平成25年1月16日(水曜日)16時~18時
文部科学省東館3階3F2特別会議室
(委員)金子元久,菱沼典子の各委員 (臨時委員)有信睦弘(部会長),河田悌一(副部会長),川嶋太津夫,田中成明,中西友子の各臨時委員 (専門委員)有川節夫,板橋英之,桐野髙明,小泉潤二,五神真,角南篤,続橋聡,本間謙二,松田良夫,吉川裕美子の各専門委員
山野高等教育局審議官,浅田高等教育企画課長,池田大学振興課長,田中高等教育政策室長,長澤学術基盤整備室長,松坂大学改革推進室長 他
【有信部会長】 それでは,所定の時刻になりましたので,第64回の大学院部会を開催いたします。御多忙中にもかかわらず御出席いただきまして,まことにありがとうございます。
今回は,第6期の中央教育審議会で最後の大学院部会ということであります。委員の皆様方におかれましては,この2年間様々な議論に加わっていただきまして,非常に貴重な御意見をいただきました。まことにありがとうございました。
本日は,前回に引き続き,博士論文の公表について,一応,パブリックコメントの結果も出ていますので,御審議いただいた後に,次の期に向けて,今後の在り方というか,大学院部会での審議の内容等について皆様方で少し議論していただくということを考えております。今期最後の大学院部会となりますので,ぜひ積極的に御発言いただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
それではまず,事務局から配付資料の確認をお願いします。
【松坂大学改革推進室長】 お手元の配付資料の御確認をさせていただきます。
1枚目は,第64回の議事次第でございます。
資料1につきましては,前回第63回の議事録でございます。こちらにつきましては,御意見ございましたらば,1月30日までに事務局の方に御連絡をいただければと思っています。これは資料1でございます。
それから,資料2-1は,学位規則の改正案でございます。参考1と2を添付しておりますけれども,いずれも前回お示ししたものと同じでございます。それから,資料2-2でございますけれども,今回パブリックコメントを実施させていただきましたので,それの結果の概要と主な意見をまとめたものでございます。それから,資料2-3でありますが,今回,改正後の博士論文の公表に係るフローということで,原則とやむを得ない事由について1枚図をつくりましたので,後ほど御説明をさせていただきたいと思います。
それから,資料3でございますけれども,大学院教育における課題の整理ということで,前回のお話をいただいた中から主な意見を取りまとめたものということで,後ほど御説明をさせていただきます。
それから,机上でございますけれども,取扱注意と右上に赤い判が押されているもの,本日,議題1でございます学位規則に関する新旧対照表の資料でございます。
以上でございます。不足がありましたら,事務局まで御連絡ください。
【有信部会長】 御確認いただいて,もし過不足あれば,事務局に御連絡いただければと思います。
それでは,議事に入りたいと思います。最初に,議事の1番目の議題ということで,博士論文の公表についてですが,前回も様々議論していただきましたが,事務局から御説明をお願いします。
【松坂大学改革推進室長】 それでは,お手元の資料2-1から御説明をいたします。資料2-1につきましては,前回お示ししたものと同じでございますが,今般,学位規則の改正をするに当たっての改正案の概要と改正の事項を示したものでございます。
改正の趣旨といたしましては,現在,博士論文に関しましては,印刷公表が学位規則上求められているところでありますが,大学における教育研究成果の電子化,それから,オープンアクセスの推進の観点から,印刷公表にかえてインターネットを利用し公表することとするための改正を行うというものでございます。
また,同学位規則第8条では,大学において博士論文の要旨等の公表を行うことになっております。これも論文本文とあわせまして,インターネットを利用した公表をするというものでございます。
それから,裏面に参考1とありますのが,現在の学位規則の条文,8条と9条でございます。8条の方が,大学が行う論文の要旨あるいは論文審査の結果の要旨の公表に関するもの,それから,9条の方が論文の本体に関するものでございます。第2項のところにありますように,やむを得ない事由がある場合には,全文ではなくて,その要約を印刷公表することができるという規程が現在も置かれております。
参考2ですけれども,インターネットの利用による公表と変えた場合に,そのインターネットの利用とはつまりどういう状態なのかを示したものでございます。個人としてホームページ等に載せるということではなく,大学や大学評価・学位授与機構の協力を得て,機関リポジトリなどを利用するということを示しているものでございます。
2番につきましては,やむを得ない事由に関する説明でございます。
3番につきましては,現在一般に行われております博士論文を国会図書館に送付するという手続に関して,今後も引き続き,電子データの送付を行っていくということを示したものでございます。資料2-1は以上でございます。
続いて,資料2-2をパブリックコメントの結果として御説明申し上げます。パブリックコメントの結果でございますけれども,まず平成24年11月30日から平成25年1月4日まで行いました。全体として86通の御意見がありました。個人から48,団体から3団体,不明のものが11ということで,1人から複数の御意見を頂いているものもありますので,全体としては86通の御意見を頂きました。専ら個人で,高等教育関係団体は3団体からということでございます。
意見の概要について簡単に御説明いたします。意見全体といたしまして,積極的に評価をいただいているという意見,それから,問題点を指摘する意見,双方の御意見がございました。
まず1ページ目は,研究成果の公表ということでありますが,まず1点目は,研究が進展するものと期待するということであります。それから,2点目に関しましては,インターネット公表により学問・技術の発展に大きく寄与するものと期待というものがあります。
裏面に移りまして2ページでございますが,オープンアクセス化の推進について,積極的な意見としましては,アクセスの容易性からの利便性の向上が見込まれるといった御意見。2点目は,体系的収集,保存やオープンアクセスの促進につながるといった御意見。3点目ですけれども,これは問題点ということで,インターネットの利用により盗作が容易になるという御意見。それから,4点目,5点目は技術的なものですが,国際的なオープンアクセスの確保のための英語による併記を必須とすべき,多言語化への対応を検討すべきという御意見。また,学位論文のメタデータの,NDLTDへの提供も併せて考えるべきという御意見がありました。
公表の方法等につきましては大変御意見が多かったものですが,従来どおりの印刷公表でもいいではないかという御意見。2点目は,公表に当たっては著者の同意が必須であるということを明確に規程すべきだという意見がありました。それから,技術的な意見ですけれども,機関リポジトリによる公表を基本とする旨周知を図るべき,あるいは,懸念として,長期的な保存が電子データでは難しいのではないかといった御意見。それから,安定的識別子という技術的な整備を文部科学省として協力を要請すべきではないかといった御意見。国会図書館が一元的に収集,公開することを制度化するべきではないかといった御意見。それから,公表に際しては,ファイル形式や文字フォントなど統一した環境の整備に十分な配慮が必要であるという御意見。最後の2点目は少し問題点ということでありますが,著作権処理に一定の責任を大学等の機関が負うということになりますので,大学側の負担が懸念されるという御意見。また,著作権への配慮を行うべきという御意見がありました。公表の方法に関しては従来型のものを引き続きという御意見が多かったと思っております。
3ページ目ですが,公表に伴う不利益等につきまして,最初の6点は問題点を指摘するものです。出版刊行を予定している場合には,論文の全文をインターネット公表することは不利益となるおそれがあるということで,特に人文・社会科学系においては著書が主たる業績として捉えられる傾向があるため,そういう動向を踏まえるならば,インターネットは不利益が大きいのではないかという御意見です。
2点目は,二重発表を禁止しているジャーナルが一般的であって,そういう場合には二重投稿ということになって,ジャーナルに投稿できなくなるという不利益があるという御意見がありました。博士論文の一部で非公開になっているもの,まだ投稿していないものを投稿するというケースもよくあるということで,こういう御意見がありました。
それから,内容に秘匿すべき情報,広く公にすることが適切でない内容,そういうものの場合には,印刷はともかくとして,インターネットであれば不適切な場合があるのではないかといった御意見。
それから,図版とか写真とか設計図とかそういうものが書いてありましたけれども,著作権の関係でのインターネットの利用ができないものがあるのではないかといった御意見。また,特許の申請を考えている場合には不利益があるのではないかといった御意見。
やむを得ない事由についてはより具体的な例示,そういうものを図るべきではないかという御意見がありました。
その次は積極的な評価をいただいていると思いますが,やむを得ない事由を従来の解釈範囲より広く捉えるべきではないということで,公表の抑制をするべきではないという御意見がありました。
また,やむを得ない事由について,期限を定めるなど一定程度解消した場合には,インターネットの利用を通じた全文の公表を併せて周知をするべきではないかといった御意見。最後は,猶予期間を1年間としていますけれども,より長い期間が必要ではないかという御意見がありました。
その他ですけれども,現在,出版をすることが義務づけられている関係上,大きな負担になっていて,インターネットによる公表は時代を反映した的確な改正だという御意見もいただきました。また,著作権の問題とか公表に関する調査を行うべき,それから,出版文化の問題,統廃合があった場合など技術的な御意見をいただいております。
以上,全体として86通の御意見を頂いたところであります。個人からは人文・社会科学系の研究業績との関係を懸念する声が比較的多く寄せられたと考えております。
資料2-3でございますけれども,公表に係るフローとして,基本的には左側の原則に従っていただくということで,インターネットの利用による公表や論文の全文の公表,これは1年以内にやっていただくということが原則ですが,やむを得ない事由がある場合には,大学等の承認を得て,要約をインターネットで公開し,また,大学等では全文閲覧をするといった対応をしていただきます。また,やむを得ない事由がなくなったときには全文をインターネットで公表するといった,フローの説明をお示ししておりますので,理解をいただきたいと思っています。
