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大学院部会(第41回) 議事要旨

1.日時

平成20年5月15日(火曜日) 15時~17時

2.場所

文部科学省 3階 3F2特別会議室

3.出席者

委員

(委員)荻上紘一(部会長)、黒田玲子、野依良治の各委員
(臨時委員)天野郁夫、有信睦弘、石弘光、黒田壽二、田中成明、長田豊臣、矢﨑義雄の各委員
(専門委員)伊藤文雄、川村正幸、白井克彦、菅裕明、福田康一郎、山田礼子の各委員
(意見発表者)湊長博京都大学大学院医学研究科副研究科長

文部科学省

土屋高等教育局審議官、久保高等教育局審議官、藤原高等教育企画課長、鈴木高等教育局企画官、井上大学改革推進室長、後藤大学振興課専門官 他

4.議事要旨

(○:委員、□:意見発表者、●:事務局)

(1)事務局より、配布資料の説明があった。

(2)会議の公開について諮り、公開となった。

(3)事務局から、前回の意見等について説明が行われた。 特に、質問なし。

(4)「厳正な学位審査体制の確立等について」、京都大学大学院医学研究科副研究科長湊長博氏から発表があり、質疑応答が行われた。質疑応答の内容は以下のとおり。

○ 我が国の博士(医学)は学術的なものと専門職的なものが未分離であり、金銭授受等は後者のものについて起きているのではないか。
 また、医学研究科の博士課程で学位を取る人たちは、卒業後どういうキャリアをたどるのか。研究者や大学の教員になるのか。開業医や病院の勤務医等になるのか。あるいは双方を行き来するのか。

□ 卒業後の進路に関しては、少しずつ変貌してきている。医学研究科を卒業して学位を取得した人で基礎、臨床問わず大学教員になる人は恐らく3割程度。大きな病院が一番多いが、公的な研究所、民間等々と合わせて恐らく8割以上が何らかの形で研究に従事している。

○ 京都大学医学研究科の取組は、専門の枠にはまらない教育研究をコース・コーディネーターが責任を持って状況を把握しつつ提供する教育プログラムであり、教員・生徒ともに大変な労力を要するが、他学部からの盛んな乗り入れを引き出しており、従来の医学部の閉鎖性を打開する大変意義深いものである。学生は、生命科学系、医学系だけでなく、他からもたくさん入ってきており、こうした学生に対しても例えば解剖などの医学系の教育をきちんと行っており、神戸大学の例においても、非医学系の人たちをどう取り込んでいくかということが非常に大きな課題の一つに挙げられている。    

○ 特に医学分野においては、透明性を高めるため、あるいは蛸壺型の教育研究を改めるためにオープンな環境での教育が必要ではないか。他大学等においても、オープンな教育を広めていく必要がある。  

□ 蛸壺型の教育では、指導教員と学生の人間関係がこじれることがあり、教育の範囲も限定される。  他大学との関係では、東京大学とは連携をしているが、医学部では他大学と関係するチャンスがあまりなく、実行にはかなりの労力が必要。
 本教育プログラムのような取組を実施するには、十分な専任の教員などの体制が整わないと、実施は難しいだろう。

○ 大学院については、同学部からの進学者だけではなく、他分野からの進学者も取り込んで、分野融合的なカリキュラムを主にしていくことは望ましいと考える。
 また、医学部には閉鎖的な印象がある。外国の学生に対しては更に敷居が高く感じられるのではないか。

□ 数字だけ申し上げると、大学院生の1割くらいは外国人の学生。以前の留学生は欧米志向が強かったが、今は日本を目標に来る学生もいる。しかしながら、日本で職を得る割合はまだ非常に低い。

○ このような教育プログラムの取組を人材育成の高度化、学位の質の向上に着実に結びつけていくことが必要ではないか。

○ 一番心配なのは、10年、20年先の医学研究が非常に先細りなるのではないかということ。
 現状が続けば、専門医がそれなりの形で育成されるかもしれないが、メディカルサイエンスをきちんとやるような人材を医学、非医学系を問わず確保するようなシステムを作っておかないとけない。国際競争を考えても、医者以外にも日本の新しい医学の開発研究をできるような人材を育成することが重要。

○ 医療と医学研究を整理して考える必要がある。歴史的に医学分野では元来医療人材の育成に力を入れてきた経緯があるが、医学部卒の者に対してもリサーチマインドの育成を行ってきたし、現に高い研究業績も上がっている。故にこれまでの医学研究を全て否定するのではなく、一定の評価が必要。しかし、近年、また臨床医の養成に力点が置かれ、研究への接触が少なくなってきている。今回の金銭授受の不祥事は、伝統的な人間関係や技術教育の環境の中で起こったのではないか。いずれにせよ、透明性の高いシステムを構築することが必要。

○ 医学部の学生の大学院離れが進んでいる状況にあるが、この教育プログラムを大学院の魅力を高めることにつなげて、医学部の学生を惹き付けるようにしていくことが重要。学生の数は増えたのか。

□ 今がボトムの状況であるという認識であり、このようなプログラムをスタートさせた。学生を労働力と見て、医学研究に必要な学生の数を確保するというのであれば蛸壺型が一番楽。しかし、それでは結局医学系の学生を大学院に引きつけられない。学生たちが本当にやりたいことをできるようにするための仕組みにしたい。

○ 医学分野では近年、早期に専門に入る傾向があり、医学分野の大学院が学生のニーズに合わなくなっているとの指摘もある。しかし、今後の我が国の医学研究を考えると、このような教育プログラムの取組を通じた優れた研究人材の育成が重要。

○ 本日の説明及び意見を踏まえて、各大学において厳正な学位審査体制が確立されていくよう、文部科学省は指導の徹底を図っていただきたい。

(5)事務局より「博士課程修了者等の諸問題について」説明があり意見交換があった。意見交換の内容は以下のとおり。

○ 大学院重点化の功罪を明らかにすべきではないか。特に人文社会系では、常勤の就職先も見込めず、非常勤としてしか就職できない博士号取得者も多い。また、人文社会系と理工系は分けて議論する必要がある。さらに、高等教育にもっと税金を使うべきというコンセンサスを社会全体として作り出す必要がある。給付制の奨学金がないのは日本くらいであり、根本的に考えるべき問題。

○ 大学院教育により社会で役立つ人材を育成することは重要。欧米と比較すると、日本の人社系大学院博士数は4分の1に過ぎず、会社経営者等として社会で活躍する人も少ない。社会の意識を変えるとともに、大学院はより良い人材を輩出することの双方が必要。また官公庁でも積極的に人社系の博士等を採用するようにすべきではないか。

○ 博士号取得後にポスドクになり、活躍している者も多い。これらの者が就職者として反映されないまま、博士号取得者の就職率が低いというデータが出ると、ネガティブな印象を与え、博士課程への進学意欲を削いでしまうのではないか。若者が進学に期待を抱けるデータを提示して欲しい。

○ 社会人博士の場合、年齢的な問題もあり、元の職場に戻るのが困難。自分でNPOを設立するなどして、働くしかなくなっている。非常勤職に就いても、任期後に常勤職を見つけるのは年齢的に困難。

○ 米国と比べると、日本では博士課程においてRAによる経済的支援が不十分。米国では当たり前のことだが、自分の研究室では、フェローシップを受けていない学生を対象に委託費として毎月8万円を支給し、研究室内において、学振のフェローシップ等を取っている学生との公平を保つようにしている。各種競争的資金においても、機器等の研究費ばかりでなく、学生の経済的支援に資金を投入することにインセンティブが働くような仕組みをつくり、学生が研究に打ち込める環境づくりを普及させるべきではないか。

(6)事務局から「『共同学部・共同大学院』(仮称)制度について」説明があった。

(7)事務局から「学士課程教育の構築に向けて」(審議のまとめ)、「教育振興基本計画」をめぐる状況、経済財政諮問会議等の状況について説明があった。

お問合せ先

高等教育局大学振興課大学改革推進室

大学院係
電話番号:03-5253-4111(内線3312)

-- 登録:平成22年03月 --