補足させていただきますと、科目適合性を専門部会で審査して、その結果に基づいて、評価部会で具体的に評価するというプロセスになっております。

【大学基準協会 佐上委員長】
 私どもにご質問のあった点についてですが、法律基本科目についての特別委員会報告の趣旨は十分に理解しているつもりでございます。未修者が1年間で法律基本科目を勉強するのは大変難しいので、それをサポートする趣旨であるのは理解しております。法学既修者も法律基本科目を重視するということにならないよう、広報や情報提供を実施するなどして法学既修者についてもこの措置が広がらないようにしていただきたいと考えております。

【永田委員】
 適性試験の最低点についてですが、何か理論があって演繹的に15%と設定しているのではなく、受験生は1万人ぐらいという現状と、各適性試験実施機関はおよそ60%ぐらいを想定して作っているのですが、おっしゃるとおり、平均点がそれ以上になることもあるし、それ以下になることもある。そういうことを勘案して、やはり15%というのは、適性試験を課している趣旨から考えてぎりぎりの線だろうと思います。それ以下の者をあえてとるというのは法科大学院として十分機能するかという点があます。大幅に受験者が増加すれば質が高くなるだろうということは適性試験実施機関も当然考えていまして、15%というのは、現状と数年先ぐらいを考えたものであり、理論的に決まっているわけではなく、少なくともこれぐらいは必要ということで判断されたものと理解しております。
 重点評価項目の設定と総合評価についてですが、重点評価項目は3評価機関とも設定されており、それに触れれば不適格となる、あるいはそれに近くになるということで、若干差はあると思うが、それが教員組織や科目設定が法令に違反するというようなハードの面から、ソフトの全体の質に関わる点で新しい重点評価項目を加えていただき、総合的に判断していただくということだと思います。大学基準協会からの質問の点は確かに難しく、科目の適合性の点で不適合であり、教員組織が整っていないという場合には、ここには上がっていないが不適合となるのだと思います。そういう意味で、ここに上がっている以外の項目で問題がある場合には、不適合にしてはならないという趣旨ではないと思うので、これまで重点項目を設定しておられる中で、こういう新しいものを重点項目として加えて、判断されたいということだと思います。今までのとおりだめなものはだめだが、総合的な評価で復活するということではなく、重要なハードの面で問題があるが、これを取り上げて不適合にするには、全体のパフォーマンスから考えて、この法科大学院は不適合とするのは問題であろうという時に、総合的に判断して復活するのであろうということかなという感じはしております。ここに挙げられていることしか不適格としてはならないというわけではないだろうと思うのですが、総合的に勘案するというあり方が難しい。そのあたりはどうなのでしょうか。

【田中座長】
 重点評価項目については、もう少し詳しく書いていただくよう文部科学省にお願いしています。重点評価項目以外はどうするのかという問題があるが、やはり問題点がある場合には、設置認可の際の留意事項と同様に、この点については問題があるという指摘は公表してしかるべきだと思います。こういう形で自主的な改革のインセンティブを与えるというのが認証評価の重要な使命で、重点項目さえ×にならなければいいという風潮が生み出されないように留意する必要があると思っております。やはり問題点は問題点として、大学に指摘すると同時に社会にも公表していくことが認証評価の重要な役割で、そのあたりを、文章にするときにもう少し詳しく説明していただくようにします。

【井上座長代理】
 立ち上がり当初、それぞれの機関で非常に厳しくやっていただいて、それはそれで良かったのですが、やはり客観的に数値で切るというのが一番やりやすいのですけれども。それが少し徹底しすぎたようなところもあって、それで不適格ということになってしまうと、不適格というのはインパクトが強い言葉なので、そこだけが一人歩きして、あたかも当該法科大学院の教育の質がトータルで悪いという印象、誤解を持たれかねない。報道もそういうされ方をするのです。報道機関にそういう意図があるかは別として、報道は短い言葉になるので、受け取った方はそういうふうに受け止める。そうすると、受験をしようとしている人の心理に大きな影響を与えるということがあったので、重点を置いて最終的にはトータルに質を評価していただくということになるが、メリハリをつけて評価していただきたいという趣旨です。評価というのは、落としていくということが目的なのではなくて、問題点があれば指摘をして、改善をして、あるいはさらに向上してもらうというのが本来の趣旨だと思う。ところが、不適格となるとマイナス効果だけが非常に先走ってしまうので、重点のところをメリハリをつけてやっていただきたいということです。

【笠井(治)委員】
 日弁連法務研究財団の意見についてですが、1年次に6単位を増加させることが、本当に学力の向上に資するのか疑問がないわけではないとうことなのですが、6単位を1年次のみならず、また未修者のみならず、2年次3年次にも割り振っていくということになれば、キャップ制との関係もあるが、36単位を超える法科大学院について、自学自習の機会が十分に確保することを条件に、そういう割り振り方も問題がないのではないかという意見だと理解したのですが、未修者1年次のみ増やすことについて、疑問についての実感といいますが、。また、既修者も含めて割り振ることについて、どのような効果がありうるのかご意見があれば教えていただければと思います。

