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大学院部会(第40回) 議事録

1.日時

平成20年2月21日(木曜日) 14時~16時

2.場所

三田共用会議所 (3階) 第3特別会議室

3.議題

  1. 大学分科会の審議状況等について
  2. 専門職大学院に関する今後の検討課題について
  3. 博士課程修了者等の諸問題について
  4. その他

4.出席者

委員

(委員)荻上紘一(部会長)、金子元久(副部会長)、黒田玲子、佐伯啓思、野依良治の各委員
(臨時委員)天野郁夫、有信睦弘、生駒俊明、尾池和夫、黒田壽二、佐々木正峰、菱沼典子の各委員
(専門委員)伊藤文雄、梶山千里、川村正幸、清水康敬、菅裕明、福田康一郎の各委員

文部科学省

林文部科学審議官、清水高等教育局長、磯田私学部長、土屋高等教育局審議官、久保高等教育局審議官、合田大臣官房総括審議官、藤原高等教育局企画課長、中岡大学振興課長、藤原専門教育課長、杉野私学行政課長、戸渡科学技術・学術政策局政策課長、山脇科学技術・学術政策局基盤政策課長、鈴木高等教育局企画官、井上大学改革推進室長、浅野専門職大学院室長 他

5.議事録

(○:委員、●事務局)

(1)事務局より、配布資料の説明があった。

(2)会議の公開について諮られ、会議の公開が決まった。

(3)大学分科会の審議状況等について事務局から説明があった後、教育制度部会・大学分科会を兼任する金子委員から「教育振興基本計画の在り方について」の説明があった。説明後、意見交換があった。意見交換の内容は以下のとおり。

○突出しているのは社会人の75万人だが、この内訳はどうなっているのか。例えば、アメリカはフルタイム換算であり、コミュニティカレッジもある。また、学部学生が何割で、大学院生が何割といった割合は考えているのか。

○社会人については、大学が構造的に変化し、社会も変わらないと、現状データの延長では75万人にはならない。これは望むべき姿を描いたものだ。

○数値目標は実態がともなうかどうかが心配だ。「留学生30万人計画」の内訳のイメージはあるのか。

●総理は内訳までは出していない。今後留学生特別委員会で議論していく。意見書の留学生25万人の細かい内訳までは承知していない。

○今の話は、トレンドではなくその流れを引き起こすという話である。未来の予測というよりそういう方向に持って行こうという考え方と認識。そのために、アクションプランみたいなことを考えているのか。

○最近の大学分科会は、現在起きている課題を議論しているが、長期的なヴィジョンがなかった。そこに、ヴィジョンを示したことは現時点の問題点を議論する中で、そこにもっていくということ(目標)を示すことができてよかったと思っている。アクションプランについては、まだない。これは、まさに中教審全体で議論するものだ。

○75万人の社会人の中には履修証明など、いろいろな学生が含まれるのか。そうなると学生や教員の質が保てるかどうか。

○2025年に大学がどう変化するかというシミュレーションはしていないが、在学生で社会人が増えた場合には、違った形態の大学院がでてくるだろうし、大学教員についても同様。いずれにせよこういったことが可能であれば、どういったことが必要なのかということを教員や施設の問題も含めて考えるべきである。一つ言いたいのは、今は大きな転換期である。今は修士学生が少なく、これをどう転換するかだ。大学なのか、社会なのか、そこは議論を要する。

○基本計画では、最初5年間の目標を示す。そうであれば、今の時点から始めないといけないことを示すことが必要。今は「転換の始動」とのことだが、この最初のステップについてもう少し詳しくお聞かせいただきたい。また、5.5兆円公財政支出を増やすと書いているがその公財政支出分がどこにいくのか。

○これは大学分科会で議論すべき事項と認識。本提言は、教育振興基本計画の中で高等教育の地位を明確にしたいとの意識から行っている。初等中等教育は危機感があり、そのために必要なことがはっきりしていてメディアも言っている。一方、高等教育は18歳人口が減ってきて大変だという意識しかない。私は、かねてから質的転換を図るのが必要だと言っている。先生がご指摘の点については、今後、具体的に大学分科会などで議論していくものだと思っている。

○大学院部会としての所見をまとめたものが机上にある。今出た意見と、後ほど事務局にお寄せいただく意見を合わせて分科会長に渡したいが如何か。

(異議なし)

