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大学院部会(第50回) 議事録

1.日時

平成22年8月25日(水曜日) 15時~17時15分

2.場所

金融庁 9階 共用会議室1

3.議題

  1. 今後の大学院教育の改善方策について
  2. その他

4.出席者

委員

(委   員)金子元久、郷通子の各委員
(臨時委員)有信睦弘(部会長)、今榮東洋子、河田悌一、小杉礼子、中西友子(副部会長)の各臨時委員
(専門委員)五神真、菅裕明、続橋聡、中西茂、山田礼子の各専門委員

文部科学省

藤原大学振興課長、勝野私学行政課長、榎本高等教育政策室長、樋口大学改革推進室長、中野専門職大学院室長他

5.議事録

【有信部会長】  それでは、所定の時刻になりましたので、第50回の大学分科会大学院部会を開催したいと思います。本日は、お暑い中お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 今回は大学院教育の実質化の検証についての議論がメインになると思います。それでは、事務局から配付資料の説明をお願いします。

【樋口大学改革推進室長】  まず、配付資料の確認をさせていただきます。
 お手元の議事次第を1枚めくっていただきますと、資料1といたしまして、第49回大学院部会議事録(案)がございます。これにつきましては、ご意見がございましたら、9月3日までに事務局までご連絡をいただければと思います。また、それに続きまして、中長期的な大学教育の在り方に関する第四次報告という白表紙の冊子を置いてございます。さらに、資料2といたしまして、平成22年6月に閣議決定された新成長戦略に関しまして、大学院関係の抜粋をしたものがございます。それから、1枚めくっていただきますと、資料3に、本日議題といたします大学院教育の実質化の検証を踏まえた更なる改善について(概要)、資料4といたしまして、この本文がございます。さらに、資料5といたしまして、後ほどご説明申し上げますけれども、個別の論点を検討する上での参考データを示してございます。そのほか、参考資料1として、大学院の現状に関するデータ集、参考資料2といたしまして、大学院における修了要件等に関する調査結果を付してございます。
 以上でございます。

【有信部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは審議に入りたいと思いますが、これまでそれぞれの委員の方々には大変なご苦労をかけて、分野別の調査検討を行った上で検証作業を進めていただき、その状況を踏まえて、実際の検証結果等々を踏まえた上で、大学分科会で報告をさせていただきました。その内容は、「第四次報告」という冊子がお手元にあるかと思いますけれども、その中にまとめられています。今日は新しく大学院教育振興施策要綱を策定するということでありますので、それに向けて、今後の大学院教育の改善の方向性についての審議を進めていければと思っています。まず、第四次報告の概略を確認したいと思いますので、その説明を榎本室長にお願いします。

【榎本高等教育政策室長】  資料1の下に「第四次報告」の白表紙が入っております。少し時間があきましたので、おさらいの意味も含めましてご紹介したいと思います。
 大学分科会は、各部会やワーキングが全て同時並行で審議しておりますので、大体半年に1回ほど、全体の審議状況をこのような冊子として集約をしております。
 この四次報告を1枚開きますと、目次が入っております。こちらをご覧いただきますと、第1というのは総論ですが、第2以下の各章で各部会やワーキングの議論を集約しております。非常に厚い冊子ですが、本文は最初の50ページまででございまして、そのほかはすべて関連データなどを含む参考資料でございます。
 1ページ目は、これまでの審議経過をおさらいしているだけでございますので、この1、2ページは少し眺めるぐらいにいたしまして、3ページにまいりますと、大学を取り巻く諸状況について、昨今の状況を書いております。その中で、3ページ中ほどあたりですが、女性が教員や研究者としての採用を含めて、その能力を発揮できる環境の整備に取り組むということが重要であり、さらには、日本の大学において、より幅広い年齢層や、多くの国の学生がともに学ぶ環境を整備していくということについての課題を掲げております。
 4ページにまいりますと、こういった全体を通じた議論として、二つの課題を挙げておりまして、一つが、4ページ上ですけれども、大学教育が、学位プログラムとして構成されることに着目して質保証を考えていこうということ。それからもう一つが、機能別分化を進めるということでありまして、以下の各論も、そういった二つのことが底流として掲げられております。
 5ページ、6ページからは質保証に関する議論で、6ページ、7ページでは質保証に関連する設置基準等の課題を掲げております。学士課程も大学院も共通した課題が多く入っておりますけれども、これらは質保証部会で議論をいたします。
 9ページに入りますと、こちらは教育情報の公表ということで、9ページの下から10ページまでの囲みにおきまして、(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)、(オ)、(カ)、(キ)、(ク)とございます。これらの項目に関して、各大学で情報を公表するということに関しまして、これは既に法令の改正をしております。来年度からは、すべての大学でこういった取り組みを行っていくとなっております。
 12ページは、法令の義務化ではありませんけれども、およそグローバル化を目指す大学であれば、国際競争力の向上という観点から、先ほどの法令による義務化に加えまして、12ページから13ページに掲げているような事柄については、積極的にここで情報提供していくことが考えられるのではないかということを付しているところでございます。 14ページにおきましては、教育情報に関する若干の留意事項を付しておりまして、そのうちの1ですけれども、これも学位プログラムに着目した改善ということでございまして、例えば授業科目のナンバリングをはじめとする教育課程の整備が必要であるということ。また、関連して、データベースの整備を通じて情報がわかりやすく整理をされて公表される必要があるということを整理しております。
 15ページからは、社会人学生の受け入れ促進についてでございます。まだまだ日本の大学は取り組みが弱く、各大学の一層の努力、さらには政府による取り組みが必要であるということを掲げております。
 少し飛ばしまして、20ページにまいりますと、今度はグローバル化についてでございます。先ほどは社会人も含めた幅広い年齢層でしたけれども、20ページからはグローバル化ということで、国も広く考えていこうということでございます。
 20ページから21ページまでは、やや技術論になるんですけれども、海外の大学とジョイント・ディグリーやダブル・ディグリーなどに取り組んでいく際の各大学で対応が考えられる事柄をガイドラインとして整理しております。
 また、22ページから24ページまで、3ページほどにわたりますけれども、昨今の経済発展の状況も踏まえて、アジアとのさまざまな連携も考えられるということに関しまして、とりわけ24ページあたりですと、ヨーロッパにおけるEUの取り組みなども念頭に置きながら、日中韓でも質保証に関して取り組んでいく必要性について整理をしております。
 25ページからが大学院部会の議論を収録したものでございます。これは後ほどの説明と重複いたしますので、25ページのあたりは省略いたしますけれども、ざっと見てまいりますと、26ページから27ページのところで、これまでの各ワーキングの検証作業の大まかな分析をしております。
 30ページからは、各個別論になりますので、見出しだけごらんいただければと思いますけれども、30ページでは、まず(ア)のところで、体系的な教育課程の確立、(イ)のところで組織的な教育・研究指導体制の確立、31ページにまいりまして、(ウ)博士課程における一貫した教育の確立、さらに、(エ)教育情報の公表の推進と、先ほどの制度改正とも連動させた話でございます。
 32ページの(オ)ですが、多様なキャリアパスの確立と産業界等との連携の強化。32ページの一番下ですけれども、学生の経済的支援ということでございます。
 33ページは、まず(キ)ですけれども、我が国の成長を牽引する世界的な大学院教育拠点の形成、さらに、(ク)といたしまして、専門職大学院の質の向上というふうに整理を挙げております。
 34ページから50ページまでの15、6ページほどあるんですけれども、こちらに関しましては、国公立大学の健全な発展ということで、昨年来の仕分けの議論もある中で、国公私立大学それぞれの意義、また、そういったところに対する財政の必要性を整理しているところであります。
 34ページ以下のところにつきましては、大分ボリュームがありますので、ページごとの内容は省略いたしますが、内容は大きく二つでございます。一つは、日本の場合には、欧米と違い大学数、学生数ともに私学の割合が高いという特殊な状況がありまして、そういう中で、日本の国公私立大学、3つの設置形態があり、いろいろな機能分化なども進んでいきながら、それぞれ発展していくということが日本の大学全体にとって重要であるということであります。
 もう一つは、大学の財政、予算の確保でございまして、これも中ほどに文章を書いているのでございますけれども、大学財政として三つ。一つが基盤的経費、二つ目がGPやCOEのような予算、三つ目として学生の経済的支援、これらの確保が必要であるということを書いております。
 国公私の問題や財政の問題に関しては、いろいろなところに配慮をしながら議論をしていく必要もありますので、34ページから50ページまで、長い文章になっておりますが、これらを収録しているところでございます。これが6月までの各部会やワーキングの状況をいったん大学分科会として整理したものでございます。以上です。

