法科大学院特別委員会(第32回) 議事録

1.日時

平成21年8月3日(月曜日) 14時~16時

2.場所

文部科学省 東館3F 2特別会議室

3.議題

  1. 認証評価の見直しに係るヒアリングについて
  2. 共通的な到達目標の検討状況について
  3. 第3ワーキング・グループの審議状況について
  4. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)田中成明 委員
(専門委員)磯村保、稲田仁士、井上正仁、小山太士、笠井治、鎌田薫、 木村光江、永田眞三郎、長谷部由起子、松村和德、山本和彦の各専門委員

文部科学省

小松高等教育局審議官、澤川専門教育課長、浅野専門職大学院室長、小代専門教育課課長補佐

5.議事録

【田中座長】 
 それでは、所定の時刻になりましたので、第32回中教審大学分科会法科大学院特別委員会を開催いたします。議事に入る前に、事務局に人事異動があったということでございますので、事務局からご紹介をお願いいたします。

【浅野専門職大学院室長】 
 7月14日付けで文部科学省に人事異動がありましたので、ご報告させていただきます。大臣官房審議官高等教育担当の小松が就任しておりまして、後ほどご挨拶させていただきます。続きまして、新たに専門教育課長に就任いたしました澤川でございます。

【澤川専門教育課長】 
 澤川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

【田中座長】 
 それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【浅野専門職大学院室長】 
 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
 資料1は、6月5日開催の本委員会の議事録(案)でございます。ご意見等がございましたら、事務局にご連絡をお願いいたします。配付資料は、資料1だけでございまして、あと参考資料といたしまして、参考資料1から4まで法科大学院の認証評価についての資料を配付させていただいております。それ以外の机上資料といたしまして、本日のヒアリングの協力者の一覧でございます。それから、法科大学院のコアカリキュラムイメージという分厚い資料、この2つを机上配付資料として配付させていただきます。

【田中座長】 
 それでは、まず4月17日にこの特別委員会で取りまとめました、「法科大学院教育の質の向上のための改善方策について(報告)」を踏まえ、「認証評価の見直しに係るヒアリングについて」を議題にしたいと思います。
 今日は実際に法科大学教育を受けている、あるいは受けられた方から、認証評価についてのご意見をお伺いしたいという観点から、定信さん、大住さん、永井さんの3人の修了生の方にお越しいただいております。お忙しいところ、どうもありがとうございます。
 まず、この3人の方に数分程度でご説明いただいて、その後この場で意見交換をさせていただきたいと思います。それでは、定信さんから、順次お願いしたいと思います。

【定信氏】 
 私が行っております、一橋大学法科大学院は、2008年に不適格の評価を受けてしまったのですが、ある1科目について、学生数を50人以内にしなければいけないところを80人にしていたという点で、不適格という評価を受けたということです。現在では、その授業科目は時間割りの調整をして50人以下に抑えておりますし、もし仮に不適格であるといったことを理由として法科大学院における必要なカリキュラムが執行できないかと言われれば、私はそうは考えずに、本大学院を受験したわけです。実際、双方向授業で人数が問題になる点もあると思うのですけれども、その辺は教授のすばらしい質問の仕方などによってある程度解決できる部分もあるので、決してそのカリキュラム自体によって評価が悪いということになるというわけではないのだと考えます。

【大住氏】 
  私が修了した関西大学法科大学院が不適合とされた理由は、学生の不満とか要望とか、そういうことと全く関係のない理由ばかりでした。認証評価機関が実際に来られたときに、私もヒアリングに参加しまして、学生の立場から、こうしてほしい、ああしてほしいという実質的な不満や要望を申し上げました。僕はもう少し受験指導的なこともしてほしいのですが、関西大学は認証評価に対して過剰に神経質になっているところがありまして、受験指導的ととられることに対して過剰に忌避しているようなところがあります。もう少し、そこまで気にしなくてもいいというようなことを委員の先生から言っていただけたらなということで、そういう希望を持っていろいろ申し上げまして、その場では委員の先生も後で言っておきますというようなことを言ってくださったのですけれども。しかし、実際結果を見ると、そういうこととは全く関係のない形式的な理由ばかりで判断をされていて、これでは本当に不名誉なだけです。例えば授業の人数ですとか、自由科目という扱いではなくて選択科目という扱いにしなさいというような理由なのですけれども、授業の人数があと20人減ったら授業の質が上がるのかというと、そんなことは全くないと思いますし、ある科目が自由科目であって選択科目という扱いにはならないと、何か科目選択をする上で大きな違いがあるかと言ったら、そのようなことはほとんどないのです。せっかくああいう形でヒアリングした以上、学生の要望をもっと吸い上げて、それをもっと建設的な形で提言するような認証評価であってほしいというふうに思います。今回も、ああいう理由で不適合という評価をされたことについては、非常に名誉を傷つけられただけで、それによって何か大学院教育がよくなるというふうには全く思いません。

