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資料2
中央教育審議会大学分科会
将来構想部会(第15回)H14.12.10

大学設置基準等の改正等の論点について


1.改正のポイント

    (1) 大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について(答申)を踏まえ、大学設置分科会長決定による設置審査内規(以下、内規という。)などの規定の必要性を吟味・整理し、告示以上の法令で規定。

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大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について(答申)
(平成14年8月5日  中央教育審議会)
     設置審査に係る基準の見直し
  現在、大学設置審査の際に適用されている基準は、大学設置基準等の法令のほか、大学設置・学校法人審議会の審査基準や内規など様々な形式によって規定されている。今回、これらの基準が設置審査の最低基準であるとの観点に立って、それぞれの規定の必要性を吟味し、整理を図るとともに、こうした様々な基準の一覧性を高め、明確化を図る観点から、設置審査に係る基準を原則として告示以上の法令で規定することが必要である。
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(2)   これにより、大学設置基準等の所要の改正を行うとともに、内規を「大学設置基準を受けた規定」と「大学設置認可申請等に関わる規定」とに区分し、それぞれ告示として新設。
「大学設置基準」・・大学として満たすべき最低限必要な基準であり特に重要なものを定める
「大学設置基準を受けた規定」・・大学設置基準のさらに細則的なものを定める
「大学設置認可申請等に関わる規定」・・設置認可申請等の際の審査に関連するものを定める

2.論点

       大学設置基準に関する事項を中心に検討することとし、短期大学、大学院等にも関  係する事項は同様の扱いとする。なお、別途検討の「校地」、「専門職大学院」等に関する事項は除く。

論点 大学設置基準等に定める「学部の種類に応じ定める専任教員数」の学部の    種類に新たな種類を追加することについて
【現状】
現行の大学設置基準では、15の学部の種類のみ、学科の数及び収容定員に応じて必要な専任教員数を定めているが、その他の学部の種類については定められていない。
  (現行の大学設置基準に定める学部の種類)
  文学、教育、法学、経済学、商学、理学、工学、農学、薬学、家政、美術、音楽、体育、医学、歯学
ただし、定められた学部の種類に類似する学部の場合は、この定めによる。
この定めによるには適当でない場合には別に定めるとあるが、その定めの規定はない。
【方向性】
大学設置基準に掲げる15の学部の種類に新たな種類を追加してはどうか。
  追加する学部の種類の例:社会学・社会福祉、医療技術、看護
追加する学部の種類の学科の数及び収容定員に応じる専任教員数は、現行の種類の基準を勘案し、適当な数量を定めてはどうか。

論点 大学における大学教育の一部を行う本校以外の場所(いわゆるサテライトキャンパス)での教育研究方法について
  
【現状】
大学院については、大学審議会答申(平成3年11月)において、社会人の受入れを円滑にするために、本校の所在地以外の地域に必要な施設・設備や図書等を備えた教育研究指導の場を用意し、授業や研究指導の一部をそこで行うことは可能との提言があり、現行の内規においても、次のとおりの配慮すべき条件を規定している。
   ア) 大学院における社会人学生の利便を図るため、本校以外の場所に教育研究指導の場を設置するものであること。
   イ) 本校において十分な教育研究指導の場を設置するものであること。
   ウ) 学生の希望により、本校ですべての課程を受けることも可能であること。
   エ) 本校における校地、校舎、施設設備等が大学院として十分であること。
   オ) 本校以外の場所には、学生の自習室を含め必要な施設設備や図書等が適切に配置されていること。
   カ) 本校以外の場所は、借用の場合は長期にわたって安定的に確保されること。
   キ) 本校以外の場所は、教育研究にふさわしい環境であること。
   ク) 本校以外の場所は、教員等の移動等を考慮し、教育研究上支障がない距離にあること。
  
【方向性】
大学においてもサテライトキャンパスでの教育研究を行うことを認めるかどうか。
サテライトキャンパスでの教育研究を行うに際しては、当面は学生の対象を社会人に限定することとし、その実施の条件として、現行の内規に規定する大学院の条件と同様に扱うなど一定の要件を定めてはどうか。