【有信部会長】  ありがとうございました。この「第四次報告」をベースにしながら、新たに事務局で資料を整理しておりますので、こちらのほうの説明もお願いします。

【樋口大学改革推進室長】  それでは、これから資料4「大学院教育の実質化の検証を踏まえた更なる改善について」のご説明をいたします。この資料の性格でございますけれども、先ほど政策室長の榎本のほうからもご説明がありましたけれども、この大学院部会におきましては、昨年の9月以来、人社系、理工系、医療系、それから専門職学位課程の4つのワーキング・グループで、5年前に出しました中央教育審議会の「大学院答申」に掲げた大学院教育の実質化といったことに関する進捗状況や課題を検証してまいりました。そうしたものをもとに、先ほども説明いたしましたが、この第四次報告において、今後の改善方策の大枠に関する現時点での記載をしたところでございます。そうしたことを踏まえまして、本日のこの資料というものは、こうした課題を整理、肉づけして、先ほど座長からもご説明がありましたとおり、来年度以降の大学院教育振興施策要綱の策定を視野に、この大学院部会としての議論の取りまとめに向けた足場、基礎を築こうという位置づけで、これまでの議論の整理を行ったペーパーでございます。
 このペーパーの1ページから4ページぐらいにかけましては、これまでの各ワーキング・グループで行ってきました大学院教育の実質化に関する検証結果でございますので説明は割愛させていただきますけれども、資料の5ページに、大学院教育を取り巻く情勢というものの認識を掲げてございます。これに関しては、簡単に申しますと、知識基盤社会が進展する中で、高度で知的な素養のある人材の必要性というものが高まるとともに、特に、イノベーションを生み出し社会に新たな価値を創出する、あるいは地球規模の課題の解決のために国際社会でリーダーシップを発揮するような人材というものが不可欠であるという認識に立って、グローバル化や地域内経済の一体化の進展に伴って、欧米やアジア各国が優れた博士人材の養成、確保に懸命になっている中、我が国では、人口当たりの博士号取得者、とりわけ多様な年齢層の博士号取得者が少なく、多くの分野で博士課程後期への進学率が低下するといった、世界的な潮流から離れた事態ということにもなってございます。
 こうしたことを踏まえて、このページの後段のところでございますけれども、基本的には、5年前に示しました「大学院答申」に掲げた大学院教育の実質化に向けた取り組みを一層強化するということが必要であるという認識を示した上で、今回の検証結果を踏まえると、特に、企業、行政等と協力し、多様な社会の要請に的確にこたえる開かれた体系的な教育を展開する。そうしたことを通して、社会人、あるいは外国人学生を含む多様な学生が将来の見通しをもって互いに切磋琢磨する環境の整備を進めていくことが必要であるという認識を示しております。
 このために、修得すべき知識・能力の内容を体系的、具体的に示した学位プログラムとしての大学院教育を確立することがこれまで以上に重要で、また、特に博士課程教育に関しては、課題を通して一貫して質が保証された博士課程教育を確立し、優れた人材を博士課程に引きつけ、その修了者が多様な場で確実に採用・処遇されていくという好循環を形成していくということが急務であるとしております。
 これを踏まえまして、7ページ以降に、大学院教育の更なる改善に向けて、重点的に取り組むべき方策を示してございます。本編は全部で10の項目に分けてございます。その項目の分け方は、先ほど榎本のほうからお話がございましたけれども、第四次報告にのっとった項目の分け方に基本的にしてございます。
 まず一つ目、課程制大学院制度の趣旨に沿った体系的な教育を確立すること。これに関しては、今回の検証結果で、人材養成目的、あるいは修得すべき知識・能力の体系、あるいは入学選抜の方針といったものの記載が抽象的になっているというところも少なくございませんでした。また、博士課程前期、後期、それぞれに求められる能力を示した上で、それぞれの課程で求められる能力を示し、国としても大学院の教育全体の質の向上につなげる優れた取り組み等を支援すべきという記載をしてございます。
 二つ目には、組織的な教育・研究指導体制の確立でございます。これまでの大学院教育は、担当教員による個人的な指導に過度に依存するという傾向が見られたこともございまして、一つには、異なる専門領域を持つ複数の教員が論文作成等の研究指導を行う体制、二つ目に、教員の教育・研究指導能力の向上のために、FDの充実、複数による指導体制、あるいはピアレビュー、それから教育業績や教育能力の評価の充実や、それを人事や処遇へ反映するということ、三つ目に、優れた大学教員等の養成のため、教育活動の中にTA・RAを積極的に取り上げるということと、国としても、大学教員の教育力の向上を図るような、共同利用拠点の形成促進を図るべきであるということ。
 そして、特に専攻横断的な教育、あるいは大学間の連携・協力ということを通して、小規模な専攻についての組織的な教育の充実を図るということや、社会的重要等を総合的に勘案して、大学みずからが入学定員の見直しなどをすべきことを記載してございます。
 続きまして、9ページに移りまして、博士課程教育に関しまして、学位プログラムとして一貫した博士課程教育を確立することでございます。これに関しましては、検証結果の中で、博士課程については、前期に関しましては、体系的なカリキュラム編成に取り組まれておりますけれども、他方、後期では、特定の研究室の担当教員による研究指導が中心ということでございました。
 また、博士の学位に関する考え方について、大学院間で相当な差異があるということも認められました。こうしたことを踏まえて、修得される博士論文作成に必要な基礎的能力を審査し、それを修士論文にかえて博士の前期修了時に行う場合の制度的な取り扱いというものを明確化すべきこと。
 さらには、一貫制、それから区分制の博士課程の趣旨がより明確になるよう、標準修了年限や単位数の在り方を検討すること。
 さらに、大学と産業界が積極的に連携し、社会人にとって魅力ある博士課程教育を推進すること等を記載してございます。
 さらに、10ページに移りまして、教育情報の公表の推進でございます。学生が将来のキャリアパスを描くためにも、また、社会が大学院に対する信頼を高めて、その質を保証するという観点からも、基本的な教育情報が明らかにされているということが求められておりまして、先ほどご説明にありましたけれども、学校教育法施行規則の改正等を踏まえまして、知識・能力の体系等々を整合的に設定し、それらカリキュラムや成績評価、教育研究組織、学生支援等の情報を学生や社会に広く公表すべきこと。そして、国としても、大学院教育に関する情報を集約し、一覧できるような仕組みを整備するということを記載してございます。
 さらに、(5)、これは産業界等との連携の強化と多様なキャリアパスの確立でございます。これに関しましては、企業、それから地方自治体等と連携し、多様なキャリアパスに対応した教育を充実し、大学教員やポストドクターのみならず、多様なキャリアパスを開拓するような取り組みを充実することが必要であるという認識のもとに、一つは、各大学、研究機関、企業等との連携によって、多様な学修研究機会に接する教育を充実すべきこと。
 さらに、大学と産業界が、大学院で養成される人材像、あるいは産業界等の評価や期待に関する考え方を共有するために、国レベル、大学レベルそれぞれに、それぞれの専攻分野、それから業種等に応じて協議の場を設けていくべきこと。
 さらには、学生の進路状態の適切な把握、それからきめ細やかな履修指導、あるいは就職支援等のキャリア支援が必要であることを記載してございます。
 さらに、11ページに移りまして、(6)でございますが、優れた学生の進学を促すということがございます。これに関しては、意欲や能力のある学生に広く公正に大学院に受験する機会が与えられ、経済的に不安を抱えることなく将来の見通しをもって大学院教育を受けられるようにすることという認識に立って、日本学術振興会の特別研究員制度、あるいはTA・RA等としての充実、あるいはTA・RAとしても活用できるような競争的な研究資金を充実するということ、あるいは、今行っている日本学生支援機構における奨学金の業績優秀者への免除制度を拡大すべきこと。さらには、予約採用の奨学金の実施方法を見直すべきこと。さらには、大学として、大学院を通して受けられる経済的支援等に関する見通し(ファイナンシャル・プラン)や経済的支援等の実績等を明らかにしていくということ。さらには、融資に関しては、国内外の優れた学生を獲得するため、アドミッションポリシーを明示するとともに、多様な能力、意欲、将来性等を見きわめる公正な入試を実施すべきこと。このために、現行の大学院設置基準上の規定を整備することを記載してございます。
 さらに、12ページの中で、外国人学生、あるいは日本人学生の垣根を越えた協働教育の推進をすべきと記載してございます。これは国際コミュニケーション能力を備えた高い国際感覚を持つグローバル人材を養成するために、一つは海外の大学、あるいは研究機関等とネットワークを形成し、外国人教員の積極的な採用、あるいは外国人学生の体系的な受け入れを充実するとともに、日本人学生の海外派遣を推進すべきということ。さらに、海外大学との学生の受け入れ・派遣双方向での交流プログラムの開発を進めるような大学を支援すべきということを記載してございます。
 さらに、13ページの中で、我が国の成長を牽引するような世界的な大学院教育拠点を形成すること。これに関しましては、産業界等との連携を強化し、学位プログラムとして一貫した国際標準の博士課程教育を行い、国際社会で活躍し世界を牽引するリーダーを養成するリーディング大学院の形成に関する支援を強力に展開するということを記載してございます。
 さらに、(9)といたしまして、専門職大学院の質の向上に関してでございます。この専門職大学院に関しましては、さまざまな分野への急速な広がりに伴って、社会的要請を踏まえたカリキュラムの在り方というような諸課題の指摘がございますことから、制度創設の理念に立ち返って、教育内容の質の向上を図っていくことが必要であるという認識を踏まえた上で、博士課程、特に博士課程後期との接続を図る観点から、現状の専任教員のダブルカウントの特例措置が終了する平成26年以降も引き続き、専門職大学院の教員が同時に博士課程後期において研究指導を行える環境を維持できるような制度的な対応を検討すべきこと。
 さらには、認証評価制度が存在しない場合に認められている自己点検・評価の外部検証といった形での代替特例措置の免除規定を廃止すべきこと。
 さらには、実務家教員の定義、あるいはその基準等について、専門職大学院設置基準上の明確化を図ることを検討すべきこと。
 さらには、産業界、あるいは職能団体等との連携協力によって、基礎的な能力・知識に関する共通的な到達目標の設定や教材開発等の取り組み、あるいは特色ある教育拠点の形成等を促進すべきこと等を記載してございます。
 さらに、(10)といたしまして、学問分野の特性に応じた改善方策を記載しております。まず最初に、人文・社会科学系の大学院に関してでございますが、これに関しましては、円滑にその学位授与に導くプロセス、それから、将来のキャリアパスの見通しを明らかにすることが重要な課題であるという認識のもと、学生の将来のキャリアパスを考えて、大学だけではなく、教育機関、産業界、行政機関等との積極的な連携を強化すべきこと。そのためにも、基本的な教育情報が明らかにされていることが必要であること。さらに、研究テーマ、あるいは研究方法、詳細な工程等を記載した研究計画の作成、あるいは研究進捗状況の中間発表等を通じて、学生と教員が学位授与に必要なプロセスの確認・共有し合い、学位の質を確保しながら、標準修業年限内で学位授与に導くように努めることが重要であるということを記載してございます。
 また、理工農系大学院に関しましては、特に博士課程の専門分化した教育内容、あるいはキャリア支援体制等もあって、これらが多様なキャリアパスに十分対応しているとは言えず、社会人など多様な年齢層の学生が少なく、大学院教育の方向性と産業界等の期待にミスマッチがあるという認識のもと、博士課程の修了者が国内外の多様な社会で中核的人材として活躍していくように、産業界等と一層緊密に連携するとともに、社会人の学修需要の高まりにこたえる質の高い博士課程教育が必要である。さらに、産業界等々が求める実社会とのつながりを持った教育の充実や学生の社会性の涵養という観点から、インターンシップ、あるいはPBLなどの取り組みが有効であるということを記載してございます。
 また、医療系大学院に関しましては、この大学院をめぐる昨今の情勢の変化、例えば学生の専門資格への志向、あるいは医師・歯科医師臨床研修制度の導入といった変化が、研究者を志す学生の減少など、各分野の大学院生のキャリア形成に大きく影響しているという認識のもと、医療の動向の高度化・多様化を見据えた体系的かつ実践的な教育を展開していくため、例えば臨床研究に関する教育研究など、他の研究機関や他の専攻と有機的に連携し、広がりのある教育を行い、ライフイノベーションを担う能力を持った医療人を養成すべきことを記載してございます。
 このような形で今回の資料を構成してございます。
 なお、資料5をごらんいただきたいと思います。今回、かなり多くの項目を盛り込んでございますけれども、これまでおおむね各ワーキング・グループなどで議論いただいているようなものを集約して掲載させていただきました。中でも、昨年来の議論の中で、多く意見を出された個別の論点について、少し追加の調査を実施してございますので、そこに関しまして、その結果をご説明申し上げます。
 資料5、1枚めくっていただいて、1ページ目をごらんいただきたいと思います。1ページ目と2ページ目は修士課程・博士課程前期、並びに博士課程後期におけるそれぞれの修得単位がどうなっているかということを調べたものでございます。現状では、大学院設置基準上、大学院修士課程・博士課程ともに必要最低単位数が30単位となってございますけれども、修士課程に関して、約8割がこの30単位の最低修得単位としてございます。反面、その中で約7割の専攻が、修士論文、あるいは特定課題研究といった単位外の修了要件の作成のための論文、あるいはレポートの作成に係る研究指導を単位化している実態がございます。
 また、博士課程後期におきましては、後期固有の修得単位として、約8割の専攻で、後期固有の単位履修を義務づけ、その中で、約5割の専攻が、博士論文の作成に係る研究指導を単位化してございます。
 なお、そのほかに、博士課程後期での単位履修を義務づけている専攻の中で設置している科目の類型を2ページの右の表に示してございます。先ほどのところから、博士論文の作成に係る研究指導がこの中では圧倒的に多いわけでございますけれども、研究者として必要とされる論文作成等の研究手法を身につけるような科目も多くありますが、他方で、この回答上では、例えば企業等とのインターンシップ、あるいは英語でのプレゼンテーション能力の養成に関する科目等に関しましては、項目の中ではあまり多くの回答がなかったというような印象を受けてございます。
 続きまして、3ページに関してでございます。これは修士課程、特に博士前期課程における修了要件の中で、先ほどクオリファイ・エグザミネーションといったこと、そのコースワーク等を通して、今後、博士課程に進学するに当たって、必要な能力が身についているかということを確認するすべを、どのような形で、どのぐらい行っているかということを書いてございます。左の項目に、そうした基礎的能力の修得を確認する仕組みの導入条件を記載してございますが、大きくこの上から3つ、履修科目の定期試験とは別に小論文を含む筆記試験でそうした基礎的能力を確認したり、広範な専門地域や研究動向等を修得させ、その成果を、論文等を通して確認したり、あるいは研究企画書を作成させて、その批評等を行っていく、いわゆるプロポーザルを行っているようなものが約630ございます。
 他方、右側のほうに、単位数とは別に、修士の修了要件として、修士論文、または特定課題研究の成果というものが修了要件になっているわけですけれども、それが一体各大学院によってどう行っているか。おおよそ8割の専攻は、修士課程の修了要件を修士論文のみによって規定してございますけれども、修士論文にかえて、特定課題研究でよいとする、あるいは両方でいいとする専攻も、合わせておおよそ800近くになるというところでございます。
 また、このページの右下の項目は、そうした修士論文、または特定課題研究の成果として、そうしたものの中に、先ほど申しましたクオリファイ・エグザミネーションのような仕組みを修了要件として組み入れている大学がどのぐらいあるかということでございまして、先ほど言いました、3つのいずれかに取り組んでいる大学の中で、それを修士論文、または特定課題研究にかわって修士の修了要件としている大学は、大分足しますとおおよそ200ございます。これは修士課程、あるいは博士課程(前期)を全部合わせますと、おおよそ専攻数にいたしまして3,600ぐらいございますので、その1割、約6%に相当するという考え方でございます。
 また、4ページでございますけれども、大学院入試等でございます。これは若干、記述で書いてございますけれども、ざっと修士課程、あるいは博士課程前期、博士課程後期、一貫制博士課程を通して言えますことは、ほぼ2から3割の専攻が専門分野、あるいは研究室ごとに合否を決定しているということでございまして、なお、それ以外に関しましては、専攻あるいは研究科、トータルで合否を決定しているわけでございますけれども、その9割以上、ほぼすべての専攻が、入学時点、あるいは入学後間もなく専門分野や研究室を決定してございます。
 また、その後、研究指導教員、あるいは所属の研究室を一定期間内にかえることができるような規定を設けているかという設問に関しまして、4、5割の専攻が、そのような規定があるわけでございますけれども、他方で4、5割の専攻が、そうした変更のルールは定めていないという状況がございました。
 なお、最後のページに、参考といたしまして、大学院博士課程教育の課題を参考のために供してございます。これは、当然大学の持っている機能、あるいはその性格にも大きく影響いたします。日米比較を今回記載してございますけれども、アメリカも多様な大学がございますので、ここに書いてありますのはリサーチ・ユニバーシティであって、自然科学系専攻システムの一例を示したわけでございまして、これが双方代表であるかどうかということをお伝えするものではございませんけれども、やはり少し違っておりますのは、1つは、入試の単位において、所属の研究室、あるいは研究指導教員を最初の入試の段階で決めているか、決めていないかというようなこと。あるいは、博士課程教育ということであれば、コースワーク等々を通して修得した席次、あるいは、その間研究室を順に回っていくような仕組み等々をして、どのような能力を培ってきたかということをクオリファイした上で、所属の研究室を定めたり、あるいは研究プロポーザルのトレーニングの機会を設けたりというような形での質の保証をしているところが若干違うところでございますが、日本の場合も、この大学院答申、5年間の成果によって、修士段階におけるコースワークというものが充実し、博士後期段階においてもCOEプログラムなどで支援したところに関しては、さまざまなプロジェクトの参加を通して、さまざまな研究に接する機会は増えているというような認識は持ってございます。
 以上のようなことを資料としてお示しいたしました。本日は、これに限らず、資料全体についてさまざまなご意見をいただければと思います。
 以上です。