【永井氏】 
  私が出た同志社大学法科大学院は、その成績評価や再試験のあり方について、不公平、あるいは厳正ではないような点に問題があるという点で不適格とされたと伺っていますけれども、私が受けました授業の経験から申し上げますと、極めて公正に公平に行われておりましたし、その基準についても事前に生徒に周知することになっていましたので、実際受けていた人間の感覚としては、公平に行われていたし、そのプロセスに公平性を害するような、あるいは厳正性に多少疑問があるというような事態は生じ得なかったのではないかと思っています。
 具体的に申し上げますと、いわゆる追試については、とりわけ必修科目については追試を行うということは、事前に掲示がされておりましたし、そこでの成績評価については、不合格評価を受けた部分について追試を受け、平常点プラスその追試部分の点数を加味して、トータルで評価をするということは事前に周知されておりました。また、評価の公平性という観点から申し上げますと、追試験で出た評価が非常によいものであっても、通常の試験で言いますとC評価、すなわち一番下の評価にしかならない。2つチャンスを与えたのに、1つしかいい結果を出せなかったのであるから基本的にはCという評価がなされていたのだと思います。ですから、とりわけそれが不公平であったり、厳正な評価ではなかったというような問題は生じ得なかったという感触を持っております。
 それから、選択科目について再評価を実施するか、しないか。これはどうも科目によって分かれていたようなのですが、そこに関しては、将来のキャリアを見据えての選択科目というところでしたので、そこで再評価を実施されなくて落ちたとしても、それはある程度やむを得ないと私は思っております。
  最後に、私が法科大学院教育を最初に受けた世代の人間として申し上げたいと思うのは、法科大学院教育は非常に高邁な思想をかけてやってこられたというふうに思っておりまして、私もその教育を享受した人間だと思っております。具体的には、知的財産法とか、経済法とか、さまざまな教育の機会を得ることができまして、非常に感謝しておりますし、それが今の仕事に非常につながっていますので、そういう意味では、同志社大学法科大学院で行われていた教育は、私個人の経験としては非常に大事なことだったと思っています。

【田中座長】 
  どうもありがとうございました。もう一つ、ご質問に入る前に。

【浅野専門職大学院室長】
  簡単に人事異動をご紹介させていただきます。
  7月14日付けで大臣官房審議官高等教育担当で着任いたしました小松でございます。

【小松審議官】 
 中断をいたしまして、申し訳ございません。新たに高等教育局担当の審議官に着任いたしております。どうぞよろしくお願いします。

【田中座長】 
  それでは、ただいまの3人の方々のご意見を踏まえて、ご質問などありましたらご発言いただきたいと思います。

【井上座長代理】
   なかなか率直なご意見をいただいて、よかったと思います。定信さんに伺いたいのですけれども、人数の多さ少なさについては教員が工夫すればいいということ、私もそれに同感するところがあるのですが。一つは、実際に授業を受けるという観点で、どれだけの人数でやってもそれは関係ないのか。もう一つは、教員の教え方などで授業の充実を図るということでも、それはどういうふうにして、どういう基準値で測れるのか。学生は授業を受ける側の観点だと思うのだけれども、学生でない人が外から見て、どういう切り口で善し悪しがわかるか。

【定信氏】 
  大変個人的な感想に近いものがあるのですけれども、まず数の点ですが、我が法科大学院では1クラス50人になっていて、授業中の発言や出席は平常点の成績に加味されるわけなのですけれども、発言が成績に関わってくるということで、学生も当然それなりに勉強してくるわけです。
  発言点をどのようにつけるかということに関しては、先生によりさまざまで、出席していればいい、あるいは名簿順に当てて何かしら質問に答えればいいという場合もあるし、ランダムに当ててその質問に答えられればいいという場合もあります。ランダムに当てられる場合は、学生はどこを当てられるかわからないので、緊張をしながら授業を受けるわけですけれども、ただ、当てられる質問によっては難しい、易しい、あるいは考えさせられるというものがあって、考えさせられる質問は法制度の趣旨などに立ち返らないと答えが出てこないものがあるということなのです。
  教科書や参考書などに書いてある通説そのものも批判されることもあって、学生としては当然そのようなことは予知できないわけなのですけれども、なぜこの制度が作られているのか、なぜこういう法制度の仕組みになっているのかという点を考えながら答える。つまり、教科書にとらわれずに、現場で考える力を養わせる、そういう質問の仕方をする先生がいらっしゃる。そういう授業は非常に我々もわくわくして受けるし、終わった後おもしろかったと言っています。中にはウェブクラスといって、インターネット上のシステムを使って質問の応対をしてくださる先生もいらっしゃるのですけれども、先生と生徒両方で司法試験の合格を目指していこうという姿勢がすごく強いのかなと思っておりまして、結局授業人数ではなくて、姿勢で変わっているところが多いのではないかと思います。学生同士の連帯も、非常に強いものがあります。協力し合う姿勢によって、我々は学問の質を高めていくところがあると思いまして、人数は余りそういうところで関係なくて、実際に具体的な数と言われると非常に難しいのですけれども、私は自分の大学の50人というのは、非常によいのではないかと思います。クラスによって結び付きも強くなることがありまして、クラス同士で意見を活発に議論でき、そういう点は非常に恵まれた環境にあるのかなというふうに思います。

【井上座長代理】
  それはわかるのですけど、問題とされたのは、たまたま人数が多かったクラスですよね。ですから、その多かったことについて、数に問題あるのではないかという評価を受けたことについて、中身やその教え方が充実すれば不適格とする理由はないだろう、そういうご趣旨だと思うのだけれども、数が本当にどんなに多くてもよいのかという、ちょっと意地悪な質問をしたのです。ノーマルが50人でやっているところは、それはもう全然問題がないのだろうと思います。

【定信氏】
  私が入学した段階では、既に是正がされた後でありまして何とも言えないのですけれども、仮に今50人のクラスが80人であった、あるいは100人であったとしても、先生が生徒全員を見渡せない、あるいは全員を指名できないという問題はあるにせよ、どういう問題が授業で聞かれるかという点がしっかり表示されていれば、学生は恐らく主体的に取り組むことができると思うので、余りそういう点では問題はなかったと思いました。