やむを得ない事由の範囲につきましては通知等において明確にする必要があると考えておりますが,例えば例示として,出版による公表をしたもの,あるいはそれを予定であるもの,特許の申請をしたもの,あるいはその予定であるもの,掲載ジャーナルの制約があるもの,記載内容に秘匿の情報を含むもの,それから,著作権上公表不可能な内容を含むもの,立体形状による表現を含むなど事実上不可能なものである,こういうやむを得ない事由がある場合には,大学等の承認を得て,論文の要約を公開して,全文は閲覧に供するということが可能であると考えております。
資料の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【有信部会長】 どうもありがとうございました。
それでは,本件に関して,御質問,御意見等ありましたら,どうぞ遠慮なくお願いします。
【有川委員】 全体としましては,時代に合った方向になっているのかなというのが第一印象でございます。パブリックコメントがある程度寄せられたということで,このコメントの中で,問題点あるいは評価できるようなことなど,大体尽くされているような印象を持っております。基本的には資料2-3のところでまとめていただいたようなことで,インターネットでの公表に関して問題があるというところに関しても対応できるのではないのかと感じております。
それから,組織,大学が統廃合したときどうするかとか,あるいは長期保存に関する懸念もありますけれども,これは基本的には国会図書館がしっかりと収集をされて,そして,そこに行けばあるということになる。国が潰れたら大変ですけれども,その心配はおそらくないと考えられると思います。
著作権については,印刷物であってもなくても基本的には同じ問題が起こるはずです。それから,立体的とか,形状とか,物を動かすというようなことなどもあるのかもしれませんけれども,紙媒体に比べてやりにくくなるということは想定できないと思います。
この議論をする最初のときに問題点などにつきまして,私の方でも少し調査をしたり,他の委員会との関係もあったものですから発言をさせていただきましたけれども,その当初から予想できる範囲内にあるというふうに私自身は感じております。以上でございます。
【有信部会長】 ありがとうございました。
ほかに御意見ありますでしょうか。
【桐野委員】 大変いいと思います。私はある大学のサイエンテフィックミスコンダクトの委員をしたことがあるんですが,その事件は,10年ほど前に出した論文に写真の使い回しをしているということが分かったということなんです。というのは,最近のデータの検索技術は非常に進んでいて,昔の論文の盗作の有無を調べるのを趣味にしている人たちがいて,その人たちから告発が来るらしいんですね。それで,ここの盗作が容易になることが懸念されるという御意見はとんでもない。盗作は直ちに見破られて,大きな問題になります。したがって,逆に言えば,こういうふうに公開することによって盗作ができないという意味で,私は大変結構と思います。
それから,日本語,英語による併記はこれは当たり前であって,それができないのであれば,一人前の研究者としてひとり立ちすることができないということですから,やっていただきたいと思います。
それから,最近の,医学系だけなのか,理系全体のかよく分かりませんが,研究者1人にIDを打って,例えば私の論文は普通の文字でやった場合はKIRINO.Tという文字だけなんです。ただ,幸いにして,昔はあんまり私と同姓の人もいなかったし,Tという人もいなかった。最近,若い人で登場しまして,それで非常に紛らわしいんですけれども,背番号ができてしまえばそれができなくなるので,そういうものにも対応しないと多分いけないと思います。情報量が増えてきますので,そういうことをお考えいただければと思います。
【有信部会長】 ありがとうございました。
他に御意見ありますでしょうか。
知財に関しても,現在は,例えば米国特許であれば,論文の内容をちょっと加える程度で非常に簡単に特許申請ができるというようなパスもできていますので,全体としてはこの方向としては動いていますし,特に論文の盗作は,今,桐野委員がおっしゃったように,非常にやりにくくなると思います。コピー・アンド・ペーストでどこかから適当に持ってきて論文を構成するなんていうのは,しかも,公になりますから,従来であれば当面は限られた範囲でしか見られていない中で見落としがあったりというケースも非常に少なくなるし,見落としがあったとしても,多分直ちにどこかからクレームが来るという可能性もあります。
ただ,著作権は,論理的にいうと,有川委員がおっしゃるように,紙であれ電子媒体であれ本質的には何も変わらないんですが,一方で電子書籍が流通をしているので,それとの兼ね合いで不安を感じているということが多分,特に文系の方々で出版を考えている場合にはあり得るんだろうと思うんですね。その辺は多少は配慮する必要があるかもしれないですよね。
ジャーナルの話も本当はかなり難しい問題ではあるんですけれども,ジャーナルで特に商業用に学会の論文を扱っている出版社が自分の権益を守るために様々な規制をかけているケースがあったりするものですから,その辺も確かに配慮する必要があるのかもしれないですね。
ほかに,どなたか御意見あればどうぞお願いします。
【川嶋委員】 技術的なことですけれども,改正の施行日はいつを御予定されているのかということと,現行の仕組みにもかかわるので,例えば来年度の4月1日実施だとすると,25年度に博士学位を取得した者は依然として紙媒体で公表するのを原則とするということになるんでしょうか。
【松坂大学改革推進室長】 現時点では,施行日として4月1日以降と考えておりますので,25年4月1日以降に学位を出した場合には新しいルールでと思っています。
【有信部会長】 特に何か問題ありますか。
【川嶋委員】 いや,逆に新しく来年度に学位を授与された者についてはインターネットによる公表が原則ですけれども,別に印刷媒体での公表も構わないということで,二者択一ではなくて,あくまでもインターネットということですね。
【松坂大学改革推進室長】 現時点では,そういうふうに考えています。
【有信部会長】 特に他に御意見がありませんようでしたら,一応,前々回と前回等の議論も踏まえて,インターネットによる公表に向けての改正については,各委員の間でおおむね基本的な合意が得られていると思いますし,今回も格段に今の方向性に対して疑念があるような意見もありませんので,このまま文部科学省で省令改正に向けての手続を続けていただければと思いますので,よろしくお願いします。
それでは,引き続き,次の議題に入りたいと思います。大学院教育の今後の在り方についてということで,要は,次期の大学院部会で何をどういうふうに議論をしていこうかということについて次期に宿題を投げかけるような話になりますが,事務局から説明をお願いします。
【松坂大学改革推進室長】 それでは,お手元の資料3に基づいて御説明をさせていただきます。前回11月26日に開催いたしました第63回の大学院部会での議論をまとめたものでございます。大きく分けますと,社会人教育に関する御意見を二つ,大きく2ページにわたって記載しております。それから,3ページ目には,大学院教育の強化や実質化ということについて御意見をまとめました。4ページ目には,分野ごとの課題について御意見がありました。少しお時間をいただいて,簡単に御説明をさせていただきます。
まず1ページ目でありますけれども,社会人教育に関する,最初の4点は,諸外国の状況について御意見をいただいたものです。米国の例,例えば20代後半から30代前半でプロフェッショナルスクールへ入学する層というグループがあって,大学院教育を支えている。また,30代から40代,学校の教員を中心とした学位取得希望者の層があるなどの御意見がございました。また,ヨーロッパにおきましては,職業訓練という側面もあるので,社会人の割合が多いのではないか。それから,イギリスにおいては,トートマスターと言われる大学院の存在があるのではないかといった御意見がありました。
東アジアでは,就職に有利というような背景もあって,大学院に進学する学生がいるのではないか。このような諸外国の状況と我が国の状況を比較した上で,社会人教育の在り方の検討があろうかと思っております。その後は,日本における状況でありますけれども,学位や,またその専門性,こういったものが適正に評価されていないということから,学位取得者を使いこなせていない,また処遇にも結びついていない,特に人文・社会科学系ではそうではないかという御意見がございました。一方,学士と修士の差について明確となるような教育が提供できているのかということについて,大学側の教育にも問題があるのではないかという御意見があわせてございました。これらを解きほぐさなければ,大学院に社会人を呼ぶことは難しいという御意見がありました。
また,在職のままの場合にはやはり休日,夜間ということになろうかと思いますが,事務的なサポート体制がないなどの影響から開講が難しいということもあって,在職の社会人にはかなり難しい問題もあろうと思います。
2ページでございますけれども,社会人教育についての続きとして,社会に出てから学位の必要性を感じた,そういう層に対して有益なプログラムを提供できるかどうか,こういうものが鍵ではないかという御意見がありました。それから,企業の中では,大学院に入学してみたいという人はいるけれども,人事担当者の方がそれを積極的に支援するわけではないということで,そういうギャップもあるではないかという御意見。経済団体などを通じて,問題意識を企業にも持ってもらうべきではないかという御意見。それから,これまでの比較として,OJTによるアップデートをすれば足りたこれまでの時代と違い,これからは個人としてキャリアアップ,キャリアチェンジといったものを大学を中心として図っていく,そんなニーズがある一方で,やはり大学側にもその受皿としての力が弱いのではないかという点,御意見がございました。
企業側の視点として,先端的な知を求めての社員の派遣先はどうしても米国の大学が中心になってしまって,仮に日本の大学に派遣するとして,それが代替たり得るのかということについては課題だという御意見がありました。
企業人が行く場合の,休職,それから,給与の問題,学費の負担の問題,そういった課題があり,大学院に行って企業に戻ってくるモデルをシステムとして作っていかなければなかなか大学院にも行けないのではないかという御意見がありました。
企業側からは,休日や夜間のみで3年間の博士課程のコースに入るよりも2年間であれば仕事を離れて学修に専念してもらった方がいいと,そういう考え方もあるという御意見がありました。
3ページ目ですけれども,大学院教育の強化・実質化につきまして,限られた資源を使うということであれば,研究大学を標ぼうする大学は,学士課程の学生を減らして,その分のリソースを修士,博士,専門職,社会人教育に回す,こういうダイナミックな考え方をしなければ,限られたリソースの中では質の向上につながらないのではないかという御意見がありました。