【有信部会長】  どうもありがとうございました。
 きょうはこの内容について議論をしていきたいと思いますが、大体4時55分ぐらいまで、この議論のみとなりますので、自由に議論していただければと思います。最後に説明していただいた参考データは、主として体系的なカリキュラムの確立や、組織的な教育・研究指導体制の確立、あるいは一貫した博士課程教育の確立等々にかかわるところで、現状はどのようになっているのかについての参考データになると思います。
 それから、最後の日米の比較は、今回あえて出してもらったんですが、基本的な考え方の違いがこの中にもあらわれていると思いますので、これも参考にしながら、どんな観点からでも結構ですのでご意見いただければと思います。また、資料3に、先ほど説明していただきました資料4をまとめたものがあるので、これベースにして議論したほうが全体としては見やすいと思いますので、よろしくお願いします。詳細については、また資料4をクオリファイしながらということで結構だと思いますが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

【郷委員】  資料5の4ページですが、(1)、(2)において、自大学学部出身者を優遇している専攻が1割、それから(2)のほうですけれども、自大学修士課程修了者を優遇している専攻が15%程度存在というのがあり、これには大変驚いております。むしろ私がおりました大学は、こういうことはやらずに、逆にいろいろな大学から進学してもらえるような入試のシステムをつくっていたような経験があるものですから、この優遇の中身がどういうことなのか、少しお聞きできますでしょうか。

【樋口大学改革推進室長】  参考資料2といたしまして、今回、調査しました調査票と調査結果を示しています。問いごとに選択肢がございまして、それぞれの回答、パーセントが書いてございます。私どもはこの形で聞いてございまして、それ以上の解釈については、それぞれの専攻のご回答にゆだねているというところでございますけれども、今ご指摘の点につきましては、一番わかりやすいのが4ページです。問16といたしまして、修士課程又は博士課程前期の試験内容・受験資格についてというものがございまして、(1)から(5)まで選択肢がございます。(1)としまして、全くすべて同じ内容の入試を行っているという基本型を挙げた後で、自大学学部出身者を受験科目数や試験内容で優遇しているか、あるいは自大学学部出身者以外の受験者を試験科目数や試験内容で優遇しているかということを聞き、かつ自大学学部出身者に受験資格を限定しているかということを聞いてございまして、今、約1割程度、自大学学部に優遇したというものは、この場合の2と4は、完全に受験資格を限定しているか、受験科目あるいは試験内容で優遇しているか、これの合計の数をお示ししたというところでございます。