【日弁連法務研究財団 浅古副委員長】
 基準見直しWGでは、現在でも未修者1年次は非常に負担が大きい状況で、さらに6単位を増やすと、果たして消化できるのかという意見がありました。6単位増やすというのは、認証評価でいろいろな法科大学院をまわると、かくれ補習のようなことを実際やっているが、それを表に出すという趣旨なのか、それとも実際に一生懸命やっている法科大学院で、学力が足りない部分を補うという趣旨なのか、どちらかわからないということがあります。

【井上座長代理】
 私なりに理解しているところを申し上げますと、消化不良を起こしているという実態も多分にあるのですが、これは「可能である」とうことにしており、それぞれの法科大学院の実状に応じて設計してもらうもので、必ず増やさなければならないということではないのです。増やし方も、単純に単位数を増やすとますます行き詰まってしまうというのが多くのところの感想で、増やすとしてもどういう形で本来配置してきた授業と有機的に連携して消化を助けるということにするのか、そちらの方にむしろ重点をおいた方がよいのではないかという意見が多かったところです。隠れてこつこつとやってきたところも、悪意があってこそこそやっているというよりは、見るに見かねてやらざるを得ないというところがむしろ多いのではないか。そのようなところが、なぜこそこそやらなければならないかというと、受験に傾斜した受験予備校的なことを法科大学院がやるのはいけないということで、これは評価にあたっても気をつけられているのですが、それと、本来必要な学習の消化を助けることとをどうやって区別していくかということで、それを仕分けるために、1年次の未修者がうまく制度に乗っていくための手助けとして工夫をして増やすという発想です。2年、3年についても必要なところはもちろんあると思うが、そこも増やせばいいということになると、大きな傾向として、そういうところに重点を置かれる危険が高いので、とりあえずは1番必要で、危険が少ない未修の1年次に限ってこのような措置をとったらどうかという趣旨です。

【田中座長】
  基本的には井上委員がおっしゃるとおりで、ある意味でこれまでは学生が一定時間の自学自習をするとい前提だったところを、その自習を少し授業で助けるための工夫として単位を増やすということで、未修者については、自主的に十分な自学自習ができないということで、それを少し制度的に助けることもやむを得ないのではないかという発想です。正規の授業以外に補習などを恒常的にやらざるを得ないという状態は好ましくないということで、授業で工夫しようとするところはできるようにしようということで、全てのところに積極的にやりなさいということではありません。

【日弁連法務研究財団 京藤副委員長】
  できれば、その趣旨についてもう少し明確に説明してもらった方がよいかと思います。これは、自学自習を助ける趣旨だということを特別委員会としてメッセージを発してもらった方が、評価基準としては作りやすいので。

【日弁連法務研究財団 飯田副委員長】
  未修主体、あるいはすべて未修者の法科大学院もあるわけですが、その場合には1年次、2年次と区分する実質的な意味はないのではないでしょうか。そのような観点から、1年次に6単位を増やすのではなく、各年次に配分したらよいのではないかという意見があります。

【田中座長】
  全て未修者の法科大学院であれば、1年次にこだわらないという趣旨ですか。

【日弁連法務研究財団 飯田副委員長】
  全部が未修者という場合もあるし、ほとんどが未修者という場合もある。1年次、2年次、3年次と明確に区分する実質的な理由がない法科大学院があるということです。

【田中座長】
  2年次、3年次にも対象を広げると、先ほど井上委員が言われたように、あまり好ましくない方向で活用されるおそれがあるのではないか。

【日弁連法務研究財団 飯田副委員長】
  弊害防止措置と目的達成とは観点が違うのではないかと思うのですが、弊害防止のために本質を曲げてはいけないということです。

【井上座長代理】
  理屈としてはそうなのですが、現実にいろいろな法科大学院を見ていると、恐れているような状況がかなり存在しています。その中で、特に純粋未修と言われる方々が3年で基本的な学力を身に付けるにはどうしたらよいかということで、これはおっしゃるとおり、理屈の上では1年次のところに配置するのではなく、各年次に配分して積み上げていく方が合理的なのかもしれない。しかし、現実としてはそうは進まないところが結構あり、我々としてはそれを非常に恐れている。そういう恐れが解消されていけば、また全体を組み替えることはあり得ると思っております。

