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大学院部会(第36回) 議事録

1.日時

平成18年9月28日(木曜日) 13時~15時

2.場所

如水会館 富士の間(3階)

3.議題

  1. 「大学院教育振興施策要綱」のフォローアップについて
  2. 教職大学院制度の創設について
  3. その他

4.出席者

委員

(委員)中嶋嶺雄(部会長),黒田玲子,郷通子の各委員
(臨時委員)荻上紘一,黒田壽二,菱沼典子,矢崎義雄の各臨時委員
(専門委員)伊藤文雄,川村正幸,北村敬子,白井克彦,福田康一郎,堀井秀之の各専門委員

文部科学省

清水高等教育局長,磯田高等教育局担当審議官,辰野高等教育局担当審議官,中岡大学振興課長,片山私学行政課長,永山専門教育課長,伊藤大学改革推進室長,新田教員養成企画室室長補佐 他

オブザーバー

原山優子総合科学技術会議議員

5.議事録

(○:委員,●:事務局)

(1)事務局より,「『大学院教育振興施策要綱』のフォローアップ」について説明があり,その後質疑応答が行われた。質疑応答の内容は以下のとおりである。

○概算要求では,積極的に取り組んでいただいているが,一方で,大学院教育の現場との間に乖離があるような気がする。最近,博士課程に在籍する留学生と懇談する機会があったが,その際,現場では中央教育審議会の答申が活かされていないように感じた。そのため,これまでの議論が実効的になっていないのではないか。その点をどのように改善していくのかも大きな課題ではないか。

○医療系では臨床系の大学院が様々な問題を抱えていたが,平成17年9月の「新時代の大学院教育-魅力ある大学院教育の構築に向けて-(答申)」が出たあとは,内容の把握に努め,「『魅力ある大学院教育』イニシアティブ」事業にも積極的に参加した。大学院教育を実質化するには相応の負担もあるが,教員の意識改革にもつながっているのではないか。

○科学技術関係人材のキャリアパス多様化促進事業について,「博士号取得者等の専門性を有する人材を活用することの重要性が高まっている」とあるが,企業は本当にこのような人材を求めているのか。大学が大学院生に対して様々なキャリアパスを切り拓くための教育を行ったとしても,企業側が採用しないのでは,効果が薄くなるのではないか。また,この点が大学院に進学するかどうかの判断材料にもなっているのではないか。博士号を取得した後にどのような進路が開けているかを国としてもある程度示す必要があり,見通しが立たなければ,いくら大学が教育システムを充実させても,学生が大学院に進学しないという状況になるのではないか。

○キャリアパスの多様化については,大学と産業界が如何に連携するかが重要ではないか。大学在学中に産業界の状況を知るために,現場と情報交換することが重要である。産業界側は大学院が現状のままでは,採用につながりにくいと考えているようである。学生の専門性プラスアルファの部分を伸ばしていくためにも,この「科学技術関係人材のキャリアパス多様化促進事業」を活用すべきではないか。

○特に理工系の大学院では,産業界との連携を徹底して行っている。やはり,現場の需要に対して役立つことを認識していかなければならない。これについては,人文社会科学系でも同様のことが言えるのではないか。自らの研究が,実際に社会ではどのように役に立っているのかについて知る必要がある。これまで教員は,大学院で教育するということについて十分訓練されてこなかった。自らの学問を追及することは大いに結構であり,それを徹底的に鍛えるという教育や環境は必要だと考えるが,その部分のみを強調してもあまり意味はないのではないか。大学外に出ても十分通用するような経験等を積むことが必要ではないか。必要な時に最大限の能力を発揮できるような訓練等を行わなければ,個人のキャリアを伸ばすことは不可能ではないか。

○専門職大学院の教育,支援について,需要面から考えると,現在の専門職大学院は殆どが夜間開講で社会人を対象にしたものである。学生の平均年齢は27~8歳で,授業料も国立で70~80万円,私立で約150万円となっている。このような現状を考えると,専門職大学院に進学することが,かなりの経済的負担になっているのではないか。学生は奨学金を受けるのを嫌う傾向があるが,もっと学生が大学院に通いやすくするような環境整備が必要ではないか。

