参考資料1-2 これからの大学教育等の在り方について(第三次提言)

はじめに

  教育再生は、個人の能力を最大限引き出し、一人一人が国家社会の形成者として社会に貢献し責任を果たしながら自己実現を図り、より良い人生を生きられる手立てを提供するという教育の機能が十分果たせるようにする改革です。その実現には、教育を集大成し社会につなぐ大学の役割は決定的に重要です。知識・情報・技術が社会のあらゆる領域での活動の基盤となる知識基盤社会にあっては、大学が担うべき役割が一層大きくなっており、その教育・研究機能を質・量ともに充実していく必要があります。
 各国が高等教育を重視し規模を拡大する一方、日本は、国際的に見て社会人入学や外国人留学生が少ないなどの影響もあり、大学進学率は低く、社会人の学び直しの機会も限られています。高等教育に対する公財政支出は、国際水準に比して低く、国私立間格差も大きい現状があります。また、大学のグローバル化の遅れは危機的状況にあります。大学は、知の蓄積を基としつつ、未踏の地への挑戦により新たな知を創造し、社会を変革していく中核となっていくことが期待されています。我が国の大学を絶えざる挑戦と創造の場へと再生することは、日本が再び世界の中で競争力を高め、輝きを取り戻す「日本再生」のための大きな柱の一つです。
 大学の機能強化の取組に当たっては、国家戦略として中長期的展望に立ち、日本人としてのアイデンティティと幅広い教養を持ち、世界に打って出たり、外国人を迎え入れて交流したりすることのできる人材を育成していくことが重要です。このため、初等中等教育から高等教育までの一貫した取組、文理共通したリベラルアーツの充実、日本文化についての深い理解が求められます。また、「世界水準の教育研究の展開拠点」、「全国的な教育研究拠点」、「地域活性化の中核的拠点」など、大学教育の質・量の充実を図る中で、それぞれの大学が持つ強みをいかしつつ、大学の多様性や地域の特性を踏まえた取組が行われる必要があります。同時に、産学官の連携・協力を始めとする社会総がかりの取組が必要であり、国及び地方公共団体には産学官協働での人材育成プラットフォームづくりの推進が求められます。
 このような考えの下、国家戦略として直ちに取り組むべき方策について提言します。政府においては、平成29 年までの5年間を「大学改革実行集中期間」と位置付け、速やかに具体的な政策立案に向けた検討を行い実行するとともに、進捗状況を定期的に検証し説明責任を果たしていくことを期待します。また、本会議としても、教育再生の観点から責任をもって進捗状況を確認し、提言の確実な実行を担保していきます。なお、高大接続や大学入試の在り方など大学改革に関する他の課題は、引き続き検討します。

1.グローバル化に対応した教育環境づくりを進める。

 社会の多様な場面でグローバル化が進む中、大学は、教育内容と教育環境の国際化を徹底的に進め世界で活躍できるグローバル・リーダーを育成すること、グローバルな視点をもって地域社会の活性化を担う人材を育成することなど、大学の特色・方針や教育研究分野、学生等の多様性を踏まえた効果的な取組を進めることが必要です。また、優れた外国人留学生を積極的に受け入れることによって、大学の国際化を促し、教育・研究力を向上させ、日本の学術・文化を世界に広めることなども求められています。そのため、国は、交流の対象となる地域・分野を重点化したり、日本の文化を世界に発信する取組を併せて強化したりするなど、戦略性をもって支援していくことが重要です。

1 徹底した国際化を断行し、世界に伍して競う大学の教育環境をつくる。

○ 日本国内において世界水準の教育を享受したり、日本人研究者が海外の優秀な研究者との国際共同研究を質・量ともに充実したりできるよう、国は、海外のトップクラスの大学の教育ユニット(教育プログラム、教員等)の丸ごと誘致による日本の大学との学科・学部・大学院の共同設置や、ジョイント・ディグリー1の提供など現行制度を超えた取組が可能となるような制度面・財政面の環境整備を行う。
○ 大学は、優秀な外国人教員の増員や教員の流動性の向上のため、年俸制を始め、教員の能力等に応じた新しい給与システムの導入を図る。また、日本人教員の語学力、特に英語による教育力を向上させ、英語による授業比率を上げる。外国人教員の生活環境の整備・支援(英語による医療、子どもの教育、配偶者の就労支援等)、大学事務局の国際化などトータル・サポートのための体制を整備する。
○ 大学等は、外国の大学や現地企業等との連携により海外キャンパスの設置を進め、海外における魅力ある日本の教育プログラムの実施を図る。国は、日本の大学等の積極的な海外展開による国際連携を拡大するため、制度面・財政面の環境整備を行う。また、競争的資金2について、その特性に応じ、日本人の海外における研究活動の支援を促進できるよう努める。
○ 国は、大学のグローバル化を大きく進展させてきた現行の「大学の国際化のためのネットワーク形成推進事業(グローバル30事業)」等の経験と知見を踏まえ、外国人教員の積極採用や、海外大学との連携、英語による授業のみで卒業可能な学位課程の拡充など、国際化を断行する大学(「スーパーグローバル大学」(仮称))を重点的に支援する。国際共同研究等の充実を図り、今後10年間で世界大学ランキングトップ100に10校以上をランクインさせるなど国際的存在感を高める。
○ 国は、各大学がグローバル化に対応した教育方針を策定・公表し、グローバルな視点から地域社会の発展を支える知的推進拠点としての役割を果たしていくための積極的な取組を支援する。

