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資料5
中央教育審議会大学分科会
大学の教員組織の在り方に
関する検討委員会(第4回)
H15.12.19



これまでの各論点についての意見の整理(案)

1    大学教員の職の在り方について

1.    基本的な考え方

   現在の大学における教授、助教授、助手という職の在り方は、基本的には、講座制・学科目制を想定したものであるが、平成13年の大学設置基準の改正により、講座・学科目以外の組織編成が可能になっており、制度上、これらの職の在り方についても見直すべきである。
   実態上も、私立大学では、一部を除き、講座制や学科目制は、実質的に設けられておらず、制度と実態と乖離している。国立大学においても、いわゆる大講座制や大学科目制が増加し、従来の講座制とは異なってきている。このような実態の変化を踏まえて、大学教員の職の在り方も見直すべき。

   我が国の大学等が国際的な競争力を持つ魅力ある大学等へ発展していくためには、質の高い教育研究活動を展開することが不可欠である。
   特に、独創的な研究をするのは若い年齢の者が多く、若手研究者がより独立して研究を行うことができるような環境づくりが重要である。この観点から、学校教育法上の助教授や助手の職名や職務内容を見直すべき。

   現行法令上、教授、助教授、助手は置かなければならないこととされている。しかし、各大学が、教育研究の進展や社会の変化等に対応して多様で特色ある教育研究活動を展開するためには、このような教員組織についても、各大学の判断と責任によって、より柔軟に設計できるようする方向で制度を見直すべき。

   教員が視野を広げながら、資質・能力を高めていくためには、教員の人事の流動性の向上、特に、国際的な人事の流動性の向上が重要であり、大学教員の職の在り方を見直すに当たっても、国際的な通用性に十分配慮すべき。

2.    助手について

【基本的な方向性】
   現在、助手の職にある者が行っている職務には多様なものが含まれており、しかも、実態上、各分野や各大学によって様々な職務が多様な形で組み合わさっている。このため、助手の位置付けも曖昧なものとなっており、各分野や各大学によって、若手研究者の養成過程、教育研究活動の補助、学科や研究室の運営事務担当と様々である。
   このような多様な状況にある助手を、助手という一つの職名、職務内容で括ることはおかしく、職務を整理して複数の職に分けるべき。

【若手研究者養成の側面について】
   助手の中には、将来、教授等になることが期待される若手研究者養成のためのポストとして位置付けられているものが多くあり、このような職に就いた者にとって、現在の助手の名称や職務内容は実態に合わないのみならず、国際的な通用性を有しない。

   若手研究者養成においては、研究面だけでなく教育面における養成も重要である。大学等の理念に基づき、研究面の能力や実績とともに教育面の能力や実績に着目したり、むしろ教育面の能力や実績を重視して、昇進させていくことも考えられる。
   また、地域貢献等の観点からも、教授等だけでなく、若手教員も責任をもって教育を担うことができるようにすることも重要である。

   このため、若手研究者養成のための新しい職としては、教授等から支援を受けつつも、自ら研究を行うことや、学生へ教育を行うことを主たる職務とする新しい職を設けるべき。

   この若手研究者養成のための新しい職については、大学の判断によるものであるが、アメリカのテニュア・トラックにある職のように、任期付で一定期間、研究等を行うことができるようすることが望ましい。特に、最先端の研究を志向する大学において導入することが強く望まれる。

   また、テニュア制は付与する際の審査が適切なものであれば、優れた大学教員を確保する上で優れたシステムであり、各大学の主体的な判断により、普及拡大が図られることが望まれる。

   テニュア制を導入する場合もあっても、導入しない場合であっても、若手研究者養成のための新しい職に就いた者が、昇進するためには、きちんとした評価基準を設け、それを超えないと昇進できないとすることが重要。その際、各大学の理念や分野の特性等に応じて、教育上の能力や研究上の能力など、評価対象や評価基準を変えていくことが重要。

   医学の分野は、他の分野に比べて助手の数が非常に多いが、臨床系では臨床の能力を重視して任用したり、基礎医学では教育上の能力が十分であることを条件として任用しており、さらに、研究に特化した助手も存在するなど多様な状態にある。このように、評価の基準も多様なものを設けることが重要。

【若手研究者養成以外の側面について】
   19日の議論を踏まえて作成

   (参考   今までの意見の概要)

   大学の教育研究活動の周辺には様々な業務があり、助手がいないと直ちに滞るであろう教務事務、研究事務がある。その事務を助手という職務の人が対応するか、他のスタッフが対応するかは別にして、そういう純然たる事務とか技術とは違った業務を担う人は必要。

   研究者、教育者となる若手教員のための職以外に、教務事務や技術事務の職員として助手が必要であるならば、それはそれで名前を考えて残してはどうか。

   教育や研究を支援する人材の層が薄かったことが日本の大きな問題点。研究面に関しては、科研費等である程度雇用することでかなりの程度解決できるが、教育面についての対応は検討が必要。

   教育型の大学の場合、教育支援という役割は非常に重要であり、教育研究の補助の役割を果たしている助手について、どう位置付けていくか検討が必要。

3.    助教授について

   19日の審議を踏まえて作成

4.    教員の職全体について

   各大学や各学問分野によって、どういう職種がどの程度必要かということは異なっており、一つのシステムですべての大学に対応することは無理である。
   若手教員の養成のための新しい職についても、各学問分野の特性や各大学の理念等に基づいて柔軟に対応することができるよう、必ず置かなければならないとするのではなく、各大学の判断により、置くことができることとすべき。

   高等専門学校においても、若手教員の主力は助手であり、そういう者の活用が高等専門学校の活性化や、技術者教育の活性化において、大事である。そのため、大学と同様に、そうした者にふさわしい職を設けることが必要。


2    講座制・学科目制等の教員組織について

   19日の審議を踏まえて作成

   (参考   今までの意見の概要)

   いわゆる講座医局制のように、講座制は、人事も含めて閉鎖的、硬直的な運営に陥りがちであり、新しい時代に対応できていない。

   講座制の問題の根底には、学問体系と講座制が連動していることがある。大学教員は大学への帰属意識より専門領域への帰属意識の方が強く、それがカリキュラム改革等を行う場合に全面に出て弊害となる。

   何十年もかけて積み上げていく分野においては、講座制も意義を持ってきたが、その点も、別な方法で担保することもありうるはず。




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