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大学院部会(第58回) 議事録

1.日時

平成23年11月24日(木曜日) 10時~11時35分

2.場所

東海大学校友会館 「望星の間」

3.出席者

委員

(委員)菱沼典子委員
(臨時委員)有信睦弘(部会長)、勝悦子、川嶋太津夫、河田悌一(副部会長)、中西友子の各臨時委員
(専門委員)有川節夫、板橋英之、伊丹敬之、荻上紘一、桐野髙明、小泉潤二、五神真、椹木哲夫、菅裕明、続橋聡、中村道治、本間謙二、吉川裕美子の各専門委員

文部科学省

磯田高等教育局長、常盤高等教育局審議官、藤原大学振興課長、内藤専門教育課長、勝野私学行政課長、樋口大学改革推進室長、中野専門職大学院室長 他

4.議事録

【有信部会長】 おはようございます。本日は、お忙しいところご参集いただきまして、ありがとうございます。
 本日は大きな議題が2つございます。1つ目は前回まで議論を進めてまいりました、いわゆるQualifying Exam。博士課程で研究を進める能力についての審査をどのように行うかについて、事務局で整理をしていただいておりますので引き続き議論していきたいと思います。それから2つ目は、これも今まで何度か議論をしてまいりましたけれども、専門職大学院における教員の兼務の問題についてです。これについてもいろいろ問題がございまして、文部科学省のほうで整理をしてもらっていますので、どういう方向性づけをするかについて議論を進めたいと思います。
 それでは、最初に、事務局から資料の説明をお願いします。

【樋口大学改革推進室長】 お手元の配付資料につきまして、ご説明申し上げます。まず、1枚目、議事次第をめくっていただきまして、資料1といたしまして、第57回大学院部会の議事録の(案)がございます。これにつきましては、ご意見がございましたら、12月16日までに事務局までご連絡いただければ幸いでございます。また、資料2-1といたしまして、博士課程教育の質の向上等に係る大学院設置基準等の改正についての(案)、資料2-2といたしまして、「博士論文研究基礎力審査」の導入についての(案)を示してございます。それから、資料3でございますが、専門職大学院の専任教員による他の学位課程との兼務の取扱いについて、資料4といたしまして、中央教育審議会大学分科会大学院部会ワーキンググループの設置についての(案)を提示しています。参考資料1としまして、博士論文研究基礎力審査の導入について、参考資料2といたしまして、博士論文研究基礎力審査に関する参考資料を提示してございます。
 以上でございます。

【有信部会長】 どうもありがとうございました。過不足がございましたら、事務局までお願いします。
 それでは、最初の議題から議論を進めていきたいと思います。前回まで、さまざま議論を進めてまいりましたが、大学院設置基準の一部改正について、資料2-1及び2-2に基づいて、事務局から説明をお願いします。