2 意欲と能力のある全ての学生の留学実現に向け、日本人留学生を12万人に倍増し、外国人留学生を30万人に増やす。

○ 大学は、大学入試や卒業認定におけるTOEFL等の外部検定試験の活用、英語による教育プログラム実施等の取組を進め、学生に実践的英語力を習得させ、海外留学に結び付ける。外部検定試験については、大学や学生の多様性を踏まえて活用するものとする。また、英語力の優秀な学生には更なる語学の習得も重要であり、例えば、東アジアにおけるグローバル化への対応として、実践的中国語等の習得を目指すことなども有用である。
○ 大学は、海外の大学との交換留学や単位互換を進めるとともに、秋入学やクォーター制など国際化に対応した学事暦の柔軟化を図る。国は、大学における海外でのインターンシップの実施促進や単位認定の促進など、学生が海外で活躍するための取組を支援する。
○ 国は、企業や個人等との協力による給付型奨学金等を含めた留学費用の支援のための新たな仕組みを、寄附促進の仕組みも含め創設し、秋入学など学事暦の柔軟化に伴うギャップターム等を活用した留学や海外での体験活動を含め、日本人学生・生徒の短期、長期の海外留学に対する支援を抜本的に強化する。また、地方公共団体においても、留学費用の支援に関し企業や個人からの多様な支援が得られるよう体制を整備する。
○ 産業界及び国は、企業や国家公務員の採用において留学経験を有する学生を積極的に採用するとともに、秋入学等に伴う採用試験、資格試験の実施時期等の見直しを行う。また、採用後も意欲のある者が進んで留学できるよう、留学経験の積極的な評価を行うなど促進に努める。
○ 優秀な外国人留学生の戦略的な受入れ拡大のため、国、大学等は、ワンストップで留学を可能とする海外拠点を整備し、入学手続の共通化・簡略化を含め、渡日せずに入学許可や奨学金の支給決定をする仕組みを構築する。また、英語による授業、日本語教育、宿舎整備等の生活支援や優秀な外国人留学生の日本企業への就職支援を充実・強化する。国は、重点地域・分野の設定など国費留学生制度等を抜本的に見直し支援を強化する。企業は、優秀な外国人留学生の採用を積極的に行う。

3 初等中等教育段階からグローバル化に対応した教育を充実する。

○ 国は、小学校の英語学習の抜本的拡充(実施学年の早期化、指導時間増、教科化、専任教員配置等)や中学校における英語による英語授業の実施、初等中等教育を通じた系統的な英語教育について、学習指導要領の改訂も視野に入れ、諸外国の英語教育の事例も参考にしながら検討する。国、地方公共団体は、少人数での英語指導体制の整備、JET プログラムの拡充等によるネイティブ・スピーカーの配置拡大、イングリッシュキャンプなどの英語に触れる機会の充実を図る。
○ 国は、英語教員の養成に際してネイティブ・スピーカーによる英語科目の履修を推進する。国及び地方公共団体は、英語教員がTOEFL等の外部検定試験において一定の成績(TOEFL iBT80程度等以上)を収めることを目指し、現職教員の海外派遣を含めた研修を充実・強化するとともに、採用においても外部検定試験の活用を促進する。
○ 国は、グローバル・リーダーを育成する先進的な高校(「スーパーグローバルハイスクール」(仮称))を指定し、外国語、特に英語を使う機会の拡大、幅広い教養や問題解決力等の国際的素養の育成を支援する。国は、国際バカロレア認定校3について、一部日本語によるディプロマ・プログラム4の開発・導入を進め、大幅な増加(16校→200校)を図る。国及び地方公共団体は、高校生の海外交流事業や短期留学への参加を積極的に支援する。日本人学校等の在外教育施設において、現地の子どもを積極的に受け入れ、日本語教育や日本文化理解の促進に努める。