論点 入学者選抜の方法について
【現状】
入学者選抜については、学校教育法施行規則第67条に「学生の入学・・・・は、教授会の議を経て、学長がこれを定める」とされているのみである。
文部科学省においては、毎年度、大学入学者選抜の基本的事項について「大学入学者選抜実施要項」を定め、各大学に通知している。
「大学入学者選抜実施要項」において、大学入学者の選抜は、大学教育を受けるにふさわしい能力・適正等を多面的に判定し、公正かつ妥当な方法で実施するとともに、入学者の選抜のために高等学校の教育を乱すことのないよう配慮するものとされている。
【方向性】
入学者選抜については、公正かつ妥当な方法により実施するものであり、それを行いうる体制が必要である旨を定めてはどうか。

論点 学生受入れに当たっての収容定員の適正な管理について
【現状】
収容定員については、大学設置基準第18条に、学科又は課程を単位とし、教育上の諸条件を総合的に考慮して定めるものとされているが、その運用についての定めは規定されていない。
【方向性】
収容定員は、学生受入れに当たって、教育研究の質及び教育環境の確保・保証を図る観点から、その適正な管理が行われることを定めてはどうか。

論点 複数の大学が協力して教育研究活動を行う大学院研究科(いわゆる連合大学院)を設置できるよう、その取扱いの明確化について
【現状】
現在、連合大学院は、一部の国立大学にのみ設置されているが、その設置根拠について明確にされていない。
今後、国立大学だけでなく公私立大学においても、連合大学院方式による設置の可能性がある。
【方向性】
連合大学院について、設置基準上、明確となるよう、研究科の位置づけ及びその教員組織の取扱いについて定めてはどうか。

論点 学校教育法第68条に定める大学(大学院大学)の校舎面積、校地面積の基準について
【現状】
現行の内規において、大学院大学の校舎面積及び校地面積は、収容定員に応じ大学設置基準に定める学部等に係る基準に準じて個別審査するとされている。
【方向性】
大学院大学については、校舎面積について、教育研究上適切な面積を置く必要があるため、従来通り、学部の基準面積に準じることとしてはどうか。
校地について、校舎の場合と同様に一定の数量基準を求める必要があるか。

その他の検討課題
現行の内規の規定のうち、次の課題について検討する。
大学及び教育研究上の基本組織の名称の適切性の明確化
  大学、学部、学科等の名称が適切であることを明確に定めてはどうか。
学長の資格要件内容の整理
  学長の資格要件を、人格が高潔で、学識が優れ、大学運営に識見を有する者として定めてはどうか。
専任教員の年齢制限の撤廃
  基準に算定する専任教員に対する一定の年齢制限を定めずに、教員組織の年齢構成として均衡が取れていることを定めてはどうか。
校舎敷地と運動場が分かれている場合、その距離の時間制限、校舎敷地の一定値以上の基準の撤廃
  距離の移動に要する時間及び校舎敷地の面積については数量的な基準を定めずに、教育研究上支障がなく、かつ、校舎が適切に配置されていることを定めてはどうか。
図書館の閲覧室の座席数の基準の撤廃
  座席数が収容定員の10%以上とする基準を定めずに、学生の学習・教員の教育研究に十分な数を備えることで足りるとしてはどうか。
教員の教育研究活動に要する経費の基準の撤廃
  研究費の一定額以上とする基準を定めずに、教育研究の活性化を図る観点から充実していることを定めてはどうか。
大学等の設置及び収容定員増、大学院等の設置を認めない条件である同
一設置者内の大学学部等の入学定員超過率の一定値の引き下げ
  大学等の設置及び収容定員増を認めない条件の入学定員超過率1.5以上を1.3以上としてはどうか。


サテライトキャンパスに関する現行の基準等


  大学院設置審査基準要項細則
(H13.2.20 大学設置・学校法人審議会大学設置分科会長決定)