【樋口大学改革推進室長】 先ほどご指摘のございましたとおり前回の10月26日の部会で、この1月の大学院答申の提言を踏まえた大学院設置基準の改正などのその方向性につきまして、お手元の参考資料1の形でご説明しておりまして、これまでにその方向性については、その一定のコンセンサスをいただいたと見られるところから、今回資料2-1にございますとおり、この改正の要綱(案)のような形にさせていただくとともに、その際いただきました先生方からのご意見、例えばこの改正等を通じて何を実現したいのかという、そのメッセージ、あるいはそうしたものを導入するに際してのその単位の取り扱い等につきましていただきましたご意見を踏まえまして、大学院部会としてのその審議のまとめに相当するペーパーを資料2-2のとおり作成いたしました。今日はこの2つの資料につきましてご説明し、ご了解いただければ、分科会でのその説明の後、この改正の手続に入らせていただきたいと思ってございます。
 まず、資料2-2をおあけいただきたいと思います。これは、先ほど申しました大学院部会としての審議のまとめに相当するペーパーとして作成させていただいたものでございます。これまで議論をさせていただきました今回の改正のねらいは、これからの知識基盤社会でアカデミアはもとより、産学官の中核人材として博士がグローバルに活躍できるようにするために、早期に専門分化して博士として視野が狭くならないように、専攻分野の枠を超えた体系的な教育を経て独創的な研究を遂行させ、博士の質を向上させるということでございます。このために博士課程として一貫したプログラムを持った博士課程教育を構築する。そして、これは、その前期を修士課程として取り扱っている区分制の中で実現させるために、幅広い体系的教育を担保させるような、この博士研究基礎力審査という仕組みを、修士論文、または特定課題研究成果の審査と試験に代えて前期の課程の修了とし、修士号を授与するような要件として課して、前期とはいえ、博士課程としてのその質保証の仕組みというものを構築するというような流れというふうに認識しております。
 そうした流れを示せるよう、今回のペーパーを作成してございます。かいつまんでパラグラフごとに内容をご説明させていただきますが、まず、構成といたしましては、グローバル化が進展する知識基盤社会に、各国とも優れた博士養成プログラムを強化しているということ。それから、日本も量的拡大を図っていきましたが、我が国の大学院教育において、博士課程教育についてアカデミアの後継者養成の場としての性格が強く、細分化を深める専攻分野の狭い範囲の研究に陥りがちというような傾向もあるということ。
 それから、3番目の「このため」から始まるパラグラフは、博士号取得者が、産学官の中核人材としてグローバルに活躍できるよう、専攻分野の枠を超えた体系的な教育を備えた前期・後期一貫したプログラムを持った博士課程教育を構築し、その質を高めるというものが急務であるということ。
 それから、4つ目のパラグラフでは、博士課程のほとんどが該当する区分制博士課程の前期の課程は、修士課程という形で取り扱われており、修士論文、または特定課題の研究成果という一定の研究成果の審査の合格をもって課程を修了し、修士号を授与するという要件の仕組みになってございますが、そうした中で、専攻分野の枠を超えた体系的な教育を備えた一貫性のあるプログラムを構築するために、これらの要件に代えて、専攻分野に関する高度な知識・能力、あるいはその関連分野の基礎的な素養というものの試験、並びにその博士論文に係る研究を主体的に遂行するために必要な能力に関する包括的な審査というものを課すことができるよう、博士課程としての質保証の仕組みを構築するということが適当であろうということ。
 それから、2枚目に移りまして最初のパラグラフですが、まず、「博士論文研究基礎力審査」の具体的な構成要素についてでございます。1つに、その専攻分野、または幅広い関連分野の専門的知識や能力を筆記による試験で評価した上で、2つ目といたしまして、博士論文研究を行う分野に係る研究の背景、意義、展望に関する認識や、課題を設定し研究を推進していくその能力等を研究報告・口頭試問の形で評価するという2段階の審査をもって構成し、厳格な評価とすること。また、その厳正かつ客観的な審査を担保するために、学外や関連分野の教員等を交えた審査体制の確保がなされるべきであるというふうにしてございます。
 そして、「また」以下のパラグラフでございますけれども、この「博士論文研究基礎力審査」を導入する際の事項を2つ掲げてございます。1つは、前期・後期に対するプログラムを持った博士課程教育を構築する場合に、体系的な教育というものを質・量ともに充実させる必要がございますため、現行の設置基準に定めます最低の取得単位数の30単位を超える修了要件の設定というものがなされるべきあること。また、博士課程の後期の課程の選抜方法は、各大学がそれぞれに設定すべきものでございますけれども、選抜に当たっては、自らが課す「博士論文研究基礎力審査」を活用するなど、当該後期の課程での研究の基礎力、主体的にその研究を遂行するために必要な能力というものを的確に確認するということが適当であるということを書いてございます。
 最後に、この終わりにございますけれども、この審査の導入によって、質の保証された博士課程教育を構築することによって、優秀な学生を博士課程に惹きつけ、修士号を授与される者の質を担保しつつ、俯瞰的能力と独創力を備えた活躍できる博士を輩出することを目的としてございます。そのため各大学においては、この趣旨を踏まえて、まず、人材養成の目的の設定、プログラムの編成、修了の審査、選抜試験、博士学位審査等を一体的に改善に取り組むということを期待するという形で、これを締めくくるということにしてございます。
 以上が資料2-2の説明でございますが、資料2-1をおあけいただければと思います。こうしたこれまでの大学院部会の議論を取りまとめて、今回改正しようとしております大学院設置基準、学位規則と学校教育法施行規則の一部改正の要綱というものを示したものでございます。
 まず、この第1といたしまして、先ほど来ご説明申し上げております博士論文研究基礎力審査の関係でございますが、ここに趣旨をご説明した後、1、2、3の3つの事項の改正を並べてございます。
 まず、大学院設置基準の改正につきましては、区分制の博士課程において、前期の課程の修了要件について、博士論文研究基礎力審査の合格を、修士論文、あるいは特定課題研究の成果の審査と試験の合格に代えることができるようにすること。
 学位規則の改正につきましては、一貫制の博士課程について、これまでの修士論文または特定課題研究の成果の審査と試験の合格に代えて、この博士論文研究基礎力審査の合格をもって修士課程の前期の課程の修了要件を満たした者に対して修士の学位を授与できるようにすること。
 3つ目の学校教育法施行規則の改正につきましては、これは博士課程の後期の課程の入学資格について、外国においてこの博士論文研究基礎力審査に相当する審査によって、修士の学位を有する者と同等以上と認められる者に付与するということの3点を改正事項としてございます。
 それから、2枚目に移っていただきたいと思いますが、2枚目に、もう一つ今回改正する事項が書いてございます。これは、これまでもご説明申し上げていますが、入学者選抜に関することでございます。これに関しましては、前回ご説明申しましたけれども、平成15年に、大学設置基準に入学者選抜の公正、妥当な方法という規定が設けられました。一方、大学院設置基準に関しては同様の規定がなく、入学者選抜実施要項を通知で示すということになってございますけれども、先般の答申の中で、国内外から優れた学生を獲得するために、各大学として入学者の受け入れ方針を明確にするとともに、十分な基礎的知識と多様な能力等を見きわめる公正な入学者選抜を行う必要があるという指摘がございました。大学院につきましても、この大学設置基準と同様の規定を整備するために、この規定、大学院における入学者の選抜は、公正かつ妥当な方法により、適当な体制を整えて行うものとするという規定を設けるということとしたいというものでございます。
 以上が説明でございます。

【有信部会長】 ありがとうございました。第5期の大学院部会で、各ワーキンググループの委員の方々には非常に大変なご苦労をおかけして、17年答申の中で言われている大学院教育の実質化について膨大な検証を行っていただきました。その中で浮かび上がった大きな問題がやはり博士課程の問題で、これには、さまざまな要素、原因があると思いますが、全体を見ながら一つ一ついい方向づけをしていかなければならないと思います。
 また、大学院の教員の方々も、実際に優秀な学生が大学院の博士課程に進学しない傾向が見られるということに対してかなりの危機感を持っておられて、このような問題も含めて、いい方向へもっていくための方向づけをしていきたいということであります。これはこれだけですべてが解決するわけではありませんで、全体を見ながらこういう方向で進めていきたいということです。ぜひご意見を賜ればと思いますのでよろしくお願いします。

【有川委員】 資料2-2の2ページの2つ目の段落で、「博士論文研究基礎力審査は」で始まる文章の4行目あたりに「修士号を授与される者の質を向上させるものとする」という言い方があります。今、議論しているのは、修士ではなくて、博士の話だと思います。修士については、それほど問題にはなっておらず、修士課程から博士課程に進んだときに、視野が狭くなってしまっていることが問題になっているのではないかと思います。しかし、ここは今までの修士も少し問題があるのではないかというふうに見えます。そうではないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

【有信部会長】 事務局から、ここをこのように書いた意図について少し踏み込んで説明してください。

【樋口大学改革推進室長】 ここは、あくまでも「博士論文研究基礎力審査」というものを導入するに際しての留意事項として示しています。修士論文に代えてこうした審査を通して課程を修了し、修士の学位をもって博士後期課程へ進むということになりますので、逆に申し上げれば、その次、修士論文をもって修士の学位を取得した者と比べても、能力等が担保されるということは大事なことであろうという意味がございまして、これだけのさまざまなプロセスを踏んで、綿密に審査をするということをもって、修士号の質が落ちず、むしろ向上させるということをねらっているということを意図して、このような形に書いたものでございます。一般の修士の学位というものの質が低いというようなイメージで書いたものではございませんので、そこは誤解があれば訂正したいと思います。

【有川委員】 そういう意味が込められているということはわかっておりました。甘い認識かもしれませんが、修士に関しましては、産業界も含めて、特に理工系に関しては評価が高いのではないかと認識しております。ただ、これは博士後期課程に進学する者のことを言っておりますので、修士の学位を授与される者というよりも、博士後期課程に進む者の質の向上という言い方でいいのではないかと感じました。