4 日本人としてのアイデンティティを高め、日本文化を世界に発信する。

○ 日本人としてのアイデンティティを高め、日本文化を世界に発信するという意識をもってグローバル化に対応するため、初等中等教育及び高等教育を通じて、国語教育や我が国の伝統・文化についての理解を深める取組を充実する。国は、海外の大学に戦略的に働きかけるなどして、海外における日本語学習や日本文化理解の積極的な促進を図る。また、日本文化について指導・紹介できる人材の育成や指導プログラムの開発等の取組を推進する。

5 特区制度の活用などによりグローバル化に的確に対応する。

○ 大学等の教育機関、地方公共団体が本提言に示すようなグローバル化に対応した教育環境を整備する上で効果が期待される場合には、国は、必要な規制改革や支援措置を講じる。その際、産業競争力会議において議論されている「国家戦略特区」(仮称)等を活用した取組を国が支援することも考慮する。

1 複数の大学の共同による学修プログラム修了者に対して授与される共同で単一の学位。
2 資源配分主体が広く研究開発課題等を募り、提案された課題の中から、専門家を含む複数の者による科学的・技術的な観点を中心とした評価に基づいて実施すべき課題を採択し、研究者等に配分する研究開発資金。
3 国際バカロレア機構(スイス・ジュネーブに本部を置く1968年設立の財団法人。学生に国際的に認められる大学入学資格を与えることや、国際理解教育の促進に資することを目的としている。)により、同機構が定める教育プログラムを実施する教育機関として認定を受けた学校。
4 2年の履修期間を経て最終試験に合格すると、世界各国で幅広く大学入学資格として認められるプログラム。現在、英語、フランス語、スペイン語(一部、ドイツ語、中国語でも実施可)で授業、試験が行われている。

2.社会を牽引するイノベーション創出のための教育・研究環境づくりを進める。

 イノベーションの創出には、高い技術力とともに発想力、経営力などの複合的な力を備え、新たな付加価値を生み出していく人材の育成が必要です。その際、ライフサイエンス分野を含む理工系分野をこれまで以上に強化することは欠かせません。大学は、こうした人材育成を担うとともに、産学連携による持続的なイノベーションを創出し、我が国の成長を牽引していくことが重要です。このため、重点的な人材育成が求められる分野については、その充実に向けて、規制改革を含め必要な環境整備が求められます。

○ 技術と経営を俯瞰できる人材の育成を図るため、国は、大学における文理横断型プログラム開発を支援するとともに、全ての学生が文系理系双方の基礎知識を習得する取組を促進する。また、自然科学・人文社会科学の基礎的素養、考える力、表現力など幅広い素養、さらには芸術等の文化的素養を育成するため、教養教育を充実する。
○ 国は、イノベーション創出人材の効果的な育成の観点から、10~20年後を見据えて必要となる理工系人材の分野や構成、求められる能力等について、大学等、産業界、行政が共有し、それぞれの責任と役割を踏まえた戦略的な育成を図るための「理工系人材育成戦略」(仮称)を策定する。また、国や地方公共団体が設置する「産学官円卓会議」(仮称)において同戦略を推進する。
○ イノベーションの中核を担う理工系分野を一層強化するため、国は、各大学の強みや特色、「理工系人材育成戦略」(仮称)を踏まえ、教育・研究組織の再編成や整備を支援する。また、大学の多様な先端的基礎研究への支援を充実する。
○ 若者の起業家精神を育むとともに、世界で活躍できるビジネスパーソンを日本発で育成するため、国は、経済・経営系を中心とした学部・大学院のカリキュラムの大胆な転換、教育機能の強化を促進する。
○ 大学は、専門分野の枠を超えた体系的な博士課程教育の構築など大学院教育を充実するとともに、幅広い人材の交流による新たな発想からイノベーションが創出されるよう大学院入試の在り方の見直しを図る。また、テニュア・トラック制5の普及・定着、研究費や研究スペースの十分な確保など若手研究者の研究環境を整備する。さらに、産学官の連携を図り、産業界、国は博士課程修了者を積極的に採用し活躍の場を設け、大学は多様なキャリアパスの開発・開拓と実社会にマッチした大学院教育を行うよう、それぞれが責任を果たす。
○ 産学が一体となって新産業の創出を図るため、国は、研究開発の事業化やこれを目的とした投資会社及び大学発ベンチャー支援ファンド等への国立大学による出資を可能とするなど、制度面の整備を行う。また、大学は、企業の技術開発部門との人事交流や、企業人の学び直しを通じて、研究者と企業の連携による事業化のマネジメントができる人材の育成を図る。特に地方においては、研究開発の拠点としての機能を強化する。
○ 国及び地方公共団体は、初等中等教育段階から理数教育を強化するため、専科指導や少人数教育、習熟度別指導のための教員配置や設備等を充実するとともに、スーパーサイエンスハイスクール、科学の甲子園等の総合的な取組を推進する。国は、全国学力・学習状況調査において理科の調査を定期的に実施する。

