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1 大学教員の基本的な在り方について

(2)各種の提言・論文など

3  基本原則
6  高等教育における教職は、専門職であり、生涯にわたる厳しい勉学及び研究によって修得され及び維持される専門的な知識及び技能を高等教育教員に求める公務の一の形態であり、また、学生及び地域社会全体の教育及び福祉並びに学問及び研究における高度の専門的な水準の維持について個人及び組織の責任の自覚が求められる。
 注)  ユネスコ「高等教育教員の地位に関する勧告」(平成9年ユネスコ総会採択)

 「大学教授職はacademic professionの翻訳であり、‥最高学府や学問の府と言われる大学に所属して、学事に従事する専門職を意味する。専門職は、「1高度に体系化された専門的知識・技術に基づくサービスを顧客(client)の求めに応じて独占的に提供する職業であり、2そのサービスの提供は営利よりも公共の利益(public good)を第一義的に重視して行われ、3そのことによって職務活動上の大幅な自律性(autonomy)と職業団体としての一定の自己規制力を社会的に認められた職業範疇である。」…ハロルド・パーキンは、専門分野の学問を研究し、教授し、応用する点で他の職業の人材を養成し、影響を及ぼすキー・プロフェッション(key profession)とみなしている…」
 「専門職は専門分野の諸機能を遂行する。知識の機能を具体的に見ると、発見、伝達、応用、統制に対応して、研究、教育、サービス、マネジメントなどが分化するので、大学教員は各々に呼応した役割を果たす。…教学と経営、教員団と職員団の分離と統合、FDとSDの分担と共同が改めて問われる時代を迎えている。」
 「知識あるいは専門分野の性格を反映して、固有の信念や文化を形成し、保持している…大学人は、「学問の自由」を主張し、…アカデミック・オートノミー(大学音自律性、大学自治)を標榜する…学問の自由や科学の自由などの概念は、中世大学以来、専門職の伝統とともに世界へ波及したものであり、大学教授職の世界に広く伝播しており、世界的に共通性が見られる。」
 「こうした専門分野を核とした専門職の結社は学会である。…学協会を通して、専門職の結束を固め、共通の信条や文化を共有して、学問を通して社会の発展に貢献する…」
 注)  有本章著『大学教授職とFD』(平成17年 東信堂)

 「教授の仕事は別々の、だが重なり合う4つの機能を持っている…「発見の学識」(scholarship of discover)、「統合の学識」(scholarship of integration)、「応用の学識」(scholarship of integration)、「教育の学識」(scholarship of teaching)である。」
 「統合の学識は、個々ばらばらに孤立している諸々の事実に意味を与え、それらの事実を関連づける。専門領域をより大きな脈絡の中に位置づけ、資料を意味深く解釈し、それによって専門外の人々を教育する。種々の物事を関連づけることは、教育者が自らの能力の限界まで熟考することである。研究が究極的に本物になるのは、関連づけること(意味を与えること)によってである。」
 「統合の学識は、発見と密接に関連している。第一に、統合の学識は、諸々の専門分野が一点に集合する境界領域(重なり合っている学問的な近隣諸分野)で研究することを含む。伝統的な専門分野のカテゴリーが閉鎖的であることを打ち破り、知識の新しい位相を開拓する。第二に、統合の学識は、説明的解釈を意味する。自分の研究や他人の研究を、より大きな知的類型に適合させる。そのような努力は、専門が衒学的(pedantic)になりやすい危険を防ぐ。知識は統合なしでは衒学的である。」
 「発見に携わる者は、いま知られるべきこと、発見されるべきは何か?を問う。統合に携わる者は、その研究結果は、何を意味するかを問う。より広い、より包括的な理解を提供するようなやりかたで、発見されたことを解釈し、説明することは可能かを問う。」
 「統合の学識は、批判的分析と解釈・説明の能力を必要とする。統合の学識により、情報から知識へ、そして英知へと人を導く。」
 「統合の学識は、新しい知の問題と人間の緊急課題の両方に応えている。大学は統合の学識により一層の注意を払わなければならない。」
 注)  E.L.ボイヤー著『大学教授職の使命』(平成8年 玉川大学出版部)
   絹川正吉著『大学教育の思想 学士課程教育のデザイン』(平成18年 東信堂)

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