【鎌田委員】
   個人的には、自学自習を助ける、あるいは議論の相手に教員がなることによって、学生の理解を助けるという意味で、勉強する項目を増やすのではなく、もう少し深くじっくりと勉強する時間を与えるということでこの6単位の増加をとらえているが、同時に、例えば民法で言えば、時間だけではなく期間も必要なので、1年の時に固めるのではなくて、2年、3年と積み上げていって、期間を与えながら理解を深めていくということがあるべき形だと思っています。ただ、井上委員が指摘された様々な懸念との、ある意味での妥協点ということで、現時点においては今回の報告の形で始めようということだと思う。他の項目についても、そのような配慮がたくさんあって、先ほどの「司法試験の合格状況」という言葉を入れるか入れないかという点についても、司法試験の合格をあまり評価の対象として正面からとらえるのはいかがなものかというのはおっしゃるとおりだが、ここで一番考えられているのは、合格率が30%か40%かというところでの争いを問題にしているのではなく、本来法曹養成機関であるにも関わらず合格者を一人も出せないような法科大学院はいかがなものだろうかということです。それを言葉にすると一般化した話になってしまうので、この部分をどういう形で表現するかということはこちらとしても悩みの種であったが、これなら納得できるというような表現があれば、ブラッシュアップしていくことはできるのではないかと思います。

【日弁連法務研究財団 浅古副委員長】
  先ほどお話ししましたように、司法試験の合格者がいない、あるいは1人しか合格していないという法科大学院があり、その評価をめぐって議論した結果、一つの関門であるので、それを見据えて改革をすべきという評価をしたところです。解説の中に、進路の評価として、そうしたことも考えられるという形で、省令そのものに書くのではなく、それについての解説の中で触れていただくようにしていただいた方がよいのではないかという気がしています。

【永田委員】
  14の項目に書かれていること自体を基準とするのではなく、それを踏まえてどういう改善をしているかということが評価基準になるので、改善策とつながったものなので、合格率が何%だったからどうだということにならないような基準を設定するということになろうかと思います。それから、法曹養成機関として機能しているかという点で、社会的に見て、やはり10%以下というような状況であれば機能しているのかということになるので、しっかり改善策を定めていただかなければ問題になります。これから評価機関が苦労されるかもしれないが、修了者のケアまで法科大学院がしていることをプラスとするのか、あるいは必要とするのかという点も検討が必要だと思います。もう一つは、「合格状況等」の「等」は何かということ、また、おそらくはそこまでフォローできないと思うが、合格した後に弁護士として活躍しているかというところまで考えているのかということ。例えば、地域密着型の法科大学院という理念を立てて、地域と連携した科目を開設していながら、一切地域に定着していないという場合、あるいは、医療その他の分野と連携した科目を開設しているが、ほとんどの人がその科目を履修していないということもあります。そういうところで、進路等については、きちんと提供しているが機能していない、各法科大学院が特徴を売りにして学生を募集していながら進路として反映されていないという場合、その点が問題になろうかと。進路等については、各法科大学院の個別目的によりカリキュラムが変わっているにも関わらず目的が達成されていないという問題があるが、一番大事なところは、改善策がどうかという問題だと思います。

【田中座長】
  各法科大学院でそれぞれ養成しようとする法曹像を掲げて設置申請をしているので、単に司法試験に合格したかどうかだけではなくて、どういう法曹になっているかというところまでフォローする責務も法科大学院にあると言えばあるわけです。地域密着型の法曹を養成するという目的を掲げているのであれば、自分たちの法科大学院を修了した人たちがどこで活動しているのかということまで情報として提供する必要があります。そういった意味では、司法試験の合格状況よりも、こういう法曹を養成するという目的を掲げていて、その目的達成が全然できていないところがあるのではないかという批判が強くて、単に司法試験に合格したかどうかよりも、掲げている目的達成の成果を自分たちできちんと把握していないではないかという批判がだんだん強くなってきている。これまでは、何回も受ければそのうち受かるだろうということで済んでいたが、三回落ちてしまった後修了者にどういうケアをするのかまで各法科大学院の責任が問われているのが現状なのです。表現の方法は考えてみますが、パフォーマンスをきちんと情報公開するということが求められ、それをきちんと評価するということが認証評価に対する要望になっているので、このようなことを踏まえると、進路の状況を全く無視するということは制度として成り立たないという状況にあることをご理解いただきたいと思います。

【日弁連法務研究財団 飯田副委員長】
  ご指摘の点ですが、評価の考慮要素に取り入れるということは実際行われているのですが、今回の改正案では評価基準に盛り込むべき評価項目とされています。財団では、評価基準と注までは実質的な評価基準という取扱にしており、その下部に解説を加えている。我々としては、注に入れるのか基準に入れるのか、解説に入れるのか、影響を考えて区分しているのです。ところが、評価基準に盛り込むべき項目となると評価基準本体か注に入れないといけなくなるので、 14の「合格状況等」を基準や注に入れるのはいかにも露骨なのかなという気がしています。考慮要素に入れることはいろいろなところであると思うし、実際にも自己改革や法曹養成機能、特色といった部分で十分考慮要素に入れられるが、それ以上の位置づけを与えることはいかがなものかという疑問点があることもご理解いただければと思います。