【井上座長代理】
  ありがとうございます。

【永田委員】
   それぞれの方にお聞きします。人数の問題、あるいは独立の授業科目としてのご意見、それから、あるいは再試験ではなくて再評価という違う方法をやっていたという点。それは、それぞれの認証評価機関の基準に若干、反しているということです。その指摘はあってもいいけれども、総合評価として不適格、不適合とされることは問題ではないかということをお感じなのか、個々の基準も考えてほしいということなのか、その辺はどうですか。一橋の場合は、これだけ実績をあげている中で、人数の問題だけで不適合というのは、どういうふうにお考えなのか、それぞれ聞かせてください。一定の指摘があるのはいいけれども、総合として不適合、不適格とすることはないのではないかというお感じなのか、その辺はどうですか。

【定信氏】
  不適格であった科目が行政法と会社法というものであって、そのときは、1学年に100人いて、行政法、会社法のみはクラスを分けずに授業を選択するということになっていました。2クラス分が一緒にすることになって、当然1クラス分の枠を超えることは予想できたと思うのですね。にもかかわらず、そのような科目設定をしたのは、確かに問題があったのかもしれない。ですが、カリキュラム設定を見直さなければいけなかったかと言われると疑問は残りますし、実際に今見直しているからよいかとも思うのですけれども、やはり、少なければ少ないほどよいという点は、確かにないことはないと思います。実際に少ないほうが効率がいい、あるいは先生の目が届く。ただし、ひたすら少なくすればよいというものでもないのかなと思います。だから、数という面だけをとって不適合という点は確かに遺憾ではありますけれども、不適合とされた部分については、考えなければいけない部分もあるのかなという感じもあります。

【大住氏】
  今の基準自体はあってもいいと思うのですけれども、例えば人数の問題にしても、構造的に全く無視をして、どの科目でも人数をすごく多くしているというのは問題だと思いますけれども、一切例外を認めないほど厳格に適用しなければいけないところなのかというと、そうではないと思います。個別的な事情がある場合もあると思いますので、そういうことも考慮して、個別に事情がある場合は認めていくような運用があってもいいのではないかなと思います。
  それから、不適合ということは、大学にとっても我々にとっても非常に不名誉なことなので、例えば人数とか、ある科目を自由科目ではなく選択科目にするということであれば、多分すぐ直せることであるので、ことさら不適合などという重い評価を出す必要があるのかということはすごく思いました。ですので、その基準自体はあってもいいと思うのですけれども、やはり不適合という評価はすごく重いので、そういう一刀両断的な判断ではなくて、もう少し柔軟な、指導であるとかそういうことで十分対応できるのではないかと思います。

【永井氏】
  総合で不適合ということではなく、個々の基準の不適合でよいのではないかという観点から申し上げますと、やはり、総合で不適合となってしまいますと、今日ここに来る前に先輩弁護士と話をしていたのですけれども、うちのロースクールが不適合になりましてと言うと、もうだめだろうとか、あるいは、だめロースクールの烙印を押されたような印象を一般の人は持つのです。そういう観点もあることから、個々の基準で不適合であっても、総合では適合と言えるという観点もあるのではないかとは思います。ただ、同志社大学のロースクールで今回適合にされました基準について言うと、やや抽象的と言いますか、非常にあいまいな部分もあろうかと思いますし、若干どういうプロセスを経て、どういうポイントが厳正ではなかったのか、公正性を欠いていたのか、そういう点がよくわかりません。私は、深く知らないものですから、ぱっと見てそういう感想を抱いたものですから、申し上げました。あとは、どういう基準であれば厳正かつ公平で、どうすればそれを担保できたのか、そういう側面がよくわからないというところもありまして、そこをある程度分析できない間に不適合ということだけが先走ってしまい、ニュースにも載ってしまうということは、やや問題があるのかなという気がしています。

【磯村委員】
  一橋大学を受験されようと考えられたときに、法科大学院の規模が100名で、かつクラスが基本的には50人で行われているということが、どれくらいの意味を持っておられたのか。そもそも、それは余り関係がなくて、やはり一橋大学という現在のステイタスが重要であったのかどうか。それから、大住さんには、関西大学に入られたときに、関西大学でどういうカリキュラムが、どういう形で提供されていたかということが、選択の中である程度意味を持っておられたのか、あるいはそうではなかったのかということについて、それぞれご意見をお伺いしたいと思います。

【定信氏】
  一橋大学が、いわゆる少人数教育を掲げていたことは、私の受験時にどれほどの意味があったのかということですが、一橋大学の教育に関して言えば、私は学部も一橋大学だったのですけれども、どうしても法律の理論というのは勢い抽象的になりやすいもので、ただ講義を受けているだけでは全くと言っていいほど身につかない。どうしてもわからない点については、その場で質問をしたいし、あるいは絶対に正解がない議論をしていかないと、問題意識が高まらない。そういう意味では、必ず絶対に議論ができる場でなければ意味がないなと私は思っています。だから、私は神戸大学なども受けたのですけれども、なるべく人数が少ないところのみに絞って受けようと思っていました。
  不適合の件について言いますと、他の大学は一橋よりも圧倒的に人数が多くて、そういう場合でもうまくいっているのだから、この場合は不適格は意味がないという話ではないとは思います。確かにそういう観点もあるとは思うのですけれども、結局、一橋が目指しているものができるか、できないかという点に関して問題があったかどうかという点で私は考えます。ただし、50人という枠は確かに一定の意味があるのかなという点に関しては、異論はありませんし、実際に今学期のクラスによって必修の科目が分かれたことは、すごく勉強もしやすくなってよかったと思いました。

【磯村委員】
 ありがとうございます。私は、非常にニュートラルにご質問をしたつもりだったのですけれども、少し深読みをしていただいて、いろいろお答えいただいて、ありがとうございました。