5 若手研究者が、審査を経て安定的な職を得る前に任期付きで自立して研究経験を積む仕組み。

3.学生を鍛え上げ社会に送り出す教育機能を強化する。

 社会において求められる人材が高度化・多様化する中、大学は、教育内容を充実し、学生が徹底して学ぶことのできる環境を整備する必要があります。今般、産業界の取組により、就職活動時期の後ろ倒しの動きが出てきていますが、確実に定着することを期待します。大学は、学生が学業に専念できる期間を確保できたことも踏まえ、待ったなしで改革に取り組み、若者の能力を最大限に伸ばし、社会の期待に応える必要があります。

○ 大学は、課題発見・探求能力、実行力といった「社会人基礎力」や「基礎的・汎用的能力」などの社会人として必要な能力を有する人材を育成するため、学生の能動的な活動を取り入れた授業や学習法(アクティブラーニング)、双方向の授業展開など教育方法の質的転換を図る。また、授業の事前準備や事後展開を含めた学生の学修時間の確保・増加、学修成果の可視化、教育課程の体系化、組織的教育の確立など全学的教学マネジメントの改善を図るとともに、厳格な成績評価を行う。国は、こうした取組を行う大学を重点的に支援し、積極的な情報公開を促す。企業、国は、学生の多彩な学修や経験も評価する。
○ 大学において、学内だけに閉じた教育活動ではなく、キャリア教育や中長期のインターンシップ、農山漁村も含めた地域におけるフィールドワーク等の体験型授業の充実を通じて社会との接続を意識した教育を強化する。その際、学生が働く目的を考え自己成長を促す長期の有給インターンシップを産学の連携により進めていくことも考えられる。また、国は、行政機関における中長期インターンシップの受入れを率先垂範して行うとともに、民間企業の就職・採用活動時期の後ろ倒しも踏まえ、国家公務員試験についても必要な措置をとるよう人事院に要請する。
○ 大学・専門学校等が、地域の人材育成ニーズに応え、地域に貢献できるよう、地方公共団体や地域の産業界等との連携協力や、実践的な教育プログラムの提供などの取組を国が支援する。また、日本の伝統的な産業や優れた技術を伝承する職人等の養成に対する支援に取り組む。
○ 初等中等教育を担う教員の質の向上のため、教員養成大学・学部については、量的整備から質的充実への転換を図る観点から、各大学の実態を踏まえつつ、学校現場での指導経験のある大学教員の採用増、実践型のカリキュラムへの転換、組織編制の抜本的な見直し・強化を強力に推進する。また、学生の学校現場でのボランティア活動を推進するなど、大学と学校現場との連携を強化する。

4.大学等における社会人の学び直し機能を強化する。

 知識基盤社会にあっては、社会人になってからも学習への意欲を持ち続けることが重要です。また、学びによって多様な能力を伸ばし人生を豊かにするとともに、成長を支える高度な人材育成が可能となります。「大学=18歳入学」という日本型モデルを打破し、大学・専門学校等において社会人が新たな能力を獲得するための学び直し機能を質・量ともに強化することが必要です。

○ 大学・専門学校等は、職業上必要とされるより高度な知識等の習得や、新たな成長産業に対応したキャリア転換に必要な知識等の習得など、産業界や地方公共団体のニーズに対応した高度な人材や中核的な人材の養成のためのオーダーメイド型の教育プログラムを開発・実施する。国は、こうした取組や履修証明制度6の充実・活用を支援する。その際、女性の活躍に資するための学び直しも支援する。
○ 大学・専門学校等は、産業界や社会人の学び直しニーズにマッチするよう、社会人教員の活用などによる先駆的な授業科目の開発、産業界との協働による実践的な職業教育プログラムの開発などの取組を進める。特に、国は、「理工系人材育成戦略」(仮称)に基づき、理工系分野の学び直しのための環境整備を支援する。
○ 社会人が学びやすい環境を整備するため、大学・専門学校等は、短期プログラムの設定や通信による教育の充実、ICT等の活用を進める。企業は、サバティカル7や労働時間の弾力化等、社員の学び直しを後押しする環境づくりを行う。
○ 国は、大学・専門学校等で学び直しをする者や社会人受講者の数について、5年間で倍増(12万人→24万人)を目指し、支給要件の緩和など奨学金制度の弾力的な運用、雇用保険制度の見直しによる社会人への支援措置の実施、従業員の学び直しプログラムの受講を支援する事業主への手厚い経費助成等の支援策を講じる。