○日本学術振興会の特別研究員事業については,増員するよう要求が出ている。

○教員の資格について,例えば,専門職大学院の実務家教員については,その位置付け等が明確になっていない。保有学位の問題についても明確になっていない。大学院の充実を謳いながら,博士の学位を持たない者が研究者養成や学位審査を行うというのは問題があるのではないか。また,専門職大学院の教員と研究者養成を目的とした大学院の教員については,明確な区分が必要ではないか。

○ただ今の点については同感である。専門職大学院の場合は,実務家教員の比率について専門職大学院設置基準上規定があるが,研究者養成を目的とした大学院の教員はPh.Dもしくは博士の学位を持つことを大学院設置基準上義務づける必要があるのではないか。
 また,大学のアドミニストレーションに携わりたがらない教員の問題については,現在が過渡期であると考えている。最近では,大学アドミニストレーションを専攻し,Ph.Dを取得するため,アメリカに留学する者もいるようである。今後は,一つの大学の中で教授,学部長を経験してから学長になる者は少なくなるのではないか。

(2)事務局より,「教職大学院制度の創設」について説明があり,その後質疑応答が行われた。質疑応答の内容は以下のとおりである。

○専門職大学院設置基準上,実務家教員は「3割以上」となっているが,教職大学院では「4割以上」となっている。「4割以上」とするに当たり,どのような議論があったのか。
 また,4割以上とした際,実務家教員をある程度確保できる目途がなければ,設置が困難になるのではないか。例えば,中高一貫校を設置している学校法人であれば,実務家教員も確保しやすいと考えるが,設置者としてどのようなものを想定しているのか。

●教職大学院では,学部段階よりも実践的な内容を教授する必要があることから,実務経験を有する者の役割がより重要になると考えられ,そのため,教職大学院においては,実務家教員の比率を一般の専門職大学院よりも高い「4割以上」とまとめられたものである。
 教職大学院のターゲットについては,今回の教員養成改革が義務教育改革に端を発していることから,主に小・中学校の教員の養成が想定されているが,制度上,学校種による縛りはないため,高等学校に焦点を当てた教職大学院も制度的には可能である。

○学校法人によっては,小学校から一貫教育を行っているところもあり,そこでは小・中学校に重点を置いたカリキュラム編成が可能だと考えられるが,中高一貫校を持つ学校法人であっても,小学校教員養成に重点を置く教職大学院を設置することは可能ではないか。

●今回の教職大学院の制度化に当たり,供給サイドとの連携,強化が大きな目的であると考えている。その関連として,市中学校における実習10単位を義務づけることとしている。このため,市町村の教育委員会等との連携が重要になる。また,実務家教員の供給源としては,退職教員や現役教員なども想定され,このため,その確保や学校での実習について,供給サイドとの連携・対話が重要になると考えている。

○現在の小・中学校での問題の1つは,理科嫌いの教員が理科を教えていることである。教員が理科嫌いなのに,子供が理科好きになりようがないのではないか。子供たちをどのようにコントロールするのかという教育テクニックではなく,本当に理科を理解し,好きな教員が,子供たちを教えなければいけない。その視点が抜け落ち教えるテクニックだけということでは足りないのではないか。「実務経験を有する」の観点としてこのような視点が入っているかどうかは大きなポイントではないか。
 また,博士の学位を持つ者や海外経験のある者等が学校の中でリーダーシップをとれるような環境にしていかなければならない。