また,大学院教育において早期に学修範囲が狭くなり過ぎているという傾向があり,そういう修了者が社会に受け入れられることが難しい現状という御意見もありました。
3点目は,御議論いただきましたQEの関係ですが,専門分野を超えた幅広い教育を得て,博士論文研究基礎力審査,QEでございますけれども,これで修士の学位の取得を可能としましたが,なかなかその周知,普及が図られていないのではないか,体系的な幅広い教育の実施については,課題であるという御意見がありました。
それから,研究科や専攻を超えた学位プログラムとしての教育を実施しようとする場合には,研究科や専攻の壁があって苦労することが多いという話がございました。
学生定員の在り方について,かつては研究の推進力としての大学院生ということで附置研も含めた数の設定があったのが,課程制大学院の教育をベースに考えると,定員規模が厳しい状況にあるという御意見がありました。
それから,小規模専攻が非常に多いという御意見を頂きました。入学者が3名未満ということであれば,幅広い教育も難しく,イノベーションにもつながりにくいのではないか,ある程度の資源の集約が必要ではないかという御意見がありました。
それから,研究者なのか,高度専門職業人養成など目的を明確にした上で設置すべきであり,大学であれば博士課程が必要だという安易な設置は慎むべきではないかという御意見がありました。
それから,大学間の競争をうまく生かし,特色を生かせるようなシステムを構築するべきという御意見もございました。
最後は,分野ごとの課題についてであります。一般的に大学院の課題は,議論をしますと理工系がベースとなりがちでありますけれども,人文・社会科学系,また医学系においては大学院教育がグローバルスタンダードであるかは疑問であるという御意見がありました。個別の例でありますけれども,一橋大学の経済研究科であれば,修士には一定のニーズがあり,学生が集まっているが,一橋大学の学部からの進学者は非常に少なく,他大学から進学している。一方で,博士課程へ進む学生は少ないという現状がありました。
3点目は,理工系と異なり人文・社会系では,上位大学において進学者が少ないことに由来し,課程が進むにつれて学生は上位大学へ吸い上げられているという現状があるという御意見がございました。上位大学の出身者がなかなか大学院には行かないというような御意見だと理解しています。
先ほどもございましたけれども,学士と修士の学修内容,レベルの違いが明確でない。これが明確にならなければ,企業としては,どっちでもいいという御議論になりやすいというお話がありました。
企業の方でも,採用や人事配置において,教育の中身というよりは,コミュニケーション能力,積極性,英語力,クラブ活動実績,こういったものが評価の主軸になっているというのが実際の現状であり,なかなか専門性が評価されない環境があるという御意見がありました。
最後ですが,米国や英国では,PhDとは別にプロフェッショナルドクターという学位があるので,日本にも分けて考える大学もあるけれども,今後拡大すべきはこのプロフェッショナルドクターに相当する博士ではないかという御意見もありました。
前回こういう御意見をいただきまして,本日の御議論につなげていただければと思っております。よろしくお願いいたします。
【有信部会長】 どうもありがとうございました。
それでは,最後の大学院部会でもありますので,とりあえず一通り各委員から御意見を伺った上で少し議論に入りたいと思います。高等教育局長から御意見を伺おうと思っていたんですが,所用でおりませんので,来られてからにします。
それでは,突然で申し訳ないんですが,吉川委員から順番に,今,説明があったようなこういう御意見が今までも出ているということを踏まえて御発言いただければと思います。よろしくお願いします。
【吉川委員】 それでは,一言申し上げます。前回欠席いたしましたが,この議論の中では,海外の学生の誘致や,国を超えて共同で運営されるような教育プログラムに関してはあまり取り上げられていないように思います。今後,国を超えて複数の大学により提供されるようなプログラムをどう構築していくのかという点はより大きな問題になるのではないかと考えております。
それから,先ほど学位規則の改正のお話がありましたけれども,大学以外で唯一学位授与権を有する独立行政法人大学評価・学位授与機構に勤めておりますことから,特に学位の問題について考えております。今の資料の4ページで,学術的な学位と専門職に特化したような学位をどう切り分けるかということが議論されていますが,海外から見たときに,例えば修士の段階ですと,従来の研究科で得られる修士と専門職学位の違いがあまり明確でないように思われます。英文の学位の名称についても,必ずしも国の中で統一されているわけではありません。もちろん教育プログラムをどのように構築するか,日本国内での在り方が大切かと思いますけれども,海外から見たときに,あるいは学生を誘致するときにどういう在り方が必要なのかという点も考慮していただければと思います。以上です。
【有信部会長】 ありがとうございました。
それでは,松田委員,よろしくお願いします。
【松田委員】 ここでも企業における博士号の取得の話が出ているんですけれども,何かハードルがすごく高いように書かれていますが,我々の会社でも,実際,志ある者があれば,基本的には上司は学位を取得させるようにしています。そして,学位を取得した者を,ただ取得しただけではなくて,取得してどうなったかといったことに関しても企業内でPRしたり,本日のデータベースなどにデータを提供していくことによって,博士号取得がどういうメリットがあるかということ,またそういう人が結構身近にいるということを知ることによって,能力と志ある人たちにきっかけを与えるというのは,企業でも進んでいるのかなという気がします。
あとは,この場でもいろいろ述べさせていただきましたけれども,企業が大学に求める人材像とか,いろいろ発信しています。経団連などでもまとめて何回も出していますけれども,やはりそういったことを本にまとめて出すとか提言というふうにすると,出した段階で目的を達成したように思ってしまいますので,これからも,今回が最後の大学院部会ですけれども,企業がどういう人材を求めているか,または理科離れに対して企業がどうできるかということをいろいろな場で,特に企業の方がまだ発信が足りないのかなという自戒の念もありますので,それはどんどん自分自身も発信していきたい。
あとは,やはり先生方にはそういうことを学生に伝えるような場を与えてほしいということですね。そういった場で社会人を講師に呼んでお話しするというような機会は幾つかあるんですけれども,そういうものをもっと設けていってほしいということと,企業からとしてはやはり今後どんどん参加していく。ここは高等教育の部会なんですけれども,実際の教育は別に初等,中等,高等と分かれているわけではないので,例えば初等教育にも中等教育にも高等教育にも,そういったところに企業としてもっと声を大にして意見を述べるし,協力するということをやっていかなければいけないと思いました。
少なくともこの場にいる委員の方は,大学と産業との連携とか,または大学の運営について,私自身が思っていたよりも大分進んだ議論をされています。また,リーディング大学院,これは私が中教審にかかわったころは構想であり,それが実現されて,昨年はそのリーディング大学院の審査をする立場になったんですけれども,着実に進んでいるなという気がします。一番大事なのは,継続だと思います。こういったことを継続していく場をもっと活性化していって,できれば人をかえて新しい意見を取り入れて,それを踏まえた施策を審議して,提案していただきたいと思います。以上です。
【有信部会長】 ありがとうございました。
では,本間委員,お願いします。
【本間委員】 私は教員養成大学に勤めております。以前にも発言させていただきましたけれども,この間様々な現実的な課題に教育現場は直面しているわけでございますけれども,やはり教員養成大学の教員がそれに必ずしも適切に対応することができていないのではないだろうかと。私だけではなくて,いろいろな,教員養成大学学部の経営を担っている人たちが,何らかの問題が起こったときに,もちろん大学ですから,研究チームをつくって,それに対応するというようなことを常に考えるわけですけれども,必ずしもそういうことができていないと思っております。
いろいろな課題はあると思いますが,教員養成大学の教員たちが持っているドクターはみんなPhDでございます。特に教員養成大学では,前にも発言させていただきましたが,教職大学院をつくりました。これは専門職大学院を教員養成に適用するということだと思いますが,私自身は今,5年目を迎えたわけでございますけれども,必ずしも日本の中で専門職大学院の在り方が本当に議論されて,定着しているとは思っておりません。ほかのところの分野については私は話すつもりはございませんが,特に教員養成大学の専門職大学院について,十分にその機能を果たしているだろうか,つまり,教員たちが実務家教員も含めて十分に役割を果たしているだろうかと考えましたときに,やはりかなりおぼつかなく感じるところがございます。
それはやはりここに書かれておりますように,プロフェッショナルドクターというような人たちの存在がかなり必要なのではないだろうかと。単にいわゆる実際的な実務的な経験があるからといって,それを普遍化し客観化して学生たちに伝えることができるとは必ずしも思っていませんので,そういう点では日本において専門職大学院を更にやっていこうとすれば,やはりこのようなプロフェッショナルドクターを真剣に考えるというのが私としては急務であると感じている次第でございます。次期の大学院部会ではぜひそういうことについて積極的に議論していただければと考えている次第でございます。以上でございます。
【有信部会長】 ありがとうございました。専門職大学院の質の確保というのはもともとこの大学院部会でも重要なテーマの一つだったんですが,なかなかそこまで議論が行き切れなかったということもあって,これは重要な課題だろうと思っています。
では,続橋委員,お願いします。
【続橋委員】 私は経済団体の人間で,特に理工系の人材育成をやっているんですけれども,経団連全体では,理工系に限らず,初等中等から始まって,文系大学の人材育成について教育関係を担当している部門が扱っています。
最近,人材育成において,グローバル人材とイノベーション人材という二つの言葉が使われています。当然その二つは重なるところはあるんですけれども,イノベーション人材といったときに,どちらかというとその意味するところは特に理工系の人材,グローバル人材というときに,特に語学ができて,国際的に通用するような,どちらかというと文系の人材といった感じです。
かつては高度理工系人材をいかにして創出するかというような提言をしたんですけれども,学生全員が会社の社長になれるわけでもないので,全員がものすごく高度である必要はないのです。まさにリーディング大学院でも3類型があって,スーパーマンはそんなにたくさん要るわけではないのです。