【有信部会長】  現実的には、例えば博士課程の入学のときに、他大学から来る場合に、語学の試験を免除するとかしないとかいう、そういうようなことが昔はあったように思いますので、多分そういうことかもしれません。つまり、語学のレベルが、例えば修士課程に入学するときにある程度の試験をクリアしていれば、当然そこの部分でもうクオリファイされたという前提だけれども、他大学から来る場合には、同じレベルでそこがクオリファイされたかどうかわからないという前提で、語学の試験を別途行っているなど、そういうことをいまだにやっているところは多分あるんだろうと思います。
 あとは、例えば修士課程において、推薦制のようなことを実施しているところはないんでしょうか。そういうところ多少はあるかもしれません。

【郷委員】  中身については、ちょっとわかりませんね。推薦のことは特に聞いておられないですね。

【樋口大学改革推進室長】  そこの程度につきましては、ちょっとわかりません。私どもが想像しているのは、先ほど座長が言っていただいたような科目数で、外国語のようなものが一定程度免除になっているかというようなところが一番大きな違いじゃないかと認識しています。

【小杉委員】  私も質問があるんですけど、資料5の4の今の文章のそれぞれのところで最後に専攻や研究室の変更のルールのことが載っていますが、これはこの調査票の中のどこから出てきているんでしょうか。変更のルールの話のところは、例えば16の(5)とか17の(5)にあるんですが、これはほかの設問に比べて小さいトータルになっていて、どうこれは読むのかなというのがちょっとよくわからないので教えていただきたいんですが。

【樋口大学改革推進室長】  例えば16の(5)を見ていただくとわかると思いますけれども、研究室変更の場合の変更期間を設けている場合であると、例えば1年次修了までが184、128となっています。これは、聞く前提として、そのようなルールを設けている場合に、どういった形でその期限を切ったり、変更期間を設けている場合に回答していただきたいということでございまして、これ全部足しても回答数がおおよそ800ぐらいなんです。専攻数でいきますと、この場合であれば全部3,500ぐらいあるわけです。

【小杉委員】  そうですね。3,500のうち、ある期間まで認めているというのは300ぐらいしかないわけで、つまり、半分ぐらいが認めているという話ではなくて、10%しか認めていないということなのではないですかということなんです。つまり、変更のルールがちゃんとあるところというのが本当にあるのだろうかと、ちょっと疑問に思いまして。それが多分大きな問題だと私は思っています。若い人のキャリアの話をしていると、若い頃はいろいろキャリアについて迷って、チェンジするというようなことが必要な場面があるので、こういう専門分野の研究室の変更のルールというのが非常に大事だと思うんですが、ここで、4割は認めているというふうに読めるんですが、この資料からはそういう結果は出てこないので、そこを詳しく聞きたかったんです。

【有信部会長】  多分そうでしょうね。今の小杉委員の指摘のほうが印象としてはぴったりきます。変更のルールをきちんと作っているところが半数もあるとは、どうも印象的には思えませんね。

【樋口大学改革推進室長】  すみません、この時間中にご回答できるように努めたいと思います。今、探させています。

【有信部会長】  ほかに質問でもご意見でも結構ですが、何かございませんか。

【小杉委員】  この日米の比較を見たり、その前の変更のところなどを見て考えていたのは、日本の研究者養成はやはりシステマティックじゃないし、最初に師事した先生の中からずっと逃れられない。逃れられないと言ったらおかしいですけど、うまくはまれば大変よく伸びるんでしょうけれども、本人がいろいろ悩んだときに、ほかの選択肢がなかなか見えづらいのではないかと思います。ドクターの方の相談にいろいろに乗っていると、先生とうまく合わないときにどうしたらいいかということで、非常に悲観した思いになっている若い人たちも見かけます。若いときにいろいろ経験して、キャリアチェンジができる環境の中で自分の方向を決めていくという、このアメリカの図を見たときに、こうだったら、きっとあの人たちはもっと救われたのにとつくづく思います。研究室や研究内容を変更できるルールを確立するということは非常に大事だと思っています。

【有信部会長】  ありがとうございました。
 今の話は、改善方策の中で組織的な教育・研究指導体制の確立というのが2番目に掲げられていますけれども、この中で、要は指導教員をかえるなどのルールや制度をきちんとつくらないと、現状のままでは、学生側にまだある程度強い影響がありそうであり、したがって、それを何とかするためには、すべての大学でルールをきちんとつくるべきだろうという方向の議論になりますよね。

【小杉委員】  はい。

【菅委員】  今の変更のルールについてですけれども、日本は修士と博士と分かれているので、とりあえず修士課程を修了するまでは我慢して、修士課程を修了するときに、博士課程でどこかに移ればいいというような考え方がある程度根づいているために、そういうルールをわざわざ決めないというような感じではないかと私自身は思っています。私はアメリカで研究室を持っていたときに、実は3分の1ぐらいの学生が研究室を変更して、移ってきた人間でした。彼らは、もとのポストがうまくいかず、自分の研究にも合わないということで移ってきたわけですけれども、基本的にはアメリカでもルールはないように思います。ただ、学生が移りたいと言ったときに、それを止める理由は何もないというのがルールみたいなもので、そこは本人に任せているということだと思います。ただ、移ることによるリスクも当然あって、学位を取得するのが遅れるなど、そういうことは十分あり得ます。
 もう一つ、日本の場合は、いい意味でも悪い意味でも囲い込みがあるので、ここにも書いてありますけど、アメリカのようにローテーションのようなシステムを、修士・博士一貫コースであれば、1年生のときは研究室の中で3つ選んでローテーションしなさいというルールをつけて、学生が責任を持って自分の研究室を選ぶというようなプロセスを1年間かけるというところで、自分に合った研究室を選ぶという仕組みをつくっているというのが多分一番の大きな違いというか、メリットがあるんじゃないかなと思います。
 もしそれを実現化するなら、やはり修士・博士一貫とした教育体系を整えないと、今のような修士と博士で分かれていくときに、1年間かけてローテーションしていると、ほとんど何の研究もせずに、そのまま就職活動に入って就職してしまうという事態が起きてしまうので、いろいろなことを考慮に入れつつ、修士と博士の一貫コースでそういうローテーションを組み込むなど、今後、日本の大学院を、博士というのはこれぐらいのクオリティーなんだということを打ち出そうと思うと、そういうことを考えていかなくてはいけないんだろうなと思います。

【五神委員】  やはり大学院の、特に博士課程を充実させるということが主な力点だったわけですが、博士課程は課程制大学院として教育という視点をきちんと持ち込むべきだというのは至極当然で、それについてあえて言うことがフレッシュなポイントになること自身が驚きですが、それを言うことが必要だったということです。
 しかしながら、研究を実践するという環境がなければ博士課程学生への教育はそもそも成り立たないという観点も否定できないわけです。そういう点から見たときに、研究室ごとの研究環境の格差がものすごく拡大しているという現実の中で、研究室に割り当てる大学院生の数や研究室のスペースといったものは、民主的、平等的なルールを持って配分されています。これはいい面もあるし、悪い面もある。ただし、どんどんと格差が拡大しているという現状とこのような平等ルールが整合しているのかどうかということは考えなければいけない。
 米国の場合は、大学院生の指導を受け入れるということは、指導教授が資金を用意して受け入れるわけですから、そういう齟齬はあまり起きないような仕組みになっているのです。しかし、日本の場合には、研究資金とはインディペンデントに学生の配属が決まります。これは、多様な研究を支えるという意味では、日本の大学院のすぐれた仕組みと言えるかもしれません。つまり、研究資金の多寡と関係なく継続すべき研究がある場合にも、すそのベースとなる資源や大学院生がきちんと確保されるというのはよい仕組みであるという見方があります。しかし、これは、基盤的な研究資金が研究費の中のマジョリティーであった時代には機能しました。現在のように基盤的な研究資金というのはほとんど配分されず、研究費の大部分は競争的資金に頼っているという状況では、うまく機能しません。定員の規模や基盤的資金と競争的資金の比率をどうするかといった大学院の制度を、どのような形に仕上げて行くかというゴールを見据えていくべきで、まさに思想が必要というか、ビジョンが必要なところであると思います。現在は、ここ数年間の大学院改革の様々な施策の中で、そのずれが非常に大きくなってきてしまったのだと思います。その中で、研究室を途中で変えることがしにくいなど、その制度上のずれを修正する適切な仕組みがないために、学生から見たときに不公平感が生じているように思います。やはり大学院生が参加している研究活動を充実させるというが基本中の基本なので、大学院生の目線にたって、その支援を強化していくことを考えないといけないのではないかと思っています。

【今榮委員】  私の所属していた大学は、学部生のうちに研究室の配属があって、研究の初歩的なことをやらせるんですが、理工系だとそのような大学が多いのではないかと思います。そうすると、修士課程に入るときに、既にどこかの研究室に学生が所属していることになり、学生にとっては、4年生のときに、本当は研究室をかわりたいと思っても、専攻の中ではかわりにくいということがあり、私は囲い込みとは思っていないんですけれども、日本では、そういうことが学部の時点で既にあります。研究所には、もともと学部の学生がおらず、ほかから来ますから、平等にローテーションなりをして研究室を決めるということは可能なんですね。そうすると、学部段階において、理工系で配属するのがなぜ必要かというと、学部で卒業して企業に行くわけですが、そのときに、そういう経験を持っていると、企業でも、技術系の企業に行ったときに、研究室での研究といったようなことを大学でやったという経験は実際に役に立つようで、そういう意味もあるのかと思います。それから、もちろん大学院に行く学生にとっては、少しでも早くそういう実質的な研究を経験することができるということがあって学部の段階で研究室に配属するという制度ができていると思うんです。
 そうすると、もし大学院でどこでも選べるということができれば、学生にとっても、4年生でやってみたけど、やはり自分のやりたいこととは違っていたというときに非常に動きやすいと思います。非常に勇気があって、自分はやはり違う先生の研究室に行きたいという学生は、本当にごく一部で、裏で聞いてみると、やはり言いにくいからそこに行きましたという学生がいるので、それについてはある程度ルール化して、4年生は4年生、そういうルールをきちんと決めない限りは、大学の中では学部のときから囲い込みを既にしてしまって、なかなか学生にとっては動きにくいということが現状ではあると思っております。

