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資料3

中央教育審議会/科学技術学術審議会
大学改革連絡会(第5回)H14.1.17


科学技術・学術審議会人材委員会における検討状況について

平成14年1月
科学技術・学術政策局

第1回人材委員会であった主要な発言を以下にとりまとめる。


1.人材に関する基本的なあり方の整理
 ●我が国は、多様で優れた人材を育成できる仕組みを作ることが必要。
 ●アカデミアが多様な人材を評価する土壌が必要。それを可能にする観点からもマネジメントする人に、多様な考えを持った人間をおくことが必要。
 ●幅広い多様なヴィジョンを持つ、優れた人間をどのように育てるか、ということを根本から議論すべき。
 ●持続的な発展が目的となった現在、企業や学校が自由な発想をもって人材養成できるようにすべき。
 ●文理融合的な研究においては、文系と理系の研究者をつなぐコーディネートする力を有した者が必要。

2.大学、大学院教育
 ●大学入学後早くから専門化されてしまう学部教育のしくみにより個人のレベルでフレキシビリティが喪失し、多様性が育たない。学部では幅広く、大学院で専門化するのがよい。
 ●産業界は大学に対し、1教育・人材育成、2真理追求型の純粋基礎研究、3産業技術に関連ある分野の研究の3点を期待しているが、特に12が重要。
 ●教養教育の再建が必要。
 ●大学経営においてプログラムオフィサーやリサーチコーディネータ等の人材育成が必要。さらに、マネジメントをリーダーシップをとって行える人材の育成も必要。
 ●改革は体制といったハードのみならず、それを動かすソフトが重要。ソフト面は各大学の自由に任せる柔軟システムとすべき。
 ●夢、志を持つ学生が少ない。学生の持っているものを早く見つけて、伸ばしていくシステム作りが重要。
 ●大学、大学院と産業界の相互のコミュニケーションの拡大が必要。
 ●大学院の重点化を図ったことで大学院に進む学生数は増えたが、質は低下している。
 ●ドクターの専門性の範囲が狭いのが問題。ダブルメジャーや多様性が重要。
 ●博士課程学生は重点化により人数は増えたが、教育内容が学部教育の延長で知識の継承が中心となっている。大学院教育を米のリサーチ・スクールのような研究開発現場に直結するような形でOJTに近い方向とすべき。
 ●マスターとドクターとは区別して教育していく必要がある。
 ●大学院に優秀な人材が行くように、大学院生に対する生活支援を含めた支援が問題。
 ●大学院教育の現状がどうなっているか整理すべき。

3.若手の育成
 ●若手研究者の支援のための研究費が必要。また、評価の視点は一般の場合と違ってしかるべき。
 ●若手研究者の評価は、成果や実績よりもポテンシャル、仕事ぶりが重要。

4.ポスドク問題
 ●欧米では任期期間として5〜7年が必要と認識。
 ●大学院、ポストドクターと積み重ね、社会に出る時期がいたずらに遅くなることはデメリットも多い。
 ●企業、産業界はポストドクターを吸収し、ポストドクターがキャリアパスになるようにすべき。
 ●修士課程学生は企業内で教育するが、ポストドクターは即戦力として考える。よってポストドクターが即戦力としての力を持っているかが判断基準となるが十分とは言い難い。
 ●ポストドクター、オーバードクターがインターンとして市民セクターで経験をつめるようにNPO、NGOへの支援なども検討すべき。

5.流動性の向上
 ●人材の流動化を図るためには、任期付任用の制度をどうするかという断片的なことより、研究開発に関する労働市場をどう変えるかという視点の検討が必要。
 ●流動性、任期制は学部や一つの大学など一部だけでなく、全大学や社会全体で実施される必要がある。
 ●人材の流動性、任期制が広がるにはマーケットが小さすぎる。人社系で言えば、学芸員や企業など新たなマーケットを作る必要がある。
 ●流動することが不利にならないよう社会保障、人材評価システムの改革が必要。
 ●外国人を入れないと優秀な研究者は確保できない。
 ●外国人研究者、女性研究者の活用を進めるには異質な研究者に対してオープンな研究環境に変えていくことが大事。
 ●国際的な交流が研究者の養成には重要。

6.科学技術人材のキャリアの多様化
 ●研究開発の新たな方向を見いだせる専門家の行政への参画(リサーチコーディネータ)。
 ●社会的説得力に富んだ、インターフェースになる人材が欠かせない。他のセクターとの間のコーディネータやプロデューサーとなる人材が必要。
 ●振興分野の研究を見抜いて、育て、産業化するシステムが欠如。産学連携のためのリサーチコーディネータが必要。
 ●コーディネート力のある研究所長や研究室長になれる人材が必要。

7.人文社会に特有の問題
 ●抽象化、論理的思考能力の育成、全体の文脈の中で物事を理解し行動する能力の育成が必要だが、人社関係の教育は空洞化している。
 ●学位の取れないオーバードクターが非常に多い。学生をディスカレジさせており、教官の意識改革が重要。

8.今後の進め方
 ●社会一般が必要とする人材の議論のみならず、国を引っ張っていくようなエリートの養成についての議論も必要。
 ●審議会の議論は曖昧になりがちであり、1論点を常にクリアーにしながら議論すべき。2物事には正だけでなく負の部分もあることに留意しあわせて記述すべき。



参考

人材委員会の設置について


   科学技術及び学術の振興を図り、科学技術創造立国を実現していくために必要な人材に関して、幅広い観点から調査検討を行う人材委員会を昨年10月12日の科学技術・学術審議会総会において設置し、12月26日に第1回委員会を開催した。

1.設置の趣旨
   ○科学技術及び学術の振興を図り、我が国の発展を実現していくためには、これに関わる研究者や技術者等の人材の養成・確保が極めて重要。
   ○これらの人材に関しては、これまで様々な観点からの議論の結果、様々な施策が講じられているが、全体に通じる一貫した思想のもと体系的に見直すことが必要。

2.委員構成
   別紙のとおり。

3.今後の予定
   ・1月23日に第2回委員会を開催。(月1回のペースで開催)
   ・7月を目途にとりまとめられる部分につき、第1回とりまとめを行う。






人材委員会委員名簿

 

  安 西 祐一郎    慶応義塾大学塾長
  大久保 博 司    本田技研工業常務取締役
  岸   輝 雄    独立行政法人物質・材料研究機構理事長
  小 平 桂 一    総合研究大学院大学長
小 林 陽太郎    富士ゼロックス会長
  郷   通 子    名古屋大学大学院理学研究科教授
  佐 藤 禎 一    日本学術振興会理事長
  谷 岡 郁 子    中京女子大学長
  所   眞理雄    ソニー上席常務
  鳥 居 宏 次    奈良先端科学技術大学院大学学長
  鳥 井 弘 之    日本経済新聞社論説委員
  中 嶋 嶺 雄    東京外国語大学名誉教授
  中津井   泉    リクルート社「カレッジマネージメント」編集長
  似田貝 香 門    東京大学大学院人文社会系研究科教授
  野 依 良 治    名古屋大学大学院理学研究科教授
  藤 野 政 彦    武田薬品工業代表取締役会長、東京大学客員教授
  山野井 昭 雄    味の素技術特別顧問
  吉 田 光 昭    萬有製薬筑波研究所長、元東大医科研所長
     
      主査  




 




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