【有信部会長】 これにはさんざん議論があって、修士で終わる人たちに対して、今回の博士論文研究基礎力審査を受けた人たちは、修士論文以上のことをやっているということで、修士課程の修了要件を、いわば暗に満たしているということを示したかったんだろうと思います。今の書き方だと、これまでの修士課程修了者のできが悪いのであわせて修士の向上も図るというように読めてしまうと言うご指摘ですので、そこの書き方を多少修文できますか。

【藤原大学振興課長】 趣旨は、先ほど申し上げたように、報道にもございましたけれども、修士論文が必要なくなるということで、修士が安易に出されるのではないかというような受けとめ方も一部ございますので、そうしたものに対して、今回のQEを経て修士号を結果として授与される方というのは、決して質的に劣るものではなく、むしろ幅広い教育研究の中で質が向上していくというような観点もしっかりとあわせてアピールする必要もあるのではないかということでございますので、そこも含めて表現ぶりを考えさせていただきたいと思います。

【河田副部会長】 そういう思いがあるのでしたら、「修士号授与される者の質をも」ですとか、「質をより」とするなど、1字か2字加えるだけで、その意味は出るかと思います。

【有信部会長】 資料2-1の設置基準の改正、学位規則の改正という項目が2番目にありますが、私にはここの文章が読んでいて非常にわかりにくく感じますが、いかがですか。

【樋口大学改革推進室長】 ご指摘のところは、「○○に代えて○○により」という言葉を多用しているところがございます。1.大学院設置基準の改正のところで、修士論文等に代えて何かとかの合格により代えとありますので、すっきりさせるという意味では、この修士号授与については、この博士論文研究基礎力審査の合格によって、修了要件を満たした者に対しても行うことができるという書き方に簡便に書くことはできるのかなと思います。

【本間委員】 基礎的なことで申しわけございませんが、資料2-2の最後から2番目のパラグラフで他大学院や他専攻から、あるいは社会人として入学する者を含めて、「博士論文研究基礎力審査」を活用して入学試験に代えるという話だと思いますが、例えば我が大学は修士しか持ってないわけですけれども、どこかの大学の基礎力審査で合格したという場合に、うちの大学で修士論文を出さないように協定を結んで、そこに入れるということはできるんでしょうか。それは組織が違うから全く別の話ということなのでしょうか。

【樋口大学改革推進室長】 今おっしゃった話は、修士課程しかない大学から博士課程後期に進学した場合に、その後期の課程の選抜試験がこの「博士論文研究基礎力審査」のようなものでの能力の確認というものを行っていた場合にということでよろしいですか。

【本間委員】 そうです。

【樋口大学改革推進室長】 あくまでもこれは博士としての質の向上をするために、その博士後期課程の学生の能力をどのように担保するかという観点で大学が選抜試験を行うわけですので、修士として、どういう要件を課すかということに関しては、修士の修了要件として、各大学院においてはそれぞれ分野もありますし、課程の構造にもよりますので、それぞれがどういう修了要件を持っているかということによります。その時々に応じて、特定の学生がこのQEを活用して後期の試験に受かったということをもって、その者の修了要件というものを、途中で代えるということはやはりなじまないものだと思っています。あらかじめ学則や研究科規則で定められている、それぞれの大学の修了要件というものに準拠してやっていただくということが基本です。

【本間委員】 その場合には当然規定をつくるわけですが、後期のところで、QEを受かった場合には、ここで修士論文を書かなくても、ドクターにすぐ進んでいいという規定をつくった場合にはいいのかということです。
 これは、つまり、一貫制だけのことを考えているわけではありません。博士論文研究基礎力審査というものを、例えば理学研究科の5年一貫の場合には修士号を持たなくても、修士号をちゃんと取れるだけのものを保証するということを言っているわけです。それで、そういうようなことが規定をつくった場合はできるようになるのか、それとも全然想定していないのかということです。

【樋口大学改革推進室長】 先ほどのケースは、あくまでも大学としてどのような学則を定めるかということによると考えています。

【有信部会長】 今の話に論理的に答えるのであれば、もともと17年度答申で修士論文そのものは必ずしも不可欠ではないと言われていますから、例えば修士課程しかない大学で、きちんと修士課程の修了要件が定められていて、その中の1つを、例えば特定の大学のQEの合格という条件を入れる。ただし、その場合には相手の大学とある種の協定が必要になりますけれども、それを前提としてそういう条件を入れるということが、ここの部分になると可能かどうかというのを一応お伺い立てなければならない。それ以外の部分の決め方については、大学で独自にお決めになればいいと、こういう話だと思います。だから、そういうことができるかどうかということをお答えいただければと思います。

【樋口大学改革推進室長】 それは可能だと思います。

【川嶋委員】 今の点についてですが、ここで今、議論しているのは、あくまでも博士課程の一貫制及び区分制博士課程の話であって、修士で完結している課程と別の博士課程でのいろいろな審査要件というのは、協定を結んだからといって可能になるという論理はあり得ないような気がしますが。

【有信部会長】 今の話は、その部分の、修了要件の要素に入れるというだけの話で、見る視点が違うと変わってくるんだと思いますが、ある部分の視点からすると、区分制、あるいは一貫制博士課程においても、例えば社会人がそこの課程に入ってくるというときにどういうふうに判断をするかということや、ほかの大学からの進学についてどういう形で門戸を開くかというような課題は大学院側にはあるわけです。

【伊丹委員】 そこのところを選抜の問題とどう絡めるかというのは、もう少し慎重に書かないと混乱が起きるように思います。例えばA大学の基礎力審査なるものを別の大学の修士課程を卒業しようとしている人間が受けるということ、何か修士2年次で許すかのような制度にするつもりは多分ないんだろうと思うんですね。制度の趣旨は、博士課程へ入った後できちんとこういうことをやってくださいよということですから、選抜の時点ではなく、入学後、なるべく早い時期にそういうことをやるようにしなければならないのではないでしょうか。後で話題になる専門職と、それから、博士後期課程の接続のところでも、専門職の卒業生が博士後期課程に入学するときに、選抜試験にそもそもそういうものを入れるということが多分あまりなじまないと思いますが、ただ、私は、博士の質担保というのは大変重要な問題だと思いますので、入学後しかるべき時期にきちんとこういう審査をやるということははっきりうたっておいたほうがいいように思います。