【樋口大学改革推進室長】  先ほどの調査の件でございます。エクスキューズになってしまいますが、この6割としたところにつきましては、先ほどあまり適切な言い方ではなかったところもございまして、計を分母として、何を拾ったかといいますと、例えば問16の(5)であれば、1年次、あるいは2年次修了時までといったところを回答したところと、その他の中で、ケース・バイ・ケースで、かなり細かく変更期限というものを設けていて、1にも2にも該当しなかったケースもありますので、そうしたものを合わせた数を引いたものを、特段のルールがない、あるいは変更できないことになっているということで挙げさせていただいたのが、およそこのような数字になったということでございます。ただ、まだこの回答自体がすべて回答率を得ているものでもございませんので変更もあるかと思いますし、また、この回答そのものは、何ら期限を設けていないものは回答しないシステムになっていますので、実は先生がおっしゃったような認識のほうが正しいと思いますので、後ほどこの資料については訂正したいと思います。

【郷委員】  専門分野や研究室の変更のルールのことをアンケートでとられているようですけれども、博士後期課程ですと、大学院生の委託と受けるほうと両方ありますよね。私もそういった形で何人かドクターコースの学生を指導したことがありますけれども、これはルールだけという問いなので、現状が把握しにくいのではないかと思います。むしろ委託学生とか受託学生がどれくらいいるのかというデータをお調べいただけるといいかと思います。あれはちゃんと教授会で承認されるものですし、現実には専門分野や研究室を変更しなくても、そういう形で、研究したい場合には、ほかの大学に行って、その間指導教員になってもらうというシステムがあるので、そういうものがどれくらい使われているかも、ぜひ一度、もう少しお調べいただけると実質的なことがわかるかなと思います。

【有信部会長】  今ずっと議論されている話は、ここで整理された改善方策の中にあまりエクスプリシットに出ていない部分があって、もう少しよく議論をする必要があるかと思います。先ほど五神先生からも指摘がありましたし、それから菅先生からのご指摘の、一貫制でなければならないということとも絡みますけれども、一つは、学生が大学院に進学したときに、ある意味で自分の希望がすべてかなえられるかという部分が第1段階としてあるわけです。つまり、自分が行きたい研究室に必ず行けるかどうかということです。この部分が最初に五神先生が指摘された配分というところと絡んできて、全て学生の希望通りにしていたら一つの研究室に山のように学生が集中してしまう。ところが、そういう形では教育ができないのは、やはり研究室ごとに教育を行うという形になっていて、大学院が全体として学生を教育するという視点になっていないために、一つの研究室に多くの学生を受け入れられないということになるわけです。したがって、これは大学院が基本的に教育という視点で物事を考えていないというところがあって、一つはそこが問題です。
 それからもう一つの問題は、研究という観点に立ったときに、一つの研究室に学生が集中し過ぎた場合に、研究指導が行いうるかということです。やはり行いきれない部分があるかもしれないという問題があるかと思います。ここは、学生の希望と、大学の運営、あるいは大学のディスプリンとの間でどういうふうに折り合いをとっていくか、あるいは制度的にどういう形にしていくべきかという問題につながってきて、ある意味で、今のように修士課程、博士課程と分かれていれば、修士課程では適当に分散して、大学院全体で教育をするという観点に立てばある程度は解決するかもしれませんが、本質的に優秀な学生をきちんと訓練して社会に送り出すということを考えたときには、もっと問題が出てくるのではないかと思われます。この辺はどういうふうにすべきでしょうか。

【中西副部会長】  少しずれるかもしれませんが、どのように教育するかというのは、教員個人にかかってくるのだと思います。1人で見られる人数も限りがある。一方、研究も基本は個人ベースだと思います。特に基礎研究は、個人がどういう研究をしているかということに一番のプライオリティーがあり、その人がどの研究室に所属しているかということはあまり重要ではないのではないかと思います。そう考えると、システムの改革よりも、やはり個人ベースでどのように教育して研究するかというほうが優先されるのではないかと思います。これはリーディング・ユニバーシティーのシステムになってしまうのですが、そこに所属する人がすべていいというわけではなく、個々にもっと着目するような議論も必要ではないかと思います。

【有信部会長】  今の話は教育システムを含めてということですね。

【中西副部会長】  そうです。

【有信部会長】  教育システム全体としてきちんと考えなければならないということですよね。

【中西副部会長】  特に研究面を考える際、システムよりもまず個人が上だということです。

【有信部会長】  個人のほうが上だと。その点については、多分いろいろ議論があると思いますけど、ご意見があればどうぞ。

【五神委員】  私、たまたまこの委員会の期間に工学系から理学系に移るということを経験しました。工学系ですと卒業生の大半が民間企業に就職するということもあって、そういう中での個々の教員が学生を社会に送り出す立場にあることを意識するというのはわかりやすいわけですけれども、理学系ではかならずしもそうではありません。しかし理学部でも卒業生が最終的にどうなったかを見ると、東大の物理であっても7割以上は結局民間企業に行くのです。一方で、大学院を見ますと、修士の定員が110ぐらいあるんですけれども、指導教官の数というのは、附置研なども入れると130人以上いるということで、ここの研究室の活動の為には、当然その学生を配分してほしい、あるいは学生をとる権利があるというような考えがものすごく強くはたらくことになります。これには、驚いたのですが、個々の研究分野にとってみれば、やはり大学院生が来なければ研究は進まないということも事実です。その学問を担っているという責任を持って活動している教員から見ると、非常に自然な発想としてそういう発言をされている。とんでもない考えだと最初は思っていたんですが、そうとも言い切れない面がある。ただし、その結果どうなるかというと、1研究室当たりの上限が非常に低い数で定められていて、今は2です。どんなに研究費が充実して研究スタッフが大勢いても、1学年では2人までしかとれません。これは、受験生の志望状況とは関係なく決まっていますので、当然学生から見れば研究室配属の志望満足度は非常に低いという状況になります。
 しかし、それがいろいろな分野の基礎研究を支える仕組みとして見たときに、大学院の教育と研究というのが一体となって多様な学術を支える仕組みとして機能するということも事実であるので、そこをどうするか。研究環境も、教員1人あたりが外部資金で言うと1けた以上簡単に違ってしまうぐらいの大きな格差があります。それでは、競争的資金のオーバーヘッド率を高くして、基盤的な研究費の財源を確保し、本当に必要なものとみんなが認める学術については、競争的資金がなくても研究教育が行えるように最低限の資金を配分し、極端な格差が開かないようにしておく。その上で均等に学生が行き渡るようにして、多様な学術を日本で育んでいくという形を完成させるという方法もあります。しかしそうではなく、もう少し個々の教員の自助努力を加速するような方法で効率化を図るべきという考え方もあります。そうでなければ、お金が幾らあっても足りないというのが現実です。これまでは、このように手綱を締めていくんだというやり方で来ていたわけですけど、大きなずれが生じてしまった。だから、大学院生を研究成果を上げるための労働資源として見るというのは、非常に言葉は悪いのですが、そういう部分が否定できません。しかも、学術の多様性を維持するという意味で、そこを完全には否定できないという現状の中で、実質的に改革を進めようとしたときには、その矛盾をどうするか考えないと改革は形式的なものになってしまうのではないかと思います。

【有信部会長】  今の話の中に、日本の大学院の一番の本質的な問題が全部含まれているような気がします。ですから、この部分はよく詰めて、今のような状況を何とかしなくてはいけないということで、5年前に大学院答申ができたということがあって、それに対して現状は、教育というレベルではかなりシステム的に改善はされてきているけれども、全体の体質的な部分はまだまだ変わっていないところがかなりありそうだということで、今の考え方は、少なくとも大学の使命として果たさなければいけないことと、それから大学院生をどう教育して、育成して、社会に出していくかという問題と、これが必ずしもハーモナイズできていないということが現実としてあるということです。それは、別に大学の教員が自分勝手にやっているとは限らないで、やはり大学の使命として、これをやらなければいけないということも踏まえてやっていることが、学生の本来の希望と必ずしも合致しなかったときになり得るということになっているわけで、こういうことを本来はなくさなければいけないということだと思います。ですから、そこをどういう方向で改善していくかということをきちんとしておかないと、また新施策要綱をつくっても、そこに踏み込んでいなければやはり改善は進まないということになると思います。

【中西副部会長】  資料3の最後のページの学問分野の特性に応じた改善方策のところです。ここに書かれていることは、もっともでいいと思いますが、ただ、今、人文・社会科学と自然科学の融合など、学問の融合が叫ばれている中、単に分野ごとのことだけを書くのではなく、理想を多少追求した形での特性も書かれるべきではないかと思います。
 その意味からもここで特に問題と思うのは医療系です。医療系には、臨床と基礎という問題があります。それをどう分けて考えるかということも問題と思いますが、日本ではバイオ研究は主に基礎研究をしているお医者さんに支えられていることが大きな問題で、また、これは日本だけの特色だと思います。そのため、バイオ研究がアメリカと比べて大きく遅れている大きな原因には、ほかの分野の人はなかなか入っていけない状況があることだと思います。医学研究が特殊だという目で見るのではなく、ほかの研究をしている人と同じように、かつマージしていくような道筋が十分見えるといいのではないかと思います。そのためには、政策的にもあまり特別視しないような方向に何とか持っていけないかと思っています。

