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教育課程部会事務局だより   第3号         平成15年11月17日

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   【 目   次 】
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   ◎特   集        「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について」中央教育審議会答申の趣旨
新学習指導要領のねらいの再確認とよりよい実現を目指して〜   (3)

   ◎連   載   答申に関連する各種調査結果や資料等の解説   (第3回)
学習指導要領の「基準性」を踏まえた指導と評価について〜

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   【 特   集 】
    「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について」中央教育審議会答申の趣旨〜新学習指導要領のねらいの再確認とよりよい実現を目指して〜(3)
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   今回は、具体的な課題と充実、改善方策として挙げられている4点のうち、「学習指導要領の基準性」の一層の明確化、について説明します。

(「基準性」とは)
    学習指導要領に示されている内容は、教育的側面から言えば、児童生徒の発達段階に合わせて学校において子供たちに共通に指導すべき内容を系統的に配列したものと言えます。したがって、学校では、まずはこの内容の確実な習得を目指して色々と工夫をしながら指導を行うことが必要です。しかし、このことは、学校で学習指導要領に示されていない内容を指導してはいけないということではありません。学習指導要領には、下記の「基準性」に関する規定にあるように、学校が実態に応じて学習指導要領に示されていない内容を加えて教えてもよい、という記述があり、法的側面から言えば、教えるべき内容の「最低基準」を示すものとなります。
    これは、「基準性」の規定の変遷にあるように、昭和33年に学習指導要領が文部省告示として法令の形式で示されたときから一貫したものであり、昭和51年の最高裁の学テ判決でも、学習指導要領のこのような法的性格が確認されています。
    このように「学習指導要領の内容は子供たちに共通に指導する内容であって、学校では必要に応じてその他の内容を加えて指導しても良い」という学習指導要領の性格のことを、今回の答申では「学習指導要領の基準性」と呼んでいます。
○学習指導要領の「基準性」に関する規定
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/03100701/020.htm
○学習指導要領の「基準性」の規定の変遷
http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/03111401.htm

(「基準性」を踏まえた指導)
    ただし、この「基準性」は、法的な性格としては一貫しているものの、現実には、学習指導要領の内容と時数の関係で「ゆとり」が少なかったことなどによって、多くの場合、そのようには機能してこなかったものと考えられます。
    しかしながら、今回、学習指導要領の内容の思い切った厳選を行い、個性を生かす教育を一層推進する方向にあることを考えると、学校においては、この「基準性」を念頭に置いた特色ある教育を行うことが求められているということになります。つまり、児童生徒の実態に応じ、必要な場合には、学習指導要領に示されていない内容を教えることをためらわない、ということです。
○「基準性」に関する答申の記述
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/03100701/005.htm

(留意すべき点)
    ただし、この場合にもまず重要なことは、児童生徒に共通に指導する内容を確実に定着させることを目指して十全な指導を行うことです。このことをなおざりにして、学習指導要領に示されていない内容を指導することを考えるとしたら、それは本末転倒と言うべきでしょう。
    また、学習指導要領に示されていない内容を指導するときにも、元々の学習指導要領の教科の当該学年等の目標の趣旨を逸脱しないことが必要です。すなわち、想定されているのは、学習指導要領の内容の指導を行った際に、児童生徒の理解をより深めたり、より豊かなものにしたりするために、関連のある事柄などの指導を行うことであって、学習指導要領の内容と脈絡無く何を加えて指導しても良いということではないのです。
    さらに、このような指導によって児童生徒の負担が過重になったりしないようにするというのは、当然のことであります。

(教科書や教材との関連)
    なお、今回の答申に示された学習指導要領の「基準性」の一層の明確化と関連して、教科書の内容はどうなるのかというご質問をいただくことがあります。すなわち、この考え方に則って、教科書でも、学習指導要領に示されていない内容の記述が盛り込まれるようになるのではないかというご質問です。
    この点については、実は、教科書の検定基準は既に昨年の夏に改正され、学習指導要領に示されていない内容も「発展」等と明示するなど一定の条件の下、教科書に取り上げることができることになっています。これは、教科書の性格を「共通に指導する内容である学習指導要領の内容だけを取り扱うもの」から「学習指導要領の内容に加え、学習指導要領に示されていない内容も扱うことができるもの」へと転換を図ったものであるということができます。
    現在、この改正後の教科書の検定基準の下での教科書検定作業が進行中で、高等学校の教科書については既に一部の教科書では学習指導要領に示されていない内容も登場しており、小学校の教科書についても、明年春に検定結果が発表され平成17年度から使用されることとなります(中学校については、それぞれ1年後)。
    また、文部科学省としても「個に応じた指導に関する指導資料」を作成するとともに、学力向上フロンティアスクール等でも、様々な教材が開発されています。
「個に応じた指導に関する指導資料−発展的な学習や補充的な学習の推進−」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/14/09/020916.htm

参考:義務教育書学校教科用図書検定基準
    (関連条項:第2章1(2)ただし書き、同章2(1)、(9)、(12)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/kentei/021202.htm


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   【 連   載 】       答申に関連する各種調査結果や資料等の解説(第3回)
学習指導要領の「基準性」を踏まえた指導と評価について〜
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   前回は、子どもたちの学力の状況などについて説明しました。
   第3回は、学習指導要領の「基準性」を踏まえた指導と評価について、説明したいと思います。

   文部科学省が行った「学校教育に関する意識調査」(平成15年)によれば、新学習指導要領の下での子どもたちの学校の授業の理解度は、平成10年(旧学習指導要領)に比べて上昇傾向にあり、いわゆる「7・5・3」と呼ばれる現象に変化が見られます。特に、中学校2年生では、学校の授業が「よくわかる」「だいたいわかる」としている生徒が平成10年と比べて約8%上昇し、50%を超える一方で、「わからないことが多い」「ほとんどわからない」という子どもが約20%から約12%に減少するなど、授業の理解度の状況に改善が見られます。
    しかしながら、依然として、中学校2年生で約1割強の子どもが「わかならいことが多い」「ほとんどわからない」と回答するなどの課題もみられます。
○ 学校の授業の理解度
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/03100701/012/006.gif

   「特集」にもあるとおり、新学習指導要領では教育内容の厳選が行われるとともに、少人数指導を進めるための教職員配置の改善が進んでおり、学校の裁量により学習指導要領に示されていない内容を創意工夫して指導する余地が増しています。このため、各学校では、学習指導要領の「基準性」を踏まえ、教育課程や指導方法を創意工夫し、教えるべき内容、考えさせるべき内容を十分吟味することにより、子どもにとって「わかる授業」を実現することがこれまで以上に求められています。

   しかしながら、これまで学習指導要領の「基準性」の趣旨について周知が不十分であった面もあり、新学習指導要領の下においても、各学校では、学習指導要領の「基準性」の趣旨を踏まえた指導が適切になされているとは言えない状況にありました。
○ 学習指導要領の「基準性」の一層の明確化に係る課題について
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/005/03071801/004.htm

   今回の答申を踏まえ、各学校や各教育委員会においては、来年度に向けて、研修会等を通じて「基準性」の趣旨について改めて共通理解を持ち、創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開し、個性を生かす教育の充実に努めていただきたいと思います。

   なお、学校において学習指導要領に示されていない内容を加えて指導した場合の評価について、答申では触れていないので、解説したいと思います。
    新学習指導要領の下で、児童生徒の学習状況の評価については、目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)をより重視することとなっています。つまり、その子が集団の中でどのような位置にいるかという視点からの評価ではなく、目標をどれだけ達成したかという視点から評価を行おうということなのです。
    そして、小学校での学習や中学校の必修教科での学習を評価する際の目標は、学習指導要領に示されている各教科の目標となっています。このことは、学習指導要領に示されいない内容を加えて指導した場合にも変わりません。
    もちろん、学習指導要領に示されていない内容の学習を評価しないということではないのですが、その際も、あくまでも学習指導要領に示す目標に照らして学習の実現状況を評価しなければならないと言うことです。ですから、学習指導要領に示されていない内容に取り組まなければ高い評定(小学校における「3」や中学校における「5」)が与えられない、ということではないのです。
    一方、中学校の選択教科での学習を評価する際の目標は、選択教科の特性を考慮して学校が設定した目標とされています。したがって、選択教科においては、コースごとに目標や内容が異なるのであれば、設定したコースごとの目標に照らして評価を行う必要があると言えます。

   文部科学省としても、今後、機会あるごとに「基準性」の趣旨を説明していきたいと考えています。また、学習指導要領総則の「基準性」に関する規定等をより分かりやすく示すため、早急に学習指導要領の一部改正を行うべく現在準備を進めているところです。したがって、今回の一部改正の内容は従来の「基準性」の考え方を転換するものではありません。
○   学習指導要領のパブリックコメントの内容
http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2003/03102101/001.htm


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   【 編   集   後   記 】
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☆   第3号はいかがでしたでしょうか?おかげさまで本事務局だよりもマスコミでも取り上げられ、購読を希望する方も1300名を超えています。今後ともよろしくお願いします。

☆   「教育課程部会事務局だより」のバックナンバーは文部科学省のHPで見ることができます。ご覧下さい。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/sonota/f_mail.htm

☆   11月25日(火)15:00〜16:30に、OECDでPISA調査の陣頭指揮をとっているアンドレア=シュライヒャー氏の講演会が開催されます。まだお席に余裕もあり、無料ですので、希望される方は、下記アドレスを参照下さい。使用言語は英語ですが、同時通訳も行われる予定です。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/15/11/03110401.htm

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      担当:文部科学省初等中等教育局教育課程課教育課程企画室企画係



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