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大学院部会(第75回) 議事録

1.日時

平成27年5月13日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省 15階特別会議室

3.出席者

委員

(委員)
河田悌一(副部会長),五神真の各委員
(臨時委員)
天野玲子,天羽稔,有信睦弘(部会長),井上眞理,上山隆大,大島まり,岡本信明,片峰茂,川嶋太津夫,川端和重,黒丸修,竹谷悦子,堀切川一男,宮浦千里の各臨時委員

文部科学省

德久官房総括審議官,義本高等教育局審議官,森田高等教育企画課長,塩見大学振興課長,北山専門教育課長,猪股大学改革推進室長 他

オブザーバー

藤田日本学術振興会大学連携課長

4.議事録

【有信部会長】  それでは,所定の時間になりましたので,第75回になりますが,大学院部会を開催したいと思います。まだ遅れておられる方が多少おられるようですけれども,定刻なので開始させていただきたいと思います。
本日は,今年の夏頃をめどにということで前から申し上げていますけれども,審議まとめを取りまとめるということで,事務局の方で審議まとめに向けた素案というのを準備してくれています。事務局で準備をしていただいた審議のまとめに向けた素案について,最初まず議論,審議を頂いて,その後で卓越大学院について御審議いただくという予定になっています。
それから最後に,日本学術振興会からグローバルCOEプログラムの事後評価結果について報告を頂くということになっています。
それでは,まず,事務局の方から本日の配付資料の確認をお願いします。
【猪股大学改革推進室長】  机上の配付資料をごらんください。議事次第に掲げられておりますとおり,資料1から御用意しておりますけれども,抜けている資料などございましたら,事務局までお声掛けをお願いいたします。
なお,資料1の議事録(案)につきましては,修正などの御意見がございましたら,5月27日水曜日までに事務局に御連絡いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【有信部会長】  それでは,一応資料について,もし過不足があれば事務局までお申出いただければと思います。
それでは早速,議題の1ということになっていますけれども,大学院教育の在り方についての審議に移りたいと思います。
まず,事務局から審議まとめに向けた素案についての説明をお願いします。
【猪股大学改革推進室長】  それでは,お手元の資料2をごらんください。
昨年の夏から大学院部会においてヒアリングなど様々御議論,御意見を賜ってまいりました。前回の大学院部会において,主な御意見を御紹介しましたが,そのペーパーをベースにして,肉付けをしたものがこの資料2でございます。全ての御意見を網羅しているものではございませんし,エッセンスでございますので,本日の御議論のベースとしていただければ幸いでございます。
まず,1ページ目でございます。検討の経緯といたしましては,平成17年の中教審答申,また23年のグローバル答申の中で大学院部会が長年提言いただいております,課程制大学院制度の趣旨に沿った大学院教育の実質化であります。
それを受けて文部科学省では,科学技術基本計画の改訂と同時期に,これまで二度にわたり大学院教育振興施策要綱を,これは大臣決定でございますが,策定してきたという経緯を書いております。
また,この中央教育審議会大学院部会の御提言を受けて,グローバルCOEや博士課程教育リーディングプログラムといった支援策も実施してまいりました。大学院部会では,平成28年度以降の第3次大学院教育振興施策要綱の策定を視野に,これまでヒアリングや調査をしてきたということを述べた上で,2.以降で今後の方向性を書いてございます。
まず大きく,2.は,大学院を巡る国内外の状況と,それから大学院重点化以降の進展と課題についてまとめてございます。
まず,(1)大学院を巡る国内外の状況でございます。これにつきましてはヒアリングの中で,外部有識者,また委員より御提言を頂いております。グローバル競争の激化ですとか産業構造の急速な変化,また我が国の将来の経済成長を支えるような新たな基幹産業を生み出して,我が国の競争力そしてプレゼンスを高めていかなければいけないという問題意識,また前回の部会でも上山先生から御指摘いただきましたけれども,我が国は文化として高度な専門職を尊重するような文化がないというような御指摘がありましたので,二つ目に明記しております。
また,ヒアリングの中でも出てまいりましたが,諸外国では公的教育投資が高い。また,研究費の投資も非常に伸ばしてきているという状況があること。また,欧米諸国やアジア各国は優秀な学生又は留学生を獲得して,博士や修士の数を伸ばしてきているという状況。また,アメリカの大学院の教育について,先回,上山委員より,議論して新しいアイデアを生み出していく教育についての御紹介がございましたので,ここで紹介をさせていただいております。
最後では,知識集約型の創造社会において我が国の発展を担う主役は,やはり知のプロフェッショナル人材であること。今後は学士課程の教育以上に大学院レベルの教育の重要性が高まってきているということを書いてございます。
(2)は,これまでの大学院重点化以降20年を経過した,その進展と課題についてまとめました。まず,大学院教育改革の進展でございます。平成3年の中教審答申,大学院の整備充実についてという答申以降,まず,平成3年から平成12年までの間,大学院の数は,学生数ですが,約2倍に倍増しております。これによって博士号取得者の数が増え,また論文数の一時的な増加,またいわゆるアップシフトと言われる教授職の増加により,研究力が向上したという指摘がございます。
そのうち,後期の10年においては,この大学院部会で御提言いただいたように,様々な大学院教育の実質化が図られてきたわけでございますが,書面調査,ヒアリング,また訪問調査といった丁寧な検証,また全国調査の結果によれば,全国的な傾向としてはコースワークの実施など,大学院教育の実質化に向けた取組は着実に進展してきているという御評価を頂いております。特に,大学院GP,GCOE,リーディングプログラムの支援を受けた大学院では先進的な取組が行われてきております。
次に,現在行われているリーディングプログラムの御支援を紹介させていただきました。学生の顕著な高い評価の例が,前回学振から御報告いただきましたけれども,一方,委員の方からは課題もあるという御指摘もありましたので,今後,中間評価の結果を踏まえたさらなる取組を期待するというまとめ方にしております。
続いて,大学院教育の課題でございます。大学院の重点化によりまして学生が2倍に増加したけれども,教員の数が2倍になったわけではございませんので,教員一人当たりの学生数が増加し,教育の質の確保が課題になっているということ。また,大学院の在学者数が,ここ二,三年ですが,減ってきております。数という問題もありますけれども,さらに深刻なのは,優秀な日本人の若者の博士離れという傾向が委員の方々から御指摘いただいたところでありまして,その原因については,1から3のような原因が考えられるのではないかと考えております。
また,次のところでは,優秀な修士学生が産業界に出ていったけれども,その後,産業構造の急速な変化のために,また企業の方でも能力開発が追い付かずに,大学院修士卒で優秀なポテンシャルを持った学生が出ていったけれども,その力が十分に活用されていないのではないかといった御指摘。また,博士人材そのものも新産業を創出するような人材の育成までにはまだ至っていないのではないかという御指摘がございました。
また,大学院の卓越性,国際性といった点も不十分ではないかというヒアリングでの御指摘も頂いております。
さらに,大学院重点化によって,その以前には大学院を設置していなかった大学が,大学院を新たに設置するようになっていますが,その結果,特に私立大学において小さな規模の大学院が増加しております。結果として,定員を満たしていないというような状況も御指摘を頂いております。
また,最後に,補助事業によって支援を受けていない研究科や専攻に対する改革の成果の波及といった課題も,前回の23年答申のときから御指摘を頂いているところです。
3点目,次の3.では,今後の大学院教育の改善の基本的な方向性についてたたき台を御用意させていただきました。まず,1のプロフェッショナル人材となる大学院生というのは,我が国の発展の源泉であり,国の宝ではないかと。我が国が発展の基盤とする新産業創出など新たな知の創出をしていくためには,この知のプロフェッショナル人材を育成できるような大学院改革を抜本強化していくことが喫緊の最重要課題であると位置付けております。
大学院教育の改善の方向性といたしましては,既に平成17年答申,23年答申を踏まえた大学院教育の実質化を一層推進するということを基本として,その上で,これまでの支援事業を踏まえた様々な成果,これを起点として考えるべきであろうと前回委員の方々から御意見ありましたので,ここから1から5といった視点が考えられるのではないかと思っております。
特に1から4は,これは後ほど御議論いただく卓越大学院の基本的な方向性のペーパーと同じ表記としております。まず,オープンでグローバルな教育研究環境の整備。2点目が出口,これは学生にとっての出口と一体となった人材育成。3点目が,国内外から優秀な若者,そして社会人を引き付けて,伸ばしていくような環境整備。4点目が,世界の変化のスピードに先んじて,新たな産業や新たな知を創造できるような人材を育成できるような組織のダイナミックな変革。5点目が,これは前回委員から御指摘いただきましたけれども,大学院においても機能別分化を考えていくべきではないかということを頂きましたので,そもそも,その大学,学士課程との関係で,大学の機能別分化と連動して大学院組織を変革していくといった観点が考えられるのではないかと思っております。これはあくまでもたたき台でございますので,ここも御議論いただきたいところでございます。
続きまして,4.が,これは体系的・組織的な大学院教育の推進,また産業界との連携についてまとめさせていただきました。まず,(1)体系的・組織的な大学院教育の推進につきましては着実に増加傾向にはありますけれども,博士課程教育リーディングプログラムにおいて試行されております幅の広い様々な力を備えた人材を育成できるような教育をどの大学院においても展開していくことが重要であろうということを述べております。
その上で,4ページ目では,学位授与そして教育課程の編成,また入学者受け入れの方針といったこの三つのポリシーを一体的に策定・公表していただくことが必要ではないか。また,それを支える上でも体系的・組織的な教育が行われるための体制の確立を各大学院でやっていただくこと。
さらに,どのような能力を育成していくことが望まれるのかといった議論が,先回,天野委員からも御提起いただきました。23年答申でも博士号取得者に求められる能力についてお示しいただきましたけれども,国際的なチューニングという調査研究も,一橋大学をはじめとした大学で進められておりますが,国際的な通用性という観点から,どういう力を育てていくのかというところも一つ論点になるかと思い,ここでたたき台を示しております。
次のところは,体系的・組織的な教育体制の確立のための教学マネジメント体制の構築でございます。これは平成23年答申でも提言頂いたことでございます。また,大学院においては,指導体制の充実,そして教員の教育業績への適切な評価と人事への反映が求められるのではないか。これも平成23年答申の中でも言われております。
また,さらに,ヒアリングの中でもありまいりましたが,各研究室の研究支援体制が脆弱なために,学生が研究の担い手,又は診療の担い手になってしまっておりますので,学生が幅広いコースワークやインターンシップに参加しやすくなるためにも,この研究支援体制や診療支援体制の整備も課題となっているところでございます。
4ページ目の次のところでございますが,研究倫理教育の実施と博士論文の指導,また審査体制の改善ということです。委員より御意見がありましたのは,歴史的に見てもプロフェッショナルな職というのは高い倫理観を持っているのは当然であること。残念ながら最近の不正行為,博士論文の取消し事案に鑑みますと,学生また指導者ともに研究倫理教育をやっていただくことや,また博士論文の指導,審査に対しても,この1から4に掲げておりますようなことが課題となっているところでございます。
続きまして,5ページ目でございます。将来,大学教員となる者を対象とした教育能力の養成システムの構築でございます。中央教育審議会の昨年12月の高大接続答申の中では,大学教育の質的転換を強力に進めていくことが求められております。学士課程教育の質的転換を推進するためには,将来,大学教員となる者を多数輩出しているような一部の大学の博士課程においては,教員としての意識の涵養や指導法の習得,そして様々な実践的な教育者としての経験の場の充実が求められるのではないか。