【有信部会長】  たしか分野融合の話はどこか触れている部分が一部ありますし、今の中西委員の話はすごく重要なことで、実はわざわざ資料5で最後にページに日米の比較というのをつけてもらいましたが、大学院に入る前の入試のところで、アメリカの場合は幅広く優秀な人材を入学させるような試験システムになっていて、一方、日本の大学院は学部につながった形の部分をずっと引きずってきているところがあって、それが、今、中西委員が指摘されたような、それぞれの専門性に応じて幅広く人材が入りにくいという状況につながっているところもあると思うんですね。ですから、これも大学院の制度改革のところで、学位プログラムという言葉をわざわざここで導入しているので、これが実質的に有効に働くようにするための全体のシステム設計をどうやっていくかということにつながっていくのだろうと思うんですけど、ここまでできないと思います。

【山田委員】  今の学位プログラムにも関連することなんですが、資料4の7ページの(1)です。課程制大学院制度の趣旨に沿った体系的な教育の確立というところで、私は医療系や理工系のことはわからないんですが、ワーキング・グループで、人社系の中で、特に社会系を見てきた中で、結構この体系的な教育の確立の中で書かれているところ、例えば研究課題を発見し設定する力とか、研究方法等の構築する力、コミュニケーション能力とか国際性というところについて、このあたりというのは、おそらく人文社会系の中の経済にしても、私がおります教育なんか典型的なんですけれども、それから社会、文化人類学、そのあたりではほぼ一定にどこでも必要なものだろうと思うんです。例えば質的調査、あるいは量的調査、インタビューをするとか、そういうものが今実はばらばらになっていて、修士課程においてほかの専攻で学んできた学生が来たときに、教育の後期に来た場合などは、本来でしたら、その辺は一定程度できているはずなんですけど、日本の場合はばらばらのために、新たにもう一度研究方法や論文の書き方などを教え直さなければいけないというようなことがあるんです。文学などはわかりませんが、社会系に関しては、おそらくその辺は学位プログラムの中で非常に共通性があると思うので、全体の大くくりで研究方法、あるいは英文での書き方とか、そういうことは一定にできるんじゃないかと思うんですね。その辺もぜひ、この中ではもう少し具体的なところまで記載できたらいいのではないかというような感じがいたします。

【有信部会長】  ありがとうございました。
 体系的な教育プログラムとして、社会科学系ではベースになる部分がきちんと設計できるはずなので、それをもう少し明確にというご指摘ですよね。多分、いろいろあるCOEプログラム等々でもそういうことのトライアルはされてきていると思うので、それがきちんとできているかどうかというのは別として、理論的にはされてきているはずなので、そういうことも踏まえながら、教育体系をきちんと設計する。今のご指摘だと、ベースになる部分の教育体系と、その上に進められていく研究という形できちんと体系化ができるはずだと、こういうご指摘だったと思います。

【樋口大学改革推進室長】  ここに対応する部分、7ページのところでご指摘を受けましたので、これに関しては、ワーキング、それから大学院部会の中でも、前回までにさまざまな意見がございまして、7ページの真ん中あたりに、この段落で言えば3パラグラフ目の下のほうですが、幅広い基礎知識や俯瞰的な物の見方を修得する上で専門分野を選択できるよう、それぞれの学位プログラムの特性等に応じて、共通的な教育を組み込むということが有意義であるという形で、一定程度、ただ、研究遂行能力というところまで十分言及したものではないというところはあります。我々も、主としてCOE、あるいは大学院GPといったそのものの中で、どちらかというと大学院GPのところで、いわゆる基礎的な能力というものを、時に共通的に、あるいはモジュール的と言うのでしょうか、やっている取り組みはありますので、そういったものをより広く知らしめていくというようなことを通して、大学の取り組みを促していくということは必要なのではないかというような認識はしています。

【有信部会長】  そのとおりだと思いますけど、今のご指摘は、多分有意義であるぐらいではだめだということだと思います。

【山田委員】  もう一つつけ加えさせていただければ、多分アメリカの場合に限るのかもしれませんが、人文社会系におきましては、一貫制の場合でも、修士課程、あるいは主に後期の博士課程であると思うんですけれども、他の分野、自分に関連した、例えば私だったら教育ですけれども、文化人類学であったり、あるいは社会学であったり、そういう違う分野の後期の科目を、3科目は必ず単位で取るというようなことはあるんですね。そうすることで、つまり共通性も見えるところがあると同時に、非常に限られた、閉ざされたところではなくて、もう少し大くくりのところで他の分野と融合していくというようなことが奨励されているんですが、日本の場合は残念ながら他の専攻の科目を履修したとしても単位としては認めないということが結構ありますので、そういうところも奨励でできればいいなというようなところもあります。

【河田委員】  思うに、日本の大学院、結局、大学院大学にして、部会長が言われたように、学部教育と結びつけて、ほぼ全て法学部→法学研究科という具合に煙突型になっているわけです。旧帝大は煙突型でも、人数もそこそこ集まって、いろいろ弊害はあるだろうけれども、教育ができていると思うんですが、いわゆる大手校でも私立大学は、それぞれの煙突型にしても、もはや成り立たない状況に来ているんですね。ですから、もう少し間口を幅広くして、何々大学社会科学系研究科ぐらいにして、その中に法学専修・コースや経営学コース、経済コースなど、そういう形での元の学部を基にしながら、横断型にしない限り、学生は集まらない。専修あるいはコースにすれば、ある専修(コース)に学生が集まらなくても、ほかが集まっていればいいですわけですし、そこで教育制度またカリキュラムとして、もう少し横の共通の教育がたくさん可能となると思うんです。旧帝大も大学院大学にしてしまっているから変えようがないと思うんです。それで、皆さん大学院教授になっておられるからもうどうしょうがないんですけど、多くの私立大学は学部教授ですから、もうちょっと自由な組み立てができるような形の、「タコつぼ」でなく、「煙突」でない大学院の仕組みをつくらない限りだめだというふうな実感を、私は学長をしていて実感を抱いておりました。
 それともう一つ、医療系のところで問題なのは、以前と違って医学博士の価値がそれほど高くなくて、昔であれば医者で医学博士を持っていなかったら軽蔑されましたが、今は、それぞれの専門医制度によって成り立っています。内科なら呼吸器専門医、循環器専門医などというように。だから、医学博士の地位がかなり低くなってきているのではないかと思います。
 それとともに、それぞれの勤務医は忙しいですから、山形の病院に勤めながら都内の医学の大学院の学生であるという、非常に矛盾が生じています。実際は勤務医を務めながら名前だけは大学院に置いているという学生が増えていると聞いておりますが、そういう矛盾を解決しないと、医療系も非常に危うくなっているのではないでしょうか。そんな思いを持っております。

【有信部会長】  ありがとうございました。
 少し補足させていただくと、旧帝大でも、例えば学府という形で、新しい学部と関係ないところでの大学院の教育組織をつくっているところが、九州大学と東京大学にありますよね。ですから、ある意味で学部とかかわり合いがない研究科も幾つかできているということもあるので、この辺が、もう少し今のご指摘のように体系的にやれるようになればもっとよくなるというご指摘かと思います。

【菅委員】  この答申は非常にすばらしくて、私が期待しているのは、大学のカリキュラムは多分大分強化されて、よくなっていくだろうなと私自身は思っているんですけれども、一番欧米と比べて遅れているのは、明らかにファイナンシャルの問題だと思うんです。資料3の2枚目の裏の、優れた学生の進学促進というところを読むと、日本学生支援機構に対することがかなり出ているような感じがするんですが、今、業績優秀者奨学金免除を拡大するとここに書いていますけど、今どれくらいのパーセントが全額免除、半額免除になっているのかの情報をいただけるとありがたい。
 それをどれくらいに拡大すればいいのかなというのが少し疑問なのと、あともう一つ、RAという制度が、例えば東大だとできるようになったんですけれども、時間によって幾らとか、そういう制度になっているので、本来ならば、RAというのは、給料的な取り扱いをしてくれると、実際に何時間でいくらというような研究の仕方はしていないので、そういうところもやはりきちんと提言していかなければならないが、これだときっと具体的には何も見えない。もちろん、ここは具体的なことを書けという意味ではないんでしょうけれども、その辺のこともクリアに答申の中に入れていかなくてはいけないんじゃないかなと個人的には思いました。もし情報があれば、先ほどの全額免除、半額免除について教えてください。

【樋口大学改革推進室長】  ちょっと詳細なデータを確認させています。ただ、かなり大きな割合で、何割とかというようなレベルで何らかの免除措置が講じられているというような印象を持っていますが、ちょっとそこは後ほど。多分この時間中に答えが出ると思いますのでご報告します。

【菅委員】  一つ、よく言われるのは、学生が博士課程に行きたくなくなった理由の一つに、アカデミックにつくと、以前は授業料が自動的に免除になったんですけれども、それがなくなったので、博士課程に行って、途中でもちろん博士に行っても企業に就職する人はたくさんいたわけですが、それでも、それを目指そうという意思がある学生が減ってきたということはよく耳にすることなんです。ですから、全額免除、半額免除という、今のように推薦でやるというのは、学生のモチベーションには必ずしも結びついていないというのが現状だと思います。

【有信部会長】  今の話は梶山委員がおられれば立ちどころに答えが出る話なんですけど、要するに今だと完全免除というのが卒業時までわからないんですよね。ですから、入学時に完全免除ということが明確になるような形にしておけば、今の菅委員のご指摘は大分改善されるということで。梶山委員はたしかそういうことを以前にも主張されていたような気がしますので、そういう方向で改善をお願いしていけばある部分はいいかと思います。
 それから、今のRAの給料が時間単位で計算されるという話は、おそらく大学の教員の方々はよくご存じかもしれませんけど、それ以外の人は全く知らないと思います。ですから議論にすらならないんです。しかし、そこのところは非常に重要で、要は幾らと決めて採用したときに、ある程度の評価、採用時の評価基準を明確にした上でやれば、時間ごとに区切るというやり方について、何らかの対応ができるのでしたっけ。

