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5.各学校段階、各教科等における改訂の具体的な方向性

  • 新たな教育課程は、社会が著しく変化する中で未来を創造する次世代への教育を実現するものであり、前章までに述べたように、各学校段階と各教科等が相互に連携し全体としての学校教育の在り方を示すことを特色としている。
  • そのために、各学校段階、また各教科等の具体的な内容についても、学校教育全体の姿を常に念頭に置き、学校間、教科等間の相互連携と協働にも努めることが重要である。教育課程全体が目指す姿と教科等という構成要素が目指す方向性の双方を明らかにしていくことや、発達の段階に応じた縦のつながりと教科等間の関係という横のつながりを念頭に置きながら、総論的な検討と各論的な検討を相互につないで議論を深めていくことなどが求められる。
  • 今後の議論においては、総則等に関する議論を行う専門部会が、全学校段階・全教科等に関わる教育課程全体を見渡し、議論全体を統括する役割を担うとともに、その中で、学校段階ごとに育成すべき資質・能力の明確化等を行う各学校段階別の専門部会における議論と、各教科等別に幼・小・中・高を通じて育成すべき資質・能力の明確化等を行う各教科等別の検討グループにおける議論を有機的につなげながら、審議まとめ及び答申に向けた議論が進められることを求めるものである。
  • こうした進め方の中で、各学校段階及び各教科等における検討に当たっては、以下のような方向性に基づき議論が進められるよう求める。

(1)各学校段階の教育課程の基本的な枠組みと、学校段階間の接続

1.幼児教育

  • 幼児期は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な時期であることを踏まえ、義務教育及びその後の教育の基礎となるものとして、幼児に育成すべき資質・能力を育む観点から、教育目標・内容と指導方法、評価の在り方を一体として検討する必要がある。
  • 具体的には、子供の発達や学びの連続性を踏まえ、また、幼児期において、探究心や思考力、表現力等に加えて、感情や行動のコントロール、粘り強さ等のいわゆる非認知的能力を育むことがその後の学びと関わる重要な点であると指摘(※1)されていることを踏まえ、小学校の各教科等における教育の単純な前倒しにならないよう留意しつつ、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化を図ることや、幼児教育にふさわしい評価の在り方を検討するなど、幼児教育の特性等に配慮しながらその内容の改善・充実が求められる。
  • また、例えば、幼児が音声の響きやリズムに気付くこと、生活に必要な言葉を分かったり使ったりすること、生活の中で様々な色、形などに気付いたり感じたりすること、場面に応じ体の諸部位を十分に動かすことなどが、小学校以降の生活や学習の基盤につながると指摘されていることも踏まえ、今後の検討において、専門的・具体的に議論を深めていくことが求められる(※2)。その際、幼児一人一人に応じた対応を行うことや、日々の活動が小学校以降の生活や学習の基盤につながっていることを幼稚園の教員が再認識し、意図的に取り組むことなども求められる。
  • そうした幼児教育の改善・充実を図る中で、小学校教育との接続(※3)を一層強化していくことが重要である。幼児教育と小学校教育の円滑な接続を支援するため、幼児と児童の交流の推進、指導資料・教材等の開発、幼稚園と小学校の教員の人事交流や教員・行政担当者の研修をはじめとした教員等の資質能力の向上、教育委員会等における幼児教育の推進体制の充実などの条件整備が求められる。
  • そのほか、子供の発達の連続性を踏まえた幼児教育を充実するために、子供一人一人の多様性への配慮や学校と家庭、地域との連携強化の観点から、幼稚園における子育ての支援等(※4)について、具体的な留意事項の在り方等に関する検討を行う必要がある。 
  • なお、幼児期の教育については、幼稚園のみならず、保育所、認定こども園で担われていることを踏まえ、これらの全ての施設における全体としての教育の質を確保することが求められる(※5)。

  • ※1 幼児期におけるいわゆる非認知的能力の重要性の指摘については、補足資料47ページ参照。
  • ※2 学びの連続性の観点から、幼児期において、音韻の意識や視覚の認知、粗大運動・協調運動・巧緻性等を育むことなども重要であるとの指摘があったところである。
  • ※3 幼小の接続の現状、関連規定等については、補足資料48~54ページ参照。
  • ※4 幼稚園における子育ての支援の現状については、補足資料47ページ参照。
  • ※5 幼稚園と保育所との関係については、これまでも幼稚園教育要領と保育所保育指針の作成に当たり教育内容の整合性を図ってきており、今後も引き続き、幼稚園と保育所との連携を進めていく必要がある。また、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)の規定により、幼保連携型認定こども園教育・保育要領を策定するに当たっては、幼稚園教育要領及び保育所保育指針との整合性の確保に配慮しなければならないこととされている。

2.小学校

  • 小学校においては、「各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎」を培うこと及び「国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質」を養うことを目的とする義務教育(※6)のうち、基礎的なものを施すことが目的である。幼児教育までの学びを生かしながら、小学校段階において育むべき資質・能力を、三つの柱に沿って、教育課程全体及び教科等ごとに明確化し、中学校以後の学びに円滑に接続させることが求められる。
  • その中で、現行学習指導要領の各教科等の授業時数や指導内容を前提としつつ、2.(2)2.に示した「特にこれからの時代に求められる資質・能力」を踏まえ、関連する各教科等の改善を図るとともに、教科等における具体的な指導内容によって育まれる資質・能力の関係性を可視化していくことが必要である。
  • ただし、この中でも特に、国語や外国語を使って理解したり表現したりするための言語に関する能力を高めていくためには、国語教育と外国語教育のそれぞれを充実させつつ、国語と外国語の音声、文字、語句や単語、文構造、表記の仕方等の特徴や違いに気付き、言語の仕組みを理解できるよう、国語教育と外国語教育を効果的に連携させていく必要がある(※7)。こうした言語に関する能力を向上する観点からの外国語教育の充実は、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成や国語の能力の向上にも大きな効果があると考えられる。
  • このため、国語教育においては、下記(2)2.に示すように、国語の音声、文字、語句、文構造、表記の仕方等の仕組みについても、外国語教育と関連付けながら理解できるようにするための指導を充実させていく(※8)ことが求められる。また、外国語教育においても、(2)⑫及び別紙に示すようなこれまでの成果と課題(※9)を踏まえた方向性の中で、国語教育と関連付けながら、高学年においては外国語の4技能を扱う知識・技能を学び、語彙や表現などを繰り返し活用した言語活動から、自分の考えや気持ちなどを聞き手を意識しながら伝えようとするコミュニケーション活動までの総合的な活動を展開し定着を図るため、教科として系統的な指導を行うことが、また、中学年においては外国語に慣れ親しみ、「聞く」「話す」の2技能を中心に外国語学習への動機付けを高めるための外国語活動を行うことが求められる。
  • その場合の外国語の授業時数については、別紙に示すように、小学校高学年において、例えば、現行の外国語活動に必要な時間の倍程度となる年間70単位時間程度の時数が、中学年における外国語活動については、現行の外国語活動と同様に35単位時間程度が必要であると考えられる(※10)。
  • これらの年間35単位時間増となる時数を確保するためには、高学年においては、平成20年答申の小・中学校の教育課程の枠組みに関する小学校の授業時数(年間の総授業時数)の考え方(※11)を踏まえつつ、知識・技能の定着等を図るため、ICT等も活用しながら10~15分程度の短い時間を単位として繰り返し教科指導を行う効果的な短時間学習(帯学習、モジュール学習。以下、「短時間学習」という。)として実施する可能性も含めた専門的な検討が必要となる(※12)。弾力的な授業時間の設定に関する先行的な取組の分析を踏まえつつ、教育課程全体における短時間学習の位置付けを明確化するとともに、別紙に示す課題等も含め、外国語等における短時間学習の実施に向けた課題について専門的に検討を行う必要がある。
  • こうした短時間学習を通じて、高学年における年間35単位時間増分を確保することが難しい場合には、外国語の指導のために必要な時数の在り方や、他教科等の時数の在り方を含め、教育課程全体にわたる更なる検討が必要になることから、上記の短時間学習に関する専門的な検討を行った上で、再度、当部会において小学校の教育課程全体を見通した観点から検討を行い、平成27年内から平成28年当初を目途に一定の結論を得る。
  • 中学年においても、年間35単位時間増となる時数を確保するためには、他教科等の時数の在り方を含めた教育課程全体にわたる抜本的な検討が必要となることから、高学年における時数の在り方と併せて、再度当部会において小学校の教育課程全体を見通した観点から検討を行い、平成27年内から平成28年当初を目途に一定の結論を得る。
  • 幼児教育と小学校教育の接続に関しては、全ての教科等において幼児教育との接続を意識した教育課程を編成したり、幼児教育の特色を生かした総合的な指導方法を取り入れたりするなど、スタートカリキュラムの編成等を通じて、幼児教育との接続の充実や関係性の整理を図る必要がある。また、中学校教育との接続については、下記3.にも示すように、小中一貫教育の制度化に関係する動き等も踏まえた検討が必要である。こうした接続を確かなものとするため、接続を担当する教員のみならず、小学校全体の教職員による取組が求められる。