そういう観点からすると,当然,高度理工系だけではなくて,大学が機能分化し,特色を発揮して,ある程度の専門性を中心にして使える人間を育てるとか,いろいろ特色を出して厚い人材,多様な人材を育成して,日本経済の再生等に生かしていくということが重要であると最近は特に思っております。
そういった観点からは,博士課程の中でもこういうところに力を入れるんだと。特色をだして,例えば社会人コースに力を入れるような大学が出てきてもいいと思います。どんなところに需要があって,どういうふうに対応していくかということを考えながら,大学の人材育成機能を分厚くしていくかということを検討したらいかがかなと思っております。
【有信部会長】 ありがとうございました。
それでは,小泉委員,お願いします。
【小泉委員】 私は大学の教育を担当してきたということと,それから,今,リーディング大学院のオールラウンド型に深くかかわっているということと,それから,私自身がアメリカのスタンフォード大学で教育を受けてきたということと,その三つに絡めまして幾つか気がつくところがあります。
一つは,前回,私は欠席しておりましたが,このときに御議論いただいている中のキャリアの問題です。大学院を出た人たちのキャリア,あるいはドクター,あるいはポスドク,そうした人たちの研究者以外へのキャリア等,これが日本の場合に非常にうまくいっていない分野が多いということです。この問題について,私はおそらく専門分野ごとに個別のアプローチが必要ではないかと考えております。
一つには,ここで人文・社会科学という言葉でまとめられておりますけれども,人文・社会科学の問題はやはり他とは違うだろうと思います。理工系を見てきて,あるいは医歯薬系の方々のキャリアを見てきて,個別性が非常にはっきりしており人文・社会系とは違う。それから,私自身は人文科学と社会科学の中間におりますけれども,人文科学と社会科学でもまた違う。それから,人文科学の中でもまたいろいろの個別性あるいは特殊性がある分野もあるということで,その辺はかなりきめ細かく対応して,それぞれ問題点を洗い出しながら対応していく,しかし,大学の中だけで洗い出しても駄目で,当然,それは産業界の方々等と緊密な議論を続ける中でこのキャリアの問題に対処していく必要があるのではないかと思います。
リーディング大学院をやっていまして,先ほどスーパーマンという御発言もありましたが,日本がリーダーを必要としているということは間違いないんですけれども,しかしそのリーダーを養成するということを目的にして,未来に向けてそれをプログラムとして組んでいくというのは非常に難しいと私は思っております。といいますのは,リーダーというのは,いろいろな歴史あるいはコンテクストによって決まってくることもありますし,振り返ってみて事後的にこの人はリーダーであったというように評価できる,判断できるというのがおそらくリーダーの位置づけとして重要なところであると思うので,こういう人間をこういうやり方で育成していけば必ずリーダーになる,というものではおそらくないということを強く実感しております。
そうした中で望ましいリーダーが生まれる可能性が可能な限り大きくなるよう考えて,私たちは理系と文系の学生を半々,10人ずつ訓練しております。そして,1年ほど教育をしてきて,やはり理系の学生と文系の学生について,我々としてそれぞれ対処の仕方を変えなくてはならない,それを個別にお話しすると長くなりますので省略いたしますけれども,やはり理系の学生に対する訓練の仕方と文系の学生に対する訓練の仕方と,これを一緒にやっているわけであり,その大きなメリットもありますけれども,同時に非常に大きな困難もあり,そこら辺をやはりきめ細かく対応していかなくてはならないのではないかと考えております。
そして,オールラウンド型の発展というか,大学間の連携のために,私,スタンフォード大学に最近行きまして,いろいろなディーンとか,ディレクター,チェアの方々とお話をしました。そして,個別のことは別にして非常に強く感じましたことは,私がスタンフォードの中に学生としていましたのは70年代から80年代の境目のころですけれども,その後,日本の大学との間の差が,残念ですけれども,広がったのではないかという,そういう実感がありました。
なぜそれが広がったかということについて,いろいろ要因がありますすけれども,財務が大きいのではないかと思います。スタンフォード大学は,御存じのように,25ビリオンですか,ですから,250億ドル,つまり,2兆円以上の資産を持っている。にもかかわらず,更に過去5年間,高等教育における史上最大のファンドレイジング,つまり寄附のドライブをかけまして,その目標が4.3ビリオンですから,4,000億円近いということです。同窓生にもいろいろ寄附の依頼などが来まして,私は多分,目標達成は無理だろうと思っていたんですけれども,最終結果は6.2ビリオンということで,はるかに目標を超えたということなんですね。その財力のすごさといいますか,新たに加えて5,000億以上を集めたということで,この強さというか,力というのは大変なことですが,私たちはそうした大学とやはり世界で競争していかなくてはならない。ほかにもたくさんそういう大学があるわけで,一つだけではありませんので,そういうグローバル競争がますます激しくなっていく。
その中で日本の大学院教育がどうしていったらいいのか,何ができるのか。おそらく同じ財務の
土俵では競争できないでしょうし,違う個性や特色を求めていくんでしょうけれども,日本の大学院教育は一体何を求めて特化あるいは対応していくのか,競争していくことができるとすればどういう方向を求めるべきなのかということを非常に考えさせられたということをコメントとしてお話しさせていただきます。
【有信部会長】 ありがとうございました。一つだけ質問ですが,スタンフォードでオールラウンドというコンセプトは簡単に理解してもらえましたか。
【小泉委員】 理解してもらえました。学際教育については,スタンフォード大学は特に力を入れているということで,関心を持っていただきました。そのほか,高等教育の関係の方々はかなり関心を持ってくださっていると思います。
【有信部会長】 そうですか。それは少し安心しました。ありがとうございました。
では,板橋委員,お願いします。
【板橋委員】 少し理工系に偏った意見ということになりますが,最初のこの部会の議論のところで,大学院を出た学生が非常に狭い知識しか持っておらず,少し専門から外れると何も分からなくて使えないというお話があって,できるだけ幅広い視野を持った,ふかん的な視野を持った学生を育成することが重要であるということで,リーディング大学院のところでもありましたが,研究室ローテーションとか,複数指導教員制とか,副専攻制とか,あるいは異分野融合のプロジェクトに参画させて学生を鍛えるというのがありました。
ただ,これをきっちりやろうとすると,学生にかなり能力が必要で,特に科学コミュニケーション能力,自分の専門を専門外の人にきちっと伝えられる能力,専門外のことをきちっと理解できる能力がどうしてもやっぱり必要になってきて,これがないとやっぱり叙述ができない。理工系に限っていえば,科学コミュニケーションツールとしての理学に関する知識,数学,物理,化学,そういうところをきちっと身につけて大学院に入ってこないといけないと思います。
ただ,その辺の理学に関する科学コミュニケーションに関することを大学院でやるのはかなり厳しいので,入ってくる時点でそういうことがある程度身についている学生を入学させるということがかなり重要であると思います。例えば大学院入試にその辺をはかる,理学に関する基礎的なことをはかるような共通試験を導入して,質を確保する。ただ,この試験は,センター試験みたいな点数化をするのではなくて,漢検とか英検のような,1年間に複数回受けられるような達成度試験にして質を確保し,ある一定の級以上を持った学生が大学院を受けられると。ある一定の級以上を持っていなければ大学院の受験資格はないという形にすることで一つ基礎的なベースを確保できるのではないかと思います。それでもってある一定以上の級を持った学生が大学院を受けて,大学院の専門の試験は大学院で考えるというふうにしてやると,かなり質の高い学生が採れるようになるのではないかと考えております。
ただ,理学的な部分は学部で教えるということになりますが,基本的には1年生ではやるかもしれませんけれども,2年生以降は専門が入ってきますので,基本は自習でやる。ただ,大学の中に支援室とかを設けて,ピアサポーターあるいは専門の教員を配置する等の支援が必要にはなろうかと思いますが,基本的には学生が自習するということになって,今,大学生があまり勉強しないというのがありますが,その自主学習の時間もそこでかなり増えるのではないかと考えていますし,また,大学院のステータスも上がる。ある一定の者でないと大学院を受けられないということになると,大学院のステータスも上がるのではないかと。ただ,それには産業界の協力が必要で,やはり大学院を出ていないと研究開発職としては採用しないというようなことが重要にはなりますが,そうなると,大学院のステータスもかなり上がるのではないかと思います。
いずれにしても,やはりある一定以上の能力を持った学生を入学させることで,ふかん的な視野を育成するような,今,考えられているような大学院教育が実質化するのではないかと考えております。いずれにしても,科学コミュニケーション能力を保証するような大学院の入試の制度の導入が必要ではないかと考えております。以上です。
【有信部会長】 ありがとうございました。
それでは,中西委員、よろしくお願いします。
【中西委員】 ありがとうございます。感想を含め何でも,ということですので。私は学生と接しているのは,大体学部の4年生からドクター終わりぐらいの学生が主です。その間,見た目は初等教育とは違って大きくなったりはしないのですが,考え方をはじめ,精神的に大きく変わります。ですから,大学の教育は非常に大切だということをいつも強く感じております。
それをもとに考えますと,大学院重点化の結果,ほとんどの教員が,研究大学院大学に所属することになり,教員にとって研究のプライオリティーが非常に高くなりました。そこで,教員は研究のための研究費を取りにいこうとそれに一生懸命になっているのが現状かと思われます。ですから,学生を研究の手伝いのように使う傾向があります。非常にいい研究をしている学生がいるように見えますが,それはレベルの高いところに入って,今までしてきた先輩と同じことをしますからレベルが高く見えることもあります。教育というのは時間がかかるものですから,個人個人,一から落ちついて考えていけるような,そういう雰囲気も非常に大切だと思います。