●教員養成の問題については,教員の在るべき論について戦後長きに渡り議論があった。1つは学問を究めれば教員は務まるという戦前からのアカデミシャンの教育であり,もう1つはエデュケーショニストの教育である。日本の教員養成の歴史は,免許制度,課程認定というシステムの中で動いており,昭和41(1966)年には目的養成に制度的には切り替わったが,現実には極めて学問体系的であり,教科専門性を強調するという教員養成が行われてきた。そのため,特定教科の領域を超えた分野,生徒指導,学級経営,コミュニケーション能力,指導能力,カリキュラムの編成能力等を全体としてコアに据えた教員養成を考えていくべきではないかという流れの中で,教職大学院を創設し,コアとなる教員を養成するための機関として位置付けられる。よって,全ての教育学研究科が教職大学院になる必要があるとは考えていない。
 このほか,教育学研究科の他の領域では特定教科の教科教育を中心に考え,現場の課題というものを踏まえながら研鑽を積む,そして,他の一般研究科ではそれぞれの教科の背景となる専門領域を広く深く学修するという意味で,これら3つの養成パスがあるといえるのではないか。

○教員養成系だけが主流となることのないよう配慮いただきたい。
 中国では,小学校から全ての教科に専科教員がいる。日本では1人の教員が全ての教科を教えているが,海外では逆の流れがあるようである。現在のように理科が進んだ時に,理科は嫌いだけれどもマネジメントはできるという教員だけでは困るという心配はある。どちらの視点も大切であることを忘れてはいけない。

○ある国立大学の教員養成系学部を卒業した小学校教員が,学生時代に理科のうち1科目しか履修しないで卒業後小学校で理科も教えているという実態があると知って驚いた。こういった教員が教職大学院に入学しても,理科についてさらに深く学ぶとは思えない。教職大学院にどのような者が入学するのかについて,より詰めて考える必要がある。

○先ほど教員養成パスは3本立てでという趣旨の発言があったが,その比率は具体的にどう考えているのか。

●考えていない。

○理科の教員の例は,中学・高校で英語を話せない教員が英語を教えているということと同様のことではないか。
 また,実務家教員の在り方については,大学院部会での今後の課題としたい。

(3)事務局より,「教育基本法を巡る動き」,「経済財政諮問会議等を巡る動き」について説明があり,その後質疑応答が行われた。質疑応答の内容は以下のとおりである。

○「経済成長戦略大綱」では片仮名書きの「ヒト」が用いられているが,科学においては「ヒト」とは生物種を指すものであり,人間という意味では「ひと」あるいは「人」を用いるのが通例である。文化を持った存在としての「人」と政府としての我々の在り方は,環境問題等を考えるに当たり重要な視点ではないか。人間のみが地球上にいる生物ではないということを考える際に,「ヒト」と「ひと」あるいは「人」との関係性について考えるのは,21世紀のテーマではないか。我々は,文化,社会,伝統を持っている生き物であると同時に生物としての生き物でもある。その双方の兼ね合いが重要だという観点は重要であると考える。

○「人財立国」とは「ヒューマン・リソース」の訳語か。通常,人材養成という場合は,「材」を用い「財」は用いないが,これは文部科学省としての用語か。

●本資料は経済財政諮問会議の発表資料であるが,経済界では,「ヒト」「モノ」「カネ」と片仮名で表記することが多いようである。「人財立国」についても,最近一部では,人材はまさに宝であるということを強調するために,あえて「人財」と表記しているようである。

○日本の学位の名称が多様化し過ぎたために,国際的通用性が失われている。グローバル化を目指している高等教育において,学位の問題は今後検討すべき問題ではないか。また,「大学院教授」という呼称の問題,undergraduateとpost graduateとの関係についても今後,大学院部会で検討すべきではないか。

○同感である。特に,学位の問題については,ある程度の基準を整備しておく必要があるのではいなか。そうしなければ,今後,大学等の設置認可の審査が困難になるのではないか。

○学位の問題は,グローバル化を目指す上で小さな問題のようで,実は大きな問題であると認識している。

お問合せ先

高等教育局大学振興課大学改革推進室

大学院係
電話番号:03-5253-4111(内線3312)

-- 登録:平成22年07月 --