【菅委員】  時間ではかることの問題については、例えば学生に月8万円出すとすると、週に3日とか、そういう感じでやるんですね。では、週に3日しか研究していかないのかというと、そんなことはないわけで、ずっとやっているにもかかわらず、学生たちはその3日間について記述をするというようなことが基本的に今まではずっと行われてきたわけですが、東大は最近変わって、1週間とか、それぐらいの単位でできるようにはなったんですけれども、まだおそらく多くの大学は時間単位であろうという気はするので、その辺のシステムも、活用できる競争的資金と言われても、多分具体的に何のイメージも持てないというのが現状かなという気がします。

【樋口大学改革推進室長】  そこは書き方をもう少し工夫できるかと思いますので、ちょっと研究してみたいと思います。

【有信部会長】  基本的には、大学も国立大学法人、あるいは私立大学はもともと法人ですから、法人の中の教員も、ある意味では法人の中の被雇用者ということになっていくと、その人が働く内容は、今で言えば裁量労働制になっているわけで、裁量労働制の中で教員はみんな教育・研究をやっていると、こういう位置づけのはずですよね。
 それに対して、大学院生は、ある意味では労働者ではないし、被雇用者でもないという位置づけの中で、これをどういうふうに位置づけるかということで、RAの費用の定義の問題があるような気がしますから、よく検討したほうがいいかもしれないですよね。ですから、場合によってはアルバイト代のような形で、昔の科研費の中のアルバイト代のような位置づけで払っているんだと、今言ったような話になりますから、このあたりは、RAやTAの制度設計そのもののあり方を少し検討しかほうがいいのかもしれませんね。

【樋口大学改革推進室長】  この点は、先ほどご議論がありました、それぞれの研究室の研究環境によって、どのような大学院生が獲得できるかどうかというような議論とも絡む問題ではないかと認識していますので、その辺のところも含めて少し研究をしてみたいと思います。

【五神委員】  今おっしゃった点は、非常に重要で、例えばその原資はどこかということで言うと、今のところはGCOEなどの補助金、あるいは個々の教員が獲得する競争的資金、あるいは東京大学のような比較的余力のある大学ですと、大学の裁量でできる部分があるかもしれませんけれども、その資源の配置をどのように恒久的な制度として形を整えていくかということを議論してほしいということを、この場の中でも何回か発言してきたと思います。これまでは、プロジェクトベースで、プロポーザルを出してそれを獲得して実施するということを5年タームで繰り返してやって来ました。その結果、いろいろな制度上の改革や工夫が各大学で重複して行われてきました。それらがある程度全体的に見えてきたのですから、それを制度として定着させる仕組みを設けてほしいと思います。それを国レベルでやるのか、あるいは各大学の裁量に任せるように、資源を各大学に措置してやるのか、あるいは競争的資金にプラスで措置される間接経費という形で、自助努力を促す形でやるのか、そのどのやり方を進めるのかという方針が定まっていないと、非常にその場しのぎ的になると思います。例えば間接経費について言えば、本来、運営費交付金というものを効率化という名の下に削減していく中で、それを補償するために、自助努力で機関の基盤部分を補強する仕組みとして導入されていたものであったと理解していたのですが、最近の動向を見ると、間接経費が、切り代のようになっていて、方針が変わったように見えます。これまで、自助努力による改善の仕組みとしてせっかく定着しかかっていたものが、仕組みとして回らなくなってしまいます。間接経費方式ではうまくいかないんだという結論が出ているのであれば、よりもっと安定的に、もっと大きなスケールで措置する仕組みを代わりに用意することが必要です。先ほどの議論にもありましたように、私立大学においてそういったことを考えたときに、大学が努力してくださいと言われても、なかなか人材育成の基盤的な部分を安定的に措置するというのは難しいと思います。学生への支援もそうですし、トップを伸ばす施策もそうですし、支援スキームの全体の構造を定めていく必要があると思います。

【藤原大学振興課長】  今、大変大きな視点からのご指摘をいただきましたけれども、おっしゃるとおりで、RAにつきましては、とりわけCOEが始まってから、その数が拡大をしてきました。大体今1万2000人ぐらいじゃないかと思うんですけれども、およそそのうちの半数近くがGCOEでその財源を支弁している状況かと思います。その一方で、おっしゃったような間接経費の問題などもあり、なかなか十分な措置ができにくくなってきているということが一方にございます。そうしたものを含めて、現行の科学技術基本計画では生活費相当額の給付者の割合を2割程度にするという目標があるわけでございますけれども、そうしたものを今後どう考えるのか。また、日本学術振興会のフェローシップのようなものがございますけれども、そうしたものとの関連の中で、博士課程学生の経済支援を全体としてどう考えるのかといったようなことについて整理をしていく必要があるのかなということを思っている次第でございます。

【有信部会長】  もともと独法化の際にいろいろ議論があったときに、産業界サイドとして考えていたことは、やはりドクターコースに優秀な人たちがどんどん行って活躍してほしいということです。そのためにはドクターコースに行く学生に対する経済的支援が不可欠であり、したがって、いわゆる競争的資金とか外部資金の中で、最低限3割程度のオーバーヘッドを確保すべきである。そのオーバーヘッドの中からドクターコースの学生の支援をすべきであると考えていたわけです。
 それからもう一方で、優秀な研究者のところにどんどんお金が集まって、優秀な研究者、あるいは優秀な研究室群、あるいは研究グループがどんどん世界的に活躍してほしい。したがって、お金は優秀なところにどんどん傾斜的に配分されて、そこの研究室がどんどん大きくなるということで構わない。もちろん、産業界は当然自由競争ベースの考え方でいきますから、そのようになる。
 しかし、一方で、日本として知的基盤をきちんと確保するために必要な教育、研究の部分があります。この部分については、やはり国、あるいは大学が責任を持って手当てをすべきでしょう。したがって、今の費用区分の中で言えば、運営費交付金の傾斜配分を、逆向きに傾斜配分をするようなことまで考えて、大学の責任において大学が必要と思う教育・研究基盤をきちんと確保すればいい。これがいわば、非常に乱暴な言い方をしたんですが、企業の自由競争ベースでの考え方なんです。
 それを徹底させればうまくいくだろうと思っていましたが、もう一方で、やっぱり大学サイドではバランスという感覚が働くし、弱肉強食に対する基本的なアレルギーがありますから、そこに対するブレーキがかかっている。こういう部分が一方であるので、ここのところをできるだけシステム的にうまく回るような形にしていくには、どういう手を打てばいいかということだろうと思うんです。

【続橋委員】  資料4で言いますと、まず1点目は、5ページ目の3.大学院教育の改善の方向性で、大学院教育を取り巻く情勢というのが最初にありますが、情勢というのは、ここで書いてある以上に実態は進んでいくんじゃないでしょうか。具体的に言うと、最近、例えば楽天とかユニクロが会社の公用語を英語にするということがあります。楽天とユニクロだからできるのかもしれませんけれども、そんなところもあります。そうすると、外国では博士がこうやっていると書いてあるんですけれども、じゃあ、外国人をとったほうが手っ取り早いということにもなりかねません。
 あと一方では、日本企業も、法人税は高い、円高で困るといったことで、10年前には東京に本社があった企業が、10年たったら台北が本社になってしまいました。それでは今後、台北に採用試験を受けに行くというようなことになるかもしれないということで、グローバル化と言っても、採用の面でもそういったことが進むのではないかといった危機意識があるというのが一つ。それともう一つ、逆のことですが、同じ資料4の13ページの(8)に、我が国の成長を牽引する世界的な大学院教育拠点の形成というのがあります。文章を見ると、いろいろやりますけれども、最後は関係業界、経済団体からの採用面等での支援などにより、キャリアパスの確立を推進するなどと書いてあって、いろいろやったのだから企業だって採用してくださいというような感じにも受けとれます。これだけ高い目標を掲げるのであれば、これにとどまらず、そういった人間は、最近引きこもり傾向が日本にもありますから、外国の企業へ行ってどんどん活躍して、日本だけではなくて、世界を引っ張るような、そういう人材として活躍してもらいたい、というぐらいの気持ちでもいいんじゃないかなという気がいたしました。

【有信部会長】  ありがとうございました。
 今の最初のほうの指摘は、現実にそのとおりで、幾つかの日本の有名企業の筆頭株主が中国企業になっている例が幾つも出てきています。そうすると、そういう会社に就職しようと思うと、北京に行って面接を受けなければならないという話になりかねない。そうすると、グローバル化というのは、そんな悠長に言っている場合ではないというのと、いろいろ議論していて感じるのは、日本の大学人も、日本の企業人も戦後の成功体験にものすごくとらわれ過ぎているということです。戦後の成功体験があるがゆえに、なかなか新しいことに対応し切れていないというところがあると思いますので、ここはやはりシステム的に何らかのくさびを打ち込まないと、完全に日本が遅れてしまうということになりかねないような気がします。

【五神委員】  その変化が急だということについては、私も実感しているところです。この委員会での議論を始めたころには、中国では、例えば北京大学ですと、優秀な学部生の9割はアメリカに行って博士号を取ってくる。それらの学生が将来中国に戻ってくるということで、戻ってきて、自前で学生を生産できるようになったときに、日本はかなり取り残されるのではないか心配だという議論をしていました。しかし、つい最近聞いた話では、物理学の分野ですけど、5割が自校の大学院に残るようになったということです。つまり、優秀層も北京大学に残るようになったということなのです。さらに、ヨーロッパからの中国への留学生がものすごく増えているという状況があるということです。ここでの議論は、そんなにのんびりした議論ではなかったと思っていますけれども、それでも、この短い期間にも、前提ががらりと変わりつつあるということなんだと思います。ですから、産業界のほうは、博士を取らなきゃいけないということについてみんなアグリーしていて、だから一生懸命博士を取ると。そのときには国際公募をして、日本人もたくさん応募してくれるんだけど、結果的には、ほとんど日本人は通らなくて、外国人をとらざるを得ない状況になっているということも伺っております。時々刻々、急速に変化しているというところがあって、日本人の優秀層をきちんと育てて、その人がグローバルにきちんと活躍するということが多分共通の目標だと思うんですけれども、それをどうしていくかということについての情勢分析については、どんどんアップデートし、素早く手をうっていかないと危ないなという気がします。