11   社会人を対象とした大学院教育の一部を本校以外の場所で行うことに関し、特に配慮すべき事項について
  大学院における社会人学生の利便を図るため、本校以外の場所に教育研究指導の場を設置するものであること。

  本校において十分な教育研究指導が行われると同時に、その一部を本校以外の場所で行うものであること。

  学生の希望により、本校ですべての課程を受けることも可能であること。

  本校における校地、校舎、施設設備等が大学院として十分であること。
  本校以外の場所には、学生の自習室を含め必要な施設設備や図書等が適切に配置されていること。
  本校以外の場所は、借用の場合は長期にわたって安定的に確保されること。
  本校以外の場所は、教育研究にふさわしい環境であること。
  本校以外の場所は、教員等の移動等を考慮し、教育研究上支障がない距離にあること。

  大学審議会答申『大学院の量的整備について』(平成3年11月25日)

  量的整備に関連する施策

(3)教育研究指導の場の弾力的な設定
  社会人の大学院に対するアクセスを容易にするため、例えば、郊外に設置されている大学院の場合、本校における教育研究指導とともに、企業等が多数存在している地域に教育研究指導の場が用意され、社会人がカリキュラムの一部を履修することができれば、社会人のリカレント教育を推進する上で有効な方策になると考えられる。
  このため、大学院が、本校の所在地以外の地域に、必要な施設設備や図書等を備えた教育研究指導の場を用意し、授業や研究指導の一部をそこで行うことは、大学院設置基準上も可能なことであり、各大学院の積極的な対応が期待される。
  ただし、この場合、教育研究指導の水準を確保しつつ、安定的に教育研究指導を実施する観点から、施設設備や図書等が適切に整備されていること、また、教育研究指導の場が長期にわたって安定的に確保されること等についての配慮が必要である。


<サテライト講座の設置状況>
    
サテライト教室等(公開講座)の設置


《サテライト公開講座の取組例》
岐阜女子大学
「文化情報研究センター」において、「国際語としての英語」、「原典でよむ竹取物語」、「はじめての方のためのゆっくり楽しく学ぶパソコン教室」等の講座が開かれている。
久留米大学
「久留米大学福岡サテライト」において「万葉集を読む」、「21世紀の実用英語」「地域経営とマーケティング」等の講座が開かれている


サテライト教室等(正規授業)の設置


《正規授業のためのサテライト大学院の例》
埼玉大学文化科学研究科、教育学研究科、経済科学研究科"
兵庫教育大学学校教育研究科
大阪府立大学経済学研究科
札幌国際大学地域社会研究科、観光学研究科
椙山女学園大学人間関係学研究科

のそれぞれにおいては、正規授業又は公開講座との併用を含む。


大学院においてサテライト教室を設置している例

【国立】
小樽商科大学大学院商学研究科(M)(本部所在地:北海道小樽市)
  

・賃貸ビル(札幌市内)
・夜間・土曜開講
・平成9年5月〜

筑波大学大学院図書館情報メディア研究科(M,D)(本部所在地:茨城県つくば市)
・主婦会館プラザエフ内(東京都四谷)
・夜間・土曜開講
・平成12年4月〜

埼玉大学大学院経済科学研究科(M)(本部所在地:埼玉県さいたま市)
・賃貸ビル(東京駅八重洲口)
・夜間開講
・平成12年5月〜

【公立】
大阪府立大学大学院経済学研究科(M,D)(本部所在地:大阪府堺市)

・賃貸ビル(大阪市内)
・夜間・土曜開講
・平成13年4月〜

【私立】
北海道医療大学大学院薬学研究科(M,D)(本部所在地:北海道石狩郡当別町)
・同一法人経営の専門学校校舎(札幌市内)
・夜間開講
・平成8年4月〜

慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科(M,D)(本部所在地:神奈川県藤沢市)
・アーク森ビル(東京都港区内)
・昼間開講
・平成6年4月〜

関西学院大学大学院商学研究科(M,D)(本部所在地:兵庫県西宮市)

・賃貸ビル(大阪市内)
・夜間・土曜開講
・平成5年4月〜




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