  • ※6 教育基本法(平成18年法律第120号)第5条第2項参照。
  • ※7 国語教育や外国語教育においては、言葉の特徴やきまりに関し、音声(音韻を含む)やメタ言語の意識等を踏まえた指導が重要と指摘されており、引き続き、専門的な見地から検討を行う必要がある。
  • ※8 前回改訂においても、例えば中学校国語科においては「他の言語と比べた国語の特質」の理解を重視することとされたところである。また、高等学校国語科においては、音韻や文字、表記等について外国語との対比から理解するようにすることや、現代の国語と外国語との関わり、言語の違いによるものの見方、感じ方、考え方の違いなどについて理解し合うことに役立つ教材が必要であることなどとされているところである。
  • ※9 補足資料147・148ページ参照。
  • ※10 補足資料132ページ参照。
  • ※11 「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について(答申)」 (平成20年1月中央教育審議会)(抜粋)
    6.教育課程の基本的な枠組み
     (1)小・中学校の教育課程の枠組み
     2.(小学校の授業時数(年間の総授業時数)においては、)小学校第4学年から第6学年にかけては現在の週27コマから1コマ増加し、週28コマを年間35週以上にわたって行うこととなる。これについては、学校では、一週間の中で、各教科等の授業以外にも、特別活動として児童会活動やクラブ活動が行われているほか、個別の児童に対する補充指導や生徒指導といった取組もなされている、9.にあるとおり学校が組織力を高め、教育課題に組織的に対応するに当たっては、校長や副校長、教頭、主幹教諭、教師との間の情報交換や意思疎通のための時間の確保なども必要である、ことなどから、学習指導要領上の標準授業時数を増加する場合、週28コマが限度と考えられる。
  • ※12 補足資料139~144ページ参照。

3.中学校

  • 中学校においては、義務教育を行う最後の教育機関として、教育基本法第5条第2項が規定する「各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎」及び「国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質」を卒業までに育むことができるよう、小学校教育の基礎の上に、中学校教育を通じて身に付けるべき資質・能力を、三つの柱に沿って、教育課程全体及び教科等ごとに明確化し、その育成を高等学校教育等のその後の学びに円滑に接続させることが求められる。
  • 特に外国語教育については、上記2.のとおり、3年間を通じて毎学年週4コマ、合計で420単位時間の授業時数となっている。小学校段階での充実を前提に、この成果を最大化して高等学校教育につなぐ観点から、互いの考えや気持ちを伝え合うことなどを通じて思考・判断・表現を行うことができる指導内容などの抜本的な質的改善や、教科書を含めて必要な教材の改善・充実が求められる。
  • そうした中で、現行学習指導要領の各教科等の授業時数や指導内容を前提としつつ、2.(2)2.に示した「特にこれからの時代に求められる資質・能力」を踏まえ、関連する各教科等の改善を図るとともに、教科等間の関係性を可視化していくことが必要である。
  • その際、小中一貫教育の制度化に伴い、4-3-2や5-4といった柔軟な学年段階の区切りの設定や、小・中学校の9年間を一貫した教育課程の編成などが期待されることも踏まえ、義務教育としての小・中学校教育の一貫性を強化する視点や、義務教育学校や小中一貫型小・中学校(仮称)における特色ある取組に向けた柔軟な運用を可能とする視点から、義務教育の9年間を見通した学習指導要領の在り方も検討する必要がある。 

4.高等学校

  • 高等学校は、中学校卒業後の約98%の者が進学し、社会で生きていくために必要となる力を共通して身に付ける、初等中等教育最後の教育機関である。また、その教育を通じて、一人一人の生徒の進路に応じた多様な可能性を伸ばし、その後の高等教育機関等や社会での活動へと接続させていくことが期待されている。
  • こうした役割と責任を果たすことができるよう、昨年12月に取りまとめられた中央教育審議会答申「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」(※13)等を踏まえ、一人一人の生徒が、義務教育を基盤として、1.十分な知識・技能と、2.それらを基盤にして答えのない問題に自ら答えを見いだしていく思考力・判断力・表現力等(※14)と、3.これらの基になる主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度とを身に付けていくことができるよう、高大接続改革の全体像を見据えながら、高等学校教育の改革を実現していくことが求められている。その具体的な教育課程の在り方等については、下記に示すように「共通性の確保」と「多様化への対応」の観点を軸として検討する必要がある。
  • 社会で生きていくために必要となる力を共通して身に付ける「共通性の確保」の観点からは、昨年6月に中央教育審議会初等中等教育分科会高等学校教育部会が取りまとめた「コア」(※15)についての整理を踏まえつつ、全ての生徒が共通に身に付けるべき資質・能力を、三つの柱に沿って明確化し、それらを育む必履修教科・科目等の改善を図るとともに、教科・科目等間の関係性を可視化していくことが必要である。
  • 特に、国語科、地理歴史科、公民科、外国語科、情報科における必履修科目の在り方については、各教科における現状の課題や、2.(2)2.に示した「特にこれからの時代に求められる資質・能力」を踏まえ、それぞれ下記(2)に示すとおり、共通必履修科目の設置や科目構成の見直しなど、抜本的な検討を行うことが考えられる。
  • また、一人一人の生徒の進路に応じた多様な可能性を伸ばす「多様化への対応」の観点からは、学び直しや特別な支援が必要な生徒への指導や、優れた才能や個性を有する生徒への指導や支援など、様々な幅広い学習ニーズがあることを踏まえつつ、各高等学校が、それぞれの学校や学科の特色に応じた魅力ある教育課程を編成・実施し、子供たちの進路に応じて必要となる資質・能力を育成できるようにする必要がある。
  • このため、必履修科目に関する見直しと併せて、選択科目や専門教科・科目についてもそれぞれ現状の課題を踏まえた改善を図る。特に理数教育については、スーパーサイエンスハイスクールにおける取組事例なども参考にしつつ、(2)4.及び5.に示すとおり、数学と理科の知識や技能を総合的に活用して主体的な探究活動を行う選択科目を新設することなどが考えられる。
  • 加えて、学び直し等の多様な要請に応えるため、各高等学校が生徒の実態等を考慮して、学校設定教科・科目(※16)を活用することや、学習指導要領上の教科・科目等について標準単位数を増加して対応することなども、「カリキュラム・マネジメント」の中で検討されるべきである。こうした柔軟な対応のために必要な事項についても、総則の在り方をはじめとした今後の検討の中で整理していくことが求められる。
  • さらには、上述のスーパーサイエンスハイスクールや、スーパーグローバルハイスクール、スーパー・プロフェッショナル・ハイスクールにおける先進的な教育課程の研究成果や、論理的思考力や表現力、探究心等を備えた人間育成を目指す国際バカロレア(※17)のカリキュラム等も踏まえながら、教科等における学びと教科横断的な学びを教育課程の中でより一層効果的に関連付けていくことも求められる。
  • 以上のような教科・科目等の在り方を含む教育内容の見直しを、2.(3)に示した「アクティブ・ラーニング」の視点からの学習・指導方法の不断の改善や、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」(※18)の導入をはじめとする学習評価の推進等と一体的に実施することにより、高等学校教育を通じて、高大接続改革が目指す「真の学ぶ力」を含む育成すべき資質・能力を、生徒一人一人の多様な進路に応じて確実に育んでいくことが重要である(※19)。
  • こうして育まれた一人一人の資質・能力が、大学進学希望者については個別入学者選抜や「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」(※20)を通じて、就職希望者については採用試験等を通じて多面的に評価され、進学先や就職先において更にその資質・能力を向上・発展させ花開かせていくことができるよう、引き続き高大接続改革等と調和を図りながら検討を進めていくことも重要である。

  • ※13 補足資料207~210ページ参照。
  • ※14 今後の社会の在り方・変容を踏まえれば、大学における学習や社会生活において、主体性を持って多様な人々と協力して問題を発見し解を見いだしていくために必要な、以下のような思考・判断・表現等を行えるかどうかがますます重要となると考えられる(補足資料215ページ参照)。
    (1)現在の状況から問題を発見・定義し、必要な情報を収集して解決のための構想を立て、計画を実行し、結果を振り返って次の問題解決につなげること(問題発見・解決とメタ認知)。
    (2)問題発見・解決のプロセスの中でも、特に以下のような思考・判断・表現等が行えること。
     1.推論、仮説の形成、2.学習を通じた創造的思考、3.適切な判断・意思決定、4.相手や状況に応じた表現や構成
    (3)問題発見・解決のプロセスを、主体的に実行するだけではなく、他の考え方との共通点や相違点を整理したり、異なる考え方を統合させたりしながら実行していくこと。
     (cf. PISAの協同問題解決)
  • ※15 補足資料206ページ参照。
  • ※16 補足資料66ページ参照。
  • ※17 補足資料169ページ参照。
  • ※18 補足資料211・212ページ参照。
  • ※19 足資料67~70ページ参照。
  • ※20 補足資料213・214ページ参照。

5.幼稚園、小学校、中学校、高等学校等における特別支援教育、特別支援学校

  • 全ての学校や学級に、発達障害を含めた障害のある子供たちが在籍する可能性があることを前提として、一人一人の子供の状況や発達の段階に応じた十分な学びを確保し、障害のある子供たちの自立や社会参画に向けた主体的な取組を支援するという視点が重要である。
  • このため、幼稚園、小学校、中学校、高等学校等においては、個々の学びの特性に配慮した、きめ細かな授業等が実施できるよう、幼稚園教育要領、幼保連携型認定こども園教育・保育要領、小・中・高等学校学習指導要領において、特別支援教育に関する記述の更なる充実を図ることが求められる。その際、各教科等の目標を実現する上で考えられる困難さに配慮するために必要な支援を示したり、通級による指導や特別支援学級の意義、それらの教育課程の取扱い、合理的配慮の提供も含めた「個別の教育支援計画(※21)」や「個別の指導計画(※22)」の位置付け、特別支援教育コーディネーターを中心とした支援体制の確立等の観点等を明確化したりすることが必要である。あわせて、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催等も契機としながら、共生社会の形成に向けた障害者理解の促進を明確に位置付け、交流及び共同学習の更なる充実を図ることも必要である。
  • また、特別支援学校においては、近年特に高等部生徒数の増加や、在籍する知的障害のある児童生徒数の増加がみられるなど、障害の状態の多様化に対応した特別支援学校学習指導要領の改善・充実が必要である。特に、幼児児童生徒の発達の段階に応じた自立活動の改善・充実、これからの時代に求められる資質・能力を踏まえた、障害のある幼児児童生徒一人一人の進路に応じたキャリア教育の充実、知的障害のある児童生徒のための教科の改善・充実を図ることが求められる。
  • こうした改善・充実を図るとともに、連続性のある「多様な学びの場」における子供たちの十分な学びを確保していく観点から、一人一人の子供たちが、それぞれの障害の状態や発達の段階に応じた学びの場における教育課程を通じて、自立や社会参画に向けて必要な資質・能力を身に付けていくことができるよう、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等との間で、教育課程が円滑に接続していけるようにしていくことが重要である。通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校それぞれにおける教育活動の在り方と相互の連続性を改めて可視化し、全ての学校現場において共有していくとともに、前述の「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」の作成・活用を通じて、子供たち一人一人の学びの連続性を実現していくことが求められる。

  • ※21 医療、保健、福祉、労働等の関係機関との連携を図りつつ、乳幼児期から学校卒業後までの長期的視点に立って、一貫して的確な教育的支援を行うために、障害のある幼児児童生徒一人一人について作成した支援計画。
  • ※22 学校における教育課程や指導計画、当該幼児児童生徒の個別の教育支援計画等を踏まえて、より具体的に障害のある幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズに対応して、指導目標や指導内容・方法等を盛り込んだ指導計画。

(2)各教科・科目等の内容の見直し

1.総則

  • 学習指導要領等の総則においては、教育課程編成の基本的な仕組みや配慮事項、各教科等の内容に関する共通的な事項、学校教育法施行規則が規定する年間授業時数等を踏まえた授業時数等の取扱いに関する事項、各学校における指導計画の作成に当たって配慮すべき事項など、各教科等にわたる通則的事項が示されている。このように総則は、各教科等をつなぎ教育課程の全体像を示す重要な役割を有するものである。
  • 今後、教育課程全体を通じて子供たちがどのような資質・能力を身に付けることができるのかを明らかにし、各学校が編成する教育課程において具体化するとともに、新しい教育課程の在り方を広く社会と共有していくためには、総則が果たすべき役割がこれまで以上に重要となる。
  • 具体的には、2.(2)1.に示した育成すべき資質・能力についての基本的な考え方や、2.(3)に示した学習指導要領の構造化に関する考え方、「アクティブ・ラーニング」の視点からの学習・指導方法の改善や学習評価の重要性、「カリキュラム・マネジメント」の確立の重要性など、教育課程に関する総体的な構造を、総則及びその解説の中で示していくことが重要である。その際、総則と各教科等との関係性を記すことを通して、総則が各教科等に果たす役割について示すことも重要である。
  • 加えて、学校の教育活動全体を通じて実施することが求められる事項(道徳教育、体育・健康や安全等に関する指導、特別支援教育、キャリア教育、生徒指導、海外から帰国した子供や外国人児童生徒への日本語指導・適応指導等、優れた才能や個性を有する児童生徒への指導や支援、情報機器やネットワーク等の活用、学校段階間の接続、地域社会との連携や社会教育施設等の活用、学校図書館を活用した読書活動、部活動の位置付けと留意点、美術館や音楽会等を活用した芸術鑑賞活動等)についても、既存の記載事項を踏まえつつ、総則において、育成すべき資質・能力や各教科等との関係性をより明確に示していくことが求められる。

2.国語

  • 国語科においては、実生活で生きて働き、各教科等の学習の基本ともなる国語の能力を身に付けること、我が国の言語文化を享受し継承・発展させる態度を育てること等に重点を置いて、現行の学習指導要領に改訂され、その充実が図られてきているところである。
  • 一方で、伝えたい内容を明確にして表現したり、文章の内容や形式等を正確に理解したりすること、課題を解決するために、必要な情報を収集し的確に整理・解釈したり、自分の考えをまとめたりすること、古典を学習する楽しさや学習する意義の実感等については、更なる充実が求められるところである。次期改訂に向けては、幼児期に育まれた言葉による伝え合い等の基礎の上に、小・中・高等学校教育を通じて育成すべき資質・能力を、三つの柱に沿って明確化し、古典も含む我が国の言語文化に親しみつつ、言語活動を通じて課題を解決する能力や、情報活用能力の育成、現代の文化・社会の在り方や日本人としての生き方等にもつながる古典の学習の充実、他者と異なる新たな考えや価値を創出し表現する活動の充実などを、各学校段階を通じて図っていくことが求められる。また、言語に関する能力を向上させる観点から、外国語教育と効果的に連携させ(※23)、音声、文字、単語・語句、文構造、表記の仕方等の特徴や違いに気付き、言語の仕組みを理解できるようにする(※24)ことや、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成していくことも重要である。
  • 特に高等学校教育においては、教材の読み取りが指導の中心になりがちで、国語による主体的な表現等が重視されていないこと、話合いや論述など、「話すこと・聞くこと」「書くこと」の学習が十分に行われていないこと、古典の学習について、日本人として大切にしてきた言語文化を積極的に享受し、社会や自分との関わりの中でそれらを生かしていくという観点が弱く、興味が高まらないことなどが指摘されているところである。
  • このような、高等学校の国語教育について長年にわたり指摘されている課題の解決を図るためには、科目構成の見直しを含めた検討が必要であると考えられることから、共通必履修科目については、1.実社会・実生活に生きる国語の能力を育成する科目、2.古典を含む我が国の言語文化に関する科目、選択科目については、1.近代以降の口語体の文章(現代文(※25))を中心に、古典としての古文・漢文を含めて扱うなど、総合的な国語の能力を育成する科目、2.多様な文章等から得た情報を基に自分の考えをまとめ、適切な構成等で表現する能力を育成する科目、3.文学的な文章を読んだり書いたりする能力を育成する科目、4.古典としての古文・漢文等を読むことを通して、我が国の伝統的な言語文化への理解・関心を深める科目を柱に、科目構成の在り方(※26)を検討することが求められる(※27)。
  • また、平成22年に常用漢字表が改定されたことを踏まえ、小学校において、実生活や国語科以外の各教科等との関連を考慮しながら、漢字の学年別配当の見直しの検討が求められる。

  • ※23 脚注46参照。
  • ※24 脚注45のとおり、引き続き、専門的な見地から検討を行う必要がある。
  • ※25 詩歌等を含む。
  • ※26 科目構成のイメージについては、補足資料114ページ参照。
  • ※27 俳句や短歌などを創作したり、文章を脚本にして実際に演じたりするなど、創作的な言語活動も重要である。なお、演劇については、国際バカロレアの芸術系科目として演劇が位置付けられていることなども踏まえ、将来的に科目としての在り方を検討していくことも考えられる。

3.社会、地理歴史、公民

  • 社会科、地理歴史科、公民科においては、社会的事象に関心を持って多面的・多角的に考察し、公正に判断する能力と態度を養い、社会的な見方や考え方を成長させること等に重点を置いて、現行の学習指導要領に改訂され、その充実が図られてきているところである。
  • 一方で、主体的に社会の形成に参画しようとする態度等の育成や、資料から読み取った情報を基にして社会的事象について考察し表現すること等については、更なる充実が求められるところである。次期改訂に向けては、幼児期に育まれたいろいろな人との関わり等の基礎や、生活科をはじめとする小学校低学年における学習を通じて身に付けた資質・能力の上に、小・中・高等学校教育を通じて育成すべき資質・能力を、三つの柱に沿って明確化し、各学校段階を通じて、社会との関わりを意識した課題解決的な学習活動の充実等を図っていくことが求められる。
  • 特に高等学校教育においては、自分の参加により社会をよりよく変えられると考えている若者の割合が国際的に見ても低いこと、時代の変化に耐えてきた先哲の考え方を習得し、それを手掛かりとして自己の生き方や考え方等を練磨することに課題があること、近現代に関する学習の定着状況が低い傾向にあること、課題解決的な学習を取り入れた授業が十分に行われていないこと等が指摘されているところである。
  • また、2(2)2.に示した「特にこれからの時代に求められる資質・能力」を踏まえれば、国家及び社会の形成者として必要な知識や思考力等を基盤として選択・判断等を行い、課題を解決していくために必要な力や、自国の動向とグローバルな動向を横断的・相互的に捉えて現代的な諸課題を歴史的に考察する力、持続可能な社会づくりの観点から地球規模の諸課題や地域課題を解決していく力を、全ての高校生に共通に育んでいくことが求められる。
  • こうした課題等を踏まえ、地理歴史科においては、「世界史」の必修を見直し、共通必履修科目として、我が国の伝統と向かい合いながら、自国のこととグローバルなことが影響し合ったりつながったりする歴史の諸相を、近現代を中心に学ぶ科目「歴史総合(仮称)」(※28)と、持続可能な社会づくりに必要な地理的な見方や考え方を育む科目「地理総合(仮称)」(※29)の設置を検討することが求められる。
  • また、公民科は、様々な課題を捉え考察する基となる概念・理論や先哲の多様な思想を学び、それを通じて多様な文化に触れ、グローバルな社会の中で、自らが考え、選択・判断する力を鍛える教科としての意義を持つ。そうした公民科における共通必履修科目として、家庭科や情報科をはじめとする関係教科・科目等とも連携しながら、主体的な社会参画に必要な力を、人間としての在り方生き方の考察と関わらせながら実践的に育む科目「公共(仮称)」(※30)の設置を検討することが求められる。なお、「公共(仮称)」については、社会的・職業的な自立に向けて必要な力を育むキャリア教育の中核となる時間として位置付けることを検討する。
     この際、学校教育活動全体の中でのインターンシップの在り方や位置付け等についても、併せて検討することが求められる。
  • なお、高等学校におけるこうした新科目の設置に当たっては、教科書を含めて学校における指導の中で扱う用語の在り方についても念頭に置いた検討が求められる。また、学校段階を通じた学習の充実の観点から、小・中学校社会科との接続について、例えば次のような点を重視して、その具体的な在り方を更に検討することが求められる。
    • 小学校の社会科については、社会的な見方や考え方の育成を一層重視するとともに、世界の国々との関わりや我が国の政治の働きへの関心を高める学習、社会に見られる課題を把握して社会の発展を考える学習を充実すること等が考えられる。
    • 中学校の地理的分野については、地理的技能の育成を一層重視するとともに、持続可能な社会づくりの観点から様々な課題を考察させること等、歴史的分野については、グローバル化に対応する観点から世界の歴史の扱いを充実させること等、公民的分野については、社会参画への手掛かりを得させるために、身に付けた概念を現実の社会的事象と関連付けて理解させること等が考えられる。

  • ※28 科目の内容のイメージについては、補足資料116ページ参照。
  • ※29 科目の内容のイメージについては、補足資料117ページ参照。
  • ※30 科目の内容のイメージについては、補足資料115ページ参照。

4.算数、数学

  • 算数科、数学科においては、発達の段階に応じて、算数的活動・数学的活動を充実させ、基礎的・基本的な知識・技能を確実に身に付け、数学的な思考力・表現力を育て、学ぶ意欲を高めること等に重点を置いて、現行の学習指導要領に改訂され、その充実が図られてきているところである。
  • 一方で、学習する楽しさや学習する意義の実感等については、更なる充実が求められるところである。数量や図形に関する知識や技能は、生活や学習の基盤となるものであり、また、数学的な思考力等は、根拠に基づき考察を深めたり意思決定を行ったりするために欠かせない力である。
  • 子供たちがこうした算数・数学の良さを認識し、学ぶ楽しさや意義等を実感できるよう、次期改訂に向けては、幼児期に育まれた数量・図形への関心・感覚等の基礎の上に、小・中・高等学校教育を通じて育成すべき資質・能力を、三つの柱に沿って明確化し、各学校段階を通じて、実社会との関わりを意識した算数的活動・数学的活動の充実等を図っていくことが求められる。
  • また、社会生活などの様々な場面において必要なデータを収集して分析し、その傾向を踏まえて課題を解決したり意思決定をしたりすることが求められており、そのような能力を育成するため、高等学校情報科等との関連も図りつつ、小・中・高等学校教育を通じて統計的な内容等の改善について検討していくことが必要である。
  • 加えて、高等学校教育においては、スーパーサイエンスハイスクールにおける取組等を踏まえつつ、生徒の興味や進路に応じて、数学科の枠を越えた科学的なテーマに徹底的に向き合い考え抜く力を育成するため、大学入学者選抜の改革や「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」に向けた動きも踏まえつつ、数学と理科の知識や技能を総合的に活用して主体的な探究活動を行う新たな選択科目「数理探究(仮称)」(※31)の設置を検討することが求められる。あわせて、「数学活用」の在り方についても検討することが求められる。

  • ※31 科目の内容のイメージについては、補足資料118ページ参照。「数理探究(仮称)」の設置に当たっては、数学、理科それぞれの中で身に付けるべき資質・能力等に加え、この新科目の中で数理横断的に身に付けるべき資質・能力の在り方や学習のプロセスの在り方について整理した上で、内容の検討を進めていくことが求められる。

5.理科

  • 理科においては、発達の段階に応じて、知的好奇心や探究心を持って自然に親しみ、目的意識を持った観察・実験を行うことにより、科学的に調べる能力や態度を育てるとともに、科学的な見方や考え方を養うこと等に重点を置いて、小・中・高等学校の系統性にも留意し、現行の学習指導要領に改訂され、その充実が図られてきているところである。
  • 一方で、理科の勉強が楽しいと答える中学生及び高校生の割合が国際的に見ても低い傾向があるなど、学習する楽しさや学習する意義の実感等については、更なる充実が求められるところであり、日進月歩で発展する科学技術と自然の事物・現象との関係を実感する機会を持たせることにより、理科好きの子供たちの裾野を拡大していけるよう、小・中・高等学校教育全体を通じて改善していくことが一層求められる。
  • さらに、地球温暖化やエネルギー資源等の地球規模の課題に対して、科学技術・学術研究の先進国として世界をリードしていくことを目指すことが求められるところである。次期改訂に向けては、幼児期に育まれた自然との関わり等の基礎や、生活科をはじめとする小学校低学年における学習を通じて身に付けた資質・能力の上に、小・中・高等学校教育を通じて育成すべき資質・能力を、三つの柱に沿って明確化し、各学校段階を通じて、実社会との関わりを意識した探究的な活動の充実等を図っていくことが求められる。
  • 加えて、高等学校教育においては、上記4.に示したように、スーパーサイエンスハイスクールにおける取組等を踏まえつつ、生徒の興味や進路に応じて、数理横断的なテーマに徹底的に向き合い考え抜く力を育成するため、大学入学者選抜の改革や「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」に向けた動きも踏まえつつ、数学と理科の知識や技能を総合的に活用して主体的な探究活動を行う新たな選択科目「数理探究(仮称)」(※32)の設置を検討することが求められる。

  • ※32 上記脚注参照。

6.生活

  • 生活科においては、人や社会、自然と関わる活動を充実し、自分自身についての理解などを深める観点から、現行の学習指導要領に改訂され、その充実が図られてきているところである。
  • 幼児教育との円滑な接続を図るスタートカリキュラムの中核となる教科として位置付けられるものであり、引き続きこの観点からの充実を図るとともに、中学年以降の各教科等や低学年における他教科等において育成される資質・能力との関係性を、三つの柱に沿って明確化していくことが求められる。

7.音楽、芸術(音楽)

  • 音楽科、芸術科(音楽)においては、音楽のよさや楽しさを感じるとともに、思いや意図を持って表現したり味わって聴いたりする力を育成すること、音楽と生活との関わりに関心を持って、生涯にわたり音楽文化に親しむ態度を育むこと等に重点を置いて、現行の学習指導要領に改訂され、その充実が図られてきているところである。
  • 一方で、感性を働かせ、他者と協働しながら音楽表現を生み出したり音楽を聴いてそのよさや価値等を考えたりしていくこと、我が国や郷土の伝統音楽に親しみ、よさを一層味わえるようにしていくことや、音楽文化についての関心や理解を深めていくことについては、更なる充実が求められるところである。次期改訂に向けては、幼児期に育まれた豊かな感性と表現等の基礎の上に、小・中・高等学校教育を通じて育成すべき資質・能力を、三つの柱に沿って明確化し、各学校段階を通じて、創造的に表現したり鑑賞したりする力の育成、生活や社会における音楽の働きや音楽文化に関する学習活動の充実等を図り、豊かな情操を養っていくことが求められる(※33)。

  • ※33 芸術教育は、子供たちが自分の発達特性を認識し、感情や行動をコントロールしていくための素地を作るという側面があることを踏まえた指導の充実が必要との指摘があったことも踏まえつつ検討が求められる。

8.図画工作、美術、芸術(美術、工芸)

  • 図画工作科、美術科、芸術科(美術、工芸)においては、創造することの楽しさを感じるとともに、思考・判断し、表現するなどの造形的な創造活動の基礎的な能力を育てること、生活の中の造形や美術の働き、美術文化に関心を持って、生涯にわたり主体的に関わっていく態度を育むこと等に重点を置いて、現行の学習指導要領に改訂され、その充実が図られてきているところである。
  • 一方で、感性や想像力等を豊かに働かせて、思考・判断し表現したり鑑賞したりするなどの資質・能力を相互に関連させながら育成することや、生活を美しく豊かにする造形や美術の働き、美術文化についての実感的な理解を深め、生活や社会と豊かに関わる態度を育成すること等については、更なる充実が求められるところである。次期改訂に向けては、幼児期に育まれた豊かな感性と表現等の基礎の上に、小・中・高等学校教育を通じて育成すべき資質・能力を、三つの柱に沿って明確化し、各学校段階を通じて、育成すべき資質・能力の相互の関連や学習内容との関係を一層明確にした主体的で創造的な学習活動、生活や社会の中の造形や美術の働きや美術文化に関する学習活動の充実を図り、豊かな情操を養っていくことが求められる(※34)。

  • ※34 脚注71と同様。

9.芸術(書道)

  • 芸術科(書道)においては、書の文化の継承と創造への関心を一層高めるために、書の文化に関する学習の充実を図るとともに、豊かな情操を養い、感性や想像力を働かせながら考えたり判断したりするなどの資質・能力の育成等に重点を置いて、現行の学習指導要領に改訂され、その充実が図られてきているところである。
  • 一方で、書の伝統と文化を踏まえながら、生徒が感性を働かせて、表現と鑑賞の相互関連を図りながら能動的に学習を深めていくことや、書への永続的な愛好心を育むこと等については、更なる充実が求められるところである。次期改訂に向けては、中学校国語科の書写との関連を図りつつ、育成すべき資質・能力を、三つの柱に沿って明確化し、各学校段階を通じて、育成すべき資質・能力と学習内容との関係を明確にした学習活動や、書と生活や社会の関わり、書の伝統と文化の理解を深める学習の充実等を図り、豊かな情操を養っていくことが求められる(※35)。

  • ※35 脚注71と同様。

10.家庭、技術・家庭

  • 家庭科、技術・家庭科(技術分野・家庭分野)においては、実践的・体験的な学習活動を通して、家族と家庭の役割、生活に必要な衣、食、住、情報、産業等についての基礎的な理解と技能を養うとともに、それらを活用して課題を解決するために工夫し創造できる能力と実践的な態度の育成を一層重視する観点から、現行の学習指導要領に改訂され、その充実が図られてきているところである。
  • 一方で、家庭科及び家庭分野においては、生活の科学的な理解や、生活課題を解決する能力と実践的な態度を育成すること等について、更なる充実が求められるところである。次期改訂に向けては、幼児期に育まれたいろいろな人との関わりや健康な心と体等の基礎の上に、小・中・高等学校教育を通じて育成すべき資質・能力を、三つの柱に沿って明確化し、各学校段階を通じて、家庭や社会とのつながりを重視するとともに、少子高齢社会、資源や環境に配慮したライフスタイルの確立や持続可能な社会づくりのための力や、他者と共生し自立して生活する力、生涯を見通して生活を設計し創造していく力の育成等を図っていくことが求められる。
  • また、技術分野においては、技術と社会・環境との関わりの理解や、プログラミングや情報セキュリティ等も含めた情報活用能力の育成等について、更なる充実が求められるところである。次期改訂に向けては、小学校図画工作科、高等学校情報科、職業に関する教科・科目等との関連を図りつつ、育成すべき資質・能力を、三つの柱に沿って明確化し、高度な技術製品が普及する社会において、技術に関する科学的な理解を基に技術を適切に評価・活用し、安心・安全な生活の実現に貢献できる力や、技術を創造し、よりよい社会を構築できる力の育成等を図っていくことが求められる。

11.体育、保健体育

  • 体育科、保健体育科においては、生涯にわたって健康を保持増進し、豊かなスポーツライフを実現することを重視する観点から、現行の学習指導要領に改訂され、その充実が図られてきているところである。
  • 一方で、体育においては、学習したことを実生活や実社会で生かし、運動の習慣化につなげること、技能や知識、思考力・判断力・表現力等、公正・協力・責任・参画等の態度をバランスよく育むこと等について、更なる充実が求められるところである。次期改訂に向けては、幼児期に育まれた健康な心と体等の基礎の上に、小・中・高等学校教育を通じて育成すべき資質・能力を、三つの柱に沿って明確化し、バランスよく育成していくとともに、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機としながら、各学校段階を通じて、運動やスポーツへの関心を高め、「する、みる、支える」などの多様なスポーツとの関わり方を楽しめるようにしていくことが求められる(※36)。また、国際的なスポーツ大会の役割について新たにパラリンピックを含めて学ぶこととするとともに、他教科等における学習とも連携しながら、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の成果を未来への遺産として子供たちの中に根付かせていくための学びを充実させていくことも重要である。
  • また、保健においては、少子高齢化や疾病構造の変化による現代的な健康課題の解決に役立つ内容の学習、健康情報を分析し活用する学習(※37)、自他の健康課題を発見し解決していく学習、危険の回避や事故の防止等につながる学習等について、更なる充実が求められるところである。次期改訂に向けては、幼児期に育まれた健康な心と体等の基礎の上に、小・中・高等学校教育を通じて育成すべき資質・能力を、三つの柱に沿って明確化し、各学校段階を通じて、現代的な健康に関する課題解決的な学習や自他の健康の保持増進を目指した主体的・協働的な学習の充実等を図っていくことが求められる。

  • ※36 体育は、子供たちが自分の発達特性を認識し、感情や行動をコントロールしていくための素地を作るという側面があることを踏まえた指導の充実が必要との指摘があったことも踏まえつつ検討が求められる。
  • ※37 疾病等についての最新の科学的知見を踏まえた指導が求められることを踏まえた教材の在り方についても検討が求められる。

12.外国語(※38)

  • 外国語科及び外国語活動においては、小・中・高等学校を通じて、言語や文化に対する理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、4技能を総合的に育成することをねらいとして、現行の学習指導要領に改訂(※39)され、様々な取組を通じて充実が図られている。
  • 一方で、各学校段階での指導改善による成果が認められるものの、児童生徒の学習意欲に関する課題があるとともに、学校間の接続が十分とは言えず(※40)、進学後に、それまでの学習内容を発展的に生かすことができていない状況や、特に「話す」「書く」などの言語活動が十分に行われていない状況などが認められる(※41)。
  • このため、次期改訂に向けては、国として、小・中・高等学校を通じて育成すべき資質・能力を、三つの柱を踏まえつつ、1.各学校段階の学びを接続させること、2.「英語(※42)を使って何ができるようになるか」という観点から一貫した教育目標(4技能に係る具体的な指標の形式の目標を含む)を設定し、それに基づき、英語を「どのように使うか」、国際共通語としての英語を通して「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」という観点から、児童生徒が将来の進路や職業などと結び付け主体的に学習に取り組む態度等を含めて育まれるよう、学習・指導方法、評価方法の改善・充実を図っていくことが求められる。国が示す教育目標を踏まえ、各学校が具体的な学習到達目標(CAN-DO形式)を設定し、児童生徒にどのような英語力が身に付くか、英語を用いて何ができるようになるかなどが明確になり、指導と多面的な評価の一体化とそれらの改善が図られる(※43)。
  • 小学校段階においては、高学年の「外国語活動」の充実により、児童の高い学習意欲、中学生の変容などの成果が認められる一方で、1.音声中心で学んだことが、中学校の段階で音声から文字への学習に円滑に接続されていない、2.国語と英語の音声の違いや英語の発音と綴(つづ)りの関係、文構造の学習において課題がある、3.高学年は、児童の抽象的な思考力が高まる段階であり体系的な学習が求められることなどが課題(※44)として指摘されている。
  • これらの成果と課題を踏まえて、中学年から「聞く」「話す」を中心とした外国語活動を通じて外国語に慣れ親しみ外国語学習への動機付けを高めた上で、高学年から発達段階に応じて4技能を総合的・系統的に扱う教科学習を行うことが求められる。その際、これまでの課題に対応した教科化に向けて、新たに1.アルファベットの文字や単語などの認識、2.国語と英語の音声(※45)の違いやそれぞれの特徴への気付き、3.語順の違いなど文構造への気付き等を促す指導を行うために必要な時間を確保することが必要である(※46)。
  • 同時に、中学校及び高等学校の英語教育についても、指導内容の抜本的な質の向上を図る必要がある。中学校段階では、小学校での学びの連続性を図りつつ、高等学校の目標・内容の高度化に向けた基礎を培う観点から、発達段階に応じた、より具体的で身近な話題についての理解や表現、簡単な情報交換ができるコミュニケーション能力を養うための一層の改善を行う。その際、学校、地域、他教科等での学習内容等と関連付けて、互いの考えや気持ちなどを英語で伝え合う対話的な言語活動を重視した授業を充実するとともに、授業を実際のコミュニケーションの場面とする観点から、中学校においても授業を英語で行うことを基本とする。あわせて、新たに4技能を測定する全国的な学力調査の実施により、指導改善のサイクルを確立することが重要である。
  • 高等学校段階では、中学校との円滑な接続を図る観点から、日常生活から社会問題・時事問題など幅広い話題について、生徒の英語力等の状況に応じた発表、討論・議論、交渉等を行う言語活動を豊富に体験し、情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりするコミュニケーション能力を養う。その際、生徒や学校の多様なニーズを踏まえ、グローバルな視点で他教科等での学習内容等と関連付けて、外国語を用いて課題解決を図る力を育成するための言語活動の充実も図る(※47)。引き続き、授業を英語で行うことを基本とするとともに、1.必履修も含めた4技能を総合的に扱う言語活動を中心とした科目、2.特に課題がある「話すこと」及び「書くこと」(※48)によって発信する能力を更に強化する技能統合型の言語活動を充実するための科目構成の見直し(※49)を行う。
  • また、小学校で学んだ語彙や表現などの学習内容は中学校で繰り返し言語活動において活用し定着を図るとともに、中学校で学習した語彙・表現・文法事項等は高等学校で意味のある文脈の中でコミュニケーションを通して繰り返し触れ、自らの学習活動を振り返って次につながる主体的な学びができるよう、様々な言語活動を工夫し、言語の運用能力を高めることが必要である。その際、ICT等を活用した効果的な言語活動を行うよう工夫が求められる。
  • なお、新興国をはじめとする非英語圏の国々とのつながりも重要性を一層増しており、英語以外の外国語についても、引き続き専門的な検討を行うことが求められる。

  • ※38 英語以外の外国語については、地域の実情や学校の実態に応じ、一層積極的に開設され弾力的な指導がなされるよう、学習指導要領において特に規定しないこととしている。これらを扱う際には、英語に関する各科目の目標及び内容等に準ずることとしている。
  • ※39 1.小学校高学年において、コミュニケーションの能力の素地の育成をねらいとして、「聞く」「話す」の2技能を中心に慣れ親しませるため、外国語活動を年間35単位時間実施、2.中学校では授業時数を約3割(年間140単位時間)へ充実、3.高等学校では選択必履修から4技能を総合的に扱う「コミュニケーション英語1」を共通必履修に科目構成を変更するとともに、授業を実際のコミュニケーションの場面とするため、生徒の理解の程度に応じて授業は英語で行うことを基本とするなど充実を図った。
  • ※40 補足資料155ページ参照。
  • ※41 補足資料103ページ、149ページ、152・153ページ参照。
  • ※42 本「論点整理」では、具体的な外国語に言及する場合には、第二期教育振興基本計画等を踏まえ設置された「英語教育の在り方に関する有識者会議」等に議論が重ねられてきた英語を主に取り上げるが、本文中に指摘しているように、英語以外の外国語についても引き続き専門的な検討を行うことが求められる。
  • ※43 小・中・高等学校を一貫した教育目標・内容のイメージは補足資料132~134ページ参照。
  • ※44 補足資料147・148ページ参照。
  • ※45 音声については、音声から文字への学習に円滑に接続されていないなどの課題に対応するため、音韻の意識等を踏まえた指導をはじめ、イントネーションやリズム、英語に特徴的に見られる音への気付きを促す指導が重要と指摘されており、引き続き、専門的な見地から検討を行う必要がある。
  • ※46 英語教育の改善・充実については、現状の成果や課題を踏まえた今後の在り方について高い関心が寄せられており、文部科学省に設置された「英語教育の在り方に関する有識者会議」等において議論が重ねられ、報告等もまとめられているところ。諮問においても、同報告の提言を踏まえつつ検討を行うことが求められており、こうした状況を踏まえ、小学校外国語を中心とした課題について、別紙において補足する。
  • ※47 グローバルな社会課題を発見・解決できる人材や、様々な国際舞台で活躍できる人材を育成するため、スーパーグローバルハイスクール等の先進的な取組に関する検証も踏まえた検討が考えられる。
  • ※48 補足資料152・153ページ参照。
  • ※49 科目構成のイメージについては、補足資料126ページ参照。

13.情報

  • 情報科においては、情報化の進む社会に積極的に参画することができる能力・態度を育むとともに、情報に関する科学的な見方・考え方を確実に定着させる指導を重視する観点から、現行の学習指導要領に改訂され、その充実が図られてきているところである。
  • 今日、情報技術の進展により、子供を取り巻く環境には劇的な変化が見られる。さらなる情報化の進展が予想されるこれからの社会の在り方等を踏まえれば、情報活用能力の育成については、情報の量のみならず質の変化が著しいことなども視野に入れた一層の充実が求められるところである。次期改訂に向けては、幼児期に育まれた言葉による伝え合い等の基礎の上に、小・中・高等学校の各教科等を通じた情報活用能力の育成について、三つの柱に沿って明確化し、学校外の多様な教育活動とも連携しつつ、プログラミングや情報セキュリティをはじめとする情報モラルなどに関する学習活動の充実を発達段階に応じて図るとともに、情報科においては、高等学校教育における共通性を明確にし、情報の科学的な理解に裏打ちされた情報活用能力を身に付けるため、統計的な手法の活用も含め、情報と情報技術を問題の発見と解決に活用するための科学的な考え方等を育成する共通必履修科目の設置を検討することとする。あわせて、当該共通必履修科目を前提とした発展的な内容を扱う選択科目についても、検討を行う(※50)。