このため,プレFDのような取組もなされておりますけれども,将来大学教員となる者に対して教育能力を培うような養成システムを作っていくことが必要ではないかということをヒアリングの中でいただいたご指摘を,ここでまとめております。
続きまして,5ページ目の(2)でございます。産学官民が連携したプログラムの構築と社会人学び直しということでここはまとめております。教育プログラムの企画段階からキャリアパスの確立に至るまで,産学官民の機関が参画した取組が効果的であるという点。。これはリーディング大学院プログラムの中でも実施されてきているところでございます。
委員の御発表の中で,ドイツのフラウンホーファーの取組が御紹介されました。共同研究の中に学生が参画することが,人材の育成やその後の技術移転の促進にも期待できるというご指摘がございました。
また,次のところでは,社会人学び直しという観点から必要な施策についても御紹介をさせていただいております。また,国においても,企業のニーズに応じた社会人向けの職業実践力プログラムを認定して,奨励していく新たな仕組みをスタートさせようと準備をしているところでございますので,そのことも御紹介させていただいております。
5ページ目の最後のところが,人文・社会科学系のヒアリングの場において出てきました課題と,その取組,先進方策について御紹介したところでございます。特に,机上に配付させていただいております資料の一番最後に,人文・社会系の大学院の修了者,そして大学関係者,また企業の方々,3者に対してアンケート調査を実施をして,それをまとめた速報値を載せております。これは時間のあるときにご覧いただければと思いますが,調査結果によりますと,学生側が大学院教育において求めているものと企業側が求めているものに若干ギャップがあるということが分かっております。
5ページ目にありますように,プロジェクト型の科目や中長期のインターンシップを取り入れたような取組が,学生側の方からはニーズが高いことが分かっております。また,学生の方からは,課題解決能力だけではなく,他者と協働する力を身に付けたいというニーズが高く,この力については企業側からのニーズもあるところでございます。
また,人文・社会科学系については,学位授与率についても御意見がございましたので,円滑な学位授与に導くためのプロセスの明確化・透明化というのも引き続いて課題として明記しております。
続きまして,6ページ目でございます。医学分野のヒアリングの中で指摘された課題でございます。基礎系の研究者が少なくなっているという課題を始め,様々な課題を提起いただきました。優秀者への表彰,フェローシップの充実ですとか,養成コースを特別に設定するというような工夫が各大学で進められておりまして,そのような取組を推進していくことが必要ではないかといった点。また,今後,新専門医制度や6年制の薬学課程の修了者への対応などについて,調査研究を進めていくことが必要ではないかという指摘もございました。
続きまして,6ページ目の(3)でございます。大学院修了者のキャリアパスの確保と出口の可視化ということでまとめさせていただきました。
まず,最初に,キャリアパスの多様化として,ヒアリングの中で,ある大学では全学的にキャリア支援体制を構築している事例が紹介され,就職率も上がっているという紹介がありました。このため,研究室や学生個人の努力に加えて,大学としての組織的な支援体制を強化することが重要と明記しております。
また,大学の中でのキャリアパスとして,若手教員やURAといった高度専門職の安定的なテニュアポストを継続的かつ十分に確保していくことが重要ではないかという御指摘も頂きました。
最後,6ページ目の一番下は,大学院修了者の活躍状況の可視化についてです。大学院修了者の活躍状況を長期に渡って把握しようと,NISTEP(科学技術・学術政策研究所)が追跡調査を開始しております。この把握した結果を参考にしながら,大学院の教育課程の見直しや,学生が進学するに当たっての判断材料として生かしていけるような仕組みが必要ではないかという点をまとめております。
7ページ目でございます。(4)は,世界の市場から優秀な高度な人材を引き付けていくための様々な取組が,ヒアリングの中で御紹介されました。その要点を1から6に記載しております。若年人口が減少する我が国においては,優秀な高度な人材を大学院の段階から引き付けていくということは政策的にも非常に重要ではないかという点も踏まえたものとしております。
7ページ目の5.は教育研究環境の強化でございます。まず,(1)は教育の質を向上するための規模の確保と機能別分化の推進についてまとめております。
データ上は,修士・博士の数は人口比から見ますと我が国はまだまだ少ない状況ではございます。しかし残念ながら,ここ数年,学生数は減少しております。また,ヒアリングの中では,入学者確保を優先した結果,入学者の質が低下し,教員の負担が増加したケースもあるという御指摘も頂きました。
また,資料の3に,大学院活動状況調査の結果確報値を載せておりますが,これによれば,小規模専攻では教育改革の取組が相対的に低調な傾向がございます。やはり,学生が切磋琢磨できる機会の確保や幅広いコースワークの実施のためには,一定規模の専攻が必要なのではないかということでございます。
3点目ですが,いわゆる研究大学においては大学院生を倍以上に増やしました結果,教員一人当たりの学生数も倍増しておりまして,また一方,学士課程の定員はそれほど大きくは減らしていないため,教員の負担は増加しているという御指摘を頂いております。
また,ヒアリングの中では,ライフサイエンス分野にポスドクが多いけれども,企業研究者は工学系が多いといった,分野のミスマッチがあることを御指摘頂きました。
最後のところでは,各大学においては学位そして分野別の入学定員のポートフォリオを,社会的また学術的な需要,そして各大学の学部・研究科・専攻の機能別分化と連動させて,柔軟に見直していくことが重要ではないかと。これは前回の大学院部会でも,大学だけではなくて研究科単位でも機能別分化,ミッションを考えていくべきだという片峰委員の御意見も踏まえて記載しております。
また1から3まで様々な見直し,工夫があり得ることや,国としても,各大学が定員や教育研究組織の見直しを自主的に行っていただくことを後押ししていくべきであると8ページ目に書いております。
8ページ目の(2)でございます。博士課程学生に対する経済的支援の充実についても様々な御意見を頂きました。グローバルに考えれば,博士課程学生は学生という側面のみならず,若手研究者として扱っていくべきではないかという御意見を頂きました。国際水準の魅力あるフェローシップ,そして研究プロジェクトから給与をしっかりと支給することが重要ではないかという御指摘も頂きました。
現在の科学技術基本計画の目標値では,博士課程(後期)学生の2割程度が生活費相当の支援を受給できることを目指すとされていますが,実態としては1割程度でございます。このため,特別研究員事業を始め様々な学生支援を充実させることが必要ではないかということを記載しております。
6.は卓越大学院ですので,省略させていただきます。
最後,7点目が専門職大学院の質の向上でございます。ヒアリングにおいて様々な期待又は課題が提起されました。専門職大学院制度が創設されて約10年が経過しましたが,いま一度,1から4に掲げられているような課題も含めて,制度全体の検証と見直しが必要ではないかという御意見を多数ヒアリングの場で頂いたところでございます。
その際には,例えば公認会計士といった国家資格試験と専門職大学院における教育内容との関係を整理しなければいけないという御指摘も頂いたところでございます。
9ページ目には,法科大学院特別委員会の方で昨年10月にまとめていただいた報告を踏まえて,要点をまとめております。
最後,8.は今後の取組として,国に対し,平成28年度以降の新たな第3次大学院教育振興施策要綱を策定することを提言いただく形にしております。
以上,多少長くなり申し訳ございません,資料の送付が直前となってしまったので,長めに御説明を差し上げました。どうぞ御審議よろしくお願いいたします。
【有信部会長】  どうもありがとうございました。それでは,これに基づいてこれからしばらく審議をしたいと思います。大体40分強ぐらいの審議の時間がこの件について取れると思いますので,よろしくお願いします。
ここの素案に対して,新しい論点を提起いただいても結構なんですけれども,基本的には全体で収束するといいますか,解決策だとか,あるいは解決の方向性が見えるような形で是非議論を進めていただければと思います。
かなり労作をまとめていただいていますけれども,まだまだ方向が余り,これで見えるか,見えないかというところの部分もあるかと思いますので,どなたからでも結構ですので,コメント,質問,御意見,どうぞ。
【竹谷委員】  竹谷と申します。
最初の状況というところが非常に重要な部分で,答申でも必ず出てくる部分なのですが,これを読む限り,今の大学院教育を巡る状況の危機感というのは非常に出ている。グローバル化社会が進んで,その中で日本がプレゼンスを持つために競争力を持たなければいけない。そのためには新しい産業を出していく人材を作る必要がある。これはとても重要な視点ですが,17年度と23年度の答申を今回の審議まとめと併せて読みますと,23年度の答申のときには,これとは違う形の大学院教育を巡る状況というのが出てきていたのが分かります。それがリーディング大学院につながっていく考え方です。
文科省の中教審ですから,「我が国の発展」「国の宝」という言語が出てきてもいいのですが,23年度の答申,多分机上のこの資料の中にもあると思いますが,そこでグローバル社会の大学院教育という答申が出てきたときには,それとは異なる言語,「人類社会が直面する」とか「地球規模の課題解決」という言語が出てきます。
これはどういうことかと言いますと,グローバル社会が加速することによって起きてきた問題がある,その問題を解決するための大学院教育という視点が出てきたということです。「我が国の発展」と「地球規模の課題解決」,この二つは恐らく相いれないものになるとは思いますが,この後者の視点があったからこそリーディング大学院というプログラムができてきたということです。その中で培われる力というのは競争力という数値化可能な力ではなく,むしろ資料の3ページの下から2行目に記載されているように,俯瞰力,あるいは創造力,構想力,行動力といった数値化できない力を,リーディング大学院では養成していくことを目指したということです。そのような大学院教育をめぐる今までの流れはやはりここでも押さえておいた方がよいのではないかと思います。
このことは,その後の3の基本的な方向性の箇所と直結してきます。二つの流れがあるということは押さえておいた方がいいと思います。
もともとの第7期の意見では,「我が国の発展を担う主役は」というような言語は入っていなかった。今回の審議まとめでも「我が国の発展」という国家中心の一つの物語に収束するのではなくて,今までの答申にあった二つの大学院教育をめぐる流れは押さえておいた方がよいと思います。
【有信部会長】  ありがとうございました。23年答申の御指摘については多少私も個人的に意見があるんですけれども,この中にも23年答申に関わった方々もおられるので,まず,今の視点の違い等々,それから具体的にそれに対して取組の方法,重点の置き方にかなり差が出てきていることについて,御意見,コメントがあれば是非よろしくお願いします。
【五神委員】  私も23年答申のときの議論に参加していたわけですけれども,当時は,グローバル化が進むことは明らかでしたし,実際そうなっていました。その中で,日本の教育システムの中で高度な人材をどう育成して,グローバル化する社会に貢献していくかという,足りないところを伸ばしていけばいいという話に力点が置かれました。
現在は,グローバル化が更に進んだ状況ですが,その中で日本の世界での立ち位置は,明らかに後退し,さらに財政的にも資源の有限性が見えてきた中で,国際社会の中で日本の地位がこのまま行くと更にずるずると落ちていく危険があるという傾向がいろいろな指標からも出ている状況です。例えば,GDPでも論文生産性でもそうです。
しかし,今までやってきたものをよく見直して,蓄積したものをきちんと分析した上で,きちんと直すべきところを直せば,やってきたものを活用しながら新たなことができるのではないかと思います。そのために何をしなければならないかということを,大学院重点化など20年前までの議論も含めて検討すべきです。今の形をどう見直し,それから日本の社会が今後20年,30年の中にどういうふうに向かっていけるか,明るい方向があるとしたら,どういう方向なのかというビジョンを描く中で,大学院教育をどうしなければならないか,という議論の流れになるのだと思います。