【田中座長】
  それで、法科大学院の認証評価機関としての社会的な要請に応えていると言えるでしょうか。

【日弁連法務研究財団 飯田副委員長】
   基準、注に入れるか解説に入れるか、考慮要素とするか、どこに据えるかを影響の大きさを考えて大いに議論しながら、達成すべき課題を考えながら分類して考えていまして、考慮要素あるいは解説レベルであれば、評価基準に盛り込んだということにならないが、その点については、基準や注に入れなくても十分目的を達成できると思っているので、自由度を認めていただきたいと思っているところでございます。

【井上座長代理】
 評価を受ける方からすると、ここが重点項目であり、ここが満たされていないとかなり不適格の方に動くということが解説にしか出ていないということで、評価の明確性の観点から十分に周知されているかという面も考慮いただいた方がよいと思います。なぜ司法試験の合格状況が問題視されるようになったのか、どういう意味で問題であるのかという方向でのチェックを継続的していただくことが必要なのではないかというのが、この提言の趣旨であって、司法試験の合格だけで全てが決まるのではなくて、教育の質、人数の適正規模等を測るかなり重要な指標となるのではないかということで、評価の際に項目として重視してチェックしていただくということです。

【田中座長】
  それでは予定した時間も相当過ぎていますので、ヒアリングは終わらせていただきたいと思います。どうもお忙しい中、お越しいただきましてありがとうございました。
  それでは、先ほど事務局から説明のあり、ただ今のヒアリングの問題でもありました、資料の2の1、2の2、3について審議を行いたいと思います。ご意見がありましたらお願いします。

【永田委員】
 報告では、15ページで1時間の単位数を少し柔軟に考えて、それを慎重に検討、具体的には90分授業を180分授業にするということが書かれていまして、非常に大きな反響があったと思うが、今度の6単位プラス制でこれを採用しないと、今まで90分間でやっていて、実際は180分で、あるいは闇で伸ばしていて、受験対策に偏らないようにチェックしてきたと思うが、15時間から30時間までという範囲に設置基準でされているといえば、もともとこの特別委員会でも問題にしたダブル講義に関わる。これは採らなかったということで基準設定では指導してもらわないと困ると思います。今回はとりあえず、倍にするというところまでの柔軟性ということは、今回の基準設定は採らなかったということだと思うのですが、そのような質問はありませんでしたか。

【浅野室長】
 今の点は色々なところから質問があって、ここは法科大学院間でも誤解が生じている部分です。「慎重な検討が必要である」という文言は、通例は大体、将来的な検討に委ねるという意味合いなのですが、それをはっきり明確にしなかったことから、すぐにこれが適用されるというような意識を持っている法科大学院もありました。今後、法科大学院等に説明する機会を設けて、きちんと報告全体の内容については、この点も含めてきちんと正しい理解を持っていただきたいと思っております。

【井上座長代理】
 その点は、私も色々なところで質問を受けて、他のところは各法科大学院の方でこの趣旨を解して改善を図るべきだと期待されるとか、ここで書いてある「慎重な検討が必要である」というのは誰が検討するのか、各法科大学院が慎重に検討すれば取り入れて良いのではないかという質問を受けて、そういう趣旨ではないということを説明するのに非常に苦労したのだが、特にこれは根拠が書いてあって、これが出来るのだという強い根拠づけに受け取られて、慎重に検討すればやって良いとどうも捉えがちなので、そこは是非、明確に説明してもらいたいと思います。

【永田委員】
  重点評価項目の位置付けですが、各機関は重点評価項目をとりあえず持っています。それに違反すれば基本的に×という形で、報道されて、それで批判されてというのは当たり前のこと。それを、特別委員会でヒアリングをしたように、そのことだけで不適格、適格という形で評価されると先だってそのものを誤るのではないかというところに問題があるわけだから、その辺を総合的にというのは、各機関が言ったように甘くなってしまう可能性があると思います。だからやはりきちんとした各機関が持っている基準は尊重しながら、この辺りの今まで基準に表しにくかった質の向上という点で、このいくつかの項目を考えてください、それについて総合的に評価して欲しいという姿勢がいると思います。そうするとこれに挙がっていること以外×にしてはいけないのかといえば、例えば明らかにカリキュラムのハードで法令ミスがあるとか、教員が足りないとか、こういう評価に絡められても、まただめだという問題、同じようなことが起こるわけなので、基本的には基準は尊重する。最後に復活させると問題があるけれども全体的に良いのではないかという時に、甘くはなるが、それを不適格と出さないようなこと、ここで問題になった趣旨から考えると、社会的評価を考えるということかなという感じがしますが、その辺、基準はどうですか。今まで不適格にしたような基準で、不適格にしてはいけない、ここに書かれていない、そういう訳ではないですね。