6 大学において、社会人を対象とした体系的な知識等の習得を目指した教育プログラム(総時間数120時間以上)を修了した者に対して、学校教育法に基づき、履修証明書を交付することができる制度。

5.大学のガバナンス改革、財政基盤の確立により経営基盤を強化する。

 上記に述べた提言の実現は、各大学が学内で意思決定し、改革に踏み出すかどうかにかかっています。意欲ある学長がリーダーシップを発揮して果敢に改革を進められるよう、大学のガバナンス改革を進めるとともに、改革を進める大学には官民が財政面の支援をしっかり行うことにより、経営基盤を強化する必要があります。

○ 国は、国立大学の強みや特色、社会的役割等を明確化しつつ、国立大学全体の将来構想を取りまとめた上で改革工程を平成25 年夏を目途に策定し、それを踏まえた取組を促進する。また、国立大学は、年俸制の本格導入や学外機関との混合給与の導入などの人事給与システムの見直し、国立大学運営費交付金の学内における戦略的・重点的配分、学内の資源配分の可視化に直ちに着手し、今後3年間で大胆かつ先駆的な改革を進める。これらの取組を踏まえ、国は、教育や研究活動等の成果に基づく新たな評価指標を確立し、第3期中期目標期間(平成28年度以降)は、国立大学運営費交付金の在り方を抜本的に見直す。
○ 国や大学は、各大学の経営上の特色を踏まえ、学長・大学本部の独自の予算の確保、学長を補佐する執行部・本部の役職員の強化など、学長が全学的なリーダーシップをとれる体制の整備を進める。学長の選考方法等の在り方も検討する。また、教授会の役割を明確化するとともに、部局長の職務や理事会・役員会の機能の見直し、監事の業務監査機能の強化等について、学校教育法等の法令改正の検討や学内規定の見直しも含め、抜本的なガバナンス改革を行う。
○ 国は、国立大学運営費交付金・施設整備費補助金や私学助成、公立大学への財政措置など財政基盤の確立を図りつつ、基盤的経費について一層メリハリある配分を行う。その際、教育、研究、大学運営、社会活動等の幅広い観点からの教員評価や能力向上など、教員の力量を発揮させる改革を行う大学が評価されるような配分を検討する。また、大学等に配分される国の公募型資金について、全学的な共通インフラや教育・研究支援人材確保のための経費(間接経費)を設定し、直接経費を確保しつつ、間接経費比率を30%措置するよう努めるとともに、その効果的な活用を図る。あわせて、教育基盤強化に資する寄附の拡充や民間資金の自主的調達のため、税制面の検討を含めた環境整備を進める。
○ 我が国の高等教育の大部分を担っている私立大学が、多彩で質の高い教育を展開するとともに、グローバルな視野を持つ地域人材の育成や、飛躍的に増大する社会人の学び直しに積極的に対応できるよう、国は、財政基盤の確立を図る。その際、建学の精神に基づく教育の質向上、地域の人づくりと発展を支える大学づくり、産業界や他大学と連携した教育研究の活性化等の全学的教育改革を更に重点的に支援する。また、大学設置基準等の明確化や大学設置審査の高度化、必要な経営指導・支援や改善見込みがない場合の対応など、大学教育の質を一層保証する総合的な仕組みを構築する。
○ 国は、教育研究現場の実態を踏まえ、研究者等のキャリアパス、大学における人事労務管理の在り方など本年4月から施行された改正労働契約法をめぐる課題に関し、教育研究の継続性、若手研究者の人材育成、研究者の流動性の確保、研究支援人材の着実な確保等のための仕組みを検討する。
○ 我が国にとって、大学力が現在及び将来の国力を支えるものであることを踏まえ、大学の学長、都道府県知事、産業界の代表等から構成される内閣総理大臣主催の「大学将来構想サミット」(仮称)を定期的に開催し、社会総がかりで大学の機能強化に取り組む。

7 一定期間勤務した従業員や高い成果を上げた従業員に対して事業主が認める研究や研修を目的とした長期休暇。

お問合せ先

高等教育局大学振興課大学改革推進室

大学院係
電話番号:03-5253-4111(内線3312)

-- 登録:平成25年07月 --