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資料6
中央教育審議会大学分科会
大学の教員組織の在り方に
関する検討委員会(第4回)
H15.12.19



大学の教員組織の在り方に関する検討委員会における意見の概要
(大学分科会(第30回)〔15.12.18〕報告資料)


1.大学教員の職の在り方について

1.    基本的な考え方
   現在の教授、助教授、助手は、講座制を前提としたものであるが、平成13年の大学設置基準の改正により、講座制・学科目制以外の組織編成が可能になっているため、制度上、これらの職の在り方は見直すべき。

   実態上も、私立大学では、一部を除き、講座制や学科目制は実質的に設けられておらず、国立大学においても、大講座制や大学科目制が増加し実態は大きく変わっている。このような変化を踏まえて、大学教員の職の在り方も見直すべき。

   独創的な研究をするのは若い年齢の者が多く、若手研究者がより独立して研究を行うことができるような環境づくりが重要である。その一つとして、まず、学校教育法上、「〜を助ける」となっている助手や助教授の職名や職務内容について見直すべき。

   現行法令上、教授、助教授、助手は必ず置かなければならないとされているが、第三者評価制度が導入される中で、法令上、大学に置かなければならない教員の種類等をどのようにすべきかについて検討すべき。

   教員の職の在り方を考えるに当たっても、人事の流動性、特に、国際的な人事の流動性が重要であり、大学教員の職の在り方を見直すに当たっても、国際的な通用性に十分配慮すべき。

2.    助手について
   助手の職は曖昧なポストであり、職務の実態が極めて多様なものとなっていることから、全てを一括して助手とするのではなく、職務を整理して複数の職に分けるべき。

   その際、助手の職にある若手研究者については、学校教育法上の「助手」との名称や「教授及び助教授を助ける」という職務は実態に合わないため、若手教員の養成という位置付けに、ふさわしい職名や職務内容の新しい職を設けるべき。

   若手教員の養成においては、研究面だけでなく教育面も重要。若手教員の養成のための新しい職を設けるに当たっては、研究を行うことだけでなく、学生への教育を行うことも職務とするような、柔軟な職務内容にすることが必要。

   若手教員の養成のための職については、大学の判断によるが、アメリカのテニュア・トラックにある職のように、任期付で一定期間、研究等を行うことができる仕組みを導入すること、特に、最先端の研究を志向する大学において導入することが望まれる。

   我が国においては、テニュア制度について誤解が多いが、テニュアを付与する際の審査が適切なものであれば、極めて優れたシステムであり、各大学の判断により、普及拡大が図られることが望ましい。

   地方の大学では、地域貢献が重要になってきており、地域への教育を推進するためには、現在、助手の職にあるような若手教員がキャンパス外に出て単位認定を行うなどの権限を与えることが重要。

   教育や研究を支援する人材の層が薄かったのが日本の大きな問題点。研究面に関しては科研費等で雇用することにより、かなりの程度解決できるが、教育面に関しては確保するための方策を検討すべき。

   高等専門学校についても、若手教員が、実験・実習を経験しながら教育上の専門家として育っていくことが望まれ、そのような者については、現在の助手の職名や職務内容とは異なった新たな職を考えるべき。


2.講座制・学科目制等の教員組織の在り方について

      
   いわゆる講座医局制のように、講座制は、人事も含めて閉鎖的、硬直的な運営に陥りがちであり、新しい時代に対応できていない。

   講座制の問題の根底には、学問体系と講座制が連動していることがある。大学教員は大学への帰属意識より専門領域への帰属意識の方が強く、それがカリキュラム改革等を行う場合に全面に出て弊害となる。

   何十年もかけて積み上げていく分野においては、講座制も意義を持ってきたが、その点も、別な見地から担保する方法を議論すべき。




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