ですから,おっしゃるように,23年答申をきちんと引き受けた形で記述しなければ,おかしなことになることは間違いありません。しかし,大学院の役割としては, 23年のときに打ち出した博士をリーダー人材として育成するというのは以前には余り語られていなかった事です。それまでは,専門家,研究,学術を継承していくための人を育成するということが博士人材育成において重点的に議論された中で,そうではない新しい役割があるだろうという議論が出たのです。しかし,全体で見たときに,日本の学術というものはストックがあるわけですから,それを活用し,そこから新しい産業を作っていく人材を出していくことも大切です。その中で,グローバル人材ももちろん,せっかく作ったのですから伸ばしていかなければならない中で,知的な人材全体のポートフォリオをどのように作っていくかということを考える必要があります。その際に,博士課程だけではなく,修士や専門職も含めて,きちんと設計を提示するべきです。そのためにどういう改革を今やるべきかということを述べる必要があると思います。
その意味でこれを見ると,例えば出口と書いてありますが,出口は,学生が出たすぐの時点,つまり,点のようなものではあってはならないわけです。つまり,学生が大学院で学んだ後で30年,40年の人生がある中で,社会がどう変わっていって,学生が人生を通してきちんと役立つ人間になるために学生に何を教育しなければならないかという視点が重要です。同時に,学生が社会を変えるパワーにならなければなりません。現時点の産業構造に整合したような人を作っても,それはすぐにむだになる可能性が高いです。産業を変えなければならないわけですから。そういうところが分かるように書かなければいけないと思います。
そういう中で,サポートするにして,資源が有限であるということがいろいろな改革のネックになっているということは明らかなわけで,今の財政状況を考えると,それは改善しません。そういう中で見たときに,今までの定員管理のようなことを大前提としたような運営管理手法には限界があるということで,そこのところをどういうふうに直していくかという議論を,私としては是非このタイミングでやるべきで,やらなければ成果が出ないのではないかというふうに思っています。
定員管理は何のために必要かというと,予算を要求するために積み上げをするので,何人いるのかということなわけですが,しかし,その単価が幾らであるべきかという議論はできないわけです。ですから,ほとんど管理の手法のためにはあるけれど,実質的ではないわけです。
むしろ資源に限りがある,あるいはそれをどう拡大できるかという中で,それを最適に配分するためにどういう教育ができるかを検討すべきです。それを有効活用するための大学院生の配置を検討するなど,そういう考え方に転換することは,少なくとも部分的には可能だと思っています。そういう考え方を新たに持ち込むことによって,今までできなかった改革を進めていくことを是非やっていただきたいと思います。
ですから,定員管理が大前提で書かれている部分がまだ若干散見されるので,そこは修正する価値があるのではないかと思います。
【有信部会長】  ありがとうございました。最後の問題は,ある意味では新しい視点なので,従来のいわゆる予算管理的なやり方,手法にのっとっていろんな物事を進めるという考え方,それから,いわば大学の,ここに書いてあることをいろいろ実現しようとすると,要は財務経営をどうしていくか,戦略的な経営をどうしていくかという視点が入らざるを得ない。そういうことも含めての問題提起だろうというふうに理解していますので,ここの部分については少しまとめて議論して,どういう形でこの中に埋め込んでいけるかという議論をしていければというふうに思います。
どうぞ。
【天野委員】  ちょっと違う観点のものなんですが,これを拝見させていただきまして,非常によくまとめていただいているという印象を持ちました。
私の経験から一つだけ気になるところがありまして,実は,グローバルリーダーを養成して,活躍していただくときには,成果をいかに世界に展開するかという戦略というか,知識というか,そういうものが必要だと思うんですね。
そういう目で見させていただきますと,知財というキーワードが入っているのは,産学官民が連携したプログラムの構築という5ページ目のところだけなんですね。なので,できれば,全体の流れはこれでよろしいと思うんですけど,3.の基本的な方向性か,又は2ページ目の大学教育の課題か,どこに入れるのが適切なのかは,さっきから見ているんですが,どうかなと思いながら見ているんですが,是非,知財教育ということを勉強していただきたいと思います。
というのは,私,民間から公的機関に移りまして,非常に知財の意識が薄いということにがく然としているんですね。それで,国内だけの話であればいいんですが,今は国を挙げて成果を海外展開していこうというような方向性が出されているんですが,知財の形になっていないものは海外展開できないんです。なので,日本の場合はよく税金で作った成果はあまねく国民にという考え方が結構あるんですが,これでは世界で戦えません。
知財という考え方じゃなくて,省庁も特許庁というのはあるんですが,知財イコール特許では決してないんですね。特許は一部分でしかないので,その特許なりノウハウが一番大切だと思いますが,それをいかに展開していくかというような入り口のところだけでもいいので,この大学院教育の中に入れておいていただけるといいなと思います。今の大学院教育は特許の出し方は教えていますが,知財の考え方は教えていないと思います。
以上です。
【有信部会長】  ありがとうございました。知財の考え方は非常に重要だと思うんですが,一方で,公開性という考え方も極めて重要で,そこの部分はいわば大学の役割と,それをいわば産業化なり国の力というんですかね,実際に海外に展開していくときに知的財産として様々な形で展開していくものを作り上げるのは,多分大学ではないんだろうと思いますけれども,ただ,そこへのつなぎの部分がスムーズに行っていないという,こういう御指摘だと理解しますので,その点について少し入れていけるかということですね。
ほかに,どうぞ。
【川端委員】  非常に網羅的になっているような気もしていて,1点,私として,書かれてはいるんですが,高所大所の問題もあるんでしょうけれども,一番の問題は,2ページ目に書かれているように,大学院の進学率の低下,要するに博士離れをどうするかというのは強烈に今,問題になっていて,要するに,どんなすごいことをどんなに並べ立てても,進学しないんだから。ましてや,今,データで見ていても,修士課程からドクターに行く人間が減っているのと同時に,減っている,減っているよりももっと,留学生でそれを補填しているという意味で,日本人が修士課程からドクターに上がっていく人間って本当に減っている。急速に減っている。
これの原点が一体何かというところに行ったときに,確かにプログラムが魅力的だとか,将来の育成のやり方とか経済的支援だとか何とかかんとかあるんですけれども,ぶっちゃけたところ,ドクターを取った後に社会でどう活躍できるかという就職の問題が露骨にあって,それは確かに後ろにキャリアパスだとか,いろんな意味で表現されているんですが,ここで考えるときの課題のど真ん中にそういうものを置いて,緊急の課題なんだという形を前面に出していただけると,アピールがしやすいかな。
その上で,いろんなところに細かく書いてあるんですが,産業界と一緒に育成プログラムを作るのもそうなんですけれども,就職だとかそういうものをどのように考えるかを一緒に考える場を作る。具体的にそこで活動する,アクションするというものをこの中に,ついつい大学の中だけで考えて,大学の中だけで何しようみたいな話になっちゃっているので,そこを卓越大学院だとか,そういうものも取り入れられるのかもしれないんですけれども,そういうものを前面に出していただけるとと,そのように思います。
【有信部会長】  今の点もかなり重要なポイントですけれども,これはまたあと,さっき五神委員からも指摘がありましたけれども,出口との関連もありますし,それから実際には人材の流動化をどう確保していくかという,より根底的な問題ともつながってきますので,少しこれも議論の余地がある。
どうぞ。
【岡本委員】  今の川端委員の指摘と関連します。これをずっと見て,大学院というふうに書いてあって,大学院修了というのは,実は博士か修士かが明確になって分けていないので,今の点も非常に不明確に読めてくると思っていますので,そこのところは,それをきちっと分けて書いてみるだけで,すごく違ってくると思います。以上です。
【有信部会長】  どうぞ。
【井上委員】  博士課程の進学率の低下というところなんですけれども,奨学金の返還免除というJASSOの制度がありますよね。そのときに一種,二種枠というのがあるんですけれども,一種が利子なしで,御存じだと思うんですけれども,二種が利子付きで。ただ,一種と二種の大きな違いというのは,奨学金の返還免除の資格がないのが二種なんですね。
大学や専攻によってどうだか分からないんですけど,九大の井上ですが,うちの場合は,大学院の入試の英語や基礎の科目の点数で一種枠か二種枠かというのを分けられます。ただ,わずかな点数の違いでも,2年たったときに返還免除を申請できないわけなんですね,二種の人は。 一方で,修士から博士に行く学生の傾向を見ていますと,他大学から入ってきた学生が博士に進学を希望する例も割と多いように思います。むしろ中から学部から博士まで行くよりも。
そうすると,進学や研究のモチベーションを上げるためには,別にそれ以上の財務上の制度は必要ないわけで,同じ原資の中で,一種は例えば8で,それから二種が2ぐらいの8・2とか7・3ぐらいの割合で奨学金返還免除を申請するような制度を考えていただけないかと思います。他大学から入ってきた修士の人も含めて,二種枠であっても免除にチャレンジでき,博士課程に,研究に非常能力のある人が進む可能性の道筋を開いてあげるというのができるんじゃないかなというのは,学生たちの話を聞いていると,常日頃思っています。これは私の提案というか,JASSOに対するお願いです。
以上です。
【有信部会長】  そこはかなりテクニカルな問題も入りますので,それは別途検討すると。
じゃ,上山委員。
【上山委員】  まず最初に,第3期に私は関わりなかったので,そのときに社会の要請とか,あるいは地球レベルの要請に対する大学院の役割という話があったということは余りよく知らないんですけれども,私個人で言うと,そういう割とグローバルなイシューに関する関わりということを大きく掲げて,それを大学院というものがやるべきだということよりは,むしろ個々のディシプリンの中で解決していくものがグローバルなイシューになっていくだろうというのが正しいんだろうと思っています。
そういう意味で,五神委員もおっしゃったみたいに,今の現状の大学院の状況は非常によくないわけですね。そこの中で生まれてくるような高度な専門知識人みたいなものがどんどん衰退してきているという現状をどうしていくか。これは非常に深刻な問題として我々は捉えないといけないということだと思っております。
その意味で,高度な人材というと,実は修士よりも,これは基本的に博士なんですよね。博士というものが大学院だという捉え方をして,修士というのはそこに付随して出てくる人材ぐらいなものの意識で,博士課程の抜本的な改革に取り組まなければいけないんだろうと思っております。
実際のところ,私が三十何年前に大学にいた頃と比べると,学部で当時でいえば今の修士レベルのことをやっていたような感じがするんですよね。もはや,そういう意味では,修士というのはそんなにすごいものではなくなっているんです。アメリカでも実は博士課程に行くと,基本的には博士Ph.Dのプログラムに入り,1年後ぐらいには自然に修士はくれるという,そのぐらいのものですから。修士課程というより,むしろ大学院の改革は博士課程にあるという,ここをまず打ち出さないといけないんだということがまず一つですね。
それからもう一つは出口の問題なんですけれども,なかなか企業は採ってくれない。しかしながら,工学系の人は比較的採ってくれるという,これは明らかに日本の産業構造の変化が今の現実の博士人材のものとうまくリンクできていないということだと思うんですよね。
アメリカにおいて,80年代に,なかなかライフサイエンス系というのは博士課程の人は採らなかったですけど,そこに大きく起こったのは製薬業界における知財の問題であり,技術移転の問題であり,大学発ベンチャーの問題であって,大きな巨大な製薬企業がその中で大学から生まれてくるというルートがはっきり出てきたわけですね。そうすると,ライフサイエンス系のPh.Dを持っている学生がそこにだーっと流れていくというルートができた。そういう意味では,日本は産業構造の転換にこういったものをうまく対応できていないということだと思うんですね。
そういう意味で,ライフサイエンス系も含めた意味での社会の産業と関わるような人材をどう作っていくかということを,プログラムの中にもっと入れないといけないという気がします。特にライフサイエンス系でいうと,知財の問題をきちんと扱えるような博士人材ですよね。それから生命倫理も含めた幅広い意味での社会的イシューに関わることができるようなPh.Dの学生,そういう意味では,ライフサイエンス系のプログラムをもっと拡大をしていきながら,社会科学・人文科学も取り入れるような方向へプログラムを改定していき,社会の中に人材を供給していくことができるようなことが必要だと思うんですね。