(4)専門職大学院について、事務局より資料の説明があった後、意見交換が行われた。意見交換の内容は以下のとおり。

○専任教員の学位取得状況を示す資料があるが、専門職大学院の教員については学位の取得状況は重要なのか。学位を持っていても教える能力がない先生はたくさんいる。むしろ教育力をチェックすることが重要であり、むしろ授業能力を高めるための教員をトレーニングする場が必要である。

●専門職大学院については、専任教員の学位の有無を規定上は問題にしていない。ただ、教員に学位が無いために、専門職大学院の質の面で懸念があるという設置審からの意見に対応するため、データを紹介した。

●学位を持った教員が一定数必要という点で若干補足したい。大学における教育と研究は両輪であり、実務家教員だけになると、基本的な機能が損なわれてしまうのではないかという懸念がある。設置審からの意見は、教育研究の機能を担保するため、専門職大学院についても一定程度は学位をもった教員が必要ではないかという問題提起である。

○教員の授業力が問われている。専門職大学院に限らず、すべての大学の先生の授業力を高めることが必要。

○専門職大学院も「大学院」なのだから、実務と理論との両輪で動かしていくことが重要。専門的な職業人としての教育を行う一方、研究もする。そのためには、ある程度学位をもつ教員が必要だし、アカデミックなトレーニングを受けている教員も必要。ただし、現状はかなり疑わしい。また、営利法人(株式会社立)の専門職大学院は教育のガバナンスをどうコントロールすべきなのか。教授会すら設置されておらず、事実上経営者の思うままに運営しているところもある。これは、教育の面から問題があるのではないか。また、学部を出ていない留学生が3割もいる専門職大学院もある。特区なので、本来は自治体が監督すべきなのに野放しになっている。入学者の質の確保も問題になってくる。ただちに規制が必要ということはないが、質の確保のためには、内部のメカニズムを整える必要がある。情報の公開も含め対応が必要。

○専門職大学院は今後発展する可能性はあるのか。作ってみたが、社会人学生は増えない。今後どうするのか考える時期である。それは何が原因なのか、教育の在り方が不適切なのか、修了後の就職機会が不安なのか、制度自体に問題があるのか。その議論のほうが大きな問題である。映画などの新たな分野の専門職大学院は増えるが、医師や産業技術者、法曹などの伝統的な分野は増えない。高度専門職業人養成を目的とする既存の大学院の多くが専門職大学院に移行するかといえば、実際は教職大学院のように新たな制度を作らないと移行しない。安西分科会長の提言には、社会人を75万人にとあったが、専門職大学院はその受け皿となりうるのか。そのような、もっと大きな議論をしないといけない。

○法科大学院は非常に魅力的と感じたが、専門職大学院が社会人にとって魅力的でないのは、修了生が身につけるべき能力、すなわち到達目標が何なのか明確にされていないからではないか。FDについても、学生による授業評価はほとんどのところでやっているようだが、それだけでは正確な評価にならない。修了生について、達成すべき能力を測る取組や能力保証をするための方策を進めることが必要ではないか。

○FDがきちんと実行されているかどうかは、このデータからはわからない。

○今、専門職大学院は過渡期であり、PDCAサイクルに基づいて認証評価の結果とそれに基づくデータ等を踏まえつつ検討するべき。私事であるが、現在、文科省の委託事業でビジネススクールの必要性について、日本、中国、韓国、ロシア、メキシコにアンケート調査を実施している。「企業が日本に対してどういう教育を求めているか」、「これに対して、ビジネススクールはどうこたえるか」、「これに対して、学生はどう考えるか」の3つだが、この結果が今後の議論に役に立てばいいと考えている。

○FDも基準上義務づけているのですべての専門職大学院で実施しているが、実態調査のデータではそれがどの程度機能しているかは読み取れない。今日の議論を踏まえ事務局で整理をお願いしたい。