【有信部会長】 認識の差の部分がわかりました。1つは、QEを、いわば博士課程の入学試験に代替するというような部分の含みがこの文章の中にあるので、それは、逆に言うと、私の理解では、社会人がこういうコースに入ろうとするときに、入学試験とQEとが、例えば入ってからもう一度QEを受けて、それで審査をされるというプロセスを踏むのであると、社会人に対してものすごく壁が高くなってしまうわけです。つまり、一応入ったものの、ドクターコースに進めるかどうかわからないというところで、現在の自分の職を辞めてもう一度大学に入る。だから、むしろ入る段階でそういうことを課すという考え方があるような気がします。もう一方で、博士課程できちんとした研究をやるためには、基本的に幅広い知識なり、ある種の勉強、経験の部分が必要なので、それを踏まえた上で本当に研究をやれる能力があるのかどうかをチェックするというのが、本来のQEの趣旨だというところから考えると、そこの部分がなかなか一本にはいかなくて、これをどういうふうに整理するのかだと思います。

【藤原大学振興課長】 今ご指摘いただいたとおりだと思います。もともとここは、選抜の話と修士号の授与というところを切り分けて整理していこうという議論でこれまできましたので、それをベースにして書いたつもりでしたが、若干そこは選抜の話だけに焦点当てて、後段書かれていますので、やや混乱しているのかなと思います。したがって、ここで言いたかったこととしては、受け入れた側の博士課程、後期のほうで質の保証をどうやっていくのかということについて、さまざまな担保の手段があって、その中にQEのようなものをどう組み込んでいくのかというのは、受け入れ側できちんと整理をしていく必要があるということだと思いますので、そこを明確にできるようにしたいと思います。

【菅委員】 資料2-2の1ページ目のちょうど真ん中あたりの「前期・後期一貫したプログラムを持った博士課程教育を構築し、質を高めることが急務である」という部分がこの導入についての一番の大きな目標ですので、これが真ん中あたりに出てくると、頭の中で意識があやふやになってしまうかもしれません。ですから、これをできるだけ初めのほうにもってくれば、目標が明確になると思います。つまり、博士と修士の一貫コースをつくるときに、実際そうではなくても、ほとんど大学の先生は、修士課程を終えるためには修士論文を書かなければならないと思っています。ですので、修士論文に代わるものをQEという形で導入することで、修士論文が必ずしも必要ではないということを明確にするというところの目的がはっきりわかればいいと思いますので、「前期・後期一貫したプログラムを持った博士課程教育を構築し、質を高める」という文言をできるだけ前のほうにもってきて、皆さんが読みながら、一体これが何の目的だというのがわかるようにしたほうがいいと思います。

【菱沼委員】 これまでのご議論を聞いていまして、この目的が一貫制の博士課程の質向上にあるならば、いろいろなところで修士論文に代わるというような言い方をしなくてもいいのではないでしょうか。つまり、この一貫制の場合は博士号を取得するということが大きな目的ですので、修士号をどうするかというのは、なお書き程度にするというわけにはいかないのでしょうか。

【樋口大学改革推進室長】 先ほど来お話がありますように、この形を議論している趣旨は、一貫したプログラムとしての博士課程というものをつくるということに変わりはございません。しかし、現実問題、博士課程とはいえ、その95%以上が区分制の博士課程ということになっています。この区分制博士課程を、いわゆる一貫制の博士課程にするということになりますと、これには、もう一つ専攻を立ち上げるというような設置認可の必要性があります。区分制という制度の中で、この一貫したプログラムを持った博士課程をどうスピード感をもって実現していくかというのが今回の課題でございました。そうした観点で、この前期・後期という枠組みの中で、この一貫プログラムというものを導入するに当たって、区分制博士課程というものの質保証の仕組みとしては、実は修士課程の仕組みがそのまま使われていて、その仕組みが修士論文等という形になっています。
 一貫プログラムというものを導入するに当たってのこの段階における質保証はどうあるべきかということを、やはりきちんと法令の上でも位置づけを明確にしておくことが必要ですし、ここをこのままにしておきますと、逆に言えば、2種類の質保証の仕組みというのが混在してしまうということにもなります。したがいまして、今回この修士論文などに代えてというふうに書かせていただいているのは、この段階における質保証の仕組みとして、この博士論文研究基礎力審査というものを導入するということを明記しておく必要があるかなということでございまして、そのような形としてご理解いただければと思います。

【河田副部会長】 それでしたら、先ほど本間先生が言われたように、これを修士のみを持つ大学でも利用できないかというふうに考えることが可能になるわけですね。今、博士課程を持っている国立大学が76校で、修士課程しかないところもあと10校あるわけです。それから、公立大学では15校には修士課程しかございません。私立大学は597校ありますが、修士課程のみを持っていて、博士課程を持ってない大学が124校ございます。ですから、もし一貫制の博士課程における云々という、この2項を残されるならば、「ただし、修士課程のみを持つ大学では利用できない」など、なお書き、あるいは注記をする必要があるかと思いますが、いかがですか。

【樋口大学改革推進室長】 おっしゃるとおり、この規定は、修士課程のみしか持たないものの修了要件には掲げておりません。博士課程の前期の修了要件としてというふうに書いておりますので、修士課程の修了要件そのものを規定しているものでないということではおっしゃったとおりであります。それをなお書きの形で記載するかどうかについては検討してみたいと思います。

【有信部会長】 そうすると、最初の質問にあった、それぞれの大学で修了要件が定められるにせよ、QEを修了要件の中に入れるようなやり方はあまり好ましくないという判断でよろしいですか。

【樋口大学改革推進室長】 先ほど可能であると申し上げたのは、一般的な編入学のケースであって、中には、その接続、修士課程を終わった後の博士課程の後期との間で連続関係があって、片一方の後期の選抜に受かればという話ではなくて、修士と後期が合意した形でその質保証のシステムを導入している場合に、修士課程であっても、それをもって次の、この大学のこの博士課程の後期に進むことができるかという話であれば、それは、各大学の判断によって可能であろうということではあると思いますけれども、先ほど申しましたように、このQEで修士課程を修了したことを認めるという文脈ではございませんので、そこは、誤解を招いたのであれば訂正したいと思います。

【中村委員】 マスターを取って、その後、違う大学のドクターコースに入るという人もかなりの比率でいるのではないかと思います。それから、社会人で10年、20年、30年と社会にいて、それなりの幅の広い経験を積んでいながら、やはり博士号がないと出るべきところも出づらいという切実な思いがあって、非常に忙しい中でも、大学にもう一度行って、しかるべき研究活動を始めるという人が今、非常に多いわけです。そのようなことを今回のシステムというのはどういう、エンカレッジするのか、非常に大きな障害になるのかということなんですね。
 例えば後者の社会人の場合には、明らかに何か難しくなるなという感じです。きちんと大学で博士号を取って社会に出るというのは、本来あるべき姿ですけど、現実日本の社会というのはそこまでいってないので、今、その中途の段階にあると思っています。ここ、まだ10年、20年はそういう状況を続けざるを得ないと思います。ですから、そういうことに対する配慮が要ると思います。
 それから、マスターしかない大学の学生がほかの大学のドクターコースに入るということに対して、このシステムというのはどういうことになるのか等含めて、少し心配しています。