その意味では,社会科学・人文科学の関わりというのは実は本当に重要だと,ますますこれから重要になってくると思いますけれども,ライフサイエンス系でいえば,法律関係,法律の分野における様々な知識を持っているような専門家,それから工学系でいえば経済とビジネス,そういうところの知識を獲得できるようなプログラムを中にどんどん入れることによって,大学の側から社会への貢献がはっきり見えてくるルートを作っていって,そして産業界との連携を,先ほど川端委員がおっしゃったみたいな,具体的にこういう人材を作っているんだから,もっと協力していこうという,そういう体制を作っていく必要があると思います。
【有信部会長】  ありがとうございました。じゃ,河田委員,どうぞ。
【河田副部会長】  こういう答申はやっぱり時代を反映しているので,「平成23年答申」と違って,日本の位置が低下しつつある状況を反映している。でも,それを余り前面に出すと暗くなってしまう。だから,基調音はなるべく,やればできるんだというふうに前向きに書いていただきたい。そういう意味で,多くの意見を巧みに取り入れて,非常にまとまりのある,目配りのある提言になっていると思うんですけれど,もうちょっと大胆に言うべきことをはっきり言った方がいいんじゃないかというのが印象であります。
ということで,まず第1番目には,よさというのもちょっとは書いてありますけれども,日本の大学院のよさを,もう少し強調したい。昨年秋の大学院部会のときに,とても印象的だったことがありました。それは,名門女子大のスミスカレッジを卒業した帰国子女の女性それからカナダに育ってトロント大学を卒業した男性,二人とも阪大の大学院生でしたが,日本の大学院に入ってが非常によかったと言ったことです。それは何故かというと,アメリカのように友人や先輩たちと競争ばかりするんじゃなくて,教授や助教や先輩や友人,つまり研究室で育ててくれると。だから,ここではたしか4ページに研究室の研究支援体制のぜい弱さと書いてありますけれども,日本の研究室のよさということも,もう少し強調していただければというのが一つです。
それから二つ目に,P7のところに機能別分化というのを書いていただいている,これは非常にいいと思います。今,国立大学も三つに分類される時代ですから,ここで論議される非常に程度の高い大学院と,例えばそれ以外の地域や地方に貢献する大学院に分類するということが必要だということを是非書いていただきたい。特にアメリカのように,カレッジ,いわゆる学士だけの教育するところと大学院教育もやるところとをはっきり分けようということです。学生の集まらない大学院はもうやめろというぐらいのことを,そして学部教育に専念して,そういう大学にむしろ学士教育のみに転換しろ,そういうことを明確に言った方がいいんじゃないかと考えています。
それから三つ目に出口の問題,上山先生がおっしゃった,これがP6のキャリアパスのところで多様化と書いてあるんですけれど,産業界だけでなくして,役所など,官の部分も大学院を出た学生をきちっと採用し,そしてそれを育成していくという,そういうことを書いていただいたら,と思います。基調音はできるだけ余り暗く深刻にならず,だけど,やればできるんだということを強調していただくといいのではないかという印象でございます。
以上,3点申し上げました。
【有信部会長】  ありがとうございました。
【竹谷委員】  今の「明るく」というのは私も同感です。今回の審議まとめ案には,危機感だけが前面に出てきています。リーディング大学院をすばらしいと思ったのは,グローバルなリーダー養成に当たって,「グローバルスタンダード」であるアメリカの大学院教育を模しなさいということは一切書かれていなかったということです。三つの目的が並んでいたと思いますが,そのうちの一つは「独創的な教育研究を実施する」と書いてありました。だから,今おっしゃっていただいた日本にある独創的な教育の在り方とは何かを考えることは非常にいい方向性であると思っていました。
この審議まとめ案には,米中韓といった諸外国の公的教育投資比率は高くなってきていると記載されています。なぜか。それは,彼等もまたこのグローバル社会の中で問題を抱えているからです。お金があり余っているからばらまいているのではないということです。諸外国もまた,グローバル化の中で教育を変えていかなきゃいけないかという危機感を持っています。彼らはその危機を「出口の問題」,「奨学金の返済」,「進学率」と捉えていないかもしれない。どの国も危機感を持っていて,その中で,私たちは何を問題と考え,どんなふうに対応していくかということを考える必要があるということです。
ここには,アメリカの大学院教育をモデルにした方がよいということが,恐らく環境整備のことだと思いますが,書かれています。けれども,アメリカもまたグローバル化の中で問題を抱えていて,私たちと恐らく違う形でその問題に対処して,そもそも何を問題視するかも異なっています。アメリカを持ってくれば,それが「グローバルスタンダード」になるということにはなりません。やはり日本の教育の独自性とは何かという視点は残しておいた方がいいという気がします。
【有信部会長】  そこの部分については,具体的にアメリカの状況も問題も日本と共通のものもありますし,したがって,それが全ていいという論点ではないんですね。もうちょっと丁寧に書くべきだろうと思いますけど。
それじゃ,さっき手が挙がっていた,どうぞ。
【堀切川委員】  明るいことも書きましょうに大賛成なんでございますが,例えば,7ページの真ん中から下の方にいろいろ書いてあるんですけれど,ここにそれぞれミニ文章で背景も書いてあって,じっくり読むと結構悲しいことがいっぱいあるわけですけど,定員確保に一生懸命になると,質の悪い学生を採ってしまうというのが問題ですし,頑張って採っているところは先生の負担が増えていると,ある意味,非常に象徴的な状況が書いてあるんですけれど,その一番下の方に,「各大学・研究科等の機能・ミッションに応じて,資源を重点配分するための学生定員の見直し」と書いてあるところを,少し明るめな部分も理解できるように書いていただくとしたら,ゴマするわけじゃないんですが,GCOEとかリーディング大学院で頑張ってやってきたところは学生の人気も殺到して,出口もよくなっている部分が見えてきています。
そういうところについては,社会状況に応じて,あるいは質に応じて,学生定員,大学院増やしていいですよという趣旨での減らす意識がすごく見えているので,減らすところは減らすんだけど,増やすところは増やしていいということが読みやすい文章にするのが一つかなというのと,それに付随した二つ目の意見なんですけど,さっきの定員管理の話じゃないんですが,学部だと分からないではないんですけど,大学院の修士課程,大体頑張っているところ,理工系だと,とんとん行っているわけですけれど,それが定員以上に,例えば1.1倍以上採ったらイエローカードが文科省から出て,ペナルティーだと。全体として今減っているのが大きな問題なのに,頑張って殺到して採るところはいっぱい採っちゃいけないかのように自主規制し始めているところも出始めている。これは,いい環境の悪い弊害というふうに私は思うので,採れるところはどんどん採っていいですよという趣旨をここに盛り込んでいただきたいというのが1点です。
それから,5ページ目なんですけれど,5ページ目の真ん中の下の方に「職業実践力育成のためのプログラムを認定」という,国の方でもやるというのが書いてあって,ちょっとここに関わったので応援演説的なんですけれど,実はここに書いてあることは,社会人に対して今までだと社会人の大学院の学生,博士課程とか,そういう教育だけだったんですが,正規プログラム,修士号とか博士号を取らないものについても,一定のメニューであれば社会人が大学院で学び直しができることを今後やっていくという意味でいくと,実はここに大学院の新しいミッションが見えてきているんだと私は思っています。
もうちょっとここ,そういうふうに脚色して分かりやすく,大学院がこれからは社会人の学び直しに積極的に取り組んでいくことが大事なんだとやりますと,修士・博士以外でも大学院を社会が活用できるという,そういうことを始めるんだというのが今までにない一つの方向かなと思うので,もうちょっと強調されて分かりやすく書かれてはいかがかなと思いました。以上です。
【有信部会長】  ありがとうございました。あと,天羽委員から。
【天羽委員】  先ほど五神先生がおっしゃったことに非常に感銘を受けております。今後の大学院教育の改善の基本的な方向性が五つあがっていますが,この中で2番と4番についてですね。まず,4番というのは,皆さん,様々な局面で実感していらっしゃると思いますが,今,世界は本当に変化のスピードが速いんですね。例えば身近なもので言えば,ガラケーですね,私はガラケーを持っているんですけれども,五,六年前までは皆さん,ガラケーだったと思うのですが,来年,再来年ぐらいには全部なくなって,みんなスマホになる。これは単純な一つの例ですけれども,そのほかにいろんな例があるんですね。そして,ひいては産業の生態系が大きく変わってきている。
だから,そういう生態系が変わっていく中では,優秀な大学院を卒業し,博士号を持とうが,修士号を持とうが,変化に対応して自分を変えられる能力を持たないと,これからの人はやっていけないのではないでしょうか。資格だけで,いつまでも企業にいられるなんてもうあり得ないのではないかと思います。企業自身も変革をしているわけですね。ですから,そういう状況を踏まえて,先ほど五神先生おっしゃっていたような学生を育てていく,ドクターのタイトルだけに頼らない,強い個人個人を作っていかないといけないと思います。
ただ,そのためには,大学,大学院の組織の改革をしていく必要があると思っています。それが2番目の『出口と一体となった人材育成』ですね。これに関してもっと具体的に,書いていくべきではないでしょうか。
例えば,先ほど堀切川先生がおっしゃっていたように,理工系の博士号を持っていても,現実的にビジネス,ファイナンスのことが分からなければ,グローバルな競争の中で勝てないんですね。だから,そういうことを理解した上で,博士号を持った人間に育てる,そういう人間が企業に,社会に出て活躍するのだと思います。
あともう一つは,イノベーティブな考えを持つ方,例えばサナギからチョウになるような,そういうイノベーティブな考え方ができる人を育てるということでしょう。それには,また違った形のプログラムが必要になるかもしれません。サナギからチョウ,このイノベーティブなことができる人というのは,前回もふれましたが,T字型といいますか,専門性プラス横の多様性のある知識を持った人間のことです。特にリベラルアーツかもしれませんけれども,そういう能力を持った人間がどうしても必要だと私は思います。
以上のようなことを盛り込んで,2番目の項目はもうちょっと具体的に書かれていると良いと思います。
例えば,企業の中にぽんと放り込むと,自分に何が足りないかというのがすぐに分かると思いますね。大学出てきただけではわからない。でも,何が足りないかと気付くことによって,自分もどんどん成長していくのではないかなと思います。ですから,具体的にPBLでもいいんですけれども,いろいろなインターンシップをもっと長い期間にするなど。
先ほど委員長がおっしゃったように,収束していかないといけないのに,拡散していくと良くないんですが,5番目にある『大学院組織の変革』の中で,是非,職員の役割というものをもう1回見直す必要があるんじゃないかと思います。大学の職員はもっと専門性を高めていって,教員と学生さんと一緒に効果的なプログラムを作り上げていく。私はアメリカでそういうプロフェッショナルな職員に何人も会ってきましたけど,彼らはすばらしい能力を持っています。いろんなプロジェクト,例えばインターンシップのプロジェクトにおいても,マネジメント能力が圧倒的に高いですね。だから,企業さんとやる場合も非常にすばらしい成果を上げている。
大学院の中には博士号を取る人,修士号を取る人,いろいろな人がいる。例えば,インターンシップにしても,どこの企業さんに行こうか,アメリカに行こうか,ヨーロッパに行こうか,様々です。何も日本の企業に絞る必要は全くないと思います。そして,そういう様々な受入先とダイレクトに話し合って,学生をどんどん送り出していくのは,教員だけの仕事ではなくて,職員のプロフェッショナリズムというのが非常に重要になってくるのではないかと思います。
【有信部会長】  分かりました。後者の方については,今,大学の中でも人材の検討をしていて,いわゆる事務職員とは別の専門的な職員というか,それが重要だということで,既に育成も始まっています。この辺をどういうふうに,今の御意見を入れながら方向付けるかという話だろうと思いますし,「出口と一体になった」というのは,これ極めて危険な言葉で,人材育成を固定化してしまうというふうに取られるので,私は心配していたんですけど,今の天羽委員の御意見だと,いわば,より多様な経験を持たせるという意味で,そういう意味で外側と一体になったという,そういう意味合いだと思いますので,そういう観点で重要だだということだろうというふうに理解します。