【大住氏】
  私に関しましては、カリキュラムを特に重視して大学を受けたということはありませんでした。カリキュラムなどは一応見ましたけれども、他と比べてそれほど違いがないというか、その程度のものでしたので。どこを見てもそれほど違いがなかったので、余りそこを基準に大学を選択したということはありませんでした。

【井上座長代理】
  不適格の意味ですけれども、さっき永井さんから不適格、不適合になった理由がよくわからないというお話がありました。これについては、どういう理由があるのかということが書かれている部分が評価報告書の中にあって、調べればわかるのですけれども、調べようとは思わない程度だと思うのですが、あるいは調べたけれども抽象的な理由なのでよくわからないということなのかもしれません。不適格であるというふうに報道されて、受験に当たってそれがどの程度判断基準になったのか。不適格とされたときに、なぜ不適格になったんだろうというふうに調べてみようと思ったか、思わないか。新聞報道では結果しか報道されないわけで、自分が選択するときに理由を調べてみようと思うのか、思わないのか、その辺はどうですか。

【定信氏】
  新聞報道されたときに、私はちょうど学部のゼミの先生が、法科大学院の授業もなさっていたので、あれは何なのですかと聞きました。大体こういうことだと理由を聞いて、ああ、そうなのかと思っただけで、受験をやめようかと思ったわけでは全くなかったという感じはしております。

【大住氏】
  私は認証評価のヒアリングに参加していろいろ申し上げたので、もちろん、どういう理由で不適格となったかということはチェックしたのですけれども、自分の周りの家族や友達は、全くそういうことをわからないので、大丈夫なのかと友達から言われて、説明するのは大変でした。逆に、説明すると必ずみんなびっくりして、なぜそんな理由でというような反応が返ってくるので、それは常識的なことだというふうに僕も思います。私も修了生として、関西大学にこれからいい受験生が入ってきてほしいのですけれども、やはり受験生の立場からしても、受験生は不適格の理由まで詳しく調べるかというと、そのようなことはないと思いますので、やはり偏見と言いますか、過剰な反応というものを生んでしまうということはあるかなというふうに思います。

【田中座長】
  それぞれについてご意見を伺ったのですけれども、簡単な提言でいいですけれども、一言ずつお聞かせいただければと思います。今度はこちらから、永井さんから。

【永井氏】
  少し筋がずれるのかもしれないですけれども、法科大学院教育を受けた人間として難しいなと思っておりましたのが、法科大学院制度というのは、非常に高邁な思想を掲げていらっしゃって、いろんな選択科目がある。その一方で、司法試験を受験させて、合格者数をある程度確保しなければならない。その中に認証評価もある程度位置づけられるべきなのかなと思います。すなわち、ある程度合格者を確保することが、法科大学院という制度、思想をきちんと全うするということができているということだろうと思うのです。法科大学院の先生方は、非常にそのあたり、片やロースクールのきちんとした先端教育との両立をかなり苦心なされて校内の制度作りをなさったり、あるいは運営をなさっているのだなというふうに、端で見ていて、すごくその苦労が伺えたわけです。認証評価制度にありましては、ある程度そのあたりのダブルバインドの状況を酌んでいただいた上での評価をしていただければと思っております。例えば、私の聞き及んでいたところによりますと、予備校が昔やっていたような論文の添削教育とか、余りそういう受験教育は好まれないというふうに聞いておるのですけれども、やはり実際に実務についてみますと、書く訓練というのは必ず必要だと思います。そのような点が、やはり試験だけでは不足するということもありますので、余りに高邁な思想を掲げ、追いかける基準であっても困るのです。かといって、ロースクールが受験予備校的なってしまうのも、それも困ります。何とかうまく着地点を作っていただければと思っておりまして、それは本当に受験していた当初から思っていたことなのですけれども、そこは本当に難しいのかなという気がしています。

【大住氏】 
  適合、不適合と、一刀両断に判断をするのではなくて、もっと実際の学生の要望などを踏まえ、他の学校ではこういう形で対応しているとか、あらを探して指摘し合うのではなくて、もっと積極的に提言し合うような形で運用していただいたほうが、いい効果が上がってくると思います。現状では、他のロースクールの話を聞いたりするのですけれども、そこそこいいことをやっているようなところがあっても隠れてしまっていて、いいやり方があるのであれば、それを共有していくようにすればよいと思います。こういう形に改善したらどうかというような、そういう建設的な提言があってもいいのではないかなと思います。

【定信氏】
  やはり法科大学院は、できてまだ若い段階であるところが大きいのかなと思います。認証評価というものは、中央と現場のロースクールが歩み寄る上では、必ず必要であると思います。ただ、その評価の方法は当然難しいものになると思いますし、何を評価するのか、どうやって評価するのかという点で、難しい箇所があると思います。永井さんがおっしゃったように、実際に現場に出て書く訓練というのは重要で、正直なところ、いまだ私はほとんど書けない状況にあるかなと思います。知識は頑張って詰め込んではいるけれども、実際に実務に出たら、多分全く通用しないということはあると思って、もう少し実務に出られるようなカリキュラムがあればよいという点はあります。エクスターンシップで実務見学もさせていただけるのですけれども、実際そういう実務のカリキュラムが入ってくれば、学生としてはモチベーションが上がります。講義形式ばかりではどうしてもモチベーションが下がるというか、わからないというふうに落ち込んでしまうところがある。何を評価するのかという点で、果たして講義形式の科目を数をこなせばいいのかという点では、少し疑問があります。どうやって評価をするのかという点では、やはり数ではないのかなと思いますし、学生がどのように考えているのかという点を酌んでいただければと思います。ですので、一刀両断に不適合とするのではなくて、指導という方法があったり、どういう方法があるのかというのをシェアしていって、改善策を見つけていく方法があってもよいと思います。やはり制度ができて若いということから、なるべく歩み寄って、よりよいものをつくっていただきたいなと考えています。