ですから,次期の大学院部会では,大学院重点化のメリットとデメリットをもう一度見返してみる必要があるのではないかと思います。私は,たまたま独法化のときに,総長室に居ましたので,世界中の大学がどうなっているのかを手分けして行っていいと言われ,私はドイツを選びました。ドイツの主な幾つかの大学のカンツェラーなどトップのマネジメントをされている方にお会いして伺いましたところ,非常に勇ましく競争していることが多く出てまいりました。けれども,そのマネージメントの目的が生かされるのは大学全体の実際の予算の数パーセントでしかありませんでした。実際の大学の教授の先生に会うと,全く落ちついて,非常にゆったりとした研究をしていることが分かり,うらやましいと思ったほどでした。
大学院での教育のことですが,大学院に入ってきた学生には,実は研究に向いていない人も来ています。理系はマスターに進学する学生の率が高いのですが,見ていると,やはりもっと早くから就職した方がいいのではないかと思われる学生も多々います。そこで,大学院では研究に向くかどうかについて,学生をふるい分けることも考慮に入れる必要があると思います。
それから,ドクターを取ったからといっても,必ずしも専門性の高いところに就職しなければならないということは無いと思います。いろいろな分野で自分の考え方をきちっと持って遂行できる人が育ったら,どこに行って活躍してもいいと思います。よく言っているのですが,日本中,ドクターを持った人が例えば地方の役所にも村役場にもいて,いろいろな企画を立ててほしいと思います。つまり,日本中にドクターを持った人が各地でいろいろなことをしていることこそ,日本全体の科学技術力の向上に繋がるのだと思います。ですから,今,組織的にはドクターを持った人をどこかに登録しておいて,その人をみんなが採用できるようにとか,仕組みはいろいろ考えられてはいるのですが,ぜひ各方面での活用を考えていってほしいと思います。
もうひとつ,文系のドクターの人をどんなふうに活躍してもらうかが大きな問題だと思います。ただこれからの社会では,やはり文化が非常に大切になってくると思います。皆が精神的にも幸せになっていくのにはやはり文化の振興というものを考えなくてはならないと思います。そのことも含め,文系の人にはこれからしっかり役立ってもらえる環境がほしいと思います。
【有信部会長】 ありがとうございました。
では,川嶋委員,お願いします。
【川嶋委員】 まず,大学院の規模とか量の問題ですけれども,今,お話が出ました大学院重点化ですが,それ以前の大学院の状況を,私の先生の潮木先生は,80年代ですが,アメリカに比べると日本の大学院は空っぽのショーウインドーだと表現されました。入れ物はあるけれども,商品が何もない,学生がほとんど来ていないということをおっしゃった。その後,大学院重点化と大学院設置の大綱化などで,大学院は空っぽではなくて,いろいろな商品がショーウインドーに並ぶようになったんですが,それが本当に商品価値があってマーケットからしっかりと買っていただけるかというと,今,非常に難しい状況にあるんだろうと思います。これは一方で大学院教育の質の問題とも関係しています。
量についていえば,重点化以降,確かに数字で見ると,大学院在学者数も増えましたし,進学率も特に修士は一貫して伸びてきましたけれども,ここ数年,大学院生の数も減りましたし,進学率も下降ぎみにあるということで,やはりいま一度,先ほど分野ごとに詳細に分析する必要があるというお話もありましたけれども,量や規模の問題を改めて分野ごとにきちんと分析してみる必要があるんではないかと思います。
特に重点化でアカデミックキャリア以外のところに出ていくだろうという期待はありましたが,それはどちらかというとサプライサイドの思いだけで量を拡大してきのではないでしょうか。デマンドサイドからみた大学院修了者への期待とは全くマッチングをしていなかった。もしアカデミックキャリアを博士の学生が望むとしたら,毎年教員がどの分野でどれぐらい退職していかれるかというのは,教員調査を見ればある程度予測できるわけです。一方で,毎年それぞれの分野でどれだけのPhDが生産されているかという,これもある程度予測できるわけですから,その両方の数字をきちんと分析して,社会に対しても,学生に対しても,大学関係者に対しても公表していく必要があるんだろうと思います。そういう意味で,量的な検討をぜひ分野ごとに詳細なものをやっていただきたいというのが1点です。
それから,二つ目も量に関係していますが,個別の大学院の規模の問題です。前回でも先ほどの資料にも出ていましたけれども,3名程度の定員のドクター専攻がかなりある。来年度新設の大学院のドクター専攻も実は定員3名という,私立ですけれども,あるようなんです。今,大学設置基準の見直しということを検討されているようですけれども,定員3名で,これまで議論し,提言したような幅広い分野を学ばせて,その後専門にという教育が担保できるかどうかということも疑問があるわけです。加えて3名という定員でも,5年後,10年後にその大学院博士課程は本当に需要があるのかということも設置審査のときにきちんと見ていただきたいと思います。
それからもう一つは,今度,質の問題ですけれども,資料にありましたように,やはり学士と修士と博士の能力の違いというのが,これが非常に分かりにくいところがある。大学院設置基準の第3条では修士課程について,第4条では博士課程についてそれぞれの課程の目的が書かれていて,その中でどういう能力を育成するかということが書かれているわけです。例えば第3条では,修士課程は,広い視野に立って精深な学識を授け,専攻分野における研究能力,またはこれに加えて高度な専門性を求められる職業を担うための卓越した能力を培うことを目的とする。博士課程については,同じように書いてあって,最後に,豊かな学識を養うことを目的とするとなっています。
精深な学識と豊かな学識を養うというのはどこがどう違うのかよく分かりません。学士力というのが提案されて,いっとき,修士力,博士力ということも中教審で議論されたと思うんですけれども,学位間で,ある程度弁別力があるような形で,ガイドラインなり参考基準として,学士というのはどういう能力を持った人材なのか,修士はどういう人材なのか,博士はどういう人材なのかということで今後検討する必要がある。このことが明確にされていないと,日本のそれぞれの学位と取得者の国際的な通用性と信頼性が失われるのではないかと危惧します。これについては,よく関係者で話すと,今の修士論文は学士論文程度という話も出てきて,そうなると,やはり,国際的な通用性・信頼性ということでいえば,大きな問題があるんだろうと思います。
最後,4番目ですけれども,大学院教育のマネジメントの問題を指摘したいと思います。大学教育部会と大学分科会でも,教学マネジメントの話が出ています。学士課程も同じなんですけれども,例えば神戸大学大学院何々学研究科という研究科は13あるんですけれども,大学院という組織はないんです。先ほどスタンフォードのお話もありましたけれども,アメリカですと,グラデュエートスクールという大きな傘の組織があって,そこのディーンが一括してそれぞれの学位プログラムの面倒を見る。学位授与の要件も,基本的にはどのプログラムでも同じで,横並びになっているわけです。共通の要件の下で具体的な要件はそれぞれのプログラムで違うわけですけれども,大枠としての修了要件は横並びというか,共通の要件となっています。そういう大学院のマネジメントをどうするかということは,これは学士課程もそうですけれども,それも今後の課題ではないかと思います。以上です。
【有信部会長】 ありがとうございました。
それでは,金子委員,お願いします。
【金子委員】 私も3点申し上げたいと思います。前回申し上げた繰り返しになりますが,まず第1点は,今回の大学院部会の議論の収れんしたところは,大学院教育において比較的早い時期に狭い専門に特化していく。そのために,アカデミックな研究としても視野が狭まるのと同時に,後に社会人として活躍しようとする場合にも基礎が十分できていない。したがって,体系的に基礎的な力をきちんとつけさせるような手段を考えるべきではないかという議論が非常に一種のコンセンサスであったと思います。
結果としては,施策としてそれが反映されたのは博士論文研究基礎力審査ですが,これは具体的な施策としては,博士一貫制のところしか適用されませんし,大学関係者に聞いたところでは,その趣旨がかなり誤って伝わっているところで,これについては次期の大学院部会では検討を更にしていただきたい。それから,これについては特に文系では必ずしもこういった意見に賛成でないところもヒアリングをしていたときにありましたし,それは本当にもう少し大学にも議論を要請すべきところだと思います。
それから,2番目は,そういった方針を一応反映させつつ,リーディング大学院とか大学院GPなどのプログラムが,コンテスト型のプログラムといいますか,そういったものがつくられて,各大学からアイデアを出してもらうという形で進んできて,それの結果としてかなりよかったところもあると思います。それぞれ工夫をして,特に国際化等については工夫をしているところもあると思います。
ただ,全体として,これが先ほどの議論に照らして,どの部分については成果があって,どの部分については成果がなかったのかということについて,まだ総括が必ずしもできていないと思います。私は大学院GPについては評価委員会にも入っていますが,評価委員会はやはりどうしてもかなり個別の大学院の話になってしまって,全体の政策的な観点からこれらのGPプログラムがどのような意義があったのかといったことについて評価がやりにくいという側面があります。そういう意味では,次期の大学院部会ではそういったことも議論していただきたい。
それからもう一つ,共同教育課程も,これも制度的にかなり大きな改正だったんですが,私はどうも実はあまり使われていないんじゃないかと思うんです。これについても問題があるとすればどこなのかということについても評価が必要だろうと思います。
3番目は,特に社会人大学院について問題があると思うんですけれども,一般的に,先ほど来から問題になっています,専攻科の人数が少ないところが非常に多いということです。大学院設置基準上は,ほとんど専攻を基礎としてでき上がっていまして,定員も専攻ごとに設置することになっているわけです。
しかし,入学者3人未満の専攻が4割という状況を考えると,専攻を基礎とした設置基準というのは制度的にやっぱり矛盾しているんじゃないかと思います。
あと,いろいろな規程を見てみますと,様々な規程が全部,専攻を基準として出ていますから,学部の教員との関係とかいうのも相当無理な規程ぶりになっていまして,現実的にももうもたないんじゃないかなと私は思います。そういった意味で,どうも設置基準の改訂自体も少し視野に入れないと,先ほどの視野を広げるという意味からも,これ以上議論は進まないのではないかなという感じがします。
それからもう一つ,私は情報公開も非常に重要だと思っています。特に情報公開は,公開するだけではなくて,大学院自体が大学院生の卒業後の状況について把握していないということ自体が大きな問題であるということも大分指摘されていましたが,これについてもかなりまだ大学院に浸透しているとは思えないわけです。委託調査で実施した調査を見ますと,比較的就職状況はそんなにデスパレートではないようにも見えるんですが,これはやはり各大学でもう少しきちんと把握して,しかもそれを情報公開する。特に情報公開については,大学院についてはあまり明確に言っていないので,あまりきちんとされていないように私は思いますが,これについてはやはり大学院についても情報公開をきちんとやるべきだと思います。