それは当然,大学しか知らない人とか企業しか知らない人よりは,それぞれいろんなところを周りながら経験を積むということも非常に重要な要素になる。全てはそうである必要はないと思いますけれども,そういう視点が入るかということですね。
あと2人。もう余り時間がないので,じゃ,大島委員,それから黒丸委員,それから上山委員。
【大島委員】  時間がないということで簡潔に。3点ほどあるんですけれども,知のプロフェッショナル人材というのが一つの素案のキーワードになるかと思うんですけれども,知のプロフェッショナル人材の中の大学院生ということで,その中で特にグローバルリーダーの育成をどうするかというのが一つ重要な観点だと思うんですけれども,グローバルリーダーを養成するということは,ある程度博士課程との関係があるということを明確に示した方がいいのではないかなというふうに思っております。それが1点目です。
あと2点目,全体の素案を読ませていただくと,大学院教育って,いわゆる大学院生の学生ってもう22歳の大人なんですよね。なので,それにもかかわらず,何かこちらがギブンで与えるだけで,学生の参加というのが余り見られないんですね。なので,全体としてこれは,教育者である大学,あと産官学もありますけれども,次の社会を変えていくグローバル人材となるのは大学院生そのものなので,大学院生のパーティシペーションが重要であるということを何らかの形できちんと,どこか,口頭では例えばドイツのフラウンホーファーの件を例として,学生の共同研究への参加などがあったんですけれども,それをきちんと大学院生も参加して,教育活動にお互いに醸成していくというようなことを入れていただいた方がいいんじゃないかなと思います。
その点で言うと,1点,8ページの博士課程学生は若手研究者でもあるという考えということなんですけど,博士課程学生は,ここで言っているグローバルスタンダードは研究者だけではなくて,次世代の産業も含めた新しい分野を作っていくということをここでは意味していると思うんですね,この素案は。なので,博士課程学生が研究者だけであるということではないということも,少しきちんと広い意味で言った方がいいんではないかなというふうに思います。
あともう1点,キャリアパスの確立なんですけれども,全体のトーンとして,今ある現状のキャリア,産業構造を含めたキャリアでの就職ということを念頭に置いて書かれているようなイメージがあるんですね。
でも,グローバル人材として,自分たちでも新しいキャリア,産業を作っていくということを,具体的にどこに入れたらいいかというのがなかなか難しいんですけれども,そういうことを入れて,先ほどよい点という話があったんですけど,やはり大学院に進むことによって社会を変えられるという夢のある,そのような印象を受けるような形の点も含めていただければと思います。以上です。
【有信部会長】  ありがとうございました。じゃ,黒丸さん。
【黒丸委員】  私は今期からの参加なんですけれども,素案を読むと,私は博士課程教育リーディングプログラムの方には出ているんですけれども,なぜこのプログラムが出てきたのかというのがよく分かりました。
いろんなリーディングプログラムに関わって,あのプログラムが目指している方向性というのは間違っていない。非常にいい方向性だろう。目指しているグローバルリーダーとして持つべき資質というのも非常に共感できますし,例えばページ4の小文字で書いてあるような,前回の答申で書いてあるPh.Dに求められる能力,この辺を持っていたら,恐らく私,採用担当者だったら多分採りますよ。問題は,本当にこういう人が輩出されているのかというところかなと思っていて,こういう人をちゃんと作れるような大学院教育をしっかり作っていってほしいというのを,この答申に盛り込んでいってほしいと思います。
こういう人ができたら,恐らくこの人は明確な出口で明確なキャリアパスがなかったとしても,自分が新しいキャリアモデルになる,それぐらいの,包丁1本で世界中でゼロから活躍できるような,そういう人になるんじゃないかなと思うので,あまり出口での明確なキャリアパスというところは,強調しなくてもいいのかなと個人的には思っています。
ということで,是非盛り込んでいただきたいのは,5ページのところのFDの充実とかそこら辺,特に今の学生は,他者と協働する力とか,すぐに答えを求めるみたいなところが社員を見ていてもありますので,そういったところを変えていけるような,そういった指導体制,あとは教育の環境,そういったところも是非盛り込んでいただければなと思っています。以上です。
【有信部会長】  ありがとうございました。じゃ,上山委員,お願いします。
【上山委員】  時間がないので1点だけ申し上げます。それは4ページ目の研究倫理教育のところですが,大学院部会のここにこれを入れるべきかどうかというのはよく分からないんですが,これは実は非常に重要なテーマで,特に研究者の育成の在り方に関して,この視点を入れないといけないということ。
ただ,僕は研究者に倫理性を求めるというのは反対で,つまり,研究者というのは自分のやりたいことをやって,ただ,そこから枠が離れないようにマネジしていくという体制が非常に重要ということなんですよね。自由な発想するときって,そんなの倫理性を考えてなんかできない話なんですよね。それは,そこから逸脱しないようなどういうマネジメントの体制を作っていくかというのがとても重要で,実際のところ1980年代からこの問題がアメリカでも起こってきますけれども,今は研究の不正をチェックして,それを告発するという体制より,むしろ研究倫理の問題は,研究者の環境をどのようによくしていくのかという方に視点は移ってきているんですね。
したがって,連邦政府は,三つの基準であるデータの捏造,改ざん,それから盗用,この三つのスタンダードだけは明確に示しましたけれども,それ以外のものは各大学のマネジメントに任せるという方向に移ってきている。したがって,各大学の研究不正のガイドラインを見ると,実に多種多様なんですね。非常に複雑に出来上がってきているわけです。
実は,この問題が起こるのはほとんどライフサイエンス系で,研究はありますけれども,83%はライフサイエンス系で起こるんですね。というのは,研究の成果が非常にインタンジブルなものになってきているということですね。物ではない形に。情報の形でも非常に大きくなってくると,特にライフサイエンス系で起こるんですけれども,そのときに,例えばいろんなガイドラインがある中でとても面白いのは,研究に関わった人間を必ず正当に評価しなさいというところもある。
例えば具体的に言うと,大学院生であっても,ある種のアイデアを出した人はちゃんとオーサーシップとして認めなさいみたいなこともあるわけですね。これ,ですから,近年の傾向ですけれども,オーサーの数が非常に増えてきているんです。エレクトリカル系だったら20人出ているのは当たり前のようになってきて,大学院生も含めて,あらゆる人がそこに出てくる。つまり,その人々のクレジットを認めるという方向になってきているわけですね。
あるいは,最近出てくるのは,イコーリークレジテッドオーサー,つまり全部同じオーサーだ,ファーストオーサーもセカンドオーサーもサードオーサーもない,全部同じ役割をしているということをちゃんと明記するような論文が相当増えてきている。ここ5年ぐらいの間に急速に増えてきていますね。つまり,それは大学院生であっても,そこに関わった人間はちゃんとイコールに評価されて,そして,そこに関わることに喜びを見いだすことができるような研究の体制を作っていくということに,実は変わっているんですね。
だから,我々大学人は,研究の場所というのは公開をして,誰でもここに関心を持っている人が同じように扱われ,それは教授であれ,准教授であれ,大学院生であれ,チームとしてここに関わっていくことが研究の状況をよくしていくことだという意識が,実は研究不正の問題とも関わっていて,そういうことをしていくような大学のマネジメント体制を作っていかないといけない。
ですから,デュークでもハーバードでもコンプライアンスオフィスは大体20人ぐらいの専門家が雇われていますよね。ヘッドは大体医学系が多いですけれども,Ph.Dを持っている自然科学者ですよね。その下にJDなんかの法律家をたくさん抱えて,研究不正とかいろんな問題が起こらないように,どのように研究の体制をよくしていくかというところに主眼を置いた,このマネジメント体制を作っていこうとしているわけですね。
そういう意味では,これ,ここをちゃんとやっていくということは,単に告発したり,悪いことをやったやつを処罰するということじゃなくて,研究者の環境をよりベターにしていくというところにも関わっているという視点が,ここにはとても必要だと僕は思います。
【有信部会長】  今の話はかなり重要な話なので,いわゆる倫理の話はプロフェッショナル・クオリフィケーションの中で,必ず倫理性が要求されるというバックグラウンドの中で物事が行われていく国と,それが実は曖昧なままやられている国とでは若干状況が違うと思いますし,今の話は大学のある意味でのリスク管理の話と,それとも関わってきて,広義で言えば,大学のマネジメントをどうやっていくかという全体の枠組みをきちんとしていかなきゃいけないという,そういう流れの中で考えるべき話だったと思います。
だんだん話がいろいろ難しくなってきて,まだ議論は十分尽くせていないと思いますが,この辺で一旦取りまとめて,もう一度整理をした上でまた審議を進めたいと思いますが,最初に竹谷委員から指摘があった23年答申との関わりでいえば,グローバルな問題を解決するとか,グローバルリーダーという視点と,今回の日本の様々な課題の中で求められる人材の育成という視点が,変わってきているのではないかという話については,五神委員からも指摘がありましたけれども,実際にはこれ基本的には変わっていないんだけれども,そこの構造性がきちんと説明をされていないので,もう少し分かりやすくしていく。
それから,いずれにしてもグローバルにどんどん出てきた問題を解決していけるような人材を輩出することは,その重要性は今でも変わっていないし,リーディング大学院等でもそれを進められているので,ここのところは多分表現上の問題だと思っています。
それから2番目に,今も最後の問題で出てきましたけれども,定員管理の問題だとか大学のマネジメントの問題で,今は全部,外側から大学に対して様々なことを枠組みを与えながら,いい方向に持っていこうという方向になっているんですけれども,これをもう少し,逆に言うと,大学が自主的にいろんなことをやっていきながら,いい方向に持っていけるという,そういう方向で考えられないか。
今みたいに例えば定員で予算が決まるとか,そういう話ではなくて,というのが,企業では実際には様々な予算にせよ,物事にせよ,成果管理という考え方がかなり定着してきています。ところが,大学はいまだに予算管理ということで,つまり,運営費交付金は費用進行基準で収益化されるという構造になっていますので,はっきり成果を出すためのコストと成果との関係というのが実は何も議論されないんですよね。最初に決まった予算を着実に間違いなく使うという流れの中で物事が決まっている。この辺,どこまで踏み込めるか分かりませんけれども,少し検討をできればと思います。
そういう中で,上山委員からもありましたけれども,いわば単一なシングルディシプリンという物の考え方も実は変わってきていて,一つのことをなし得るためには,天羽委員からもあった出口の問題とも絡みますけれども,様々な知識が必要になってきている中で,新しい形の博士をどうやって作り出していくかということを,今,リーディング大学院で一つの試みが行われていますけれども,新しい学位プログラムの形でそういうものが作れる,もっと自主的に大学がやっていけるような形ができないかというところも入ってくると思います。これは,先ほど指摘があったライフサイエンスの出口の問題とも絡んでくる話だと思います。
それ以外にも,それぞれ御指摘をありがとうございました。それを踏まえて,事務局サイドはちょっと大変かもしれませんが。
【五神委員】  一つだけ。
【有信部会長】  どうぞ。
【五神委員】  今の総括を聞いて思い出しました。平成23年のときの答申のときは, 18歳人口が120万人いるうちで,博士課程に入学する学生は約16,000人でした。そのごく少数の部分の博士にフォーカスした答申というのは,ある意味で,文科省の中教審としては画期的であったと思います。しかしながら,大学院の議論をするならば,マスターの議論を避けては通れないので,それは次にやりますというふうになって散会したと記憶をしています。次の委員会は私は参加しなかったので,第3次大学院教育振興施策要綱を作るとすれば,そこの問題は整理した上で,博士にどうフォーカスするかということをきちんと整理することはやらざるを得ないと思います。