【有信部会長】 今の問題は非常に重要な問題で、そこの部分については、本来は、例えば1つの大学で、一貫制をめどとしていますけれども、もう一方で、例えば今、中村委員が言われたように、修士課程から別の大学の博士課程に進むとか、あるいは大学院の段階でいろんなところに移るとか、そういう意味での学生の流動性というのは将来的にはすごく重要な要素になるはずです。その阻害になってはいけないということ。
 それから、もう一方で、本来は博士課程に進んできちんと教育と訓練を受けるべきだったような人たちが、それを受けないまま修士で社会に出ているということ。この人たちが、今、中村委員が言われたように、実際には学位の重要性、必要性というのを感じて再度大学に戻るというケースも結構あるわけで、こういうことに対して、いわば敷居が高くなってはいけないということです。これは流動性を高めるということと共通になるはずですけども、ここの部分について、大学サイドの趣旨からいうと、幅広い知識を持って研究に打ち込むというチェックを博士課程に入ってからやるというような敷居を設けるところが、やはり阻害になるかもしれないという気がします。ですから、先ほど言ったように、入学とその資格試験とをごっちゃにすべきでないという指摘は非常によくわかりますが、それを完全に分離したときにどういう形で分離をするかということを非常に注意深くやらないと、かえって今の指摘にあったように、いろんな意味でその動きを阻むような格好になってしまいます。

【有川委員】 関連したことで、社会人の問題です。俯瞰的な視点と独創力を備えたグローバル人材という観点から申しますと、社会人からドクターにいらっしゃる学生たちは、修士課程からそのまま博士課程に進む学生と比べると、そういう意味では、俯瞰力などは結構あります。ですから、QEが実施されても、むしろ模範になって心配には及ばないということは言えるのではないかと思います。
 それから、もう一つは、本間先生と伊丹先生がおっしゃっていたことです。要するに、修士の修了を他の大学に入学できたから、それでもって代えるようなこと、あるいは企業に就職の内定が決まったから卒業を認めるようなことで、そのように整理すれば、わかりやすいのではないかと思います。

【樋口大学改革推進室長】 私どもも、このQEの制度を導入するに当たって、後期の段階での流動性があるという、日本の実態を踏まえる必要があると考えてこれまで検討してまいっているわけでございまして、これを修了要件というような形で整理させていただいている背景の一つに、これから出ていく学生さん、博士まで進むであろう学生さんの質保証というものを修了要件として担保することによって、その前にある体系的な教育というものを実現する。M1、M2の段階での体系的な教育を実現するということを最重点というふうに考えていまして、そういう観点から、この修了要件としてここを置くというふうな形をとったわけでございます。逆に申し上げれば、選抜ということに関しては、もともとこのものは、各大学がそれぞれに行う性質のもので、法規で規制するものではないというふうに申し上げているわけでございますけれども、ここに規制を設けるということは、先ほど申しましたような流動性というものに若干の阻害要因になるというような形もあり得るというふうに考えられます。
 いずれにせよ、博士まで行く課程において、こうした質の高さというものを担保することは必要ですので、選抜ということに限らず、きっちりと質の高い博士というものを満たすという意味で、後期の課程の中できちっとした対応してほしいということにおそらくこの中の書き方が変わっていくことになると思いますけれども、その点につきましては、このような形でこれまで事務局としては検討してまいったということです。
 これからの社会人ということを考えてみたときに、やはり博士の前期の段階で、言ってみれば、こういったQEというものを経てきているということは、これからその者が一旦社会に出た上で、博士後期に帰っていくに際しては、やはりプラスに作用するというふうに考えています。したがって、修了した後、一定期間就業したり、他の大学に行くということはあると思いますけれども、その者が前期の課程でQEに対応するような教育を受けて、QEを経て出ていくということは、今後、こういった社会人ドクターなどの質を高めるという意味でも、やはり一定の効果はあるというふうに考えられます。

【有信部会長】 要するに、移ることがあるということだけではなくて、本来は、学生が流動することをもっとプロモートしていかなければなりません。ですから、みんなそれぞれ特定の大学や自分のところで学生を囲い込んでしまっているというのも、大きな問題の1つで、囲い込むというのは、要するに、どういうことで囲い込まれるかというのがかつての議論の中であったわけです。つまり、単なる研究労働力として大学院生を自分のところに囲い込んで、結局狭い専門性の中に閉じ込めてしまうという、こういうことをできるだけ打破するというのが一つ。
 それから、もう一つは、やはり本来学生が一番やりたい研究をやるべきところでやれるようなことを本当は担保してあげなければならないということです。仮に、よその大学に行ったほうが自分にとっていい研究ができるのであれば、結局はそういうことは積極的に進められるようになるべきであるということも、そのバックグラウンドとしてあるわけで、そういうことを踏まえて、その個々細かいことは大学が決めるべき話であって、その詳細な部分にまでわたって、今、いろいろ議論があったので、そこまでここでは決めてないわけです。基本的なところだけをきちんと方向づけをして、それにのっとって大学が具体的に決めていけばいいという構図になっていますので、事務局も今の議論を含めて整理をしていただいて、中村委員のご心配のようなことも一応踏まえた上で、基本的なところを決めるということで進めていければと思います。
 基本線はここで書かれてあることで進むということでいきたいと思いますが、詳細については、この後、事務局と整理をして、次の大学分科会で議論していただいて、最終的にパブリックコメントにもっていくという流れになります。今、言ったようなご懸念は、おそらく大学分科会でももし残っているとすれば、議論になるはずですので、そういうことが払拭できたような形で進めていければと思いますので、よろしくお願いします。

