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教育課程部会事務局だより   第4号         平成15年12月5日

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   【 目   次 】
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   ◎特   集        「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について」中央教育審議会答申の趣旨
新学習指導要領のねらいの再確認とよりよい実現を目指して〜   (4)

   ◎連   載   答申に関連する各種調査結果や資料等の解説   (第4回)
必要な指導時間の確保について〜

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   【 特   集 】
    「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について」中央教育審議会答申の趣旨〜新学習指導要領のねらいの再確認とよりよい実現を目指して〜(4)
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   中教審答申、今回と次回の2回で「教育課程を適切に実施するために必要な指導時間の確保」について説明します。これは、答申の第2章の2にあたる部分です。

(授業時数の「標準」の趣旨について)
   小、中学校の授業時数については、各教科等ごとの、また、全体の、年間の「標準」時数が学校教育法施行規則に示されています。この「標準」時数は、学習内容の指導に標準的に必要と考えられる時数を国が示しているものです。
○授業時数等に関する学校教育法施行規則及び学習指導要領上の規定
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/gijiroku/005/03070801/003.pdf
○小学校の標準授業時数
http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/990301b.htm
○中学校の標準授業時数
http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/990301c.htm

   学校においては、この「標準」時数を踏まえながら、各教科、道徳、特別活動及び「総合的な学習の時間」などの指導に必要な時間を確保することが求められています。もちろん、教育課程の編成、実施は、これらの教科等の時間だけではなく、「標準」時数が示されていない学校行事等も含めて、学校の教育活動全体をバランス良く実施する観点から行うことが必要です。
   このような「標準」時数の性格を考えると、学校では、単に形式的に「標準」時数を確保するということを目的にするのではなく、実質的に指導に必要な時間を確保することが求められているのだと言えます。つまり、個に応じた指導などの指導方法や教材等の工夫・改善を行って指導の質を高めるという観点から授業等の改善を図りつつ、指導に必要な時間を確保することが重要なのです。
   また、「標準」時数が各教科等の内容の指導に要する時数を基礎として示しているものなのですから、当初からこの時数を下回って学校が教育課程を編成することは通常考えられないものです。
○必要な指導時間の確保に関する答申の記述
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/03100701/006.htm

(各学校における年間総授業時数の現状と課題)
   さて、翻って、小、中学校における指導時間の確保の実態を見ますと、全国の公立小学校の9割以上、公立中学校の5割以上の学校が上記の「標準」時数を上回る一方で、中学1、2年では約2割の学校が、3年で3割以上の学校が「標準」時数を下回っているという調査結果が出ています。子どもたちの指導に必要な時間がきちんと確保されていない事例もあるのではないかと考えられるところです。
   また、学校行事の時間数についても、全体として見れば大きく減少していると考えられ、学校行事等の意義を十分踏まえない過度の削減が行われている場合もあるのではないかと思われます(以上、本号の「連載」参照)

(必要な指導時間の確保のために)
   各学校においては、必要な指導時間がきちんと確保されるようにするために、様々な観点から教育課程の実施状況等について、自己評価を実施し改善を図ることが必要です。
   具体的な取組としては、まず、授業実数の実績の管理が考えられます。つまり、年度当初の計画通り授業が実施されているかどうかを、例えば、月ごとや学期ごとなどにチェックして、必要に応じて授業を補っていくということです。学校では、様々な事情で計画通り授業が行えないこともあると思われますが、それを年度末までそのままにしておかないということなのです。
   また、教育課程の実施状況の評価としては、子どもの学習状況をしっかりと把握することも重要です。なぜならば、必要な指導時間の確保の目的は、形式的な時数の確保ではなく、子どもたちへの十分な学習指導の実施であるからです。子どもたちの学習の状況が、必要な指導が行われているか否かを判断する一つの材料となるゆえんです。
   以上のような評価を行い、十分な指導時間が確保されず指導内容が十分定着していないと考えられる場合には、「標準」の授業時数にとらわれることなくこれを上回って授業を実施することも考えられます。ただしその際、「十分な指導」は、単に授業時数を増やすことのみによって可能となるものではなく、指導方法や指導体制の工夫、改善も同時に検討することが必要でしょう。
   なお、繰り返しになりますが、以上述べたような「指導」は、教科等の指導のみを指しているのではありません。「標準」の授業時数が示されていない学校行事等も含めて、全体に必要となる指導を行っていくことが大切であるのは言うまでもありません。
   そして、これらの学校における計画、評価、改善のサイクルについて、積極的に情報を公開していくことが重要です。年間の行事予定や各教科の年間指導計画、それぞれの実施状況を積極的に公表し、保護者や地域住民等へ説明を行うなど、保護者や地域住民等に十分に説明責任を果たすようにすることが求められているのです。