【有信部会長】  ありがとうございます。修士が今大体7万人います。博士が大体1万5,000人。全体で学部が60万人入るという状況の中で,この位置付けの中で全体を考えるということ。何かありますか。
【宮浦委員】  関連した質問ですが,議論が,博士後期の議論をすればいいのか,博士前期も含めた議論をすればいいのかが把握しにくいようです。議論は恐らく博士後期の議論であろうと思いながら,人数としては博士前期が圧倒的に多く,就職しているのもは博士前期の数が圧倒的に多いということを考えますと,議論はトータルでやるのか,博士後期の議論をするのかが分かりにくいと思います。
【有信部会長】  そこはちょっと整理をしておきます。いずれにしても60万のうちの,ざっと言って1割強が大学院に行っているという状況です。その1割強の中の7万人のうちの更に1万5,000人がドクターになっている。こういう状況の中で考えるということだろうと思っています。
ちょっと時間が超過をしてしまいまして申し訳ありません。これだけいろいろ問題があるということで,次回もう少し議論を整理していければと思いますので,よろしくお願いします。
それでは,卓越大学院の審議に移りたいと思いますので,前回の御意見も踏まえて,事務局でコンセプトを整理したイメージ案を準備してもらっていますので,まずこの説明をお願いします。
【猪股大学改革推進室長】  お手元の資料4を御覧ください。卓越大学院のイメージ案について,今回4ページのものを御用意しております。
1ページ目はほぼ前回と変わっておりませんが,2ページ目にイメージ案ということで新たな図を作成してみました。期待される領域例の下のところに,それぞれの大学と,また海外大学,企業との関係で,どういう人の交流や,教育プログラムの形,支援策などがあり得るのかという視点で図示を試みてみましたので,これにつきましても御意見を賜れればと思っております。
3ページ目は,コアとなる取組ということで,前回,三つの教育力,研究力,優れた大学院生や若手人材を集結していくハブのような観点で三つ並べておりましたけれども,さらに加えて,例えば教育力の観点として,大学院教育の方に学内の資源配分を重点化していくという考え方もあるのではないか。また,アントレプレナーシップというような,先ほど自らキャリアを切り拓いていくような人材という御議論もありましたけれども,起業していくというような要素も考えられるのかという論点もあるかと思っております。
また,ここで卓越大学院については,学生の定員管理を柔軟化していくことも考えられるのかという点もあげております。
また,研究力の観点は,三つ目のポツになりますが,企業より投資や人の交流を呼び込んでいけるような体制の構築ですとか知財の問題を解消していくことも求められてくるのではないか。
3点目として,大学院生については世界水準の経済的支援をしていくことが考えられるのではないかと思いますが,一方で,補助金の中で支援をするということについては,学生にとって不安定な状況にならないようにするという観点も重要かと思いますので,この辺も御意見を賜れればと思います。
また,教員につきましても,卓越大学院においては国際公募,年俸制,クロスアポイントメント制度などを活用しながら,人事評価のしていただいた上で,優れた教員体制を構築していただくことも重要なのではないかと思っております。
また,若手研究者が自由に研究できる環境の整備といたしましては,別途検討されております卓越研究員制度との関係も論点と挙げております。
4ページ目でございます。支援の対象としては,国公私立大学を対象に,10年間の支援を前回もお示ししたところでございます。また,間接経費を付けていってはどうかという御意見も頂きました。また,支援の開始の時期は国内外の連携先の機関との間で様々な検討をしていただく,また新領域をどう作っていくのか等難しい課題がございますので,十分な検討期間を設けていくことが重要ではないかという点でございます。
あと,今後の検討体制としては,期待される領域を含めて,産学官からなる検討会を設立し,ここにおいて支援の要件や審査・評価の在り方というものをこの大学院部会の示すコンセプトを踏まえつつ検討していただくことが考えられるのではないかとしております。
以上でございます。
【有信部会長】  ありがとうございました。今の説明に関してコメント,質問,どうぞ。
【川嶋委員】  前回よりは具体的になってきたかとは思うんですけれども,1点だけ簡単なことを確認したいんですけれども,教育力の観点から,3ページの一番上のところ,修士博士一貫学位プログラムというふうに書いてあるということは,これは設置申請しなきゃいけないという性格のものなのかというのが非常に大学側としてはコンサーンがある,現実的には。
それから,先ほどの今後のまとめとも関連するんですが,これまで様々な大学院に関する支援,補助事業は,教育力のアップのためとか,国際的研究拠点形成とか,そのときそのときによって重点が違ってきたんですけど,今回は教育も研究も国際的な卓越した大学にしていくという,そういう方向性で,言ってみれば,これまでの様々な支援事業の総まとめということになるかと思うんですが,一方で,先ほどの審議まとめの中で,いろんな方がおっしゃっていましたけど,結局,今どういう状況にあるかというと,大学院重点化で量的に拡大したのをこれまで二つの答申ではむしろ質的に充実させていこうという方向に変えてきて,いろいろ議論したり,支援もしてきたわけですけれども,これまでのきょうの議論を聞いていると,結局,今,また改めて量か質かという岐路に差し掛かっていて,日本の高等教育政策として,願わくば両方解決できればいいんでしょうけど,リソースの問題もあって,それはできない話なので,これまでずっと質的な重視でいろんなことを検討してきたんですけれども,量的な問題をどうするかというのは考えていく。そのためには,先ほどのポートフォリオという考え方,大学によってそれぞれの教育課程を自由に変えて改変的にしていくという取組は非常に重要だと思います。
その点で関連して,今回の卓越大学院でも大学院教育の学年資源配分の重点化ということは,先ほど書いてあるとおっしゃっていましたけれども,これは学士課程も含めての話になるかと思うんですが,大学院教育の学内のマネジメント体制というのは,今,研究科・専攻という非常に縦割り的になっていまして,それはやっぱり定員管理の問題とも関連してくるんですが,そういう大学院教育のマネジメントということも視点に入れないと,ここに書かれていることの実現というのは非常に難しいと思います。
最後に,まとめについては,目を引くようなキーワードがないと,ちょっと失礼ですけど,非常に目配りのある内容ですという御意見もあったんですが,別の言い方をすると非常に総花的で,じゃ,今後の例えばまとめのタイトルは何になるんですかといったときに,今のたたき台からは見えてこないので,もう少し,部会長もおっしゃったように,今後少しフォーカスを当てて,何が本当に問題なのかという点も含めて,この卓越大学院の関連もあるわけですから,卓越性というのは一つのキーワードになるかもしれませんし,社会の改革をリードする人材育成とか,いろいろあるかと思うんですけれども,そういう点での卓越大学院も含めての議論もお願いしたい。
【有信部会長】  ありがとうございました。この提案は,今,最初に質問があったように,相当今の制度設計の在り方を根源的に問うような内容が実は含まれているんですよね。それを意識してやっているのかどうかはよく分かりませんけれども。
それと,一つだけ,川嶋委員が言われた量か質かという話に関して言うと,基本的には,ここは全体の流れとしては今の大学院の規模を維持しながら,その質をいかに上げるか,その質を上げるために,いわば教育側でやれることは何であるかということと,いわばそこに挙げられるべき本当の良質な素材をどうやって持ってくるかという話ですよね。
つまり,五神委員が言われたように,120万いる中の1万5,000人なんですよね。これが適切な選別さえすれば確実に育つ人材は持ってこれるはずで,それが質が悪いというのは多分,持ってこられていないんじゃないかという部分も,これはあんまり言い出すときりがないんだけど,そういう部分も多少頭に置きながら考えてはいます。
特に,卓越大学院に関して言うと,ここで学位プログラムというのを構想すると,本当に学位を与えようとすると,設置認可がどういう形で行えるかという,この構想については文科省は何か考えていることはあるんですか。
【猪股大学改革推進室長】  御指摘の件についても御議論いただきたいと思っております。博士課程教育リーディングプログラムの例では,設置審を経て新研究科を創設した例もありますし,そうではなく,ダブルディグリーに近い形でやっている例もございます。この点も,先生方の御審議をよろしくお願いします。
【有信部会長】  いや,そこは前から言っているんだけど,大問題で,結局,学位プログラムと言いながら,学長が裏書きしているだけで,学位を出しているのは旧来の専攻科あるいは研究科が学位を出しているという構造になっているので,結局,学生はいろんな専攻・研究科から出てきながら,もしも研究科をまたがっている場合には,それぞれの研究科にまた戻って,そこで学位をもらうということになっているわけですよね。
ただし,学位に対して学長名で裏書きをして,リーディングプログラムの修了だという形になっているので,これは本当に学位プログラムと言えるのかという問題がまだ実は解決していないと私は思っています。
【五神委員】  リーディングプログラムをやった経験上,設置審のような形式的なことに,エネルギーを使うのは,先ほど申し上げたように定員管理自身に意味があるのかという議論をしなければならい状況の中では,むだだと思います。リーディング大学院については,今おっしゃられたように,本当の学位プログラムかどうかというところは,中身の実装の問題です。リーディング大学院プログラムでは,学位記にプログラム修了ということを記載することとし,東京大学では,そのような学位記を授与しています。そういう意味での学位プログラムの一つのモデルはできています。それを意味のあるものにするために,中身をよくしていく努力をすべきです。そういう意味で,学位プログラムを作るということについては設置審に掛けなくてもできる手法は確立しているという認識をもっています。
それを踏まえた上で,実質的なものとなっているかについて検証しながら直せばよいわけです。今はリーディングにおいて,学位プログラムを修了した人が出始めたところなので,中身のチェックをして,それが実効性があるかどうかということを判断し,卓越大学院の議論はそれを踏まえて進めれば良いと思います。
また,卓越大学院と先ほどの大学院の全体構成の話でいくと,大学院のシステム全体の中で,位置づけの議論はもちろんやらなければなりません。先ほどの修士博士がどういう意味付けかという規模も踏まえた設計をちゃんと検討する必要があります。では,審議まとめの中に入れるには,未来の大学院をどういうふうにしていこうかという全体像の中で,トップの部分をどういうふうに鍛え上げていく仕組みがあるかを検討する必要があります。
それをきっかけとして,大学院全体をすべて卓越大学院にできればもちろん一番いいわけです。ですが,どういうふうに設計していくかという視点として,トップの部分であれば,例えば定員管理を外すとか,いろいろな意味での弾力化が可能であるはずですので,それを具体的にどうするかというのが今回の論点だというふうに私は理解しています。
その意味で,日本は学術先進国として非常に高止まりした位置にいることは事実ですから,そこの地位をきちんと維持するための仕組みも内包されていると同時に,社会が変わることを求めている,変わらなければならないという状況の中で,例えば大島委員が言った社会を変革する場となる,その中心となる大学院という視点も非常に重要で,そういうものも両方を同時に持っていなければならないというわけです。ですが,この様な卓越大学院の構想の中で従来の大学院の役割を刷新して再定義するような提案ができれば,かなりよい提案になるのではないかと思っています。
以上です。
【有信部会長】  文科省にはすごい助け船になったと思います。そういう意味では一つの解決策ではありますね。これをそういう形で持っていくと。だから,卓越大学院も複数の大学がこれに絡むわけで,複数の大学の学長が裏書きをするという形で具体的に進めていくので,余り形式的な議論で時間を費やすのは得策でないという五神委員の御指摘は全くそのとおりだと思いますけれども,ただ,現在の日本の設置認可の在り方と中央教育審議会の在り方が必ずしもうまく回る形になっていないという事実はあるので,これはある意味で文科省で基本的な検討を是非行っていただければというふうに思っています。それはちょっと別の話ですけど。
どうぞ。