【浅野室長】
  今回の趣旨はそういうことではございません。

【永田委員】
  こういうことも重点項目に入れて、総合的に判断していくということですね。

【浅野室長】
  あくまでも4月の報告に書いてあるように、全ての評価の項目、基準が全て等しい重みで不適格認定の判定に活用されているということが、先生がご指摘いただいたように問題だろうという問題意識の中で、ある程度の重みづけは必要ではないかという趣旨が報告でありましたので、それを踏まえた形で今回この省令の内容に落としたということです。

【永田委員】
  大学基準協会のことしか詳しくは知らないのですが、項目毎に二重丸、一重丸、第二ランクのものという形で、二重丸については基本的に不適格、一重丸のものは複数あるという形で元々の重点項目化しています。だからその辺りで今回の評価はどうだったかということがあるのですがが。もう1つは、全体的に問題があるが、なかなか引っかけにくいから、どこかの1つの数値的な項目で問題にしているというものが、いくつかあったかと思います。大学評価・学位授与機構は、割ときちんとルールどおりやっているという形で、あまり総合評価ではなかったということですが、その辺りは少し変わってくるとは思うのですが。

【井上座長代理】
  多分、ここの部分は2つの要素があって、1つは先ほど浅野室長が言っていたように、とにかく全ての項目が同じような重みづけで、1つにかかればということをしているのは機械的すぎるのではないかという批判があったのに答えるということと、もう1つは、設置して、その時に認証評価の項目も決めた訳だが、それ以降に、やはりこういうところも重点を置いて評価していくべきという事が出てきて、それを重点項目として盛り込むということ。その2つが恐らく混在した文章になっているので、メリハリを付けるときに、重点は新しく入った項目も含めて重点はここだと、これだけ満たしていればOKと、そのように受け止められかねないような1つの文章になってしまっているので、そこは少し問題があるのかなと思います。

【田中座長】
  14ですが、例えば、「法科大学院の課程を修了した者が、法曹になっているかどうかに関して」という表現などではどうですか。

【笠井(治)委員】
  報告書の段階では特に気にならなかったのですが、26ページの該当部分、囲みの中の「修了者の進路(司法試験の合格状況を含む)など」と書いてありますが、今回の14で示されたものは、「司法試験の合格状況等の進路に関すること」ということで、例示というよりも強い力点が置かれている感じがします。14がぎらつくことは間違いないので、そこをうまく書けないでしょうか。例えば「修了した者の法曹としての進路(司法試験の合格状況等を含む)」とするとか、「法曹としての」だとすると、合格しない者はどうかと言われると議論が立つから、「進路(司法試験の合格状況等を含む)」というような書き方の方が、その辺りの疑念が払拭できるのではないかと思います。ただ、法令の文章でそういう括弧を多用するようなことで良いのか分からないのですが。

【浅野室長】
  他の法文等も見て、確認させていただきます。

【永田委員】
  解説するときに、その状況に応じた改善策が問題だということを盛り込む必要があると思います。先ほど言わなかったのですが、いくつかの法科大学院のヒアリングをして、1つは入口の問題で、社会人をターゲットにして宣伝するが、パフォーマンスが殆ど出ていない。社会人で成功している法科大学院ももちろんあるが、そうでないところ。かなり社会人をターゲットにして募集している、そういう仕組みを作っているかに見えるが十分に対応していない、結果的に入口も甘い、指導も十分でないから合格に繋がっていないというところがあります。そういう意味で合格状況とういうことですが、社会人を1つのパターンとして募集しておきながら、実際きっちり対応できていない、そして入口も甘い、結局その社会人は全体の30,40人の中で今まで1人か2人しか合格できていないというところがいくつか見られるので、そのようなところも含めてどういう形で対応しているかというところが大事だと思います。それは明らかに受験生に対しての警告になりますから。いくつかの経験ですが、そういう傾向が、応募者が減ってくると、その辺りを考えている法科大学院がいくつか出てきています。

【井上座長代理】
  報告書の方では、あくまで教育の質の保証の観点からこういう点を重点項目にということが書いてあるが、認証評価項目に挙げてしまうと、そこのところが飛んでいるので、あたかも司法試験の合格状況等、それが直に評価項目に出てくると受け止められかねないので、そこのところを解説でも良いが、これはあくまで当の法科大学院の教育の質、改善状況ということも入れて良いのかもしれないが、取り組んでいない、そういうところに視点があるというのが分かるようにすれば、かなり誤解は解けるのではないかと思います。

【永田委員】
  今の点ですが、ここが問題にしているのは先ほど言った、合格率が30%を切っているかどうかというところを問題にしているのではないということが、各機関に通じているかという事が大事だと思います。よほど問題がある場合にそこに触れるということにしておかないと。平均的な合格率を考えているわけではないということが伝わるように、どういう形が良いのか分からないのですが。

【田中座長】
  合格率が何%だったらどうのこうのということ自体を評価するのではなく、きちんとそういうことを各大学で把握して、それに応じてカリキュラムを改善したり、入学定員をきちんと調整したり、そのようなことをやっているかどうか、所期の法曹を養成するという目標を達成しているかどうかをきちんと内部で点検しているかどうか、ということの項目として、これを評価するわけですが、これだけを取り出して掲げるとなかなか難しい。

【井上座長代理】
  別のところでヒアリングを経験していますが、これだけ明らかに出ると、「いや、取り組んでいます。」となって、「では取り組んでいる内容は何ですか。」と聞くと「いや、予備校のようなところに相談をして、全国的な模試をどんどん受けることを勧めています。」ということになりかねない。だから対応の仕方も法科大学院の在り方に相応しい対応の仕方をしてもらわないと、そういうところをトータルで見てもらわないといけないと思います。

【田中座長】
  3の「専任教員の適正な配置など、教員組織に関すること」は、むしろ「専任教員の適正な配置をはじめ、教員組織に関すること」という方が、趣旨として適切な気がするのですが。

【小松審議官】
  1点よろしいでしょうか。今日のヒアリングや議論を踏まえて、文言はどんな工夫ができるか色々と検討してみたいと思います。そしてまたご相談をしてということになるかと思います。その際に、この中での書き方と、場合によってはこの辺の趣旨を、単純に検討してみないと分からないが、いわば我々が良くいう施行通知のようなものの中で補足をするということがあり得るのかと思っています。昔ですとそれこそ別途、解説書を作ってということがあったが、それが法的に根拠がないというか、問題があるということで今はやらないので、そういった形式の中でブレイクダウンすることができるのかということも含めて、今いくつか出ている議論は、文言上の工夫という点でも検討してみたいと思います。もう1点、今日はこういう形で、「例えば」という形になっているのですが、1から14まであるわけですが、今まで色々と議論いただいた事項、報告でご指摘いただいた事との関係で、特に影響を受けていない項目に7、つまり「授業の方法に関すること」があるのですが、これも色々と考えて、色々な見解の方向があったり、誤解があるといけないので、そのままにしてあります。これについて独立の項目を立てた議論、指摘は報告にもないので、このような形にはしたのですが、若干頭をかすめるのは、実際の報告の中の議論では双方向・多方向で、ものの見方とか、基本的な書き方を養うということについて、もう少ししっかりすべきではないかという議論もあるわけです。人数のことについては、6で書いてあるので良いと思うのですが、授業方法については、その辺が全く確認しなくて良いものなのか少し不安に思いつつ、今日の議論を伺うと、14の司法試験の合格状況に偏りすぎてはいけないのではないかということのつながりでは、例えば5の「教育上の目的を達成するための体系的な教育課程の編成に関すること」ということが、ある意味では連動して補いになるだろうし、そのように考えると、授業の方法というところについて、全くこのまま影響なしで良いのか、あるいは今のような14との連動で、少し本来の在り方というのを考えることが適切なのかどうか、というのが事務的には若干不安に思っているところでございます。あるいは認証評価上、それは非常に難しい、書くのは難しいということなのかもしれないのですが

【鎌田委員】
  4ページの解説には書いてあるわけですよね。この講義形式の適切な組み合わせというのは、認証評価ではかなり影響がありそうです。この部分は、最終的にはどのような取扱いになるのでしょうか。4ページの四角囲みの外にあるのは、解説の中に書かれるのですか。

【浅野室長】
  今、小松審議官から申し上げたように、資料2の2という形で出させていただいている内容については、今後、今日のご意見を踏まえた形で、どういう形で項目の見直しと連動した形で示せるかを整理して、最後にこの委員会にご相談させていただきたいと思います。

【鎌田委員】
  この囲みの中も変えておいた方が、このようなものを付けやすくなるということになるのでしょうか。

【浅野室長】
  ここでは2つ考え方があって、1つは今の項目の内容では明確に示せないのではないか、もう少し明確化する必要があるのではないか、というものについては、例えば、2の適性の適確な評価、それから3の専任教員の適正な配置、このような形で出しているし、今の項目の中でも項目の内容を変えなくても、ある程度考え方さえ示せば各評価機関に評価の基準なりを考えてもらえるのではないかというものについては、別途、別の形で伝えることを考えるということでございます。

【永田委員】
  審議官が言ったところですが、表現が少し難しいと思うが、大学基準協会が大変苦労したのが、受験対策に過度に偏っていないかということ。それ自体の項目として、基準協会は基準を持っていなかったのです。恐らく今度は立てると思いますが、どのように引っかけてきたかというと、1つはカリキュラムの在り方が偏っていないか、それからもう1つは教育方法、もう1つはティーチング・アシスタントの使い方で、結局そうではなく受験教育に先輩を使っている。こういう3つ辺りくらいに焦点を絞って調査をして、結局は不可にはできなかったが、重要な基準にはっきりしていなかったので。そういう形でこの教育方法に関して双方向・多方向をきちんとやっているかというものが、恐らくもう一回基準に、大学基準協会に関しては落とし込むと思う。ここにはなかなか基準にしにくいかもしれない。