【五神委員】 今の議論からもわかるように、この修了要件の改正は非常に混乱を招きやすいので、伝えるには注意が必要です。博士課程前期・後期の中で育つ学生について、ここでやりたいことは、合計5年という期間をより有効に使えるように、その自由度を増すための改訂であるということです。その意味で博士課程人材を充実させていくためには、社会人が戻りやすくするようにするとか、学生の流動性を高めるとか、いろいろやるべきことがある中で、現在の区分制があまりにも明確に区分され過ぎているので、そこを柔軟にできるように法改正をするのだということです。博士コースの改善の一つの切り口としての改正であることを示せばいいと思います。それを短く1枚以内ぐらいにその論点を伝えるような紙があるといいと思います。修士の質保証については、ここの中でも議論が分かれていて、まだ充分検討されていないと思います。私は、修士課程教育は現在非常に危機的な状況になっていると思います。修士課程の議論はこれまで論点の中心ではなかったので、混乱を避けた方が良いと思います。

【有信部会長】 今の五神委員の言われた方向で整理をしたほうがすっきりするかと思います。いろんなことを考えて、さまざま考えて書き込んでいるので、少しわかりにくくなっている部分もありますので、そこの部分についてはちょっと整理をしましょう。

【続橋委員】 多分言葉だけで書いてあるので、話がごちゃごちゃになると思うんですけれども、例えば参考の図のようなものを入れて、大学の中でマスターとドクターがある大学、それがその中で一貫制と区分制があるということ、それから、マスターしかない大学、それから、社会人と外国からという、その3形態ぐらいがあって、この話は専らドクターまである大学、とりわけその一貫コースの話であるというふうに示す。文章を見ると、資料2-2の2ページ目の下から2つ目の「また」で始まるパラグラフですけれども、ここもごちゃごちゃって書いてありますが、この辺も、先ほどの話で、社会人として入学する者も含め、この審査を活用するなどというふうに書いてあります。そうすると、むしろ活用しないほうがいいような状況も生じると思いますので、今言ったこの話は専ら大学院までくっついている大学の話で、それ以外のところは、基本的にはもう少し流動化を進める話で、もしうまく使えるのであれば検討するのもいいですが、この話は別であると書いたほうがかえって混乱を生じないのではないでしょうか。外国人の例もありますけれども、だから、そこは少し話が違うということで、ここを逆に入れると余計混乱するので、そういう逆の整理のほうが私はいいような気がします。

【有信部会長】 そういうことも含めて、ここはあくまで博士課程そのものが中心になっていますので、つまり、博士課程に進む人たちをどういう形でより質を高めて出していくかということと、そういう人たちが今後日本の中で活躍していかなければいけない。そういう状況をつくり出すということも踏まえて、そこを重点的に書くようにすればいいと思いますが、いろいろ修士課程についても多少いろんなご意見が出たので、そこも含めてカバーした書き方になっていて、そこがまたかえってわかりにくくなっているところもあるのかもしれません。もう少しすっきりさせるということで、申しわけありませんが、部会長の責任で引き取らせていただければと思います。よろしくお願いします。
 それでは、次の議題に移りたいと思いますが、これは第5期から少し議論を進めてきていますが、専門職大学院の教員の兼務に関する規定を今後どうしていくかということについての議論をしていただければと思いますので、事務局から説明をお願いします。