最後ですけれども,大学院については政策的には非常に手を出しにくいといいますか,やはり個々の大学自身が判断すべきところであることは事実ですが,ただ,社会的にも非常に大きな課題になっているわけで,大学に任せていけばいいというわけでも必ずしもない。そうしますと,設置認可か大学評価になるんですかということになるんですが,現在の認証評価制度ですと,大学院についてはほとんど十分な基準自体がないといいますか,方針がないといいますか,例えばここで議論されていることが認証評価における大学院の評価に反映されているかというと,私はほとんど反映されていないと思います。そういう意味では,認証評価における大学院の評価についてどのように考えるかということも次の課題ではないかと思います。以上です。
【有信部会長】 私が部会長をやっている間に積み残した問題と思っていることを挙げます。一つは,今の金子委員の発言にもありましたけれども,17年答申,22年答申は,一応,グローバル化という視点で共通な視点を持ちながら二つの答申が出ているわけですけれども,グローバルな視点から見て大学院の質を評価するということは,17年答申の中に明確に書き込まれているんですね。それは分野別で評価をするということにならざるを得ないと。これが実は実現しているのは,一応,専門職大学院の評価という形で実現はしていますけれども,実効的にこれが機能しているかどうかという意味では甚だ心もとないというのが一つです。つまり,やっぱり大学院の質評価をどうするかというのは,重要なポイントとして積み残していると思っています。
それからもう一つは,延々と積み残しているんですが,いわゆる論文博士をどうするかという話です。論文博士をどういう位置づけにするかという点がまだそのままで残っています。
それから,様々な議論の中で幾つかの提案がこの中にも出ていますけれども,いわば世界的な標準化の中で日本の大学院の在り方をどう考えるか。これは共通課程をつくる等とも絡んできますけれども,一方で,ボローニャ・プロセスの中でEUの中では学位が標準化されている。
それからもう一方で,先ほどの大学院の評価ともかかわり合いますけれども,プロフェッショナルクオリフィケーション,専門的な職業資格と大学・大学院の教育プログラムとが実は密接に絡んでいて,現実には獣医関係のところでは合従連衡が起きていますし,医学関係でもかなり重要な問題になっています。工学に関しては,工学教育プログラムで国際的な動きが大分進んでいますけれども,様々な資格が実は共通化をしていく中で,大学院の在り方も,さっきのプロフェッショナルスクールと,いわば研究者育成という観点とをどういうふうに考えるかというようなことも含めて国際的な視点で検討していく必要がやっぱりあるかなと思っています。
それでは,河田委員,お願いします。
【河田副部会長】 今,積み残した問題と言われましたけれども,私は,大学分科会にも出ているのですが,大学分科会よりこの大学院部会は非常にうまく二つの成果が出ました。一つは,博士論文研究基礎力審査。それから,もう一つは,今回の,インターネットの利用による博士論文の公表も,4月1日に施行される。この二つの成果があっただけでも,積み残したこともあるでしょうけれども,よかったのではないかと思います。やはり先生方が,大学院を担当して大学院教育をどうすべきかを考えておられるということが大きいでしょうし,それから,有信部会長が巧みな,かつ,強引な議事運営をされたので,二つ成果があったと私は思っております。
この「大学院教育における課題の整理」という資料3を頂き,これに絡めて三つだけ言わせていただきたいと思います。一つは自分の経験ということ。二つ目は実情。実情というのは,私がおりました関西を中心にということにします。それから,三つ目に,積み残した問題で,質の評価という,大学院の実質化というか,教育の実質化はどうかという点。
私はまさに人文科学そのものの中国哲学をやっていたわけです。ですから,本当に大学院の授業の重要さ,教育の重要さを一番感じていると思うのです。私のときは,本当に2年,3年に1人ぐらいしか大学院に行かない。だから,本当に1対1で徒弟制度のもとで仕込まれる。振り返ってみますと。やはり,そういう厳しい真剣勝負の訓練の中で実力がついたと思う。同時に,一人の学者を育てるためには,非常に時間がかかるわけです。とりわけ,インド哲学とか中国哲学は。そういう自分の経験からきちんとした大学院教育がなされるべきであろうし,そのためにも各大学院がきちっと真剣に,システマティックな大学院教育をなさる必要があるだろうと考えます。
私は34歳のときにある国立大学に勤めていて,在外研究でイェール大学に行って1年間中国人の先生のゼミに出て,そこでまた中国語が分かるようになりました。おそらく日本にずっといたら中国語もあまり分からなかったと思うのです。ですから,やっぱり実質的な教育が人文科学は特に大事だと思っております。そういう意味で,大学院教育の質を上げていくことが必要だろうと考えます。
それから,二つ目,実情ということでいうならば,資料3の1ページにあるように,東アジアということですね。やはり今,中国,台湾,韓国からの留学生が非常に多い。そして,それが大学院大学となっている関西の著名な国公私立大学の定員を充足させているというのが実情だと思います。これは農学であろうと,社会科学であろうと,人文科学もみんなそうした状況です。東アジアの留学生諸君が来なくなれば,やっぱり定員は満たない,そういう状況にある。
それからもう一つは,資料3の4ページに一橋大学の例が書いてありますけれども,私学もそうですし,小さな国立大学の卒業生が上位の国立大学というか,難易度の高い大規模な国立大学の重点化された大学院に行くことによってもっています。だから,私のいた関西のある私学の大学であるならば,私のいた大学院に合格できなくても,国立大学の大学院に入れる,そういう状況になっている。それだけ門戸が広まったと言えますけれども,それが実情でございます。
それから三つ目は,大学院の教育をどう実質化し,質を上げるかということであります。20世紀の末ごろに台湾に行きましたときに,当時の李登輝総統と会う機会があって,そのときにこういう話が出ました。我々の台湾の閣僚は,自分のようにアメリカの大学でPhDを自分のように取っている者が,かなりの人数おります。しかし,失礼ですけれども,日本の政府を見たら,PhDなり博士号を取っている人は1人もいないじゃないですかと言われたことを思い出します。これが実際,日本の状況だと思います。
やはり社会というものが,あるいは企業なり官庁なりが,大学院を出た修了者を正当に評価するという風土がまだ日本ではない。やっぱりそれは時間がかかるけれども,必要であろうし,ますます現在,台湾にしろ,中国にしろ,大学院教育を非常に大事にしている。韓国もそうですよね。あるいは東南アジアもそうです。だから,そういう東アジアの状況下で日本が競争するためには,やはり大学院に入って修士号なり博士号なりを有する人材を増やす方策をとらなければならない。
私は,旧7帝大は半分は学部教育にして,半分は大学院にするか,あるいは東大,京大なりは全部大学院大学にして,学士はもう教育をしないとか,それぐらいの変革をしない限り,日本の大学院が実質的にしっかりとした教育をして能力をつけさせることはできないのではないかと感じております。すぐにはそれはできないでしょうけれども,そういう大きな改革を考えられない限り,なかなか遅々たる改革ではいけないのではないかというのが私の実感でございます。
【有信部会長】 ありがとうございました。
それでは,菱沼委員,お願いします。
【菱沼委員】 私は来期ぜひとも考えていただきたいのは,何度も言い尽くされているとは思うんですけれども,やはり大学院生の教育環境,研究環境の整備,端的に言いまして,お金です。大学の学部までが個人の負担で,個人の親の負担で来るならば,そこまではいいかもしれないんですが,大学院になりますと,ストレートで来る学生にしても,仕事をやめて来る,あるいは仕事をしながら来るというような,やはり大人の世界になっていくわけです。そのときに自分の生活費をどうしたらいいかということを考えながら,なおかつ,研究費をどうしたらいいかと考えながら勉学に励むというのは非常にストレスが高い環境でして,そこまでする必要はないというような話にもなったり,そこまでしたい人は大変な覚悟をしないと来られないというのが実情ではないかと思います。
やはり大学院生に対する生活費,それから,研究費。何でもあればいいというものではないことはもちろんでございますし,研究費については院生がとれるような競争的資金をもっと増やしていただきたい。それから,生活費,奨学金等は,無条件で,去年のインカムがあったからあなたは駄目ですというようなことがないように。つまり,仕事をやめてくる人はその年はないわけですね。やはりそういう状況の人たちが安心して大学院に進める環境をつくるということをぜひお願いしたいと思います。
それと,私は看護の大学なので,企業といいますか医療の中で仕事をして課題を見つけて大学院に来るという人たちが非常に多いわけなんですけれども,そういう人たちがやはり休んで来られない。やめて勝手に行きなさいとかいうような,大学院を出た人たちの割合がまだ非常に少ないものですから,その人たちがどういう役に立つのかというのがまだ見えないという中で非常に個人的な努力をしている状態なので,社会全体が大学院を出た人たちにそのかわり仕事をこれだけのことを期待すると,それに応えるというような流れができるようなことをぜひともお考えいただきたいなと思っております。
それからもう一つは,それとは裏腹なことになってしまうんですが,学部教育の教育が学士力ということで今も非常に課題になりましたし,そこに対して,今,見直しが始まっているとは思うんですけれども,それを引きずって大学院に来た学生たちは,大学院に来たのに,チューブフィーディングを求める。自分で学ぶということではなく,教えてくださいと。講義を受けられると思っていましたというような学生が現実にいるという中で,そういう人たちに修士の称号を出す,学位を出すところまで育て上げていくのには,以前よりは時間と労力がかかるようになっているというのもまた現実で,教員たちが多分かなりくたびれていると思います。ですので,そこに対してどのような手当てができるのか。教員の研究時間の確保というようなことがいつも問題になるような分野もございますので,そういうところ辺も考えていただきたいなと思っています。
やはり学生の論文の質と,それから,修了生たちがどのように社会的な活躍をしているかというのが,私は何よりも評価ではないかなと思っているんですけれども,そういうようなことが評価されるようなシステムをつくっていっていただきたいなと思っております。以上でございます。