【井上座長代理】
  今のところですが、報告は未修者1年次について書いてあります。特に未修者1年についてはかなり議論があるところで、「双方向・多方向的な授業方法を基本としつつ」というのは、やはり効率的に、基本的な、例えば基本的な知識だとか、そういうものが欠けているという批判があって、それを効率的に教えるためには講義に偏らざるを得ないという意見が結構強い。そのような方法で色々なところでやっていることも現実だと思います。その中で双方向・多方向的な授業方法を基本としつつということをあえて入れたということには意味があると思うのですが、では双方向・多方向だけでやりなさいと、そこまで意見がまとまっているかというと、必ずしもそうではなくて、この制度を作る時から、どちらが良いというのは一義的に決められないのです。しかし、せっかくロースクールでやるのだから、教員と学生がコミュニケーションをしながら、習熟度を見ながらやっていくというのが基本的に正しいという方向に舵をきったのですが、ここのところはどちらかに決めうちで書くというのは恐らく無理なのではないかと思います。ついでですが、14のところですが、他のところは実体的な部分、報告書の実績を大いに引用しているが、この14だけは評価の項目のところしか引用していない。もし解説のような形で出すとすれば、司法試験の合格状況に関連して、問題にしているところが2箇所少なくともあるので、それを引用しておけばかなり趣旨が分かるのではないかと思います。

【田中座長】
  資料3について、意見がありますでしょうか。これは法学未修者1年次だけに対応するということで、さっき言われた2年次、3年次は念頭に置かない対応になっているわけですけれども、さしあたりはこれでやるのか、それとも2年次、3年次まで含めてやるのかについては、もう1度総論をやり直さなければというところもあるし、今回はさしあたり1年次に限定してやっていくということで、どうですか。

【鎌田委員】
  この改正が考えられる事項という形で、修了要件単位が全体として6単位増えると、そして既修で入った人には36単位免除ということで一本化されたというのは、制度として分かりやすくなったと思いますが、うちは36単位免除できるが30単位だけ免除して、6単位は既修で入った者にも履修を義務づけますということが、この規定からいくと読めてしまうかもしれない。その辺のところは少し何か工夫があった方が良いかもしれないと思います。例えば今でも30単位免除できるのだけど、1科目成績が悪いものはその科目だけ2年次に履修しなさいというのは禁止はされていない、勧められてはいませんが。それは30単位まで履修免除できるが、この学生については26単位だけ履修免除して4単位分は1年の科目を履修させるということが可能だとすると、今後、「36単位免除することができる。だから30単位だけ免除して6単位分は履修させます。」というように読まれないような工夫がないと、私はそれをやっても良いような気がしているのですが、今までの議論からいくと、それは未修者に明確に限定した取扱いにした方が良いという実質が反映できるような規定にできれば、それはその方が問題ないかなと思いますが。

【田中座長】
  科目履修免除という表現になっていますが、やはり一律免除という発想が強くて、1年短縮するというのが中心だったので、あまり中味の単位を細かくは議論しなかったのですね。だから1年次に28単位分しか配当していないから28単位しか免除しない、残りの2単位は2年次に取らせようということだったのではないか。あまり細かくチェックはしなかったと思います。

【井上座長代理】
  これは別のところで、そういう既修者認定ができるという例を見せますか。例えば刑事訴訟法だけ力が足りないという場合は、正面から。今までだと法学既修者と認定した人は、割と一律にというような何かが、少なくとも運用はされていたということですか。

【鎌田委員】
  そういうことです。

【田中座長】
  法律科目毎に認定していくという方向では考えていなかった。

【井上座長代理】
  規定からすると範囲でみなすことができるのではないですか。修了要件を揃えた場合に既修者についても36単位、増やした分も免除しなければ変なことになるので、それを手当をしようということ。

【浅野室長】
  鎌田先生がおっしゃっているケースは、修了要件の単位数全体のところの問題というよりは1年次の単位認定ですよね。

【鎌田委員】
  要するに既修者認定をするのは、具体的には1年生で取得すべき単位を取得免除するから2年に入れるわけです。それを1年生で必修36単位取るべきなのを、それを36単位免除するからあなたは2年ですよとなるが、30単位だけ免除してあげる、30単位取れている人は2年に進級できることに本校ではなっていますから、2年生になれる。だけど1年で取るべき6単位はまだ免除していないのだから、その6単位分は、6単位を落として2年生になった人と同じように1年生の科目6単位を取ってきなさいよと言っても違法ではないですよね、この規定だと。

【浅野室長】
  本来はそれを、修了要件単位数は未修者も既修者もその引いた部分を足せば同じになるはずですよね。そうすると結局、今先生がおっしゃっている場合は、修了要件単位数は同じなので、それを免除するということは。