(6)博士課程修了者等の諸問題について事務局から説明があった後、意見交換があった。意見交換の内容については以下のとおり。

○医学研究科における学位審査不正の問題についてはまことに情けない。「新時代の大学院教育」答申の際の議論でも医学系研究科で金品授受が慣例化していることについて発言したが、答申には取り上げられず、結果的に古い体質が残ったことは残念。10年前に国立大学部長会議でも金品授受の慣例はおかしいと発言したことがあり、指導教授が主査になることは学位審査の透明性・客観性確保の観点から望ましくないので、そうならないように変えてきた。背景として、医学系の外部からの介入を受け付けない閉鎖的な体質がある。指導教員でないと論文の内容が分からないから審査できないというのはおかしく、教員とその教育の幅の狭さを示すものでしかない。大学が自ら変われないのなら、文部科学省からも大学に対して透明性・客観性確保の取組を促してほしい。
 平成17年度「魅力ある大学院教育」イニシアティブで京都大学と神戸大学の教育プログラムを採択したが、学生主体で自由なコース設計を可能にすることにより、従来の講座制による閉鎖性を廃して、蛸壺型教育に陥らない教育体制を確立している点について共通しており、高く評価できる。

○博士課程と社会のニーズとのミスマッチについて、専門領域の蛸壺に入りすぎているのをどう打開するか。企業側には特に人文社会系のドクターを敬遠する意識があるが、企業と意思疎通を図るなどして打開が必要であると考える。例えば、官庁で課長以上はPh.Dを条件にするとか、今後の採用に当たってはPh.Dを条件にしてはどうか。文部科学省が変われば、企業等の意識も変わるだろう。専門領域以外右も左も分からない博士課程修了者を作ってはいけない。

○就職できないから博士課程に進学する者もいる。博士課程に入ろうとする若者には入口で明確な目的意識を有しているか確認した方が良いのではないかと思う。そうすれば状況も変わってくるのではないか。

○満期退学者の実態把握ができていないのではないか。大学の判断により、満期退学後も一定の期間内であれば課程博士を授与しているが、法的根拠等が不明である。

○入口、プロセス、出口のそれぞれできちんと管理することが必要。多くの領域で博士課程はほとんど全入の状況。スクリーニング機能はほとんどない。博士課程の入学定員は、講座制の頃は1人だったが、現在では複数の学生を有するようになった。入定の充足率が低いことが予算にひびく仕組みはいかがなものかと思う。定員を満たすために全入を許していては、学生の質が落ちるのは当然。
 また、大学院は中等教育の教員養成にもっと真剣に取り組むべき。秋田県の事例もあるが、理数教育立て直しのためにももっと博士を活用すべきではないか。

○大学院定員の充足率の話が出たが、大学院の適正規模はどの程度なのかということについて、文部科学省はメッセージを示すべきと思う。理工系の場合、確かに企業等における研究者数は伸びているが、これで博士課程修了者の進路が安泰かと言えばそうではないと思う。もっと細かく見てみれば別の側面も見えてくるのではないか。いずれにせよ、将来が不安定だからということで、学生が博士課程に魅力を感じず、優秀な学生が博士課程に進学しなくなることについては大きな危機感を持っている。

○経済的支援は非常に重要な要素。十分な能力を有する博士課程学生に生活費相当額程度の経済的支援を行うことなしに、国際的水準の大学院教育を達成することはできない。現状に対して、これから博士課程で学ぼうとする学生は怒らなければならない。また、キャリアパスの確保も必要。例えば、知的財産の分野では、日本に科学技術が分かる弁理士が不足しており、これでは日本の技術がデファクト・スタンダードを握るのは難しい状況。こういう職種は大きな収入も見込め、専門知識も活かしうるので有力なキャリアパスと思う。

○日本は、科学技術立国を標榜しながら、工学系の競争率が極めて低いことに非常に驚いた。中国ではサイエンスのPh.D取得者数が大幅に増えているが、米国がこれに衝撃を受けている理由は、取得者数増加のスピードが10年前の米国と同様であることによる。日本は、ますますこれらの国から引き離されようとしている状況。なぜ中国ではこのようなことができて日本ではできないのか調べてもらいたい。

○今後この問題については継続的に議論する。事務局には、論点の整理、必要な調査をお願いしたい。また、学位審査に係る不正についても適切な対処をお願いしたい。

(7)大学院部会は4月を目途に開催されることとなった。

お問合せ先

高等教育局大学振興課大学改革推進室

大学院係
電話番号:03-5253-4111(内線3312)

-- 登録:平成22年07月 --