【中野専門職大学院室長】 お手元の資料3をごらんいただきたいと思います。今、部会長からご説明がありましたように、専門職大学院に必ず置くこととされる専任教員につきまして、原則、学部や修士、博士に必要な教員数に算入するということが禁止されておりますが、これが制度創設から10年間、すなわち平成25年度までは暫定的に認められているという現状がございます。これを26年度以降、どうするかということで、前期のときにも少しご議論いただきましたが、最終的には、新しい答申では次の期への継続審議という形で終わっていたということでございます。
 今期からの先生もいらっしゃいますので、現在の制度がどうなっているというようなことですとか、今期に入りまして、事務局のほうで、実際の各大学の兼務の状況についても、細かい調査をいたしましたので、そのあたりのご説明をさせていただきたいと思っております。
 まず1ページ目の(1)に現行制度の概要を書いております。そもそも兼務云々という前に、専門職大学院の専任教員につきましては、若干修士課程等よりも手厚い、密度の濃い教育をするということで、手厚い人数をそろえるという規定になっております。具体的には、専門分野の別に応じますけれども、修士課程で必置とされる研究指導教員数に1.5を掛けた数プラス研究指導補助教員数の専任教員を置くということになっておりまして、そこに例といたしまして、経営系の例を書いておりますけれども、経営系修士の場合では、収容定員に応じての増分を差し引いて考えたところですけれども、研究指導教員が5名、それから、補助教員が4名というのが大学院設置基準上の必要な人数でございます。これが専門職になりますと、1.5を掛けるということでございますので、5掛ける1.5プラス4ということで、合計11名。すなわち、修士の場合は9人ですけれども、専門職の場合11人ということで、2名プラスということになるということでございます。
 それから、丸2ですけれども、これがほかの学位課程との関係ですが、この必要最低限の経営系の場合の11名につきましては、ほかの学位課程、すなわち、学部や修士、あるいは博士課程の設置基準上で規定する最低基準の教員数、必置教員数という言い方をさせていただきますが、そこにダブルで算入することができません。いわゆるダブルカウントということで、大学では言われているかと思いますけれども、それが原則ということでございます。
 ここで注意しなければいけないのは、括弧書きで書いておりますけれども、必置教員数分を超えて配置される教員につきましては、法令上の規制がないということで、当然その設置基準、ミニマムスタンダードでございますので、必置教員数分に数えるか数えないかということがミニマムの世界で規定されているものでございます。ですから、例に書いておりますように、経営系分野の場合、例えば必置教員数11名ですけれども、実際には、例えば15人先生がいらっしゃるという場合には、学内でどの方が必置とか、そういう区別はないんでしょうけれども、数だけで申しますと、この4名分につきましては、ほかの学位課程を兼ねるということについて、法令上特に規制がないということでございます。
 この丸2の原則が法令的には設置基準の本則に書かれているところでございますが、これにつきまして、特例措置といたしまして、制度創設から10年、平成25年度までの特例として、その算入が認められているということでございます。具体的には、学部や修士、博士前期については、専門職の必置教員の3分の1までは算入可能、それから、博士後期につきましては、全員が博士後期のほうでも数えることができるという規定になっております。この特例を設けた理由としては、専門職大学院制度の発足時につきましては、優秀な教員を確保する観点から、いきなりゼロから集めるというのは難しかろうということで、10年間兼務を認めたということでございます。この10年間の特例措置の取り扱いについて、その後、どうするかということについては、改めて制度の定着状況を見つつ、見直すこととしていたところでございます。
 それから、上の丸1、丸2で、博士(後期)との間で算入を全員にするということで、区別していたところですけれども、ここは先ほども少しありましたけれども、専門職大学院から博士後期課程に進学するということも、制度創設時から予定されておりましたので、進学希望者への対応等のため、学部等々と異なりまして、専任教員数すべて算入ができるという扱いにしていたところでございます。
 次に、2ページにいっていただきまして、兼務の現状についてご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、2ページの左側の下のほうに用語の確認というのを書いておりますが、必ずしも言葉遣いについて統一的な、法令上の言葉遣いがあるわけではないのですが、議論するときに混乱しないようにということで、ここで議論するときにはこういう定義で使わせていただくということでございます。
 まず、「兼務」ということですけれども、これは、一つの大学の複数の専攻、あるいは学科で同時に専任教員となるということを兼務という言い方で表現させていただいております。このうち、繰り返しになりますけれども、専門職大学院では、必置教員数内の兼務、いわゆるダブルカウントについて法令上の規制があるというのは先ほど申し上げたところでございます。
 一方、これは今回の議論に関係ありませんが、「兼任」といいますのは、ほかの大学の教育研究に従事するということで、ご案内のように、専任教員というのは一つの大学でしかなれないということですけれども、一つの大学の専任教員の方がほかの大学で教育研究に従事することを「兼任」という言葉遣いにさせていただければと思います。
 それから、むしろ、少し区別しなければいけないことといたしまして、丸3「兼担」でございます。これは自大学の別の専攻の教育研究を担当することということで、一つの、例えば専門職大学院の専攻の専任教員であると。それで、ほかの、学内非常勤という言い方をすることもあると思うんですけれども、でありながら、例えば学部のほうでは、授業1コマ担当すると。専任というふうにはならないけれどもというようなことでございまして、注意しなければいけないのは、この「兼担」については、特に設置基準上、こうしなさいという規制がないということでございます。
 それを前提に現状についてですけれども、(2)の上のほうに戻っていただきたいと思います。現状、専門職大学院は全国で186専攻ございますけれども、ほかの学位課程と何らかの兼務を行っているという教員の方がいらっしゃる専攻が116専攻、これは全体の6割でございます。教員の数にしますと、650名ということで、これは全教員の約2割ということになりますが、このぐらいの人数の方が何らかの兼務を行っているということでございます。しかしながら、繰り返し申し上げていますように、これらは、必置教員数分を超えて配置される教員による兼務者を含んでいるということで、多くのところで必置教員よりも多くの教員をそろえていらっしゃいますので、現状のまま、例えば26年度になったときに、特例措置が全て終了したと仮定して、必置教員数が足りなくなるというような専攻は3専攻というのか現状でございます。
 それから、右のほうにいきますけれども、前期第5期でどういうご議論をいただいたかということですが、具体的には、大学院部会の下に専門職学位課程ワーキンググループというのがございまして、そこで専門職に関する質の向上に関して、かなり網羅的なご議論をしていただいた中で、このお話についても、検討事項ということで挙げていただいておりました。それを踏まえて、大学院部会としては、最終的に新しい答申でお取りまとめいただいたということで、時間の関係で省略いたしますけれども、その具体的な書きぶりについては、参考4に掲載させていただいております。
 そこで言われたことですけれども、特例措置終了後の教員組織の在り方については、原則の専門職大学院制度の趣旨、すなわち教育に専念する教員を充実させるという専門職大学院の質の保証という観点を原則にして、それを踏まえて対応するべきだということが1つ。一方で、教員養成や進学希望者への対応等の観点から、専門職学位課程と博士課程(後期)の接続を図ることが重要ということですけれども、専門職学位課程については、従来の学部の分野にもとらわれず、あるいは実務的な要素も入れるということで、独立性ということが若干強調されていましたけれども、それによって、逆に将来の研究者養成ですとか、学生さんから見た進学希望者への対応という意味で、あまり博士課程後期と切れてしまうと、そこで隘路が生じてしまうのではないかという議論がございましたので、そこを留意点として挙げていただいておりました。
 今後の論点ですけれども、この第5期の検討結果を踏まえて取り扱いをご検討いただきたいということですけれども、26年度以降の大学全体の教員人事ということにかかわってきますので、できるだけ早期に結論をまとめるということが必要ではないかと考えております。
 参考2に、大学全体の兼務というのがどうなっているかという図を載せております。5ページにその説明を書いておりますけれども、4ページのポンチ絵でいいますと、旧制度は専門大学院時代の話ですから、現在どうなっているかという右のほうの図を主にごらんいただきたいと思います。
 5ページ、丸1の文章で申しますと、まず、学部と大学院との関係でございますが、学部と博士課程、修士課程との兼務ということについては、学部を基礎として大学院ができてきたという、もちろん独立研究科もございますけれども、そういう歴史的な経緯もございまして、マルということで可能になっています。これはもちろん教育研究上支障がない限りということでございますけれども、学部と博士課程、修士課程は、両方で専任教員になるということが可能になっているということでございます。
 一方、学士課程と専門職学位課程の関係ですけれども、専門職学位課程の一定の独立性確保の必要性ということで、先ほど申し上げましたように、ここは原則できません。バツになっておりますが、今、申し上げた、制度創設から10年間の特例として、〈三角〉ということになっております。
 一方、大学院の中で見ますと、大学院の各課程間、博士課程、修士課程、専門職学位課程との兼務は、原則ここもバツということになっておりますが、今回の件と直接関係ありませんけれども、博士一貫制を促進したいという政策的意図もありまして、博士一貫制、後期につきましては、1の専攻に限り別の修士課程との兼務ができるというのが、緑の〈三角〉であらわしているところでございます。それから、専門職については、先ほど申し上げたように、制度創設から10年間兼務が可能と、オレンジになっているということでございます。
 一方、博士課程の区分制につきまして、マル、バツは書いておりませんけれども、前期と後期の間では当然一つの専攻ということで、両方の教員になるということが認められております。
 また、ここで直接書いておりませんけれども、例えば修士課程、博士課程という、同じレベルで2つの専攻で専任教員となるということも、法令上は必ずしも明示されておりませんけれども、それは1つの専攻に限るであろうというのが原則ということでございます。こういった原則を踏まえた中で、専門職学位課程とほかの学位課程との、いわゆるダブルカウントの在り方を26年度以降どうするかということが前期からの継続審議になっているということでございますので、ここでご議論いただきたいと思っております。
 説明は以上でございます。