【有信部会長】 ありがとうございました。本当に大学院生が生活の心配をしながら行かなければいけないというのはなかなか大変だと思います。
では,田中委員,お願いします。
【田中委員】法科大学院の問題を検討している特別委員会をつくっていただいて,そこの座長をしていまして,有信先生にも入っていただいて,この部会の議論とも連携を図っているんですけれども,法科大学院は幸か不幸か非常に社会的な関心を集めて,今,そのバッシングにどう対応するかということに追われているような状況です。
ここで大学院の教育の在り方をいろいろ検討しているんですけれども,もともと基本的に議論がやっぱり理工系中心で,人文・社会系,特に法科系の大学院の問題状況とはほとんど関係がない感じです。法学系大学院からいうと,本日の博士論文のインターネットによる公表も,また厄介なことが始まったなというぐらいのことで何の利便性もないというのが法学系大学院の状況だと思うんです。
学問分野の特殊性もあると思うんですが,それはさておきまして,法科大学院の問題と関連して,この大学院部会でも以前にもお願いしたことがあるんですけれども,専門職大学院制度を発足させ,数年たってみて,基本的にはそんなにうまくいっていると私は思わないわけです。法科大学院の場合も,専門職大学院のスキームの中でやっていることで,いろいろ逆に制約を受けて困っているという面の方が多い。専門職大学院としていろいろな種類の専門職大学院ができたんですけれども,そういう実情を踏まえて,専門職大学院のスキームを見直すことを考えていただかないと,法学系の既存の大学院の研究者養成システム自体も非常に動きにくいという状況になっております。
学部・大学院の教育の実態があまりない分野で新しい専門職大学院を,少し系列を外れたところにつくるのはそれはそれでいいと思いますけれども,法学などのように既にかなりきちんとした大学院を持っている分野に専門職大学院をつくって,その専門職大学院は従来の大学院と別扱いだという扱いをすると,確かに専門職大学院としての独立性を維持するには必要な点もあるんですけれども,特に博士後期課程と修士課程という問題を考えると,法科大学院修了者から法学系研究者のリクルートすることにいろいろと不都合が生じています。
博士後期課程に受け入れるときに,奨学資金の問題にしろ,特別研究員の扱いにしろ,非常に劣位に置かれているというようなことがその一例です。そういういろいろな問題が多分,法科大学院だけではなく,先ほど教員養成の専門職大学院でもおっしゃったように,それぞれの分野でかなり特有の事情があると思うんですね。だから,そのあたりを踏まえて,やはり高度専門職業人の養成というのは大学院教育の一環として非常に重要だと思うので,専門職大学院として専門職大学院のカテゴリーに入れて扱う必要があるのかどうかということを含めて,見直す必要があるんじゃないかと思います。
例えば非常に現実的な問題としては,法科大学院はやむを得ず専門職大学院の方に入ったんですけれども,その後,薬学系は,薬学教育と薬剤師資格を結びつけるときに,既存の方式,医学部方式と言っているんですけれども,そういう方式でやっておられるわけですね。だから,法科大学院の場合でも,従来の医学部方式とか,あるいは工学部などがやっているように,学部の上に修士2年を積み上げて高度専門職業人を養成するというスキームでやっておれば,もっとうまく質の保証とかそういう問題にも対応できたようなところがあるわけです。専門職大学院のスキームの現行の枠組みや位置づけが各専門職大学院ごとに本当に適切なのかどうかを大学院制度全体の中にもう一遍入れて,実情を踏まえて議論する必要があるのではないかと考えておりますので,ぜひともよろしくお願いいたします。
【有信部会長】 専門職大学院については,全くある意味では制度設計が不十分なままスタートしているというところもあり,ここら辺できちんと議論した方が,質保証という点からも必要だろうという気はしますね。ありがとうございました。
では,有川委員,お願いします。
【有川委員】 大事なことはほとんど指摘をしていただいているように感じておりますが,大学院は特にそうですけれども,社会や企業などの修了生の受入れ側との関係において成立することだろうと思うのです。別の言い方をしますと,修了生があまり正当に評価されていない面が多いのではないかという気がしています。教育に問題があるとよく言われるのですが,採用側でも修了生をしっかりと評価しますというメッセージを出していただき,ポジティブな関係をつくり上げていくということが大事だと思います。
例えば,ドクターですと,ドクターを出た人が入社して来たとしても,上司の人がドクターを持っていないわけですから,ドクターだけど大したことないじゃないかといった見方になってしまう。そうして,ネガティブに回ってしまっているのではないのかという気がしています。
大学に求めると同時に,自分たちのことに関しても反省してみるということが必要なのではないかと思います。
それから,様々なプログラムが走っておりまして,大学はそれを使わせていただいていろいろなことをやろうとしているわけです。研究関係ですとそれは非常になじむのですが,教育に関しては,二,三年とか,五年とか,長いもので七年ぐらいですけれども,それで終わるかというと,例えば大学院のプログラムですと五年かかるわけで,七年ですと,3回程度しか経験できない。その後どう定着させるかということになりますと,国公私問わず,財政的にもかなり厳しい状況にありますので,これは相当大きな問題になります。
しかし一方では,今言われているようなことを,もう何十年も昔からやっていて評価されているというようなところが専攻単位では結構あるはずなんです。そういったものを顕在化して,エンカレッジするような支援や助成のプログラムがあったらいいと思います。そうすると,本来あるべき姿と言われているものを実現しようと努力するはずです。そうすると,その支援や補助金が終わったとしても,もともと走っていたものが強化されるということですから,その取組は継続します。このように,教育をある方向に導いていくためのやり方ということについては,一工夫必要なのではないかということを感じております。
それから,大学院に必要なときには何回でも入るといったようなことが定着しなければいけないのではないかと思います。修士でも,場合によってはドクターでもいいのですが,そこでしっかりとやるべきことを勉強して,そして,新しい仕事に入っていくといったような社会あるいは文化を定着させるべきだと思います。そのためには,現状では,多くが修士を出て企業等あるいは社会に出ていっていると思いますが,例えば,大学に1回入れば,その人は何回でも入れるというような,つまり,入学金は要らないというようなことでもメッセージ性としては高いのではないかと思います。
それからもう一つ,最近,特にドクターに対して,専門性はあるけれども,視野が狭い,ふかん力を身につけろということが言われているわけですけれども,これはまさにそうで,大事な点であります。一方で,いろいろな学生がいるわけでして,おそらくここにいらっしゃる先生方も,広く教養的なことを勉強して,ふかん力をつけて,それから専門に入った人もいらっしゃるでしょうし,専門をやってしまってから目覚めてだんだん広げていった人もいるはずだと思います。
特に後者に対する配慮が最近なくなっているのではないのか。つまり,深く掘った後でふかん力をつけるというようなことが大事なのではないかと思います。この考え方は,いわゆるQEというようなことからしますと少し合わないところがあるんですけれども,これを何とかうまく実現できないか。それは大学院における教養教育的なものをいつでも受けられるような仕掛けをつくることによってもできるわけなんですけれども,その辺も一つ注意しなければいけないのではないかという気がしております。
いずれにしましても,教育のシステムは,あまり頻繁に変えないで,続けていくことが大事なんだと思います。以上です。
【有信部会長】 ありがとうございました。深く掘らなければ身につかないふかん力というのが当然あるんですよね。それが非常に重要なポイントだと思います。
では,桐野委員,お願いします。
【桐野委員】 サッチャー政権下でイギリスの医療は崩壊にひんして,乳がんになっても,ひどい場合は6か月手術をしてもらえないというような状況があったんですが,それがブレア政権以降,改革に努めて,それで,最近,イギリスの医療がとてもよくなったという記事を散見します。しかし,それは何が行われたかというと,飛躍的に資源の投入をしたということなんですね。もし日本の大学,高等教育を飛躍的によくしようということを国が決めるんだったら,資源を飛躍的にあげる以外には方法はないと思います。したがって,もし財源の確保を制限は一応前提とした上で大学院の実質化ということを考えた場合にどういうことを考えなければいけないかという,そういう議論になると思うんです。
これから出てくる大学院生は,120万人ぐらいの18歳人口の中から半分ぐらいが大学に入って,それから来るわけです。我々の1学年250万人ぐらいいた世代が,1学年がその半分しかいない世代を教育するという,そういう時代なんですが,やはり一人一人を大事に教育しないといけない時代になったという認識をしないといけないと思うんですね。だから,いいかげんな設置をして,学生さえ集まればいいといって学生を受け入れて,それで,出口がないと。こんな大学教育をすれば,大学院に対しても,やっぱりうまくいかないですよね。
それをよくする方法というのは,やはり一つは,大学院教育というのはユニバーサルアクセスの時代に,全部が世界最高峰の,世界に冠たる研究をしてノーベル賞を目指すというのはそんなのは無理ですので,やはりよい社会人の教育をするという観点に大部分の大学は転じるべきなんです。転じた上で,非常に競争的にしなければいけないんですが,私はそれは分からない。大学院教育をどうやって競争的にできるのかというのは分かりません。
しかし,そのキーワードがなければ,アメリカの大学に太刀打ちできないし,やはりビジネスを勉強するんだったらアメリカのMBAだし,それから,公衆衛生学,医学の勉強をしようと思ったら,イギリスかアメリカのスクール・オブ・パブリックヘルスに行かなきゃ駄目だよと言われると思います。だから,そこのところは,負けないという気持ちで外国とも競争するようなうまい仕組みができればいいのかなと思いますが,どうすればいいかと聞かれても,ちょっとすぐには分かりません。
【有信部会長】 ありがとうございました。
では,五神委員,お願いします。
【五神委員】 既に論点としては出尽くした感もありますけれども,まずこの期では,やはり高度な人材を育成するということで,特に博士にフォーカスして,人材育成機能をどう強化していくかというのがかなり具体的に議論されて,新しい施策として出てきたと。まずは大前提として,課程制大学院であるはずの大学院が,これまで教育システムとしてきちんとしていない部分が多々あったので,そこをきちんとするために教員の意識改革も含めて改革を促すことを議論し,具体的アクションとしてスタートできたことは評価すべきことだと思います。次はそれがどうやってトライ・アンド・エラーのフェーズを抜けてきちんとシステムとして定着させられるのか,ということが課題ですので,次期にはそれに向けてかなり真剣な議論が必要だと思います。