【笠井委員】
  今お話がありました、書く訓練ということと、答案練習や受験指導との関係は非常に難しい問題だと思っています。今日お話しくださった3名の方なんですけれども、答案練習を学生が渇望しているというか、望んでいるという趣旨でおっしゃったのではないのではないかと私は勝手に理解をしているわけです。書く練習、書く訓練というのは、まさに答案練習と違って、与えられた試験問題ではなくて、ある程度疑似的な問題で、これは当然、ロースクールですからありましょう。そういうものについての事案を分析して、構成し、法律的にこれを当てはめて論述していくという、その訓練だと思っておりまして、皆さん方からこうしてほしかった、あるいは、ほしいとおっしゃっているものというのは、そういうふうに理解をしてよろしいのでしょうか。つまり、答案練習だけではないと。

【定信氏】
   法律の文書の書き方というものは非常に独特であるというのは、私もわかって勉強しておりますけれども、答案練習になるとどうしても決められたパターンがあって、それを書かなければいけないというイメージがあるのですけれども、確かにそれは私たちは望んでいない。ただし、どのように書けばうまく私たちがその出題者の意図、あるいは問題点をうまく把握して、そこについて述べているのか、どういうふうに述べればうまく述べられるのかという点に関して言えば、我々はまだ理解が足りない。
  例えば刑事の課題においては、実際に出された中間レポートでは、あなたの文章では訴因がわかりませんと書かれ、訴因とは何だろうだと思いながらも頑張って書いて、そうやって歩み寄ったりはするのですけれども、それはすべての科目については言えないことで、そういう歩み寄りは、やはり添削者がいなければ達成できないことなのです。教員の方々は非常に難しいと思うのですけれども、やはり私たちは書く訓練、いわゆる一つの答案パターンを覚える練習は望んではいないのですけれども、どういうふうに書けば私たちの問題意識が伝わるのか、あるいはそれに答えられるような書き方はあるのかという点については訓練が必要だと考えています。

【大住氏】
  私も答案練習的なものを望んでいるわけでは決してなくて、同じ問題を何人かで書いても評価が分かれるわけで、どういうところで評価が分かれるのか、どういう書き方をすれば評価されるのか、そういうところはすごく気になるところですし、絶対必要な能力だと思いますので、そういうところについてもう少しきめ細かい指導をしてほしいということであって、受験予備校的な答案練習をやってほしいということではありません。

【永井氏】 
  私もそう思います。答案練習となりますと、いわゆる予備校的な問題があって、そこにきちんとした模範解答があって、それのとおりに書いて提出するとなりますが、そういうことは望んでいないと思います。実務に出ましても、実際の事件はさまざまで、それぞれの事件のポイントは当然違います。それに向かって、どのように説得していくかというのは、最低限度のマニュアルを抽出して、法的な規範を提示してそれを当てはめていく、そういう最低限の書く能力というのを涵養するということが非常に重要なことではないかなと思います。

【磯村委員】
  3人の方にお伺いしたいのですが、期末試験だけではなくて、学期の途中で小テストのようなものが実施されているかどうかということと、それから、そういう場合に、先生方が小テストについて講評されたり、あるいは、オフィスアワーを使って自分の答案がどういうものであったら、どういう評価を受けるかということについて、自由にその意見を聞きに行けるという機会があったのか、あるいは、むしろそうではなかったのかということですが、簡単にお願いします。

【定信氏】
  中間試験、あるいは中間レポートは、ほとんど必修の科目でございました。それについての講評というものは、中間試験の採点が終わった答案と一緒に付されて返されることが多いのですけれども、中にはそういうこともせずに、ただ単に点数が書いてあって、なぜこの点数なのかわからないということもありました。ただ、学生がそれをオフィスアワーを使って聞きに行くということは、何となく聞きづらい雰囲気がありました。聞きに行きやすい先生は、多分授業の最後の時間をそれに充てるので、もし何かあれば聞きに来てくださいと言うのですけれども、我々もそれを聞きに行きづらい雰囲気というものはあって、なぜこの点が悪いのだろうと友達と言い合うぐらいです。個人の意見としては、中間試験、中間レポートというものは、期末試験だけでは範囲も広くなるので、あっていいものですし、個人的な要望を言うならば、できれば先生に聞きに行けるような雰囲気があればなとは思います。

【大住氏】
  中間試験とか中間レポートはほとんどの科目で実施されていますけれども、それについての講評にわざわざ時間をかけるということはなくて、個別に聞きに行けば、ポイントである程度のものを教えてもらえますが、定信さんと同じく、先生が聞きに行きづらい雰囲気を出しているということではないのですけれども、やはり評価される者からすると聞きに行きづらいというところはありますので、もう少し向こうから言っていただける機会があったほうがありがたいと思います。まとめると、聞きに行けば、きちんと講評はいただけるという形にはなっていますが、それで十分かというとそうではないということです。

【永井氏】
  まず小テストですけれども、ある科目とない科目とがありまして、多くの科目はあったと記憶しております。その解説、講評についても、次の授業時間が始まる前に、ある程度あったかと覚えています。それから、オフィスアワーという形でも、そういう講評を受ける機会を設けていただくことはありました。それから、同志社大学ではアカデミックアドバイザーといいまして、現役の弁護士とか修了生などがアドバイザーとしてついていましたので、疑問があれば聞くという機会はあったと思っています。

【田中座長】
  予定時間が参りました。本日はヒアリングにご協力いただきまして、ありがとうございました。ご退席いただいても結構でございますけれども、もしご関心があれば、最後まで傍聴していただいても結構でございます。どうもありがとうございました。
  それでは、今のヒアリングの結果を踏まえてですけれども、2巡目の認証評価がまた始まるわけですが、その前にこの委員会といたしましても、この4月に取りまとめた報告書で提案をした認証評価の見直しにつきまして、報告のままではあいまいなところがありますので、法科大学の認証評価に係る関連の諸点について、具体的な審議を行う必要がございます。
  そのため、次回のこの委員会までに、この親委員会に当たります大学分科会でこういった審議を行うことの了解を得ておく必要が手続上ございまして、このことにつきましても私あるいは井上座長代理でこういった了解を得る手続等を踏みたいと思いますけれども、そういうことでよろしいでしょうか。

(了承)

 ありがとうございました。それでは、そういう手続を踏んだ上で、次回までには事務局と相談いたしまして、論点を整理して、次回のこの会議でお示しできるようにしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、次の議題「共通的な到達目標の検討状況について」であります。第2ワーキング・グループの主査である磯村委員より、現在の「共通的な到達目標の検討状況について」のご報告をお願いしたいと思います。なお、この共通的な到達目標につきましては、現在、第2ワーキング・グループで検討していただいているところでございまして、資料は、不確定なところもございますので、今回は机上配付として、会議に回収したいということでございますので、ご了承願いたいと思います。

【磯村委員】
  それでは、現在の状況についてご説明をさせていただきたいと思います。先月27日に第2ワーキング・グループの会合がございまして、最新状況についての検討を行いました。今、田中先生からもご説明いただきました机上配付資料でございますが、これは7月27日の段階で民事系、公法系、刑事系、それぞれの系について現在までにご検討いただいている暫定案の形でのコアカリキュラム案というのを持ち寄って、それぞれの法系の先生方から、現在までの検討状況、これからの検討予定について詳細なご報告をいただきました。
  大きなそのスケジュールのを申し上げますと、現在の段階で、かなりの部分が既に暫定案としてはでき上がってきておりますけれども、できれば10月の中旬ないし下旬までに全体のコアカリキュラム案の第1次案というようなものを、調整を経て公表ができるに近い状態までにします。その段階で最後の調整がさらに必要だと思いますので、11月の半ばぐらいできれば第1次案を公表して、関係の大学あるいは法曹も含めた機関に意見照会をするというような形で、一月間ぐらいのいわゆるパブリックコメントに近い形の期間をとりまして、それのご意見を踏まえて、さらに12月の下旬から2月ぐらいまでの段階で、最終的に案を詰めて取りまとめるという形で進めることを予定しております。
  この案の中では、民事系の中で民法は分量が多いということで、少し段階的に、とりあえず6月段階で民法総則を詰めて、その次に、債権編、物件編、それからその相続というように考えており、7月のいっぱいで債権の前半部分というように予定しておりましたが、若干、委員の先生方の事情で遅れているという状況であります。しかし、全体として、現在の段階でこのページ数をごらんいただきますとわかりますように173ページで、各項目を拾い読みをしていただきますとわかりますように、ものすごく細かいという案ではなくて、比較的穏当なところできているのではないかというのが、第2ワーキング・グループでの意見のほぼ共通したものとなっております。
  やや細かく申し上げますと、その各項目における詳細さの度合い、あるいは難易度の問題、それから項目数についてでありますが、多くの科目分野、公法系ですと憲法、行政法に分かれ、刑事系については刑法、刑事訴訟法というように分かれて、その小さな各分野で見ますと、大体300項目程度前後になるということが、現在の状況からは予想されるところであります。
  それに対して、民事系の中で、とりわけ民法、商法については、かなりそれに比べると大きな数字になります。例えば800から1,000というような項目数が予想されています。ワーキング・グループの中では、これだけの違いがあるのがどうかということは議論になったのですけれども、多くの委員が一致した意見としては、やはり商法については新しい会社法ができて、その会社法の浸透度ということを考えると、ある程度、具体的に項目を設定するということは必要になって、こういう数字になるということは仕方がないのではないかということです。ただ、民法について言いますと、例えば刑事訴訟法の単位数と民法全体の単位数を考えると、民法の単位数のほうがはるかに多いということが項目数にも反映されるということは仕方がないのではないかということで、大きな調整をする必要なしに、大体、項目数を基準として作業を進めることができるのではないかというように、ほぼ一致したところであります。
  難易度についても、大体各系について授業でどれくらい取り上げるかということは、かなり自由度があるということは大前提なのですが、大体イメージとしてどれくらいのことがこの項目の中から授業で扱われることになるだろうかというときに、分野によって違いますし、6割程度でおさまるところもありますが、おおむね7割ないし8割ぐらいの部分は授業でも取り上げられるということで、そういう点でも、難易度の点でも、それから分量の点でも適切なところにほぼなっているのではないかということになります。
  若干やっかいなのは、どういう形で項目の文章を書くかということですが、例えば「理解している」、あるいは「理解できていると」、「説明することができる」という述語表現がありますが、そのそれぞれが同じ意味で使われているかどうかというようなことは、若干ずれがあり得るのではないかということです。これは8月ないし9月段階で、つまり第1次案が出そろう前の段階で、各系の主査が相互に調整をして、あるいは統一をするという必要があるということになりました。とりわけ、こういう問題を考えるときに常に難しいのですが、「説明することができる」というのは、どこまでできていればそれが「説明することができる」ということになるのかというのは、言うのは簡単ですけれども、実際の判断としてはすごく難しく、ごくあいまいな形でまとめると、こういう制度はこういう場面でこういうように使うということがわかっていればいいのか、もう少し立ち入った形で、非常に細かい要件、効果まで正確に把握しているところまでかということで、少しその幅が要るということがありました。
  それから、単にその条文の知識を正確に持っているというだけではなくて、具体例に即してそれをどう使うかということが本当にできるかどうかという運用能力が重要になってくるわけですが、そういう運用能力をどのように測るかということについての工夫も必要であるというように考えているところであります。それから、昨年度の段階では法律実務基礎科目については、むしろ法律基本科目の中に実務家の先生方、委員の方々にご参加をいただいて検討をしていただくということでありましたけれども、今年度やはり、法律実務基礎科目それ自体についても、そのプロパーのコアカリキュラムというものが必要であるということで、それは実務家の委員の先生方を中心にこれをいただいている段階にあります。
  しかし、これについても法律基本科目とのすり合わせは、当然、研修段階では必要になりますので、10ランクぐらいの段階で、そういうすり合わせもできるということを作業としては予定しています。それぞれの案について、なかなか他分野の項目について、これが適切な分量なのかどうかというのは言いにくいということは確かにあるのですけれども、ワーキング・グループの段階では、全体としてはこういうものをさらに推し進めるということで今後の作業ができるのではないかと思います。
  最終的には、これは法科大学院協会のカリキュラム等検討委員会との連携作業ということもございますので、3月の段階で最終的には大きなシンポジウムを開催して、そのシンポジウムの中で最終的にご意見を頂戴するということで、最後の取りまとめをすることにしているところでございます。夏休みも各委員の先生方は大変お忙しいのですけれども、8月ないし9月の段階で、さらに詰めをしていただいて、作業としては、ひとまず10月の中旬段階が第1次目標という形になります。
  資料について若干だけご説明いたしますと、前半部分については、例えば憲法のところ、あるいは行政法のところでは、1、2というような形で項目はそのままというところが多いかと思いますが、例えば41ページを見ていただきますと、民法の部分については、ひし形の白抜きのものと、それから黒のものがありまして、黒のひし形の部分は、まずコアカリキュラムとすることについては、ほぼ異論がないだろうというもので、しかし、白で抜いてある部分については、これはもしかするとコアカリキュラムから外れるかもしれないというものです。しかし、まず大きく拾い上げて、それで落としていくほうが作業の方法としてはいいのではないかという形で進めております。これは商法についても、それから民事訴訟法についても、基本的には同じような考え方をとっているところであります。これは、民法は現在、例えば6人の委員で作業を進めているのですが、その委員の中でも評価が分かれているところもあります。しかし、実務家の委員の一部の意見からは、白を余り落としてしまうと、民法としてはやや手薄になり過ぎるのではないか、もっと拾い上げるということを考えていいのではないかというご意見も出たところでございます。
  大体、現在までの検討状況は以上でございます。もしご質問等があれば、補足をさせていただきたいと思います。

【田中座長】
  ただいまの説明について、何かご意見、ご質問ございましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 それでは、もう一点の「第3ワーキング・グループの審議状況について」を議題としたいと思います。第3ワーキング・グループの主査である永田委員より、現在の審議状況についてご報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【永田委員】
  第3ワーキング・グループの主査の永田でございます。この第3ワーキング・グループは、6月5日の法科大学院特別委員会でも審議がありましたとおり、各法科大学院と連携を図りながら、各法科大学院の現状を改善していくための項目について議論を行っております。
  その進捗状況ですが、各法科大学院のご協力によりまして提出いただきました改善計画の内容を確認し、書面のみでは不明確な内容がある法科大学院に対しては、7月の初めからヒアリングを行いまして、7月末までに終えたところでございます。現在、それを踏まえ、各法科大学院の改善計画の分析を行っているところでございます。今後は、この分析結果に基づきまして、さらに確認を要する事項がある場合には、必要に応じて追加ヒアリングや実地調査などを実施しながら状況の把握に努めまして、最終的には、その結果を取りまとめたものをこの特別委員会にご報告をする予定でございます。

【田中座長】
  大変な作業だという気がするのですけれども、最終的に、ここの結果は、どういう出し方をするのでしょうか。

【浅野専門職大学院室長】
  永田委員からご報告がありましたように、やっと7月中に大体ヒアリングが終わりまして、これからさらに実地調査が必要な学校があるかどうかといったことを分析しながら、最終的に秋ぐらいまでにヒアリング等の報告を行うということになります。

【井上座長代理】
  非常に大変な作業ですけれども、そういうふうにヒアリング等を通じて、改善の一環として法科大学院の方とお話をする機会があるということ自体、意味のあることだというふうに思います。やはり、情報が必ずしも正確に行っていない部分もあり、それぞれ工夫をされているところですが、報告の趣旨ですら十分正確な形では理解していただいていないものもありますので、それをやること自体は別に何かできればというふうに思います。

【笠井委員】
  私も刑事系の研究班にほぼ毎回参加させていただいておりまして、その検討状況もつぶさに知っているのですけれども、非常に作業的には難しい問題だというふうに認識しております。先ほど磯村委員がおっしゃったように、各系それぞれの考え方もあるし、昔もっと若かりしころは、それぞれ隣の系についてもある程度理解力があったのですが、分野について今問われるとなかなか難しい問題なだというのも実際としてはあるのですけれども、この問題が単に教科書目次にならないようにするということは非常に重要な点だろうと思います。これは形式的な意味でも、外からの無用な議論を招かないという意味でも、単に目次になってはいけないということが非常に重要な点だろうと思うのですが、その点で磯村委員がおっしゃった具体的な言葉の言い回し、述語の問題がかなり効いてくる問題であろうと思います。例えば公法系の行政法についてですけれども、そこで強調されている運用能力と、こういう観点に着目して言い回しを書いていくということ、それから運用能力の涵養ということを念頭に置いて、そこに力点を置いた共通目標を作るという点は、着目点として非常に重要なところではないかというふうに思います。なお一層お互い努力していこうと、感想めいたことで大変申し訳ないのですが。

【小松審議官】
  ちょうどこの制度ができ上がる折りに、その担当に一員として加わらせていただいていたのですが、改めて聞いていきますと、司法制度改革の長い流れの中で奮起してやって行こうということが可能性として考えられるところまで問題になった部分と、それから、改めて特にヒアリングもご協力を外からいただいたわけですけれども、実際に手をつけてみると、その反応にちょっと差があったような効果を生む場所と、2つあるかと思います。
  そういう意味では、当初のこの設計の中でさらに詰めていったほうがいいものと、それから、実際検討してみると新しく出てきた部分は、仕分けしながら進めていく必要があるのかなというふうに思っております。ただ、法科大学院は、正直申しまして、そのあり方について、整理なども含めてかなり厳しい声も聞こえてまいりますので、その制度の健全化のために、スピード感をもって進めていかなければいけないこともあるかと思いますので、先ほど来のスケジュールの中で、この秋、あるいは年度末までに上げて、さらに先生方にご無理を願ったり、スケジュールのご調整をいただくことが出てきそうな気がいたしますので、その点をどうぞよろしくお願いいたします。

【井上座長代理】
  我々も、なるべく早く進めていかなければならないと思うのですが、第3ワーキングのヒアリングをやっている中で思ったことなのですが、特に報告の中で、未修者1年次については、法律基本科目の授業の量と質を充実させるために6単位まで履修できる範囲を増やしてもいいというようなことが書かれていますね。これについては、受けとめる方は、いつどこで、どういう形になっていくのか、報告には書いてあるけれど、本当にこれに乗って、後で認証評価で指摘されるのではないかというような反応もありました。我々としては、これは当然、これに従って認証評価の基準も変わっていくのだろうから、すぐに検討を始めていいというふうに思ってはいたのですけれども。やはり、そういうギャップが出てきているということで、その点はできるだけ早く明確にして、ヒアリングを通じてでも我々からご説明しますが、そういうことと同時に、明確化という意味では、規定の上でも変えられるようなところがあるように思います。これは前に議論に出たところですけれども、それを6単位とれば履修登録制のところが時間が増えるのと、修了の条件が6単位増えるというところは、恐らく現行の規定の解釈に頼るという理解をしていますけれども、修了要件を増やした場合に、既修者の場合は30単位まで免除ということなっているので、この30単位の規定のところは何かしないと、既修者も6単位増えるということに自動的になりかねないので、その辺のところは規定上も少し含めて検討をして必要な改正を行っていきたいというふうに思いましたので、それだけ申しておきます。

【田中座長】
  何かここで方針を決めるのだけれども、いざ、そのときになったらできないということはないようにしないといけない。井上委員がおっしゃった点については、ずっと問い合わせがあって、今のところは、具体的なことは報告では言っていないので、わからないということで。

【井上委員】
  来年度のカリキュラムに反映するとなると、遅くとも秋までにカリキュラムを決めないと授業が組めませんので、それが可能なように、少なくともこういうふうにするという方針を明確にしていただく予定です。

【永田委員】
  今日の参考資料にも関連がありますが、こういうふうに次のサイクルの基準にも反映するということで、認証評価のお話が出たのですけれども、そのあたりもよろしくお願いいたします。

【田中座長】
  早く決めないと、その認証評価基準の改定に間に合わない可能性があるので、この認証評価については、早くお願いしたいと思います。

【浅野専門職大学院室長】
   先生がおっしゃられたように、次の2巡目の直近の評価は平成23年度でございまして、当然その23年度に認証評価をやるということは、自己点検評価書の提出が必要ですので、22年度には動き始めなければいけないということで、そのための評価基準は、さらにさかのぼって、この秋ぐらいから決めていかなければいけないという要望が大きいと思います。こちらも急いで、その考え方のお示しを先生方とご相談をしながら示していきたいと思います。

【田中座長】
  今、井上委員がご指摘いただいたことも踏まえて、次回にかけて、どこをどういうふうにする必要があるかということを整理して、お諮りしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【鎌田委員】
  今の点は、来年度の入学者に直接関係してくることなのですが、私の理解では未修で入学した人の修了要件のみが6単位増加するということです。原則は変わっていないので、仮に未修者に6単位ふやしても、30単位免除で従来どおり既修者は6単位増加分を履修しなくても修了できるというのが、大体この間の議論の大まかな合意だったと思うのですが、それに基づいて、本学では、そういう方向で検討しているのですが、そうということでよいでしょうか。

【井上座長代理】
  その解釈で本当にできるかどうかですね。3年課程を標準にして修了要件を93単位から99単位にし、既修者はそこから30単位引くということですね。99単位にするところは、法令上は93単位以上ですので、各法科大学院が決められると思うのですけれども、免除するほうが、30単位を上限とするということになっているけれども、それを39単位にしないとそこが埋まらないのではないかという疑義が生じるのですね。ですから、確認でもよいのですけれども、落ちたものを拾うなり、その辺のところを検討する必要があると思います。

【田中座長】
  8月にもう一度お願いいたしますので、そのときはよろしくお願いします。

【浅野専門職大学院室長】
  次回の日程をご説明させていただきます。8月31日月曜日の16時半から18時までで予定をしてございます。

【田中座長】
  それでは、今日はこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

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