【鎌田委員】
  ですから30単位だけ免除する。36単位免除しないで30単位だけ免除する。

【井上座長代理】
  要するに大多数の人は36単位免除するが、特定の人については30単位に留め、6単位は免除しない。修了要件は同じですよね。

【鎌田委員】
 同じです。それとキャップの枠内に収めさえすれば、既修で入ってきた人に従来より6単位余計に法律基本科目の授業ができることになる。

【井上座長代理】
  2年次で他に1年次の科目を落としなさいということは、免除をしていないのだからできるということですよね。

【鎌田委員】
  それを組織的にやれば、既修者で入ってきた人にも6単位増、3科目6単位増が実現できてしまうのです。

【小松審議官】
  今おっしゃっているのは、それは今も法令の構えからすればできるけれども、30単位がみんな当たり前だと思っているからそういう問題は起こらなかったが、36という中途半端なものになると、その運用は一応強制しなくてもそうなっていたものがおかしな事になりはしないかということでしょうか。

【鎌田委員】
  多分、既修で入ってきた人でももう少し法律基本科目をやりたいというニーズはあるのだと思います。それが今までできなかったものが、裏道を通ると既修入学者にも6単位分法律基本科目が必修として設定できるうまい方法ができましたということは、ここで期待していることとは違いますね。

【井上座長代理】
  そうですね。

【鎌田委員】
  それは、そうならないような手当をするということになりますか。

【井上座長代理】
  既修認定の仕組みのところが、それを防ぐような適正な形になっているかどうか、そこでチェックするしかないと思います。

【田中座長】
  鎌田先生がおっしゃっていることを事実上やっているところがあります。制度としては認めないけれども、事実上やることまでは。

【鎌田委員】
 違法ではないですよね。現行制度で考えると。

【田中座長】
  詰めて考えればそうなるのかもしれません。

【鎌田委員】
   組織的になされると今まで随分議論してきたことと結果的に違う結果になってしまうから気をつけた方が良いと思います。

【井上座長代理】
  大量にやるとクラスの編成とかにそもそも影響していくので、王道にはできないだろうと思うのですが、今の制度は。

【田中座長】
  小規模校では多少できるかもしれないが、少し規模が大きくなってくると制度的には非常に難しいと思います。

【井上座長代理】
 あえて先ほどは言わなかったが、2年、3年についても法学既修者に対する教育方法、法律基本科目の手当というのが報告にあるが、要するに余裕分のところでやる限りは、それは未修者が2年、3年になっても同じ事だからそれはできる。ここは、現行制度でもできるのを確認したということですね。あまり強調すると今度は受験対策に変わってしまうのであえて言わなかったのですが。

【笠井(治)委員】
 それは評価基準として、今3年次はキャップ制の36単位を44単位まで特例で認めるということになっています。では2年次はどうなのかと、緩くても上限36単位と見ることもできるのではないかということで、割り振りというのは後ろの方にずらすのも不可能ではなさそうな気がするのだが。

【井上座長代理】
  後ろの方にずらすとは。

【笠井(治)委員】
 2年次、3年次を。キャップ制を緩くみるとすると、上限36単位といいながら3年次と同じように36を少しオーバーしても良いという評価基準を作った場合に、そういう評価基準は誤りなのかというような議論があると思うのだが。

【井上座長代理】
 それはありますね。

【笠井(治)委員】
 結局1年次を6単位増やすということについても、36単位とするこれまでの考え方を原則として維持しながら42単位ということにしているわけです。3年次も36単位が原則だが44単位ですよね、解釈で。2年次も36単位が原則だが、解釈的に38単位まで良いとかいう議論が出てきかねない。

【浅野専門職大学院室長】
 2年次については標準36単位を44単位で認めるというのは、正式に司法制度改革推進本部の会議でまとめられていますし、今回の1年次の標準36を44にするということについても、この中教審で公の審議会でまとめられた形で報告がまとめられているので、その考え方を勝手に評価機関が自分のところで解釈してというのは難しいと思う。

【笠井(治)委員】
 そういう評価基準は成り立たないということですね。

【浅野室長】
 はい。

【田中座長】
 それでは、今まで出た意見をまとめて、事務局の方でもう一度整理していただけますでしょうか。今後の審議についてですが、認証評価の見直しについては引き続き審議するとともに、9月10日に平成21年の新司法試験の結果が公表されるので、それを踏まえた対応が必要ということもあり、次回の日程について事務局から説明をお願いします。

【浅野室長】
 次回の特別委員会については、9月14日月曜日の16時から17時を予定しています。また詳細については事務局からご案内させていただきます。今、座長から指摘いただきましたように、10日に司法試験の結果が出ますので、それも踏まえて、また、特別委員会の報告も出ているので、それを踏まえた形での考え方をまた整理させていただき、ご議論いただきたいと思っています。

【田中座長】
 それでは本日の議事はこれで終了させていただきたいと思います。

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