【岡本委員】  少し今,分からない部分もあって,それぞれの専攻がみんなあって,そして,それでいけないのかと,今ので。そこの質の充実を図っていくということで,集めれば何かできるのかと。その母体がそれぞれにある。組織上全部あって,それをこの形では全日本のような形で卓越大学院をイメージすると。だから,例えば海外の研究機関が,監督なんか全日本だったらサッカーなんか外国から呼んでくる。選手やプレーヤーはいろんなチームから集めてくる。それは何のためにそれを戦うかがあるからやる。この卓越大学院は当然何のために戦うのかという,どういう教育,どういう人材を出すためにそれを作らなければならないのか。それがなぜ,今の専攻単位で行くんだったら,専攻単位で,A専攻って大きな単位ですね,一つの。それをそのまま持ってきて,そのままだってできるはずじゃないかと。それがなぜそれを持っていく。専攻ではなくて,教員を引っ張ってきて新たな専攻を作るとか,何かならまた別だけれども,これで本当に全日本のチームが……。
【有信部会長】  いや,そこはちょっと誤解があると思います。
【岡本委員】  そうですか。
【有信部会長】  そこのところは,いや,もちろん専攻は一まとまりでいいんだけど,これは一つの専門性に対して特定の研究のアイテムに対してということで,例えば,一つの専攻の中に非常にすぐれた教員がいると,この教員,あるいは同じような研究分野でほかの大学にもすぐれた教員がいる。それから研究所にもいるし,それの例えば出口側で,もちろんこれも一つのイメージだから,全てそうなるとは限りませんが,ここで言っているはそういうことで,そういうプレーヤーをとりあえずまとめて,より効果的にそれぞれの役割が果たせるように,つまり,もちろん目的を明確にしなければいけないんだけど,例えば研究領域一つにしても,様々な視点で,先ほど上山委員が言われたように,いろんな視点の人たちの協働というのが必要になる場合があるわけですね。だから,もちろん同じ専攻とか研究科の中だけで深く深くやっていければ,それで済む部分もありますので,そこのところはちょっと違う話だと思います。
【岡本委員】  そうすると,一つ,ここの中で人を育てていくときに,A大学とかB大学が入ってくるわけですけれども,それぞれのところでも審査を受けたり,発表したりとか,そこでの,その大学が持っている教育プロセスの中で果たすこと。
【有信部会長】  うん,それはなかなか問題なんだよね。
【岡本委員】  もう一つ持ってきて,同じことを両方でやらなきゃならないのかというような。
【有信部会長】  そういうような問題はありますね。だから,そういうような問題をどうやっていくかという話で。
【片峰委員】  関連なんですけど,恐らくこの問題は非常に重要で,卓越大学院を目指していろんな学位プログラムをそれぞれの大学が考えると思うんですよね。そのときに現在の設置基準でいいか。ここの運用をフレキシブルにしていただかないと,いろんなことが不可能になるわけですよね。
例えば,我々のところは従来の研究科の形を壊して,もう学長は無理だから,大学の理事クラスがその大学院の組織のトップに立ってという構想も今しているんですけどね。例えば,そういったことも含めて,そういったフレキシブルに運用をするんだという担保をしていただかないと,いろんなアイデアが出てこないと思うんですよね。そこは非常に重要だと思います。
【有信部会長】  どうぞ。
【上山委員】  こういう分野融合型というのは,恐らくどの分野の人も重要だとみんな思っていると思うんですよ。ところが,一線級の人がなかなかそれに関わってくれない。結局,こういう分野融合型のようなものだったらファンディングが来るから,それに合うようなアプリケーションを書いて,お金をもらうという形にもなっていて,本当にこれをやるなら,先ほど言ったみたいに,壁を取っ払うことができるような個々の大学のガバナンスが効いた中でやるんだったら,すごくいいと思います。
でも,そこがちゃんとできるかどうかが胆で,実際に現場のところでこういう分野型をやらなければいけないということは,現場の人たちが一番よく知っているわけね,サイエンティストも含めて。したがって,その人たちの要求というか,彼らの求めているものがそのまま反映されるようなプログラムをどうやって作れていくかということで,その意味では,個々の大学のガバナンス,そこを一番見ているわけですから,こことここをこういう形でやって新しいプログラムをやれば,恐らくいい融合ができるだろうみたいなことは,現場の総長みたいな人がよく分かっているわけですから,そういうところの意思がどこまでここに反映されるかで,単にこういう分野融合型のこういうものが必要ですよと言って,手を挙げてくださいと言って,アプリケーションを書いてくださいでは絶対うまくいかない。それが今までやってきた本当の問題点だと思うんですよね。
【有信部会長】  じゃ,竹谷委員。
【竹谷委員】  質問させていただきたかったのですが,この卓越大学院の構想が出てきた出所というのを,この会議が始まる前に文科省の方に聞きました。下村大臣の4月15日のイノベーションの観点からの国立大学改革の文書に出てきていて,そこには明らかに「新領域・新産業等を創造できる博士人材の育成」という目的が書かれています。今,文理融合というふうにおっしゃっていましたが,基本的に産業を作り出すとか,あるいはビッグデータと何とかを融合すると明記されていますので,恐らく想定されているのは,理系ということでよろしいでしょうか。そこには,「文系も含めて」と書いてあります。基本的には理系をモデルにしたものという認識でよろしいでしょうか。
もう一つは,卓越大学院の構想は恐らく環境整備ということですね。環境を整備するということですね。だから,卓越大学院が今までの改革と違う点があるとするならば,それは,各々の大学がその構造やカリキュラムを改革していくのではなく,環境を整備するという点である,という認識で正しいでしょうか。
【有信部会長】  だから,そこをもう少し議論を,環境整備ぐらいのことで済むのか,それだけでは済まないんじゃないかというのが今の上山委員の御指摘の中にもあって,やっぱりガバナンスそのものが実際には問題,今の大学のガバナンスの在り方を超えて,今のようなものが作れるかというような話ですよね。
もちろん,イノベーションだとか新産業だとか,いろいろ目的はあるんだけど,結局,今の大学の従来のガバナンスの中でやると,従来どおりの連合体になってしまってというおそれもあるので,そこをどう乗り越えていくかというのが重要だという指摘がありました。
【竹谷委員】  そうですね。例えば卓越大学院の目的に「ノーベル賞」と書いてありましたので,基本的には理系という確認で。
【有信部会長】  ノーベル賞は理系だけじゃないですよ。
【竹谷委員】  経済,なるほど,分かりました。
【義本高等教育局審議官】  竹谷先生の話に,これ,文部科学大臣のクレジットで出した資料は,これはどの場であるかというと,産業競争力会議という場でプレゼンさせていただきましたので,おのずとそういうふうなテーストでの話として,いわゆるイノベーションとか新産業創出の観点からどういう形で位置付けるかというふうな資料を作っていますので,ややその辺の例示のところについては,印象としては理系中心に見えるかもしれませんけれども,我々として今考えていますのは,文系・理系問わず,いわゆる卓越性があるような大学院をどういうふうに作っていくのか,その分野は,人文社会であっても,恐らく分野融合で考えていく,新しいような形で作っていくとか,あるいはIOTの時代において,また新しい学問分野が文系においても創造できるというふうなことも含めて,何ができるのかという視点でありますので,その辺は中立性を持っていると思っているところでございます。
一方,先ほど上山先生からお話がありましたように,これはやはり従来の,これは我々がこういうふうな言い方をしては非常に失礼かもしれませんけれども,まずは国費があって,それを取るために,上山先生のお話のように大学の事情でアプリケーションを作るんでなくて,大学全体としての研究戦略があり,その中でどういうふうに大学を作っていくのかという観点から考えるということだと思っていますので,その辺の議論も逆に深めていただき,それを我々としては,先ほど室長か申し上げましたように,構想委員会の中においてこれまでいろんな課題がございますので,それを克服するような仕掛け,仕組みというものを作っていきたいと思っているところでございます。
【竹谷委員】  というか,理系だけでいいのですねという再三の確認は,文系でスクラップアンドビルドをやられると,環境整備どころか,環境破壊になってしまうからです。今まで作ってきたネットワークが,制度疲弊どころではなく,破壊されてしまうという不安があります。ですので,できれば文系も環境整備をと言ってほしくないという思いがあり,理系ですねというふうに申し上げました。
今回の審議まとめには,17年度と23年度の答申になかった教員養成,先ほど大島委員がおっしゃったように,大学院生は研究者になるだけではなくて,次世代の大学院教育を担っていく人材である,という新しい観点が入っています。もし私たち文系が卓越大学院の構想に参与できるとすれば,その点かもしれません。
【宮浦委員】  卓越大学院ですけれども,現状動いているリーディング大学院との違いは何なのかという明確化が恐らく現場としては分かりにくいんじゃないかと思います。その違いが,もし複数の機関を横断するのが違いなのであれば,それを本当に各機関が求めているか,できるかという部分について,どこが違って,それを各機関が本当に求めているという,その基本的な方向性は恐らく誰が見ても同意できると思うんですけれども,何が違うかは,明確にした方が良いと思います。
【五神委員】  リーディング大学院は人類社会共通の課題を解決する課題解決のリーダーを育成するということで,環境などの課題のカテゴリーがまず出た中で,そういう大学院を作りましょうというプログラムでした。日本の大学院教育で世界の若者を引き付ける,要するに世界にアピールできる強いものをより伸ばす手法は,課題解決のリーディング大学院だけではないわけです。ディシプリンベースで非常に質の高いものもありましたし,それから新しい分野をどう作るかということでも日本独自に出せる分野もあります。
それから文系については,そっとしてほしいというのは私の大学でもよくある話ではありますが,例えば,ナンバー1だけではなくてオンリー1として,日本が持っている学術が,学術の多様性を通じて人類社会全体を強靱化するという意味で非常に重要な中で,それを世界にアピールするために大学院教育を強化したいという提案が出ても当然いいわけです。
そういうのをやりたくない人はやる必要はないのですけれども,そういう意味で,どの分野でなきゃいけないということではなくて,いろんな人が知恵を出して参加して,日本の今の大学院教育が持っているストックを活用し,それをよりよいものに変えていくきっかけになることをした方がよいと私は思っています。リーディング大学院のときはその一部分がかなりフォーカスされた形になっていましたが,そうでないところにも伸びしろの大きいものはあるはずなので,そこをきちんと対応することが重要です。そのためには,先ほど片峰先生がおっしゃったように,いろんな提案に対してちゃんと対応できるようなフレキシビリティーを担保してもらわないと,枠の中での議論になりますので,今までと同じものしか出てこなくなる,そういう話だと思います。
【有信部会長】  もう時間切れなので,ここで何か結論を出す必要はあるんでしたっけ。ということで,少し温めて,今のところはこういう状況なので,本当に短く済めば,どうぞ一言,二言で済むなら。多分済まないだろうな。
【竹谷委員】  すみません,一言だけ。文系をそっとしてくださいというのは,私たちは何もしませんというのではなくて,例えば,筑波大学には職業としての大学教育というプログラムがあります。大学の教員が草の根レベルで作っていって教育環境を,お金と一緒におりてくるトップダウンの変革要請で,破壊しないでくださいという,それだけです。
【有信部会長】  いやいや,だから,そういうことを含めて新しいことを考えましょうということなので,一方的に決めてやろうというわけではないので,もう少しフレキシブルに考えていただければ。もっといろいろ提案をしていただければと思いますので,是非。
【上山委員】  一つだけ。恐らく考えている文科系というもののイメージが非常に固定化されていると思うんですよ。例えば,僕なんかアメリカでよく会うのは,物理学やっていた大学院の人が「学部のとき専門何ですか」「ミュージックです」,そんなのいくらでもあるんですよ。つまり,それは非常に深い学際的な感覚が学部のときから醸成される環境をどうやってアカデミアの中に作っていくかということを一生懸命,学長みんなが考えているわけですね。
だから,80年代~90年代にかけてあれだけ産学連携が進んだときに,一般教養科目が重要だということを言い始める学長がいっぱい出たわけですよ。それは,やればやるほどここが必要だということで,そこに力を入れるという意味では,文科系的なものにかなりお金を投下する,大学の中で。したがって,これはかなり融合した話なんですよね。だから,文科系は文科系で閉じてくださいという話ではなくて,これは知識の中の連合体のようなものを作っていく環境をどう整備していくかという話なので,これは何もそういう話,恐らくお考えになっていることはちょっと違っていると思うんです。