というのは,例えば,リーディング大学院では,各大学の学位規則を改訂することを採択の要件としてプログラムを選考したわけですから,それがプログラム期間だけの一過的なもので終ってよいわけがなくて,それをどう継続させていくかが重要です。ただし,そういう観点で見たときに,大学院生の支援というものの資源,リソースは限られているわけですので,やはり財源確保の問題も含めた新たな工夫を,発想の転換も含めて,継続のために議論をしていかなければいけない。
これまで,教育システムとして大学院をどう実質化していくかという点を中心に議論してきました。一方で,研究力を維持するための大学院の役割も重要です。これについては私もあまり発言はしてきませんでした。大学院教育は現実には,個々の教員がマンツーマンに近い形で指導する部分が大きいわけですから,その指導者たる先生たちのインセンティブをどう引き出すか,その先生たちの工夫,努力によって教育をどうよくしていくかという仕組みを併せて考えていかないと改革の実効性はあがりません。
また,基礎科学力というのは,やはり日本の国力として非常に重要であり,事実,科学技術にばく大な投資が行われ続けています。今回の補正予算でも相当な投資がある。そういったものを実際に動かしている現場で,大学院教育とかかわりあいながら進められている科学技術の活動は,経済的に見ても無視できないものです。すなわち,大学院セクターへの科学技術投資を人材育成という観点とどう整合をとりながら効率化していくか,ということが非常に重要であろうと思います。
そういう点で見たときに,大学院重点化の見直しも,既にたくさん指摘がありますけれども,これはもう避けらない。つまり,やはり教育システムと研究推進ということを,特にリサーチユニバーシティの場合にはそこを両立させていかなければいけないわけです。大学院重点化がスタートした時点と現在では状況が大きく変わっているので,そこを見直しながら,既存資源を損なわないように研究と教育を両立化させていくということを真剣に議論する。
そういう意味では,機能別分化の指摘もありましたけれども,それは大学にとっては避けられないことですし,あるいは,国研あるいは民間との連携の在り方をどういうふうに効果的に進めていくかということも含めて,研究と人材育成をきちんと分離できるのか,あるいは両輪として一緒にやっていくために人材育成の部分をどういうふうに改良できるのか,さらに個々の教員のインセンティブをどう与えるかということを考えていくべきだと思います。そういう方向性として資料のまとめの中にありますように,社会人の教育というのは非常に重要で,新たな観点からきちんとした議論をすべきと思います。産業構造の大きな転換が不可欠でありますので,それに対応できるように日本がどういう人材をつくっていかねばならないかを考えるべきです。その時に,新卒の学生だけを対象とするということでは成り立ちません。既に社会に出ている大勢の人々の能力を効果的に高めるシステムが必要です。また,国際的にはアジア人材をどう取り込むかということも大事だと思います。
その中で,既に御意見あった点で,有川委員なども御意見されていたと思いますけれども,大学院への出入りがフレキシブルにできるような,誰もがほとんど規程の年限で学位を取るという日本の今の状況は明らかに不自然な状況ですので,入り口,出口をきちんと管理しながら,修業年限のフレキシビリティーを許容するような支援の仕組みとか社会システムをつくっていくべきだと思います。
それと同時に,現在の人材育成の機能を考えたときに,今期ではあまり議論が進まなかったですけれども,やはりマスターコースの問題は次期には避けて通れないんではないかと思います。学士とマスターの区別がつかない,あるいはM1のところで就職活動が始まってしまうような修士課程があって,それが大学院の大半の学生の卒業のプロセスになっているというのは,明らかに効率がいいわけがない。
最後に,アジアという中での日本の立ち位置が急速に変化する中で,日本の特徴を活用しながら,国際的に通用する国際化を大学院で率先してどう実質的に進めるかというのが大きな課題で,それについてはここで議論すべき課題がまだ大分残されていると思っています。以上です。
【有信部会長】 それでは,角南委員,よろしくお願いします。
【角南委員】 もう皆さんからいろいろなポイントは指摘されているので,私は同じことの繰り返しになるんですけれども,基本的には一つのキーワードとしてはモビリティーというのがあるのかなと思っています。
これはもちろん国際間の学生の移動というのは当然ではありますけれども,社会人と大学との間のモビリティー,それから,学部間,理系から文系へのモビリティー,あるいは文系から理系へのモビリティー,それから,大学から大学院へのモビリティー,それから,ここで今回,一つの我々の成果というふうに先ほど御紹介がありました,Qualifying Examを取った後にまた社会に戻り,そしてまた,論文が書けるときになったらまだ大学に戻ってくる,そういう意味でのモビリティー。
先日,私の当時の指導教官をアメリカから招いて,20年ぶりにその当時教わったシラバスを出せと言われて出して,先生と議論したんですけれども,やはり教育の中身というのはあまり変わっていないなと。やはり教育というのはしっかりと長年積み上げてきているので,実質的なものというのは何十年蓄積をしていくということだと思うんですが,私,コロンビア大学だったので,そのときの博士の指導教官と話していて唯一変わった点というのは,経営スタイルとか,ガバナンスのやり方とか,むしろそういう大学院経営について,かなりいろいろなイノベーションが起きていて,そこのところにフレキシビリティーがすごくあって,そこが多分もしかしたら日本の大学院システムが一番ついていけないところで,先生方の教育の質は負けていないんだけれども,何かガバナンスとかやり方とか,そういったところが非常にあい路に行っていると思います。
そこの一つのキーワードは,私はモビリティーかなと。学生,社会人,いろいろな人が出たり入ったりする。だからこそ大学院の知名度も上がるし,こんな大学があるんだということが普通の人に知られていく。そういう意味でのコンセプトでもう1回この議論をしていただくといいのかなと思います。
それからもう1点,やはり我々,競争相手とはあえて言いませんけれども,先ほど五神先生もおっしゃったように,アジアの大学が非常に力をつけてきている。今,私は,JSTの別の組織でちょうど中国の大学を調べているんですけれども,浙江大学にしても何にしても,学生を全員外に出すようなことを一生懸命,留学させるようなことをやっているとか,ついこの間までブレーンサーキュレーションで優秀な人を連れてくることを考えているのかなと思ったら,出すことをやり始めたとかですね。ということで,常に我々はやはりよその国,特に我々と常にコンピートしているような大学の情報をちゃんと的確に持って,そして,議論する。それから,もちろんアメリカ,ヨーロッパの先進という,そういう国がどういうことをやっているかと。
我々委員は,多分,先生方そうで,自分の分野はよく分かるんですけれども,ほかの分野でどういう取り組みがされているのかというのは,大学の例えば教授会のようなところに行かない限り,取り組みがわからないものですから,そういうものはぜひ文科省も含めて,事務方の方も含めて,きちっとしたアップ・ツー・デートな情報を的確に入れながら議論していくともう少しいいのかなと,そういうふうに感じました。
【有信部会長】 どうもありがとうございました。ざっと一通り御意見を伺いましたけれども,大きな問題としては,大学院のいわば機能をどういう形でそれぞれ特徴を出していくか,専門職大学院を含めてみんなが同じスタイルではないだろうということで,その中で,今のモビリティーを含めた議論がなされるべきだろうということ。
もう一つ重要な指摘とこの中にも書いてありますけれども,学位プログラムがなかなか成立しにくいということともかかわりがありますけれども,設置審の問題ですよね。つまり,川嶋委員からの指摘でありましたけれども,専攻科ごとに設置認可を受けると,専攻科に学位授与権があるので,学位プログラムをつくっても,結局,学位授与権は学位プログラムにはないということになってしまうので,学位プログラムが実質的には成立しないという状況になっていることもあるんですよね。こういう具体的な部分についての議論が実は十分には深められていないので,今回リーディング大学院をやると,そういうことがだんだん顕在化してくるわけです。ですから,その中で具体的に個別個別に議論していければと思います。
ほかに,今の意見を聞いて,もう少し御意見がありましたらどうぞお願いします。
特にないようでしたら,これを次期に,少し事務局でも整理をしていただいて,次期の大学院部会で検討していくという形にしたいと思います。
本当は板東局長も御出席の予定だったんですけれども,欠席ですので,山野審議官より一言御挨拶いただければと思います。よろしくお願いします。
【山野高等教育局審議官】 非常にかっ達な御議論ありがとうございました。本日は第6期の節目ということなので,まずもってはこの2年間,大変ありがとうございました。
また議論は繰り返しませんが,本日の議論,至極ごもっともでございます。そういうことをいかに具現化していくかということで,当然,議論の中では濃淡もあるし,言うは易く行うは難しというのはもちろんあるんですが,総じて言えば,今後,どうやって社会のニーズにマッチしながら,大学の中で日本を支えていける人をつくっていくかということで,そこのベクトルは皆さん一緒だと思います。そういう中で,座長も最後まとめておられましたけれども,それぞれの大学院が金太郎飴ではなくて,やっぱり特色を出しながらどうやってやっていくかということで,本日の議論を上手にまとめまして,次回以降の議論のまず出発点のたたき台としてやらせていただければと思います。
本当にどうもありがとうございました。その中で,事務方は出席が悪くて申し訳ありません。どうもありがとうございました。
【有信部会長】 どうもありがとうございました。
本当に2年間,大学院部会は実に活発に議論していただいたと思っています。本当に御苦労さまでした。私も何とか部会長を務め終えることができまして,皆様方の御協力に心より感謝をさせていただきたいと思います。本当にどうもありがとうございました。
それでは,これで閉会ということにさせていただきます。
大学院係
電話番号:03-5253-4111(内線3312)
Copyright (C) Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology