資料4 今後の国立の教員養成系大学・学部の在り方について<骨子>-国立の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会-
1.国立の教員養成大学・学部が直面する課題
直面する課題
- 今後の社会の変革の中で学校現場をリードしていく、個性や力量ある教員の養成
- 教員養成の専門学部として、独自の特色ある教育研究の展開
- 学校現場の課題解決のため、学校現場と連携協力した実践的な教員の養成の推進
教員養成学部の現状
- 教員就職率の減少(平成12年度、33.7%)
- 教員養成課程の入学定員の縮小により学生の教育や入学者選抜など大学運営に支障
- 現状の教員組織では余裕がなく、新たな教育課題に積極的に取り組むことが困難
- 新課程(教員養成を目的としない課程)の増加(学部全体の約4割)により教員養成 学部の性格があいまい化
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現状のままでは、力量ある教員の養成上、中心的役割を果たすべき国立の教員養成学部が、十分な対応ができず、今後の我が国の教員養成機能の衰退が危惧
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国立の教員養成大学・学部の機能を充実強化する観点から、教員養成学部としての目的を明確にするとともに、1学部の学生数や教員組織を適切なものとして、新たな教育課題に適切に対応できるよう、再編・統合を含め、組織・体制の抜本的な見直しが必要
2.今後の教員養成大学・学部の在り方
1.学部
開放制の教員養成の中で、教員養成の専門学部として、他学部とは違う独自の専門性を発揮した教育研究の推進、力量ある教員の養成
- 独自の専門性を目指した、体系的な教員養成カリキュラムの編成(モデル的な教員養成カリキュラムの作成等)
- 教育・研究両面にわたる評価システムの充実
- 教員養成学部に相応しい教員の確保、教員の意識改革、FDの実施
2.大学院
より高度な専門的能力の育成や現職教員再教育のための体制整備
- 学校現場で生じている今日的課題への取り組み
- 修士課程における現職教員再教育のための体制整備
- 現職教員指導のためのカリキュラムの充実
- 遠隔教育、夜間大学院、1年制コースの導入、長期在学コースの整備 等
3.今後の国立の教員養成大学・学部の組織・体制の在り方
再編・統合の必要性
教員養成の専門学部としての性格を明確にしつつ、ひとつひとつの学部の組織
機能の充実強化
- 学生規模の適正化
- 教員組織の充実、新たな課題への取り組み
- 教員養成課程と新課程の分離による教員養成学部の目的の特化
再編・統合の基本的な考え方
- 現在の教員養成課程の入学定員(約1万人)をもとに再編・統合
- 再編・統合の形態としては、主として
- A 複数の大学・学部を統合する形態
- B 小学校教員養成機能は各大学に残し、中学校10教科を例えば文系、理系、技術系のように複数の大学で分担する形態
- C 基幹大学とその他の大学に分け、基幹大学は一定のブロックごとに1大学程度とし、当該大学では全ての学校種の教員養成を行い、その他の大学は小学校教員養成に特化する形態
の3つの形態が考えられるが、
- 再編・統合の理念が個々の教員養成学部の充実強化にあることにかんがみ、上記Aの 形態のように再編・統合することを基本
- 教員養成学部の実際の再編・統合やそれに伴う組織の設計は、大学全体の組織体制の在り方や大学間の再編・統合とも深く関係するため、具体的な再編・統合は大学や地域の実状を勘案しながら弾力的に実施
- 当該再編・統合に係る関係大学・学部間で、教員養成課程と新課程の分野の適切な役割分担を図り、それぞれの大学の個性・特色を発揮
- 教員養成学部がなくなる都道府県を含め、教育委員会等の連携協力体制の強化
再編・統合後の基本的枠組み
教員養成担当大学
- 教員養成課程のみを置き、新課程は原則として置かない
- 教員養成課程の入学定員は、再編・統合前の関係大学の教員養成課程の入学定員の合計数以内
- 新課程については、教員の職務に関連する分野はカリキュラムに取り込むことや、学校教育に関連する分野で特に必要がある場合は別の課程として設置することも考えられる
- 今後の我が国の教員養成の中核的機関として、格段の努力が必要
一般大学
- 教員養成学部(課程)は置かない
- 新課程の実績等を踏まえ、それを継承・発展させ、必要に応じ新たな学部・学科の設置や既設組織の充実
- 大学としての教員養成や地域教育委員会との連携等のため、例えば教職センターなど必要な組織の整備も
現職教員の再教育への対応
- 現職教員の再教育の機会を充実していくため、特に教員養成学部がなくなる都道府県において、教員養成担当大学のサテライト教室の開設や遠隔教育の充実等
4.附属学校の在り方
1 今後の基本的な在り方
- 「大学・学部の研究への協力」、「教育実習の実施」の両面において、大学・学部と一体となった運営を推進
- 両者の連携を深めるための組織的取組の推進
- 大学・学部と附属学校が連携して研究計画を作成し実践
- 大学・学部教員の附属学校での授業担当
- 附属学校教員を大学の非常勤講師へ登用
- 公立学校と附属学校それぞれの長所を生かした教育実習の推進
- 附属学校の規模の見直し
2 学部の再編・統合に伴う附属学校の在り方
- 教員養成学部には、従来どおり附属学校を設置
- 非教員養成大学・学部に置かれている附属学校については、再編・統合を契機に必要性を再検証し、真に必要があれば存続
- 教員養成学部がなくなる大学の附属学校は、次のいずれかに該当すれば存続
- 教員養成大学・学部の附属学校に移管
- 真に必要があれば当該大学の附属学校として存続
(※ 存続の必要がないものは、段階的に地方移管や廃止等を検討)
- 独自の運営が適切かつ可能なものは独立採算制へ移行(今後の検討課題)