【有信部会長】  これ議論まだとめどもなくなるんですけど,ここで議論している意味は,具体的な形を決めるということではなくて,卓越大学院としてどういうものがあり得べきか,どういう形があり得べきかということを大学院部会としては提案をして,その具体的な内容等については,後ろに書いてありますように,また別途,委員会ができて,そこで制度設計をやるということになっていますので,その制度設計に織り込むべきこと,あるいはその中で考えるべき視点,そういうものを出していただくということで,今言われたようなことも含めて反映していくという形になっていくと思いますので,御安心くださいか,御心配くださいか,分かりませんが。
【竹谷委員】  いや,先ほど卓越大学院は「理系モデルです」とおっしゃったから,「理系なんですね」と言っただけで,別に文系を弁護するわけではないです。
【有信部会長】  すいません,分かりました。
もう1件,実は残っていて,学術審議会からGCOEの事務評価結果の報告を頂くことになっていて,時間がちょっと押していますので,12時を多少過ぎてしまうかもしれませんが,御容赦ください。それじゃ,説明をお願いします。
【藤田日本学術振興会課長】  座ったままで失礼いたします。日本学術振興会人材育成事業部大学連携課長をしております藤田でございます。グローバルCOEプログラム委員会の事務局の方を務めさせていただきまして,平成26年度をもってグローバルCOEプログラムの事後評価が,全体が終了いたしましたので,それにつきまして簡単に御説明させていただきます。
資料5をごらんいただきたいと思います。縦書きで整理をさせていただいてございますけれども,表紙をめくっていただきまして,2ページ目でございますが,グローバルCOEプログラムの事後評価結果,グローバルCOEプログラムの目的は既に御案内のとおりでございますが,改めまして平成19年度から平成21年度,3か年で全体140拠点採択されたところでございます。5年間の支援期間を終了いたしまして,支援期間終了後に事後評価を実施するということでございました。
その全体140拠点の事後評価結果についてでございますけれども, 2ページ目の下の方の右側にございますが,4段階,設定された目的は十分達成されたか,設定された目的はおおむね達成されたか,ある程度達成されたか,余り達成されなかったか,便宜上,A,B,C,Dとさせていただきますが,それで事後評価を行ったところでございます。全体の結果といたしましては,A評価が83拠点59%,B評価が52拠点37%,C評価は5拠点の3.6%という全体の結果となったところでございます。
この事後評価につきましては,設定された目的に沿って拠点形成計画が効果的に達成されたかということと併せまして,補助事業終了後の教育研究活動の持続的展開及びその水準の向上とさらなる発展に資するための適切な助言というものも併せて各拠点に対して開示したところでございます。
その主な内容でございますけれども,3ページ目をごらんいただきたいと思います。主な評価項目でございますけれども,採択年度ごとの事後評価結果を冊子でまとめたところでございますけれども,そこでプログラムの全体の状況というものをまとめてございますので,そこのところから,本日の資料では幾つか抽出をさせていただいているところでございます。
まず①「大学の将来構想と組織的な支援」というところで,優れた取組や成果ということで,学長を機構長とする教育研究推進のための機構の設立といった組織的な取組といったものがなされていたというところ,あるいは,新センターや新専攻への改組,そういった新たな取組というものが行われたところが,取組の成果として挙がっているところでございます。
ただ,課題といたしましては,大学としての学長の明示的なリーダーシップの不足というところが見られたというものもあったところでございます。
②としまして,「拠点形成全体」でございますけれども,こちらの優れた取組や成果ということでは,サイエンスコーディネーターの登用による運営マネジメント体制の構築,あるいは外国からの研究者が客員研究員として長期滞在,あるいは外国人留学生の受入れや大学院生の国外派遣を通じた国際的なネットワークの実体化といったようなものが見られたというところでございます。
課題としましては,拠点形成のための独創的な工夫あるいは博士課程学生レベルでの他機関との交流の不足が見られたというところ,あるいは国際展開について,個別的な連携レベルに留まっているといったものが課題として挙げられたところでございます。
次,4ページでございますが,③「人材育成面」というところで,優れた取組や成果ということで,新規科目,分野横断的な教育カリキュラムの創設,あるいはRA制度の拡充による学生支援の強化といった幾つかの優れた取組が挙げられてございます。
課題といたしましては,国内外の研究機関との間での学生の教育についての協力等の取組がまだまだ不十分ではないかといったところ,あるいは異分野の複数教員による指導体制が十分でなかったというような課題も挙げられたところでございます。
④「研究活動面」でございますけれども,優れた取組,成果としては,新たな学問領域の創成,国際セミナーの開催や英文雑誌の創刊といったものが取り組まれたということでございます。
課題といたしましては,拠点リーダー以外の事業担当者の成果,国際的活動の充実について,一層の努力が必要ではないかというような課題が挙げられたところでございます。
⑤「今後の展望」でございますけれども,優れた取組や成果といたしましては,国際インターンシップや遠隔授業,ネーティブによる英語教育,企業と連携したプログラム等,拠点形成において効果的であった取組やカリキュラムの継続といったものが挙げられたところでございます。
また,課題といたしましては,若手研究者のキャリアパスの整備,あるいは周辺分野とのより強力な連携といったような課題が挙げられたところでございます。
続きまして,資料の5ページ目以降でございますけれども,ここではそれぞれの拠点において挙げられた研究成果あるいは若手研究者の活動の例といったものを各拠点の方から提出頂いてございますので,御紹介させていただいているところでございます。当然,支援期間途中のものもございますし,支援期間終了後,引き続き各大学の活動によって行われたものといったものもありますが,いずれにせよ,グローバルCOEプログラムの関連で上げられた成果ということで各拠点から提出を頂いているところでございます。
5ページ目のところでございますけれども,例えば,これは平成19年度採択の名古屋大学の拠点でございますけれども,世界で初めての成功といったもの,これは支援期間終了後に論文掲載等がなされたというようなものでございます。
6ページ目のところでございますけれども,研究成果例の東京大学でございますけれども,こちらは論文掲載の方は支援期間中に行われたというものでございます。
その他,7ページ,8ページ,9ページ,10ページに研究成果の例ということで挙げさせていただいてございます。
11ページからでございますけれども,活躍する若手研究者の例ということで,若手研究者の活躍の例について挙げさせていただいてございます。そちらにつきましては,11ページ,12ページ,13ページ,14,15ページ,16ページまで挙げさせていただいてございます。
また,17ページと18ページでございますけれども,こちらの方も若手研究者の活躍の例を挙げていただいているんですけれども,こちらにつきましては若手研究者の育成の取組例というふうな整理で各拠点から挙げさせていただいたところでございます。
例えば17ページということで,こちらも名古屋大学になりますが,理工融合の土壌で飛躍的に成長した若手研究者の好例といったことで,こういう研究者を育てましたというところの取組例を挙げさせていただいてございます。
最後,19ページになりますけれども,グローバルCOEプログラムの事後評価の結果のまとめということでございます。各拠点における各種指標の推移ということで,140拠点全体のものを整理させていただいてございます。
採択前年度と補助事業終了時の指標につきまして比べたものでございます。教育力,研究力,それから拠点の国際的プレゼンスに関する指標ということで整理しているところでございます。
それぞれについてはごらんいただいているとおりでございますけれども,一番下のところの四角でございますけれども,拠点の教育力・研究力・国際的プレゼンスは,いずれも採択後に向上しているのではないか,ということかと思います。
また,特に博士(後期)学生の国内外での発信力が4割近く向上しており,プログラムも人材育成に貢献したと言えるのではないかと考えているところでございます。
全学的なマネジメント体制の下,施設等のハード面から分野横断的な教育カリキュラムの整備,各種経済的支援などのソフト面に至るまで整備が行われているということで,大学院生のキャリアパスにつながる人材育成面での取組が積極的に各拠点において行われたと判断できるのではないかという結果だと思います。
簡単でございますが,以上でございます。
【有信部会長】  ありがとうございました。今の説明に関して何か質問がありますか。どうぞ。
【岡本委員】  2点あります。グローバルCOE不採択校と比較しての資料はあるのか,これ。
それからもう1点,改善定着化指標というようなもの,すなわちこれ改善を試みているわけで,5年間やって,その後,これをどう定着,あと5年後に例えば同じことをやって,ちゃんとそれがどの程度定着しているのかといったような,この計画はあるのかという,この2点をお願いします。
【有信部会長】  今の点に関して,ありますか。
【藤田日本学術振興会課長】  申し訳ございません。不採択校との比較の方はできておらないという状況でございます。また,経過後のフォローということにつきましても,今のところは予定はないという状況です。
【岡本委員】  やる予定はないんですか。やらないと意味が分からないですよ,これ。5年間投下するけど,これは定着化のためにやっているんで,どのように次どういうふうになっていくのかというのをやるプログラムが含まれていないと,単なるこの期間だけのものですねということになって,この意味がなくなっちゃうんじゃないですか。
それと,これ今,全国,お金,COEプログラムでいろんな大学がやっていると,不採択校もそういう努力をしていると思うんですけれども,もらったところが正当に評価されるには,社会的なずっと動きがありますから,不採択校との関係で資料を作らないと意味がないんじゃないかと,こう思うんですけれども,作る予定がないということだと,是非作っていただければ,また計画を持っていただけるという回答があるかなと思ったんですけど,ないという回答はちょっと何となく不満です。
【猪股大学改革推進室長】  補足させていただきます。まず,そもそも補助金を投下された大学とされていない大学を一概に比べるというのは,かなり難しいのではないかというのがございます。ただ御指摘のように,グローバルCOEが全体としてどのような成果を上げてきたのかについてを把握していくことは重要なことだと考えております。
また,リーディング大学院プログラムの採択の審査の過程において,過去の補助金の事業がどういう成果を上げてきているのかというのも,審査の中で見ていく工夫もなされています。
今後,卓越大学院を構想していく上で,今,御指摘いただいたような,各グローバルCOEの成果がどうなっていったのかというのを確認するというのが工夫の一つとして考えられるのではないかと思っております。御意見ありがとうございました。
【岡本委員】  是非お願いします。
【有信部会長】  今のような話だと,採択,不採択の間での比較というのはかなりいろいろ問題を提起するかもしれませんが,全体,全国平均に対して本当にこれが効果があったかというような比較は多分できるんだろうと思いますね。それから,定着もその後,それ以降,全国平均と採択校との間でそのまま推移しているかというのは,調査はできるかもしれないですね。
ほかに何か質問ありますでしょうか。
それでは,すいません,私の不手際で時間が10分超過してしまいましたが,最後に事務局から今後の予定等をお願いします。
【猪股大学改革推進室長】  次回は6月9日15時~17時の開催とさせていただきたいと思います。また,それ以降の開催予定につきましては,資料6の方に記載しておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
なお,本日の資料につきましては,机上に残しておいていただければ,後ほど事務局から郵送させていただきます。以上でございます。
【有信部会長】  どうも時間を超過して申し訳ありませんでした。それでは,これで閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

お問合せ先

高等教育局大学振興課大学改革推進室

大学院係
電話番号:電話番号:03-5253-4111(内線3312)

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