   答申では、このあと「必要な指導時間を確保するための工夫」について言及していますが、それについては、次号でご説明したいと思います。


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   【 連   載 】       答申に関連する各種調査結果や資料等の解説(第4回)
必要な指導時間の確保について〜
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   前回は、学習指導要領の「基準性」を踏まえた指導と評価について説明しました。
   第4回は、必要な指導時間の確保の状況等について、文部科学省が実施した調査を中心に解説したいと思います

   文部科学省では、全ての公立小・中学校を対象に、新学習指導要領の初年度にあたる平成14年度の各学校の指導時間に関し、標準授業時数と比較して各教科等の「年間総授業時数」がどの程度確保されたのか、「年間授業日数」はどの程度確保されたのか、標準授業時数が定められていない「学校行事」等がどの程度確保されたのか等について調べるため、「教育課程編成・実施状況調査」を行いました。
○各種調査の概要
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/03100701/019.htm

   その結果によれば、まず標準授業時数との比較では、小学校1年〜3年では6割以上の学校が標準授業時数を30単位時間以上上回っていましたが、学年が上がるにつれてその割合は減っています。中学校段階では、中学校1年・2年で3割以上の学校が標準授業時数を30単位時間以上上回る一方で、約2割の学校は標準授業時数を下回っており、特に中学校3年では約15%の学校が標準授業時数を30単位時間以上上回る一方で、3割以上の学校が標準授業時数を下回るという結果になっており、学校によって差が生じています。
   一方で、年間授業日数については国の基準では直接定めていませんが、小学校、中学校とも約9割の学校が196〜205日にわたって授業を行っていました。
   また、特別活動のうち、標準授業時数の定めがなく、各学校で適切な授業時数を充てるものとされている「学校行事」、「児童会・生徒会活動」、「クラブ活動」(小学校)についても「教育課程編成・実施状況調査」の中で調査を行いました。それによれば、これらも学校によって差が生じており、例えば、中学校では、生徒会活動と学校行事の合計が86単位時間以上という学校が2割を超えている一方で、45単位時間以下という学校も約2割あり、学校行事についても、60単位時間以上の学校が約4割ある一方で、40単位時間以下の学校が約2割あります。また、小学校についても同様の傾向が見られます。
○平成15年度公立小・中学校における教育課程の編成・実施状況調査の結果について
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/gijiroku/004/03081101/006.htm

   各学校においては、来年度の教育課程編成に向けて、中教審答申やこれらの調査結果、自校の昨年度・今年度における教育課程の実施状況、児童生徒の学習状況等を踏まえ、必要な指導時間が確保されるように検討することが必要です。
   このために各学校で様々な創意工夫した教育課程の編成を行うことが考えられますが、その際参考となるよう、「教育課程編成・実施状況調査」では年間授業時数・日数の充実に向けた取組の例についても調査しました。
   その結果、学校行事の見直し以外では、小学校の約4割、中学校の約5割が週授業時数の変更により授業可能時数を増やすとともに、小学校の約4割、中学校の約2割が授業の1単位時間の弾力化を行っていました。
   また、その他の取組では、休日の多い月曜日の時間割と他の曜日の時間割の入れ替え、定期テストの回数・日数の見直し、短縮授業の減、会議の精選、家庭訪問・保護者面談の夏季休業中の実施、夏季休業期間を5日間短縮し午前中に授業の実施など、様々な創意工夫が行われていました。
   一方で、必ずしも必要な指導時間を確保するために導入しているものではないかもしれませんが、二学期制など学期区分の工夫については、平成15年度には小学校で519校、中学校で310校が導入し、また、学校管理規則で三学期以外の学期区分の採用を認めている自治体数が194、今後検討している自治体数が176ありました。
○指導時間の確保に関する調査結果
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/03100701/014.htm

   文部科学省では、各学校に対して教育課程編成に関連する情報を積極的に提供するため、特色ある教育課程の編成の取組、会議等の効果的・効率的な持ち方などの校内体制の工夫、教育委員会における特色ある取組についての事例集を年度内に作成する予定です。また、引き続き教育課程の編成・実施状況について必要な調査を行い、調査結果を提供していきたいと考えています。


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   【 編   集   後   記 】
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☆   第4号はいかがでしたでしょうか。この「たより」の購読者もおかげさまで教育関係者のみならず一般の方も含めて、2,000人を突破しました。皆様からは、校内研修で活用したとの声もいただいており、今後ともわかりやすく伝える努力をしていきたいと思います。

☆   11月26日に中央教育審議会教育課程部会が開催され、OECDのPISA調査を担当するアンドレア=シュライヒャー氏からヒアリングを行いました。この「たより」においても、近くその内容をご報告したいと思います。なお、そのときのレジュメは以下のアドレスからご覧ください。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/004/03120101/004.htm

☆   「教育課程部会事務局だより」のバックナンバーは文部科学省のHPで見ることができます。ご覧下さい。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/sonota/f_mail.htm

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      担当:文部科学省初等中等教育局教育課程課教育課程企画室企画係



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