【有信部会長】 第5期から、25年度で終わるその法的な措置について、今後、これをどういうふうにやっていくかという議論で、そこにも書いてありますように、教職課程等々含めて、引き続き検討して決めていくということになっておりました。ご意見、あるいは質問でも結構ですので、よろしくお願いします。

【有川委員】 大まかに言うと、大学院における教育がいいかげんにならないように、いろいろな工夫がしてあると理解したいと思います。一方で、今度は教員の側から見ますと、昨今、多くの側面を持っていることがあります。別な言い方をしますと、教育分野も、学問分野でも、同じように分類して、そして、それぞれに対して1つの大学院の専攻があるということでは、どうしてもそれで通せないようなことがあります。先ほどの議論にも相通じるところがあると思いますが、一方で、横串を刺したようなことをしなければならないところがあります。では、それも同じ大学院の組織だから、そことの兼任はできないということになると、せっかく幅広い視野で研究や教育ができる人に、そこで働いてもらうことが難しくなることもあるわけです。この辺は、実態として結構出てきておりますが、そのためにこれを緩くしてもおかしなことになりますので、そういうことはやるべきではないとは思います。ただ、設置のときの審査をしっかりやって、その後も監視をきちんとしておくようなことでもいいのかもしれませんが、もう少し何か一工夫があってもいいと思います。私どもは、かなり横断的で大胆なことをやっておりますが、そこのやり方で直面する問題は今の問題です。

【有信部会長】 今の問題は、この専門職大学院に限らず、逆に言うと、今の兼務の制限の問題をもう少し弾力的に考えないと、実情に合わなくなってきているという部分も含めてご指摘だったと思いますけど、ほかにご意見ありますでしょうか。

【伊丹委員】 私は実際に専門職学位課程で教えておりますし、私の大学の専門職学位の専門職大学院では、博士後期課程を新設した際にも、博士後期課程と専門職学位課程のダブルカウントの特例を使って新設しました。私は第5期のワーキンググループのメンバーでございまして、荻上先生が座長をやっておられましたが、そのときにも、専門職というものが比較的実務的な教育をきちんとやるという趣旨である以上、学部や普通の修士との兼務を認めるということは、特例措置の期間を除いて、その後はやめたほうがいいだろうという意見になり、報告書にもそう書いてあります。ただ、博士後期課程を持っていて、直接につながっているようなイメージのある博士後期課程の間で兼務を全く認めないと、専門職で興味を持った人が社会人ドクターのような形で博士課程後期に進みたいとなったときに、一体誰から指導を受けるのかということになります。兼務ができないとなると、制度的にそうならざるを得ないというのはおかしいし、さまざまな理由で博士後期課程とのダブルカウントだけは何らかの形で認めたほうがいいんじゃないのかと思います。
 ただし、そのときに専門職の教育の質の担保ということを考えると、無制限に認めるとおかしなことになりますので、何かの工夫が必要だということで、ワーキンググループで議論したと思います。したがいまして、ワーキンググループが出した意見の大勢は、事務局に用意していただいた現行制度の参考2の絵で、いろんなところに赤印の〈三角〉がついており、これが特例制度ですが、この特例制度のうち、博士後期課程との間の三角だけを生かして、何か質保証についての担保のある措置をとった上でここをマルにするという、そんな方向だったように思います。

【有信部会長】 荻上先生、何か補足ありますか。

【荻上委員】 今、伊丹委員が極めて明快に説明してくださいました。後ろのほうの参考4のところに書かれているのが、今年の1月31日に出された大学院教育の答申ですから、これが大学院部会としての正式なまとめということでございますが、内容は、今、伊丹委員からご説明のあったとおりです。

【有信部会長】 この内容については、もう一度ワーキンググループをつくって、最終的な決定に至るような手続を進めたいということで資料が用意されていますので、事務局からその資料の説明をお願いします。

【中野専門職大学院室長】 お手元の資料4をごらんいただきたいと思います。ワーキンググループの設置についての(案)でございます。今、部会長からもご説明ありましたように、この専門職の議論というのが専門的であるということと、先ほど全体の状況についてはご説明させていただきましたが、各大学のいろいろなデータなども事務局で持っておりますので、それらも踏まえてご議論いただければと思っておりまして、そういう観点からワーキンググループを設置いただければどうかというご提案でございます。
 名称は、専門職学位課程ワーキンググループというふうにさせていただいていますけれども、所掌事務としては、新答申で示された専門職大学院の質の向上に関する諸課題のうち、専門職学位課程の教員組織に関する検討、今の議論でございますけれども、それについて専門的調査審議を行うということでございます。委員及び座長については、部会長にご指名をいただきたいと思います。設置期間につきましては、もしこれで決定ということになりましたら、ここで設置していただきまして、調査審議が終了したときに廃止とさせていただき、ワーキングの審議状況については、適宜部会に報告するということでございます。
 以上です。

【有信部会長】 前期の大学院部会の最後の議論で、最終的に、先ほど伊丹委員が言われたようなことで進めるかというような議論をしているときに、十分な議論をしなければ解決しないような疑義が出たりもしましたので、もう一度ワーキンググループの中で整理をいただいて、全体が納得できる形にまとめて報告をいただければと思います。ワーキンググループのメンバーは、また指名させていただきますのでよろしくお願いいたします。

【桐野委員】 この専門職大学院のつくり方が成功であったかどうかというのは、社会も相当見ていると思います。医学部というのは、6年制である意味で一種の専門職大学院なんです。そのつくり方やいろんなつくり方の規制に比べると、専門職大学院はすごくワイルドにつくられたという感じがします。それはワイルドにつくらざるを得なかったんだろうと思いますが、やはりワイルドさを少し何か文化的なレベルに上げていただきたいと、この検討されるときはそういう観点も多少考えていただきたいと思います。

【有信部会長】 ありがとうございました。ご指摘の部分についても、ワーキンググループのメンバーの方々には連絡をさせていただければと思っています。
 現実に専門職大学院の設置については、明らかにいろんな事情があって、全部一律にはいっておりませんし、それを横串として制度的な部分についてはきちんとしておくべき点について、最終的な整理をしたいということですので、ワーキンググループのメンバーの先生方におかれましては、よろしくお願いします。
 その結果については、次回の大学院部会でご報告いただけるものと思っていますので、その報告いただいた時点で、今、桐野委員が言われたような、その文化的なレベルになっているかどうかも含めて議論いただければと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、事務局から今後の予定等々について、説明をお願いします。

【樋口大学改革推進室長】 ありがとうございました。次回の大学院部会につきましては、日程を調整の上、後日ご連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【有信部会長】 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

 

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