  • ※50 科目の内容のイメージについては、補足資料127ページ参照。

14.主として専門学科において開設される各教科・科目

  • 主として専門学科において開設される各教科・科目については、専門分野ごとに求められる資質・能力を、産業界や関係団体等との間で共有化しながら三つの柱を踏まえ整理した上で、その中での各教科・科目の位置付けの明確化等や、各教科・科目ごとに身に付けるべき資質・能力の三つの柱に沿った明確化を図っていくことが求められる。
  • 特に、職業に関する各教科・科目については、将来のスペシャリストの育成という観点から専門分野の基礎的・基本的な知識、技術及び技能を身に付けるための教育とともに、社会に生き、社会的責任を担う職業人としての規範意識や倫理観を醸成し、豊かな人間性の涵(かん)養等にも配慮した教育の充実が図られてきたところである。
  • 一方で、職業の多様化や職業人として求められる知識、技術及び技能の高度化に対応した実践的な教育を充実させるため、スーパー・プロフェッショナル・ハイスクールなどの先進的な取組に関する検証も踏まえつつ、地域や産業界、大学教育や専修学校教育等との連携を一層深めながら、社会の変化や産業の動向等に応じた教育内容の見直しを図ることが求められる。また、急速に変化する社会のニーズとの間にギャップが生じることを防ぐため、専門教科・科目と各職業分野との関連性を強化する取組を更に進めるとともに、地域・産業界等との連携・交流を通じた実践的な学習活動等の充実を図ることも必要である。

15.道徳教育

  • 学校における道徳教育は、自己の生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した一人の人間として他者とともによりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とする教育活動であり、「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」の根幹となるものである。
  • このような資質・能力の育成を目指す道徳教育においては、既に学習指導要領が一部改訂され、小学校では平成30年度、中学校では平成31年度から、「特別の教科 道徳」(道徳科)が実施されることとなっている。本「論点整理」が目指す「これからの時代に求められる資質・能力の育成」や、「アクティブ・ラーニング」の視点からの学習・指導方法の改善を先取りし、「考え、議論する」道徳科への転換により児童生徒の道徳性を育むものであり、道徳的諸価値についての理解を基に、自己を見つめ、物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方や他者との関わりについても考えを深める学習を通して、道徳的判断力、道徳的心情や道徳的実践意欲と態度を育てるものである。
  • 道徳の特別教科化は、これまで軽視されがちだったと指摘される従来の道徳の時間を検定教科書の導入等により着実に行われるように実質化するとともに、その質的転換を図ることを目的としている。
  • 特に、後者の「考え、議論する」道徳科への質的転換については、子供たちに道徳的な実践への安易な決意表明を迫るような指導を避ける余り道徳の時間を内面的資質の育成に完結させ、その結果、実際の教室における指導が読み物教材の登場人物の心情理解のみに偏り、「あなたならどのように考え、行動・実践するか」を子供たちに真正面から問うことを避けてきた嫌いがあることを背景としている。このような言わば「読み物道徳」から脱却し、問題解決型の学習や体験的な学習などを通じて、自分ならどのように行動・実践するかを考えさせ、自分とは異なる意見と向かい合い議論する中で、道徳的価値について多面的・多角的に学び、実践へと結び付け、更に習慣化していく指導へと転換することこそ道徳の特別教科化の大きな目的である。
  • 義務教育においては、従来の経緯や慣性を乗り越え、道徳の特別教科化の目的である道徳教育の質的転換が全国の一つ一つの教室において確実に行われることが必要であり、そのためには、答えが一つではない、多様な見方や考え方の中で子供たちに考えさせる素材を盛り込んだ教材の充実や指導方法の改善等が不可欠である。
  • なお、道徳科は、改めて、教育課程全体を通して道徳教育の成果を上げるために、その核となる役割を果たすことを求めて実施を図るものである。そのために、道徳科と各教科等との関係性を明らかにすることを通して、教育課程に占める道徳科の位置付けを明確にする必要がある。
  • このように、道徳の特別教科化を着実に実施するため、文部科学省には万遺漏なきよう諸施策に取り組むことを求めるものであるが、質的転換の進展状況を踏まえ、学習指導要領も含めた道徳教育の在り方については常に見直し、改善することが重要である。
  • 次期改訂においては、先んじて導入された小・中学校における道徳科の内容を踏まえつつ、高等学校における道徳教育の在り方について、公民科等における内容の充実・改善と併せて検討を行うことが求められる。

16.特別活動

  • 特別活動は、学校で生活する子供たちにとって最も身近な社会である学級や学校における生活改善のための話合い活動や実践活動を通じて、主体的に社会の形成に参画しようとする態度や自己実現を図るために必要な力を養ったり、各教科等におけるグループ学習等の協働的な学びの基礎を形成したりする役割を果たしている。また、よりよい人間関係に基づく学級経営の充実を図る役割としても重要である。
     自分たちが所属する集団や社会の充実と向上のため、教科等で身に付けた資質・能力を活用し、意見の違いや多様性を生かしつつ集団としての意見をまとめていく話合い活動などは、社会参画の意識や合意形成のための思考力・判断力・表現力等を養うものである。
  • また、特別活動は、特別教科化によってますます重視される道徳における問題解決的な学習や体験的な学習と相まって、道徳的実践のための重要な学習活動の場となるものである。特に、基本的な生活習慣や集団や社会との関わり方、人間関係などの問題について、何ができるかを考え、実行するなど、道徳的行為を促す上で、重要な役割を果たすものである。このような子供たちの主体的な活動は、いじめ等の未然防止などにもつながるものである。
  • こうした特別活動の意義については、開発途上国等に対する国際教育協力の現場等においても、我が国の教育課程の特徴として高い評価を受けているところである。次期改訂に向けては、教育課程におけるこうした意義を明確化するため、学級(ホームルーム)活動、児童会・生徒会活動、クラブ活動、学校行事のそれぞれを通じて、育成すべき資質・能力を明確化するとともに、各教科等との関係を整理していくことが求められる。

17.総合的な学習の時間

  • 総合的な学習の時間は、変化の激しい社会に対応して、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育成することなどをねらいとしており、各教科等で行われる基礎的・基本的な知識・技能の習得や学習活動等を前提としながら、実社会や実生活との関わりを重視した、教科横断的・総合的な探究活動等を行うものである。
  • こうした教科横断的な学びは、学校において身に付けた資質・能力を、実社会で活用できるより汎用的な資質・能力に変えていくために欠かすことのできないものであり、次期改訂に向けた学習指導要領の構造化の観点からは、総合的な学習の時間における教科横断的な学びと、各教科における学習を相互に関連付けながら充実を図っていくことが、育成すべき資質・能力を身に付けていくための重要な鍵となる。また、総合的な学習の時間は、各教科等単独では取り組むことの難しい様々な現代的な課題に対応した教育を行うための核となる時間であり、こうした課題を、各教科等において身に付けた力を活用しながら探究的に学ぶ機会を確保する上で重要な役割を果たしている(※51)。
  • こうした総合的な学習の時間の役割は、クロスカリキュラムによる子供主体の活動を中心とした学習により、PISAにおける好成績につながったのみならず、学習に対する姿勢の改善に大きく貢献するものとして、OECDをはじめ国際的にも高く評価されているところである(※52)。
  • 次期改訂に向けては、教育課程におけるこうした意義を明確化するため、各教科等の学習とより一層関連を図りながら、教科横断的な思考のために必要なスキルなど、総合的な学習の時間を通じて育成すべき資質・能力を発達の段階に応じて明確化するとともに、各教科等との関係を整理していくことが求められる。

  • ※51 なお、当部会の議論においては、次期改訂において目指す資質・能力を育む観点からは、教科学習と教科横断的な学びのバランスを図る観点から、総合的な学習の時間の授業時数を現在よりも増やすべきとの意見もあったところである。
  • ※52 補足資料107ページ参照。

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初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成27年11月 --