【今榮委員】  先ほどのファイナンシャルの問題などは、大学分科会において報告になるんですか。その中で、大学に向けて発信しても、それは何の効果もないので。そうしますと、我々の議論の発信が、大学向けの発信内容と、例えばファイナンシャルですと、また別のところに持っていかなきゃいけないですね。そういうふうな内容の振り分けと、それから、その持っていき先、それを少しはっきりしないと話が分散するような気がするんです。

【有信部会長】  今のTAやRAの議論について、要は財源等々の扱いの部分については、また別途ということですよね。

【今榮委員】  ですから、ここでの話が、大学に向けての報告なり答申であれば、そういう話は入りませんが、もし企業が絡めば、そこでまた少し方向性が違ってくると思うので、方向性をちょっと教えていただきたいと思います。

【樋口大学改革推進室長】  基本的に、5年前の大学院答申の大きな流れは、コースワークの充実をはじめとする大学院教育の実質化ということでした。この中身は、大きく国に対してさまざまな推進を講ずるというような話もございましたし、制度改正を行うべきという話もございましたけれども、かなりの部分は、やはり大学に向けたメッセージが多くあります。
 今回の議論は、そうした検証から出発して、各大学の現場レベルの改善がどこまで進んでいるかというところから出発しておりますので、報告の中のメッセージの出し先に関しては、かなりの部分、大学に向けたメッセージという部分が含まれてくると思います。
 今回、議論を整理して資料として示させていただくところも、例えば国としてとか、国が特にここをこうしていくべきだというところは、そういう書き方をするように、できるだけ心がけております。このご指摘も受けて、誰に向けたメッセージかということがわかるようにさらに努力していきたいと思いますし、先ほどの財政支援スキームということに関しましては、お金の多寡の問題と、スキームの問題と、あと柔軟性の問題、そういったものもあり、国あるいは大学それぞれにどういうことができるかということを考えていかないといけないと思いますので、そこは細かく座長とも相談しながら研究してみたいと思います。

【金子委員】  今の話とかかわるんですけど、基本的に今回の議論は次期の振興計画をどのようにつくっていくかということに焦点を合わせて議論してきたわけでありますけれども、これは前回の振興計画というのがあって、そのときのかなり大きなエンファシスとしては、1つは学位をもうちょっと出したほうがいいのではないかという問題。それから、もうちょっとクラスといいますか、カリキュラムといいますか、コースワークをきちんとしろというのも非常に大きな主張だったと思うんです。今回、この作業でいろいろと調べてみれば、やはりコースワークをある程度実施するようになっている。学位も比較的出ているんじゃないかというような議論だったと思います。
 ただ、もう一方では、むしろ大学院進学は停滞していて、特に博士に関しては非常に大きな問題があるというのも明らかになりました。そういった点で、今回は前回と比べれば分野別にかなり具体的な議論が進んできていて、その中でかなり具体的な問題が明らかになっていて、例えばキャリアパスを明確化するべきであるとか、前回なかった議論もかなり出てきていると思うんです。ですから、そういった観点から言えば、この原案はかなり今の段階で議論として書けることはいろいろときちんと書いてあると思うんですけど、先ほどから何回か出てきている問題は、大学院の組織というか、制度的な問題がかなり根底にあるんだということがどうしても出てくると思うのです。一つは、大学院制度は、専攻などの組織でできているわけでありますけれども、先ほどのアンケート調査を見ていても、4,600ぐらい専攻があるわけですけれども、多分半分以上は学生が1人とか、2人とか、3人とか、ものすごく小規模な専攻であり、人文系なんか3分の2くらいか、4分の3くらいか、そんな感じです。そうすると、専攻の中で少し幅広い教育をしろと言っても、全然現実的じゃないわけです。先ほどのアンケートは、実は移動するとか言っても意味がないことを聞いているんです。
 それともう一つは、先ほど問題に出ていた、学生の割り振りとか、要するに教員組織と、研究分野の組織と大学院の帰属組織を一致させなければならないのかどうかという問題が基本的に根本的な問題としてあって、今それを保護しようというのは、何となく組織的に規制しているわけでありますけれども、これもこのままでいいのかという問題もあります。
 そういった問題が一つの組織の問題としてありまして、もう一つ、今まで何回も議論になっているのは、大学院修士課程と博士課程の分割の仕方はこれでいいのかという問題です。それで、クオリファイ・エグザミネーションと言うんですけど、博士課程の執筆資格試験の審査みたいなものを導入しようという意見もあるわけですが、修士課程から博士課程の進学とクオリファイ・エグザミネーションの関係はどうなるかということも、実はあんまり議論はされていないわけでありまして、今、修士・博士の構造を保つのであれば、博士課程に入ってからクオリファイ・エグザミネーションもやるのか、あるいは修士課程の修了の段階がそうであるというふうに解釈して、そこのところも試験でやると言っているのか、そこら辺の議論も必要なんだと思います。
 私は、そういう制度的な問題はそろそろ置いておけなくなってきているのではないかと思うんですが、先ほどからの議論で、今ラディカルに世界は変化していて、大学院も変化しなければいけないということと、そこらの問題は難しいからといって置いておけなくなってきていると思うんです。ただ、今回の議論は、振興計画も目前に新しいのをつくらなければいけないわけでしょうから、そこまでいかないと思いますけれども、そういった問題があると。次の段階としては、あるいは次の振興計画期間にはそういった協議をしていかなければいけないんだというようなことを少し触れておくことは非常に重要なのではないか。そこらの芽を出しておくといいますか、そこらはちょっと議論しておいたほうが私はよろしいと思うんです。
 それと、あと一つ、リーディング大学院が一方で出てきて、もう一方で、非常に小規模な大学院がいっぱいあるという状況なのです。下手をするとリーディング大学だけ話が出てくる。その中の中核となるようなところには議論が留守になってしまう可能性がある。そういう意味でも、やっぱり組織的な観点というのを入れざるを得ないのではないかと思います。

【榎本高等教育政策室長】  続橋委員の五神委員のグローバル化関連で少しだけ補足いたしますと、冒頭ご紹介しました第四次報告では、22ページ、それから23ページのところで、少しその辺を意識した記述を入れております。アジアというコンテクストにやや限定してはありますけれども、22ページ、(1)の最後の段落ですけれども、アジアの経済の一体的進展ということを背景として、日本の国内のさまざまな制度や慣行、企業の採用・雇用・処遇のあり方、あるいは自治体のパブリックセクターの役割・機能が、より多様化・複雑化しているという現状を認識した上で、23ページでございますけれども、グローバル化が進展する中で、大学教育のあり方を問い直す契機になっている。ここでは、学士課程を中心といたしまして、日本の卒業生の多くが国内に就職して、企業で訓練を受けていくということが事実上想定されてきましたけれども、実際、今後のことを考えていくと、大学教育は多様な地域からの学生を受け入れていって、また、彼らの進路も多様であるという問題意識も踏まえていきながら、体系的な教育課程を編成していく等々、課題があるということを書いておりまして、これはアジアとの交流とやや限定されたコンテクストでありますけれども、このあたり、もう少しさらに強くしていきながら、大学院の議論と連動させた整理はあるのかなと思っております。

【有信部会長】  そこの認識は多分いいと思います。その認識が具体的な施策にきちんと結びついていっているかどうかというところが問題かと思います。
 それと、最後に金子委員から指摘がありましたけれども、組織・制度の問題については、1つの切り込み方として、学位プログラムという考え方と、それから5年生大学院ということを、従来とは違う一貫制大学院という形をある意味でモデルケースとして出して、その中で、冒頭に菅委員が言われたような、ある種の複数の研究テーマを経験するような仕組みを織り込んだような形の新しい設計を、例えばモデルケースとしてやっていくということを、1つにはリーディング大学院のような形で実施していくかというようなところがトライアルとしてはあります。そういうトライアルを踏まえながら、さっき金子委員が言われたように、全体の制度設計を大きくもう一度見直していくというステップを踏まないといけないかもしれません。
 特に、一番重要な指摘は、要するに1人、2人というようなケースの大学院がばらばらと日本中のあちこちにあって、この中できちんとした教育を、本来の学生が望むような教育を本当にやっていけるのかということも踏まえての見直しというのも多分必要にあるだろうと思いますので、そこのところを検討課題として入れていくべきだろうと思います。
 申しわけありません。ちょっと時間がオーバーしてしまいましたが、本日の議論は非常によい、本質的なところを突いた議論が多かったと思いますので、ちょっとこれは整理するのが大変かもしれませんが、少し整理をよろしくお願いします。
 それでは、今後のスケジュール等について、事務局から説明をお願いします。

【樋口大学改革推進室長】  最後に1点だけ、奨学金の関係だけ補足します。貸与奨学金受給者の成績優秀者の減免の話でございますけれども、成績上位の3割が対象で、大体比率として1対2の割合で、1が全額、2が半額という形でございます。ちなみに、大体の目安で申しますと、修士段階においては、全額が大体2,000人強で半額が4,000人強、博士段階においては、全額が大体600人で、それに対して半額が1,200人ぐらいと、大体全体で2,000人ぐらいというような、そのような状況であります。
 今後のスケジュールに関しましてでございますけれども、次回の日程は、まだセットしてございませんけれども、おおよそ9月末の開催を目途に、今後、先生方と日程の調整をさせていただきたいと思います。
 以上でございます。

【有信部会長】  どうもありがとうございました。
 きょうは時間が多少超過をしてしまいましたが、申しわけありませんでした。
 本日はこれで閉会にしたいと思います。どうもありがとうございました。

お問合せ先

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大学院係
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